JPH0573721B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は、燐酸エステルを基材とする新規な殺
菌組成物、並びにこれら組成物を用いて菌類によ
る植物の病気を撲滅する方法に関するものであ
る。 フランス特許第2254276号公報は、活性成分と
してアルキル−燐酸の少なくとも１種の塩を含有
する、菌類による植物の病気を撲滅するための組
成物を記載している。これらの組成物は多くの植
物病原菌、たとえばフイコミセテス、特にプラス
モパラ・ビチコラ（Plasmopara viticola）およ
び各種のフイトフトラに対して有効である。実際
に、エチル亜燐酸アルミニウムまたはトリス−エ
チルホスホン酸アルミニウム（すなわちホスエチ
ルAl（phosethyl Al））が、葉に噴霧して処理す
るため水和性粉末として一般に使用されている。
この組成物はこれら条件下において特にブドウを
保護するのに極めて効果的であるが、たとえばア
ボカド根腐れまたは柑橘類果実の根腐れを引き起
こすフイトフトラ・シンナモミ
（Phytophthoracinnamomi）のようなフイトフト
ラ型の菌類によりしばしば著しく浸食された熱帯
作物に対し治癒的に施こす場合、その効果は出現
するのに長時間を要する。 事実、低吸収性の葉により吸収される量は比較
的少量であり、既に浸食されている樹木を治癒的
に処理する場合には不充分である。 このことはより多量の施用を必要とし、処理を
制約すると共に全ゆる面で遅効性となり、さらに
菌類によるひどい浸食の程度を考慮すると不充分
である。 今回、これらの病気はホスエチルAlの安定化
水溶液を特に樹木の幹に注入して施こすことによ
り効果的に撲滅しうることが判明した。しかしな
がら、この活性成分は水性媒体中で加水分解を引
き起こして実質的にかつ漸次にその濃度を低下
し、そのため長時間にわたり安定である濃厚水性
組成物をうることが不可能になるという問題を提
起する。 したがつて、本発明は、ホスエチルAl、即ち、
エチル亜燐酸アルミニウム又はトリス−エチルホ
スホン酸アルミニウムの水溶液へ弱酸と強塩基と
の水溶性塩を安定剤として添加することからなる
ホスエチルAlの水溶液の安定化方法に関するも
のである。さらに本発明は、こすることを意味す
る。 驚ろくことに、最適量は化学量論量に対応する
量でないことがさらに見出された。たとえば、酢
酸カルシウムの場合、化学量論量の約半分が安定
な透明溶液を与えるのに対し、この量の２倍量は
沈澱を生ずる。 本発明による水性組成物は、さらに他の水溶性
アジユバント、たとえば表面活性剤をも含有しう
るが、これは注射溶液には必要でない。さらに、
樹木の成長を促進したり、或いは欠乏症に対処す
るのに有利であるたとえば亜鉛、マガジン、鉄も
しくは硼素の塩のような或る種の微量要素を適当
量で含有することもできる。 ホスエチルAlは、本発明による組成物中に一
般に１〜120ｇ／、好ましくは10〜110ｇ／の
濃度で存在させる。 この溶液は、たとえば葉の噴霧または根の浸漬
のような任意適当な処理で施こすことができる。
の方法により安定化されたホスエチルAlの水溶
液に関するものである。弱酸は無機酸、たとえば
燐酸もしくはホスホン酸の酸塩、好ましくは有機
酸、たとえば酢酸、プロピオン酸、酪酸、フマー
ル酸、修酸、乳酸もしくはクエン酸のような脂肪
酸、或いはたとえばエチレンジアミンテトラ酢酸
のようなアミノ酸を意味すると理解される。 使用しうる強塩基は有機塩基、たとえば第三ア
ミンまたは好ましくは無機塩基、たとえばアルカ
リ金属水酸化物およびアルカリ土類金属水酸化物
であり、好ましくは水に対して良好な溶解性を有
するたとえば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム
もしくはライムである。 安定剤の量はその性質および水性組成物中のホ
スエチルAlの濃度に依存する。事実、安定剤を
過度に少量で、或いは過度に多量で存在させると
溶液は透明でなくなり、このことは活性成分の溶
解度が不充分となる結果その効果がそれ相応に減
少病気にかかつた樹木、たとえばアボカド樹の幹
に注入して優秀な結果が得られているが、この方
法を他の樹木、たとえば柑橘類の果樹、或いはヘ
ベアもしくはココアの樹にも適用することができ
る。この処理は、先ず最初に樹木の幹の周囲に穴
