JPH0573779B2 - - Google Patents

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JPH0573779B2
JPH0573779B2 JP3488484A JP3488484A JPH0573779B2 JP H0573779 B2 JPH0573779 B2 JP H0573779B2 JP 3488484 A JP3488484 A JP 3488484A JP 3488484 A JP3488484 A JP 3488484A JP H0573779 B2 JPH0573779 B2 JP H0573779B2
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JP
Japan
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polyimide
fluororesin
polyimide powder
sliding member
powder
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JP3488484A
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Ken Noda
Toshio Nakajima
Koji Suzuki
Osamu Kitsukai
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Nitto Denko Corp
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Nitto Denko Corp
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Description

【発明の詳細な説明】
この発明は、フツ素樹脂にポリイミド粉末を主
成分とする潤滑充填剤を配合し成形してなるフツ
素樹脂摺動部材に関する。 ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと
略記する)は低摩擦係数を有して潤滑性があるた
め軸受けなどの摺動部材として用いられるが、こ
のPTFEからなる摺動部材は耐摩耗性が非常に低
く、しかも柔らかいため耐圧縮クリープ特性に著
しく劣るという欠点がある。 そこで、このような欠点を解決するものとし
て、PTFEに種々の充填剤を配合し成形してなる
摺動部材が用いられている。上記の充填剤の中で
も熱可塑性ポリイミド、オキシベンゾイルポリエ
ステルのような有機系の充填剤は、相手材がアル
キ、ステンレス鋼、真鋳のような軟質金属であつ
てもこれらをほとんど損傷することなく、しかも
摺動部材の耐摩耗性を著しく向上させうる。 とくに上記の熱可塑性ポリイミドの充填効果は
大きく、例えばPTFE100重量部に対してこの熱
可塑性ポリイミドを20〜40重量部程度配合し成形
してなる摺動部材は、その摩耗料が、PTFE単独
からなる摺動部材のそれに比べて1/50以下程度と
なるとともに耐圧縮クリープ特性も大巾に改良さ
れ、しかもPTFE単独の場合と同様に低い摩擦係
数を有しかつ耐熱性、耐食性にすぐれるなどきわ
めてすぐれた摺動特性を示す。 しかしながら、上記の熱可塑性ポリイミドを含
む摺動部材は、PTFE単独からなる摺動部材に比
べて引張り強度や伸び特性が低く、また絶縁特性
などの電気的特性および耐水性が低いという欠点
があり、例えばスライス加工により得られるシー
ト状の摺動部材はとくに引張り強度や伸びが低
い、電気特性の必要な分野への応用が充分になさ
れない、耐水性が低いことにより湿潤状態での摺
動特性が大きく低下するなどの問題をもたらす原
因となつている。 上記の熱可塑性ポリイミドを含む摺動部材がこ
