JPH0586435A - 高耐食高耐摩耗性工具部品材料 - Google Patents

高耐食高耐摩耗性工具部品材料

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JPH0586435A
JPH0586435A JP27705191A JP27705191A JPH0586435A JP H0586435 A JPH0586435 A JP H0586435A JP 27705191 A JP27705191 A JP 27705191A JP 27705191 A JP27705191 A JP 27705191A JP H0586435 A JPH0586435 A JP H0586435A
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balance
carbides
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JP27705191A
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English (en)
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Eiji Hirakawa
英司 平川
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Proterial Ltd
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Hitachi Metals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐食性と耐摩耗性がともに優れ、特にICモ
ールド用金型やエンジニアリングプラスチック成形用金
型などに適した工具部品材料を提供する。 【構成】 重量%で、C 2.0〜3.5%、Si 2.0%以下、M
n 2.0%以下、Cr 15.0〜30.0%、Nb 0.3〜6.0%、残部F
eを基本組成とし、必要に応じてV,W,Mo,Ni,Co,Cu
を特定量添加することができ、CrとCの配合比 Cr/C
が6.0以上である合金にTi,V,Zr,Nb,Hf,Taの窒化
物、炭化物または炭窒化物の1種または2種以上からな
る硬質粒子を合計で2〜12%、均一に分散せしめた高耐食
高耐摩耗性工具部品材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ICモールド用金型、
エンジニアリングプラスチック成形用金型、およびプラ
スチック成形用スクリュ部品などの高耐食高耐摩耗性が
要求される用途のうち、特に高度の耐食、耐摩耗性が必
要とされる工具部品材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来ICモールド用金型など、高摩耗性
が要求される用途の工具には特開昭63-169358号や特開
昭62-294149号に記載された粉末冶金法を用いた高C高
Cr系の材料が使用されている。また、充填材入りエン
ジニアリングプラスチックの成形用部品には、SKD11な
ど高C13Cr系の冷間工具鋼、あるいは特開昭64-75653
号に記載されたスクリュ材などが転用されている。さら
に、より耐摩耗性が必要とされる用途には、特公昭54-2
8821号、特公昭54-28822号、特開昭62-124259号、特開
昭62-124260号、特開昭62-124261号等に記載された焼結
合金工具鋼が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来鋼は、工
具および部品材料として有用なものではあるが、未だ以
下に述べるような問題点を有している。 SKD11などの高C13Cr系の冷間工具鋼や高速度工具鋼
について、 まず、上記の13Cr系の冷間工具鋼や高速度工具鋼で
は、エンジニアリングプラスチック中に含有されるガラ
ス繊維(SiO2)、その他の硬質のフィラーによる摩耗作
用に対して、耐摩耗性が必ずしも十分ではなく、また成
形中に発生する腐食性のガスにより腐食摩耗を起し、使
用寿命が短いという問題点がある。
【0004】特開昭62-294149号、特開昭63-169358号
および特開昭64-75653号に開示された材料について、 これらの合金は、高C高Cr系の粉末冶金法によるもの
であり、前述した腐食摩耗作用に対しては抵抗力が強
く、優れた高寿命を示している。しかし、エンジニアリ
