JPH0577627B2 - - Google Patents

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JPH0577627B2
JPH0577627B2 JP60139976A JP13997685A JPH0577627B2 JP H0577627 B2 JPH0577627 B2 JP H0577627B2 JP 60139976 A JP60139976 A JP 60139976A JP 13997685 A JP13997685 A JP 13997685A JP H0577627 B2 JPH0577627 B2 JP H0577627B2
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mullite
crystal
container
sintered body
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Hiroshi Murakami
Koji Oonishi
Toshio Kawanami
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Nikkato Corp
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  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
産業上の利用分野 本発明は、ムライト焼結体からなる熱処理用容
器に関する。 従来の技術及びその問題点 熱処理用容器は、匣鉢、サガー、ルツボなどと
称されるものであり、その使用目的の一つとし
て、石油、ガス、電気等を熱源とする熱処理炉に
おいて、熱源や炉壁などから発生する有害物質に
よる被熱処理材の汚染を防止し、また被熱処理材
に含まれる成分が炉内雰囲気中や炉材へ拡散する
ことを防止するために被熱処理材を収納して用い
ることがある。このような目的で用いる熱処理用
容器としては、種々の形状のものが考案されてお
り、底部と側壁部とが一体となつた容器や複数個
に分割された容器に必要に応じて敷板などを組み
合わせたものを本体とし、これに気密性を確保す
るために上ぶた部を組み合わせた構造の容器など
がある。 また、熱処理用容器は、この他に、熱処理を効
率よく行なう目的にも用いられるものである。か
かる目的では、被熱処理材の汚染が重要視されな
い場合には、熱処理用容器は必ずしも上ぶた部を
必要とせず、底部と側壁部とが一体となつた容
器、複数個に分割された容器、これらの容器を本
体として敷板等によつて構成された容器等も使用
できる。 近年、機能性セラミツクスにおける微量成分の
精密制御、半導体工業における高集積化、アドバ
ンスセラミツクスにおける高温かつクリーンな環
境での熱処理の必要性などの各種要望によつて熱
処理条件は非常に重要とされ、特に酸素の存在す
る雰囲気下での熱処理における熱処理用容器の重
要性が増大しつつある。 このような観点から、熱処理用容器としては、
耐熱性及び耐久性に優れていることに加えて、被
熱処理材料を汚染しない材質であり、かつ被熱処
理材中の成分が炉内雰囲気中へ拡散することを防
ぎ得ることが要望されている。更に、省エネルギ
ー、多量生産等を可能にするために、急速な加熱
冷却に耐え得る耐熱衝撃抵抗性に優れたものであ
ることも望まれている。 従来、高温状態で使用する熱処理用容器、特に
酸化雰囲気や開放雰囲気で用いる熱処理容器であ
つて、被熱処理材の汚染を防止し得る機密性の優
れた緻密な材料から造られたものとしては、石
英、アルミナ、炭化ケイ素、マグネシア、ジルコ
ニア等を材質とする熱処理用容器が知られてい
る。 これらのうち石英製の熱処理容器は、高価であ
