JPH0577332A - 多層薄肉容器の製造方法 - Google Patents

多層薄肉容器の製造方法

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JPH0577332A
JPH0577332A JP26821091A JP26821091A JPH0577332A JP H0577332 A JPH0577332 A JP H0577332A JP 26821091 A JP26821091 A JP 26821091A JP 26821091 A JP26821091 A JP 26821091A JP H0577332 A JPH0577332 A JP H0577332A
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container
preform
sheet material
injection
resin
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JP26821091A
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English (en)
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Tetsuo Watada
哲雄 綿田
Masayuki Kageyama
公志 影山
Kiyoshi Wada
潔 和田
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Toppan Inc
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Toppan Printing Co Ltd
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  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 多層構造であって、しかも薄肉の容器を、そ
の層構成を崩すことなく、しかも経済的に製造できるよ
うにする。また、出来上がった製品容器に二次加工を加
えることなく、厚さが均一で、しかも形状の精度のよい
フランジを、希望の材質により形成することを可能とす
る。 【構成】 ガスバリヤ性等といった特定機能を持った樹
脂層を含むシート素材5を射出成形装置24の金型コア
9に装着し、シート素材5が装着された金型凹部G内に
樹脂を射出してプリフォームを形成し、そして形成され
たプリフォーム7を容器成形装置26によって成形して
製品容器を製造する。容器成形は、プリフォーム7の射
出樹脂層外縁部Cをクランプして行ない、その外縁部C
は製品容器のフランジとなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複数の樹脂層を有する
樹脂材料によって形成される多層薄肉容器の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】食料品等を包装するための容器には、次
のような各性質、すなわち、機械強度性、ガスバリヤ
性、防湿性、耐熱性、そして保香性等のうちのいくつか
又は全てが要求される。これらの各性質は、それぞれ特
定の樹脂材料によって達成されることが知られている。
必要に応じて希望する性質が複数ある場合には、それら
の性質を達成する個々の樹脂材料を積層することによっ
て1つの容器を形成するようにしている。
【0003】また、上記のような多層構造の容器におい
て、容器壁の上端にフランジを備えたものがある。その
ような容器として、例えば図7に示すような、いわゆる
ヒートシール用カップ容器1が知られている。この容器
1は、容器壁3の上端にヒートシール用フランジ2を有
している。このフランジ2に密封用のヒートシール蓋4
が熱溶着されて容器内部が密封される。
【0004】ヒートシール蓋4は、通常、アルミニウム
箔、アルミニウム蒸着フイルム等、ガスバリヤ性に優れ
た層を含み、外縁シール面には熱溶着性に優れた樹脂層
が形成されている。ヒートシール蓋4の熱溶着を適正に
行なうためには、フランジ2を構成している樹脂が十分
な熱溶着性を持っていること及びフランジ2が同一平面
上にあること(シール面が平坦であること)等が要求さ
れる。
【0005】上記のようなフランジ付多層構造容器を製
造する方法として以下に述べるような種々の方法が既に
提案されている。
【0006】第1の方法は、真空成形、圧空成形、プラ
グアシスト成形等の、いわゆるシ−ト成形法である。こ
のシ−ト成形法は、図9に示すように、多層構造の1枚
