JPH0588486U - オーバーロックミシンの糸調子器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 オーバーロックミシンに設置される糸調子器
の張力を正確に付与するとともに形状を小さなものとし
操作を容易なものとする。 【構成】 糸調子体Ｃと、変更手段Ａとから構成し、、
糸調子体Ｃは張力変更軸４に対し、軸方向にのみ滑動可
能に支持される二枚の糸調子皿５と、一端を支持台１１
に支持され、他端で一方の糸調子皿５に当接するバネ体
Ｂと、を備えて構成し、変更手段Ａは、張力変更軸４に
固定される回転体１２と、一方を回転体１２に、他端を
前記バネ体Ｂを介した他方の糸調子皿５にそれぞれ当接
し、張力変更軸４に対して軸方向にのみ滑動可能に支持
される移動体１３と、から構成し、回転体１２と移動体
１３との当接部は、これらいずれか一方に突出部Ｔを形
成し、他方に突出部Ｔと当接するカム面Ｋを形成するよ
うにする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案はオーバーロックミシンの糸調子器に関し、詳しくは小型で操作の容 易なオーバーロックミシンの糸調子器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

図４はオーバーロックミシンを示す外観斜視図であり、オーバーロックミシン は図に示すように糸駒１を複数（図では４つ）備えていて、これらの縫い糸を交 差させることで、縁かがり縫い目、巻き縫い目、飾り縫い目等のを形成すること が出来るようになっている。

【０００３】 ところで、オーバーロックミシンは、こうした縫い目の変更に応じて、複数の 縫い糸への張力（移動抵抗）を種々変更する必要がある。

【０００４】 この縫い糸への張力の変更に供するため、オーバーロックミシンには複数の縫 い糸にそれぞれ係合し、縫い糸に張力を与える糸調子器２が設置されている。 図５はこの糸調子器２の構成状態を示す断面図である。なお図は４本の縫い糸 に応じて４体設置される糸調子器２の一体のみを示す。

【０００５】 図において３はオーバーロックミシンから突出するように設置される変更つま みであり、４はこの変更つまみ３により回転する張力変更軸である。

【０００６】 そして５は二枚一対の糸調子皿であり、この糸調子皿５は張力変更軸４に対し 軸方向に滑動可能に支持されていて、一方の糸調子皿５（図では左側）は張力変 更軸４に固定される固定体１０に当接し移動位置が制限されている。

【０００７】 また６は滑動体であり、この滑動体６は張力変更軸４に軸方向に滑動可能に支 持されていて、外方向に突出するピンＰを備えている。

【０００８】 一方８はカム手段であり、このカム手段８は張力変更軸４に固定され、張力変 更軸４とともに回転するようになっていて、前記滑動体６のピンＰを挿入する傾 斜溝からなるカム溝９を有している。

【０００９】 またＢは他方の糸調子皿５（図では右側）に一端を当接し、他端を滑動体６に 当接するバネ体である。

【００１０】 なお図面では一体の糸調子器のみを示したが、この糸調子器が張力変更軸４に 複数（図４に示すオーバーロックミシンでは４つ）設けられ、カム手段８のカム 溝９はそれぞれの糸調子器に適した張力を与えるようぞれぞれ異なった形状をな している。

【００１１】 以上のように構成されたオーバーロックミシンの糸調子器は、変更つまみ３を 回転させることでカム手段８を回転させ、個々のカム溝９により、それぞれの滑 動体６を軸方向に移動させる。

【００１２】 この滑動体６の移動によりバネ体Ｂは糸調子皿５への付勢力を変化させ、この 糸調子皿５に挟まれる縫い糸の移動抵抗、すなわち張力を変化させることが出来 る。

【００１３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら上記従来のオーバーロックミシンの糸調子器は次のような問題が ある。

【００１４】 図５に示したオーバーロックミシンの糸調子器は、滑動体６を外方向に突出す るピンＰと、このピンＰを挿入するカム溝９とにより移動させるようにしている ので、滑動体６と張力変更軸４との接触面７を、軸方向に長く取る必要がある。

