JPH058530A

JPH058530A - 被記録材

Info

Publication number: JPH058530A
Application number: JP18920691A
Authority: JP
Inventors: Nobuyuki Yokota; 信行横田; Katsutoshi Sumita; 勝俊簾田
Original assignee: Asahi Glass Co Ltd
Current assignee: AGC Inc
Priority date: 1991-07-03
Filing date: 1991-07-03
Publication date: 1993-01-19

Abstract

(57)【要約】【目的】静電転写方式のトナー吸着性が良好で、この方
式に適した表面電気抵抗率、摩擦係数などの物性が容易
に得られ、かつオイルの吸収性が良好であるため、べた
つき感のまったくない高品位な画像を得る。【構成】基材上に、熱軟化性樹脂および帯電防止剤を担
持した多孔質アルミナ水和物層を有する被記録材。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、被記録材、特に静電転
写方式電子写真用に好適な被記録材に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】近年、複写機の普及が進み、オフィスは
もちろん家庭にも設置されるようになっている。これら
複写機としては、電子写真方式が主流であるが、特に普
通紙が使用可能という観点から、帯電した感光体上にト
ナーの像を現像し、さらに紙やフィルムに転写する静電
転写方式が主流となっている。この方式では、画像とし
て被記録材に転着したトナーは、加熱ローラーにより圧
着して定着される。

【０００３】最近は、像を形成する手段としてレーザー
光が用いられるなど、一段と高速化、高精度化、小型化
が図られ、複写機としてのみならずコンピュータの端末
として（レーザープリンタ）も採用されている。さらに
カラー化も実用段階となっている。また、原稿を一度イ
メージスキャナで取り込んで電子情報に変換し、デジタ
ル画像処理を行う、デジタル複写機も知られている。

【０００４】一方で、近年、会議等でスライドに代わり
オーバーヘッドプロジェクター（以下ＯＨＰという。）
が使用される機会が増えている。多くの場合これに用い
られるＯＨＰフィルムは、ワープロなどで作成した原稿
をポリエステル等の透明フィルムに前述の電子写真複写
機によってコピーしたものが用いられている。本発明者
らは、透明な基材上に、アルミナ水和物からなる吸収層
を設けた被記録材がこのような目的に好適であることを
見いだし、特開平２−２７６６７０号などとして提案し
た。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】静電転写方式電子写真
の場合、被記録材は、トナーを良好に吸着する必要があ
る。また、適正な表面電気抵抗率が必要であり、装置内
部での搬送の点で安定した摩擦係数が必要である。さら
に、加熱ローラーと被記録材との剥離を容易にするため
のオイルを、適当に吸収できることが必要である。

【０００６】本発明は、トナー吸着性が良好で、適正な
表面電気抵抗率、摩擦係数を有し、オイルの吸収性のあ
る、被記録材を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、基材上に、熱
軟化性樹脂および帯電防止剤を担持した多孔質アルミナ
水和物層を有する被記録材を提供するものである。

【０００８】本発明において、基材としては特に限定さ
れず、種々のものを使用することができる。具体的に
は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルジアセ
テート等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹
脂、ＥＴＦＥ等のフッ素系樹脂など種々のプラスチック
または紙類を好ましく使用することができる。また、ア
ルミナ水和物層の接着強度を向上させる目的で、コロナ
放電処理やアンダーコート等を行うこともできる。

【０００９】アルミナ水和物としては、静電方式電子写
真に求められる表面電気抵抗率の適性範囲（10⁸ 〜10¹³
Ω／□）を得やすい点や、トナーの接着強度が高くなる
点、オイルの吸収性が良好である点、筆記や着色に用い
るインクをよく吸収、定着することなどから、擬ベーマ
イト（AlO(OH) ）が好ましい。多孔質アルミナ水和物層
は、その細孔構造が実質的に半径が10〜100 Åの細孔か
らなり、細孔容積が0.3 〜1.0cc/g である場合は、十分
な吸収性を有しかつ透明性もあるので好ましい。このと
き、基材が透明であれば、被記録材も透明なものが得ら
れる。基材が不透明である場合には、基材の質感を損な
わずに電子写真に必要とされる物性を付与することが可
能である。

