JPH0582460B2 - - Google Patents
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- JPH0582460B2 JPH0582460B2 JP60015736A JP1573685A JPH0582460B2 JP H0582460 B2 JPH0582460 B2 JP H0582460B2 JP 60015736 A JP60015736 A JP 60015736A JP 1573685 A JP1573685 A JP 1573685A JP H0582460 B2 JPH0582460 B2 JP H0582460B2
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Landscapes
- Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)
Description
〔産業上の利用分野〕
本発明は、高強度球状黒鉛鋳鋼に関し、詳しく
は、組成をFe−C−Si系の過共析範囲とし、組
織を球状化された黒鉛とベイナイト組織の基地組
織とした球状黒鉛鋳鋼とすることによつて、従来
の鉄系鋳造材料では確保することの困難とされて
いた優れた強度特性、耐摩耗性と優れた鋳造性を
兼ね備えた高強度球状黒鉛鋳鋼にかかる。 〔従来の技術〕 近年、自動車用部品においては燃費の向上を図
るために、各種部品の軽量化が積極的に進められ
ている。 しかし、自動車用部品の軽量化を図るために各
種部品の薄肉化や低比重材料への代替が検討され
ているが、いずれにしても、適用材料の強度を向
上させて適用させることが必要とされている。 ところで、従来の鋳鉄材料において優れた強度
特性と耐摩耗性を有する鋳造材料としては、黒鉛
形状を球状化し基地組織をパーライト組織とした
球状黒鉛鋳鉄(JIS規格FCD70)が一般的に採用
されている。 また、同様に従来の鋳鋼材料において優れた強
度特性と耐摩耗性を有する鋳造材料としては、黒
鉛形状を球状化し基地組織をパーライト組織とし
た球状黒鉛鋳鋼の採用も試みられている(例え
ば、特公昭59−26645号等)。 しかし、このような従来の鋳造材料において
は、材料の低コスト性を維持したまま最近の部品
軽量化要求に適合させたり、鋼部材の代替材料と
して適用することのできるような高強度、高靱性
を確保することは困難とされていた。 このため、従来、組織中に黒鉛の存在する鉄系
鋳造材料においては、鋳造性を著しく損なうこと
なく、しかも、優れた強度特性を有する鋳造材料
としては、上述のように球状黒鉛鋳鉄や球状黒鉛
鋳鋼等が提案されているものの、車両の軽量化等
といつた最近の自動車用部品に対する要求に応え
るためには、さらに、優れた強度特性を有する材
料の開発が強く望まれているのが現状である。 〔発明が解決しようとする問題点〕 上述のような従来の技術の現状に鑑み、本発明
が解決しようとする問題点は、最近の自動車用部
品においては自動車の燃費の向上の観点から自動
車用部品の軽量化が必要とされ、そのためには優
れた強度特性を有する鋳造材料の開発が強く望ま
れているものの、従来の鋳造材料である球状黒鉛
鋳鉄、球状黒鉛鋳鋼ではそのような要求に応え得
る優れた強度特性、耐摩耗特性と、優れた鋳造性
を兼ね備えた鋳造材料となつていないことであ
る。 従つて、本発明の技術的課題とするところは、
組成をFe−C−Si系の過共析範囲とし、組織を
球状化された黒鉛とベイナイト組織からなる基地
組織とした球状黒鉛鋳鋼とすることによつて、従
来の鉄系鋳造材料では確保することの困難とされ
ていた、優れた強度特性、耐摩耗性と優れた鋳造
性を兼ね備えた鋳造材料とすることにある。 〔問題点を解決するための手段〕 このような従来の技術における問題点に鑑み、
本発明における従来の技術の問題点を解決するた
めの手段は、重量比率にて、C;0.5〜2.0%、
Si;1.0〜3.5%、Mn;1.0%以下、Al;0.07%以
下、Mg、Ca、Ce等の黒鉛球状化元素を黒鉛の球
状化のために必要な量を含有し、残部Feと不可
