JPH0582077B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、プリント配線板上の導体回路の保護
等を目的として、当該プリント配線板上に形成さ
れるフオトソルダーレジスト被膜の形成方法に関
するものである。

（従来の技術） プリント配線板にあつては、その上に形成され
ている導体回路を剥離や酸化から保護するため
に、この導体回路を銅張積層板上に形成してか
ら、その上側にソルダーレジスト被膜を形成する
必要がある。近年のプリント配線板にあつては、
その小型軽量化及び高性能化の要望の下に、導体
回路等の高密度化を達成する必要がある。このた
め、上記のソルダーレジスト被膜についても要求
される部分についてのみ形成できるようにするた
め、フオトソルダーレジストを使用してソルダー
レジスト被膜を形成することが多く行われてい
る。

このフオトソルダーレジスト被膜の形成は、基
本的には、プリント配線板にフオトソルダーレジ
ストを塗布し、フオトマスクを介して露光した後
に、フオトソルダーレジストを現像し、次いでこ
のフオトソルダーレジストを硬化させることによ
りフオトソルダーレジスト被膜を形成する方法が
採られている。

このフオトソルダーレジストは、光（紫外光）
を照射することによつて光重合反応を起させ、こ
れによつて硬化させるものであるが、この光重合
の際にその周囲に酸素が存在すると、この酸素に
よつて上記の光重合作用に支障を来たすものであ
る。すなわち、フオトソルダーレジストの光重合
を起させる際に、その周囲に酸素が存在すると、
この酸素がフオトソルダーレジストの光重合作用
を抑制することになるのである。このような抑制
があると、不要なフオトソルダーレジスト被膜の
剥離と同時に必要な被膜をも剥離してしまうこと
になるのである。

このようなフオトソルダーレジスト被膜を形成
するフオトソルダーレジストの材料形態として、
フイルム状のものと液状のものの二種類が考えら
れる。フイルム状のフオトソルダーレジストは被
膜を形成する工程が簡略化できる等の優れた点は
あるものの、第４図に示すように、導体回路を完
全に被覆することが困難でどうしても導体回路と
基板間に空隙ができる。

このようなフイルム状のフオトソルダーレジス
トを使用してプリント配線板を形成する方法とし
て、例えば、特開昭54−1018号公報に、「予じめ
支持体の上に塗布乾燥した感光性樹脂組成物のフ
イルムを基板上に加熱、加圧積層して活性光線照
射及び現像という工程によりレジストを形成する
方法」 が示されている。この特開昭54−1018号公報自体
が提案する発明は、このような方法に適したソル
ダーレジスト用感光性樹脂組成物（フオトソルダ
ーレジスト）としてのフイルム状のフオトソルダ
ーレジストに関するものである。

ところが、このようなフイルム状のフオトソル
ダーレジストを使用する場合には、これをプリン
ト配線板上に被膜として形成するときに、当該フ
イルム状のフオトソルダーレジストを保護してい
る被膜（通常ポリエステルカバーシートと呼ばれ
る）を除去しなければならず、そのための工程を
必要とする。それだけではなく、プリント配線板
の高密度化を達成するために、この種のプリント
配線板には多数のスルーホールが形成されてお
り、このようなプリント配線板上にフイルム状の
フオトソルダーレジスト被膜を形成すると、第３
図に示すように、このフイルム状のフオトソルダ
ーレジストがスルーホールの近傍で浮き上がつた
状態となり、このフイルム状のフオトソルダーレ
ジストによつてはプリント配線板に形成されてい
るスルーホール内は保護されないことになる。換
言すれば、空気すなわちフオトソルダーレジスト
の光重合作用に悪影響を及ぼす酸素の存在を、特
に当該スルーホール内にて許すことになる。

これに対して、液状のフオトソルダーレジスト
を使用する場合には、この液状のフオトソルダー
レジストは、第５図に示すように、導体回路と基
板間の空隙形成は阻止できるものの、そのままで
は当該フオトソルダーレジストを塗布したプリン
ト配線板の運搬途中あるいは保存しておく間に空
気中の酸素によつて当該フオトソルダーレジスト
の硬化性が悪くなるために、このような形態の材
料を使用してプリント配線板を製造する上では困
難性がある。そのため、液状のフオトソルダーレ
ジスト材料は何等かの方法で保護して使用する必
要がある。特に、プリント配線板がスルーホール
を有するものの場合には、この液状のフオトソル
ダーレジストの性質に注意を払わなければならな
い。

