JPH0574910U - 独立懸架式サスペンション - Google Patents
独立懸架式サスペンションInfo
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- JPH0574910U JPH0574910U JP1411092U JP1411092U JPH0574910U JP H0574910 U JPH0574910 U JP H0574910U JP 1411092 U JP1411092 U JP 1411092U JP 1411092 U JP1411092 U JP 1411092U JP H0574910 U JPH0574910 U JP H0574910U
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 キャスター角及びキンクピン傾角を変化させ
ることなく、車両が旋回される際のキャンバー角変化特
性を自由に設定することができるようにしたことであ
る。 【構成】 車輪Wを支持するナックル11にはロアーア
ーム21がロアーボールジョイント24により連結され
ている。ナックル11の上端にはサブナックル部材31
がピボット軸17により軸支されており、このサブナッ
クル部材31はアッパーボールジョイント32を介して
アッパーアーム41に連結されている。または、ナック
ル11とサブナックル部材はアッパーボールジョイント
32により連結され、このサブナックル部材31はピボ
ット軸17によりアッパーアーム41の先端に軸支され
ている。更に、第1コントロールボールジョイント51
によりサブナックル部材31に一端が連結されたコント
ロールリンク53の他端は、アッパーアーム41または
ナックル11に第2コントロールボールジョイント52
により連結されている。
ることなく、車両が旋回される際のキャンバー角変化特
性を自由に設定することができるようにしたことであ
る。 【構成】 車輪Wを支持するナックル11にはロアーア
ーム21がロアーボールジョイント24により連結され
ている。ナックル11の上端にはサブナックル部材31
がピボット軸17により軸支されており、このサブナッ
クル部材31はアッパーボールジョイント32を介して
アッパーアーム41に連結されている。または、ナック
ル11とサブナックル部材はアッパーボールジョイント
32により連結され、このサブナックル部材31はピボ
ット軸17によりアッパーアーム41の先端に軸支され
ている。更に、第1コントロールボールジョイント51
によりサブナックル部材31に一端が連結されたコント
ロールリンク53の他端は、アッパーアーム41または
ナックル11に第2コントロールボールジョイント52
により連結されている。
Description
【0001】
本考案は、自動車の主として前輪を懸架するために適用される独立懸架式サス ペンションに関し、特にウッシュボーン型独立懸架式サスペンションの改良に関 する。
【0002】
自動車の走行中において路面から受ける種々の振動や衝撃を吸収するため、車 体と車輪との間には、緩衝作用を備えた懸架装置つまりサスペンション装置が設 けられている。かかるサスペンションは、自動車を路面上に支え駆動輪からの推 進力を車体側に伝え、同時に路面からの衝撃を緩和して自動車を破損から守るだ けでなく、乗り心地と走行安定性を改善する重要な機能をもつことから、自動車 の高速化と共にその機能は高速化の限界を左右するものとして益々重要視され、 装置全般に対する科学的な研究が進められて多くの機構型式および要素が開発さ れている。
【0003】 サスペンションは、一般に上下方向には柔らかく、前後左右方向には堅くする 必要があり、その構造面から大別すると車軸懸架式サスペンションと独立懸架式 サスペンションとに分類することができる。乗り心地及び走行安定性を重視する 乗用車の前輪および後輪に、独立懸架式サスペンションが多用されている。
【0004】 独立懸架式サスペンションは、左右の車輪を1本のアクスルで連結せずに独立 して運動できるようにしたもので、ウィッシュボーン型、マックファーソン型、 トレーリングアーム型、スイングアクスル型等に分類することができる。このよ うな独立懸架式サスペンションは、車軸懸架式サスペンションに比べ、左右いづ れかのホイールが路面突起に乗り上げても人間の膝の関節のような働きをしてそ のホイールだけが上下し車体は傾斜せず、ローリング(横ゆれ)を抑制して安定 な走行を行なうことができるという利点を有している。