ングプラスチック中に含まれる硬質粒子は近年は、用途
により増大して行く傾向に有り、上記材料では耐摩耗性
が不足するという問題点も生じている。
【0005】特公昭54-28821号、特公昭54-28822号、
特開昭62-124259号、特開昭62-124260号、特開昭62-124
261号に記載された焼結合金工具鋼について、 これらの合金工具鋼は、多量の硬質炭化物を有する高速
度工具鋼に、さらにTi,V,Zr,Nb,Hf,Taの窒化物、
炭化物または炭窒化物を分散させた焼結合金である。こ
れらの合金工具鋼は、母材に存在する硬質の炭化物と、
さらに加えた窒化物、炭化物および炭窒化物により優れ
た耐摩耗性を示すものである。
【0006】しかし、プラスチック成形用工具あるいは
部品として使用した場合、基地の耐食性が不足し、腐食
摩耗作用により短寿命となる欠点も生じている。本発明
は、以上の状況をもとに、従来鋼よりも優れた耐摩耗性
を有し、かつ特開昭62-294149号、特開昭63-169358号お
よび特開昭64-75653号に記載された合金並みの耐食性を
有し、さらに特公昭54-28821号、特公昭54-28822号、特
開昭62-124259号、特開昭62-124260号、特開昭62-12426
1号に記載された焼結合金と同等以上の耐摩耗性を有す
る工具および部品材料(以下工具部品材料と記す)の提供
を目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するべく特開昭63-169358号に記載された工具およ
び部品材料をベースに種々の検討を行なった。まず、耐
摩耗性を向上させるためには、摩耗作用を抑制する働き
が大きい炭化物、窒化物、炭窒化物を基質中に適量分散
させることで優れた耐摩耗性を付与することにした。ま
た、本発明の工具部品材料(以下本発明材料と記す)は、
W,Mo,Nb,Vを適宜添加することにより、これらが特
殊炭化物を形成し、高度の耐摩耗性を与える基礎を構成
する。
【0008】次に耐食性は、基地中に固溶するCr量に
よって左右されるので、Cr含有量を増大させることに
より耐食性の向上が可能である。しかし、CrはCと結
合し、炭化物を形成し易いので、上記合金並みの耐食性
を有するためには、CとCrの配合比をCr/C≧6.0に調
整する必要があることが判明した。さらに、耐食性を向
上させるためには、望ましくは本発明材料にW,Mo,N
i,Cu,Coを適宜添加せしめると、耐食性が無添加の場
合と比較して、より一層の耐食性の向上がなされるとい
う結果も得た。
【0009】本発明は以上の知見に基づきなされたもの
であり、第1発明は、重量%で、C2.0〜3.5%、Si 2.0
%以下、Mn 2.0%以下、Cr 15.0〜30.0%、Nb 0.3〜6.0
%、残部Feおよび不可避的不純物からなり、CrとCの
配合比Cr/Cが6.0以上である合金にTi,V,Zr,Nb,
Hf,Taの窒化物、炭化物または炭窒化物の1種または
2種以上からなる硬質粒子を合計で2〜12%、均一に分散
せしめたことを特徴とする高耐食高耐摩耗性工具部品材
料である。さらに第2発明は、合金の組成が重量%で、
C 2.0〜3.5%、Si 2.0%以下、Mn 2.0%以下、Cr 15.0
〜30.0%、Nb 0.3〜6.0%、V 0.5〜10.0%、残部Feおよ
び不可避的不純物からなり、CrとCの配合比 Cr/Cが
6.0以上である第1発明に記載の高耐食高耐摩耗性工具
部品材料である。第3発明は、合金の組成が重量%で、
C 2.0〜3.5%、Si 2.0%以下、Mn 2.0%以下、Cr 15.0
〜30.0%、Nb 0.3〜6.0%、WとMoの1種または2種を1
/2W+Moで0.5〜5.0%、残部Feおよび不可避的不純物
からなり、CrとCの配合比 Cr/Cが6.0以上である第
1発明に記載の高耐食高耐摩耗性工具部品材料である。
【0010】第4発明は、合金の組成が重量%で、C
2.0〜3.5%、Si 2.0%以下、Mn 2.0%以下、Cr 15.0〜3
0.0%、Nb 0.3〜6.0%、V 0.5〜10.0%、WとMoの1種
または2種を1/2W+Moで0.5〜5.0%、残部Feおよび不
可避的不純物からなり、CrとCの配合比 Cr/Cが6.0
以上である第1発明に記載の高耐食高耐摩耗性工具部品
材料である。第5発明は、合金の組成が重量%で、C
2.0〜3.5%、Si 2.0%以下、Mn 2.0%以下、Cr 15.0〜3
0.0%、Nb 0.3〜6.0%、これにNi 2.0%以下、Co 8.0%