ここで、スルーホールの役割を考えてみると、
このスルーホールはその中に形成してある導体層
によつて当該プリント配線板の表裏の導通を取る
とともに、このスルーホールを利用して電子部品
の端子等を実装することが行なわれる。近年のプ
リント配線板にあつては、電子部品を実装する部
分に半田付けを行なうが、もしこの半田の粒子が
電子部品の装着に関与しないスルーホール（通常
バイヤーホールと呼ばれる）に付着していると、
この半田粒子が剥れ落ちてこれが電子部品のシヨ
ートの原因となる。従つて、このようなスルーホ
ールに対しては、そのプリント配線板の表面側に
出る部分をフオトソルダーレジストによつて被覆
してこれを十分保護する必要があることが多い。
そうであるならば、上記のフイルム状のフオトソ
ルダーレジストを使用してフオトソルダーレジス
ト被膜を形成した場合に、前述の如くスルーホー
ル内に空気が残存したままの状態となるから、こ
の状態で当該フオトソルダーレジストを光重合さ
せた場合には、スルーホールの近傍において必要
とされるフオトソルダーレジスト被膜がスルーホ
ール内の酸素によつて十分な光重合をすることが
なく、必要なフオトソルダーレジスト被膜を形成
することが困難になるのである。

また、特に前述のような部品の装着に関与しな
いスルーホールにあつては、例えば第２図に示す
ように、その内面についても半田の付着を阻止す
るようにするために、当該スルーホールの内面を
フオトソルダーレジストによつて保護しておくこ
とが必要になる場合もあるのである。

このような従来の方法における不具合や必要性
を解決すべく、本発明の発明者が鋭意研究してき
た結果、プリント配線板上の導体回路やスルーホ
ールを保護するフオトソルダーレジスト及びこれ
を酸素から保護するものとして液状態のものを使
用することによつて、酸素の残存を完全に回避し
た被膜を形成することができることを新規に知見
し、本発明を完成したのである。

（発明が解決しようとする問題点） 本発明は以上のような経過に基づいてなされて
もので、その解決しようとする問題点は、フオト
ソルダーレジスト被膜を形成する際の酸素の残存
であり、またスルーホール内面に対するフオトソ
ルダーレジスト被膜の形成の不完全さである。

そして、本発明の目的とするところは、フオト
ソルダーレジスト被膜を形成するにあたつて、酸
素の残存を確実に防止することができるととも
に、スルーホール内面に対するフオトソルダーレ
ジスト被膜の形成を確実に行なうことのできるフ
オトソルダーレジスト被膜の形成方法を提供する
ことにある。

（問題点を解決するための手段） 以上の問題点を解決するために本発明が採つた
手段は、実施例に対応する第１図及び第２図を参
照して説明すると、 「液状フオトソルダーレジストを塗布した後
に、前記スルーホール部を含んだプリント配線板
上のフオトソルダーレジスト全表面上に液状で透
明の高分子重合体からなる被膜を形成してから前
記フオトソルダーレジストに対して露光し、次い
で前記高分子重合体からなる被膜を剥離してから
前記フオトソルダーレジストを現像して硬化させ
ることを特徴とするフオトソルダーレジスト被膜
の形成方法」 である。

すなわち、本発明に係るフオトソルダーレジス
ト被膜の形成方法にあつては、フオトソルダーレ
ジストとして液状のものを使用するとともに、こ
のフオトソルダーレジストを保護するための被膜
をも液状のものによつて形成することにより、特
にスルーホール近傍におけるフオトソルダーレジ
スト被膜の形成を確実に行うことができる方法な
のである。

本発明の方法で使用することができる液状フオ
トソルダーレジストとしては、エポキシアクリレ
ート組成物であることが好適である。その理由と
しては、酸素を遮断した状態で露光した場合、高
感度・高解像でかつ耐熱性の良い材料が開発され
ているからである。このような液状フオトソルダ
ーレジストの粘度としては、100〜10000CPSのも
のが良く、特に第１図及び第２図に示したスルー
ホール１２内部にまで浸透させるためには100〜
5000CPSのものが最適である。