の帯状シ−ト51を矢印A方向へ所定の送りピッチで搬
送しながらそれをヒータ52によって加熱し、その後、
互いに対向して配置された金型53,54によって容器
55を形成するものである。
【0007】このシート成形法においては、シートの送
りピッチに応じて個々の容器55の間に大きな余白部分
ができ、また金型53,54の構造上、シートの送り方
向Aと直角方向において個々の容器55の間に大きな余
白部分が形成される。これらの余白部分は、製品として
寄与しない、いわゆるスクラップとなるので非常に不経
済である。
【0008】このようなスクラップを回収し、シート5
1の層構成の一部に再利用してシート51を再生し、そ
の再生シートから容器55を製作するということも行な
われている。しかしながらこの方法においては、シート
51を形成する樹脂が、再生時の粉砕やシート押し出し
時の熱等により次第に劣化し、着色、異臭、強度劣化等
といった問題が発生する。すなわち、スクラップを再生
しようとする場合、シート51の層の一部をスクラップ
層またはスクラップ混在層により構成することになる。
このような樹脂を再利用したシート51は、再生のたび
にスクラップの組成が変化するため、シート51の全体
としての特性が変化し、成形される容器ごとの性能にバ
ラツキが生じる恐れがある。
【0009】また、シート51を均一の厚さに製造する
ことはきわめて困難であり、どうしても厚さが不均一と
なる。すなわち、一般にフィルムはインフレーション
法、押し出し法、共押し出し法等により製膜されるが、
その厚みはある程度のバラツキを有しており、これらを
多層に積層したシートの厚みを均一化することはきわめ
て困難である。シート51の厚さが不均一であると、金
型53,54によって成形される容器55に関し、1つ
の容器55において肉厚分布が不均一となり、また各容
器55間においても肉厚が不均一となる。さらに、シー
ト成形にあってはシート51を加熱、軟化させて容器を
成形するが、ヒータの加熱温度がシート51の幅方向で
不均一であったり、金型の冷却条件が各キャビテイごと
に不均一だったりすると、同様に容器内、容器間での厚
さが不均一になる。このような肉厚のバラツキ、特に容
器に所定寸法よりも薄肉の部分が形成された場合、容器
の機械的強度(例えば座屈強度)が十分に得られなかっ
たり、内容物充填後の加熱殺菌時に容器が変形するとい
った不良が発生する。
【0010】多層構造容器の製造方法の第2の例とし
て、特公昭57−1415号公報に開示された方法があ
る。この方法は、四角形状の多層シート素材を加熱し、
さらにプレス成形して円盤状のプリフォームを製造し、
さらにその円盤状プリフォームを真空成形等により成形
して製品容器を製造するというものである。
【0011】この方法によれば、上述したシート成形に
比べてスクラップをかなり減少させることができる。し
かしながら、多層シート素材をプレス成形してプリフォ
ームを作成するときにシート素材を高温に加熱してその
粘度を下げる必要がある。このようにすると、多層シー
ト素材の層構成が崩れ易い。すなわち、部分的に層が薄
くなったり、あるいは分断し易い。層構成が崩れた多層
シート素材から形成された製品容器については、ガスバ
リヤ性等目標とする特定機能が得られない。
【0012】また、プリフォームを成形するための金型
に接する樹脂として、流動性のよい樹脂を用いないと良
好なプリフォームが得られない。すなわち、多層シート
素材として用いることのできる樹脂が狭い範囲に限定さ
れる。
【0013】また、プリフォームを利用した容器の製造
方法としては、特開昭60−178020号、同60−
244518号、同63−130330号及び同63−
296921号の各公報に開示された、いわゆるインジ
ェクションブロー法がある。このインジェクションブロ
ー法は、円盤状のプリフォームを射出成形によって成形
し、そのプリフォームをプラグアシスト成形等といった
成形加工をすることにより、容器を成形するものであ
る。
【0014】このインジェクションブロー法において
は、プリフォームを成形する工程でインジェクション成
形法、すなわち射出成形法を用いているので、プリフォ
ームを多層構造にすることがきわめて困難であり、通常
は、単層のプリフォームが作られるだけである。従っ
て、ガスバリヤ性等といった特定機能を持った容器を製
造することができないという問題があった。
【0015】インジェクション成形によって多層のプリ
フォームを成形する手段としては、例えば特開平3−1
76126号公報に示されるように、複数の射出装置か
ら、多層成形射出ノズルを用いて成形すれば、多層構造
のプリフォームを製造することができる。この場合、層