のような欠点を有するのは、配合される熱可塑性
ポリイミドの粒子形状が無定形で粒子径が通常10
〜150μmと大きいため上記のようなすぐれた摺
動特性を得るためには、この熱可塑性ポリイミド
をPTFE100重量部に対して20〜40重量部程度と
多量に配合しなければならず、これにより摺動部
材が多孔構造となるためである。 そこで、この発明者らは、以上の観点から
PTFE単独からなる摺動部材と同様に低摩擦係数
を有し、引張り強度や伸びが大きく、電気的特
性、耐水性などにすぐれるとともに、上記の熱可
塑性ポリイミドを含む摺動部材と同様に耐摩耗性
および耐圧縮クリープ特性にすぐれるとともに相
手材をほとんど損傷することのない摺動部材を提
供することを目的として鋭意研究した結果、この
発明をなすに至つた。 すなわち、この発明は、フツ素樹脂にポリイミ
ド粉末を主成分とする潤滑充填剤を配合してなる
フツ素樹脂組成物を成形して得られるフツ素樹脂
摺動部材において、上記のポリイミド粉末が芳香
族テトラカルボン酸二無水物とこれと略等量の芳
香族ポリイソシアネートとの有機溶媒中での反応
により直接得られた熱に不融性でかつ有機溶剤に
不溶性(以下、単に不融不溶性という)であると
ともに平均粒子径20μm以下の球状多孔性のポリ
イミド粉末からなり、かつ上記の潤滑充填剤の配
合割合を上記のフツ素樹脂100重量部に対してこ
のポリイミド粉末が2〜10重量部となるようにし
たことを特徴とするフツ素樹脂摺動部材に係るも
のである。 この発明のフツ素樹脂摺動部材においては、こ
れに含まれる上記のポリイミド粉末が粒子径の小
さい球状多孔性であるため、この粉末の吸着表面
積が非常に大きくしかもこの粉末の空隙部にフツ
素樹脂が入り込むことにより、この粉末とフツ素
樹脂との密着性がよい。このため、この発明の摺
動部材は、ポリイミド粉末の配合量が上記のよう
に少量であつても、上記の従来の熱可塑性ポリイ
ミドを含む摺動部材と同様の耐摩耗性および耐圧
縮クリープ特性を示し、例えばこの発明の摺動部
材の摩耗量はPTFE単独からなる摺動部材の摩耗
量の約1/50以下で、限界PV値が10倍以上の高い
値となる。また、この発明の摺動部材は相手材を
ほとんど損傷することがない。 なお、上記の限界PV値とは、P(荷重、単位
Kg/cm2)ないしはV(すべり速度、単位m/秒)
を変化させながら摺動部材を摩耗させた場合に、
摺動部材が摩擦による温度上昇により融解または
化学的分解などにより正常な摩擦状態が続けられ
なくなり始めたときのPとVとの積である。 さらに、この発明の摺動部材は、ポリイミド粉
末の配合量が上記のように少量でかつこの粉末が
不融不溶性で粒子径の小さい球状多孔性であるた
め、上記の従来の熱可塑性ポリイミドを含む摺動
部材のように引張り強度や伸び、電気特性および
耐水性に劣ることなく、これら特性はPTFE単独
からなる摺動部材と同程度のすぐれたものであ
り、しかもこのPTFE単独からなる摺動部材と同
程度の低摩擦係数を有して潤滑性にすぐれてい
る。 この発明において使用されるフツ素樹脂として
は、PTFEがとくに好ましいが、その他エチレン
−テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフル
オロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合
体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアル
キルビニルエーテル共重合体、ポリトリクロロフ
ルオロエチレン、ポリフツ化ビニリデン、ポリフ
ツ化ビニルなどを用いてもよい。 この発明において使用される潤滑充填剤は、上
記の如き特定のポリイミド粉末を主成分とする。
このポリイミド粉末が熱により溶融したり有機溶