このような液状フオトソルダーレジストの塗布
方法としては、浸漬、スプレー塗装、カーテン塗
装、ロール塗装、印刷がある。

本発明の方法で使用することができる高分子重
合体溶液としては、種々なものが適用でき、ポリ
ビニールアルコール、ゼラチン、水溶性ポリアミ
ドから選ばれるいずれか一種を使用することがで
きる。なお、上記の水溶性ポリアミドとしては、
Ｎ，N′ビス（γ−アミノプロピル）ピペラジア
ンジペート、ε−カプロラクタム、ブチルアミン
の共重合体を使用することができる。

上記の高分子重合体溶液の内では、特にポリビ
ニールアルコールが適しており、その中でも界面
活性剤を含有したポリビニールアルコール水溶液
が最適である。この場合の界面活性剤としては、
C12−18のアルキル硫酸もしくはスルホン酸ナト
リウム、分子量1000以下のポリオキシエチレング
リコール、及びポリオキシエチレンオクチルフエ
ニルエーテル、ジオクチルスルホコハク酸ナトリ
ウムを使用することができる。その添加量は、水
溶液に対して0.001〜10％の範囲でよく、特に0.1
〜1.0％の範囲で使用することにより、高分子重
合体溶液である当該ポリビニールアルコール水溶
液のフオトソルダーレジスト被膜１３に対するぬ
れ性を向上させることができる。ポリビニールア
ルコールとしては重合度が500〜3000、好ましく
は1500〜2000のものが良く、この理由としては、
重合度が500より小さいと被膜としての強度がな
く、3000より大きいと水に対する溶解性が悪くな
るため好ましくないからである。ケン化度につい
ては、90mol％より大きいものは水に対する溶解
度が低いため好ましくなく、逆に75mol％より小
さいものは酸素透過率が大きくなり、酸素遮断膜
としての効果が少なくなるために好ましくない。
発明者らは、各種の試験よりケン化度としては、
75〜90mol％、特に86〜89mol％のものが保護膜
として適していることを見いだした。

また、このポリビニールアルコール水溶液には
乾燥したポリビニールアルコール被膜が環境温湿
度に左右されず、一定の均一な被膜を維持するた
めに可塑剤の添加が望ましい。添加できる可塑剤
としては、グリセリン、トリメチロールプロパ
ン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ
ール、ポリエチレングリコール、ジプロピレング
リコール等が用いられ、いずれも固形分に対して
１〜50％の範囲で使用することができる。上記ポ
リビニールアルコール水溶液の粘度としては、こ
のポリビニールアルコール水溶液が十分にスルー
ホール内に浸透するために、1000CPS以下、特に
100CPS以下が好ましい。このようにして形成さ
れる被膜の厚さとしては、0.1μｍより厚い厚みが
酸素の遮断膜として最低必要であるが、10μｍよ
り厚い厚みにすると解像性の低下や、経済的な面
からも好ましくないため、0.1μｍ〜10μｍの範囲
が適している。

さらに、高分子重合体からなる被膜を形成する
にあたつては、フオトソルダーレジストを塗布し
たプリント配線板を高分子重合体の溶液中に浸漬
することによつて行なうことがより好適であり、
またフオトソルダーレジストを塗布したプリント
配線板に高分子重合体の溶液をスプレー塗装、カ
ーテン塗装、ハケ塗り、ロール塗装、印刷のいず
れかの方法によつて行うことが好適である。これ
らの方法は現状の装置にそれ程変更を加えること
なく使用することができるからであり、またこの
ような方法によつても上記の高分子重合体の塗布
を十分行なうことができるからである。

（発明の作用） 以上のように構成した本発明の方法によれば、
まず、液状のフオトソルダーレジスト材料からフ
オトソルダーレジスト被膜１３を形成するから、
各スルーホール１２内にはこの液状のフオトソル
ダーレジスト材料がよく浸透する。このため、第
２図に示したように、基板１１の表面は勿論のこ
と、基板１１の各スルーホール１２内に形成され
ている導体層１２ａの前面もこのフオトソルダー
レジストによつて完全に覆われることになる。

このようにして形成されたフオトソルダーレジ
スト被膜１３の表面に、液状の高分子重合体から
なる被膜１４を形成すれば、フオトソルダーレジ
スト被膜１３は完全に空気すなわち酸素から遮断
されるのである。このとき、被膜１４の材料は液
状であるから、浸漬等のような簡単な操作によつ
てスルーホール１２内に十分浸透し、この被膜１
４によつてスルーホール１２内のフオトソルダー
レジスト被膜１３の表面をも確実に覆うことが可
能とあるのである。