り、加工性が悪いことに加えて、高温状態におい
て軟化やアルカリ元素の透過などが生じ、更に失
透に伴なう劣化や破損が生じ易いという欠点があ
る。このため使用強度は1300℃以下に限定されて
いる。 また炭化ケイ素製の容器は、酸化雰囲気や開放
雰囲気下では酸化による劣化を生じ易く、また炭
化ケイ素と被熱処理材とが反応し易いという欠点
もある。このため真空雰囲気や還元雰囲気下で熱
処理する場合を除いて、使用温度は1400°以下に
限定される。また、通常炭化ケイ素製の容器はア
ルミナやジルコニアによつて表面をコーテイング
して使用されているが、熱処理時にコーテイング
材が剥離し易く、被処理材中にコーテイング材が
混入するなどの問題点もある。 また、アルミナ、マグネシア、ジルコニア製等
の容器は、耐熱性に優れたものであり、1800℃程
度までの温度で使用できるという利点があるが、
他方において、耐熱衝撃性に劣り、急速な加熱、
冷却ができないという欠点がある。従つて、これ
らの容器を使用する場合には、熱効率や生産性が
悪くなる。更に、アルミナ質の容器は1200℃以上
ではアルカリ物質との反応による劣化が顕著であ
り、ジルコニア質の容器は、熱サイクルによつて
脱安定化して劣化し易く、マグネシア質の容器は
炉材との反応性が大きく、このため劣化し易いな
どの欠点がある。 また、ムライト焼結体からなる熱処理用容器も
知られているがムライト焼結体は、一般に、緻密
かつ高強度を有する材料とするためには不純物や
ガラスマトリツクス相の存在が必要とされ、この
不純物やガラスマトリツクスを多く含有する焼結
体は、高温状態では、不純物やガラスマトリツク
スが被熱処理材と反応し易いという欠点がある。
従つて、不純物やガラスマトリツクスを多く含有
するムライト焼結体は熱処理用容器の材料として
は不適当である。従つて、ムライト焼結体は、不
純物やガラスマトリツクスの含有量が少なく、焼
結性の悪い多孔質の材料として、高い気密性や高
強度を要求されず、また被熱処理材の汚染が問題
とされない場合に、熱処理用容器に利用されるの
みである。 また、上記した各種の熱処理用容器を半導体材
料の熱処理に用いる場合には、容器中にUやTh
等の不純物が含まれると半導体材料を汚染するこ
とがあり半導体材料の性能の低下が生じるという
弊害がある。しかしながら、従来の固体状態の原
料から調製された粉体を用いる熱処理用容器の製
造方法では、原料中にUやTh等が含まれると製
造工程においてこれを除去することが困難であ
り、得られる熱処理用容器は半導体材料の熱処理
用としては不適当なものとなるという欠点があ
る。 問題点を解決するための手段 本発明者は、従来技術の問題点に鑑みて、前述
した如き各種の要求を同時に満足し得る熱処理用
容器を見出すべく鋭意研究を重ねてきた。その結
果、Al化合物及びSi化合物を含む溶液を均一に
混合した後、共沈、乾燥、熱分解等の方法で得ら
れる粉体を用いて、これを焙焼した後、十分に粉
砕し分散させ、得られた粉体を成形した後焼成し
て形成されるムライト焼結体は、ガラスマトリツ
クス相や不純物が非常に少ない場合にも緻密かつ
高強度を有する焼結体となり、また原料中に含ま
れるUやTh等の不純物を容易に除去できること
を見出した。本発明者は、更に引き続く研究によ
り、上記した方法によつて得られるムライト焼結
体であつて、結晶相はムライト結晶単相、又はム
ライト結晶と一定限度以下のα−Al2O3結晶との
混合晶からなり、また、ガラスマトリツクス相の
存在量が特定の範囲であつて、ムライト結晶、α
−Al2O3結晶及びガラスマトリツクス相の含有割
合から算出される理論密度に対して94%以上の密
度を有するムライト焼結体からなる熱処理用容器
は、熱処理用容器に対する各種の要求を同時に満
足し得るものであることを見出し、ここに本発明
