JPH0581518B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、建築現場において被吊物（梁材等の
鉄骨材、消波ブロツク等）をクレーンで吊し上げ
る場合にクレーンワイヤの先端と、被吊物の被吊
部（鉄骨のフランジ部やボルト孔、テトラポツト
のフツク等）の間に介在させて使用するシヤツク
ルの改良に関するものである。

［従来の技術］ 従来、この種のシヤツクルとしてフランジ受嵌
スリツトを有し該スリツトと直交するピン孔を設
けたシヤツクル本体と、前記ピン孔にスライド自
在に嵌装され押圧することによりフランジ受嵌ス
リツトを閉鎖すると共に一端に取付けた牽引線を
牽引することによりフランジ受嵌スリツトを開放
するシヤツクルピンと、フランジ受嵌スリツトを
閉鎖した状態においてシヤツクルピンに設けられ
た係止ピン嵌合溝にバネの付勢力によつて嵌合し
てシヤツクルピンを固定係止し、一端に取付けた
牽引線を牽引することにより係止ピン嵌合溝から
抜き出されシヤツクルピンの固定を解除する係止
ピンとからなるものが知られている（実公昭52−
9755号公報参照）。

［発明が解決しようとする問題点］ 従来のこのシヤツクルにあつては、 () 構造が複雑で故障しやすい； () シヤツクルピンが円柱形に形成され、この
シヤツクルピンを収容するピン筒が外部に突出
する構造になつているため、牽引線の牽引をピ
ン筒の配設方向と同方向に行なつてはじめて、
このシヤツクルピンによる固定の解除が円滑に
なされる構成になつている。従つて、このシヤ
ツクルの機能を十分に発揮させるためには、特
定方向から牽引する必要があり、牽引する際、
角度のある上方や下方から牽引を行なわなけれ
ばならない場合には作業効率が極めて悪くな
る； () 作業中にピン筒に鉄骨が衝突する等して該
部分に不測の外力が加わると、ピン筒が折曲し
あるいは破壊することがあり、この場合には、
シヤツクルとしての用をなさなくなる； 等の問題点があつた。

従つて、本発明の目的は、構造が簡単でしかも
操作も簡単なシヤツクルを提供することにある。

本発明の他の目的は、必要に応じ牽引線の牽引
方向を任意に選択し得るシヤツクルを提供するこ
とにある。

本発明のもう一つ他の目的は、シヤツクルの主
要構成要素であり、被吊物の被吊部と係合するピ
ンを、シヤツクル本体から突出しないように収容
し、シヤツクル本体に外力が加わつてもピンの動
作に支障をきたすことのないシヤツクルを提供す
ることにある。

本発明のさらに他の目的は、被吊物の重量に合
わせて、吊支力を調節できるシヤツクルを提供す
ることにある。

［課題を解決するための手段］ 本発明は、内部に環状の案内溝を有するとと被
吊物の被吊部を受嵌する受嵌用スリツトを有する
シヤツクル本体と、該シヤツクル本体に収容さ
れ、前記受嵌用スリツトに出没して前記受嵌用ス
リツトの閉鎖、開放を行ない、被吊物の被吊部と
係合するセツトピンと、一端が前記セツトピンに
取付けられ、他端が前記シヤツクル本体外に導出
されて前記セツトピンを牽引する牽引線と、前記
セツトピンとバネ用受片との間に配設した前記セ
ツトピン付勢用のバネと、該バネによつて付勢さ
れた前記セツトピンの動きを制止するストツパ
と、前記牽引線を牽引し、前記セツトピンが前記
シヤツクル本体内に没して前記受嵌用スリツトが
開放した際に、前記バネによつて付勢された前記
セツトピンの動きを停止させるセツトピン停止手
段とを具備し、前記案内溝に前記セツトピン、バ
ネ用受片、バネ、ストツパを収容し、前記牽引線
を牽引することにより、前記セツトピンを前記案
内溝において前記バネに抗しながらスライドせし
めて前記受嵌用スリツトに出没させ、被吊物の被
吊部への係脱を行うことを特徴とするシヤツクル
である。

そして、上記セツトピンを円弧状に形成し、か
つ上記案内溝にスライド自在に嵌装させることが
好ましい。

また、上記案内溝を囲成する両側壁に、上記バ
ネ用受片が嵌合する一対の縦溝を少なくとも２個
刻設して上記バネ用受片の位置を移動可能に構成
し、かつ上記縦溝近傍に上記牽引線引出し孔を設
け、上記牽引線の牽引位置を上記バネ用受片の位
置の移動にともない移動させ得るようにすること
が好ましい。

