JPH06183127A

JPH06183127A - 被記録材

Info

Publication number: JPH06183127A
Application number: JP35604192A
Authority: JP
Inventors: Katsutoshi Sumita; 勝俊簾田; Nobuyuki Yokota; 信行横田
Original assignee: Asahi Glass Co Ltd
Current assignee: AGC Inc
Priority date: 1992-12-18
Filing date: 1992-12-18
Publication date: 1994-07-05

Abstract

(57)【要約】【目的】トナー吸着性が良好で、適正な表面電気抵抗
率、摩擦係数を有し、オイルの吸収性のある、静電転写
方式に好適な被記録材を得る。【構成】基材上に、塩化アルミニウムまたはポリ塩化ア
ルミニウムとポリビニルアルコールとの混合物である導
電性を付与した高分子層を有し、その上層に多孔質アル
ミナ水和物層を有する被記録材。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、被記録材、特に静電転
写方式に適した被記録材に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、複写機の普及が進み、オフィスは
もちろん家庭にも設置されるようになっている。これら
複写機としては、電子写真方式が主流であるが、特に普
通紙が使用可能という観点から、帯電した感光体上にト
ナーの像を現像し、さらに紙やフィルムに転写する静電
転写方式が主流となっている。この方式では、画像とし
て被記録材に転着したトナーは、加熱ローラーにより圧
着して定着される。

【０００３】最近は、像を形成する手段としてレーザー
光が用いられるなど、一段と高速化、高精度化、小型化
が図られ、複写機としてのみならずコンピュータの端末
として（レーザープリンタ）も採用されている。さらに
カラー化も実用段階となっている。また、原稿を一度イ
メージスキャナで取り込んで電子情報に変換し、デジタ
ル画像処理を行う、デジタル複写機も知られている。

【０００４】一方で、近年、会議等でスライドに代わり
オーバーヘッドプロジェクター（以下ＯＨＰという。）
が使用される機会が増えている。多くの場合これに用い
られるＯＨＰフィルムは、ワープロなどで作成した原稿
をポリエステル等の透明フィルムに前述の電子写真複写
機によってコピーしたものが用いられている。本発明者
らは、透明な基材上に、アルミナ水和物からなる吸収層
を設けた被記録材がこのような目的に好適であることを
見いだし、特開平２−２７６６７０号などとして提案し
た。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】静電転写方式電子写真
の場合、被記録材は、トナーを良好に吸着する必要があ
る。また、適正な表面電気抵抗率が必要であり、装置内
部での搬送の点で安定した摩擦係数が必要である。さら
に、加熱ローラーと被記録材との剥離を容易にするため
のオイルを、適当に吸収できることが必要である。

【０００６】本発明は、トナー吸着性が良好で、適正な
表面電気抵抗率、摩擦係数を有し、オイルの吸収性のあ
る、被記録材を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、基材上に、導
電性付与剤を含有した高分子層を有し、その上層に多孔
質アルミナ水和物層を有する被記録材を提供するもので
ある。

【０００８】本発明において、導電性付与剤を含有した
高分子層は、被記録材全体の表面抵抗を記録に適した値
に制御する働きを有する。静電転写方式で記録する場合
においては、被記録材の表面抵抗率が１０⁸ 〜１０¹²Ω
／□程度の値をとるように制御するのが好ましい。表面
抵抗率が１０⁸ Ω／□未満の場合は、画像が乱れるおそ
れがあるので好ましくない。逆に、表面抵抗率が１０¹²
Ω／□を超える場合は、本発明の効果が発現せず、トナ
ーが均一に展着しないおそれがあるので好ましくない。

【０００９】アルミナ水和物層を有する被記録材の表面
抵抗率は、アルミナ水和物層の吸着性が他界ので、湿度
の影響により大きく変化する可能性がある。本発明にお
いては、上記高分子層があるため、湿度が低くなった場
合にも表面抵抗率が記録に不適当なほど高くなるおそれ
がない。

【００１０】高分子層の材質としては水溶性高分子が好
ましい。水溶性高分子としては、特に限定されないが、
アクリル、スチレンアクリル樹脂、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルピロリドン、ゼラチン等が好ましく用い
られる。

