JPH0574441B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明はセラミツクからなる過給機用ロータ等
のハニカム構造体の成形方法に関する。

（従来の技術） セラミツクは金属に比べ軽量で腐食しにくい特
性を有しているため、過給機用ロータセル、排気
ガス浄化用の触媒担体、熱交換器等の複数の隔壁
によつて区切られたハニカム構造体がセラミツク
により形成されている。

斯かるセラミツクハニカム構造体の製造は流動
性のあるセラミツクコンパウンドをスクリユーに
加圧混練し、この加圧したセラミツクコンパウン
ドを成形ヘツドの金型から押出し、所定寸法に切
断した後乾燥し、次いで焼成するようにしてい
る。

しかしながら押出し成形によつてハニカム構造
体を成形する場合、例えば隔壁の肉厚が異なると
特公昭62−20881号等に開示されるように金型自
体に工夫をこらす必要がある。

（発明が解決しようとする問題点） 従来の押出し成形法にあつては、スクリユーを
横置きにセツトする関係から側方に成形品を押出
すようにしている。このため、成形品に歪み、撓
みが生じ、過給機のロータの如き回転部品として
は使用に耐え得るものを生産することができな
い。

一方、プラスチツク製品にあつては、成形ヘツ
ドから下方へ押出す方法があるが、この方法をセ
ラミツクハニカム構造体に適用すると、押出され
た後のセラミツクコンパウンドが自重により伸
び、厚みが薄くなるという問題があり、いずれの
場合も所望の形状は得られない。

そこで本出願人は先にセラミツクハニカム構造
体を押出し成形するにあたり、セラミツクコンパ
ウンドを上向きに押出すとともに、外側のハニカ
ム部の内側にボス部を圧着して一体的に押出すこ
とで、押出し成形されるハニカム部の密度向上と
変形防止が図れる方法を提案した。

（発明が解決しようとする問題点） 上述したようにセラミツクコンパウンドを上方
へ押出し、且つハニカム部とともにボス部をも同
期して上昇させれば、ハニカム部の密度向上と変
形防止を図れるが、金型内のコンパウンドにはそ
れよりも上方にある成形品の自重しか作用せず、
このため第５図の平面図に示すようにハニカム部
１００とボス部１０１からなる押出し成形品のハ
ニカム部１００の内周部の金型への密着が不完全
となり、ヒケ１０２が発生する。

（問題点を解決するための手段） 上記問題点を解決すべく本発明はセラミツク製
ハニカム構造体を押出し成形するにあたり、セラ
ミツクコンパウンドを上向きに押出し、しかもハ
ニカム構造体となるハニカム部の内側に同じくセ
ラミツクコンパウンドからなるボス部を圧着させ
て一体的に押出すとともに、ボス部に上方から荷
重をかけるようにした。

（作用） ボス部に上方から荷重をかけると、ボス部を介
してハニカム部の内周部は径方向外方へ押され、
金型に密接し、ヒケが生じなくなる。

（実施例） 以下に本発明の実施例を添付図面に基づいて説
明する。

第１図は本発明方法を実施するための押出し成
形装置の成形ヘツドの断面図、第２図は同成形ヘ
ツドの平面図であり、成形ヘツドの下部は筒状金
属ブロツク１にて構成され、この金属ブロツク１
の側端開口は蓋体２にて閉塞され、また金属ブロ
ツク１内には下方から調整芯３が挿入され、この
調整芯３は金属ブロツク１に螺合せしめるととも
に金属ブロツク１よりも下方に突出した調整芯３
下端にハンドル４を取付け、ハンドル４を回転操
作することで、調整芯３が上下動するようにして
いる。

一方、成形ヘツドの上部には外側均圧管５及び
内側均圧管６を設け、外側均圧管５と内側均圧管
６との間を製品となるハニカム部を成形するため
の外側流路Ｐ１、内側均圧管６の内方をハニカム
部内周面に接触するボス部を成形するための内側
流路Ｐ２としている。

また、外側均圧管５の上下端にはフランジが形
成され、下のフランジと金属ブロツク１上面との
間で多孔板７を挟持している。多孔板７にはセラ
ミツクコンパウンドが通過する孔が複数形成され
ている。そしてこれら孔のうち流量が多くなる部
分つまりスクリユー９に近い部分に形成した孔８
ａの径は流量が少なくなる部分つまりスクリユー
から遠い部分に形成した孔８ｂの径よりも小さく
し、成形ヘツド上端に設けた金型１０全面に均等
な流量でセラミツクコンパウンドが押出されるよ
うにしている。

また、多孔板７の中央には筒状部１１を形成
し、この筒状部１１下方に前記調整芯３の上端を
臨ませ、ハンドル４の操作で調整芯３を上下動さ
せることで内側流路Ｐ２への流量が変化する。更
に筒状部１１の上半部には中子ダイス１２を螺着
し、この中子ダイス１２に前記内側均圧管６の下
端を螺着し、内側均圧管６の上端を金型１０内周
面に係着せしめている。

ここで金型１０は平面図である第２図にも示す
ようにハニカム部を成形するための内側部１０ａ
と製品の外周部を成形するための外輪１０ｂとか
らなり、この外輪１０ｂは金型１０の固定金具１
３に径方向に挿入した調整ボルト１４の内端に当
接している。而して調整ボルト１４を締めたり或
いは緩めたりすることで外輪１０ｂは径方向にず
れ、製品外周部の肉厚が調整される。