剤に溶解するものであつたり、平均粒子径が20μ
mを超えたり、あるいは球状多孔性でない場合に
は、この粉末とフツ素樹脂との密着性が低下し、
摺動部材はその耐摩耗性および耐圧縮クリーブ特
性が低下するとともに、引張り強度や伸び特性、
電気特性および耐水性が低下するため好ましくな
い。 なお、この明細書に記述するところのポリイミ
ド粉末の平均粒子径とは重量平均粒子径()を
意味し、たとえばセイシン企業社製SKN−500型
光透過式粒度分布測定機を用いて重量累積分布を
求め、分布50重量%の粒子径を平均粒径として算
出することができる。 この発明に係る上記のポリイミド粉末のうちと
くに好適なものとして、不融不溶性のポリイミド
を生成しうる少なくとも1種の芳香族テトラカル
ボン酸二無水物とこれと略等モル量の少なくとも
1種の芳香族ポリイソシアネートとを有機溶媒中
100〜200℃の温度で加熱重合させて上記ポリイミ
ドの粒子をスラリー状に沈澱析出させ、このスラ
リーから上記ポリイミド粒子をろ別ないし遠心分
離し、次いで得られたポリイミド粒子を有機溶剤
で洗浄することにより得られる不融不溶性の平均
粒子径1〜20μmの球状多孔性のポリイミド粉末
が挙げられる。このようにして得られるポリイミ
ド粉末は繊毛状の多孔構造をとるため、フツ素樹
脂との密着性がきわめてすぐれたものである。 上記の製造方法を詳述すると、この方法におい
て用いられる芳香族テトラカルボン酸二無水物と
芳香族ポリイソシアネートとは、両者の重合反応
で生成するポリイミドが不融不溶となる、つまり
500℃までの温度に加熱しても溶融せずさらに加
熱すると溶融することなく分解し、また汎用溶媒
はもちろんのこと極性溶媒などの各種溶媒に溶解
することのないものであれば任意に選択使用でき
る。かかる選択は、不融不溶のポリイミドに関す
る化学常識から当業者であれば容易になしうるこ
とである。 なお、不融不溶のポリイミドを与えうるかどう
かは、いうまでもなく芳香族テトラカルボン酸か
芳香族ポリイソシアネートかのどちらか一方の種
類だけで決まる場合もあるし、また両者の組み合
せによつて決まる場合もある。例えば、3・4・
3′・4′−ベンゾフエノンテトラカルボン酸二無水
物とトリレンジイソシアネートおよびジフエニル
メタン−4・4′−ジイソシアネートとの組み合せ
の如きは、熱可塑的なまたある場合には有機溶剤
可溶性のポリイミドを与えるからこの発明におい
ては除外されなければならない。 芳香族テトラカルボン酸二無水物の例を挙げれ
ば、たとえばピロメリツト酸二無水物、3・3′・
4・4′−ベンゾフエノンテトラカルボン酸二無水
物、3・3′・4・4′−ビフエニルテトラカルボン
酸二無水物、2・3・3′・4′−ビフエニルテトラ
カルボン酸二無水物、2・3・6・7−ナフタレ
ンテトラカルボン酸二無水物、1・2・5・6−
ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1・4・
5・8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、
2・2′−ビス(3・4−ジカルボキシフエニル)
プロパン二無水物、ビス(3・4−ジカルボキシ
フエニル)スルホン二無水物、ビス(3・4−ジ
カルボキシフエニル)エーテル二無水物、2・
2′−ビス(2・3−ジカルボキシフエニル)プロ
パン二無水物、1・1′−ビス(2・3−ジカルボ
キシフエニル)エタン二無水物、ベンゼン−1・
2・3・4−テトラカルボン酸二無水物、2・
3・6・7−アントラセンテトラカルボン酸二無
水物、1・2・7・8−フエナンスレンテトラカ
ルボン酸二無水物などがある。 芳香族ポリイソシアネートの具体例を挙げれ
ば、たとえばパラフエニレンジイソシアネート、
メタフエニレンジイソシアネート、ジフエニルメ
タン−4・4′−ジイソシアネート、ジフエニルエ
ーテル−4・4′−ジイソシアネート、ジフエニル
