JPH059183Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はサーマルプリンタに備えられ、サーマ
ルヘツドのプラテンに対する押圧動作を規制する
サーマルヘツド押圧動作規制機構に関する。

従来、記録紙とサーマルヘツドとの間に、熱溶
融性材料を有する印刷テープを配置し、サーマル
ヘツドに備えられた複数の発熱要素をサーマルヘ
ツドの移動に伴つて選択的に発熱させ、印刷テー
プの熱溶融性材料を溶融させて記録紙上に転写さ
せるようにしたサーマルプリンタが提案されてい
る。このサーマルプリンタは印刷時に騒音を生じ
ない利点があるとともに、使用される記録紙の種
類に制約を受けない利点がある。

しかし、この従来のサーマルプリンタは、サー
マルヘツドが装着されるキヤリツジを移動させる
キヤリツジ移動手段を駆動するためのモータと、
記録紙を送る記録紙送り手段を駆動するためのモ
ータとの２つのモータを少なくとも有し、それ
故、製造原価が高くなる不具合がある。

本考案はこのような従来技術における実情に鑑
みてなされたもので、その目的は、キヤリツジ移
動手段の駆動と記録紙送り手段の駆動とを１つの
モータによつておこなえるサーマルプリンタを実
現させることのできるサーマルヘツド押圧動作規
制機構を提供することにある。

この目的を達成するために本考案は、サーマル
ヘツドと、このサーマルヘツドが装着されるキヤ
リツジと、このキヤリツジが印字方向に移動可能
に装着されるキヤリツジガイド板と、このキヤリ
ツジガイド板を回動させるソレノイドと、上記サ
ーマルヘツドによつて記録される記録紙が巻回さ
れるプラテンと、上記サーマルヘツドのプラテン
に対する押圧動作を規制するサーマルヘツド押圧
動作規制機構とを備えたサーマルプリンタにおい
て、上記サーマルヘツド押圧動作規制機構はプリ
ンタ本体を形成するフレームに固設されたハート
カムと、このハートカムに係合する保持ピンと、
上記キヤリツジガイド板に設けられ前記保持ピン
が移動自在に収納される溝とから構成されるとと
もに、上記キヤリツジガイド板を上記ソレノイド
の非通電時に２つの安定位置に機械的に係止させ
る係止手段を備え、上記ソレノイドに通電して上
記キヤリツジガイド板を回動させた後この通電を
解除して該キヤリツジガイド板を上記２つの安定
位置間で変位させて、上記サーマルヘツドをプラ
テンに押圧される位置とプラテンから離れる位置
とに２つの位置に係止しうるようにした構成にし
てある。

以下、本考案のサーマルヘツドの押圧動作規制
機構を図に基づいて説明する。

はじめに、本考案の一実施例が備えられるサー
マルプリンタの基本構成について述べ、次いで本
考案の一実施例について述べる。

第１図において、１は図示しない記録紙が巻回
されるプラテン、２はこのプラテン１の前面位置
に装着されるプラテンゴム、３はプラテン１に巻
回される記録紙を案内する紙ガイドである。４は
プラテンゴム２に対向するように配置され、複数
の発熱要素を有するサーマルヘツド、５はこのサ
ーマルヘツド４が装着されるキヤリツジ、６は記
録紙に転写される熱溶融性材料を有する印刷テー
プ、７はこの印刷テープ６が収納されるテープカ
セツトで、このテープカセツト７はキヤリツジ５
に着脱自在になつている。８はキヤリツジ５が移
動可能に装着されるキヤリツジガイド板で、支持
部９を中心に回動可能になつており、キヤリツジ
５に固設されたキヤリツジガイド軸１０を案内す
る溝１１を備えている。また１２はキヤリツジガ
イド板８上のキヤリツジ５すなわちサーマルヘツ
ド４をプラテンゴム２に近づく方向に付勢する圧
接バネ、１３はこのプリンタの本体を形成するフ
レーム、１４はキヤリツジガイド板８を回動させ
るソレノイドである。