避の不純物とからなり、基地組織をベイナイト組
織としたことを特徴とする高強度球状黒鉛鋳鋼か
らなつている。 また、本発明における従来の技術の問題点を解
決するための手段は、重量比率にて、C;0.5〜
2.0%、Si;1.0〜3.5%、Mn;1.0%以下、Al;
0.07%以下、Mo;0.3〜0.6%、Ni;1.0〜3.0%、
Cu;1.0〜2.0%、Mg、Ca、Ce等の黒鉛球状化元
素を黒鉛の球状化のために必要な量を含有し、残
部Feと不可避の不純物とからなり、基地組織を
ベイナイト組織としたことを特徴とする高強度球
状黒鉛鋳鋼からなつている。 〔作用〕 以下、本発明の作用について説明する。 まず、本発明の高強度球状黒鉛鋳鋼における、
各合金元素の添加範囲の限定理由について説明す
る。 なお、以下の説明において各合金元素の含有量
はすべて重量%にて表示する。 本発明において、Cは本発明材における黒鉛の
生成を促進するとともに、溶湯の流動性を向上さ
せるために重要な合金元素であるが、後述するSi
量との関係から0.5%未満では黒鉛の析出が得ら
れないばかりでなく、炭化物が析出し易くなり鋳
造材料の延性及び溶湯の流動性を著しく劣化さ
せ、一方、C量が過剰となると黒鉛量が増加して
鋳造材料の強度を低下させることから上限を2.0
%とした。 また、Siは黒鉛の生成及び溶湯の流動性を向上
させるとともに接種効果を確保する目的から添加
されるものであるが、1.0%未満では黒鉛の生成
が困難であるばかりでなく、炭化物が析出し易く
なることから鋳造材料の延性及び溶湯の流動性を
著しく劣化させ、一方、3.5%を越えて添加する
と鋳造材料を著しく脆化させることから1.0〜3.5
%とした。 また、Mnは炭化物形成を促進する元素である
ため、1.0%を越えて添加すると黒鉛の生成を阻
害して本発明の効果を低下させることから1.0%
以下とした。 また、Alは黒鉛を微細に分散させて強度向上
を図るために少量添加することは有効であるが、
0.07%を越えて添加すると黒鉛の球状化を阻害し
て本発明の効果を低下させることから0.07%以下
とした。 更に、上述の如く各合金元素の添加範囲を限定
された本発明の高強度球状黒鉛鋳鋼において、所
定の黒鉛球状化処理を実施されて鋳造後に、熱処
理を施して基地組織をベイナイト組織としている
のは、本発明材の強靱性と耐摩耗性を向上させる
とともに、高硬度でありながら被削性を損なわせ
ないためである。 次に、本発明の特に厚肉物への適応にあたつて
は、鋳鋼の熱処理時の冷却速度が遅くなり、ベイ
ナイト組織以外の組織が生成された混成組織とな
る場合があるが、本発明による第2の発明材で
は、上述の構成に加えて、Mo、Ni、Cuの各合金
元素が所定の範囲で添加されており、これらの各
合金元素の作用により、ベイナイト組織以外の組
織への変態速度を低下させて、他の組織を伴わな
いベイナイト組織としている。 以下に、添加されるMo、Ni、Cuの各合金元素
の添加範囲の限定理由について説明する。 まず、Moはパーライト変態を遅延させる作用
があり、特に、厚肉物のベイナイト組織化処理に
対して少量添加することは有効であるが、Moは
強い炭化物形成を促進する元素であり、0.6%を
越えて添加すると黒鉛の生成を阻害することから
0.3%〜0.6%とした。 また、Ni及びCuは共に黒鉛の生成を促進し、
パーライト変態及びベイナイト変態を遅延させる
作用があることから、特に、厚肉物のベイナイト
組織化処理を容易とするために少量添加すること
は有効であるものの、過剰に添加すると球状黒鉛
鋳鋼中の黒鉛量を増加させて鋳造材料の強度を低
下させるばかりでなく経済的にも不利となること
から、Niは1.0%〜3.0%、Cuは1.0%〜2.0%とし
た。 〔実施例〕 以下、添付図面に基づいて、本発明の1実施例
を説明する。 まず、本発明の高強度球状黒鉛鋳鋼の鋳造粗形
材は、20Kg高周波溶解炉にて溶製した後取鍋にお
いて溶鋼温度1500℃にてNi−Mg系の黒鉛球状化
剤により黒鉛球状化処理を実施し、直に、Fe−
Si系合金により接種した後溶鋼温度1450℃にて注
湯してYブロツクを作製した。 なお、球状化剤としては、Mg系黒鉛球状化剤
