JPH0580957U - ラックアンドピニオン形舵取装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】ローラガイドとラック軸との当接部において、
前記ローラガイドの内外の径差による前記ローラガイド
のすべりの発生のおそれをなくすことと、前記ラック軸
から作用するスラスト荷重に対する前記ラック軸の保持
を行うこととを目的とする。 【構成】ローラガイド２０を回転軸線方向に摺動可能と
したことと、ラック軸１２にスラスト荷重がかかった時
に、ラックガイド１４とラック軸１２とが当接するよう
に、ラック軸１２の前記スラスト荷重方向の両側でラッ
クガイド１４に当接部を設けた。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ラックアンドピニオン形舵取装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

ラックアンドピニオン形舵取装置では、図２に示すように、ハンドル操作で回 転されるピニオン軸１１に形成したピニオン歯１１ａと車輪と連結したラック軸 １２に形成したラック歯１２ａが、ギヤハウジング１０内で噛合している。この 噛合部に対してラック軸１２の反対側のギヤハウジング１０には、シリンダ穴１ ３が形成され、このシリンダ穴１３にラック軸１２を受承するラックガイド１４ が挿入されている。また、シリンダ穴１３の開口端にはラック押え１７が螺合さ れ、このラック押え１７とラックガイド１４の間には、ラックガイド１４をラッ ク軸１２に向けて押圧するスプリング１６が介挿されている。そして、そのスプ リング１６の押圧力によりピニオン軸１１のピニオン歯１１ａとラック軸１２の ラック歯１２ａが所定の噛合力で噛み合うようになっている。ラックガイド１４ には、ピニオン軸１１の軸線と平行にピン２１が固定され、そのピン２１を中心 として凹状の曲面を有する円筒状のローラガイド２０が回転可能に支持され、こ の凹状の曲面が断面略半円形状のラック軸１２に当接している。また、ローラガ イド２０はピン２１との間に、すべり軸受２２が介挿されている。

【０００３】 上記の構成で、ラック軸１２の往復動により、ローラガイド１４が回転し、ラ ック軸１２の摺動抵抗を低減している。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

この種のラックアンドピニオン形舵取装置では、ローラガイド２０とラック軸 １２の当りを線接触にしているが、図２に示すように、ローラガイド２０とラッ ク軸１２との接触角θが小さいため、ラック軸２０に作用するピン２１の軸方向 の大きなスラスト荷重を前記ローラガイド２０で受けることができない。また、 大きなスラスト荷重を受けるために、ローラガイド２０とラック軸１２との接触 角θを大きくすると、ローラガイド２０の中央部の径とローラガイド２０の端の 径の差が大きくなり、ラック軸１２の動きに合わせて、ローラガイド２０が回転 した時に、ローラガイド２０の中央部と端との間に回転差が生じ、中央部と端の どちらかにすべりが生じる。このように、ローラガイド２０のすべりによる摩耗 のおそれが大きくなるとともに、本体自体の大きさが大きくなり、搭載上不利に なる等の問題があった。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案は、上述した問題を解決するためになされたもので、ギヤハウジングに ピニオン軸に噛合するラック軸を摺動可能に設け、前記ギヤハウジングに前記ピ ニオン軸と前記ラック軸の噛合の反対側にシリンダ穴を形成し、このシリンダ穴 に前記ラック軸を押圧するラックガイドを嵌挿し、このラックガイドに前記ラッ ク軸の外周に合致する凹状の曲面を有する鼓形状のローラガイドを前記ラック軸 と直交する軸線回りに回転可能に軸支し、前記ラックガイドと前記ギヤハウジン グに固設したスプリング押えとの間にスプリングを介挿し、このスプリングによ って、前記ローラガイドを前記ラック軸に押圧するようにしたラックアンドピニ オン形舵取装置において、前記ローラガイドを前記ラックガイドに回転可能にか つ回転軸線方向に摺動可能に軸支し、前記ラック軸に前記ローラガイドの回転軸 線と平行な方向のスラスト荷重がかかった時に、前記ラックガイドと前記ラック 軸とが当接するように、前記ラック軸の前記スラスト荷重方向の両側で前記ラッ クガイドに当接部を設けたものである。