更に、前記内側均圧管６内には上方から芯金１
５を挿入している。芯金１５は大径の下芯金１５
ａと小径の上芯金１５ｂとからなり、下芯金１５
ａはその下端が前記多孔板７の中央に固着され、
芯金１５ｂは連結部材１６を介して下芯金１５ａ
に着脱可能に連結され、更に上芯金１５ｂにはフ
ランジ部を有するガイド部材１７が摺動自在に外
嵌され、このガイド部材１７上には重り１８が載
置されている。

以上の如き構成からなる成形装置を用いて過給
機ロータの如きハニカム構造体を成形する方法を
以下に述べる。

成形ヘツド内に供給されたセラミツクコンパウ
ンドはスクリユー９によつて加圧混練され、金属
ブロツク１内においてその流動方向を上方に変化
し、その一部は多孔板７の孔を介して外側流路Ｐ
１に入り、残りは調整芯３と多孔板７の筒状部１
１の隙間を通つて内側流路Ｐ２に入る。

外側流路Ｐ１に入つたセラミツクコンパウンド
は順次上方へ押し上げられ、金型１０を通過する
ことで第３図に示すようにハニカム部Ｗ１として
鉛直方向上方へ押出される。一方内側流路Ｐ２に
入つたセラミツクコンパウンドはボス部Ｗ２とし
て鉛直方向上方へ押出される。ここでボス部Ｗ２
は上方へ押出される際にガイド部材１７とともに
上昇し、このガイド部材１７は上芯金１５ｂに外
嵌しているため、ボス部Ｗ２が上昇するときにボ
ス部Ｗ２にねじれ、倒れ等が生ずることがない。
ここで図示例にあつてはハニカム部Ｗ１及びボス
部Ｗ２を鉛直方向上向きに押出すようにしたが、
製品形状にねじれ等が生じない範囲で、斜め上方
へ押出すようにしてもよい。そして、ハニカム部
Ｗ１については、上方へ押出される際にその内周
面にボス部Ｗ２外周面が圧着し、ボス部Ｗ２によ
つてハニカム部Ｗ１のねじれ、倒れ等が防止でき
る。

特に本実施例にあつては、下芯金１５ａの径よ
りも大径の連結部材１６を用いているため、内側
流路Ｐ２の連結部材１６下方部分におけるセラミ
ツクコンパウンドの流れは第３図の矢印ａに示す
ように径方向外方に向き、また、ボス部Ｗ２には
重り１８の荷重がかかつているため、重り１８の
荷重がｂ方向から作用し、結局これらの力によつ
て連結部材１６の外側位置においてハニカム部Ｗ
１の内周部には矢印ｃに示すように金型側に押し
付けられる力が作用し、ハニカム部Ｗ１は金型１
０に密着した状態で上方へ押上げられる。

ここで重り１８によるボス部Ｗ２への圧力は、
1.4Kg／cm²〜2.8Kg／cm²の範囲とするのが好まし
い。これは1.4Kg／cm²未満の場合にはハニカム部
Ｗ１の内周部を金型に密着されるに足る力が作用
せず、2.8Kg／cm²を超えると成形品が変形しやす
くなることによる。

このようにして得られた成形品は第４図の平面
図に示すように、ハニカム部Ｗ１の内周部つまり
ボス部Ｗ２に接触する部分のヒケがなくなり、寸
法精度に優れた成形品が得られる。

尚、ハニカム部Ｗ１の変形を有効に防止するに
はハニカム部Ｗ１の上昇速度とボス部Ｗ２の上昇
速度が略々等しいことが要求される。この上昇速
度を調整するにはハンドル４を操作して内側流路
Ｐ２へのセラミツクコンパウンドの流入量をコン
トロールすればよい。

以上の如くしてハニカム部Ｗ１とボス部Ｗ２を
所定の長さまで押出したならば、上芯金１５ｂを
引き抜きピアノ線等によりハニカム部Ｗ１とボス
部Ｗ２を径方向に切断し、これを例えばマイクロ
波により乾燥せしめる。これに加工を施した後、
焼成し目的とする過給機用ロータ等の製品とす
る。

（発明の効果） 以上の説明は以下の如き効果を発揮する。

先ず、セラミツクハニカム構造体を押出し成形
するにあたり、セラミツクコンパウンドを上向き
に押出すようにしたので、成形体の径方向の歪
み、撓み、及び押出し方向の伸びを抑制できる。

また、ハニカム部を押出すにあたり、その内側
にボス部を圧着同調して押出すようにしたので、
単にハニカム部を押出す場合に比べ、ハニカム部
の歪み、撓み、等の変形を有効に防止することが
できる。

更にボス部に荷重をかけつつ上方へ押出すよう
にしたので、ハニカム部内周部に外方への力が作
用し、ハニカム部内周部が金型に密着した状態で
押出され、ヒケ等が生じることがない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明方法を実施する成形装置の成形
ヘツドの断面図、第２図は同成形ヘツドの平面
図、第３図は作用を説明した成形ヘツド要部の断
面図、第４図は成形品の平面図、第５図は従来の
成形品の平面図である。 尚、図面中、３は調整芯、５は外側均圧管、６
は内側均圧管、７は多孔板、９はスクリユー、１
０は金型、１５は芯金、１８は重りである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ セラミツクコンパウンドをスクリユーによつ
   て加圧し、この加圧したセラミツクコンパウンド
   を成形ヘツドからハニカム状に押出すようにした
   成形方法において、前記セラミツクコンパウンド
   の押出しは外側のハニカム部と、このハニカム部
   内周面に接触する内側のボス部に分け、その押出
   し方向は上向きとするとともにボス部については
   上方から荷重をかけつつ押出すようにしたことを
   特徴とするセラミツクハニカム構造体の押出し成
   形方法。