構成は対称形となり、例えばガスバリヤ性樹脂を中間層
として有するボトル等の実用化へ向けての研究が進めら
れている。しかしながらこの技術による場合、各樹脂層
の層厚を均一にすることがきわめて困難であるばかりで
なく、流動した樹脂が最後に到達するキャビティ端付近
では、多層構造そのものが成り立たなくなることが多
い。従って、プリフォーム全体に渡って均一な多層構造
を与えることは不可能である。さらに、本発明のように
多数の樹脂を非対称の層構成に積層する必要がある場合
には、この方法は適用できない。
【0016】多層構造容器の製造方法の別の例として、
特開平2−45352号及び実開平2−80519号の
各公報に開示された方法がある。この方法は、シート成
形によってカップ状容器をプレ成形し、その外周に射出
成形によって外層を形成して容器を製造するというもの
である。
【0017】射出成形は、金型の隙間内に樹脂を流し込
むものであり、その隙間が一定以上の厚さを有していな
いと、十分な成形ができない。従って、上記従来方法に
おいては、完成した容器の容器壁の厚さが厚くなり過ぎ
るという問題が有った。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した各
種の問題点を解消するためになされたものであって、多
層構造であって、しかも薄肉の容器を、その層構成を崩
すことなく、しかもスクラップの発生を極力削減して経
済的に製造できるようにすることを第1の目的とする。
【0019】また、本発明は、出来上がった製品容器に
二次加工を加えることなく、常に均一な厚さ及び平坦性
の容器フランジを得ることができ、さらに容器内部の材
質と容器フランジの材質とを異ならせるにあたって、出
来上がった製品容器に二次加工を加える必要のない多層
薄肉容器の製造方法を提供することを第2の目的とす
る。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明に係る多層薄肉容器の製造方法は、特定機能
を持った樹脂層を含むシート素材を金型内に装着するシ
ート装着工程と、シート素材が装着された金型内に樹脂
を射出して、シート素材に射出樹脂層が積層された状態
のプリフォームを形成する射出成形工程と、形成された
プリフォームを成形して製品容器を形成する容器成形工
程とを有している。そして、上記射出成形工程におい
て、射出樹脂層の外縁がシート素材の外縁の外側にくる
ように、射出樹脂層をシート素材よりも広く成形する。
さらに、上記容器成形工程において、プリフォームのう
ちシート素材の外部に突出する射出樹脂層の外縁部を固
定支持しながらプリフォームを成形する。
【0021】上記の構成において、特定機能を持った樹
脂層とは、ガスバリヤ性、防湿性、耐熱性、保香性(非
吸着性)等の各機能をもった樹脂層のことをいう。接着
性の悪い樹脂同志を積層する際にそれら各層の間に設け
られて接着剤として働く接着剤層も特定機能を持った樹
脂層として考えられる。これらの各機能を達成するため
の樹脂層としては、それぞれ次のような樹脂層を適用す
ることができる。 ガスバリヤ性:エチレンー酢酸ビニル共重合体ケン化物
(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ
ビニルアルコール(PVA) 防湿性:ポリアミド(ナイロン)、ポリプロピレン、乾
燥剤練り込みポリオレフィン 耐熱性:ポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピ
レン 保香性:ポリエステル(PET)、エチレンー酢酸ビニ
ル共重合体ケン化物(EVOH)、ポリアクリロニトリ
ル(PAN) 接着剤層:アイオノマー、エチレンー酢酸ビニル共重合
体(EVA)
【0022】また、成形としては、真空成形、圧空成
形、プラグアシスト成形等が考えられる。真空成形と
は、キャビテイ内を真空引きしてシート材を金型に密着
するように変形させて成形する成形方法である。圧空成
形とは、シート材を空気によって押圧して金型に密着さ
せて該シート材を成形する成形方法である。プラグアシ
スト成形とは、上記真空成形あるいは圧空成形におい
て、シート材をプラグによって補助的に押圧して該シー
ト材を成形する成形方法である。
【0023】シート素材の上に射出成形によって積層さ
れる樹脂層は、主として容器に機械的強度を持たせるも
のである。また、ヒートシール蓋(図7の符号4)を容
易に熱接着できる熱溶着性を持った樹脂であることが好
ましい。このような樹脂としては、例えばポリプロピレ
ン(PP)、スチロール、ポリエステル、塩化ビニル等
が用いられる。
【0024】
【作用】多層薄肉容器の製造にあたっては、まず、1以