を越え20.0%以下、およびCu 0.5〜4.0%の1種または2
種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からな
り、CrとCの配合比 Cr/Cが6.0以上である第1発明
に記載の高耐食高耐摩耗性工具部品材料である。第6発
明は、合金の組成が重量%で、C 2.0〜3.5%、Si 2.0%
以下、Mn 2.0%以下、Cr 15.0〜30.0%、Nb 0.3〜6.0
%、V 0.5〜10.0%、これにNi 2.0%以下、Co 8.0%を越
え20.0%以下、およびCu 0.5〜4.0%の1種または2種以
上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、
CrとCの配合比 Cr/Cが6.0以上である第1発明に記
載の高耐食高耐摩耗性工具部品材料である。
【0011】第7発明は、合金の組成が重量%で、C
2.0〜3.5%、Si 2.0%以下、Mn 2.0%以下、Cr 15.0〜3
0.0%、Nb 0.3〜6.0%、WとMoの1種または2種を1/2
W+Moで0.5〜5.0%、これにNi 2.0%以下、Co 8.0%を
越え20.0%以下、およびCu 0.5〜4.0%の1種または2種
以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からな
り、CrとCの配合比 Cr/Cが6.0以上である第1発明
に記載の高耐食高耐摩耗性工具部品材料である。そして
第8発明は、合金の組成が重量%で、C 2.0〜3.5%、S
i 2.0%以下、Mn 2.0%以下、Cr 15.0〜30.0%、Nb 0.3
〜6.0%、V 0.5〜10.0%、WとMoの1種または2種を1/
2W+Moで0.5〜5.0%、これにNi 2.0%以下、Co 8.0%
を越え20.0%以下、およびCu 0.5〜4.0%の1種または2
種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からな
り、CrとCの配合比 Cr/Cが6.0以上である第1発明
に記載の高耐食高耐摩耗性工具部品材料である。
【0012】本発明は、前述のごとく多量の高硬度の炭
化物が存在する母材中にさらに、窒化物、炭化物または
炭窒化物の1種または2種以上からなる硬質粒子を均一
に分散させることにより、ICモールド樹脂中に含有す
るSiO2粒子や、エンジニアリングプラスチックを強化
する目的で適宜添加されているガラス繊維などの摩耗作
用に対して、優れた耐摩耗性を有するものである。ま
た、本発明材料は、Cr含有量を増大させるとともに、
さらにCrとCの配合比を調整することにより、本願発
明のベースとなった従来の工具部品材料以上の耐食性も
付与した。よって本発明材料を高耐食、高耐摩耗工具部
品材料として用いた場合、長期間の使用に耐え得ること
が可能である。
【0013】
【作用】次に本発明材料の成分限定理由を詳細に説明す
る。Cは、Cr,W,Mo,V等と結合し、硬質炭化物を
形成して、さらに添加するTi,V,Zr,Nb,Hf,Taの
窒化物、炭化物または炭窒化物と炭素を含む硬質の複合
化合物を形成し、本発明材料の特徴であるすぐれた耐摩
耗性を付与するための重要な元素である。しかし、2.0%
未満では上記効果を十分に発揮できず、また、3.50%を
越えると靭性が低下するのでCは 2.0〜3.50%とする。
【0014】Siは、本発明材料の低温域での焼もどし
における焼もどし硬さを高め、また用途により耐酸化性
を一層高めるために添加される。多すぎると靭性を低下
させるので2.0%以下とする。Mnは、脱酸剤として用い
られ、同時に焼入性を高める効果がある。多すぎると焼
入時に安定な残留オーステナイト量を増大させ、また被
切削性を低下させるので2.0%以下とする。
【0015】Crは、Cと結合して硬質炭化物を形成
し、耐摩耗性を向上させ、一部は基地に固溶して耐食性
を向上させる極めて重要な元素である。30.0%を越える
とC量との関係により、焼入焼もどしにおける最高硬さ
が低下し、また靭性も低下する。 15.0%以下とすると
上記添加の効果が得られないので15.0%以上30.0%以下と
する。なお、本発明の材料は、高い耐食性を有する点で
大きな特徴があり、前記硬質炭化物を形成させると同時
に基地中のCr濃度を高める必要がある。そのためにC
と結合してなお余剰のCrが必要であり、CrとCの配合
比 Cr/Cを最低6.0に限定する。
【0016】WおよびMoは、Cと結合して炭化物を形
成して、主に焼入焼もどし硬さの上昇に効果がある。0.
