JPH0576216U - 移植機の苗載台の変速駆動装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目 的】 田植機において、互いに平行に配置された
チエーンによって連動する苗載台駆動用の変速軸と、そ
の駆動軸の軸端にスプロケットを嵌合して抜け止めする
簡単な構造を得ること。 【構 成】 変速ケース５に機体の側方へ向かって開口
し、閉じ蓋５ｅによって閉じられる開口部を設け、これ
に駆動軸２ａとネジ軸４ａとの端部をそれぞれ突出さ
せ、両軸の端部に軸方向に移動可能な回り止めを設け、
これにスプロケット５ｂ、５ｃを嵌合させ、それらのス
プロケットが外方へ移動するのを前記蓋５ｅで押さえて
抜け止めした移植機の苗載台の変速駆動装置。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は移植機に関するもので、特に、エンジンに連動する移植装置を駆動 する駆動軸から苗載台を駆動するネジ軸を駆動するために両軸の端部に設けられ たスプロケットと、これらのスプロケットの間を結ぶチェーンを簡単に変えて変 速するようにした移植機の苗載台の変速駆動装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

一般に移植機ではエンジンに連動する駆動軸と苗載台を往復駆動するためのネ ジ軸は大型のケース内に並行に離間して支持され、両軸の端部にはスプロケット が固定され、このスプロケットの間に伝導チェーンが架け回されている。そこで 、載苗台を往復駆動する速度を変更しようとするときは、変速ケースの蓋を明け て両軸を連結するスプロケットやチェーンを異なるサイズのものと変更すること によって行っている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、載苗台の送り速度変更はしばしば行われるものであるにもかか わらず、従来はネジ軸や駆動軸とスプロケットとの結合が過度に堅固であったた め、これの交換には種々の工具を要した。すなわち、ケースの側方の開口部を閉 止している蓋の開閉の他に、スプライン係合された軸とスプロケットとをサーク リップや割りピンを取り除いた後に着脱を行わなければならない不便があった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

この考案は上記した不具合を解消し、構造が簡単で作業性のすぐれた変速駆動 装置を得ることを目的とするもので、走行機体Ｔより動力を受ける入力軸２ｃと これに連なる駆動軸２ａを駆動ケース２内に収容支持し、苗載台１ｃを往復駆動 させるネジ軸４ａを駆動ケース２と、この駆動ケース２の端部に設けられた変速 ケース５によって支持し、この変速ケース内に突出した軸端に取付けたスプロケ ット５ｂ、５ｃの間をチェーン５ｄで連結し、変速ケース５の開口部は蓋５ｅで 閉止可能に構成されており、両軸２ａと４ａとスプロケット５ｃ、５ｂは前記開 口部方向に移動可能に嵌合され、両スプロケット５ｃ、５ｂは抜き出し方向の移 動を蓋５ｅで規制されている移植機の苗載台の変速駆動装置である。

【０００５】 ネジ軸４ａの一方の端部は駆動ケース２に、他方の端部はこの駆動ケース２に 設けた変速ケース５に支持されており、この変速ケース５は駆動ケース２と別体 に形成した方が製作上有利であるが、機械加工上の問題がなければこれらを一体 として製作しても良いことは明らかである。

【０００６】

【実 施 例】

以下、図示の実施例によってこの考案を説明する。乗用形移植機をなす走行機 体Ｔの後部には、リンク機構１ａを介して昇降可能に植付作業機１が支持されて いる。この植付作業機１は下部にリンク機構１ａに結合された作業機フレーム１ ｂを有し、これには左右方向に移動可能な苗載台１ｃと植付爪を備えた植付アー ム１ｄを駆動する駆動ケース２が左右方向へ揺動可能に支持されている。３はフ ロートであり、植付作業機１の機体の幅方向中心に設けられた主フロート３ａと その両側に設置された副フロート３ｂ、３ｂとからなっている。これらフロート ３は植深調節レバー１ｇに連動する植深調節リンク１ｅを介して駆動ケース２に 支持されている。

【０００７】 駆動ケース２は、図２で示すように、アルミニウム合金をダイカストで鋳造し 機械加工を施した小型のもので、その内部には長手方向に沿って駆動軸２ａが軸 受されている。そして駆動ケース２の中央部前面には作業機フレーム１ｂから後 方へ突設した枢軸１ｆを軸受けする中央ボス２ｂと、走行機体Ｔの出力軸に連な る入力軸２ｃを支持する側方ボス２ｄとが鋳造で一体的に突設され、前記駆動軸 ２ａと入力軸２ｃとは傘歯車機構２ｅを介して連結されている。

【０００８】 ４は合成ゴム製のベローズからなる横送りネジ軸４ａのカバーであり、このネ ジ軸４ａは図３に示すように外周に右巻きと左巻きの螺旋溝を同時に形成してお り、このネジ軸４ａ上に摺動自在に従動子４ｂが嵌合し、この従動子４ｂに設け た突起４ｃが前記螺旋溝に係合しており、その突起を左右いずれかの螺旋溝を交 互に選択して係合させ往復運動するようになっている。