【０００６】

【作用】

上記の構成により、ハンドル操作が開始されて前記ピニオン軸が回転すると、 その前記ピニオンの回動が前記ラック軸に伝えられて前記ラック軸が往復運動を する。その際、前記ラック軸と前記ピニオン軸の噛合部は、前記ラック軸の反対 側から前記ラックガイドで押圧されて所定の噛合力で噛み合うようになっている 。通常走行時には、前記ラック軸からの作用はラジアル荷重のみのため、前記ロ ーラガイドで、そのラジアル荷重を受け、前記ローラガイドの回転によりラック 軸が安定した摺動抵抗を得ることで、滑らかなハンドルフィーリングが得られる 。また、悪路等の走行時に前記ラック軸から作用するスラスト荷重が発生した場 合には、前記ローラガイドが摺動して前記ラック軸が前記ラックガイドの当接部 に当接することにより前記ラックガイドで前記スラスト荷重が受けられ、スラス ト剛性が向上する。

【０００７】

【実施例】

以下本考案の実施例を図面に基づいて説明する。 図１において、１０はギヤハウジングを示し、このギヤハウジング１０には図 略のハンドルにより回動されるピニオン軸１１が回転可能に軸承されている。ピ ニオン軸１１に形成されたピニオン歯１１ａにはラック軸１２のラック歯１２ａ が噛み合わされている。ラック軸１２はギヤハウジング１０に摺動可能に嵌挿さ れて、両端には図略の車輪が連結されてる。

【０００８】 ラック軸１２とピニオン軸１１の噛合部に対してラック軸１２の反対側のギヤ ハウジング１０には、シリンダ穴１３が形成され、このシリンダ穴１３に円筒状 のラックガイド１４がシリンダ穴１３に挿入されている。また、シリンダ穴１３ の開口端にはラック押え１７が螺合され、このスプリング押え１７とラックガイ ド１４の間には、ラックガイド１４をラック軸１２に向けて押圧するスプリング １６が介挿されている。そして、そのスプリング１６の押圧力によりピニオン軸 １１のピニオン歯１１ａとラック軸１２のラック歯１２ａが所定の噛合力で噛み 合うようになっている。

【０００９】 ラックガイド１４には、ピニオン軸１１の軸線と平行にピン２１が固定され、 そのピン２１を中心にしてラック軸１２と所定の接触角で当接する凹状の曲面を 有するローラガイド２０が回転可能にかつ回転軸線方向に摺動可能に軸支されて いる。また、ローラガイド２０はピン２１との間に、すべり軸受２２が介挿され ている。ラックガイド１４のラック軸１２側の端部には、断面略半円形状のラッ ク軸１２の外周に面接触する曲面形状の当接面１４ａを有する当接部１４ｂが形 成され、通常は、ラック軸１２と当接部１４ｂの間には微少なすきまがあり、ラ ック軸１２と当接部１４ｂは接触しておらず、スラスト荷重によってローラガイ ド２０とともにラック軸１２がローラガイド２０の回転軸線方向に移動したとき は、前記当接面１４ａにラック軸１２が接触できるようになっている。

【００１０】 次に上述した構成に基づいて本考案の実施例の作用を説明する。 ハンドル操作が開始されてピニオン軸１１が回転すると、そのピニオン軸１１ の回動がラック軸１２に伝えられてラック軸１２が往復運動をする。その際、ラ ック軸１２とピニオン軸１１の噛合部は、ラック軸１２の反対側からラックガイ ド１４で押圧されて所定の噛合力で噛み合うようにしている。そのラックガイド １４がラック軸１２を押圧する部分は、ピン２１にすべり軸受２２を介して回転 可能に支持したローラガイド２０からなり、ローラガイド２０がラック軸１２に 当接している。そのため、通常走行時には、ラック軸１２からの作用はラジアル 荷重のみのため、ローラガイド２０で、ラジアル荷重を受け、ローラガイド２０ の回転によりラック軸１２が安定した摺動抵抗を得られることで、滑らかなハン ドルフィーリングが得られる。また、悪路等の走行時にラック軸１２から作用す るスラスト荷重が発生した場合には、ローラガイド２０が摺動することによりラ ックガイド１４の当接面１４ａにラック軸１２が当接し、当接面１４ａで前記ス ラスト荷重が受けられる。