［作用］ 上記のように構成されたシヤツクルの牽引線を
牽引すると、シヤツクル本体内に大部分が収容さ
れているセツトピン（使用前においては、セツト
ピンは、受嵌用スリツトを閉鎖している部分のみ
が外部に現われて見える）が、同じくシヤツクル
本体内に収容されているバネの付勢力に抗しなが
ら引張られ、セツトピンはシヤツクル本体内の案
内溝に案内されて、シヤツクル本体内に完全に没
する。従つて、この状態では、受嵌用スリツトは
開放され、セツトピンは外部からは見えない。

そして、その状態でセツトピン停止用の停止手
段を動作させると、セツトピンはバネに付勢され
たままの状態でその動作は停止する。このとき、
シヤツクルの受嵌用スリツトにはセツトピンは存
在せず開放状態になるため、該受嵌用スリツトを
被吊物の被吊部で閉鎖し、その後、停止手段によ
るセツトピンの停止を解除すると、セツトピンは
バネに付勢されているので、原状に復帰するよう
動作し、シヤツクル内の案内溝に案内されながら
セツトピン先端部がシヤツクルの受嵌用スリツト
に出現して、被吊物の被吊部に係合（連結）し、
更にバネに付勢されたセツトピンは、シヤツクル
の他方側の案内溝に収容される。

被吊物を仮留めした後は、セツトピンには被吊
物の重量がかからない状態になるので、セツトピ
ンと被吊物の被吊部との連結を解除する場合、牽
引線を牽引してセツトピンを引張ることにより、
受嵌用スリツトにおけるセツトピンと被吊物の被
吊部との連結は解除される。

［実施例］ 実施例について図面を参照して説明する。第１
図乃至第２図において、シヤツクル１は、内部に
環状の案内溝１１を有するとともに、被吊物３０
の被吊部３１が受嵌する受嵌用スリツト１２を有
するシヤツクル本体２と、このシヤツクル本体２
に収容され、前記受嵌用スリツト１２に出没して
前記受嵌用スリツト１２の閉鎖、開放を行ない、
被吊物３０の被吊部３１と係脱をはかるセツトピ
ン１３と、一端が前記セツトピン１３に取付けら
れ、他端が前記シヤツクル本体２外に導出されて
前記セツトピン１３を牽引する牽引線２０とを含
んで構成されている。

このうち、シヤツクル本体２は、一対の挟着体
３，４を組立てることによつて構成され、該狭着
体３，４に穿設した多数のボルト挿通孔６１，６
１…に配したボルトとナツトにより螺着し一体的
に形成されている。前記挟着体３，４の合わせ面
はインロー式に形成され、しかして組立てボルト
の剪断もない。更に、シヤツクル本体２は、前記
セツトピン１３とバネ用受片１４との間に配設し
た前記セツトピン１３付勢用のバネ１５と、該バ
ネ１５によつて付勢された前記セツトピン１３の
動きを制止するストツパ１６と、前記牽引線２０
を牽引し、前記セツトピン１３が前記シヤツクル
本体２内に没して前記受嵌用スリツト１２が開放
した際に、前記バネ１５によつて付勢された前記
セツトピン１３の動きを停止させる停止手段１７
とを具備している。そして前記案内溝１１に前記
セツトピン１３、バネ用受片１４、バネ１５、ス
トツパ１６を収容し、前記牽引線２０を牽引する
ことにより、前記セツトピン１３をピン受部であ
る前記案内溝１１において前記バネ５に抗しなが
らスライドせしめて前記受嵌用スリツト１２に出
没させ、被吊物３０の被吊部３１への係脱を行
う。