このようにしてから、フオトマスク１５を介し
てフオトソルダーレジスト被膜１３の必要部分を
光重合によつて硬化させれば、フオトソルダーレ
ジスト被膜１３は酸素の悪影響を受けることなく
硬化するのである。このように硬化されたフオト
ソルダーレジスト被膜１３を有する基板１１を、
半田層内に浸漬しても、フオトソルダーレジスト
被膜１３内には不要な半田が付着することはない
のである。

次に、実施例を用いて、本発明を詳細に説明す
る。

（実施例） 実施例 １ 表面を清浄化した両面スルーホールプリント配
線板１０の基板１１の表面に、液状フオトソルダ
ーレジストとして以下の組成のものを印刷法によ
り塗布した。

［フオトソルダーレジストの組成］ ●アクリル変性エポキシ樹脂 ……45重量部 ●ペンタエリスリトールアクリレート
……30重量部 ●エポキシ樹脂 ……25重量部 ●ジシアンジアミド ……1.5重量部 ●ベンゾフエノン ……2.7重量部 ●ミヒラーケトン ……0.3重量部 ●Ｐ−メトキシフエノール ……0.6重量部 ●メチルエチルケトン ……160重量部 このような組成物を基板１１に塗布後、80℃に
て15分間乾燥して30μｍのフオトソルダーレジス
ト層を基板１１上に形成した。

次いで、この基板１１の裏面についても上記と
同様にしてフオトソルダーレジストを塗布して乾
燥した。

そして、液状の高分子重合体として、以下の組
成のものをスプレー塗装法により上記のフオトソ
ルダーレジスト層上に塗布した。

［高分子重合体の組成］ ●部分ケン化型ポリビニールアルコール（ケン化
度86〜89mol％、重合度1700） ……６重量部 ●ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム
……0.1重量部 ●水 ……全体で100重量部になる量 このような高分子重合体の組成物を上記のフオ
トソルダーレジスト被膜の表面に塗布した後、40
℃にて60分間乾燥させることにより、１〜2μｍ
の均一な被膜が形成されていることが確認され
た。その後、基板１１の裏面についても同様な高
分子重合体を塗布することによつて、スルーホー
ル１２を含んだ基板１１の全面に、透明な高分子
重合体被膜１４が形成されていることが確認でき
た。

次にフオトマスク１５をこの基板１１に密着さ
せ、4KWの高圧水銀ランプを使用して300mj／
cm²の光量で露光したところ、21段ステツプタブレ
ツトの段数は９段であつた。そして、60℃の温水
にて60秒間スプレーすることによつて、透明な高
分子重合体被膜１４を剥離し、50℃の温風にて水
分を除去した後、18℃の１，１，１‐トリクロロ
エタンにて60秒間スプレー現像したところ、フオ
トマスク１５に対応してフオトソルダーレジスト
の必要な部分は残り、必要でない部分は除去され
た。最後に、150℃にて60秒間乾燥させることに
よつて、フオトソルダーレジスト被膜１３が形成
された。

実施例 ２ 表面を清浄化した両面スルーホールプリント配
線板１０の基板１１の表面に、液状フオトソルダ
ーレジストとして以下の組成のものをカーテン塗
装法により塗布した。

［フオトソルダーレジストの組成］ ●アクリル変性エポキシ樹脂 ……45重量部 ●ペンタエリスリトールトリアクリレート
……30重量部 ●エポキシ樹脂 ……25重量部 ●ジシアンジアミド ……1.5重量部 ●ベンゾフエノン ……2.7重量部 ●ミヒラーケトン ……0.3重量部 ●Ｐ−メトキシフエノール ……0.6重量部 ●メチルエチルケトン ……200重量部 このような組成物を基板１１に塗布後、80℃に
て15分間乾燥して30μｍのフオトソルダーレジス
ト層を基板１１上に形成した。

次いで、この基板１１の裏面についても上記と
同様にしてフオトソルダーレジストを塗布して乾
燥した。

そして、液状の高分子重合体として、以下の組
成のものを浸漬法により上記のフオトソルダーレ
ジスト層上に塗布した。

［高分子重合体の組成］ ●部分ケン化型ポリビニールアルコール（ケン化
度86〜89mol％、重合度1700）…… ４重量部 ●ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム
……0.1重量部 ●ポリエチレングリコール ＃400 ……１重量部 ●水 ……全体で100重量部になる量 このような高分子重合体の組成物中に、上記の
フオトソルダーレジスト被膜を形成した基板１１
を浸漬した後、これを40℃にて60分間乾燥させた
ところ、スルーホール１２を含んだ基板１１の全
面に１〜2μｍの均一な被膜が形成されているこ
とが確認された。