プロパン−4・4′−ジイソシアネート、ジフエニ
ルスルホン−4・4′−ジイソシアネート、ジフエ
ニルスルホン−3・3′−ジイソシアネート、ジフ
エニル−4・4′−ジイソシアネート、3・3′−ジ
メチルジフエニル−4・4′−ジイソシアネート、
2・4−トリレンジイソシアネート、2・5−ト
リレンジイソシアネートなどがある。また、ジフ
エニルメタン−4・4′−ジイソシアネート、トリ
レンジイソシアネートまたはキシリレンジイソシ
アネートなどから合成されるつぎの一般式
【化】 で表わされるイソシアヌレート環を含有するポリ
イソシアネート、さらにつぎの一般式
【化】 で表わされるポリ(メチレンフエニレン)ポリイ
ソシアネート、たとえばトリフエニルメタン−ト
リイソシアネートなどが挙げられる。 上記の芳香族テトラカルボン酸二無水物および
芳香族ポリイソシアネートのなかからそれぞれの
1種もしくは2種以上を組み合せ使用するが、両
成分の使用割合としては略等モルとなるようにす
るのが好ましい。もちろん、僅かの範囲内であれ
ばどちらか一方の成分が過剰量となつていても差
し支えない。 芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ポリ
イソシアネートとの重合反応に当つてその反応速
度を上げるために第3級アミンの如き触媒を使用
することができる。具体的にはトリエチルアミ
ン、トリ−n−ブチルアミン、1・8−ジアザビ
シクロ(5・4・0)ウンデセン−7およびその
酸錯体、ジメチルブチルアミン、ジメチルアミノ
トルイジルなどが挙げられる。使用量は芳香族テ
トラカルボン酸二無水物1モルに対し通常0.05〜
10モル%程度でよい。 重合反応に用いる有機溶媒としては、N−メチ
ル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジ
メチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘ
キサメチレンホスホルトリアミドなどの極性溶媒
およびクレゾール、フエノール、キシレノールな
どのフエノール類が挙げられる。また、場合によ
りこれら溶媒と共にヘキサン、ベンゼン、トルエ
ン、キシレンなどの有機溶媒を併用することもで
きる。有機溶媒の使用量は、芳香族テトラカルボ
ン酸二無水物と芳香族ポリイソシアネートとを主
成分とした固型分濃度が5〜80重量%、好適には
10〜30重量%となるようにするのがよい。上記固
形分濃度があまり低すぎては反応速度がおそくな
り、また高すぎては発熱反応によりスケールアツ
プ時の反応制御に問題をきたしやすい。 重合反応は芳香族テトラカルボン酸二無水物と
芳香族ポリイソシアネートと要すれば触媒とを有
機溶媒中に加え加熱攪拌して行なう。各成分がい
ずれも有機溶媒に溶解する系では初期に均一溶液
となり重合反応の進行に伴なつて炭酸ガスを発生
しながらわずかに溶液粘度が上がり、つぎにポリ
イミド粒子がスラリー状に沈澱析出してくる。そ
の後さらに加熱攪拌を続けて反応率を向上させ
る。 重合反応温度としては、100〜200℃の範囲に設
定するのがよい。この温度が低すぎると反応速度
がおそくなるだけでなくポリイミド粒子があまり
に小さくなりすぎ系全体がチクソトロピツクにな
つて攪拌が困難となり、さらに次の工程でのポリ
イミド粒子の直接のろ別ないし遠心分離が不可能
となる。温度が高くなるにしたがつて反応速度の
面で有利であるが、ポリイミド粒子の粒子径が大
きくなる傾向がみられると共に反応熱の制御に問
題がある。したがつて200℃までを上限とするの
がよい。ポリイミド粒子の粒子径その他の性状、
反応速度などの面から勘案したもつとも好適な温
度範囲は110〜180℃である。反応時間は、各成分
の種類や触媒使用の有無などによつて大きく異な
