JPH057419Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、開かれた扉を扉の重力で常に所定位
置へ自動的に復帰回動せしめる機能を備えた自動
閉鎖蝶番に関するものである。

（従来の技術） 従来、自動閉鎖蝶番としては数多く提案されて
いるが、代表的なものとして実開昭58−168679号
公報及び実開昭60−115369号公報に記載されたよ
うなものがある。

これらの基本的な構成は、何れも固定側と回動
側との羽根板に連設され、軸芯で保持された両軸
筒の摺動する面を、斜めにカツトした傾斜スライ
ド面に形成し、それらの相対回転により回動側の
軸筒をせり上げるようにして、力を除くと扉の重
力により前記傾斜スライド面に生じる回転トルク
で扉を所定位置へ自動的に復帰回動せしめるよう
にしたものである。

（考案が解決しようとする問題点） このような形式の従来品に共通する欠点とし
て、前記傾斜スライド面は、軸筒を斜めにカツト
した線状面形状の斜面に形成されたものなので、
静止位置ではスライド面が全面的に接触するが、
相対回転したとき両者が極めて小さな面積で接触
する状態となり、それに扉の重量がかかるので扉
を開くとき円滑に開かず、そのうえ接触部分の摩
耗が激しく耐久性に劣り、特に重量のある扉に対
しては使用できないと云う欠点がある。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、このような従来の問題点に着目して
なされたものであつて、開かれた扉を自動的に復
帰回動せしめる機能を両軸筒を保持する軸杆に保
有せしめると共に、軸杆の位置を変えて右勝手と
左勝手に使用可能として、蝶番の性能を飛躍的に
向上せしめることにより上記問題点を解決するこ
とを目的としている。

本考案は、内円周の深さ方向に凹条７を有する
下方に開口した上部軸孔８を設けた軸筒９と、内
円周の深さ方向に等間隔で複数の突条２を有す
る、上方に開口した下部軸孔３を設けた軸筒４と
を、夫々の羽根板本体１０，５の一端に位置せし
めてダイキヤストなどで一体成形された上・下部
羽根板６，１；及び下方部１３の外周長さ方向に
設けられた複数の凹部１２を突条２に嵌合させ
て、下方部１３を該下部軸孔３を介して軸筒４に
回動不能で且つ着脱可能に嵌挿固定され、上方部
１４を該上部軸孔８の中央附近迄回動可能に嵌挿
して軸筒９に保持された下部軸杆１５と、外周長
さ方向に設けられた突起１６を凹条７に圧嵌挿
し、上部軸孔８の上部に回動不能に固定された上
部軸杆１７とからなり、両軸杆１５，１７の接合
面を所定角度の切断した両傾斜スライド面１８，
１９に形成された軸杆１１からなることを特徴と
する自動閉鎖蝶番である。

（作用） 自動閉鎖蝶番の自動復帰回動機能は、上・下部
軸杆１７，１５の接合面に設けられた両傾斜スラ
イド面１８，１９において行なわれるので２つの
面同士の全面又は一部接触状態が保持され、さら
に上・下部軸杆１７，１５に偏荷重が誘起されな
いので、扉の開閉が極めて円滑に行なわれる。

又上・下部軸杆１７，１５は、２つの面同士の
全面又は一部接触状態で摺動し、偏荷重も付加さ
れることもないので、接触部分における摩耗が著
しく少ないため、極めて長寿命である。

又上・下部軸杆１７，１５の両傾斜スライド面
１８，１９の向く方向を変えることにより、蝶番
の使い勝手を変更できる。

（実施例） 本考案をその一実施例を示す第１図〜第４図に
基づき以下詳述する。１は、内円周上の深さ方向
に等間隔で４個の断面円弧状の突条２を有する、
所定深さで上方に開口した円筒状の下部軸孔３を
軸芯上に設けた軸筒４を、羽根板本体５の右端に
位置せしめて該羽根板本体５と共に、アルミニウ
ム、亜鉛などの金属をダイキヤストして一体成形
された下部羽根板、６は内円周上の深さ方向に１
個の断面円弧状の凹条７を有する、所定深さで下
方に開口した円筒状の上部軸孔８を軸芯上に設け
た軸筒９を、羽根板本体１０の左端に位置せしめ
て該羽根板本体１０と共に、下部羽根板１と同様
な方法で一体成形された上部羽根板である。

１１は各突条２…に嵌合する４個の凹部１２を
外周長さ方向に有する下方部１３を、突条２に凹
部１２を嵌合させて下部軸孔３に嵌挿して回動不
能で且つ着脱可能に固定され、上方部１４を上部
軸孔８の中央附近迄嵌挿して上部羽根板６に回動
可能に保持された、ジユラコン、ナイロンなどで
造られた下部軸杆１５、及び凹条７に嵌合する突
起１６を外周長さ方向に有し、凹条７に突起１６
を嵌合させて上部軸孔８の上部に圧嵌挿して回動
不能に固定された下部軸杆１５と同様な材料で造
られた上部軸杆１７からなり、両軸杆１５，１７
の接合面を、第１図に示すように、側面視におい
てθを約40°で切断した傾斜スライド面１８，１
９に形成された軸杆である。