【０００９】 駆動ケース２の一方の端部には腕部２ｇが設けられ、他方の端部には変速ケー ス５が固定され、この腕部２ｇと変速ケース５の両者によってネジ軸４ａが支持 されている。この変速ケース５は機体の側方に向いた開口部が設けられており、 この開口部は蓋５ｅによって開閉可能に閉止されている。 従って、この変速ケース５内には駆動ケース２より突出した駆動軸２ａと、ネ ジ軸４ａとが突出しており、これらの端部には、いわゆる二面取りＡがなされて おり、軸線に直角な断面形状が略小判形をなしている。そして、これに嵌合する スプロケット５ｂ、５ｃにも同径の中心孔がブローチ加工されており、両者は容 易に嵌合できるようになっている。５ｅは変速ケース５の開口部を閉じる蓋であ り、それが閉じされたとき、スプロケット５ｂ、５ｃが抜け方向への移動を阻止 するように構成されている。この蓋５ｅの内面には両スプロケット５ｂ、５ｃの ボス部に当接する座部５ｋが形成されている。

【００１０】 図４において６は変速ケース５内に設置した伝動チェーン５ｄをタイトに緊張 させる緊張バネであり、この緊張バネ６は熱処理された短冊状の鋼板からなり、 その一端の係止側６ａは略直角に屈曲され、遊び側６ｂの端部は小さい円弧状に 屈曲されていて、自然状態では全体として比較的小さい半径を持つ弧状に作られ ている。他方、この緊張バネ６を組み付ける変速ケース５側は、緊張バネ６の一 端を係止させるため、補強リブ５ｆの一部を切欠いて溝５ｈが形成されており、 他端を支持するための面５ｊが形成してある。

【００１１】 次に、変速ケース５における速比の変更操作を説明する。両スプロケット５ｂ と５ｃの交換や組付けには、まず、ボルトを緩めて蓋５ｅを変速ケース５より取 り外し、次いで緊張バネ６を取り外す。最後に、両スプロケット５ｂ、５ｃを伝 動チェーン５ｄと共に取外す。 そして、予め所望の速比を持つ他のスプロケット５ｂ、５ｃを準備し、これに 伝動チェーン５ｄを巻回して同時に変速ケース５内へ挿入し、両軸２ａ、４ａの 軸端に形成した二面取り部Ａに位相を合わせて嵌合させた後、側方から緊張バネ ６を挿入する。すなわち、円弧状の緊張バネ６を伸ばすように変形させながら係 止側の端部６ａを前記溝５ｈに嵌め、遊び側６ｂの端部は変速ケース５の内面を 滑らせながら行う。

【００１２】 組付けが終了した後、変速ケース５の開口部を蓋５ｅで閉止し、ボルトで締着 することによってケース５の密封と同時にスプロケット５ｂ、５ｃおよび緊張バ ネ６の脱抜が防止される。 なお、閉じ蓋５ｅとスプロケット５ｂ、５ｃとの関係は、それらの間に若干の 隙間を設けることもあり、或いはその弾力により軽く押さえるように構成される こともある。

【００１３】 前記のように構成された変速駆動装置は、移植機の作動中、伝動チェーン５ｄ が振動すると、その振動に伴って緊張バネ６が変形するとき、変速ケース５の内 面５ｊを褶動して変形しつゝ、絶えず、伝動チェーン５ｄに張り傾向が与えられ て遊びが除去される。

【００１４】

【考案の効果】

この考案に係る移植機の苗載台の変速駆動装置は、走行機体Ｔより動力を受け る入力軸２ｃとこれに連なる駆動軸２ａを駆動ケース２内に収容支持し、苗載台 １ｃを往復駆動させるネジ軸４ａを駆動ケース２と、この駆動ケース２の端部に 固定された変速ケース５によって支持し、この変速ケース内に突出した軸端に取 付けたスプロケット５ｂ、５ｃの間をチェーン５ｄで連結し、変速ケース５の開 口部は蓋５ｅで閉止可能に構成されており、両軸２ａと４ａとスプロケット５ｃ 、５ｂは前記開口部方向に移動可能に嵌合され、両スプロケット５ｃ、５ｂは抜 き出し方向の移動を蓋５ｅで規制されて構成されている。

【００１５】 従って、変速ケース５の開口部を閉止している蓋５ｅを開くだけで両軸２ａと ４ａに嵌合されているスプロケット５ｂ、５ｃをチェーン５ｄと共に開口方向に 引出して交換することができ、その後この蓋５ｅを閉じれば両スプロケット５ｂ と５ｃのその抜け止めがなされるから、構造が簡単で係着部品を節約できると共 に、組付けや分解に専用工具を要せず作業が容易であるなどの効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】移植機の一例を示す田植機の側面図である。

【図２】駆動ケース等の内部構造を示す断面図である。

【図３】図２の要部の拡大断面図である。

【図４】図３におけるIV−IV線断面図である。

【図５】緊張バネの斜視図である。

【符号の説明】

２ 駆動ケース ２ａ 駆動軸 ４ 横送りケース ４ａ ネジ軸４ａ ５ 変速ケース ５ｂ、５ｃ
スプロケット ５ｅ 閉じ蓋。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 走行機体Ｔより動力を受ける入力軸２ｃ
   とこれに連なる駆動軸２ａを駆動ケース２内に収容支持
   し、苗載台１ｃを往復駆動させるネジ軸４ａを駆動ケー
   ス２と、この駆動ケース２の端部に固定された変速ケー
   ス５によって支持し、この変速ケース内に突出した軸端
   に取付けたスプロケット５ｂ、５ｃの間をチェーン５ｄ
   で連結し、変速ケース５の開口部は蓋５ｅで閉止可能に
   構成されており、両軸２ａと４ａとスプロケット５ｃ、
   ５ｂは前記開口部方向に移動可能に嵌合され、両スプロ
   ケット５ｃ、５ｂは抜き出し方向の移動を蓋５ｅで規制
   されている移植機の苗載台の変速駆動装置。