【0005】 独立懸架式サスペンションの中で広く用いられているのがウィッシュボーン型 サスペンションである。このタイプのサスペンションは、上下2本のアームを有 し、これらのアームによりナックルが車体あるいはフレームに取り付けられてい る。それぞれのアームの基端は車体側に軸支され、先端はナックルの上下端に通 常ではボールジョイントを介して連結されている。これにより、上下2本のアー ムとナックルは四辺形リンク機構を構成することとなり、車輪はその外周面が路 面に対して水平に接触した状態で、上下することができるので、接地性が良好で あるという利点を有している。
【0006】
しかしながら、従来のサスペンションにあっては、車両の旋回安定性を満足さ せるためには旋回時の外輪をネガティブキャンバー角とするためにキングピン傾 角を小さくし、キャスター角を大きくする必要があったが、特に駆動輪用のサス ペンションにおいてはキングピン傾角を小さくするとスクラブ半径が大きくなり 、また、キャスター角を大きくするとキャスタートレールが過大となる不具合が 生じるために、充分なネガティブキャンバー角を確保することができなかった。
【0007】 本考案はこのような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、キャスタ ー角及びキングピン傾角を変化させることなく、車体の状況に応じたキャンバー 角変化特性を自由に設定し得るようにした独立懸架式サスペンションを提供する ことを目的とする。
【0008】
上記目的を達成するための本考案は、車輪を回転自在に支持するナックルの下 端部に、基端部が車体に軸支されたロアーアームの先端部をロアーボールジョイ ントにより連結し、前記ナックルの上端部に車体の前後方向を向くピボット軸に より前記ナックルに対して相対的に回動自在にサブナックル部材を軸支し、前記 車体に基端部が軸支されたアッパーアームの先端部に、前記サブナックル部材を アッパーボールジョイントにより連結して前記ロアーボールジョイントの中心と 前記アッパーボールジョイントの中心とを通る軸により転舵軸を形成し、前記サ ブナックル部材に第1コントロールボールジョイントを介してコントロールリン クの一端を連結すると共に前記コントロールリンクの他端と前記アッパーアーム とを第2コントロールボールジョイントを介して連結し、前記第1コントロール ボールジョイントの中心を通る水平面と前記転舵軸とが交わる転舵点に対して、 前記第1コントロールボールジョイントの中心を水平方向にオフセットしたこと を特徴とする独立懸架式サスペンションである。 また、本発明は車輪を回転自在に支持するナックルの下端部に、基端部が車体 に軸支されたロアーアームの先端部をロアーボールジョイントにより連結し、前 記ナックルの上端部にアッパーボールジョイントによりサブナックル部材を連結 して前記ロアーボールジョイントの中心と前記アッパーボールジョイントの中心 とを通る軸により転舵軸を形成すると共に、前記車体に基端部が軸支されたアッ パーアームの先端部に、前記サブナックル部材を車体の前後方向を向くピボット 軸により軸支し、前記サブナックル部材に第1コントロールボールジョイントを 介してコントロールリンクの一端を連結すると共に前記コントロールリンクの他 端と前記ナックルとを第2コントロールボールジョイントを介して連結し、前記 第1コントロールボールジョイントの中心を通る水平面と前記転舵軸とが交わる 転舵点に対して、前記第1コントロールボールジョイントの中心を水平方向にオ フセットしたことを特徴とする独立懸架式サスペンションである。
【0009】
車両が旋回されるときには、アッパーボールジョイントの中心とロアーボール ジョイントの中心とを通る転舵軸を中心として、操舵装置により車輪が旋回移動 される。このときには、ナックルとサブナックル部材とをピボット軸により相互 に回動自在に軸支し、サブナックル部材をアッパーボールジョイントを介してア ッパーアームに連結し、更にコントロールリンクを介してサブナックル部材とア ッパーアームとを連結した場合には、ナックルと共にサブナックル部材が転舵軸 を中心に回動すると、サブナックル部材の回動がコントロールリンクにより規制 されて、ナックルは所定の方向に傾斜する。これにより、車輪のキャンバー角変 化特性が転舵角に応じて変化する。