上の樹脂層を含んだ1枚のシート素材を用意して、打ち
抜き等により所定の形状にした後、それを射出成形金型
に装着する。次いで、そのシート素材の上に射出成形に
よってポリプロピレン(PP)等の単層樹脂が積層され
てプリフォームが作成される。そして、プリフォームを
成形することによって製品容器が製造される。プリフォ
ームを成形するに際してプレス成形を用いていないの
で、シート素材の層構造、すなわちプリフォームの層構
造が崩れることがない。予め形成されたシート素材と射
出成形の組合せによりプリフォームが形成されるので、
シート素材に多少の肉厚のバラツキがあっても、射出工
程によりそのバラツキが吸収され、プリフォーム全体と
しての厚さはきわめて精度良く均一化することができ
る。また、その形状も精度がよく、フランジが歪んだり
することがない。従って、肉厚の均一な、形状の精度に
優れた容器を製造することができる。その場合にも、容
器壁内部の層構造は崩れない。
【0025】1枚1枚プリフォームを作成してそれを製
品容器に成形するので、従来のシート成形法のようにス
クラップが発生せず、従って、非常に経済的である。こ
の場合、金型に装着されるシート素材そのものは、1枚
の大きなシートを、例えば打ち抜き、あるいは断裁する
ことによって多数枚作成される。このとき、シートの打
ち抜きはきわめて高密度に行なうことができるので、多
量のスクラップが生じることがなく、また、射出成形に
よる樹脂層の積層に際しては、スクラップは殆ど生成さ
れないので、プリフォームの製造にあたってのスクラッ
プの発生は、きわめて少ないものとなる。
【0026】射出成形工程において、射出樹脂層がシー
ト素材よりも広くなるようにプリフォームが成形され
る。シート素材の外部に突出する射出樹脂層の外縁部
は、次工程である容器成形工程において固定支持部、例
えばクランプ部として働く。そして成形終了後は、その
固定支持部は製品容器のフランジとなる。すなわち、何
等の二次成形を施すことなくフランジ付きの製品容器が
得られる。この製品容器のフランジは射出樹脂層によっ
て形成されるので、その厚さが均一であるとともに、形
状も精度がよく、平坦性に優れたものとなる。しかも、
そのフランジはシート素材を含まない射出樹脂層のみに
よって形成されるので、何等の二次加工を施すことなく
容器壁部とフランジ部とを異なる樹脂によって形成でき
る。
【0027】
【実施例】以下、図7に示した形状の多層薄肉容器1を
製造する場合を例にあげてその製造方法を説明する。
【0028】上記容器1は次の各工程、すなわち、図4
に示すような単層又は多層構造の円盤状シート素材5を
用意するシート素材準備工程と、図5に示すように円盤
状シート素材5の一方の面(図の下面)に射出成形によ
って単層樹脂6を積層してプリフォーム7を形成する射
出成形工程と、形成されたプリフォーム7に成形加工を
施して鎖線で示すような製品容器としてのカップ状容器
1を形成する容器成形工程とから成る容器製造工程によ
って製造される。
【0029】射出成形工程によって形成されたプリフォ
ーム7は、図5に示すように、射出樹脂層6がシート素
材5よりも広く成形されていて、その射出樹脂層の外縁
部Cがシート素材5の外側に突出している。上記の容器
成形工程は、その外縁部Cをクランプ、すなわち固定支
持した状態で行なわれる。この結果、図8に示すよう
に、最終的に得られる製品容器1において、容器壁3は
シート素材5と射出樹脂層6によって構成され、一方、
フランジ2は射出樹脂層6のみによって構成される。
【0030】射出成形工程においてシート素材5の上に
積層される樹脂は、容器に希望の形状を付与可能な機械
的強度を有すると共に、ヒートシール用フランジ(図7
の符号2)として用いることのできる熱溶着性を備えた
熱可塑性樹脂、例えばポリプロピレン(PP)、ポリス
チレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカー
ボネート(PC)等が用いられる。
【0031】上記の容器成形とは、プリフォームを引き
延ばして希望の形状、例えばカップ状に成形加工する加
工方法のことである。例えば、真空成形、圧空成形、プ
ラグアシスト成形等を採用することができる。この容器
成形が行なわれる間、プリフォーム7の外縁部Cがクラ
ンプ、すなわち固定状態に支持される。
【0032】図4のシート素材5は、目標とする特定機
能、例えばガスバリヤ性、防湿性、耐熱性、保香性(非
吸着性)等を得るために特定の単層構造又は多層構造に
形成される。例えば2層構造として、容器の内側に相当