【００１１】導電性付与剤としては、樹脂系、コロイダ
ルシリカ系、界面活性剤等の公知の高分子用帯電防止剤
が、特に限定されることなく使用できる。

【００１２】また、導電性付与剤として塩類を使用する
こともできる。特に塩化物は適正な導電性を付与できる
ので好ましい。具体的には、塩化アルミニウム、硫酸ア
ルミニウム、ポリ塩化アルミニウムが好ましい。このう
ち、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウムは、水溶
性高分子としてポリビニルアルコールなどを使用した場
合に、塗工性が良好であるので特に好ましい。

【００１３】高分子層の形成方法は、例えば高分子に上
記の導電性付与剤を所定の割合に配合し、溶媒を加えて
適当な濃度の塗工液に調整して、バーコーター等の適当
な塗工装置を用いて塗布し、乾燥するのが好ましい。高
分子層中には、導電性付与剤が１〜５０重量％含有され
るのが好ましい。高分子層の厚さとしては、１〜２０μ
ｍ程度が好ましい。

【００１４】本発明において、基材としては特に限定さ
れず、種々のものを使用することができる。具体的に
は、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹
脂、ポリカーボネート系樹脂、ＥＴＦＥ等のフッ素系樹
脂など種々のプラスチックまたは紙類を好ましく使用す
ることができる。また、コロナ放電処理やアンダーコー
ト等を行うこともできる。

【００１５】本発明では、基材上に上記高分子層を形成
し、さらにその上層にアルミナ水和物層を形成する。ア
ルミナ水和物としては、トナーの接着強度が高くなる
点、オイルの吸収性が良好である点、筆記や着色に用い
るインクをよく吸収、定着することなどから、擬ベーマ
イト（ＡｌＯＯＨ）が好ましい。多孔質アルミナ水和物
層は、その細孔構造が実質的に半径が１０〜１００Åの
細孔からなり、細孔容積が０．３〜１．０ｃｃ／ｇであ
る場合は、十分な吸収性を有しかつ透明性もあるので好
ましい。このとき、基材が透明であれば、被記録材も透
明なものが得られる。基材が不透明である場合には、基
材の質感を損なわずに電子写真に必要とされる物性を付
与することが可能である。

【００１６】望ましくは、これらの物性に加え、アルミ
ナ水和物層の平均細孔半径が、１５〜５０Åでありその
平均細孔半径の±１０Åの半径を有する細孔の容積が全
細孔容積の４５％以上である場合は、特に吸収性と透明
性の両立の観点から好ましい。平均細孔半径が、１５〜
３０Åでありその平均細孔半径の±１０Åの半径を有す
る細孔の容積が全細孔容積の５５％以上である場合はさ
らに好ましい。なお、本発明における細孔半径分布の測
定は、窒素吸脱着法による。

【００１７】アルミナ水和物層の厚さは、各コピー機や
プリンター等の仕様によって適宜選択されるが、一般に
は０．５〜２０μｍを採用するのが好ましい。アルミナ
水和物層の厚さが０．５μｍに満たない場合は本発明の
効果が発現し難く、２０μｍを超える場合は、透明性が
損なわれたりアルミナ水和物層の強度が低下したり、あ
るいはオイルを吸収し過ぎて被記録材が加熱ローラー等
にからまるおそれがあるので好ましくない。

【００１８】アルミナ水和物層は、ゾル状のアルミナを
バインダーと混同した塗工液を、塗布する場合は、容易
に平滑な層が得られるので好ましい。塗工液の塗布方法
は、各種の基材上に、ダイコーター、ロールコーター、
エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコータ
ー、バーコーター、コンマコーターなどを用いて塗布す
るのが好ましい。

【００１９】バインダーとしては、でんぷんやその変性
物、ポリビニルアルコールおよびその変性物、ＳＢＲラ
テックス、ＮＢＲラテックス、カルボキシメチルセルロ
ース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリ
ドン等の有機物を用いることができる。バインダーの使
用量は、アルミナ水和物の５〜５０重量％程度を採用す
るのが好ましい。バインダーの使用量が、５重量％未満
の場合は、アルミナ水和物層の強度が不十分になるおそ
れがあり、逆に５０重量％未満を超える場合は、色素の
吸着性が不十分になるおそれがあるのでそれぞれ好まし
くない。

【００２０】

【実施例】

実施例１ポリビニルアルコール３重量部にポリ塩化アルミニウム
１重量部を加えて、固形分として、５重量％になるよう
に水を加える。この溶液を、コロナ放電処理を施した、
ポリエチレンテレフタレート（厚さ１００μｍ）基材上
にバーコーターを用いて、塗工量が１．５ｇ／ｍ² にな
るように塗工し、乾燥した。