【００１０】望ましくは、これらの物性に加え、アルミ
ナ水和物層の平均細孔半径が、15〜50Åでありその平均
細孔半径の±10Åの半径を有する細孔の容積が全細孔容
積の45％以上である場合は、特に定着性と透明性の両立
の観点から好ましい。平均細孔径が、15〜30Åでありそ
の平均細孔半径の±10Åの半径を有する細孔の容積が全
細孔容積の55％以上である場合はさらに好ましい。な
お、本発明における細孔半径分布の測定は、窒素吸脱着
法による。

【００１１】アルミナ水和物層の厚さは、各コピー機や
プリンター等の仕様によって適宜選択されるが、一般に
は0.5 〜20μｍを採用するのが好ましい。アルミナ水和
物層の厚さが0.5 μｍに満たない場合は本発明の効果が
発現し難く、20μｍを超える場合は、透明性が損なわれ
たりアルミナ水和物層の強度が低下したり、あるいはオ
イルを吸収し過ぎて被記録材が加熱ローラー等にからま
る恐れがあるので好ましくない。

【００１２】本発明においては、この多孔質アルミナ水
和物層に熱軟化性樹脂が担持される。このため、被記録
材と静電転写方式電子写真に用いられるトナーとの濡れ
性が向上し、均質な画像が得られる。熱軟化性樹脂とし
ては、具体的にはスチレン−アクリロニトリル共重合
体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエステル、塩
化ビニル−酢酸ビニル共重合体等が用いられる。

【００１３】熱軟化性樹脂は、アルミナ水和物に対し
て、０．０５〜５重量％使用するのが好ましい。熱軟化
性樹脂の使用量が０．０５重量％に満たない場合は、ト
ナーとの濡れ性が十分向上せず、均質で光沢のある画像
が得られないおそれがあるので好ましくない。熱軟化性
樹脂の使用量が５重量％を超える場合は、アルミナ水和
物層の吸収性が損なわれるおそれがあるので好ましくな
い。熱軟化性樹脂のより好ましい使用量は、０．１〜２
重量％である。

【００１４】アルミナ水和物層に、熱軟化性樹脂を担持
させる方法は、特に限定されないがたとえば、熱軟化性
樹脂を、溶媒に溶解させこれをアルミナ水和物層に含浸
させた後溶媒を取り除く方法が好ましく用いられる。こ
のときの溶媒は、特に限定されないが、トルエン、キシ
レン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、エチルセ
ロソルブ等が好ましく用いられる。この溶液の濃度は、
特に限定されず適宜選択できるが、０．１〜１重量％程
度が好ましい。

【００１５】あるいは、熱軟化性樹脂を溶融させ、これ
をアルミナ水和物層に塗布する方法も用いることができ
る。

【００１６】アルミナ水和物層上に、熱軟化性樹脂を担
持させた場合、表面抵抗率が大きくなり、静電転写方式
に適さなくなるので、導電性を付与するために、帯電防
止剤を配合する必要がある。帯電防止剤としては、特に
限定されず、樹脂用の公知の帯電防止剤を使用すること
ができる。たとえば、ポリオキシエチレンアルキルエー
テル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシ
エチレンアルキルリン酸エステル、アルキルリン酸塩、
アルキルリン酸エステル塩、ベンジルアンモニウム塩等
が使用できる。

【００１７】上記帯電防止剤は、熱軟化性樹脂に対し
て、１〜５０重量％使用するのが好ましい。帯電防止剤
は、熱軟化性樹脂と同時に担持させることもできるし、
熱軟化性樹脂を担持させた後で、別に担持させても良
い。この場合は、適当な溶媒に溶解して、塗布した後、
溶媒を除去する方法が好ましく用いられる。

【００１８】基材上にアルミナ水和物層を設ける手段
は、例えば、アルミナ水和物にバインダーを加えてスラ
リー状とし、ロールコーター、エアナイフコーター、ブ
レードコーター、ロッドコーター、バーコーター、コン
マコーターなどを用いて塗布し、乾燥する方法を採用す
ることができる。

【００１９】アルミナ水和物としては、ゾル状のベーマ
イトを用いると容易に平滑な層が得られるので好まし
い。

【００２０】バインダーとしては、でんぷんやその変性
物、ポリビニルアルコールおよびその変性物、ＳＢＲラ
テックス、ＮＢＲラテックス、カルボキシメチルセルロ
ース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリ
ドン等の有機物を用いることができる。バインダーの使
用量は、アルミナ水和物の５〜50重量％程度を採用する
のが好ましい。バインダーの使用量が、５重量％未満の
場合は、アルミナ水和物層の強度が不十分になるおそれ
があり、逆に50重量％未満を超える場合は、色素の吸着
性が不十分になるおそれがあるのでそれぞれ好ましくな
い。

