JPH0580965U - 車両のこもり音低減装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 車両のキャブ構成用パネルを利用した共鳴空
気室によって、車室内こもり音を効果的に防止すること
を目的とする。 【構成】 車両のキャブ構成用パネル２内部に、所定容
積の空気室７を仕切部材９により仕切形成し、仕切部材
９の壁部９ａには、空気室７を外部と連通する連通孔１
０を開設することにより、空気室７が、例えば吸気音固
有の問題となる周波数と同じ周波数で共鳴する共鳴体と
なり、音のエネルギーが減衰されて、こもり音の発生を
抑えることが可能となる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、車両の車室内こもり音を低減する装置に関し、特に、車両のキャブ 構成用パネルを利用した消音構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

例えばトラック等のキャブは特定のエンジン回転数で吸気系音に起因するこも り音が発生し易い。特に、図４に示すように、エアクリーナに接続された吸気ダ クトをキャブの背面近傍位置に垂直に延設して吸気口を開口するようにしている ものでは、吸気口からの吸気音の影響が大である。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

即ち、前記吸気ダクトの吸気口から発せられる音は約５００Ｈｚ以下で幾つか の特有の共振周波数を持っており、前記吸気口から発せられる音がキャブ内に伝 わり、こもり音となることが多い。 尚、従来、吸気系や排気系に消音装置（レゾネータ，マフラー等）を設けるよ うにしたものがあるが、これでは、吸気口から発せられる音の伝達によるキャブ 内のこもり音は消音することはできない。

【０００４】 又、車室内の騒音を低減する装置として、従来、実開昭６１−１４３２００号 公報に示す技術がある。 本考案は如上のような従来の問題に鑑み、車両のキャブ構成用パネルを利用し た共鳴空気室によって、車室内こもり音を効果的に防止することを目的とするも のである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

このため、本考案は、内板と外板との間に空所を形成して構成される車両のキ ャブ構成用パネル内部に、密閉された所定容積の空気室を仕切形成し、該空気室 を仕切る壁に該空気室と外部とを連通する連通孔を設けた。

【０００６】

【作用】

トラック等のキャブは特定のエンジン回転数で吸気系音に起因するこもり音が 発生し易く、特に、キャブパネル近傍に開口された吸気ダクトからの吸気音の影 響が大である。本構成によれば、パネルに設けた空気室が、例えば吸気音固有の 問題となる周波数と同じ周波数で共鳴する共鳴体となり、音のエネルギーが減衰 されて、こもり音の発生を抑えることが可能となる。

【０００７】

【実施例】

以下、添付された図面を参照して本考案を詳述する。 図１及び図２において、トラック等の車両のキャブ１は、キャブ構成用パネル ２によって構成される。このキャブ構成用パネル２は、内板３と外板４との間に 空所を形成して構成される。一方、エアクリーナ５に接続された吸気ダクト６は 、前記キャブ１の背面近傍位置に垂直に延設され、その先端は吸気口６Ａとして 開口される。

【０００８】 ここで、前記車両のキャブ構成用パネル２内部の前記吸気口６Ａ近傍位置には 、所定容積の空気室７が仕切形成される。この場合、キャブ構成用パネル２内部 に仕切部材９が配設される。この仕切部材９には、逆向きに開放する略コ字形部 ９Ａ，９Ｂが隣接して形成されている。一方の略コ字形部９Ａは他方の略コ字形 部９Ｂよりも開放部が大きく形成される。そして、この一方の略コ字形部９Ａに よって、前記空気室７が仕切り形成される。仕切部材９の壁部９ａには、空気室 ７を外部と連通する連通孔１０が開設される。

【０００９】 かかる構成によると、パネル２に設けた空気室７が、例えば吸気音固有の問題 となる周波数と同じ周波数で共鳴する共鳴体となり、音のエネルギーが減衰され て、こもり音の発生を抑えることが可能となる。 この場合、図３は、吸気口６Ａから発せられる吸気音の周波数と吸気口６Ａの 近傍位置の音との関係を示しており、吸気音固有の問題となる周波数で吸気口６ Ａの近傍位置の音が大きいことを示している。

【００１０】 従って、空気室が吸気音固有の問題となる周波数と同じ周波数で共鳴するよう に、空気室７の容積並びに連通孔１０の径を設計すれば、音のエネルギーが減衰 される。 尚、例えば、連通孔１０の径を大きく設定すれば、共鳴周波数は高くなり、連 通孔１０の径を小さく設定すれば、共鳴周波数は低くなる。

【００１１】 図４は、空気室７（共鳴体）の音響減衰特性を示しており、空気室７が吸気音 固有の問題となる周波数と同じ周波数で共鳴することにより、音の減衰力が大き くなって、こもり音を低減できることが明らかである。 尚、本考案は実施例の構成に限定されるものではなく、実用新案登録請求の範 囲に基づいて種々の変更が可能である。

【００１２】 例えば、本考案においては、吸気口６Ａ近傍のパネル２部に空気室を設けるよ うにしたが、それ以外の部位でも良い。 又、空気室７の仕切構造も実施例に限るものではない。

【００１３】

【考案の効果】

以上説明したように本考案は、車両のキャブ構成用パネル内部に、密閉された 空気室を仕切形成し、該空気室を仕切る壁に該空気室と外部とを連通する連通孔 を設けるようにしたから、空気室が、例えば吸気音固有の問題となる周波数と同 じ周波数で共鳴する共鳴体となることにより、音のエネルギーが減衰されて、こ もり音の発生を抑えることができるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案に係る車両のこもり音低減装置の一実
施例を示すキャブの概略図

【図２】 図１のＡ部拡大断面図

【図３】 吸気口の近傍の音の特性図

【図４】 空気室の音響減衰特性図

【符号の説明】

１ キャブ ２ キャブ構成用パネル ７ 空気室 ９ 仕切部材 １０ 連通孔

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 内板と外板との間に空所を形成して構成
   される車両のキャブ構成用パネル内部に、密閉された所
   定容積の空気室を仕切形成し、該空気室を仕切る壁に該
   空気室と外部とを連通する連通孔を設けたことを特徴と
   する車両のこもり音低減装置。