次に、フオトマスク１５をこの基板１１に密着
させ、4KWの高圧水銀ランプを使用して
300mj／cm²の光量で露光した。そして、60℃の温
水にて60秒間スプレーすることによつて、透明な
高分子重合体被膜１４を剥離し、50℃の温風にて
水分を除去した後、18℃の１，１，１‐トリクロ
ロエタンにて60秒間スプレー現像したところ、フ
オトマスク１５に対応してフオトソルダーレジス
トの必要な部分は残り、必要でない部分は除去さ
れた。最後に、150℃にて60分間乾燥させること
によつて、フオトソルダーレジスト被膜１３が形
成された。

実施例 ３ 実施例２で使用したフオトソルダーレジストの
組成物中に基板１１を浸漬して、この基板１１の
表面全体にフオトソルダーレジスト層を形成し
た。

そして、実施例２で使用したポリビニールアル
コールの代わりにゼラチンを使用した高分子重合
体をカーテン塗装法により基板１１に塗布した。
それ以外は上記実施例と同様に行つた。

その結果得られた基板１１には、必要なフオト
ソルダーレジスト被膜１３が形成されていた。

比較例 １ 表面を清浄化した両面スルーホールプリント配
線板１０の基板１１の表面に、フイルム状のフオ
トソルダーレジスト（SR1000G−75、日立化成
製商品名）を専用のラミネーターを使用して積層
した。

次に、4KWの高圧水銀ランプを使用して、フ
オトマスク１５を介してフオトソルダーレジスト
を露光した。この時の露光量は270mj／cm²であつ
た。次に前記フオトソルダーレジストを保護して
いるポリエステルカバーシートをはがしてから、
18℃の１，１，１‐トリクロロエタンにて60秒間
スプレー現像した。次に、80W／cmの高圧水銀ラ
ンプを３灯使用して3J／cm²のUV光を照射した
後、150℃にて60分間乾燥してフオトソルダーレ
ジスト被膜を形成した。

このフオトソルダーレジスト被膜の内、特にバ
イヤーホールとなるスルーホール内において、剥
離が部分的に認められた。

比較例 ２ 表面を清浄化した両面スルーホールプリント配
線板１０の基板１１の表面に、実施例２で用いた
液状のフオトソルダーレジストをカーテン塗装法
により塗布し、80℃にて15分間後乾燥させた。

引き続き、裏面も同様にして塗布した後乾燥させ
た。

次に、4KWの高圧水銀ランプを使用してフオ
トマスク１５を介してフオトソルダーレジストを
露光した。この時の露光量は700mj／cm²で、ステ
ツプタブレツドの段数は９段であつた。（21段ス
トフアー製） 次に、18℃の１，１，１‐トリクロロエタンに
て60秒間スプレー現像し、最後に150℃にて60分
間乾燥してフオソルダーレジスト被膜を形成し
た。

この場合も、上記比較例１と同様に、フオトソ
ルダーレジスト被膜の内、特にバイヤーホールと
なるスルーホール内において、剥離が部分的に認
められた。

（発明の効果） 以上に説明した通り、本発明に係るフオトソル
ダーレジスト被膜の形成方法によれば、上記実施
例にて例示した如く、 「液状フオトソルダーレジストを塗布した後
に、前記スルーホール部を含んだプリント配線板
上のフオトソルダーレジスト全表面上に液状で透
明の高分子重合体からなる被膜を形成してから前
記フオトソルダーレジストに対して露光し、次い
で前記高分子重合体からなる被膜を剥離してから
前記フオトソルダーレジストを現像して硬化させ
ること」 にその特徴があり、これにより、スルーホールを
備えたプリント配線板に対するフオトソルダーレ
ジスト被膜を形成するにあたつて、表面は勿論の
こと、上記スルーホール内に対しても酸素の残存
を確実に防止させることができるとともに、その
工程を簡略化することのできるフオトソルダーレ
ジスト被膜の形成方法を提供することができるの
である。

