JPH0573539U - 縦形バランス式熱天秤装置 - Google Patents

縦形バランス式熱天秤装置

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JPH0573539U
JPH0573539U JP1187892U JP1187892U JPH0573539U JP H0573539 U JPH0573539 U JP H0573539U JP 1187892 U JP1187892 U JP 1187892U JP 1187892 U JP1187892 U JP 1187892U JP H0573539 U JPH0573539 U JP H0573539U
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JP1187892U
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毅 杉山
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株式会社マックサイエンス
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 縦形バランス式の熱天秤装置において、熱膨
張や浮力の影響を相殺して測定誤差をなくし、差動型の
熱天秤とすることを可能とする。 【構成】 上端に試料ホルダ10を下端に重り13を有
する試料用縦ロッド1と、上端にリファレンスを下端に
重りを有するリファレンス用縦ロッドとを、それぞれ途
中で、固定支点に取り付けた水平ビーム5,6の先端部
にて枢支し、両水平ビーム5,6の途中をシーソ式に揺
動可能な連結ビーム31の端で支持し、上記両縦ロッド
1,2の途中に上下の相対的な位置ズレを検出する位置
検出手段40を設け、試料用縦ロッド1にロッド上下用
の永久磁石19及び電磁駆動コイル45を設け、上記位
置検出手段40からの位置ズレ信号に応じ位置ずれをな
くすように上記電磁駆動コイル45を作動させる構成と
する。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、試料を昇温降温し、試料の重量変化を測定することにより熱分析を 行うための縦形バランス式熱天秤装置、特に差動型の熱天秤装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、熱天秤装置には縦形バランス式と水平バランス式とがあり、後者の水 平バランス式のものにあっては、従来、図5に示すような、差動型の熱天秤装置 が知られている(実公昭61−42110号公報)。
【0003】 即ち、一端に試料ホルダ83を有する試料側ビーム85と、一端にリファレン ス82を有するリファレンス側ビーム86とを、支持部92により各ビームの長 さ方向のほぼ中央にて同一方向に水平かつ平行に支持し、試料ホルダ83とリフ ァレンス82は温度制御される加熱炉81内に置き、支持部92に対し試料ホル ダ83及びリファレンス82から反対方向にほぼ等距離離れた位置において、各 ビーム85,86間を第1ビーム連結部材91a及び第2ビーム連結部材91b 並びにバランス手段を介して連結した構成のものである。このバランス手段は、 回転機能を備えた電磁駆動コイル89からなり、また、両ビーム85,86の一 方の水平位置からの傾き状態,バランスのズレを検出するため、試料側ビーム8 5の反対側の他端に設けたスリット部材84と、そのスリット84aを通して投 光器87からの光を受光する受光器88とにより位置検出手段を構成し、該位置 検出手段からのバランスのズレの信号により、電磁駆動コイル89が第1ビーム 連結部材91aと第2ビーム連結部材91bとを介して前記各ビーム85,86 を水平位置の状態にするようになっている。
【0004】 一方、縦形バランス式の熱天秤装置については、上記差動型のものは存在せず 、上端に試料載置部を有し下端に重りを設けた1本の試料用縦ロッドの途中を、 1本の水平ビームの先端部にて枢支し、該水平ビームはその他端を固定支点とし 且つ途中を弾性的に支持した構成であり、温度変化による試料の重量変化を支点 部のトルク変動にて検出すると共に、支点部を回転して水平に規制し、この変化 量を記録していた。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
