JPH058403A - インクジエツト記録装置に用いられる清掃部材及び前記清掃部材を用いるインクジエツト記録装置 - Google Patents

インクジエツト記録装置に用いられる清掃部材及び前記清掃部材を用いるインクジエツト記録装置

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JPH058403A
JPH058403A JP3210571A JP21057191A JPH058403A JP H058403 A JPH058403 A JP H058403A JP 3210571 A JP3210571 A JP 3210571A JP 21057191 A JP21057191 A JP 21057191A JP H058403 A JPH058403 A JP H058403A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 長期間にわたって良好な画像を得るインクジ
ェット記録装置用清掃部材を得る。 【構成】 記録ヘッド21のインク吐出面21aを清掃
するブレード9をポリエーテルポリウレタンを含有する
材料で形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクジェット記録装
置に用いられる、記録ヘッドに付着した付着物を清掃す
る清掃部材及び前記清掃部材を用いるインクジェット記
録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、インクを吐出して記録を行うイン
クジェット記録ヘッドを用いたインクジェット記録装置
においては、インクジェット記録ヘッドに関しての次の
ような問題点があった。すなわち、微細液滴化されたイ
ンクを吐出するインクジェット記録ヘッドの吐出面には
ゴミ、ホコリ、紙、粉、あるいはインク滴等の付着物が
付着して、インク液滴の飛行軌道を不安定にしたり、あ
るいは付着物が乾燥凝固してインク吐出口を閉塞し、イ
ンクの吐出が不能となる虞れがあった。上記問題点を解
決する方法の1つとして、弾性のある清掃部材よりなる
ブレードを用いるブレードクリーニング法がある。
【0003】以下、このブレードクリーニング方法を図
1を用いて説明する。図1中[C]に位置していたイン
クジェット記録ヘッド21を有する主走査キャリッジ2
2がガイドシャフト23上に移動する。またインクジェ
ット記録ヘッド21の吐出面21aと接触する位置に弾
性のある清掃部材よりなるクリーニングブレード24を
配置する。25はクリーニングブレード24を固定する
保持部材である。主走査キャリッジ22が矢印A方向に
移動して[P]の位置を通過することにより、クリーニ
ングブレード24がヘッド吐出面21aを摺擦し、吐出
面21aに付着したインク滴、紙、粉、塵等の付着物X
をクリーニングブレード24のエッジを利用して吐出面
21aから除去する。この方法は、インク吸収体を接触
させてインクを吸い取るクリーニング方法に比べ、イン
クの回収等の吸収体のクリーニング能力の回復を行う機
構を必要としないために構造が簡単であるという利点が
ある。
【0004】しかし、従来上記ブレードクリーニング法
の弾性体として用いられているシリコンゴム、ポリエス
テルウレタンゴムにはそれぞれ以下の問題点がある。す
なわちシリコンゴムは耐摩耗性に弱くヘッドとの摺擦に
よりシリコンゴムの摩耗が生じるため、吐出面21aの
クリーニングを十分に行えなくなる。このためインク液
滴の飛行軌道を不安定にして画像不良を起こし、その摩
耗粉がヘッドのノズルに詰まりインク吐出を妨げること
により画像不良を生じたりする虞れがある。またシリコ
ンゴム中にシリカ等の無機フィラーが配合されている場
合には、これが、ヘッドノズル近傍を傷つけ、インク液
滴の飛行軌道を不安定にして、画像不良を起こす虞れが
ある。また更には、シリコンゴム中のオイル成分がイン
クを変質させ画像不良を起こす虞れがある。更に、熱エ
ネルギーを用いて液滴を吐出エレメントから吐出させて
記録を行うインクジェット方式のノズルの清掃にシリコ
ンゴムブレードを用いた場合には、シリコンゴム中のオ
イル成分がインク吐出ノズル部に侵入し、これが発熱体
に焼きついてインクの吐出を不能とし、これにより画像
不良を起こす虞れがある。また、ポリエステルウレタン
ゴムはその構造上加水分解を起こしやすく、長期間使用
した場合には、空気中の水分、もしくはインク中の水成
分によりゴム物性が劣化し、摩耗等を生じ、インククリ
ーニングを十分に行わなくなり画像不良となる虞れがあ
る。更にインクが酸性もしくはアルカリ性の場合には、