の他、Ca系黒鉛球状化剤、Ce系黒鉛球状化剤の
いずれであつてもよく、70%以上の黒鉛球状化率
を確保するためには、例えば、Mgの場合鋳造さ
れた鋳造粗形材中の残留Mg量を0.03〜0.06重量
%とするのが適当である。 次に、上述により鋳造して形成したYブロツク
をオーステンパ処理して基地組織をベイナイト組
織化した。 その時のオーステンパ処理条件は、シリコニツ
ト炉中にて900℃×30分間保持して基地組織を一
旦オーステナイト組織とした後、直に、350℃に
保持された塩浴中に装入し100分間保持して恒温
変態を進行させて基地組織をベイナイト組織とし
た。 第1表に、この実施例の5種類の本発明材と2
種類の比較材の化学成分を示している。ここで本
発明材のとは、厚肉物でのベイナイト組織化
処理を容易とするために、Mo、Ni、Cuを適量添
加したものである。また、比較材のは従来の球
状黒鉛鋳鉄(JIS規格FCD70)、比較材のは基
地組織をパーライト組織とした球状黒鉛鋳鋼であ
る。 また、第3図に本発明材の代表的な金属組織の
顕微鏡写真を示している。
は、組成をFe−C−Si系の過共析範囲とし、組
織を球状化された黒鉛とベイナイト組織の基地組
織とした球状黒鉛鋳鋼とすることによつて、従来
の鉄系鋳造材料では確保することの困難とされて
いた優れた強度特性、耐摩耗性と優れた鋳造性を
兼ね備えた高強度球状黒鉛鋳鋼にかかる。 〔従来の技術〕 近年、自動車用部品においては燃費の向上を図
るために、各種部品の軽量化が積極的に進められ
ている。 しかし、自動車用部品の軽量化を図るために各
種部品の薄肉化や低比重材料への代替が検討され
ているが、いずれにしても、適用材料の強度を向
上させて適用させることが必要とされている。 ところで、従来の鋳鉄材料において優れた強度
特性と耐摩耗性を有する鋳造材料としては、黒鉛
形状を球状化し基地組織をパーライト組織とした
球状黒鉛鋳鉄(JIS規格FCD70)が一般的に採用
されている。 また、同様に従来の鋳鋼材料において優れた強
度特性と耐摩耗性を有する鋳造材料としては、黒
鉛形状を球状化し基地組織をパーライト組織とし
た球状黒鉛鋳鋼の採用も試みられている(例え
ば、特公昭59−26645号等)。 しかし、このような従来の鋳造材料において
は、材料の低コスト性を維持したまま最近の部品
軽量化要求に適合させたり、鋼部材の代替材料と
して適用することのできるような高強度、高靱性
を確保することは困難とされていた。 このため、従来、組織中に黒鉛の存在する鉄系
鋳造材料においては、鋳造性を著しく損なうこと
なく、しかも、優れた強度特性を有する鋳造材料
としては、上述のように球状黒鉛鋳鉄や球状黒鉛
鋳鋼等が提案されているものの、車両の軽量化等
といつた最近の自動車用部品に対する要求に応え
るためには、さらに、優れた強度特性を有する材
料の開発が強く望まれているのが現状である。 〔発明が解決しようとする問題点〕 上述のような従来の技術の現状に鑑み、本発明
が解決しようとする問題点は、最近の自動車用部
品においては自動車の燃費の向上の観点から自動
車用部品の軽量化が必要とされ、そのためには優
れた強度特性を有する鋳造材料の開発が強く望ま
れているものの、従来の鋳造材料である球状黒鉛
鋳鉄、球状黒鉛鋳鋼ではそのような要求に応え得
る優れた強度特性、耐摩耗特性と、優れた鋳造性
を兼ね備えた鋳造材料となつていないことであ
る。 従つて、本発明の技術的課題とするところは、
組成をFe−C−Si系の過共析範囲とし、組織を
球状化された黒鉛とベイナイト組織からなる基地
組織とした球状黒鉛鋳鋼とすることによつて、従
来の鉄系鋳造材料では確保することの困難とされ
ていた、優れた強度特性、耐摩耗性と優れた鋳造
性を兼ね備えた鋳造材料とすることにある。 〔問題点を解決するための手段〕 このような従来の技術における問題点に鑑み、
本発明における従来の技術の問題点を解決するた
めの手段は、重量比率にて、C;0.5〜2.0%、
Si;1.0〜3.5%、Mn;1.0%以下、Al;0.07%以
下、Mg、Ca、Ce等の黒鉛球状化元素を黒鉛の球
状化のために必要な量を含有し、残部Feと不可