する方向から PET/EVOH、PET/PVDC等、 3層構造として、 PET/EVOH/PP、PP/PVDC/PP等 が考えられる。なお、 PETは、ポリエステル EVOHは、エチレンー酢酸ビニル共重合体ケン化物 PPは、ポリプロピレン PVDCは、ポリ塩化ビニリデン である。また、上記シート素材5の各層間には、必要に
応じて接着剤ないしは接着性樹脂層が存在する。
【0033】シート素材5を製造する方法は特別の方法
に限定されず、任意の方法を用いることができる。例え
ば、目標とする層構成を有する1枚の大きなシートを任
意のシート成形方法、例えば、接着剤積層法、共押出し
法等によって作成し、打抜き加工によってその1枚のシ
ートから多数枚の円盤状シート素材5を製造できる。打
抜き加工は高密度に、すなわち個々の円盤状シート素材
5をごく隣接した位置から打抜きできるので、打抜き加
工後に原材シートに多量のスクラップが残る心配がな
い。
【0034】上述した容器製造工程において、射出成形
工程によって形成されたプリフォーム7を予備加熱する
ためのプリフォーム加熱工程を、必要に応じて、射出成
形工程と容器成形工程との間に加えることもできる。こ
のプリフォーム加熱工程は、容器成形される前にプリフ
ォーム7を予備的に加熱するための工程である。この工
程は、円盤状シート素材5とそれに積層される射出成形
層とを確実に融着させるため及びプリフォーム7を容易
に容器成形加工できる温度まで昇温させるために行なわ
れる。
【0035】射出成形によるプリフォームの作成後、直
ちに容器成形工程に入る場合は、このプリフォーム加熱
工程は設けなくても良い場合がある。射出された高温樹
脂によってシート素材5が加熱されるからである。射出
成形から容器成形までの間の時間が比較的短い場合は、
プリフォーム7のうちシート素材5のみを加熱すれば良
い。一方、射出成形から容器成形までの間の時間が長く
てプリフォーム7が完全に冷却される場合は、シート素
材5と射出樹脂層の両方を加熱する。
【0036】以下、容器製造装置の具体例をあげて、多
層薄肉容器1(図7)の製造方法を詳細に説明する。図
1(A)は、射出成形工程を実施するための装置の一実
施例を示している。この射出成形装置24は最上部に固
定板8を有していて、その固定板8の下面にコア9が固
定されている。コア9の内部には、冷却液通路10及び
エア吸引路22が設けられている。コア9の下部周囲に
はリップキャビテイ11及びリップ板12が配設されて
いる。さらに、コア9の下方位置に、保持板14に保持
されたキャビテイ13が設けられ、そのキャビテイ13
の内部にホットランナ15の先端が臨出してゲート16
に接触している。
【0037】コア9は固定板8と共に矢印AーA’のよ
うに上下方向へ往復直線移動できるようになっており、
図示の型締め位置と、キャビテイ13から大きく離れる
開放位置(図示せず)との間で移動する。型締め位置と
いうのは、コア9とキャビテイ13との間に所望のプリ
フォーム形状に相当する間隙Gが形成される位置であ
る。
【0038】リップキャビテイ11は、いわゆる分割型
となっており、中心軸線Lを境として左右の両型がそれ
ぞれ、矢印BーB’のように左右方向へ往復直線移動で
きるようになっている。この移動によりリップキャビテ
イ11は、図示の型締め位置と、互いに大きく離れる開
放位置(図示せず)との間で移動する。
【0039】図2は、プリフォーム加熱工程を実施する
ための装置の一実施例を示している。このプリフォーム
加熱装置25は、前工程である射出成形工程(図1A)
によって形成されたプリフォーム7の上方に臨出可能な
ヒータ17を有している。また、プリフォーム7の下方
には、射出樹脂層6を加熱するためのヒータ30を有し
ている。このヒータは、射出樹脂層6を積層後直ちに容
器の成形工程に移る場合には省略が可能である。
【0040】図1(B)は、容器成形工程を実施するた
めの装置の一実施例である、プラグアシスト成形装置2
6を示している。この装置は、リップキャビテイ11の
下に連結される下型18と、上下方向へ移動可能なコア
19と、コア19を貫通していて上下方向へ移動可能な
プラグ20とを有している。
【0041】コア19にはエア導入穴23が開けられて
いる。また、下型18には製品容器1(図7)の形状に
合致した内壁面を有する凹部21が設けられている。
【0042】以下、各工程について説明する。 (射出成形工程)図1(A)において、コア9及びリッ
プキャビテイ11を共に、キャビテイ13から大きく離
れる開放位置(図示せず)に移動させる。これにより、
キャビテイ13の上面が大きく開放される。この状態
で、図3に示すように、コア9の下端に円盤状シート素
材5(図4参照)を装着する。シート素材5は、エア吸
引路22を流れるエアによってコア下端に吸着固定され