ポリエステルウレタンゴムの劣化はより速く進行する。
【0005】よってポリエステルウレタンブレードを清
掃部材として使用した場合には、一定期間毎に交換が必
要となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、長期
間にわたって良好な画像を得ることを可能とする清掃部
材及び前記清掃部材を用いるインクジェット記録装置を
提供することにある。
【0007】本発明の他の目的は、記録ヘッドのクリー
ニング性が良好な清掃部材、及び前記清掃部材を用いる
インクジェット記録装置を提供することにある。
【0008】本発明の他の目的は、耐摩耗性に優れてお
り、交換頻度を大幅に減少させることのできる清掃部
材、及び前記清掃部材を用いるインクジェット記録装置
を提供することにある。
【0009】本発明の他の目的は、耐加水分解性、耐摩
耗性に優れた清掃部材であるクリーニングブレード用弾
性部材を用いることにより、クリーニングブレードの交
換をなくし、更に無機フィラー、オイルにより生ずる画
像不良を無くし、半永久的に良好な画像を得ることので
きるインクジェット記録装置の清掃部材であるクリーニ
ングブレード、及びインクジェット記録装置を提供する
ことにある。
【0010】本発明の他の目的は、ゴム弾性体からなる
インクジェット記録装置の清掃部材であって、前記清掃
部材がポリエーテルポリウレタンを含むものより構成さ
れているインクジェット記録装置用清掃部材を提供する
ことにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】以下、本発明を適用した
好適な実施例を図面を参照して詳細に説明する。
【0012】以下で説明する実施例は、インクジェット
記録装置の記録ヘッドに付着した付着物をクリーニング
する清掃部材であるクリーニングブレード、及びインク
ジェット記録装置に関する。
【0013】本発明に係る実施例を適用したインクジェ
ット記録装置は、図2に示すように、インクジェット記
録ヘッド2、及びインクタンク2aを一体化したインク
ジェットヘッドカートリッジ1がキャリッジ3に着脱可
能に装着されるものである。このキャリッジ3は、駆動
モータ5の駆動力を伝達する駆動ベルト4の一部と連結
されて、互いに平行に配置された2本のガイドシャフト
6A,6Bに対して摺動可能に取り付けられている。そ
して前記駆動モータ5の駆動力により、前記インクジェ
ット記録ヘッド2が、記録紙の全幅にわたって往復運動
して該記録紙への記録を行う。なお7は記録ヘッド2の
吐出面に対向して配置されたプラテンであって、搬送手
段12によって搬送される記録紙を記録位置で吐出口と
所定間隔で維持するものである。
【0014】また、本実施例のインクジェット記録装置
は、インクジェット記録ヘッド2の記録動作における往
復運動の範囲外であって、ヘッド回復動作の際にインク
ジェット記録ヘッド2が移動される位置(図中ガイドシ
ャフト6Aの左端、以下、回復ポジションと称する。)
にヘッド回復装置8が設けられている。このヘッド回復
装置8は、伝動機構11を介したクリーニング用モータ
10の駆動力によって駆動され、前記インクジェット記
録ヘッド2の吐出面をキャッピングするキャップ部材8
Aを備えている。
【0015】このヘッド回復装置8は、ヘッド回復動作
の際、キャップ部材8Aが記録ヘッド2の吐出面をキャ
ッピングした状態で、吸引手段(図示せず)によるイン
ク吸引もしくはインク供給経路に設けた加圧手段(図示
せず)によるヘッド2へのインクの圧送を行う。これに
よってインクを吐出口より強制的に排出させて吐出口内
の増粘インクを除去する等のヘッドの回復動作を行う。
【0016】更に、ヘッド回復装置8の側面には、本発
明に係るポリエーテルポリウレタンを含む材料で形成さ
れた清掃部材としてのブレード9がブレード保持部材9
Aによってカンチレバー形態で保持されている。そして
このブレード9はヘッド回復装置8と同様、クリーニン
グ用モータ10、及び伝動機構11によってクリーニン
グ位置と非クリーニング位置との間を動作し、前記クリ
ーニング位置で記録ヘッド2の吐出面との係合が可能と
なる。これにより、ヘッド回復装置8を用いたヘッド回
復動作後に、清掃部材であるブレード9を記録ヘッド2
の移動経路中(クリーニング位置)に突出させ、記録ヘ
ッド2の移動動作に伴って記録ヘッド2の吐出面におけ
る結露、濡れ、あるいは塵埃等をふきとる。
【0017】上述したインクジェット記録装置は、キー
ボード等の入力装置から入力された文書情報、制御コマ
ンド等のデータを印字制御部で受け取って、該文書情報
の一連の記録動作、及び前述のヘッド回復動作を行う。