また１５はキヤリツジ５に接続されるワイヤ、
１６，１７はキヤリツジガイド板８側に配置さ
れ、ワイヤ１５が巻回されるプーリ、１８はワイ
ヤ１５が巻回され、たとえば両側部にギヤを有す
る駆動プーリである。上述したワイヤ１５、プー
リ１６，１７、および駆動プーリ１８は、キヤリ
ツジ５をプラテン１に沿つて移動させるキヤリツ
ジ移動手段を構成している。

また、１９は記録紙が当接される紙送りロー
ラ、２０はこの紙送りローラ１９が支持される紙
送り軸で、これらの紙送りローラ１９、紙送り軸
２０は記録紙を矢印２１方向に送る記録紙送り手
段を構成している。

また、２２はステツピングモータ、２３はこの
モータ２２の出力軸に設けたモータギヤ、２４は
このモータギヤ２３に係合するとともに、前述し
た駆動プーリ１８の一方の側部のギヤに係合する
アイドルギヤである。２５は駆動プーリ１８の他
方のギヤに係合する第１の間欠ギヤ、２６はこの
第１の間欠ギヤ２５と係合する第２の間欠ギヤ、
２７はこの第２の間欠ギヤ２６と係合する紙送り
ギヤである。なお２８はキヤリツジ５の基準位置
を検出する接片が設けられる可動接片取付台であ
る。

なお、キヤリツジ５が片道移動するに際して例
えば駆動プーリ１８は約７回転、第１の間欠ギヤ
２５は約2.6回転、第２の間欠ギヤ２６は約0.8回
転するように設定してあり、また第２の間欠ギヤ
２６と紙送りギヤ２７との間でおこなわれる間欠
動作に際し、紙送りギヤ２７は紙送り時に20°、
キヤリツジ５の基準位置の検出時に約40°回動し
それ以外の時には回動しないようになつている。

またこの第１図に示す２９は紙送りギヤ２７と
係合するラチエツト、３０はラチエツト２９と係
合、離脱可能になつており、かつ、紙送り軸２０
に装着されるラチエツトである。３１はラチエツ
ト３０をラチエツト２９と係合する方向に付勢す
るラチエツトばね、３２はラチエツトばね３１の
一端を規制するワツシヤである。３３は手動送り
に際して、ラチエツト３０をラチエツト２９から
離れる方向に移動させ、かつ、ラチエツト３０に
形成したギヤに係合可能なギヤを周側に有するマ
ニユアルノブ、３４はこのマニユアルノブ３３を
回動自在に支持するレバーである。

なお、同第１図に示すＡはキヤリツジ５の基準
位置、PFは紙送りエリア、Ｂは印刷エリアを示
しており、またＳ１は１桁目の印刷位置すなわち
印刷開始位置を、Ｓ８０は80桁目の印刷位置すな
わち印刷終了位置を示している。

第２図ａ，ｂはこのプリンタに備えられるサー
マルヘツド押圧動作規制機構の一実施例を示す説
明図で、第２図ａはサーマルヘツドのプラテン押
圧時における状態を示す側面図、第２図ｂはサー
マルヘツドの押圧動作規制時の状態を示す側面図
である。これらの図において、３５は例えば前述
したフレーム１３に固設したハートカム、３６は
このハートカム３５に係合する保持ピン、３７は
キヤリツジガイド板８に設けられ、保持ピン３６
が移動自在に収納される溝である。これらのハー
トカム３５、保持ピン３６および溝３７は、キヤ
リツジガイド板８を機械的に係止させる係止手段
を構成している。