るが、一般には2〜8時間程度である。 上述の如くして生成したポリイミド粒子を含む
スラリーから上記粒子をろ別ないし遠心分離する
には一般の吸引ろ過機や遠心分離機が用いられ
る。この分離されたポリイミド粒子はその粒子表
面に未反応物や低分子量重合体が多少付着してお
り、このままでは上記付着物によつてその後の加
熱乾燥工程で粒子同志がブロツキングし粒子径の
粗大化が起こり、目的とする微粒子状のポリイミ
ド粉末が得られなくなる。このため、分離された
ポリイミド粒子を上記の未反応物や低分子量重合
体を溶解しうるN−メチル−2−ピロリドンの如
き前記極性溶媒などを用いて洗浄を行なうが、こ
の洗浄後さらにアセトン、メタノールなどの低沸
点溶媒で再洗浄するのが望ましい。 その後、約100〜300℃で約1〜5時間程度の条
件で加熱乾燥して溶媒を揮散除去することによ
り、目的とするポリイミド粉末が得られる。この
粉末は平均粒子径1〜20μmの球状多孔質のもの
であり、また高温で焼付けても融解せずさらに極
性溶媒に対しても溶解することのない不融不溶の
特性を備えている。 この発明における潤滑充填剤には、上記の特定
のポリイミド粉末の他の相手材に対する損傷度の
少ない充填剤を摺動部材の特性を損なわない程度
に含ませることができる。この充填剤としては、
平均粒子径がそれぞれ通常1〜40μm程度のグラ
フアイト、ミネラル、酸化チタン、二硫化モリブ
デン、黒鉛などが挙げられる。また前記従来の熱
可塑性ポリイミド粉末やその他この発明の特定の
ポリイミド粉末以外の一般のポリイミド粉末を含
ませてもよい。上記の潤滑充填剤におけるこれら
充填剤の配合割合としては前記特定のポリイミド
粉末との合計量中通常20重量%以下とするのがよ
い。 この発明のフツ素樹脂摺動部材は、上記のフツ
素樹脂に上記の潤滑充填剤および必要に応じて着
色顔料を配合し、ヘンシエルミキサー、スーパー
ミキサーなどの混合機でドライブレンドしてなる
フツ素樹脂組成物を成形することにより得られ
る。 上記のフツ素樹脂組成物におけるフツ素樹脂と
潤滑充填剤との配合割合は、フツ素樹脂100重量
部に対して上記特定のポリイミド粉末が2〜10重
量部、好適には3〜7重量部となるようにするの
がよい。上記のポリイミド粉末の割合が2重量部
未満では摺動部材の耐摩耗性および耐圧縮クリー
プ特性が不充分となり好ましくない。また、この
割合が10重量部を超えると摺動部材の引張り強度
や伸び、電気的特性、耐水性などが低下するため
好ましくない。 上記のフツ素樹脂組成物から上記の摺動部材を
得るための成形法としては、フツ素樹脂のモール
デイングパウダー、フアインパウダーまたはテト
ラフルオロエチレンなどに適用される各種の成形
法、例えばプレス成形、ホツトコイニング成形、
ラム押出成形、ゴム型成形、加熱溶融による押出
成形あるいは射出成形などが適用され、これらに
より任意の形状の成形物を作製することができ
る。 また、この成形品にさらに施盤加工などの機械
加工を施してもよく、この発明におけるひとつの
特徴として、上記の成形物(例えば柱状体)をス
ライス加工してフイルム状のフツ素樹脂摺動部材
とした場合にも、配合されているポリイミド粉末
が上記の如き特定のものでありしかもその配合量
が少ないので可とう性が良好で引張り強度や伸び
の大きいフイルム状の摺動部材となる。 以下に、この発明の実施例を記載してより具体
的に説明する。なお、以下において部とあるのは
重量部を意味する。 実施例および比較例 <潤滑充填剤A> 300mlの四つ口フラスコ中のピロメリツト酸二
無水物21.8g(0.1モル)、ジフエニルメタン−
4・4′−ジイソシアネート25.0g(0.1モル)、N
−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPとい
う)200g、キシレン20gおよびジメチルベンジ
ルアミン0.2gを仕込み、かきまぜながら加熱す