を完成した。 即ち、本発明は、 i ムライト結晶単晶、又はムライト結晶と10容
積%以下のα−Al2O3結晶との混合晶からなる
結晶相、並びに 0.5〜5容積%のガラスマトリツクス相によ
り構成され、理論密度に対して94%以上の密度
を有するムライト焼結体からなる熱処理用容器
に係る。 本発明熱処理用容器は、特定の条件を満足する
ムライト焼結体からなるものであつて、具体的に
は以下の条件を満足することが必要である。 a 焼結体における結晶相は、ムライト結晶単
晶、又はムライト結晶と10容積%以下のα−
Al2O3結晶との混合晶からなるものである。 Al2O3とSiO2の2成分系における常圧下で析出
する結晶相は、Al2O3結晶(多くの変態がある
が、1300℃以上で焼結させた場合はα−Al2O3
晶となる)、ムライト結晶及びSiO2結晶(主とし
てクリストバライト晶)である。ここでムライト
結晶とは、化学式3Al2O3・2SiO2(Al2O371.8重量
%、SiO228.2重量%)で表わされるムライト結晶
だけでなく、ムライト固溶体も含むものとする。 本発明熱処理用容器を構成する焼結体における
結晶相は、ムライト結晶単晶、又はムライト結晶
と10容積%以下のα−Al2O3結晶との混合晶から
なるものであり、その他の結晶としてSiO2結晶
等を含まないものとする。このような焼結体によ
り構成される熱処理用容器は、優れた耐久性を示
すと共に、気密性、耐熱衝撃抵抗性、高温におけ
る耐クリープ性等に優れたものとなる。 本発明においてα−Al2O3結晶相の容積割合は
以下の方法により得られる値である。 即ち、まず試料の任意の位置から切り出した小
片を粉砕し、得られた粉末についてX線回析分析
を行なう。その結果得られるムライト結晶の
(210)面の回析強度(IM(210))及びα−Al2O3
結晶の(113)面の回析強度(IA(113))から次式
によりムライト結晶及びα−Al2O3結晶の割合を
算出する。 α−Al2O3結晶(%)=IA(113)/IM(210)+IA(1
13)×100 ムライト結晶(%)=IM(210)/IM(210)+IA(11
3)×100 尚、上記式によりα−Al2O3結晶及びムライト
結晶の容積比率がほぼ正確に求められることにつ
いては各種組成のアルミナ及びムライトの混合物
について測定を行なつて確認した。 α−Al2O3結晶の存在量が10容積%を上回る場
合には、炉壁などの耐火物から高温で揮発するア
ルカリ成分や熱源の燃料に含まれているアルカリ
成分等がα−Al2O3結晶と反応して、焼結体の内
部までβ−Al2O3結晶となり、組織が変質し、更
にα−Al2O3結晶とムライト結晶との熱膨脹の差
による歪の増大や残存膨脹の増大等により耐熱衝
撃抵抗性が低下するので好ましくない。α−Al2
O3結晶が10容積%以下では、これらの影響が充
分許容できる範囲内となる。これは、Al2O3結晶
がムライト結晶の中に独立して存在し、Al2O3
存在による品質の低下が微小部分においてのみ生
ずるからであると推定される。このためα−Al2
O3結晶が10容積%以下であれば熱処理用容器と
しての要求を満たすことができる。 これに対して、SiO2結晶が焼結体中に析出す
る場合には、焼成過程で液相ができ、焼結性の向
上、強度の向上などに有効であり、更に高温では
液相の塑性変形による靱性の向上が得られるもの
の、次に示す如き欠点がある。即ち、SiO2結晶
とムライト結晶との熱膨脹率の差により、熱サイ
クルにおいて歪が増大し、また炉壁などの耐火物
から高温で揮発するアルカリ元素や熱源の燃料に
含まれるアルカリ元素、硫黄、パナジウムなどが
SiO2と反応してSiO2結晶を変質させ、熱処理用
容器の耐久性が劣るものとなる。従つて、本発明
熱処理用容器では、SiO2結晶相が存在してはな