【0010】 一方、アッパーボールジョイントによりナックルとサブナックル部材とを連結 し、サブナックル部材をアッパーアームの先端にピボット軸により軸支し、コン トロールリンクによりナックルとサブナックル部材とを連結した場合には、ナッ クルの回転がコントロールリンクを介してサブナックル部材に伝達されて、サブ ナックル部材はピボット軸を中心に回動する。これにより、ナックルが傾斜して 、車輪のキャンバー角は転舵角に応じて変化する。
【0011】
次に、図示する本考案の実施例に基づいて本考案を詳細に説明する。 図1は左側の前輪を支持するための独立懸架式サスペンションを示し、その概 略構造が図2に示されている。右側の前輪を支持するためのサスペンションも同 様の構造となっている。図示されるように、車輪Wが回転自在に取付けられたナ ックル11には、車輪Wを軸受(図示省略)を介して支持するスピンドル12が 外方に向けて突設されている。このナックル11にはナックルアーム13が設け られている。このナックルアーム13には図示しない操舵機構が連結されるよう になっており、車輪Wの転舵角が適宜変更される。更に、このナックル11には 、図示しないタイロッドが連結され、そのタイロッドを介して、左右の両車輪用 のナックル同志が連結されている。
【0012】 車体Bには、直接あるいは図示しないフレームを介してロアーアーム21がそ の基端部で取付けられており、基端部に設けられたブッシュ22が車体に取付け られたピボット軸(図示省略)に嵌合され、ロアーアーム21は軸23回りに回 動する。このロアーアーム21は2つのアーム片21a、21bが一体となって 構成され、いわゆるA型アームとなっている。このロアーアーム21の先端部に は、ロアーボールジョイント24を介してナックル11が下端部14で連結され ている。
【0013】 ナックル11の上端部15には、車両の前後方向を向くピボット軸17により サブナックル部材31がその下端部で軸支されており、サブナックル部材31と ナックル11はピボット軸17の中心軸つまり連結軸16回りに相互に回動自在 となっている。車体Bにはアッパーアーム41がその基端部に設けられたブッシ ュ42により、軸43回りに回動自在に軸支されており、このアッパーアーム4 1も、2つのアーム片41a、41bが一体となって構成されたA型アームとな っている。このアッパーアーム41の先端部は、アッパーボールジョイント32 によりサブナックル部材31の上端に連結されている。このアッパーボールジョ イント32の中心とロアーボールジョイント24の中心とを通る軸が転舵軸10 となり、車両が旋回する際には、この転舵軸10を中心として車輪Wが旋回され る。この転舵軸10は地面に垂直な軸に対して所定のキングピン傾角αで車幅方 向に傾斜している。図2においては、車輪中心面Pが地面に垂直となっている場 合が示されているが、図における左右方向の車輪中心面Pの傾斜角がキャンバー 角γとなる。車輪中心面Pが接地点に対して車体内方に近ずく方向に傾斜した場 合には車輪Wはネガティブなキャンバー角γn となり、車輪中心面Pが接地点に 対して車体外方に離れる方向に傾斜した場合には、車輪Wはポジティブなキャン バー角γp で傾斜する。
【0014】 サブナックル部材31の上下方向中央部には、第1コントロールボールジョイ ント51によりコントロールリンク53がその一端部で連結され、このコントロ ールリンク53の他端部は、アッパーアーム41に第2コントロールボールジョ イント52を介して連結されている。 第1コントロールボールジョイント51の中心を通る水平面と前記転舵軸10 とが交わる点を転舵点50とすると、この転舵点50に対して第1コントロール ボールジョイント51の中心は、図2に示されるように、距離Eだけ水平方向に オフセットされている。特に、図示する場合には、転舵点50に対して車体Bの 内方に向けてオフセットされている。したがって、操舵機構により車輪が転舵さ れると、ナックル11とサブナックル部材31は、転舵軸10を中心に回動する ことになり、第1コントロールボールジョイント51も転舵軸10を中心に回動 しようとするが、このボールジョイント51の回転はコントロールリンク53に よって拘束されているので、ボールジョイント51は内方へ引張られることにな る。この結果、ナックル11の上端部15つまり連結軸16は内方に変位するこ とになり、ナックル11は図2において車体Bに近ずく方向に傾斜する。