【００１５】 すなわちこの接触面７が短いと、滑動体６が移動する際に回転するよう傾いて しまい適正な移動をなさないことになる。

【００１６】 図５に示したオーバーロックミシンの糸調子器は以上の理由で滑動体６を軸方 向に長手に形成しているので、その形状が全体的に長いものとなる。

【００１７】 このため、オーバーロックミシン自体の横幅Ｗ（図４参照）を長くする必要が あり、オーバーロックミシンを大型化してしまうという不都合がある。

【００１８】 また軸方向に長く形成した滑動体６を複数移動させるには強い力を必要とする ので、オーバーロックミシンの糸調子器の操作（変更つまみ３の回転）を困難な ものとした。

【００１９】

【課題を解決するための手段】

この考案に係るオーバーロックミシンの糸調子器は、縫い糸の本数に応じて複 数個設置される糸調子体と、この複数の糸調子体に係合する縫い糸への張力を、 種々変化させる変更手段と、からなり、前記糸調子体は、回転可能に設けられる 張力変更軸に対し、軸方向に滑動可能に支持される二枚の糸調子皿と、一端を糸 調子軸上に螺合移動可能に支持された支持台に支持され、他端で一方の糸調子皿 に当接するバネ体と、を備えて構成し、前記変更手段は、張力変更軸に固定され 、張力変更軸とともに回転駆動をなす回転体と、一方を前記回転体に、他方を前 記バネ体を会した他方の糸調子皿にそれぞれ当接し、張力変更軸に対して軸方向 にのみ滑動可能に支持される移動体と、から構成するとともに、回転体と移動体 との当接部は、これらいずれか一方に突出部を形成し、他方に突出部を当接する カム面を形成し、上記従来の課題を解決しようとするものである。

【００２０】

【作用】

この考案に係るオーバーロックミシンの糸調子器は、張力変更軸を回転させる ことで回転体を回転させ、この回転体および回転体と当接する移動体とに形成さ れる突出部およびカム面により移動体を移動させる。

【００２１】 そしてこの移動体の移動によりバネ体を伸縮させて、縫い糸を挟む糸調子皿へ の付勢力を変化させる。

【００２２】

【実施例】

図面にもとづいてこの考案の実施例を説明する。なお従来例と同一箇所には同 一符号を付して重複説明は省略する。

【００２３】 図１ないし図３はこの考案に係るオーバーロックミシンの糸調子器の一実施例 を示す図である。

【００２４】 このオーバーロックミシンの糸調子器は、糸調子体Ｃと変更手段Ａとからなっ ている。なお図は複数本の縫い糸に応じて複数体設置される糸調子器の一体のみ を示す。

【００２５】 糸調子体Ｃは、糸調子皿５と、バネ体Ｂとからなっていて、糸調子皿５はミシ ンの機枠に固定される支持体１５より突出する支持ピン１４に係合し、張力変更 軸４の軸方向のみ滑動可能に支持されている。

【００２６】 そしてバネ体Ｂは図に示すように一端を支持台１１に、他端を一方の糸調子皿 ５（図では右側）に当接している。支持台１１は糸調子つまみ（図示せず）の回 転により支持体１５に固定された糸調子軸１６上を螺合移動可能に支持されてい る。

【００２７】 また変更手段Ａは、回転体１２と移動体１３とからなっていて、回転体１２は 張力変更軸４に固定されていて、張力変更軸４とともに回転駆動をなすようにな っている。

【００２８】 そして移動体１３は、支持ピン１４により回転することがないよう糸調子軸１ ６に滑動可能に支持されていて、一端を糸調子皿５の他方（図では左）と、他端 を回転体１２とそれぞれ当接している。

【００２９】 一方この回転体１２と移動体１３との当接面は図２に示すように構成されてい る。

【００３０】 回転体１２の当接面は、波形状からなるカム面Ｋを複数有した環状のカム面を 張力変更軸４の中心点からそれぞれ異なる距離をおいて３か所備えている。

【００３１】 一方移動体１３は回転体１２のカム面Ｋに当接する突出部Ｔを張力変更軸４の 中心点から異なる角度をとって３個設置している。

【００３２】 この回転体１２および移動体１３は、図３に示すように回転体１２を回転させ た際、移動体１３をカム面Ｋにより回転角度に応じて複数回進退運動させること が出来る。