なお13はフレキシブルケーブル、14は搬送手段12
を駆動する駆動伝達系であって、モータ15の駆動力に
よって駆動する。
【0018】なお、前述の記録ヘッド2は、熱エネルギ
ーを利用してインクを吐出するものであり、図3に示す
ように、吐出制御素子としてインクに熱エネルギーを与
える電気熱変換体42を備えた吐出口43が、記録紙に
対向する吐出面に並設されている。ここで44は基板、
45は共通液室、46は液路である。
【0019】さらに図5に、ブレードクリーニング法を
適用したインクジェット記録装置の要部拡大図を示す。
図5中[C]に位置していたインクジェット記録ヘッド
21を有する主走査キャリッジ22がガイドシャフト2
3上を移動する。またインクジェット記録ヘッド21の
吐出面21aと接触する位置には弾性のある清掃部材よ
りなる、本発明に係るポリエーテルポリウレタンを含む
材料で形成されたクリーニングブレード9を配置する。
9Aはクリーニングブレード9を固定する保持部材であ
る。主走査キャリッジ22が矢印A方向に移動して
[P]の位置を通過することにより、クリーニングブレ
ード9がヘッド吐出面21aを摺擦し、吐出面21aに
付着したインク滴、紙、粉、塵等の付着物Xをクリーニ
ングブレード9の直角のエッジ9Bを利用して吐出面2
1aから除去する。
【0020】なお、クリーニングブレード9およびその
保持部材9Aは図示しない駆動手段により、インクジェ
ット記録ヘッド21の吐出面21aとの接触位置(クリ
ーニング位置)と非接触位置(非クリーニング位置)
に、必要に応じて移動可能な構成を有する。
【0021】次にインクジェット記録ヘッド21の記録
休止時には、キャリッジ22はさらに矢印A方向に移動
して[E](図中2点鎖線位置)に達する。この記録休
止位置には記録休止期間中の、インクジェット記録ヘッ
ド21の吐出面21aにおけるインクの乾燥による吐出
口の目詰まりを防止するために吐出面21aと接触し吐
出口のまわりを外気と遮断するゴムキャップ27、及び
そのホルダー28が配置されている。さらにホルダー2
8と吸引ポンプ30を連結させるチューブ29が配置さ
れている。そしてインクジェット記録ヘッド21の吐出
口の目詰まり発生時には必要に応じて、吸引ポンプ30
が吐出口の目詰まりを回復するために駆動する。そして
このポンプ30の吸引によって回収された廃インクは、
チューブ31を介して廃インク処理部材32に排出され
る。また、ゴムキャップ27、及びそのホルダー28
は、図示しない駆動手段により、インクジェット記録ヘ
ッド21の吐出口21aと接触し、吐出口付近を外気と
遮断する位置(キャッピング位置)と非キャッピング位
置に移動可能である。
【0022】このように構成した上記インクジェット記
録装置において、前記清掃部材であるクリーニングブレ
ード9は、前述した通りポリエーテルポリウレタンを含
むものである。前記ポリエーテルポリウレタンは、ポリ
オキシアルキレングリコールとポリイソシアネートとの
反応によって得られる公知のポリエーテルウレタンプレ
ポリマーと公知の硬化剤との反応によって得られるもの
である。
【0023】ポリエーテルウレタンプレポリマーとして
は、例えば下記一般式 HO(CH2 CH2 CH2 CH2 O)n H で表わされるポリオキシテトラメチレングリコール(以
下PTMEGと略記する)とポリイソシアネートとの反
応により得られるポリエーテルウレタンプレポリマーが
ある。そして市販の製品としては、アジプレンM48
3,M400,M467,LW520,LW570(デ
ュポン製)、バイプラセンB625,B635,B82
1,B836,B670(ユニロイヤル製)、ニッポラ
ンC4362(日本ポリウレタン工業製)等が挙げられ
る。他のポリエーテルウレタンプレポリマーとしては、
一般式 HO(CH2 CH2 CH2 O)n H で表わされるポリオキシプロピレングリコール(以下P
PGと略記する)とポリイソシアネートとの反応により
得られるポリエーテルウレタンプレポリマーがある。そ
して市販の製品としてはバイプラセンB843(ユニロ
イヤル製)等が挙げられるが、これに限定されるもので
はない。
【0024】なお、ポリオールと反応せしめられるイソ
シアネートは特に限定されるものではなく、従来からポ
リウレタン製造に使用されるイソシアネートを使用する
ことができる。例えばジフェニルメタンジイソシアネー
ト、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソ
シアネート、ナフタレンジイソシアネート、水素化ジフ
ェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