すなわち、まず基板１１に対して液状のフオト
ソルダーレジスト材料によつてフオトソルダーレ
ジスト被膜１３を形成するから、基板１１の表面
は勿論、この基板１１に形成されているスルーホ
ール１２の導体層１２ａ表面もこのフオトソルダ
ーレジスト被膜１３によつて被覆することができ
る。このように形成したフオトソルダーレジスト
被膜１３の表面にさらに液状の高分子重合体を形
成するようにしているから、フオトソルダーレジ
スト被膜１３の表面、特にスルーホール１２内の
導体層１２ａ上側にあるフオトソルダーレジスト
被膜１３の表面に対してもこの液状の高分子重合
体による被膜１４によつて完全に被覆することが
できるのである。従つて、フオトソルダーレジス
ト被膜１３は空気中の酸素から完全に遮断され、
当該フオトソルダーレジスト被膜１３の光重合に
よる硬化が何等の障害もなく行なうことができる
のである。

以上のように、本発明の方法によつてフオトソ
ルダーレジスト被膜１３を形成すれば、電子部品
の装着に関与しないスルーホール１２（バイヤホ
ール）の導体層１２ａ表面の完全な状態のフオト
ソルダーレジスト被膜１３によつて覆うことがで
き、当該プリント配線板１０を半田槽内に浸漬し
ても当該スルーホール１２に対して不必要な半田
が付着することはないのである。このため、以上
のような本発明により製造されたプリント配線板
１０にあつては、不要な半田は存在しないことに
なるから、従来生じていたような余分な半田によ
るシヨート等の問題を回避することができるので
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は液状の高分子重合体からなる被膜をフ
オトソルダーレジスト被膜表面に形成した状態を
示す部分拡大縦断面図、第２図はプリント配線板
の基板にフオトソルダーレジスト被膜を形成した
状態であつてスルーホールを中心に描いた第１図
に対応する部分拡大縦断面図、第３図は従来のフ
オトソルダーレジスト被膜形成方法を説明するた
めの部分拡大縦断面図、第４図はフイルム状のフ
オトソルダーレジストによつて導体回路上を覆つ
た状態を示す部分拡大縦断面図、第５図は液状の
フオトソルダーレジストを使用した場合の第４図
に対応する部分拡大縦断面図である。 符号の説明、１０……プリント配線板、１１…
…基板、１２……スルーホール、１２ａ……導体
層、１３……フオトソルダーレジスト被膜、１４
……高分子重合体からなる被膜、１５……フオト
マスク。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 少なくとも一つのスルーホール部を有するプ
   リント配線板に液状フオトソルダーレジストを塗
   布し、フオトマスクを介して露光した後に、前記
   フオトソルダーレジストを現像し、次いでこのフ
   オトソルダーレジストを硬化させることによりフ
   オトソルダーレジスト被膜を形成する方法におい
   て、 前記液状フオトソルダーレジストを塗布した後
   に、前記スルーホール部を含んだプリント配線板
   上のフオトソルダーレジスト全表面上に液状で透
   明の高分子重合体からなる被膜を形成してから前
   記フオトソルダーレジストに対して露光し、次い
   で前記高分子重合体からなる被膜を剥離してから
   前記フオトソルダーレジストを現像して硬化させ
   ることを特徴とするフオトソルダーレジスト被膜
   の形成方法。 ２ 前記液状フオトソルダーレジストとして、エ
   ポキシアクリレート組成物からなるものを使用す
   ることを特徴とする特許請求の範囲第１項に記載
   のフオトソルダーレジスト被膜の形成方法。 ３ 前記高分子重合体からなる被膜として、ポリ
   ビニールアルコール、ゼラチン、水溶性ポリアミ
   ドの中から選ばれるいずれか一種からなるものを
   使用することを特徴とする特許請求の範囲第１項
   または第２項に記載のフオトソルダーレジスト被
   膜の形成方法。 ４ 前記高分子重合体からなる被膜の形成を、前
   記フオトソルダーレジストを塗布した前記プリン
   ト配線板を前記高分子重合体の溶液中に浸漬する
   ことによつて形成するようにしたことを特徴とす
   る特許請求の範囲第１項〜第３項に記載のフオト
   ソルダーレジスト被膜の形成方法。 ５ 前記高分子重合体からなる被膜の形成を、前
   記フオトソルダーレジストを塗布した前記プリン
   ト配線板に前記高分子重合体の溶液をスプレー塗
   装、カーテン塗装、ハケ塗り、ロール塗装、印刷
   の中から選ばれるいずれか一つの方法で行つたこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第１項〜第３項に
   記載のフオトソルダーレジスト被膜の形成方法。