【００３３】 またカム面Ｋは３個の突出部Ｔにそれぞれ当接するように形成されていて、移 動体１３に傾きを生じさせることなく正確に進退運動させることが出来る。

【００３４】 なお図面では一体の糸調子器のみを示したが、この糸調子器が張力変更軸４に 複数（４つ）設けられ、回転体１２のカム面は、それぞれの糸調子器に適した張 力を与えるよう、それぞれ異なった形状をなしている。

【００３５】 またこの実施例では回転体１２にカム面Ｋを、移動体１３に突出部Ｔをそれぞ れ設けた例を示したが、回転体１２に突出部Ｔを、そして移動体１３にカム面Ｋ を設けても良い。

【００３６】 以上のように構成されたオーバーロックミシンの糸調子器は、変更つまみ３を 回転、すなわち回転体１２を回転させることによりカム面Ｋにより移動体１３を 正確に進退させてバネ体Ｂの糸調子皿５への付勢力を変更することが出来る。

【００３７】 そして移動体１３の幅は小さいものとすることが出来るので、糸調子器の形状 を小さく出来、オーバーロックミシンを小型化することが可能となる。

【００３８】 また移動体１３と糸調子軸１６との接触面を少ないものとすることが出来、ま た平行に移動させる事ができる為、セリによる異常な力も発生せず、変更つまみ ３の操作を容易なものとすることが可能である。

【００３９】

【考案の効果】

この考案に係るオーバーロックミシンの糸調子器は以上説明したように、張力 変更軸に固定され、張力変更軸とともに回転駆動をなす回転体と、この回転体に 当接し張力変更軸の軸線方向に滑動可能に支持される移動体と、からなる変更手 段を備え、回転体と移動体との当接部は、これらいずれか一方に突出部を形成し 、他方に突出部と当接するカム面を形成し、この変更手段により糸調子皿を付勢 するバネ体を伸縮するようにしたので、オーバーロックミシンの糸調子器を小さ くしかつ正確に張力付与することが出来、オーバーロックミシンを小型化するこ とが可能になる。

【００４０】 また糸調子器の駆動時における滑動面を少なくすることが出来、また移動体を 平行移動させることが出来る為セリによる異常な力も発生せず、糸調子器の操作 を容易なものとすることが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案に係るオーバーロックミシンの糸調子
器の一実施例を示す説明図である。

【図２】図１に示したオーバーロックミシンの糸調子器
の回転体と移動体を示す説明図である。

【図３】図１に示したオーバーロックミシンの回転体を
回転させた際の移動体の進退移動状態を示す作用説明図
である。

【図４】オーバーロックミシンを示す外観斜視図であ
る。

【図５】オーバーロックミシンに設置される従来の糸調
子器の構成状態を示す説明図である。

【符号の説明】

Ａ 変更手段 Ｂ バネ体 Ｃ 糸調子体 Ｋ カム面 Ｔ 突出部 ４ 張力変更軸 ５ 糸調子皿 １１ 支持体 １２ 回転体 １３ 移動体 １４ 支持ピン １５ 支持体 １６ 糸調子軸

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 オーバーロックミシンに複数本設けられ
   る縫い糸に種々張力を与えるよう、複数個設置される糸
   調子体と、 この複数の糸調子体に係合する縫い糸への張力を、種々
   変化させる変更手段と、からなり、前記糸調子体は、 回転可能に設けられる張力変換軸に対し、軸方向にのみ
   滑動可能に支持される二枚の糸調子皿と、 一端を糸調子軸上に螺合移動可能に支持された支持台に
   支持され、他端で一方の糸調子皿に当接するバネ体と、
   を備えて構成し、前記変更手段は、 張力変換軸に固定され、張力変換軸とともに回転駆動を
   なす回転体と、 一方を前記回転体に、他方を前記バネ体を介した他方の
   糸調子皿にぞれぞれ当接し、張力変換軸に対して軸方向
   にのみ滑動可能に支持された移動体と、から構成し、 回転体と移動体との当接部は、これらいずれか一方に突
   出部を形成し、他方に突出部と当接するカム面を形成し
   たことを特徴とするオーバロックミシンの糸調子器。
2. 【請求項２】 前記変更手段の回転体と移動体とに形成
   される突出部およびカム面を、張力変更軸の中心点から
   それぞれ異なる距離をおく回転経路に異なる角度をとっ
   て３点設置されるように構成したことを特徴とするオー
   バーロックミシンの糸調子器。