らなく、具体的には、粉末X線回析分析によつて
SiO2結晶の回析ピークが観察されてはならない。 尚、本発明熱処理用容器における結晶相は、ム
ライト結晶単晶からなることがより好ましく、ま
たムライト結晶は、アスペクト比の小さい結晶で
あると靱性の低下や高温クリープ性の低下などを
生じ易いので、アスベクト比が大きい結晶である
ことが好ましい。 b 焼結体におけるガラスマトリツクス相は0.5
〜5容積%とする。 ガラスマトリツクス相の含有率の測定は以下の
方法によつて行なう。 即ち、まず容器の任意の部分から厚さ1mm以上
の板状試片を切り出し、その表面をダイヤモンド
砥石で粗仕上げし、次いで800番以上の砥石で中
仕上げする。続いて3μm以下のダイヤモンド粒ま
たはベンガラ、酸化クロムなどの微粉で鏡面にな
るまで仕上げを行なつた後表面付着物を除去して
測定試料とする。この試料の表面に常法に従つて
蒸着膜を形成させた後、走査型電子顕微鏡によ
り、試料表面を3000〜5000倍で写真撮影する。こ
の顕微鏡写真を写真−Iとする。次いで試料表面
から蒸着膜を除去し、HF1%水浴液中に0〜5
℃で24時間浸漬した後、洗浄、乾燥し、更に、上
記した場合と同様にして顕微鏡写真撮影を行な
う。この顕微鏡写真を写真−とする。写真−
及びは、試料の同一部分の少なくとも1000μm2
以上の面積の部分についての写真とする。写真−
からは、試料表面の気泡、亀裂等が凹状となつ
て観察される。この凹状として観察される部分の
面積を求めて凹部の面積率を算出する。写真−
からは、気泡、亀裂の他に、HF処理によつて除
去されたガラスマトリツクス部分も凹状となつて
観察される。写真−から写真−と同様にして
算出した凹部の面積率と写真−から算出した凹
部の面積率との差を試料中のガラスマトリツクス
相の表面積割合とする。ガラスマトリツクス相は
焼結体全体にほぼ均一に存在するので、上記方法
によつて求められるガラスマトリツクス相の表面
積割合を焼結体のガラスマトリツクス相の容積%
とすることができる。このような方法により求め
られるガラスマトリツクス相は、原料中に混入し
たアルカリ金属酸化物とAl2O3及びSiO2とが反応
して低融物となることによつて生成したものであ
る。 ガラスマトリツクス相が5容積%を上回ると、
ガラスマトリツクス相が被熱処理物と反応して、
被熱処理物を汚染し易くなり、また、ムライトと
ガラスマトリツクス相との熱膨脹の相違によつ
て、高温において、気密性、高温強度、高温クリ
ープ性などが低下し、耐久性が劣るものとなるの
で好ましくない。ガラスマトリツクス相が0.5容
積%を下回ると焼結性の低下等を生じる。 c 焼結体の密度は、理論密度の94%以上とす
る。 本発明における理論密度は以下に示す方法によ
り得られる値である。 即ち、上記a)及びb)により、結晶相におけ
るムライト結晶及びアルミナ結晶の容積比率、並
びに焼結体でのガラスマトリツクス相の容積比率
を求める。ガラスマトリツクス相の密度を2.3
g/cm3、ムライト結晶の密度を3.18g/cm3(ムラ
イト固溶体も同一とみなす)、アルミナ結晶の密
度を3.98g/cm3として、次式により焼結体の理論
密度を決定する。尚、ガラスマトリツクス相の焼
結体における容積割合をAとし、ムライト結晶と
アルミナ結晶の結晶晶における容積比率を各々
B,C(結晶相全体を1とする)とする。 理論密度(g/cm3)= 2.3A+(1−A)(3.18B+3.98C) 上記した式により容積割合から算出される理論
密度に対して、実際の焼結体の密度が94%を下回
ると、焼結体の機械的強度や気密性が低下し、ま
たアルカリ元素の吸着やそれに伴なうアルカリ元
素と焼結体との反応が増大する。更に、熱処理容
器内に有害成分が混入して、容器内が汚染され易
