JPH0584080U - 相対的に回転する二部材間の伝送装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 相対的に回転可能な内側ケース２と外側ケー
ス３内に、途中に巻き方向反転部５を有するフラットケ
ーブル４を収納した二部材間の伝送装置において、フラ
ットケーブルの巻き方向反転部５を挟むようにガイドロ
ール７、８を設け、内側ケース２と外側ケース３との相
対的な回転によって遊星運動を行わせる。 【効果】 内側ケースと外側ケースを相対的に回転させ
たときに、フラットケーブルの巻き方向反転部がガイド
ロールと共に確実に移動するので、フラットケーブルに
たるみが発生することがなくなり、フラットケーブルの
もつれにより回転不能に陥るトラブルをなくすことがで
きる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、相対的に回転する二部材間で電気信号、光信号などを伝送するのに 用いられる相対的に回転する二部材間の伝送装置に関するものである。

【０００２】

【従来技術】

図３に従来の相対的に回転する二部材間の伝送装置を示す。この伝送装置１は 、同軸配置された内側ケース２と外側ケース３とが相対的に回転可能になってお り、かつ前記内側ケース２と外側ケース３で形成される空間内に、長手方向の途 中で巻き方向が反転されたゼンマイ巻き状のフラットケーブル４を収納した構造 である。フラットケーブル４の内端部４ａは内側ケース２に固定され、外端部４ ｂは外側ケース３に固定されている。

【０００３】 この相対的に回転する二部材間の伝送装置は摺動接続部がないため信頼性の高 い伝送線路を構成できる利点がある。 また長手方向の途中で巻き方向を反転したフラットケーブル４を使用すると、 単にフラットケーブル４を一方向にゼンマイ状に巻いたものに比べ、同じ相対回 転数を得るのに必要なフラットケーブルの長さを短くできる利点がある。

【０００４】 次にこの装置の動作を説明する。まず、図３の状態から外側ケース３を静止さ せたまま内側ケース２を矢印Ａ方向に回転させる場合は次のようになる。 内側ケース２を矢印Ａ方向に回転させると、フラットケーブル４が内側ケース ２に巻き取られるので、それに伴って、フラットケーブル４の反転部５が矢印Ｂ 方向に移動し、外側ケース３の内側に巻かれていたフラットケーブル４が順次、 巻き方向反転部５を通過して、内側ケース２に巻かれているフラットケーブルの 外周面４ａ上に巻き重ねられる。 このようにして内側ケース２は、フラットケーブル４が内側ケース２にほぼ全 部巻き取られるまで、矢印Ａ方向に回転させることが可能である。

【０００５】 また、図３の状態から外側ケース３を静止させたまま内側ケース２を矢印Ｃ方 向に回転させる場合は次のようになる。 内側ケース２を矢印Ｃ方向に回転させると、内側ケース２上のフラットケーブ ル４が巻きほぐされるので、それに伴って、フラットケーブル４の反転部５が矢 印Ｄ方向に移動し、内側ケース２に巻かれていたフラットケーブル４が順次、巻 き方向反転部５を通過して、外側ケース３の内側に巻かれているフラットケーブ ルの内周面４ｂ上に巻き重ねられる。 このようにして内側ケース２は、フラットケーブル４が外側ケース３の内側に ほぼ全部巻き込まれるまで、矢印Ｃ方向に回転させることが可能である。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

上記のように構成された伝送装置は、内側ケース２を矢印Ａ方向に回転させて フラットケーブル４を内側ケース２に巻き取る際は特に問題ないが、内側ケース ２を矢印Ｃ方向に回転させ、フラットケーブル４を内側ケース２から巻きほぐし て外側ケース３の内側に巻き込む際に次のようなトラブルが発生しやすい。

【０００７】 すなわち内側ケース２を矢印Ｃ方向に回転させたとき、巻き方向反転部５がＤ 方向へ移動せずに、内側ケース２に巻かれているフラットケーブル４にたるみが 発生することがあり、このたるみが発生すると、それがフラットケーブル４内の 空間部６（図３参照）に溜まり、ついにはそのたるみが巻き方向反転部５と干渉 をおこして回転不能に陥ってしまうのである。 以上は内側ケースを回転させた場合であるが、内側ケースを固定して外側ケー スを回転させた場合についても同様のトラブルが生じやすい。

【０００８】

【考案の目的】

本考案は上記の問題点に鑑み、内側ケースを回転させて内側ケースからフラッ トケーブルを巻きほぐして外側ケースの内側に巻き込む際、または外側ケースを 回転させて外側ケースからフラットケーブルを巻きほぐして内側ケースに巻き付 ける際に、フラットケーブルがもつれて回転不能に陥ることのない、相対的に回 転する二部材間の伝送装置を提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

この目的を達成するため本考案は、同軸配置された内側ケースと外側ケースと が相対的に回転可能になっており、かつ前記内側ケースと外側ケースとで形成さ れる空間内に、長手方向の途中で巻き方向が反転されたゼンマイ巻き状のフラッ トケーブルを収納してなる相対的に回転する二部材間の伝送装置において、前記 フラットケーブルの巻き方向反転部の少なくとも内側に、内側ケースと外側ケー スとの相対的な回転に伴って遊星運動を行うガイドロールを設けたことを特徴と するものである。