5%未満では上記添加の効果がなく、5.0%を越えると焼な
ましにおける硬さの低下が困難となり、被加工性が悪く
なるので1/2W+Moで0.5〜5.0%とする。
【0017】NbはCと結合してMC型の硬質炭化物を
形成し、耐摩耗性を向上させるだけでなく、耐食性を高
める二次的効果を有する重要な元素である。すなわち、
Nbは他の炭化物生成元素よりCとの結合力が大きく、
MC炭化物を優先的に生成するため、特にCr炭化物の
生成が抑制され、その分基地中のCr濃度が高くなり耐
食性が向上する。Nbが0.3%未満では上記の効果が少な
く、逆に6.0%を越えると粗大なMC炭化物を生成して靭
性が低下するためNbは0.3〜0.6%とする。
【0018】Vは、Cと結合して本発明材料の基質中に
MC型の硬質炭化物を形成し、これ自身も耐摩耗性を向
上させるが、さらに基質中に添加するTi,V,Zr,Nb,
Hf,Taの窒化物、炭化物または炭窒化物と反応するこ
とにより、焼結時の結合性を増大させる元素である。多
すぎるとCとのバランスおよび他の炭化物形成元素W,
Mo,Cr,Nbとの配合比により、焼入性を低下させるの
で10.0%以下とする。また、0.5%未満では、上記添加の
効果が得られないので0.5%以上10.0%以下とする。
【0019】Coは基地中に固溶して本発明材料の耐食
性を向上させる。8.0%以下では上記添加の効果が十分得
られず、20.0%を越えると靭性の低下が見られるので8.0
%を越え20.0%以下とする。Niは、Crを15%以上含む鋼
の不動態化電流の山を低くする作用があり、本発明材料
を不動態化し易くする作用がある。特にNiは還元性の
酸であるH2SO4やHClに対して耐食性を向上させる
元素である。2.0%を越えると焼なまし時の硬さが低下せ
ず、被切削性に悪影響を及ぼすので2.0%以下とする。C
uは、耐食性を良好にする元素であるが、4.0%をを越え
ると靭性が低下し、また0.5%未満では上記添加の効果が
得られないので0.5%以上4.0%以下とする。
【0020】Ti,V,Zr,Nb,Hf,Taの窒化物、炭化
物または炭窒化物の1種または2種以上を基質中に均一
に分散せしめることにより、基質中のその他の硬質炭化
物(Cr炭化物など)とあいまって、極めて良好な耐摩耗
性を示す。しかし、12.0%を越えると基質との結合性に
問題があり、靭性が著しく低下する。また、2.0%未満で
は上記添加の効果が得られないので2.0%以上12.0%以下
とする。
【0021】
【実施例】次に実施例と図面に基づいて、本発明をさら
に詳細に説明する。表1に示す本発明材料であるA〜Q
までの組成の粉末をアトマイズ装置により製造した。こ
の粉末をさらに粉砕して250mesh以下に分級した後、Ti
N,TiC,ZrCN,VC,NbC,HfC,TaC等の
硬質粒子の粉末を表1に示す割合で混合した。さらに、
上記粉末の酸素含有量と等量の炭素粉末を添加し、混合
して乾燥後、冷間静水圧プレスで成形した。この成形体
を真空中で焼結したのち、熱間静水圧プレスで真密度化
させた。このようにして得られた試料を焼なましを行な
った後、試験片に加工してHRC64狙いで焼入焼もどしを
施し、この試験片を用いてスラリー摩耗試験および各種
酸への浸漬腐食試験を行なった。また、特開昭63-16935
8号に記載の材料を比較鋼R、特開昭62-124259号に記載
の工具鋼を比較鋼S、およびSKD11を従来鋼Tとして同
時にテストした。さらに、表1に耐食性の目安となるC
r/Cの値を同時に記載した。
【0022】
【表1】
【0023】スラリー摩耗試験は、図1に示す要領で、
SiO2:1000ccとH2O:700ccを混合したスラリー中
で、5mmT×10mmW×20mmLの試験片を治具に設置して、80
0rpmの回転数で8hr回転させて摩耗させたときの摩耗減
量を測定し、その結果を表2に示す。また、表2には同
時に各々の試験片の硬さを併記した。本発明材料は、硬
質の炭化物とさらに添加したTiN等の硬質粒子とがあ
いまって、比較鋼R,Sおよび従来鋼Tと比較して、摩
耗減量が大幅に減少しており、優れた耐摩耗性を示して