【００２１】またアルミナゾルを次のようにして作製し
た。容量２０００ｃｃのガラス製反応器に、水７２０ｇ
とイソプロパノール６７６ｇを仕込、マントルヒーター
により液温を７５℃に加熱した。撹拌しながら、アルミ
ニウムイソプロポキシド３０６ｇを添加し、液温を７５
〜７８℃に保持しながら、５時間加水分解を行った。そ
のあと、９５℃に昇温し酢酸９ｇを添加して、４８時間
７５〜７８℃に保持して解膠した。さらにこの液を９０
０ｇになるまで濃縮し、白色のゾルを得た。このゾルの
乾燥物は、擬ベーマイトであった。また、この平均細孔
半径は５０Åであった。

【００２２】このアルミナゾル５重量部に、ポリビニル
アルコール１重量部を加え、さらに水を加えて、固形分
１０重量％のアルミナゾル塗工液を調整した。このアル
ミナゾル塗工液を先の高分子層上に、バーコーターを用
いて塗工量が、２ｇ／ｍ² になるように塗布し乾燥し
た。

【００２３】この結果、基材上にポリビニルアルコール
とポリ塩化アルミニウムの混合物の層を有し、さらにそ
の上に平均細孔半径５０Åの擬ベーマイト層が積層され
た被記録材が得られた。この被記録材の表面抵抗率は、
温度２５℃相対湿度６０％の雰囲気下で２時間保持した
後で測定したところ、９．５×１０⁸ Ω／□であった。

【００２４】実施例２実施例１のポリビニルアルコール／ポリ塩化アルミニウ
ム層に代えて、スチレンアクリル樹脂（ジョンソンワッ
クス社製：Ｊ６２）４重量部とアクリル樹脂系帯電防止
剤（日本乳化剤社製：ＲＳ２８５）１重量部に水を加え
て、固形分として１０重量％に調整した溶液を用い、塗
工量が１．５ｇ／ｍ² になるように塗工した以外は、実
施例１と同様な方法で塗布を行い被記録材を得た。この
被記録材の表面抵抗率は、温度２５℃相対湿度６０％の
雰囲気下で２時間保持した後で測定したところ、３×１
０⁹ Ω／□であった。

【００２５】比較例実施例１で用いたポリエチレンテレフタレート（厚さ１
００μｍ）基材に直接実施例１のアルミナゾル塗工液
を、塗工量が２ｇ／ｍ² になるように塗布し乾燥し被記
録材を得た。この被記録材の表面抵抗率は、温度２５℃
相対湿度６０％の雰囲気下で２時間保持した後で測定し
たところ、８．５×１０¹¹Ω／□であった。

【００２６】

【発明の効果】本発明の被記録材は、静電転写方式の被
記録材として使用した場合、この方式に適した表面電気
抵抗率を有し、トナー吸着性が良好である。さらに、転
写ロールなどに付着するオイルを吸収することができる
ので、べたつき感のまったくない高品位な画像を得るこ
とができる。さらに、摩擦係数も適正である。基材に透
明性の材料を用いた場合は、透明性に優れた電子写真記
録が可能となる。また、吸収性が付与されているので、
水性インク、油性インクを問わず筆記、着色が可能とな
る。

【００２７】本発明の被記録材は、特に静電転写方式の
電子写真において有用であり、複写機以外にも光源や使
用目的の異なる類似の機器に好ましく用いられる。例え
ば、ＰＰＣ、レーザーコピー、レーザービームコピー、
レーザープリンター、レーザービームプリンター、液晶
プリンターなどと呼ばれるものも実質的には本発明にお
ける静電転写方式電子写真に含まれるものである。さら
に最近ではカラー化も行われているが基本的な原理はモ
ノカラーと同様であり、本発明の被記録材が好ましく用
いられる。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】基材上に、導電性付与剤を含有した高分子
層を有し、その上層に多孔質アルミナ水和物層を有する
被記録材。
【請求項２】導電性付与剤を含有した高分子層が、塩化
アルミニウムまたはポリ塩化アルミニウムとポリビニル
アルコールとの混合物である請求項１の被記録材。
【請求項３】アルミナ水和物が擬ベーマイトである請求
項１または請求項２の被記録材。