避の不純物とからなり、基地組織をベイナイト組
織としたことを特徴とする高強度球状黒鉛鋳鋼か
らなつている。 また、本発明における従来の技術の問題点を解
決するための手段は、重量比率にて、C;0.5〜
2.0%、Si;1.0〜3.5%、Mn;1.0%以下、Al;
0.07%以下、Mo;0.3〜0.6%、Ni;1.0〜3.0%、
Cu;1.0〜2.0%、Mg、Ca、Ce等の黒鉛球状化元
素を黒鉛の球状化のために必要な量を含有し、残
部Feと不可避の不純物とからなり、基地組織を
ベイナイト組織としたことを特徴とする高強度球
状黒鉛鋳鋼からなつている。 〔作用〕 以下、本発明の作用について説明する。 まず、本発明の高強度球状黒鉛鋳鋼における、
各合金元素の添加範囲の限定理由について説明す
る。 なお、以下の説明において各合金元素の含有量
はすべて重量%にて表示する。 本発明において、Cは本発明材における黒鉛の
生成を促進するとともに、溶湯の流動性を向上さ
せるために重要な合金元素であるが、後述するSi
量との関係から0.5%未満では黒鉛の析出が得ら
れないばかりでなく、炭化物が析出し易くなり鋳
造材料の延性及び溶湯の流動性を著しく劣化さ
せ、一方、C量が過剰となると黒鉛量が増加して
鋳造材料の強度を低下させることから上限を2.0
%とした。 また、Siは黒鉛の生成及び溶湯の流動性を向上
させるとともに接種効果を確保する目的から添加
されるものであるが、1.0%未満では黒鉛の生成
が困難であるばかりでなく、炭化物が析出し易く
なることから鋳造材料の延性及び溶湯の流動性を
著しく劣化させ、一方、3.5%を越えて添加する
と鋳造材料を著しく脆化させることから1.0〜3.5
%とした。 また、Mnは炭化物形成を促進する元素である
ため、1.0%を越えて添加すると黒鉛の生成を阻
害して本発明の効果を低下させることから1.0%
以下とした。 また、Alは黒鉛を微細に分散させて強度向上
を図るために少量添加することは有効であるが、
0.07%を越えて添加すると黒鉛の球状化を阻害し
て本発明の効果を低下させることから0.07%以下
とした。 更に、上述の如く各合金元素の添加範囲を限定
された本発明の高強度球状黒鉛鋳鋼において、所
定の黒鉛球状化処理を実施されて鋳造後に、熱処
理を施して基地組織をベイナイト組織としている
のは、本発明材の強靱性と耐摩耗性を向上させる
とともに、高硬度でありながら被削性を損なわせ
ないためである。 次に、本発明の特に厚肉物への適応にあたつて
は、鋳鋼の熱処理時の冷却速度が遅くなり、ベイ
ナイト組織以外の組織が生成された混成組織とな
る場合があるが、本発明による第2の発明材で
は、上述の構成に加えて、Mo、Ni、Cuの各合金
元素が所定の範囲で添加されており、これらの各
合金元素の作用により、ベイナイト組織以外の組
織への変態速度を低下させて、他の組織を伴わな
いベイナイト組織としている。 以下に、添加されるMo、Ni、Cuの各合金元素
の添加範囲の限定理由について説明する。 まず、Moはパーライト変態を遅延させる作用
があり、特に、厚肉物のベイナイト組織化処理に
対して少量添加することは有効であるが、Moは
強い炭化物形成を促進する元素であり、0.6%を
越えて添加すると黒鉛の生成を阻害することから
0.3%〜0.6%とした。 また、Ni及びCuは共に黒鉛の生成を促進し、
パーライト変態及びベイナイト変態を遅延させる
作用があることから、特に、厚肉物のベイナイト
組織化処理を容易とするために少量添加すること
は有効であるものの、過剰に添加すると球状黒鉛
鋳鋼中の黒鉛量を増加させて鋳造材料の強度を低
下させるばかりでなく経済的にも不利となること
から、Niは1.0%〜3.0%、Cuは1.0%〜2.0%とし
た。 〔実施例〕 以下、添付図面に基づいて、本発明の1実施例
を説明する。 まず、本発明の高強度球状黒鉛鋳鋼の鋳造粗形
材は、20Kg高周波溶解炉にて溶製した後取鍋にお
いて溶鋼温度1500℃にてNi−Mg系の黒鉛球状化
剤により黒鉛球状化処理を実施し、直に、Fe−
Si系合金により接種した後溶鋼温度1450℃にて注
湯してYブロツクを作製した。 なお、球状化剤としては、Mg系黒鉛球状化剤