【0015】 この原理を示すと、図11(B)の通りである。図示されるように、ナックル 11が転舵軸10を中心に回動すると、サブナックル部材31も回転力を受ける が、サブナックル部材31は第1コントロールボールジョイント51によりコン トロールリンク53に連結されているので、操舵機構により加えられた回転力に よりコントロールリンク53はその先端の軌跡Qに沿って変位する。したがって 、オフセットの距離Eを半径とする円弧軌跡Rと、軌跡Qとの距離の差だけボー ルジョイント51の中心が車体Bに向けて内方に引込まれることになる。これに より、サブナックル部材31は転舵軸10を中心に回動しながら、アッパーボー ルジョイント32を中心として矢印18で示す方向に揺動し、車輪Wのキャンバ ー角が転舵量に応じて変化することになる。
【0016】 アッパーアーム41と車体Bとの間、あるいはロアーアーム21と車体Bとの 間には、懸架スプリング(図示省略)が設けられ、アームを介してナックル11 には下方に向くばね力が付勢されている。また、ロアーアーム21をI型アーム により構成するようにしても良い。その場合には、I型アームを強固に車体Bに 取付けるために、I型アームにテンションロッドの一端を連結し、他端をブラケ ットを介して車体Bに連結するように構成することが好ましい。更に、アーム2 1、41の車体Bに対する取付けは、車体Bに直接取付けることなく、フレーム を介して取付けるようにしても良い。図1及び図2に示されたサスペンションは 、車輪がスピンドル12により支持されるようになっているが、左右の前輪を駆 動する場合、例えば前輪駆動の車両の場合には、ナックル11の中央にドライブ シャフトが等速軸受を介して回転自在に支持され、前輪がドライブシャフトによ り駆動されるようになる。
【0017】 図示する場合には、アッパーボールジョイント32がサブナックル部材31を 介してナックル11に連結されているので、アッパーアーム41のアーム長を長 く設定することができる。
【0018】 図1及び図2に示されるサスペンションは上述のように、第1コントロールボ ールジョイント51が転舵点50に対して内側にオフセットされているが、この オフセットの方向を図11(A)に示すように転舵軸50に対して車体Bの外側 にオフセットさせても良く、図11(C)に示すように前方にオフセットさせて も良く、図11(D)に示すように後方にオフセットさせても良い。上記実施例 のように内側にオフセットしたタイプをオフセットタイプB、外側にオフセット したタイプをオフセットタイプA、前方にオフセットしたタイプをオフセットタ イプC、後方にオフセットしたタイプをオフセットタイプDとする。これらの基 本的オフセット方向のパターンにおける第1コントロールボールジョイント51 の転舵時における移動方向を示すと、図11(A)〜図11(D)の通りである 。これらの図においては、車両が左側に旋回される場合が示されており、左側の 車輪WL が旋回時の内輪となり、右側の車輪WR が外輪となる。ただし、実際の 車両においては、第1コントロールボールジョイント51は転舵軸10に対して 内方と前方の両方等のように、2方向にオフセットされることがある。
【0019】 更に上述したオフセットタイプに併せて、サブナックル部材31とコントロー ルリンク53とを連結する第1コントロールボールジョイント51と、アッパー アーム41とコントロールリンク53とを連結する第2コントロールボールジョ イント52との上下関係と、ピボット軸17の中心つまり連結軸16とアッパー ボールジョイント32との上下関係により合計4つの配列タイプがある。
【0020】 図3に示されるサスペンションは、前記実施例と相違して、第1コントロール ボールジョイント51が第2コントロールボールジョイント52よりも上側に配 置されている場合であり、上記実施例における部材と共通性を有する部材には同 一の符号が付されている。
【0021】 表1は上述した4つの配列タイプそれぞれについて各々のオフセットタイプに における車両旋回時の内外輪のキャンバー角変化特性を示す。第1コントロール ボールジョイント51が第2コントロールボールジョイント52よりも上方に位 置すると共に、連結軸16がアッパーボールジョイント32よりも下側に位置す る配列タイプを配列タイプ1とすると、図3に示されるサスペンションは、配列 タイプ1となる。そして、この場合は、転舵点に対して第1コントロールボール ジョイント51が車体Bの外側に位置していればオフセットタイプAとなり、内 側に位置していればオフセットタイプBとなる。連結軸16がアッパーボールジ ョイント32の中心よりも上側に位置していれば、配列タイプ2となる。それぞ れのタイプにおける車両旋回時の内外両輪のキャンバー角の変化特性は表1に示 される通りである。