次に、この一実施例が備えられるサーマルプリ
ンタにおけるキヤリツジ５の移動動作と紙送り動
作との基本的な関係について述べる。

第１図に示すサーマルプリンタにあつては、マ
ニユアルノブ３３がラチエツト３０から離れた状
態に保たれている場合において、所定の電源が入
れられると、モータ２２が回転し、モータギヤ２
３、アイドルギヤ２４を介して駆動プーリ１８が
回転し、ワイヤ１５がけん引されてキヤリツジ５
が基準位置Ａに至る。この基準位置Ａの検出は可
動接片取付台２８の接片を介しておこなわれる。
そして、キヤリツジ５が基準位置Ａに至つたこと
が検出されると、モータ２２が反転し、モータギ
ヤ２３、アイドルギヤ２４、駆動プーリ１８が上
述と逆方向に回転しキヤリツジ５はワイヤ１５に
よつて矢印３８で示すように紙送りエリアPFを
越えて印刷エリアＢに導かれ、サーマルヘツド４
によつて所定の印刷がおこなわれる。

なお、キヤリツジ５が紙送りエリアPFに位置
する間に紙送りギヤ２７が20°回動し、ラチエツ
ト２９，３０を介して紙送り軸２０が20°回動し、
紙送りローラ１９によつて記録紙が所定量第１図
の矢印２１方向に送られる。また印刷が実施され
ている間は、紙送りギヤ２７は回動せず、したが
つて記録紙は静止状態に保たれる。

そして、例えばＳ８０まで印刷がおこなわれる
と、モータ２２が反転し、モータギヤ２３、アイ
ドルギヤ２４、駆動プーリ１８がこれに伴つて逆
方向に回転し、キヤリツジ５はワイヤ１５によつ
て矢印３９で示すようにリターンする。このとき
紙送りギヤ２７は回動せず、したがつて記録紙は
静止状態に保たれる。そして、キヤリツジ５がＳ
１に至り、紙送りエリアPFに入ろうとするとき、
第２の間欠ギア２６による紙送りギヤ２７の回動
が始まる。

そして、キヤリツジ５が紙送りエリアPFの終
端に至つたとき、モータ２２が反転し、前述と逆
の動作がおこなわれる。すなわち、キヤリツジ５
の基準位置Ａの検出は最初の１度だけおこなわ
れ、その後は、キヤリツジ５は紙送りエリアPF
と印刷エリアＢとの間を所定の印刷量に応じて往
復動する。そして、キヤリツジ５が紙送りエリア
PFに位置する間のみ紙送りギヤ２７が回動し、
所定の紙送りがおこなわれる。

ところで、このサーマルプリンタにあつてはモ
ータ２２の正、逆転に対してラチエツト２９，３
０を介して紙送り軸２０が一方向にしか回転せ
ず、すなわちモータ２２の駆動によつては記録紙
を第１図の矢印２１方向にしか送れないが、マニ
ユアルノブ３３を押し下げてラチエツト２９とラ
チエツト３０との係合を解き、かつ、マニユアル
ノブ３３のギヤをラチエツト３０のギヤに係合さ
せ、マニユアルノブ３３を回転させることにより
記録紙の手動送りをおこなうことができる。

また、前述したキヤリツジ５の移動に際して、
ソレノイド１４への通電および通電解除がおこな
われるが、ソレノイド１４に１回通電することに
より、例えば第２図ｂに示すように、キヤリツジ
ガイド板８が回動し、圧接ばね１２の力に抗して
保持ピン３６がハートカム３５の下方位置に係止
され、サーマルヘツド４がプラテン１から離れた
状態に保たれる。そして、保持ピン３６がハート
カム３５の下方に係止された後は、ソレノイド１
４への通電を解除してもこの第２図ｂに示す状態
が保たれる。また第２図ｂに示す状態においてソ
レノイド１４に通電することにより、キヤリツジ
ガイド板８が矢印４０方向に微小に回動し、当該
ソレノイド１４への通電を解除することにより、
第２図ａに示すように、圧接ばね１２によつてキ
ヤリツジガイド板８が上方に回動し、保持ピン３
６がハートカム３５の上方位置に係止され、サー
マルヘツド４がプラテン１を押圧し、所望の印刷
をおこなうことができる。