る。装着されたシート素材5は、その上面すなわちコア
9に接触する面が容器内壁面になる。
【0043】シート素材5がコア9の下端に装着される
と、図1(A)に示すように、コア9及びリップキャビ
テイ11が型締め位置にセットされる。この状態で、ホ
ットランナ15を介して樹脂がキャビテイ凹部G内へ流
し込まれる。これにより、シート素材5の下面に射出樹
脂層6(図5)が積層されて図5に実線で示すようなプ
リフォーム7が形成される。プリフォーム7が形成され
ると、次のプリフォーム加熱工程へ移行する。
【0044】(プリフォーム加熱工程)射出成形が終了
すると、図1(A)においてコア9が型締め位置から開
放位置へと移動する。リップキャビテイ11は型締め位
置に残ったままでプリフォーム7の外縁部Cを保持し続
ける。その後、プリフォーム7がリップキャビテイ11
に保持されたまま、図2に示す加熱ステージへ送り込ま
れる。この加熱ステージにおいて、ヒータ17がプリフ
ォーム7の直上位置まで搬出され、該ヒータ17および
必要に応じて配置されるヒータ30から発散される熱に
より、プリフォーム7が加熱される。この加熱により、
シート素材5と射出樹脂層6(図5)との融着が促進さ
れ、さらに次の工程である容器成形工程のための予備加
熱が行なわれる。このプリフォーム加熱工程は、場合に
よっては省略することも可能である。
【0045】(容器成形工程)プリフォーム加熱工程を
終了したプリフォーム7は、次いで、リップキャビテイ
11に保持されたまま図1(B)の容器成形ステージに
送られる、この容器成形ステージにおいて、プラグ20
を備えたコア19がプリフォーム7の上方から図示の成
形位置にセットされ、容器成形加工が実施される。この
とき、プリフォーム7の外縁部Cは、リップキャビティ
11にその端部が保持されている。すなわち、プラグ2
0の下方移動によりプリフォーム7が下方へ押圧され、
同時にエア導入穴23を通って送り込まれるエアにより
プリフォーム7が延ばされる。こうして延ばされるプリ
フォーム7は、下型凹部21の壁面形状、すなわちカッ
プ形状に成形され、図7に示すような製品容器が出来上
がる。
【0046】(後処理工程)容器成形工程の終了後、図
1(B)において、製品容器を保持していたリップキャ
ビッテイ11をB方向へ開放すれば、製品容器をそのま
ま取り出すことができる。
【0047】上記実施例では、シート素材5を容器の内
面側として用いているが、このようにすることには次の
ような利点がある。すなわち、シート素材5に好適に使
用できる材料は、ガスバリヤ性樹脂であるエチレンー酢
酸ビニル共重合体ケン化物や非吸着性樹脂であるポリエ
ステル系樹脂のような、特定の機能を有する材料であ
り、他方、射出樹脂層の樹脂は、ポリプロピレンのごと
き容器の主たる構造材料となる樹脂であるため、一般に
射出樹脂層の樹脂のほうが、シート成形のような容器形
状への成形適性が高い。従って、シート成形に際して、
シート素材5を容器の内面側に配置することにより、シ
ート素材5の成形不良(シート成形時における伸び不足
による厚みのバラツキ、割れなど)を防ぐことができる
のである。また、シート素材5に非吸着性樹脂を使用す
る場合、この樹脂は内容物に接する位置に配置されて初
めてその目的を達成できるので、上記実施例のような位
置関係で製造されることが好ましい。
【0048】以上、好ましい実施例をあげて本発明を説
明したが、本発明はその実施例に限られるものではな
い。例えば、プリフォームの形状を、図5に示したよう
な段付き形状7に代えて、図6に示すような段なしの平
な形状27にすることもできる。また、製品容器の形状
も任意の形状(例えば方形のトレー状)とすることがで
きる。この場合、シート素材5の形状は、製品容器の形
状に見合った形状に準備されることは自明である。ま
た、必要であれば、射出成形工程を複数回繰り返して、
射出成形樹脂層を2層以上に形成することも可能であ
る。さらに、上記実施例では、プリフォーム7のシート
素材5側が製品容器1の内面となるように成形したが、
射出樹脂層6側が製品容器1の内面となるようにしても
よい。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、シート素材を金型内に
装着した状態で射出成形を行なうことによりプリフォー
ムを形成するようにしたので、射出成形を利用したにも
かかわらず、安定した品質の多層構造のプリフォームを
得ることができる。
【0050】射出成形によって1枚1枚プリフォームを
形成し、そのプリフォームから製品容器を形成するの
で、スクラップ等の不要成分が殆ど発生しない。従っ
て、非常に経済的である。
【0051】プレス成形でなく射出成形によってプリフ