【0022】 一方、図1及び図2に示したように、第1コントロールボールジョイント51 が第2コントロールボールジョイント52よりも下側に配列されおり、連結軸1 6がアッパーボールジョイント32よりも下側に配列されていれば、配列タイプ 3となる。図1及び図2に示されるサスペンションは転舵軸10に対して車体B に向けて内側にオフセットされているので、オフセットタイプはタイプBとなっ ている。2つのコントロールボールジョイント51、52が同様の上下関係であ って、連結軸16がアッパーボールジョイント32よりも上側に配列されていれ ば、配列タイプ4となる。
【0023】 図4(A)(B)は図1及び図2に示されたサスペンションの変形例を示す。 図4(A)は第1コントロールボールジョイント51が連結軸16よりも下側に おいてサブナックル部材31に連結されている。この場合には、アッパーボール ジョイント32よりも連結軸16が下側に配置されているので、図1及び図2の 場合と同様に配列タイプ3となる。これに対して、図4(B)に示されるように 、連結軸16がアッパーボールジョイント32よりも上側に配置されていれば、 配列タイプ4となる。
【0024】 図5(A)〜図5(C)は、図3に示されたように、第1コントロールボール ジョイント51が第2コントロールボールジョイント52よりも上側に配置され たタイプ(配列タイプ1、2)の変形例である。図5(A)は連結軸16がアッ パーボールジョイント32よりも上側に配置されているので、配列タイプ2とな り、このときのオフセットタイプは、アッパーボールジョイント32の中心が転 舵点50に対して車体Bの外方にオフセットされているので、オフセットタイプ Aとなる。図5(B)も配列タイプ2であって、オフセットタイプAのサスペン ションを示す。一方、図5(C)は、連結軸16がアッパーボールジョイント3 2よりも下側に配置されているので、配列タイプ1となり、この場合にはオフセ ットタイプAとなっている。
【0025】 上記独立懸架式サスペンションは、直進走行時に車輪Wが突起物に乗り上げた 場合等のように、車輪Wが車体Bに対して上下方向に移動した場合には、車両の 前方から見た3つのボールジョイント32、51、52の相対位置は変化するこ となく、ロアーアーム21が軸23を中心に回動すると共に、アッパーアーム4 1が軸43を中心に回動することになる。
【0026】 一方、車両が旋回される際には、車輪Wは転舵軸10を中心に操舵されること になり、2つのボールジョイント51、52の相互間の長さは変化しないが、ナ ックル11が転舵軸10を中心に回動することによって、アッパーボールジョイ ント32の中心が水平方向に移動することになる。これにより、転舵角に応じて キャンバー角が変化する。上述したオフセットタイプの基本的パターン(A〜D )と配列パターン(1〜4)と組合わせにより、旋回時の内外両輪のキャンバー 角の変化特性は、表1に示されるように設定される。これにより、オフセットの 方向と距離、及び配列パターンを選択することにより、自由にキャンバー角変化 特性を設定することが可能となる。 図1〜図5に示されるタイプのサスペンションにおける車両旋回時の内外両輪 のキャンバー角の変化特性は表1に示される通りである。
【0027】
【表1】
【0028】 図6及び図7図は本考案の更に他の実施例に係るサスペンションを示す。この 場合には、ナックル11の上端部15にアッパーボールジョイント32を介して サブナックル部材31が連結されており、このアッパーボールジョイント32と ロアーボールジョイント24とを通る軸により転舵軸10が形成されている。サ ブナックル部材31の上端部には、車体Bの前後方向を向くピボット軸17を介 してアッパーアーム41の先端が軸支されている。サブナックル部材31には、 第1コントロールボールジョイント51を介してコントロールリンク53の一端 が連結され、このコントロールリンク53の他端は、ナックル11の上端部15 から突出した突出部19に第2コントロールボールジョイント52を介して連結 されている。図7に示されるように、第1コントロールボールジョイント53の 中心を通る水平面と転舵軸10とが交わる点舵点50に対して第1コントロール ボールジョイント51の中心は、内側に距離Eだけオフセットされている。