【００２１】

【実施例】

［実施例１］容量2000ccのガラス製反応器に、水900gと
イソプロピルアルコール676gを仕込み、マントルヒータ
ーにより液温を75℃に加熱した。撹拌しながらアルミニ
ウムイソプロポキシド306gを添加し、液温を75〜78℃に
保持しながら５時間加水分解を行った。その後95℃に昇
温し、酢酸9gを添加して48時間、75〜78℃に保持して解
膠した。さらにこの液を、900gになるまで濃縮して、白
色のゾルを得た。このゾルの乾燥物は擬ベーマイトであ
った。またこの平均細孔半径は27Åで、その平均細孔半
径の±10Åの範囲の半径を有する細孔の容積の全細孔に
対する割合は76％であった。

【００２２】このアルミナゾル５重量部にポリビニール
アルコール１重量部を加え、さらに水を加えて固形分約
10％のスラリーを調整した。このスラリーを、コロナ放
電処理を施したポリエチレンテレフタレート（厚さ100
μｍ）からなるシート基材の上に、バーコーターを用い
て乾燥時の層厚が10μｍになるように塗布、乾燥し、被
記録材を得た。

【００２３】この被記録材に、スチレン−アクリロニト
リル共重合体１０重量部とポリオキシエチレンアルキル
エーテル１重量部の混合物を、固形分濃度０．５重量％
のエチルセロソルブ溶液にして、塗布した。塗布量は、
アルミナ水和物に対して固形分で０．５重量％であっ
た。その後、風乾して被記録材を得た。

【００２４】この被記録材について、ヘイズ、表面電気
抵抗率を測定した。また、静電転写方式電子写真デジタ
ル複写機で赤ベタ塗り印字をして色濃度の評価を行っ
た。なおデジタル複写機は、キャノン社製フルカラー複
写機ピクセルＤＩＯを用いた。この被記録材の余白部
は、複写機の潤滑オイルを１秒以内に吸収し、黄ベタ塗
り印字部でも５秒で完全にオイルを吸収した。

【００２５】［比較例１］実施例１で用いた基材につい
て、実施例１と同様に、ヘイズ、表面電気抵抗率の測
定、デジタル複写機を用いて印字評価を行った。結果を
表１に示す。この基材は、複写機の潤滑オイルを全く吸
収せず、定着性も悪かった。

【００２６】［比較例２］市販のデジタル複写機用記録
材について、実施例１と同様に、ヘイズ、表面電気抵抗
率の測定、デジタル複写機を用いて印字評価を行った。
結果を表１に示す。この記録材は、複写機の潤滑オイル
を全く吸収しなかった。

【００２７】

【表１】

【００２８】

【発明の効果】本発明の被記録材は、静電転写方式のト
ナー吸着性が良好で、この方式に適した表面電気抵抗
率、摩擦係数などの物性が容易に得られ、かつオイルの
吸収性が良好であるため、べたつき感のまったくない高
品位な画像を得ることができるという利点がある。基材
に透明性の材料を用いた場合は、透明性に優れた電子写
真記録が可能となる。さらに吸収性が付与されることに
よって、水性インク、油性インクを問わず筆記、着色が
可能となる。

【００２９】本発明は、特に静電転写方式の電子写真に
おいて有用であり、複写機以外にも光源や使用目的の異
なる類似の機器に好ましく用いられる。例えば、ＰＰ
Ｃ、レーザーコピー、レーザービームコピー、レーザー
プリンター、レーザービームプリンター、液晶プリンタ
ーなどと呼ばれるものも実質的には本発明における静電
転写方式電子写真に含まれるものである。さらに最近で
はカラー化も行われているが基本的な原理はモノカラー
と同様であり、本発明の記録シートが好ましく用いられ
る。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】基材上に、熱軟化性樹脂および帯電防止剤
を担持した多孔質アルミナ水和物層を有する被記録材。
【請求項２】アルミナ水和物が擬ベーマイトである請求
項１の被記録材。
【請求項３】アルミナ水和物が、アルミナゾルを塗布乾
燥して得られたものである請求項１または請求項２の被
記録材。