【0025】また上記ポリエーテルウレタンプレポリマ
ーの硬化剤としては、1,4−ブタンジオール、1,6
−ヘキサンジオール、エチレングリコール、プロピレン
グリコール、ポリエチレングリコール、ハイドロキノン
ジエチロールエーテル、ビスフェノールA、トリメチロ
ールプロパン、トリメチロールエタン等の一般的なウレ
タン硬化剤を用いることができる。
【0026】さらに本発明の実施例を適用した清掃部材
であるクリーニングブレードを製造する場合には、予め
60℃〜100℃に加熱を行った上記ウレタンプレポリ
マーと硬化剤を所定の量計量し、混合攪拌、必要により
脱泡を行い金型もしくは遠心成形機等に注型し100℃
〜140℃の加熱硬化を行う。これにより、本発明の実
施例を適用したポリエーテルポリウレタンゴム製クリー
ニングブレードを得る。
【0027】この場合、ポリオールの分子量や分子構
造、ポリイソシアネートの分子構造、硬化剤の種類や配
合比等を適宜選択することにより、製造されるポリエー
テルポリウレタンの物性を任意に設計することができ
る。そして本発明においては成型されたポリエーテルポ
リウレタンゴムの硬度は、液体インクのクリーニング性
を考慮するとJISA硬度30度〜80度、特に好まし
くは35度〜80度のものとすることが好ましい。すな
わち、成型されたポリエーテルポリウレタンゴム弾性体
を用いてブレードを製造した場合、ブレードのJISA
硬度が30度未満の場合には、柔らかすぎてヘッド吐出
面に固着した付着物を充分取り除けないことがある。ま
た、ブレードのJISA硬度が80度を越える場合に
は、ヘッド吐出面に付着したインク等が取り除き難くな
る場合がある。このようにしてJISA硬度が30度〜
80度になるように製造したポリエーテルポリウレタン
は化学的に安定なもので、例えば、pHが5〜9の水に
長期間接していても、物性がほとんど変化しないもので
ある。
【0028】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。実施例1 ・ポリエーテルウレタンプレポリマー (ユニロイヤル社製 バイプラセンB625) 100重量部 ・硬化剤 1,4−ブタンジオール 4.0重量部 トリメチロールプロパン 2.2重量部 加熱溶解したウレタンプレポリマーに硬化剤である1,
4−ブタンジオールとトリメチロールプロパンを混合
し、予め130℃に加熱した遠心成型機に注型し加熱硬
化させ、所望の寸法に切断してJISA硬度66度のポ
リエーテルウレタン製ブレードを製造した。実施例2 ・ポリエーテルウレタンプレポリマー (ユニロイヤル社製 バイプラセンB643) 100重量部 ・硬化剤 1,4−ブタンジオール 6.3重量部 トリメチロールプロパン 3.3重量部 加熱溶解したウレタンプレポリマーに硬化剤である1,
4−ブタンジオールとトリメチロールプロパンを混合
し、予め130℃に加熱した金型に注型し加熱硬化さ
せ、所望の寸法に切断してJISA硬度70度のポリエ
ーテルウレタン製ブレードを製造した。比較例1 ・ポリエステルウレタンプレポリマー (ユニロイヤル社製 バイプラセン6020) 100重量部 ・硬化剤 1,4−ブタンジオール 4.2重量部 トリメチロールプロパン 2.2重量部 加熱溶解したウレタンプレポリマーに硬化剤である1,
4−ブタンジオールとトリメチロールプロパンを混合
し、予め130℃に加熱した遠心成型機に注型し加熱硬
化させ、所望の寸法に切断してJISA硬度65度のポ
リエステルウレタン製ブレードを製造した。比較例2 ・HTVシリコン材料 (東レシリコン社製 SH861U) 100重量部 ・硬化剤 (東レシリコン社製 RC4) 2重量部 シリコン材料として硬化剤を等量混合し、金型によりプ
レス成型し、所望の寸法に切断してJISA硬度60度
のシリコンゴム製クリーニングブレードを製造した。
【0029】以上により成型したインクジェット記録装
置用清掃部材であるクリーニングブレードについて水性
インクに対する耐水性を評価した。その結果を図4に示
す。また各クリーニングブレードのインククリーニング
性及び耐久性能を熱エネルギーを利用してインクを吐出
させるインクジェット記録方式を適用したインクジェッ
ト記録装置(キャノン製BJC−440プリンタ)によ
り評価した結果を下表に示す。
【0030】この時、クリーニングブレードのインクジ
ェットヘッドに対する線圧は5g/cmとした。
【0031】なお図4に示す通り、80℃、H2 O中で
加水分解したところ、12日間経過した後も本発明を適
用した実施例1,実施例2はともに劣化しなかったもの