【0029】 したがって、このタイプのサスペンションにおいては、車両が突起物に乗り上 げた場合のように、車輪Wが車体Bに対して上下方向に移動した場合には、アッ パーアーム41とロアーアーム21とがそれぞれ基端部を中心に回動する。この ときには、3つのボールジョイント32、51及び52の車両正面から見た相対 位置関係は変化しない。そして、車両の旋回時には、ナックル11が上下両ボー ルジョイント32、24を通る転舵軸10を中心に回動する。
【0030】 アッパーボールジョイント32の中心と第1コントロールボールジョイント5 1の中心とを通る軸をHとし、連結軸16と平行であって、アッパーボールジョ イント32を通る軸をJとし、これらの軸のなす水平面内の角度をθとすると、 この角度θは車輪Wの最大転舵角よりも小さく設定される。この理由は、車輪W が転舵される過程において、軸Hが連結軸16と平行にならないようにするため である。したがって、図6及び図7に示されるタイプのサスペンションにおいて は、第1コントロールボールジョイント51が転舵点50に対して車体Bの前後 方向にのみオフセットされることはない。
【0031】 図8は図6及び図7に示されたサスペンションの変形例であって、この場合に はサブナックル部材31とコントロールリンク53とを連結する第1コントロー ルボールジョイント51は連結軸16よりも上方に配置されている。図6〜図8 に示されるサスペンションにあっても、配列タイプは表2に示されるように配列 タイプ1から配列タイプ4まであるが、基本的オフセットタイプは第1コントロ ールボールジョイント51が転舵点50に対して車両の外方にオフセットされて いるか、内方にオフセットされているかの2つとなっている。図6〜図8に示さ れるサスペンションは、何れも配列タイプ2であり、オフセットタイプはタイプ Bである。このタイプのサスペンションにおける車両旋回時の内外両輪のキャン バー角変化特性は、表2に示される通りである。
【0032】 図9(A)はピボット軸17の中心軸つまり連結軸16が第1コントロールボ ールジョイント51よりも下側に配置されていることを除くと、基本的配列パタ ンーは、図6及び図7に示されたサスペンションと同様である。一方、図9(B )に示されるサスペンションは、アッパーアーム41とサブナックル部材31と を軸支するピボット軸17の中心16がアッパーボールジョイント32よりも下 側に配置されており、配列タイプ1となっている。この場合には、第1コントロ ールボールジョイント51は転舵点50に対して車体Bの外方にオフセットされ ているので、オフセットタイプはタイプAとなっている。
【0033】 図10(A)〜(C)は図8に示されたサスペンションの変形例を示す。図1 0(A)のサスペンションは、アッパーアーム41とサブナックル部材31とを 軸支するピボット軸17の中心16が、アッパーボールジョイント32よりも上 方に位置し、サブナックル部材31の下端部においてコントロールリンク53が 第1コントロールボールジョイント51を介して連結され、第2コントロールボ ールジョイント52を介してコントロールリンク53がナックル11に連結され ている。このように、ボールジョイント51がボールジョイント52よりも下側 に配置されているので、配列タイプはタイプ4となり、オフセットタイプはタイ プBとなっている。
【0034】 また、図10(B)に示されるサスペンションは、ピボット軸17の中心16 はアッパーボールジョイント32の中心よりも下側に配置されているので、配列 タイプはタイプ3となる。そして、図10(C)に示されるサスペンションも、 ピボット軸17の中心16がアッパーボールジョイント32の中心よりも下側に 配置されるので、配列タイプはタイプ3となる。
【0035】 図6〜図10に示されたタイプのサスペンションについての各々の配列タイプ とオフセットタイプとの組合わせにおける車両旋回時の内外両輪のキャンバー角 の変化特性は表2に示される通りである。
【0036】
【表2】
【0037】 このように、本考案にあっては、サブナックル部材31に第1コントロールボ ールジョイント51を介してアッパーアーム41またはナックル11に一端が連 結されたコントロールリンク53を有し、アッパーアーム41またはナックル1 1とコントロールリンク51の他端とを第2コントロールボールジョイント52 により連結するようにしており、これらのボールジョイント51、52の上下位 置に応じて、2つの配列パターンが得られ、それぞれのパターンにおいて、ピボ ット軸17の中心つまり連結軸16とアッパーボールジョイント32との上下位 置に応じて合計4つの配列パターンが得られる。それぞれの配列パターンにおい て、転舵点50に対する第1コントロールボールジョイント51のオフセット方 向と距離とを任意に設定することにより、転舵時におけるキャンバー角の変化特 性を任意に設定することができる。