いる。なかでもCr炭化物が多く、しかも基質に10%程度
TiN等を添加した試料G,試料K,試料Mおよび試料
Pの耐摩耗性が良好であるという結果が得られた。また
表2に、10%H2SO4,10%HCl,10% HNO3の各種酸溶
液に各々の試験片を同じ条件で浸漬し、そのときの腐食
減量を従来鋼Tを100として、腐食減量比として指数で
表した。
【0024】
【表2】
【0025】本発明材料は、多量のCrを含有させるこ
とにより、比較鋼R,Sと比較して耐食性が大幅に向上
していることがわかる。しかし、単にCr量を増大させ
ても炭化物を形成してしまえば、耐食性の向上には効果
はなく、基地中の有効Cr量により耐食性は左右され
る。よって、実施例においてもCr/C値が高くなれば、
酸化性の酸である10%HNO3に対する腐食減量比は小さ
くなっている。10%H2SO4,10%HClに対する耐食性は
Cr/Cを上げただけでは効果は少なく、W,Mo,Co,N
i,Cuを合わせて添加することにより、大幅な改善がな
されている。WおよびMoはCと結合して炭化物を形成
し、これによって基地中のCr量が増加し、よって耐食
性が良好となる。
【0026】また、Moは基地に固溶した場合において
も、Crが形成する不動態被膜を強固にする働きがあ
る。Co,Niも基地に固溶したMoと同様な働きがあり、
10%H2SO4および10%HClに対する耐食性を向上させ
る。Cuの場合は、HClに対する耐食性を向上させる
が、一方で耐H2SO4に対しては耐食性を悪くする結果
を得ているので、用途によりCuの添加は注意が必要で
ある。
【0027】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の工具部品材
料は耐食性と耐摩耗性を兼ね備えた材料で、特に摩耗作
用に対して、大なる抵抗力を示すよう改善したものであ
る。したがって本発明は、プラスチック成形時に発生す
るガスによる腐食作用に対する耐食性はもちろん、近年
増大してきたエンジニアリングプラスチックに強化材と
して、添加されているガラス繊維やフィラーによる摩耗
作用に対する耐摩耗性を十分に有し、ICモールド用金
型、エンジニアリングプラスチック成形用金型、プラス
チック成形用部品などの工具および部品として用いた場
合、大幅な長寿命が達成できる工具部品材料である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、スラリー摩耗試験方法を示す概念図で
ある。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C 2.0〜3.5%、Si 2.0%以
    下、Mn 2.0%以下、Cr 15.0〜30.0%、Nb 0.3〜6.0%、
    残部Feおよび不可避的不純物からなり、CrとCの配合
    比 Cr/Cが6.0以上である合金にTi,V,Zr,Nb,Hf,
    Taの窒化物、炭化物または炭窒化物の1種または2種
    以上からなる硬質粒子を合計で2〜12%、均一に分散せし
    めたことを特徴とする高耐食高耐摩耗性工具部品材料。
  2. 【請求項2】 重量%で、C 2.0〜3.5%、Si 2.0%以
    下、Mn 2.0%以下、Cr 15.0〜30.0%、Nb 0.3〜6.0%、
    V 0.5〜10.0%、残部Feおよび不可避的不純物からな
    り、CrとCの配合比 Cr/Cが6.0以上である合金にT
    i,V,Zr,Nb,Hf,Taの窒化物、炭化物または炭窒化物
    の1種または2種以上からなる硬質粒子を合計で2〜12
    %、均一に分散せしめたことを特徴とする高耐食高耐摩
    耗性工具部品材料。
  3. 【請求項3】 重量%で、C 2.0〜3.5%、Si 2.0%以
    下、Mn 2.0%以下、Cr 15.0〜30.0%、Nb 0.3〜6.0%、
    WとMoの1種または2種を1/2W+Moで0.5〜5.0%、残
    部Feおよび不可避的不純物からなり、CrとCの配合比
    Cr/Cが6.0以上である合金にTi,V,Zr,Nb,Hf,T
    aの窒化物、炭化物または炭窒化物の1種または2種以
