JPH0590048U - 両方向回転型ガスシール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 摺動面に設けられたラジアル方向に延びる動
圧生成溝の外周部にダム部を設けることにより、安定し
た摺動性を保つ。 【構成】 回転時に摺動面３１，５１間に浮上力を得る
ためのラジアル方向に延びる動圧生成溝１１を円周方向
に複数設けた両方向回転型ガスシールにおいて、動圧生
成溝１１の外径側にダム部９を設けたことを特徴とす
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は回転軸の軸封装置等に使用されるガスシールに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来のこの種のガスシールとしては、たとえば図４に示すような構成となって いる。すなわち、固定側摺動部材１００と回転側摺動部材１０１の内、回転側摺 動部材１０１の摺動面１０１Ａに、摺動面間に浮上力を得るための動圧生成溝１ ０２が設けられている。

【０００３】 また、固定側摺動部材１００はスプリング１０３で支えられ、通常は摺動面１ ００Ａ，１０１Ａの間にガスＧを巻き込むことにより浮上し、固定側摺動部材１ ００と回転側摺動部材１０１の間には１〜１０ミクロン程度の隙間ｈを生じ、わ ずかな漏れを許容しつつシールしている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

図４(b) 〜(e) に、動圧生成溝１０２として、スパイラル溝１０２Ａとラジア ル方向溝１０２Ｂを示す。スパイラル溝１０２Ａでは回転によりガスＧは内周に 流れ込み浮上力を発生するが、ラジアル方向溝１０２Ｂでは溝幅が広く開いてお り、しかも外径側が開口しているために、浮上力の発生と同時に遠心力によりガ スＧの排出も起こる。特に、高速低圧条件では、遠心力が大きくかつガスを押し 込む力も弱いために、浮上力が弱く安定した摺動性能が期待できない。

【０００５】 本考案は、上記した従来技術の課題を解決するためになされたもので、その目 的とするところは、摺動面に設けられたラジアル方向に延びる動圧生成溝の外周 部にダム部を設けることにより、安定した摺動性能を保ち得る両方向回転型ガス シールを提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案にあっては、固定側摺動部材と回転側摺動 部材の摺動面に、回転時に摺動面間に浮上力を得るためのラジアル方向に延びる 動圧生成溝を円周方向に複数設けた両方向回転型ガスシールにおいて、 前記動圧生成用溝の外径側にダム部を設けたことを特徴とする。

【０００７】

【作用】

上記構成のガスシールにあっては、、回転時に遠心力が作用しても、動圧生成 用溝の外径側に設けられたダム部によって、摺動面間に巻き込まれたガスの外径 側への漏れを防止できる。

【０００８】

【実施例】

以下に本考案を図示の実施例に基づいて説明する。

【０００９】 図１にガスシールの全体構成を示している。すなわち、１はシール全体を示し ており、概略、回転軸２に固定される回転側摺動部材３と、ハウジング４に取り つけられる固定側摺動部材５とから構成されている。回転側摺動部材３が密封対 象となるガスＧ側に配置され、ガスＧが摺動面の外周側から内周側に漏れるよう に構成されている。

【００１０】 回転側摺動部材３は保持部材６を介して回転軸２に対して軸方向および回転方 向に固定されるもので、保持部材６と回転側摺動部材３の背面との間には密封用 のＯリング７が装着されている。

【００１１】 一方、固定側摺動部材５は回転方向には固定で軸方向には可動に取りつけられ 、スプリング８のばね力によって回転側摺動部材３に対して押圧されている。

【００１２】 上記回転側摺動部材３と固定側摺動部材５の対向面は軸方向に対して直交する 平坦面で、互いに回転摺動する摺動面３１，５１を構成している。この摺動面３ １，５１間にてガスＧがシールされるようになっている。そして回転側摺動部材 ３と固定側摺動部材５のいずれかの摺動面、この実施例では回転側摺動部材３の 摺動面３１に、回転時に動圧を発生させるラジアル方向に延びる動圧生成溝１１ が円周方向に複数設けられている。

【００１３】 この動圧生成溝１１は、回転側摺動部材３の外径側から内径側に向けてその中 途位置まで延びており、摺動面３１の内径側の領域が溝の無い溝無し領域３２と なっている。したがって、回転軸２の停止中は溝無し領域３２において固定側摺 動部材５の摺動面５１と隙間なく密接してガスＧをシールし、回転時にはガスＧ が動圧生成溝１１に巻き込まれて動圧が生成され、摺動面３１，５１間に浮力を 働かせるようになっている。