の他、Ca系黒鉛球状化剤、Ce系黒鉛球状化剤の
いずれであつてもよく、70%以上の黒鉛球状化率
を確保するためには、例えば、Mgの場合鋳造さ
れた鋳造粗形材中の残留Mg量を0.03〜0.06重量
%とするのが適当である。 次に、上述により鋳造して形成したYブロツク
をオーステンパ処理して基地組織をベイナイト組
織化した。 その時のオーステンパ処理条件は、シリコニツ
ト炉中にて900℃×30分間保持して基地組織を一
旦オーステナイト組織とした後、直に、350℃に
保持された塩浴中に装入し100分間保持して恒温
変態を進行させて基地組織をベイナイト組織とし
た。 第1表に、この実施例の5種類の本発明材と2
種類の比較材の化学成分を示している。ここで本
発明材のとは、厚肉物でのベイナイト組織化
処理を容易とするために、Mo、Ni、Cuを適量添
加したものである。また、比較材のは従来の球
状黒鉛鋳鉄(JIS規格FCD70)、比較材のは基
地組織をパーライト組織とした球状黒鉛鋳鋼であ
る。 また、第3図に本発明材の代表的な金属組織の
顕微鏡写真を示している。
【表】
次に、第2表は、第1表に示した各供試材の機
械的性質を示している。
械的性質を示している。
【表】
第2表から明らかなように、本発明材〜
は、引張強度、0.2%耐力、伸び、縦弾性係数、
硬さ、疲労強度のいずれにおいても、比較材及
びに比較して著しく優れた強度特性を有してい
ることが理解される。 次に、上記第1表に示した各供試材に対して大
越式摩耗試験機を用いた摩擦摩耗試験を実施し
た。 その試験方法の概略図を第2図に示す。 第2図において、板状の試験片1に回転体2を
所定の荷重Pで押しつけながら、所定のすべり速
度にて所定の距離を摺動させた後、試験片1の摺
動面に形成された摩耗痕面積の大きさにより耐摩
耗性を評価した。 なお、この時の摩擦摩耗試験条件は、最終荷
重;6.5Kg、すべり速度;0.5m/sec、すべり距
離;100mとし、回転体2はJIS規格SUH1相当の
耐熱鋼により製作した。 その摩擦摩耗試験結果を第1図に示す。 第1図から明らかなように、本発明材〜は
いずれも従来材、に比較して、著しく優れた
耐摩耗性を有していることが理解される。 〔発明の効果〕 以上により明らかなように、本発明にかかる高
強度球状黒鉛鋳鋼によれば、組成をFe−C−Si
系の過共析範囲とし、組織を球状化された黒鉛と
ベイナイト組織からなる基地組織とした球状黒鉛
鋳鋼とすることによつて、従来の鉄系鋳造材料で
は確保することの困難とされていた、優れた強度
特性、耐摩耗性と優れた鋳造性を兼ね備えた鋳造
材料とすることができる利点がある。 加えて、本発明の高強度球状黒鉛鋳鋼は、優れ
た強度特性及び耐摩耗性を有していることから、
内燃機関のクランクシヤフト、コネクテイングロ
ツド等の強度部材、インテークバルブシート、イ
ンテークバルブガイド等の動弁系摺動部材、さら
に、自動車の駆動部品であるデイフアレンシヤル
ケース等に好適に適用することができる利点があ
る。
は、引張強度、0.2%耐力、伸び、縦弾性係数、
硬さ、疲労強度のいずれにおいても、比較材及
びに比較して著しく優れた強度特性を有してい
ることが理解される。 次に、上記第1表に示した各供試材に対して大
越式摩耗試験機を用いた摩擦摩耗試験を実施し
た。 その試験方法の概略図を第2図に示す。 第2図において、板状の試験片1に回転体2を
所定の荷重Pで押しつけながら、所定のすべり速
度にて所定の距離を摺動させた後、試験片1の摺
動面に形成された摩耗痕面積の大きさにより耐摩
耗性を評価した。 なお、この時の摩擦摩耗試験条件は、最終荷
重;6.5Kg、すべり速度;0.5m/sec、すべり距
離;100mとし、回転体2はJIS規格SUH1相当の
耐熱鋼により製作した。 その摩擦摩耗試験結果を第1図に示す。 第1図から明らかなように、本発明材〜は
いずれも従来材、に比較して、著しく優れた
耐摩耗性を有していることが理解される。 〔発明の効果〕 以上により明らかなように、本発明にかかる高
強度球状黒鉛鋳鋼によれば、組成をFe−C−Si
系の過共析範囲とし、組織を球状化された黒鉛と