くなる。このため焼結体の実際の密度は理論密度
に対して94%以上であることが必要であり、好ま
しくは96%とする。 本発明では、以下に示す方法で熱処理用容器を
作製することによつて、前記した諸条件を満足す
るムライト焼結体であつて高強度を有し、かつ緻
密な構造を有する熱処理用容器を作製することが
できる。 即ち、まず、アルミナゾル、アルミニウムの塩
化物、硫酸塩、硝酸塩等のアルミニウム化合物と
シイリカゾル、エチルシリケート等のケイ素化合
物とを、Al/Siの比率が酸化物換算でAl2O3が約
70〜80重量%、SiO2が約20〜30重量%となるよ
うに配合した液状の原料を調製する。液状原料の
濃度は高くするほうが経済的には好ましいが、両
成分が均一に分散し、ムライト結晶を生成し易く
するためには、ゾル溶液の場合には30%以下、塩
の溶液の場合には2モル%以下程度とすることが
好ましい。焼結体においてムライト結晶相の割合
を多くするには、Al2O371〜75重量%、SiO225〜
29重量%程度とすることが好ましい。 液状原料を調製した後、Al分及びSi分が均一
に分散されるように液状原料を充分に混合した
後、この液状原料からアルミニウム化合物とケイ
素化合物とが均一に混合した粉体を形成させる。
液状原料から粉体試料を得る方法としては、アル
ミニウム化合物とケイ素化合物とを均一に共沈さ
せた後乾燥させる方法、液状原料から水分を蒸発
させて粉体試料を得る方法、液状原料を噴霧させ
て熱分解する方法などを例示できる。 このようにして得られた粉体試料を成形後の焼
成工程での寸法変化を少なくするために900〜
1350℃、好ましくは980〜1280℃で焙焼する。焙
焼後の粉体試料に未反応のSiO2やAl2O3、或いは
非結晶質相等が多量に存在する場合には、以後の
工程で粉体試料の凝集や分離が生じ易くなるので
好ましくなく、このため焙焼条件は、粉体試料の
ムライト化が進むような条件とする。具体的に
は、焙焼後の粉体試料にムライトのX線回析ピー
クが生じるような条件で焙焼する必要があり、
SiO2の回析ピークが生じない程度まで焙焼する
ことが好ましい。また、原料中にU、Th等の不
純物が含まれる場合においても、この焙焼工程
で、これらの不純物が粉体試料から容易に飛散除
去されるので、半導体材料の熱処理用として好ま
しい材料とすることができる。 また、Al量をムライト組成比よりも過剰とす
る場合には、Al及びSiをムライト組成比になる
ように混合した液状原料から粉体を形成させ、焙
焼した後、これにアルミナ粉末を加えて粉体試料
を調製しても良い。 次いで得られた粉体試料を粉砕し分散させる。
粉砕により粉体の平均粒度(ストークスの法則に
基づく沈降法または光透過法による測定)を2μm
程度以下、比表面積(BET法による)を1m2
g程度以上とする。平均粒度が2μmを上回ると粉
体の成形、焼成時に成形体内部に欠陥が生じ易く
なり、また比表面積が1m2/gを下回ると焼結性
が劣るものとなるので好ましくない。粉体の粉砕
及び分散は、常法に従えばよく、例えばボールミ
ル、振動ミル、アトリツシヨンミル、遠心ミルな
どを使用すればよい。 次いで、このようにして調製した粉体を用い
て、セラミツクスの製造における常法に従つて、
鋳込み成形、押出し成形、プレス成形などの方法
で所定の形状に成形した後、常圧下で1550〜1750
℃好ましくは1600〜1700℃程度の温度で焼成する
ことにより本発明熱処理用容器が得られる。焼成
温度が高くなるとガラスマトリツクス相が多くな
り、密度が低くなる傾向にある。一方焼成温度を
低くするとガラスマトリツクス相が少なくなり、
密度が高くなる傾向にある。従つて、原料組成に
応じて前記したa)〜c)の条件を満足する焼結
体が得られるような焼成温度を適宜決定すればよ
い。本発明熱処理用容器では、焼成時間は、焼成