【0038】 尚、本考案は前輪駆動の車両及び4輪駆動の車両のように、前輪を駆動するタ イプの車両に使用するサスペンションとしても使用することができる。その場合 には、ナックル11の中央部には駆動軸を支持するための筒体が設けられること になる。また、本考案のサスペンションは主として前輪を支持するためのサスペ ンションとして使用されるが、操舵がなされる際に後輪も転舵させるタイプの車 両に対しては、後輪のサスペンションとしても使用される。
【0039】
したがって、本考案によれば、オフセットタイプと配列タイプとの組合わせを 任意に選択することにより、サスペンションのジオメトリを決定するにあたり、 その設計の自由度が格段に向上し、キャスター角及びキングピン傾角を変化させ ることなく、所望のキャンバー角変化特性を得ることができる。
【図1】は本考案の一実施例に係る独立懸架式サスペン
ションを示す斜視図、
ションを示す斜視図、
【図2】は図1を正面から見た概略構造図、
【図3】は本考案の他の実施例に係る独立懸架式サスペ
ンションを示す斜視図、
ンションを示す斜視図、
【図4】(A)(B)は本考案の更に他の実施例に係る
独立懸架式サスペンションを示す正面図、
独立懸架式サスペンションを示す正面図、
【図5】(A)〜(C)は本考案の更に他の実施例に係
る独立懸架式サスペンションを示す正面図である。
る独立懸架式サスペンションを示す正面図である。
【図6】は本考案の更に他の実施例に係る独立懸架式サ
スペンションを示す斜視図、
スペンションを示す斜視図、
【図7】は図6の正面図、
【図8】は本考案の更に他の実施例に係る独立懸架式サ
スペンションを示す斜視図、
スペンションを示す斜視図、
【図9】(A)(B)は本考案の更に他の実施例に係る
独立懸架式サスペンションを示す正面図、
独立懸架式サスペンションを示す正面図、
【図10】(A)〜(C)は本考案の更に他の実施例に
係る独立懸架式サスペンションを示す正面図、
係る独立懸架式サスペンションを示す正面図、
【図11】(A)〜(D)は転舵点に対する第1コント
ロールボールジョイントのオフセット方向と第1コント
ロールボールジョイントの変位する方向とを示す平面図
である。
ロールボールジョイントのオフセット方向と第1コント
ロールボールジョイントの変位する方向とを示す平面図
である。
10…転舵軸、11…ナックル、16…連結軸、17…
ピボット軸、21…ロアーアーム、24…ロアーボール
ジョイント、31…サブナックル部材、32…アッパー
ボールジョイント、41…アッパーアーム、51…第1
コントロールボールジョイント、52…第2コントロー
ルボールジョイント、53…コントロールリンク、B…
車体、W…車輪。
ピボット軸、21…ロアーアーム、24…ロアーボール
ジョイント、31…サブナックル部材、32…アッパー
ボールジョイント、41…アッパーアーム、51…第1
コントロールボールジョイント、52…第2コントロー
ルボールジョイント、53…コントロールリンク、B…
車体、W…車輪。
Claims (2)
- 【請求項1】 車輪(W) を回転自在に支持するナックル
(11)の下端部に、基端部が車体(B) に軸支されたロアー
アーム(21)の先端部をロアーボールジョイント(24)によ
り連結し、 前記ナックル(11)の上端部に車体の前後方向を向くピボ
ット軸(17)により前記ナックル(11)に対して相対的に回
動自在にサブナックル部材(31)を軸支し、 前記車体(B) に基端部が軸支されたアッパーアーム(41)
の先端部に、前記サブナックル部材(31)をアッパーボー
ルジョイント(32)により連結して前記ロアーボールジョ
イント(24)の中心と前記アッパーボールジョイント(32)
の中心とを通る軸により転舵軸(10)を形成し、 前記サブナックル部材(31)に第1コントロールボールジ
ョイント(51)を介してコントロールリンク(53)の一端を
連結すると共に前記コントロールリンク(53)の他端と前
記アッパーアーム(41)とを第2コントロールボールジョ
イント(52)を介して連結し、 前記第1コントロールボールジョイント(51)の中心を通
る水平面と前記転舵軸(10)とが交わる転舵点(50)に対し