の、比較例1では劣化が起こりゴム弾性率の低下が認め
られた。
【0032】
【表1】 以上の結果から明らかなように、本発明の実施例を適用
したインクジェット記録装置用清掃部材であるクリーニ
ングブレードは、水及びインクによる物性の低下がな
く、かつ20万枚印字した後も摩耗が見られず良好な画
像が得られる。
【0033】一方、比較例1のポリエーテルポリウレタ
ンを含有しないポリエステルウレタン製クリーニングブ
レードは耐加水分解性が悪く、水、及びインクにより、
著しくゴム物性が低下した。このゴム物性が低下したブ
レードを用い、ヘッド吐出面のクリーニングを行ったと
ころ、直ちに摩耗が生じ印字不良が発生した。比較例2
の、やはりポリエーテルポリウレタンを含有しないシリ
コンゴム製クリーニングブレードの場合、水によるゴム
物性の低下はないが、このブレードを用いクリーニング
を行ったところ、20万枚印字した時点で摩耗によるク
リーニング不良を生じ、これにより画像不良の発生が見
られた。
【0034】前述の実施例を適用したインクジェット記
録装置用クリーニングブレードによれば、摺擦による摩
耗粉が生じることが無いためインクヘッドノズルの目詰
まりや不良が無い。また無機フィラー等を添加していな
いので、インクジェットヘッドに傷を生じさせることが
ない。更にオイル成分を持たないので、インクの変質及
びオイルの焼けつけがなく、良好な画像が長期にわたり
維持できる。更に水及びインクによる加水分解に起因す
るゴムの物性低下を著しく低減することができる。その
ため、長期にわたり使用しても清掃部材であるクリーニ
ングブレードの摩耗を生じることがなく、クリーニング
ブレードの交換を行わなくても半永久的に良好な画像が
得られる等の特長を有する。
【0035】なお本発明は、特にインクジェット記録方
式の中でも、熱エネルギーを利用して飛翔的液滴を形成
し記録を行うインクジェット記録方式の記録ヘッド、記
録装置において、優れた効果をもたらすものである。
【0036】上記記録ヘッド、記録装置の代表的な構成
や原理については、例えば米国特許第4723129号
明細書、同第4740796号明細書に開示されている
基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式は
所謂オンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも
適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、
記録液(インク)が保持されているシートや液路に対応
して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応し
ていて、記録液に核沸騰を越える急速な温度上昇を与え
る少なくとも一つの駆動信号を印加することによって、
電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめる。これによ
って記録ヘッドの熱作用面近傍の記録液を膜沸騰させ
て、結果的にこの駆動信号に一対一で対応して記録液内
に気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長、
収縮過程に於て生ずる作用力によって吐出口を介して記
録液を大気中に吐出させて、少なくとも一つの滴を形成
する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に
気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優れた記
録液の吐出が達成でき、より好ましい。このパルス形状
の駆動信号として米国特許第4463359号明細書、
同第4345262号明細書に記載されているようなも
のが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関
する発明の米国特許第4313124号明細書に記載さ
れている条件を採用すると、更に優れた記録を行うこと
ができる。
【0037】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体
の組み合わせ構成(直線状液流路または直角液流路)の
他に熱作用面が屈曲する領域に配置されている構成を開
示する米国特許第4558333号明細書、同第445
9600号明細書に記載されたものでもよい。
【0038】更に、記録装置が記録できる最大記録媒体
の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘ
ッドとしては、上述した明細書に開示されているような