温度、原料組成等に応じて、前記a)〜c)の条
件を満足するように適宜決定すればよい。ムライ
ト結晶のアスベクト比を大きく、即ち、ムライト
結晶を針状であつて、かつ網目状とするために
は、一般に1300℃以上で延べ2〜10時間、最高焼
成温度で1〜8時間程度焼成すれば良い。 本発明熱処理用容器では、使用する原料のアル
カリ含有量は、焼結体におけるガラスマトリツク
ス相が0.5〜5容積%となるように酸化物換算で
0.1重量%以下とすることが好ましい。このため
不純物含有量が少ない原料を使用する。 本発明では、上記した方法で液状原料から粉体
試料を調製することによつてAl分及びSi分が微
小部分まで均一に混合した焼結性に優れた粉体が
得られる。従つて、ガラスマトリツクス相や不純
物量が少ない場合にも高強度を有し、緻密なムラ
イト焼結体を得ることができる。 発明の効果 本発明熱処理用容器は、以下に示す如き、優れ
た特性を有する。 1 耐熱衝撃性に優れ、急速な昇温、冷却によつ
ても破損され難く、長期間の繰り返し使用にも
耐え得るものである。 2 耐熱性、高温における耐クリープ性等に優れ
たものであり、酸素の存在する雰囲気下におい
ても1700℃程度の高温まで使用できる。 3 熱処理によつても強度の低下が少なく、この
ため容器の肉厚を薄くできる。よつて計量の容
器とすることが可能であり、また熱処理に要す
るエネルギーを節減できる。 4 熱源や炉材からの汚染に対して高い耐久性を
有する。 5 高温においても気密性に優れたものである。 6 焼結体中のU、Th等の含有量を焼結体製造
工程において容易に50ppb以下とすることがで
きる。従つて、超LSI等の半導体部品用素材の
熱処理用容器として極めて有用である。 本発明熱処理用容器は、上記した如き優れた性
質を有するものであつて、熱処理用容器として要
求される、クリーンな高温環境を提供することが
できる。依つて例えば、シリカ、アルミナ、マグ
ネシア、ジルコニアなどの粉末の熱処理用容器、
フアインセラミツクス成形体の焼成用匣鉢、単結
晶のアニーリング用容器などとして有効に使用し
得るものである。また本発明熱処理用容器におけ
るムライト質焼結体は、炉心管、熱電対用保護
管、絶縁管、バーナーノズル、熱交換器、セラミ
ツクスエンジン用部材の材料としても有用であ
る。 実施例 以下に実施例を示して本発明を詳細に説明す
る。 実施例1〜5及び比較例1〜6 0.5モル%の塩化アルミニウム溶液とSiO2分10
重量%のシリカゾルとを第1表に示すAl2O3
SiO2との比率になるようなAlとSiとの割合に配
合した溶液を調製した。ただし、比較例1では、
Na分をNa2Oとして1.5%添加したシリカゾルを
使用し、比較例4ではNa分をNa2Oとして2.0%
添加したシリカゾルを使用した。次いでこの溶液
を均質になるように充分混合した後、アンモニア
水で中和共沈させて、その沈殿物を乾燥し、1250
℃で8時間焼成してムライト化した粉末を得た。
ただし、実施例5の粉末は、実施例3の粉末80重
量部に、純度99.9%以上、平均粒径0.5μmのアル
ミナ20重量部を加えたもの、また、比較例6の粉
末は、実施例2の粉末75重量部に純度99.7%以
上、平均粒径1.5μmのアルミナ25重量部を加えた
ものである。
【表】 次いで、上記粉末をボールミルにより、湿式で
24時間粉砕し、分散させて原料粉末を得た。ただ
し比較例3の粉砕時間は12時間とした。 この原料粉末に2%のPVAを加えた後、静水
圧成形法により成形圧1トン/cm2で60×60×5mm
の板状に成形し、1650℃で約2時間焼成してムラ
イト質の焼結体を得た。ただし実施例2及び比較
例2の焼成温度は1600℃として、比較例3の焼成
温度は1550℃とした。焼結体の結晶相におけるム