２０は上・下部羽根板６，５を軸杆１１で連結
した自動閉鎖蝶番、２１は上・下部羽根板６，５
を固定するためのビス穴である。

この自動閉鎖蝶番２０は、下部羽根板１を柱、
壁、戸枠などの何れかにビス穴２１を介してビス
で固定し、上部羽根板６を扉などの一端にビス穴
２１を介してビスで固定して使用される。

扉を開くと上部羽根板６が回動するにつれて軸
杆１１の傾斜スライド面１８，１９が摺動し、傾
斜スライド面１８により上部軸杆１７が上方にせ
り上げられ、開扉を止めて手を離すと、扉の重力
により前記スライド面１８，１９に生じる回転ト
ルクで扉を自動的に復帰回動して閉扉される。

この場合、蝶番２０の自動復帰機能は、軸杆１
１に設けられた上・下部軸杆１７，１５の傾斜ス
ライド面１８，１９において行なわれるので、２
つの面同士の全面又は一部接触状態が保持され
て、上・下部軸杆１７，１５に偏荷重が誘起され
ることがないので、扉の開閉が極めて円滑に行な
われる。又上・下部軸杆１７，１５は、２つの面
同士の全面又は一部接触状態で摺動し、偏荷重が
付加されることもないので、接触部分における摩
耗が著しく少ないため、極めて長寿命である。

又蝶番２０は、傾斜スライド面１８を第１図及
び第３図に示す反対方向に向けて、下部軸杆１５
を下部軸孔３に嵌挿すると、右勝手のものを左勝
手に使用変更することができて、使用上非常に便
利である。

上記の一実施例において、羽根板本体５，１０
と軸筒４，９とをアルミニウム、亜鉛などの金属
でダイキヤストして一体成形したが、これらの金
属の代わりにこれらの金属の合金や、これらの金
属と同等の特性を有する他の金属、合成樹脂など
で一体成形しても良い。

又上・下部軸杆１７，１５の傾斜スライド面１
８，１９を、側面視でθを約40°で切断して形成
したが、この傾斜角度は35°前後〜45°前後であつ
ても良い。尚角度が大きくなると開扉したとき扉
がせり上つて扉の上端が戸枠などに当り開扉がで
きなくなつたりすることがある。これを防止する
にはスライド面１８，１９を最初僅か平面にして
それら所定の角度にするようにすると良い。

又下部軸杆１５は、ジユラコン、ナイロンなど
で造つたが、機械的強度を高めるため内部に鉄芯
を包蔵するなどの構造にしても良い。

（考案の効果） (1) 全体構造が簡単なので製作が容易となり、需
要家に比較的安価で提供できる。

(2) 自動的な復帰回動機能を２つの面同士の全面
又は一部接触状態にある傾斜スライド面に持た
したので、扉などの開閉を常に円滑に行なわせ
ることができる。

(3) 自動的な復帰回動機能を２つの面同士の全面
又は一部接触状態にある傾斜スライド面に持た
したので、接触部分における摩耗が少ないた
め、耐用寿命が著しく長く経済性に富んでい
る。

(4) 下部軸杆の取着位置を変えるだけで、蝶番の
使い勝手を変更できるので、使用上極めて重宝
である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図は一部
断面した正面図、第２図は平面図、第３図は下部
羽根板及び下部軸杆の斜視図、第４図は上部羽根
板及び上部軸杆の斜視図である。 １……下部羽根板、２……突条、３……下部軸
孔、４，９……軸筒、５，１０……羽根板本体、
６……上部羽根板、８……上部軸孔、１１……軸
杆、１２……凹部、１３……下方部、１４……上
方部、１５……下部軸杆、１７……上部軸杆、１
８，１９……傾斜スライド面、２０……自動閉鎖
蝶番。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １） 内円周の深さ方向に凹条７を有する、下方
   に開口した上部軸孔８を設けた軸筒９と、内円
   周の深さ方向に等間隔で複数の突条２を有す
   る、上方に開口した下部軸孔３を設けた軸筒４
   とを、夫々の羽根板本体１０，５の一端に位置
   せしめてダイキヤストなどで一体成形された
   上・下部羽根板６・１；及び下方部１３の外周
   長さ方向に設けられ複数の凹部１２を突条２に
   嵌合させて、下方部１３を下部軸孔３介して軸
   筒４に回動不能で且つ着脱可能に嵌挿固定さ
   れ、上方部１４を上部軸孔８の中央附近迄回動
   可能に嵌挿して軸筒９に保持された下部軸杆１
   ５と、外周長さ方向に設けられた突起１６を凹
   条７に圧嵌挿し、上部軸孔８の上部に回動不能
   に固定されて、軸筒９に保持された上部軸杆１
   ７とからなり、両軸杆１５，１７の接合面を所
   定角度で切断した両傾斜スライド面１８，１９
   に形成された軸杆１１からなることを特徴とす
   る自動閉鎖蝶番。 ２） 上・下部軸杆１７，１５の接合面を45°の
   角度で切断して形成された両傾斜スライド面１
   ９，１８を備えたことを特徴とする実用新案登
   録請求の範囲第１項記載の自動閉鎖蝶番。 ３） 上・下軸杆１７，１５の接合面に設けられ
   た両傾斜スライド面１９，１８の傾斜する方向
   を変えることにより使い勝手を変更可能とした
   実用新案登録請求の範囲第１項または第２項記
   載の自動閉鎖蝶番。