又、前記案内溝１１を囲成する両側壁には、前
記バネ用受片１４が嵌合する一対の縦溝１８Ａと
１８Ｂ、１９Ａと１９Ｂが刻設してあり、前記バ
ネ用受片１４の位置を移動可能な構成になつてい
る。この実施例では、縦溝は２個刻設してあり、
第４図に示すように、縦溝１９Ａ，１９Ｂにバネ
用受片１４を嵌合させることにより、前記バネ１
５の付勢力を調節して、より荷重のある被吊物を
吊り上げることが可能である。そして、この縦溝
１８Ａ，１９Ａ近傍には、前記牽引線２０を引出
す引出し孔２１，２２，２３を３ケ所設け、前記
牽引線２０の牽引位置を前記バネ用受片１４の位
置の移動にともない移動させ得るようになつてい
る。符合２４は滑車であり、前記牽引線２０を上
方の引出し孔２３や、側部の引出し孔２２から牽
引する場合に、その牽引を円滑に行なうのに寄与
する。この滑車２４、シヤツクル本体２における
前記引出し孔２２，２３に隣接する凹所に収容さ
れている。

更に、前記セツトピン１３は円弧状に形成さ
れ、かつ前記案内溝１１にスライド自在に嵌装さ
れている。前記セツトピン１３は、可動前は第２
Ｂ図の一点鎖線Ｌより上方部分の自重によつて前
記ストツパ１６に当接しており、安定した状態に
ある。又、前記バネ用受片１４は、面板によつて
形成され、その中央には、前記牽引線２０導出を
導出するための導出孔（図示せず）が穿設されて
いる。

そして、前記セツトピン停止手段１７は、前記
シヤツクル本体２の軸承部（図示せず）によつて
枢支された短軸１７Ａと、操作片１７Ｂと、該操
作片１７Ｂを上方へ付勢するバネ１７Ｃと、そし
て前記セツトピン１３の先端部と係合する係合爪
片１７Ｄとより構成されている（第５Ａ図、第５
Ｂ図参照）。このため、前記操作片１７Ｂの右端
を下方へ押圧すると、前記操作片１７Ｂは短軸１
７Ａを中心に回転し、上方へ作動する。

尚、セツトピン停止手段５６は、第９Ａ図、第
９Ｂ図に示すように、シヤツクル本体２の受嵌用
スリツト１２近傍に穿設した貫通孔５７と、該貫
通孔に挿通する挿通ピン５８とによつて構成して
もよい。

符号５は、シヤツクル本体２に形成された、ク
レーン先端部を連結するための取付孔である。

［発明の効果］ 本発明は以上説明したように構成されているの
で、以下に記載されるような効果を奏する。

セツトピン受部である案内溝の面積を多くとれ
てセツトピンが常時安定した状態にありセツトピ
ンの動作もスムーズであり、かつ案内溝に主要な
構成要素を配し構造が簡単であるため、故障が少
なく、しかも被吊物の吊り上げ作業を連続性をも
つて行なえ、その操作も簡単である。

又、被吊物を地上であらかじめ吊り上げ状態に
セツトした後に被吊物を吊り上げ、更に仮留めし
た後は、安全な場所にいる地上の作業者が牽引線
を牽引操作するだけでシヤツクルと被吊物との係
合を解除でき、このため操作時における作業者の
身の危険を確実に回避できる（事故を防止でき
る）。

そして、セツトピンを付勢しているバネの一端
に配設したバネ用受片の位置を移動し、更に牽引
線の牽引方向を変えることにより、必要に応じて
牽引線の牽引方向を変えられるので、作業を円滑
に行なうことができる。

更に、被吊物の被吊部と係合するセツトピン
が、シヤツクル本体から突出しないように収容さ
れいるので、シヤツクル本体に外力が加わつても
セツトピンの動作に支障を来すことがない。又組
立て式であるため点検整備が容易である。