を分布形成して行なわれる。 第２段階として、葉により覆われた土壌１m²当
り0.1〜５ｇの範囲としうる使用するホスエチル
Al水溶液の規定量を、適当な装置により加圧下
または加圧せずに穴中へ注入する。 この液体は徐々に吸収され、かつ好ましくは注
入装置内の圧力下に保たれる。注入が終了した
ら、植物組織に対し害のない材料、たとえばアジ
ユバント（たとえば消毒剤）をも含有しうるワツ
クスを用いてこれらの穴を閉鎖し、二次的病気が
発生する危険を減少させることが望ましい。処理
の回数は、特に葉を噴霧する場合必要とされる中
断回数に比べて極めて少ない。たとえば、著しく
浸食された樹木については初年度に２回注射して
有効な治癒処理が得られ、その後の処理は毎年１
回処理すれば樹木の健康を維持し或いは回復に向
わせるのに充分である。処理の効果は顕著であ
り、著しく浸食された樹木は２年以内で治癒さ
れ、このことはこれら菌類に対し一般に活性であ
る他の浸透性殺菌剤が同じ条件下で注入された場
合には無効であることを考慮すれば驚異的であ
る。 以下、実施例により本発明による組成物の製
造、並びに病気にかかつた樹木の幹に注入する施
用につき説明する。 実施例 １： ホスエチルAlと必要に応じ酢酸カルシウムと
を水中へ順次に溶解させることにより、次の３種
の組成物（ここで数値は重量による）を調製し
た： 本発明 比較 １ ２ 工業級の純度98％のホスエチルAl…… 102 102 102 酢酸カルシウム…… − 33 67 １にする量の水…… 898 865 831 酢酸塩の添加量は、それぞれ組成物１について
は化学量論量の半分に相当し、また組成物２につ
いてはこの化学量論量の全部に相当する。 ３種の溶液を50℃において１ケ月にわたり安定
化試験にかけ、その後ホスエチルAlの相対的分
解および溶解の外観につき評価した。 それらの結果を次の表に示す：

【表】 この表は50℃にて１ケ月後に明らかに次のこと
を示している： 比較溶液において、ホスエチルAlは完全に分
解し、かつ溶液中に沈澱が生ずる。したがつて、
この溶液は安定でも透明でもない； 本発明による溶液１および２においては、ホス
エチルAlの分解は許容しうる程度に減少し、さ
らに溶液２においては僅かに沈澱が生じたが、溶
液１は透明である。したがつて、溶液１のみが完
全に満足しうるものである。 実施例 ２： 実施例１で得られた組成物１を１回およびそれ
ぞれ２回希釈することにより、２種の組成物を調
製した。かくして、それぞれ51ｇおよび20.5ｇの
98％純度のホスエチルAlと16.5ｇおよび8.25ｇの
酢酸カルシウムとを含有する組成物が得られた。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 安定剤として弱酸と強塩基との塩を含有する
   エチル亜燐酸アルミニウム又はトリス−エチルホ
   スホン酸アルミニウムの水溶液よりなることを特
   徴とする、アルキル−燐酸の塩を基材とする殺菌
   組成物。 ２ 強塩基が水酸化カルシウムである特許請求の
   範囲第１項記載の組成物。 ３ 強塩基が水酸化ナトリウムまたは水酸化カリ
   ウムである特許請求の範囲第１項記載の組成物。 ４ 安定剤が酢酸カルシウムである特許請求の範
   囲第１項または第２項記載の組成物。 ５ １〜120ｇ／のエチル亜燐酸アルミニウム
   又はトリス−エチルホスホン酸アルミニウムを含
   有する特許請求の範囲第１項乃至第４項のいずれ
   かに記載の組成物。 ６ 弱酸と強塩基との水溶性塩をエチル亜燐酸ア
   ルミニウム又はトリス−エチルホスホン酸アルミ
   ニウムを含有する溶液に添加することを特徴とす
   る安定剤として弱酸と強塩基との塩を含有するエ
   チル亜燐酸アルミニウム又はトリス−エチルホス
   ホン酸アルミニウムの水溶液よりなることを特徴
   とする、アルキル−燐酸の塩を基材とする殺菌組
   成物の製造方法。 ７ 安定剤として弱酸と強塩基との塩を含有する
   エチル亜燐酸アルミニウム又はトリス−エチルホ
   スホン酸アルミニウムの水溶液よりなることを特
   徴とする、アルキル−燐酸の塩を基材とする殺菌
   組成物を施すことを特徴とする菌類による病気に
   対する植物の保護方法。 ８ 組成物を樹木の幹に注入することを特徴とす
   る特許請求の範囲第７項記載の方法。