このように構成した一実施例にあつては、キヤ
リツジ移動手段の駆動と記録紙送り手段との駆動
を１つのモータによつておこなわせることができ
るとともに、ソレノイド１４への通電は保持ピン
３６とハートカム３５との係止動作をおこなわせ
るだけの短い時間で済む。したがつて、キヤリツ
ジ５のリターン動作中にあつてもソレノイド１４
に通電することを要しない。

なお上記実施例では、係止手段の一例として、
ハートカム３５と保持ピン３６との組合せを挙げ
たが、本考案はこれに限られず、この係止手段を
例えばプツシユ・プツシユスイツチに備えられる
ロツク機構等の機構、すなわち１回の押し動作で
ロツクされ、次の押し動作で当該ロツクが解除さ
れる機構によつて構成してもよい。

また上記実施例では適用されるサーマルプリン
タとして、印刷テープ６の熱溶融性材料をサーマ
ルヘツド４によつて記録紙に転写するものを挙げ
たが、本考案はこれに限らず、印刷テープ６およ
びテープカセツト７を有せず、しかも記録紙が加
熱によつて変色する特殊紙を用いたサーマルプリ
ンタにも適用することができる。

本考案のサーマルヘツド押圧動作規制機構は以
上のように構成してあることから、キヤリツジ移
動手段の駆動と記録紙送り手段の駆動とを１つの
モータによつておこなうことができるサーマルプ
リンタを実現させることができ、それ故、このサ
ーマルヘツド押圧動作規制機構が備えられるサー
マルプリンタの製造原価を従来に比べて低減させ
ることのできる効果がある。また、ソレノイドに
通電する時間が短くて済むこと、およびキヤリツ
ジのリターン動作中におけるソレノイドへの通電
を要しないことから、電力消費量を最小に抑制で
き、経済的な効果がある。

また、ソレノイドでキヤリツジガイド板を回動
させることで、キヤリツジの任意の位置でヘツド
の圧接・解除動作が行える。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のサーマルヘツド押圧動作規制
機構が備えられるサーマルプリンタの全体構成を
示す平面図、第２図ａ，ｂは本考案の一実施例を
示す説明図で、第２図ａはサーマルヘツドのプラ
テン押圧時における状態を示す側面図、第２図ｂ
はサーマルヘツドの押圧動作規制時の状態を示す
側面図である。 １……プラテン、４……サーマルヘツド、５…
…キヤリツジ、８……キヤリツジガイド板、１４
……ソレノイド、３５……ハートカム、３６……
保持ピン、３７……溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. サーマルヘツドと、このサーマルヘツドが装着
   されるキヤリツジと、このキヤリツジが印字方向
   に移動可能に装着されるキヤリツジガイド板と、
   このキヤリツジガイド板を回動させるソレノイド
   と、上記サーマルヘツドによつて記録される記録
   紙が巻回されるプラテンと、上記サーマルヘツド
   のプラテンに対する押圧動作を規制するサーマル
   ヘツド押圧動作規制機構とを備えたサーマルプリ
   ンタにおいて、上記サーマルヘツド押圧動作規制
   機構はプリンタ本体を形成するフレームに固設さ
   れたハートカムと、このハートカムに係合する保
   持ピンと、上記キヤリツジガイド板に設けられ前
   記保持ピンが移動自在に収納される溝とから構成
   されるとともに、上記キヤリツジガイド板を上記
   ソレノイドの非通電時に２つの安定位置に機械的
   に係止させる係止手段を備え、上記ソレノイドに
   通電して上記キヤリツジガイド板を回動させた後
   この通電を解除して該キヤリツジガイド板を上記
   ２つの安定位置間で変位させて、上記サーマルヘ
   ツドをプラテンに押圧される位置とプラテンから
   離れる位置とに２つの位置に係止しうるようにし
   たことを特徴とするサーマルヘツド押圧動作規制
   機構。