    上からなる硬質粒子を合計で2〜12%、均一に分散せしめ
    たことを特徴とする高耐食高耐摩耗性工具部品材料。
  4. 【請求項4】 重量%で、C 2.0〜3.5%、Si 2.0%以
    下、Mn 2.0%以下、Cr 15.0〜30.0%、Nb 0.3〜6.0%、
    V 0.5〜10.0%、WとMoの1種または2種を1/2W+Mo
    で0.5〜5.0%、残部Feおよび不可避的不純物からなり、
    CrとCの配合比 Cr/Cが6.0以上である合金にTi,
    V,Zr,Nb,Hf,Taの窒化物、炭化物または炭窒化物
    の1種または2種以上からなる硬質粒子を合計で2〜12
    %、均一に分散せしめたことを特徴とする高耐食高耐摩
    耗性工具部品材料。
  5. 【請求項5】 重量%で、C 2.0〜3.5%、Si 2.0%以
    下、Mn 2.0%以下、Cr 15.0〜30.0%、Nb 0.3〜6.0%、
    これにNi 2.0%以下、Co 8.0%を越え20.0%以下、およ
    びCu 0.5〜4.0%の1種または2種以上を含有し、残部
    Feおよび不可避的不純物からなり、CrとCの配合比
    Cr/Cが6.0以上である合金にTi,V,Zr,Nb,Hf,Ta
    の窒化物、炭化物または炭窒化物の1種または2種以上
    からなる硬質粒子を合計で2〜12%、均一に分散せしめた
    ことを特徴とする高耐食高耐摩耗性工具部品材料。
  6. 【請求項6】 重量%で、C 2.0〜3.5%、Si 2.0%以
    下、Mn 2.0%以下、Cr 15.0〜30.0%、Nb 0.3〜6.0%、
    V 0.5〜10.0%、これにNi 2.0%以下、Co 8.0%を越え2
    0.0%以下、およびCu0.5〜4.0%の1種または2種以上を
    含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、Crと
    Cの配合比 Cr/Cが6.0以上である合金にTi,V,Zr,
    Nb,Hf,Taの窒化物、炭化物または炭窒化物の1種ま
    たは2種以上からなる硬質粒子を合計で2〜12%、均一に
    分散せしめたことを特徴とする高耐食高耐摩耗性工具部
    品材料。
  7. 【請求項7】 重量%で、C 2.0〜3.5%、Si 2.0%以
    下、Mn 2.0%以下、Cr 15.0〜30.0%、Nb 0.3〜6.0%、
    WとMoの1種または2種を1/2W+Moで0.5〜5.0%、こ
    れにNi 2.0%以下、Co 8.0%を越え20.0%以下、および
    Cu 0.5〜4.0%の1種または2種以上を含有し、残部Fe
    および不可避的不純物からなり、CrとCの配合比 Cr/
    Cが6.0以上である合金にTi,V,Zr,Nb,Hf,Taの窒
    化物、炭化物または炭窒化物の1種または2種以上から
    なる硬質粒子を合計で2〜12%、均一に分散せしめたこと
    を特徴とする高耐食高耐摩耗性工具部品材料。
  8. 【請求項8】 重量%で、C 2.0〜3.5%、Si 2.0%以
    下、Mn 2.0%以下、Cr 15.0〜30.0%、Nb 0.3〜6.0%、
    V 0.5〜10.0%、WとMoの1種または2種を1/2W+Mo
    で0.5〜5.0%、これにNi 2.0%以下、Co 8.0%を越え20.
    0%以下、およびCu 0.5〜4.0%の1種または2種以上を
    含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、Crと
    Cの配合比 Cr/Cが6.0以上である合金にTi,V,Zr,
    Nb,Hf,Taの窒化物、炭化物または炭窒化物の1種ま
    たは2種以上からなる硬質粒子を合計で2〜12%、均一に
    分散せしめたことを特徴とする高耐食高耐摩耗性工具部
    品材料。
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