ォームを作るので、プリフォーム内の層構成が崩れるこ
とがない。従って、ガスバリヤ性等の特定機能を確実に
得ることができる。
【0052】射出成形を利用したのでプリフォームはき
わめて厚みおよび形状の精度がよく、この均一な厚さ、
形状のプリフォームを容器形状に成形することによって
製品容器を作るので、薄肉でしかも容器内および容器間
でバラツキがない、安定した厚さ精度を有する容器を作
ることができる。
【0053】射出樹脂層の外縁部Cをそのまま製品容器
のフランジとするので、二次加工しなくとも、均一な厚
さおよび形状精度、平坦性に優れたフランジが得られ
る。従って、ヒートシール蓋用のフランジとして好都合
である。
【0054】従来、容器の内面側にヒートシール性に劣
る樹脂層を有する材料を用いて容器を形成した場合、フ
ランジ部分にヒートシール性を持たせるためには、表面
切削その他の二次加工が必要であり、経済的に不利なば
かりでなく、切削屑等の異物による汚染があるため、こ
のような構成の採用は現実的には困難であった。これに
対し本発明によれば、仮にシート素材それ自体はヒート
シール性に劣る樹脂であっても、射出樹脂としてヒート
シール性に優れた樹脂を用いれば、何等の二次加工を施
すことなく、容器フランジに優れたヒートシール性を与
えることができる。従って、容器の内面側に使用可能な
樹脂の制限を少なくすることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る多層薄肉容器を製造するための装
置の一例を示す側面断面図である。特に、(A)図は、
射出成形装置の一例を示す側面断面図である。また、
(B)図は容器成形装置の一例を示す側面断面図であ
る。
【図2】プリフォーム加熱装置の一実施例を示す側面断
面図である。
【図3】図1(A)の要部を拡大して示す断面図であ
る。
【図4】シート素材の一実施例を示す斜視図である。
【図5】プリフォーム及び製品容器を示す図である。
【図6】プリフォームの他の一例を示す側面図である。
【図7】多層薄肉容器の一例を示す斜視図である。
【図8】図7の容器の断面構成を示す側面断面図であ
る。
【図9】従来の容器製造装置の一例を示す斜視図であ
る。
【符号の説明】
5 シート素材 6 射出樹脂層 7 プリフォーム 9 コア 11 リップキャビテイ 13 キャビテイ 24 射出成形装置 26 容器成形装置 27 プリフォーム C 射出樹脂層外縁部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 9:00 4F 22:00 4F

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の樹脂層を有する樹脂材料によって
    形成される多層薄肉容器の製造方法において、 特定機能を持った樹脂層を含むシート素材を金型内に装
    着するシート装着工程と、 シート素材が装着された金型内に樹脂を射出して、シー
    ト素材に射出樹脂層が積層された状態のプリフォームを
    形成する射出成形工程と、 形成されたプリフォームを成形して製品容器を形成する
    容器成形工程とを有しており、 上記射出成形工程において、射出樹脂層の外縁がシート
    素材の外縁の外側にくるように、射出樹脂層をシート素
    材よりも広く成形し、 上記容器成形工程において、プリフォームのうちシート
    素材の外部に突出する射出樹脂層の外縁部を固定支持し
    ながらプリフォームを成形することを特徴とする多層薄
    肉容器の製造方法。
  2. 【請求項2】 射出成形工程によって形成されたプリフ
    ォームを加熱するプリフォーム加熱工程を射出成形工程
    と容器成形工程との間に設けたことを特徴とする請求項
    1記載の多層薄肉容器の製造方法。
JP26821091A 1991-09-19 1991-09-19 多層薄肉容器の製造方法 Pending JPH0577332A (ja)

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JP26821091A JPH0577332A (ja) 1991-09-19 1991-09-19 多層薄肉容器の製造方法
EP19920308390 EP0533437A3 (en) 1991-09-19 1992-09-15 Method for producing a multilayered thin wall container and a multilayered thin wall container

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