加うるに、セツトピンはバネで付勢されており
セツトピンの抜けがないとともに、セツトピンを
付勢しているバネの一端に配設したバネ用受片の
位置を移動したり、バネを変えたりして、被吊物
の重量に合わせて吊支力を調節できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るシヤツクルの斜視図、第
２Ａ図、第２Ｂ図はシヤツクル本体を構成してい
る一対の挟着体を分離しそれぞれの内部構成を示
す正面図、第３図は第２Ｂ図の位置にある牽引線
を牽引しセツトピンが移動した状態を示す挟着体
内部図、第４図はバネ用受板の位置を移動させた
状態を示す挟着体内部図、第５Ａ図は本発明を構
成しているセツトピン停止装置の拡大平面図、第
５Ｂ図はその断面略図、第６図乃至第８図は使用
状態を示す図、第９Ａ図はセツトピン停止装置の
他の実施例を示す拡大平面図、第９Ｂ図はその断
面略図である。 １……シヤツクル、２……シヤツクル本体、
３，４……挟着体、１１……案内溝、１２……受
嵌用スリツト、１３……セツトピン、１４……バ
ネ用受片、１５……バネ、１６……ストツパ、１
７……セツトピン停止手段、２０……牽引線、２
１，２２，２３……引出し孔。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 内部に環状の案内溝１１を有するとともに、
   被吊物３０の被吊部３１を受嵌する受嵌用スリツ
   ト１２を有するシヤツクル本体２と、 該シヤツクル本体２に収容され、前記受嵌用ス
   リツト１２に出没して前記受嵌用スリツト１２の
   閉鎖、開放を行ない、被吊物３０の被吊部３１と
   係合するセツトピン１３と、 一端が前記セツトピン１３に取付けられ、他端
   が前記シヤツクル本体２外に導出されて前記セツ
   トピン１３を牽引する牽引線２０と、 前記セツトピン１３とバネ用受片１４との間に
   配設した前記セツトピン付勢用のバネ１５と、 該バネ１５によつて付勢された前記セツトピン
   １３の動きを制止するストツパ１６と、 前記牽引線２０を牽引し、前記セツトピン１３
   が前記シヤツクル本体２内に没して前記受嵌用ス
   リツト１２が開放した際に、前記バネ１５によつ
   て付勢された前記セツトピン１３の動きを停止さ
   せるセツトピン停止手段１７，５６とを具備し、
   前記案内溝１１に前記セツトピン１３、バネ用受
   片１４、バネ１５、ストツパ１６を収容し、前記
   牽引線２０を牽引することにより、前記セツトピ
   ン１３を前記案内溝１１において前記バネ１５に
   抗しながらスライドせしめて前記受嵌用スリツト
   １２に出没させ、被吊物３０の被吊部３１への係
   脱を行うことを特徴とするシヤツクル。 ２ 内部に環状の案内溝１１を有するとともに、
   被吊物３０の被吊部３１を受嵌する受嵌用スリツ
   ト１２を有するシヤツクル本体２と、 該シヤツクル本体２に収容され、前記受嵌用ス
   リツト１２に出没して前記受嵌用スリツト１２の
   閉鎖、開放を行ない、被吊物３０の被吊部３１と
   係合するセツトピン１３と、 一端が前記セツトピン１３に取付けられ、他端
   が前記シヤツクル本体２外に導出されて前記セツ
   トピン１３を牽引する牽引線２０と、 前記セツトピン１３とバネ用受片１４との間に
   配設した前記セツトピン付勢用のバネ１５と、 該バネ１５によつて付勢された前記セツトピン
   １３の動きを制止するストツパ１６と、 前記牽引線２０を牽引し、前記セツトピン１３
   が前記シヤツクル本体２内に没した際に、前記バ
   ネ１５によつて付勢された前記セツトピン１３の
   動きを停止させるセツトピン停止手段１７，５６
   とを具備し、前記案内溝１１に前記セツトピン１
   ３、バネ用受片１４、バネ１５、ストツパ１６を
   収容するとともに、前記案内溝１１を囲成する両
   側壁に、前記バネ用受片１４が嵌合する一対の縦
   溝１８Ａ，１８Ｂ，１９Ａ，１９Ｂを少なくとも
   ２個刻設して前記バネ用受片１４の位置を移動可
   能に構成し、かつ該縦溝１８Ａ，１８Ｂ，１９
   Ａ，１９Ｂ近傍に前記牽引線引出し用の引出し孔
   ２１，２２，２３を設け、前記牽引線２０の牽引
   位置を前記バネ用受片１４の位置の移動にともな
   い移動させ、前記牽引線２０を牽引することによ
   り、前記セツトピン１３を前記案内溝１１におい
   て前記バネ１５に抗しながらスライドせしめて前
   記受嵌用スリツト１２に出没させ、被吊物３０の
   被吊部３１への係脱を行うことを特徴とするシヤ
   ツクル。 ３ 前記セツトピン１３が円弧状に形成され、か
   つ前記案内溝１１にスライド自在に嵌装されてい
   る特許請求の範囲第１項又は第２項記載のシヤツ
   クル。 ４ 前記バネ用受片１４が、画板によつて形成さ
   れ、その中央に前記牽引線導出用の導出孔が穿設
   されている特許請求の範囲第１項又は第２項記載
   のシヤツクル。