ベイナイト組織からなる基地組織とした球状黒鉛
鋳鋼とすることによつて、従来の鉄系鋳造材料で
は確保することの困難とされていた、優れた強度
特性、耐摩耗性と優れた鋳造性を兼ね備えた鋳造
材料とすることができる利点がある。 加えて、本発明の高強度球状黒鉛鋳鋼は、優れ
た強度特性及び耐摩耗性を有していることから、
内燃機関のクランクシヤフト、コネクテイングロ
ツド等の強度部材、インテークバルブシート、イ
ンテークバルブガイド等の動弁系摺動部材、さら
に、自動車の駆動部品であるデイフアレンシヤル
ケース等に好適に適用することができる利点があ
る。
第1図は、摩擦摩耗試験結果を示すグラフ、第
2図は、摩擦摩耗試験方法の概略を示す説明図、
第3図は、本発明材の金属組織の顕微鏡写真を示
す図である。 1……試験片、2……回転体、P……荷重。
2図は、摩擦摩耗試験方法の概略を示す説明図、
第3図は、本発明材の金属組織の顕微鏡写真を示
す図である。 1……試験片、2……回転体、P……荷重。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 重量比率にて、C;0.5〜2.0%、Si;1.0〜3.5
%、Mn;1.0%以下、Al;0.07%以下、Mg、
Ca、Ce等の黒鉛球状化元素を黒鉛の球状化のた
めに必要な量を含有し、残部Feと不可避の不純
物からなり、基地組織をベイナイト組織としたこ
とを特徴とする高強度球状黒鉛鋳鋼。 2 重量比率にて、C;0.5〜2.0%、Si;1.0〜3.5
%、Mn;1.0%以下、Al;0.07%以下、Mo;0.3
〜0.6%、Ni;1.0〜3.0%、Cu;1.0〜2.0%、Mg、
Ca、Ce等の黒鉛球状化元素を黒鉛の球状化のた
めに必要な量を含有し、残部Feと不可避の不純
物とからなり、基地組織をベイナイト組織とした
ことを特徴とする高強度球状黒鉛鋳鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1573685A JPS61174358A (ja) | 1985-01-30 | 1985-01-30 | 高強度球状黒鉛鋳鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1573685A JPS61174358A (ja) | 1985-01-30 | 1985-01-30 | 高強度球状黒鉛鋳鋼 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS61174358A JPS61174358A (ja) | 1986-08-06 |
JPH0582460B2 true JPH0582460B2 (ja) | 1993-11-19 |
Family
ID=11897041
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1573685A Granted JPS61174358A (ja) | 1985-01-30 | 1985-01-30 | 高強度球状黒鉛鋳鋼 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS61174358A (ja) |
Families Citing this family (18)
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---|---|---|---|---|
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JPH0768602B2 (ja) * | 1987-01-21 | 1995-07-26 | 本田技研工業株式会社 | 黒鉛快削鋳鋼 |
JP2620695B2 (ja) * | 1987-10-21 | 1997-06-18 | マツダ株式会社 | 高強度を有する鉄系鋳物 |
JP2567258B2 (ja) * | 1987-10-21 | 1996-12-25 | マツダ株式会社 | 高強度、高剛性、高靱性を有する鉄系鋳物およびその製造法 |