ると内容物は透明となつた。つぎに、140〜142℃
で約5分間加熱すると炭酸ガスを激しく発生し
た。さらに10分経過後に内容物が急に濁り始め、
ポリイミド粒子がスラリー状の沈澱析出してき
た。その後さらに同じ温度で4時間重合反応を続
けた。 反応後冷却し、ポリイミド粒子をろ別したの
ち、NMPで3回洗浄し、低分子量の可溶性ポリ
イミドと未反応物を完全に除去したのち、最終的
にアセトンで2回洗浄した。洗浄後250℃で3時
間加熱乾燥することにより、40.2g(収率94.8重
量%)の球状多孔性のポリイミド粉末が得られ
た。 このポリイミド粉末の平均粒子径は8.9μmであ
り、紫外線吸収スペクトル(KBr法)により、
1720cm-1および1780cm-1にイミド基に基づくカル
ボニルの吸収が認められた。また、このポリイミ
ド粉末は500℃まで加熱しても溶融せず、しかも
NMPその他の各種溶媒にも不溶であた。なお、
参考のために図に倍率4000倍のこのポリイミド粉
末の走査型電子顕微鏡写真を示した。このポリイ
ミド粉末を潤滑充填剤Aとした。 <潤滑充填剤B> 芳香族テトラカルボン酸二無水物として3・
3′・4・4′−ビフエニルテトラカルボン酸二無水
物を0.1モル使用し、かつ芳香族ポリイソシアネ
ートとしてジフエニルメタン−4・4′−ジイソシ
アネートを0.1モル使用して、前記潤滑充填剤A
の場合と同様の重合反応とさらにろ別、洗浄およ
び乾燥を行つて、収率97.8重量%の球状多孔性の
ポリイミド粉末を得た。 この粉末は平均粒子径11μmであり、赤外線吸
収スペクトルによりイミド基に基づくカルボニル
の吸収が認められ、潤滑充填剤Aの場合と同様の
不融不溶の特性を有していた。このポリイミド粉
末を潤滑充填剤Bとした。 <潤滑充填剤C> 芳香族テトラカルボン酸二無水物として3・
3′・4・4′−ベンゾフエノンテトラカルボン酸二
無水物を0.1モル使用し、かつ芳香族ポリイソシ
アネートとしてジフエニルメタン−4・4′−ジイ
ソシアネートを0.1モル使用して、前記潤滑充填
剤Aの場合と同様の重合反応とさらにろ別、洗浄
および乾燥を行つて、収率98.9重量%の球状多孔
性のポリイミド粉末を得た。 この粉末は平均粒子径4.2μmであり、赤外線吸
収スペクトルによりイミド基に基づくカルボニル
の吸収が認められ、潤滑充填剤Aの場合と同様の
不融不溶の特性を有していた。このポリイミド粉
末を潤滑充填剤Cとした。 <潤滑充填剤D> 300mlの四つ口フラスコ中のピロメリツト酸二
無水物21.8g(0.1モル)、ジフエニルメタン−
4・4′−ジアミン19.8g(0.1モル)、NMP166g
を仕込み、攪拌しながら20〜28℃で約4時間加熱
してポリアミド酸溶液を得た。 このポリイミド酸溶液を水中に投入し、生成す
る沈澱をろ別してメタノールで洗浄した。この粉
末状沈澱を110℃で約60分間加熱したのち、さら
に250℃で約5時間加熱してイミド化した。得ら
れたポリイミド粉末の凝集物をミキサーで粉砕し
て平均粒子径16μmの粉末を得た。 このポリイミド粉末の赤外線吸収スペクトル
(KBr法)は上記の潤滑充填剤Aと全く同じもの
であつた。また、このポリイミド粉末は500℃ま
で加熱しても溶融せず、しかもNMPその他の各
種溶媒に不溶であつた。このポリイミド粉末を潤
滑充填剤Dとした。 <潤滑充填剤E> 市販の熱可塑性ポリイミド粉末(三菱化成社製
商品名ポリイミド2080、平均粒子径26μm、3・
3′・4・4′−ベンゾフエノンテトラカルボン酸二
無水物とジフエニルメタン−4・4′−ジイソシア
ネートとトリレンジイソシアネートとから得られ
たポリイミド粉末)を潤滑充填剤Eとした。 <潤滑充填剤F> グラスフアイバー(平均繊維長さ0.5〜1mm、
平均直径7〜8μm)を潤滑充填剤Fとした。 PTFE(ダイキン工業社製商品名ポリフロンM
−12、平均粒子径35μm)100部に上記の潤滑充