【００１４】 さらに、この動圧生成溝１１の外径側には、回転時の遠心力によってガスＧを 外側に逃がさないようにダム部９が設けられている。

【００１５】 このダム部９によって、巻き込んだガスが遠心力により逃げることを防ぎ、安 定した摺動を保つことができる。ダム部９の位置は、図１(b) に示すように。固 定側摺動部材５の外径端よりも外側に位置しているが、図１(c) に示すように固 定側摺動部材５の摺動面５１との対向位置に設けてもよい。

【００１６】 図２，図３には、上記動圧生成溝１１の２つの実施例を示している。

【００１７】 図２に示すものは、動圧生成溝１１の溝断面を矩形状あるいはオーバル状に形 成したものである。ダム部９は動圧生成溝１１の外径端部に溝の全幅にわたって 設けられ、その高さは摺動面３１と同一高さになっている。したがって、ダム部 ９上面は、摺動面３１と連続した平面となっている。もっとも、このダム部９の 高さは摺動面３１よりもわずかに低くてもよく、また、図１(b) に示すようなダ ム部９が摺動面５１の外端よりも外側に位置しているような場合には、摺動面３ １よりも高くなっていてもよい。

【００１８】 また、図３に示すものは、テーパステップ形状の動圧生成溝１２を設けたもの である。

【００１９】 すなわち、この動圧生成溝１２は、図３(b) に示すように、開き角度が大きい Ｖ字溝の谷部にダム部１３が突出したような形状となっており、ダム部１３を隔 てて左右に互いに逆向きのテーパ面１２Ａ，１２Ｂを有している。

【００２０】 このような、テーパステップ状の溝の場合には、摺動面間に生成される動圧の 圧力分布は、図３(b) に示すように、ガス流の上流側のテーパ面１２Ｂにおいて 圧力が低下して負の圧力が作用し、ダム部１３を越えた下流側のテーパ面１２Ａ には、テーパ面１２Ａのくさび作用によって圧力が増大して正の浮力が発生する 。そして、ダム部１３の作用によって負の圧力は小さく、正の圧力が大きくなり 、この動圧生成溝１２全体としては正の圧力が作用し、大きな浮力を得ることが できることが知られている。

【００２１】 このような、テーパステップ状の動圧生成溝１２にダム部９を設けることによ って、くさび作用による正の浮力をより高めることができ、安定性をより一層向 上させることができる。

【００２２】

【考案の効果】

本考案は以上の構成および作用を有するもので、動圧生成用溝の外径側にダム 部を設けることによって、回転時に摺動面間に巻き込んだ流体の外径側への漏れ を防止することができ、低圧高速条件でも安定した性能が得ることができる。

【００２３】 また、摺動面間の浮力を増すことにより、従来の使用範囲を拡げることができ る。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１(a) は本考案の一実施例に係るガスシール
の半断面図、同図(b) は同図(a) の摺動面間に浮力が作
用している状態を模式的に示す図、同図(c) は同図(b)
の他の態様を示す図である。

【図２】図２は動圧生成溝の一態様を示すもので、同図
(a) は平面図、同図(b) はＡーＡ断面図である。

【図３】図３は動圧生成溝の他の態様を示すもので、同
図(a) は平面図、同図(b) はＢーＢ断面図である。

【図４】図４は従来のガスシールを示すもので、同図
(a) は全体構成を示す半断面図、同図(b) はスパイラル
溝の平面図、同図(c) は同図(b) のＣーＣ線断面図、同
図(d) は従来のラジアル方向溝の平面図、同図(e) は同
図(d) のＤーＤ線断面図である。

【符号の説明】

１ ガスシール ２ 回転軸 ３ 回転側摺動部材 ３１ 摺動面 ４ ハウジング ５ 固定側摺動部材 ５１ 摺動面 ９ ダム部 １１，１２ 動圧生成溝

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 固定側摺動部材または回転側摺動部材の
   摺動面に、回転時に摺動面間に浮上力を得るためのラジ
   アル方向に延びる動圧生成溝を円周方向に複数設けた両
   方向回転型ガスシールにおいて、 前記動圧生成溝の外径側にダム部を設けたことを特徴と
   する両方向回転型ガスシール。