【００１０】

【作用】

上記のようなガイドロールを設けると、内側ケースと外側ケースとを相対的に 回転させた場合、ガイドロールがフラットケーブルの巻き方向反転部と共に移動 する。このため、内側ケースを回転させて内側ケースからフラットケーブルを巻 きほぐして外側ケースの内側に巻き込む際、または外側ケースを回転させて外側 ケースからフラットケーブルを巻きほぐして内側ケースに巻き付ける際に、巻き 方向反転部が確実に移動し、フラットケーブルにたるみが発生しなくなるので、 回転不能に陥ることがなくなる。

【００１１】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面を参照して詳細に説明する。 図１および図２は本考案の一実施例を示す。この伝送装置１も、同軸配置され た内側ケース２と外側ケース３とが相対的に回転可能になっており、かつ前記内 側ケース２と外側ケース３で形成される空間内に、長手方向の途中で巻き方向が 反転されたゼンマイ巻き状のフラットケーブル４を収納し、さらにフラットケー ブル４の内端部４ａを内側ケース２に固定し、外端部４ｂを外側ケース３に固定 した構造を有している点では従来と同じである。

【００１２】 この装置の特徴は、フラットケーブル４の巻き方向反転部５の内側と外側に、 内側ケース２と外側ケース３の相対的な回転に伴って遊星運動を行うガイドロー ル７、８を設けたことである。

【００１３】 ガイドロール７、８の遊星運動は例えば図２のような機構によって行うことが できる。すなわち、９は内側ケース２に固定された太陽歯車、１０は外側ケース ３に固定された内歯歯車、１１は太陽歯車９および内歯歯車１０とかみ合う遊星 歯車、１２は遊星歯車１１の中心軸を回転自在に支持するリングである。前記ガ イドロール７、８の中心軸は、このリング１２に支持されている。

【００１４】 この機構では、例えば内歯歯車１０を固定し、太陽歯車９を回転させると、遊 星歯車１１が太陽歯車９のまわりを自転しつつ公転するので、リング１２が遊星 歯車１１の公転方向に回転し、リング１２に支持された１対のガイドロール７、 ８が遊星運動を行うことになる。

【００１５】 内側ケース２と外側ケース３を相対的に回転させたときのフラットケーブル４ の巻き方向反転部５の運動は、太陽歯車９と内歯歯車１０を相対的に回転させた ときの遊星歯車１１の公転運動とほぼ同期するので、ガイドロール７、８はフラ ットケーブルの巻き方向反転部５と共に移動することになる。したがって図１に おいて外側ケース３を固定して内側ケース２を矢印Ｃ方向へ回転させた場合でも 、また内側ケース２を固定して外側ケース３を矢印Ｅ方向へ回転させた場合でも 、巻き方向反転部５はガイドロール７、８と共に確実に移動するため、フラット ケーブル４にたるみが発生することがなくなる。このためフラットケーブル４が もつれて回転不能に陥ることがなくなる。

【００１６】 なお上記実施例では、２個のガイドロール７、８をリング１２に支持させた構 造を説明したが、いずれか一方のガイドロールは遊星歯車１１の中心軸に支持さ せることもできる。

【００１７】 また上記実施例ではガイドロールをフラットケーブルの巻き方向反転部を挟む ように２個設けた場合を説明したが、ガイドロールはフラットケーブルの巻き方 向反転部の内側に１個だけ設けても（外側のガイドロール８を省略しても）、同 様の効果が得られる。ガイドロールを１個だけ設ける場合は図２におけるリング １２を省略して、ガイドロールを遊星歯車１１の中心軸に支持させる構造にする こともできる。

【００１８】

【考案の効果】

以上説明したように本考案によれば、内側ケースと外側ケースを相対的に回転 させたときに、フラットケーブルの巻き方向反転部がガイドロールと共に確実に 移動するので、フラットケーブルにたるみが発生することがなくなり、フラット ケーブルのもつれにより回転不能に陥るトラブルをなくすことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案の一実施例に係る相対的に回転する二
部材間の伝送装置を示す断面図。

【図２】 図１の装置におけるガイドロールの駆動機構
を示す平面図。

【図３】 従来の相対的に回転する二部材間の伝送装置
を示す断面図。

【符号の説明】

１：相対的に回転する二部材間の伝送装置 ２：内側ケース ３：外側ケース ４：フラットケーブル ５：巻き方向反転部 ７、８：ガイドロール ９：太陽歯車 １０：内歯歯車 １１：遊星歯車 １２：リング

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】同軸配置された内側ケースと外側ケースと
   が相対的に回転可能になっており、かつ前記内側ケース
   と外側ケースとで形成される空間内に、長手方向の途中
   で巻き方向が反転されたゼンマイ巻き状のフラットケー
   ブルを収納してなる相対的に回転する二部材間の伝送装
   置において、前記フラットケーブルの巻き方向反転部の
   少なくとも内側に、内側ケースと外側ケースとの相対的
   な回転に伴って遊星運動を行うガイドロールを設けたこ
   とを特徴とする相対的に回転する二部材間の伝送装置。