て、前記第1コントロールボールジョイント(51)の中心
を水平方向にオフセットしたことを特徴とする独立懸架
式サスペンション。 - 【請求項2】 車輪(W) を回転自在に支持するナックル
(11)の下端部に、基端部が車体(B) に軸支されたロアー
アーム(21)の先端部をロアーボールジョイント(24)によ
り連結し、 前記ナックル(11)の上端部にアッパーボールジョイント
(32)によりサブナックル部材(31)を連結して前記ロアー
ボールジョイント(24)の中心と前記アッパーボールジョ
イント(32)の中心とを通る軸により転舵軸(10)を形成す
ると共に、前記車体(B) に基端部が軸支されたアッパー
アーム(41)の先端部に、前記サブナックル部材(31)を車
体(B) の前後方向を向くピボット軸(17)により軸支し、 前記サブナックル部材(31)に第1コントロールボールジ
ョイント(51)を介してコントロールリンク(53)の一端を
連結すると共に前記コントロールリンク(53)の他端と前
記ナックル(11)とを第2コントロールボールジョイント
(52)を介して連結し、 前記第1コントロールボールジョイント(51)の中心を通
る水平面と前記転舵軸(10)とが交わる転舵点(50)に対し
て、前記第1コントロールボールジョイント(51)の中心
を水平方向にオフセットしたことを特徴とする独立懸架
式サスペンション。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1992014110U JP2605975Y2 (ja) | 1992-03-17 | 1992-03-17 | 独立懸架式サスペンション |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1992014110U JP2605975Y2 (ja) | 1992-03-17 | 1992-03-17 | 独立懸架式サスペンション |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0574910U true JPH0574910U (ja) | 1993-10-12 |
JP2605975Y2 JP2605975Y2 (ja) | 2000-09-04 |
Family
ID=11851982
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1992014110U Expired - Lifetime JP2605975Y2 (ja) | 1992-03-17 | 1992-03-17 | 独立懸架式サスペンション |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2605975Y2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101339244B1 (ko) * | 2011-12-14 | 2013-12-09 | 현대자동차 주식회사 | 차량의 후륜 현가장치 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH04292204A (ja) * | 1991-03-20 | 1992-10-16 | Mazda Motor Corp | 車両のサスペンシヨン装置 |
-
1992
- 1992-03-17 JP JP1992014110U patent/JP2605975Y2/ja not_active Expired - Lifetime
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH04292204A (ja) * | 1991-03-20 | 1992-10-16 | Mazda Motor Corp | 車両のサスペンシヨン装置 |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101339244B1 (ko) * | 2011-12-14 | 2013-12-09 | 현대자동차 주식회사 | 차량의 후륜 현가장치 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2605975Y2 (ja) | 2000-09-04 |
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