填剤を下記の第1表に示す量でそれぞれ配合して
ヘンシエルミキサーで20分間混合した。この混合
物を成形圧350Kg/cm2で8時間かけて360℃に昇温
したのち、この温度で10時間焼成して成形した。
この成形品から外径25.6mm、内径20mm、高さ15mm
の円筒状のフツ素樹脂摺動部材を施盤加工により
作製した。 得られたフツ素樹脂摺動部材の特性を下記のよ
うにして調べ、これらの結果を下記の第1表に示
した。 <引張り強度および引張り伸び> ASTM−D−638に従つて測定した。 <摩擦係数> 松原式摩擦摩耗試験機を用い、相手材としてス
テンレス鋼(SUS−45C)を使用して、すべり摩
擦係数を測定した。 <摩耗量> 上記の試験機を用い、相手材としてステンレス
鋼(SUS−45C)を使用して、荷重2.3Kg/cm2、す
べり速度0.05m/秒、摩擦距離3600m(摩擦時間
20時間)の条件で摩耗させたときに摺動部材が摩
耗した重量を測定し、1時間当りの摺動部材の摩
耗重量で表わした。 <限界PV値> 上記の試験機を用い、相手材としてステンレス
鋼(SUS−45C)を使用して、すべり速度(V)を
0.05m/秒の一定にして荷重(P)を変化させて摺動
部材が融解し始めたときのPV値を測定した。 <吸水率> ASTM−D−570にしたがつて吸水率を測定し
た。 <電気的特性> 絶縁破壊電圧をASTM−D−149に従つて測定
し、誘電正接および体積抵抗率をASTM−D−
150に従つて測定した。
【表】 また、比較例9としてグラフアイト(粒状、平
均粒子径8μm)からなる潤滑充填剤Gを用い、
これをPTFE100部に25部配合し、上記の実施例
および比較例と同様にして摺動部材を得た。この
摺動部材と上記実施例2および比較例6、8の摺
動部材について松原式摩擦摩耗試験機を用い、下
記の第2表に示す相手材を使用して相手材の摩耗
量をそれぞれ調べた。この摩耗量としては、荷重
23Kg/cm2、すべり速度0.05m/秒、摩擦距離3600
mで摩耗させ、このときの相手材の摩耗した厚み
で表わした。
【表】 上記の結果から明らかなように、この発明のフ
ツ素樹脂摺動部材(実施例1〜5)は、PTFE単
独からなる摺動部材(比較例1)と同程度の低摩
擦係数、引張り強度、引張り伸びを有するととも
に絶縁破壊電圧、体積抵抗率および誘電正接など
の電気特性にも同程度にすぐれ、しかも従来の熱
可塑性ポリイミドを含む摺動部材(比較例6)と
同様に耐摩耗性および耐圧縮クリープ特性にすぐ
れるとともに相手材に対する損傷が少なく、摺動
部材としてきわめてすぐれたものであることがわ
かる。
【図面の簡単な説明】
図はこの発明のフツ素樹脂摺動部材に配合され
るポリイミド粉末の電子顕微鏡写真図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 1 フツ素樹脂にポリイミド粉末を主成分とする
    潤滑充填剤を配合してなるフツ素樹脂組成物を成
    形して得られるフツ素樹脂摺動部材において、上
    記のポリイミド粉末が芳香族テトラカルボン酸二
    無水物とこれと略等量の芳香族ポリイソシアネー
    トとの有機溶媒中での反応により直接得られた熱
    に不融性でかつ有機溶媒に不溶性であるとともに
    平均粒子径20μm以下の球状多孔性のポリイミド
    粉末からなり、かつ上記の潤滑充填剤の配合割合
    を上記のフツ素樹脂100重量部に対してこのポリ
    イミド粉末が2〜10重量部となるようにしたこと
    を特徴とするフツ素樹脂摺動部材。
JP3488484A 1984-02-24 1984-02-24 フツ素樹脂摺動部材 Granted JPS60179447A (ja)

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