【００１１】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案は、ギヤハウジングにピニオン軸に噛合するラッ ク軸を摺動可能に設け、前記ギヤハウジングに前記ピニオン軸と前記ラック軸の 噛合の反対側にシリンダ穴を形成し、このシリンダ穴に前記ラック軸を押圧する ラックガイドを嵌挿し、このラックガイドに前記ラック軸の外周に合致する凹状 の曲面を有する鼓形状のローラガイドを前記ラック軸と直交する軸線回りに回転 可能に軸支し、前記ラックガイドと前記ギヤハウジングに固設したスプリング押 えとの間にスプリングを介挿し、このスプリングによって、前記ローラガイドを 前記ラック軸に押圧するようにしたラックアンドピニオン形舵取装置において、 前記ローラガイドを前記ラックガイドに回転可能にかつ回転軸線方向に摺動可能 に軸支し、前記ラック軸に前記ローラガイドの回転軸線と平行な方向のスラスト 荷重がかかった時に、前記ラックガイドと前記ラック軸とが当接するように、前 記ラック軸の前記スラスト荷重方向の両側で前記ラックガイドに当接部を設けた ことを特徴とするもので、通常走行時に前記ラック軸から作用するラジアル荷重 を前記ローラガイドで受け、前記ローラガイドの回転により前記ラックが安定し た摺動抵抗を得られることで、滑らかなハンドルフィーリングが得られる。また 、悪路等の走行時に前記ラック軸から作用するスラスト荷重が発生した場合には 、前記ローラガイドが摺動して前記ラック軸が前記ラックガイドの当接部に当接 することにより前記ラックガイドで前記スラスト荷重が受けられ、スラスト剛性 が向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示すもので、ラックギヤ部と
ピニオンギヤ部が噛合する部分の断面図である。

【図２】従来の技術を示すもので、ラックギヤ部とピニ
オンギヤ部が噛合する部分の断面図である。

【符号の説明】

１０ ギヤハウジング １１ ピニオン軸 １２ ラック軸 １３ シリンダ穴 １４ ラックガイド １４ａ 当接面 １４ｂ 当接部 １６ スプリング １７ スプリング押え ２０ ローラガイド ２１ ピン ２２ すべり軸受

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ギヤハウジングにピニオン軸に噛合する
   ラック軸を摺動可能に設け、前記ギヤハウジングに前記
   ピニオン軸と前記ラック軸の噛合の反対側にシリンダ穴
   を形成し、このシリンダ穴に前記ラック軸を押圧するラ
   ックガイドを嵌挿し、このラックガイドに前記ラック軸
   の外周に合致する凹状の曲面を有する鼓形状のローラガ
   イドを前記ラック軸と直交する軸線回りに回転可能に軸
   支し、前記ラックガイドと前記ギヤハウジングに固設し
   たスプリング押えとの間にスプリングを介挿し、このス
   プリングによって、前記ローラガイドを前記ラック軸に
   押圧するようにしたラックアンドピニオン形舵取装置に
   おいて、前記ローラガイドを前記ラックガイドに回転可
   能にかつ回転軸線方向に摺動可能に軸支し、前記ラック
   軸に前記ローラガイドの回転軸線と平行な方向のスラス
   ト荷重がかかった時に、前記ラックガイドと前記ラック
   軸とが当接するように、前記ラック軸の前記スラスト荷
   重方向の両側で前記ラックガイドに当接部を設けたこと
   を特徴とするラックアンドピニオン形舵取装置。