ライト結晶及びアルミナ結晶の容積割合、焼結体
におけるガラスマトリツクス相の容積割合、並び
に焼結体密度の理論密度に対する割合を第2表に
示す。
【表】
【表】 実施例1〜5及び比較例1〜6の各々の焼結体
について、面粗度0.8Sに仕上げた3×4×40mmの
棒状試験片を20本ずつ作製した。各々の種類の棒
状試験片について10本を上スパン10mm、下スパン
30mmで4点曲げ強さを室温で測定した。次いで残
りの10本の試験片をNa2Oを0.7%及びFe2O3
0.3%含有するアルミナ質耐火板上に設置した後、
重油炉中に入れて、最高温度1420℃で3時間保持
する熱処理を3回繰り返し、延べ20時間の熱処理
を行なつた。熱処理終了後、アルミナ質耐火板に
接触していた面に引張り応力が負荷するようにし
て上記した方法と同様に室温で曲げ強さを測定し
た。結果を第3表に曲げ強さの平均値で表わす。
【表】
【表】 第3表から、実施例1〜5の焼結体では、熱処
理後においても20Kgf/mm2以上の曲げ強さを有
し、熱処理による曲げ強度の低下が30%未満であ
ることが判る。これに対して、比較例1〜6の焼
結体では、熱処理後の曲げ強さはすべて20Kgf/
mm2以下となり、また熱処理による曲げ強度の低下
は全て40%以上であつた。 試験例 2 実施例1〜5及び比較例1〜6においてボール
ミルで粉砕し、分散させた原料粉末を用いて、粘
度150±15cpとなるようにスラリーを調製し、石
膏型を用いて鋳込み成形を行なつた後、実施例1
〜5及び比較例1〜6と同様の条件で焼成して外
寸法90×90×47mm、壁厚4mmの角型底付き容器を
製造した。また、同じ原料粉末を用いてプレス法
により90×90×4mmの板を成形した後上記容器と
同様の条件で焼成し、上記角型容器のフタを作製
した。 これらの各々の容器中に3%の水分を含有した
シリカ粉末を内容積の約80%入れてフタをした
後、SiC発熱体を用いた電気炉中に設置した。電
気炉の温度を350℃/時間の昇温速度で1300℃ま
で昇温した後、800℃まで2時間で冷却し、次い
で炉外に取り出して放冷した。この昇温及び冷却
の走査を繰り返し行ない、容器が破損するまでの
回数を求めた。結果を第4表に示す。尚、比較例
4の容器は、10回の繰り返しによつても破損しな
かつたが、シリカ粉が容器に溶着したのでシリカ
粉の熱処理用容器としては不適当であつた。
【表】
【表】 比較例 3 試験例2で作製した容器内に透明石英ガラスを
入れ、フタをした後、電気炉中に1280℃で48時間
保持した後、放冷して石英ガラスの失透状態を調
べた。結果を次の記号により第5表に示す。 A:石英ガラスが全面白色に失透した。 B:石英ガラスのうすい表面層のみ失透し、く
もりガラスの如き外観を呈した。 C:石英ガラスがわずかに失透した。 D:反応がなかつた。
【表】 第5表の結果は、被処理材に対する汚染の発生
の目安となるものであり、ガラスマトリツクス相
が少ない容器においては被処理材の汚染の発生が
少ないことが認められる。 試験例1〜3の結果から明らかな如く、本発明
熱処理用容器は、強度耐久性等に優れ、被熱処理
材に対する汚染の発生が少ないものであり、総合
的な性質そして熱処理容器に対する各種の要望を
満足し得るものである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 i ムライト結晶単晶、又はムライト結晶と
    10容積%以下のα−Al2O3結晶との混合晶から
    なる結晶相、並びに 0.5〜5容積%のガラスマトリツクス相によ
    り構成され、理論密度に対して94%以上の密度
    を有するムライト焼結体からなる熱処理用容
    器。
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