JP2613612B2 (ja) * | 1988-02-10 | 1997-05-28 | 本田技研工業株式会社 | 黒鉛鋳鋼 |
US5043028A (en) * | 1990-04-27 | 1991-08-27 | Applied Process | High silicon, low carbon austemperable cast iron |
JPH07259966A (ja) * | 1994-03-24 | 1995-10-13 | Zexel Corp | 動力伝達装置のハウジング及びその製造方法 |
CN1042657C (zh) * | 1996-02-02 | 1999-03-24 | 清华大学 | 贝氏体球墨铸铁磨球 |
EP2982769A1 (en) * | 2014-08-06 | 2016-02-10 | Indexator Group AB | Austempered steel, method for producing it, component and semi-finished bad |
JP6548924B2 (ja) * | 2015-03-18 | 2019-07-24 | 虹技株式会社 | 亜共晶球状黒鉛鋳鉄 |
CN106566981B (zh) * | 2016-08-31 | 2021-05-04 | 陈宏� | 高强度铁合金及其生产工艺 |
JP6254656B1 (ja) * | 2016-09-15 | 2017-12-27 | 虹技株式会社 | 亜共晶球状黒鉛鋳鉄鋳物の製造方法 |
JP6254655B1 (ja) * | 2016-09-15 | 2017-12-27 | 虹技株式会社 | 亜共晶球状黒鉛鋳鉄鋳物の製造方法 |
CN107699820A (zh) * | 2017-10-31 | 2018-02-16 | 桂林加宏汽车修理有限公司 | 一种高抗磨钢合金 |
SE542672C2 (en) | 2018-09-14 | 2020-06-23 | Ausferritic Ab | Method for producing an ausferritic steel austempered during continuous cooling followed by annealing |
KR102286542B1 (ko) * | 2019-12-10 | 2021-08-05 | 주식회사 진흥주물 | 고강도 및 고인성을 갖는 페라이트계 주철합금 |
CN111485178B (zh) * | 2020-06-01 | 2021-11-09 | 河南科技大学 | 一种贝氏体铸钢气缸套及其制备方法 |
CN115491572A (zh) * | 2022-11-18 | 2022-12-20 | 昌黎县众创精密机件有限公司 | 一种短流程连续铸造生产球墨铸钢型材方法 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5923842A (ja) * | 1982-07-31 | 1984-02-07 | Kubota Ltd | 熱間圧延用黒鉛鋼ロ−ル材 |
JPS5926645A (ja) * | 1982-08-05 | 1984-02-10 | Aisin Warner Ltd | 自動変速機 |
-
1985
- 1985-01-30 JP JP1573685A patent/JPS61174358A/ja active Granted
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5923842A (ja) * | 1982-07-31 | 1984-02-07 | Kubota Ltd | 熱間圧延用黒鉛鋼ロ−ル材 |
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Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS61174358A (ja) | 1986-08-06 |
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