複数記録ヘッドの組み合わせによって、その長さを満た
す構成や一体的に形成された一個の記録ヘッドとしての
構成のいずれでもよいが、いずれの場合でも本発明清掃
部材においては、固定されたフルラインタイプの記録ヘ
ッドの吐出面に沿って清掃部材を移動させることによ
り、上述した効果を一層有効に発揮することができる。
【0039】加えて、装置本体に装着されることで、装
置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給
が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あ
るいは前述の実施例で説明した通りの記録ヘッド自体に
インク供給タンクが一体的に設けられたカートリッジタ
イプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効であ
る。
【0040】また、本発明の記録装置の構成として設け
られる、記録ヘッドに対して予備的に補助手段を付加す
ることは本発明の効果を一層安定できるので好ましいも
のである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドを予
備加熱するための、電気熱変換体とは別の加熱素子ある
いはこれらの組み合わせによる予備加熱手段を設けるこ
と、あるいは記録ヘッドに記録とは別の吐出を行わせる
ための予備吐出手段を設けることも安定した記録を行う
ために有効である。
【0041】更に、記録装置の記録モードとしては黒色
等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッド
を一体的に構成するか複数この組み合わせによってでも
よいが、異なる色の複色カラー又は、混色によるフルカ
ラーの少なくとも一つを備えた装置にも本発明は極めて
有効である。
【0042】更には、前述した実施例においてはインク
を液体であるものとして説明しているが、室温やそれ以
下で固化するインクであって、記録信号付与時にインク
が液状をなすものであってもよい。
【0043】さらに加えて、本発明のインクジェット記
録ヘッドを使用する記録機構を備えた記録装置の形態と
しては、コンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末
として用いられるものの他、リーダ等と組み合わせた複
写装置、さらには送受信機能を有するファクシミリ装置
の形態を採るものであってもよい。
【0044】
【発明の効果】以上述べた通り、本発明によれば、長期
間にわたって良好な画像を得ることを可能とする清掃部
材及び前記清掃部材を用いるインクジェット記録装置を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェット記録装置用クリーニングブレー
ドのインクジェットヘッドに対する当接関係及びヘッド
キャッピングを示す説明図である。
【図2】本発明の好適な実施例である清掃部材及び前記
清掃部材を用いたインクジェット記録装置を示す斜視図
である。
【図3】インクジェット記録ヘッドの一例を示す斜視図
である。
【図4】クリーニングブレードの耐水性を示すグラフで
ある。
【図5】ブレードクリーニング法を適用したインクジェ
ット記録装置の要部拡大図である。
【符号の説明】
1 インクジェットヘッドカートリッジ 2 インクジェット記録ヘッド 3 キャリッジ 4 駆動ベルト 5 駆動モータ 6A,6B ガイドシャフト 7 プラテン 8 ヘッド回復装置 9 ブレード 10 クリーニング用モータ 11 伝導機構 12 搬送手段 13 フレキシブルケーブル 14 駆動伝達系 15 モータ 21 記録ヘッド 21a ヘッド吐出面 22 主走査キャリッジ 23 ガイドシャフト 24 ブレード 25 保持部材 27 ゴムキャップ 28 ホルダー 29 チューブ 30 吸引ポンプ 31 チューブ 32 廃インク処理部材

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクジェット記録手段の清掃部材にお
    いて、 清掃部材がポリエーテルポリウレタンを含むことを特徴
    とする清掃部材。
  2. 【請求項2】 ポリエーテルポリウレタンの硬度がJI
    SA35度〜80度である請求項1記載の清掃部材。
  3. 【請求項3】 ポリエーテルポリウレタンは、ポリオキ
    シアルキレングリコールとポリイソシアネートとの反応
    によって得られるポリエーテルウレタンプレポリマーと
    硬化剤との反応によって得られるものである請求項1記
    載の清掃部材。
  4. 【請求項4】 ポリエーテルウレタンプレポリマーは、
    ポリオキシテトラメチレングリコールとポリイソシアネ
    ートとの反応によって得られるポリエーテルウレタンプ
    レポリマーを有する請求項3記載の清掃部材。
  5. 【請求項5】 ポリエーテルウレタンプレポリマーは、
    ポリオキシテトラメチレングリコールとポリイソシアネ
    ートとの反応によって得られるポリエーテルウレタンプ
    レポリマーを有する請求項3記載の清掃部材。
  6. 【請求項6】 ポリエーテルウレタンプレポリマーの硬
    化剤としては、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキ
    サンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコ
    ール、ポリエチレングリコール、ハイドロキノンジエチ
    ロールエーテル、ビスフェノールA、トリメチロールプ
    ロパン、又はトリメチロールエタンである請求項3記載
    の清掃部材。
  7. 【請求項7】 清掃部材はポリエーテルポリウレタンゴ
    ム製クリーニングブレードである請求項1記載の清掃部
    材。
  8. 【請求項8】 清掃部材はポリエーテルポリウレタンゴ
    ム製クリーニングブレードであって、前記ポリエーテル
    ポリウレタンゴム製クリーニングブレードは予め60℃
    〜100℃に加熱を行ったポリウレタンプレポリマーと
    硬化剤を所定量混合攪拌し、必要により脱泡を行い金型
    もしくは遠心成形機に注型し100℃〜140℃で加熱
    硬化を行う請求項1記載の清掃部材。
  9. 【請求項9】 インクを吐出して記録を行うための記録
    ヘッドの吐出口形成面に対して相対的に摺擦することで
    前記吐出口形成面の清掃を行う清掃部材において、前記
    清掃部材がポリエーテルポリウレタンを含むことを特徴
    とする清掃部材。
  10. 【請求項10】 ポリエーテルポリウレタンの硬度がJ
    ISA35度〜80度である請求項9記載の清掃部材。
  11. 【請求項11】 記録ヘッドは熱エネルギーを利用して
    インク吐出口からインクを吐出させるもので、熱エネル
    ギーを発生する手段として電気熱変換体を有する請求項
    9記載の清掃部材。
  12. 【請求項12】 インクは、水性インクである請求項9
    記載の清掃部材。
  13. 【請求項13】 インクジェット記録手段の吐出口から
    インクを吐出して、記録媒体に記録を行うインクジェッ
    ト記録装置において、 前記インクジェット記録手段の付着物を除去するため
    の、ポリエーテルポリウレタンを含む清掃部材と、 前記記録媒体を搬送する搬送手段と、 を有するインクジェット記録装置。
  14. 【請求項14】 清掃部材がポリエーテルポリウレタン
    ゴム製クリーニングブレードである請求項13記載のイ
    ンクジェット記録装置。
  15. 【請求項15】 清掃部材がポリエーテルポリウレタン
    ゴム製クリーニングブレードであって、その硬度がJI
    SA35度〜80度である請求項13記載のインクジェ
    ット記録装置。
  16. 【請求項16】 インクジェット記録手段は、インクジ
    ェット記録ヘッドであって、熱エネルギーを利用してイ
    ンク吐出口からインクを吐出させるもので、前記熱エネ
    ルギーを発生する手段として電気熱変換体を有する請求
    項13記載のインクジェット記録装置。
  17. 【請求項17】 インクは水性インクである請求項13
    記載のインクジェット記録装置。
  18. 【請求項18】 記録媒体を搬送する搬送手段と、前記
    記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録ヘッドと、
    前記記録ヘッドの吐出口形成面の清掃を行う清掃部材と
    を備えたインクジェット記録装置において、前記清掃部
    材がポリエーテルポリウレタンを含むものであることを
    特徴とするインクジェット記録装置。
  19. 【請求項19】 記録ヘッドは熱エネルギーを利用して
    インク吐出口からインクを吐出させるもので、熱エネル
    ギーを発生する手段として電気熱変換体を有する請求項
    18記載のインクジェット記録装置。
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