しかし、縦形バランス式熱天秤装置における上記した従来の構成では、1組の 試料用の縦ロッド及び水平ビームを用いるだけであるため、同一条件下で試料の 重量変化測定を行うことが難しく、水平ビームの熱膨張によりビーム長さが増え たとき検出トルクが増加したり、温度の上昇に伴う空気の浮力の減少がみかけの 重量増加となり、試料の重量変化測定に誤差が生ずるという欠点がある。
【0006】 一方、上記した水平バランス式熱天秤装置は、差動型であるため、かかる誤差 を相殺することが可能であるものの、水平バランス式であるため、試料ホルダ8 3内に置く試料の位置如何によってバランス状態が微妙に異なるという欠点があ る。これは、縦形バランス式にはない欠点である。
【0007】 本考案は、上記問題点に鑑みなされたもので、縦形バランス式の熱天秤装置に おいて、試料用縦ロッド及びリファレンス用縦ロッドの2本を用い、一方の上端 に試料を、他方の上端に熱変動の少ないリファレンス物質を載置し、両縦ロッド を差動的に揺動するように支持してその差動を検出し、熱膨張や浮力の影響を相 殺して測定誤差をなくした高精度の差動型熱天秤装置とすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本考案の縦形バランス式の熱天秤装置は、上端に 試料ホルダを有し下端に重りを設けた試料用縦ロッドの途中を試料用水平ビーム の先端部にて枢支すると共に、上端にリファレンスを有し下端に重りを設けたリ ファレンス用縦ロッドの途中をリファレンス用水平ビームの先端部にて枢支し、 両水平ビームはその他端をそれぞれ独立に固定支点に取り付けると共に両水平ビ ームの途中を差動的に揺動する連結ビームで支持し、上記試料用縦ロッド及びリ ファレンス用縦ロッドの途中に両縦ロッドの上下の相対的な位置ズレを検出する 位置検出手段を設け、上記試料用縦ロッドに該ロッドを上下に変移させる電磁駆 動コイルを設けると共に、上記位置検出手段からの位置ズレ信号に応じ位置ずれ をなくすように上記電磁駆動コイルを作動させる制御回路を設けた構成のもので ある。
【0009】
【作用】
試料ホルダの試料は、その中の特定物質の離脱又は吸着等により重量が変化す るが、リファレンスの重量変化は全くない。従って、試料用縦ロッドとリファレ ンス用縦ロッドとのバランスが崩れ、試料用縦ロッドが上下いずれかの方向に変 移し、その試料用水平ビームが固定支点を中心として回動する。試料用水平ビー ムとリファレンス用水平ビームとは差動的に揺動する連結ビームで支持されてい るので、リファレンス用水平ビームが試料用水平ビームと反対方向に回動し、結 果として、試料用縦ロッドとリファレンス用縦ロッドとが差動的に上下逆方向に 変移する。この僅かな動きは位置検出手段により検出され、この検出信号を受け て制御回路が電磁駆動コイルを作動させ、両縦ロッドのバランスを瞬時に保つ。 かかる差動的動作により、熱膨張や浮力の影響を相殺して測定誤差をなくした精 度及び強度の優れた差動型の熱天秤装置が提供される。
【0010】 また縦形バランス式熱天秤装置であり、縦ロッドは枢支部により水平ビームの 先端部に支持され、水平ビームの回動変移に対しても、重りにより常に垂直状態 に保たれる。つまり、試料用縦ロッド及びリファレンス用縦ロッドは上下にのみ 変移するから、試料ホルダに対する試料の載置位置が若干ずれても、その影響は 水平バランス式ほどには大きく現れない。
【0011】
【実施例】
以下、本考案を図示の一実施例に基づいて説明する。
【0012】 図1において、加熱炉9は試料ホルダ10とリファレンス20を同時に加熱 する電気炉であり、図示してない温度コントローラにより所定温度に制御される 。リファレンス20は試料ホルダ10に搭載される試料(図示せず)の重量変化 を見るための比較となるもので、熱により重量変化しない材質でできている。
【0013】 2本平行に配置された縦ロッド1,2のうち、一方の縦ロッド1は試料用であ り、上端に試料ホルダ10を有する上側ロッド11と、下端に重り13を有する 下側ロッド12とを、枢支部3により上下に一直線状に連結したものから成る。 他方の縦ロッド2はリファレンス用であり、上端にリファレンス20を有する上 側ロッド21と、下端に重り23を有する下側ロッド22とを、枢支部4により 上下に一直線状に連結したものから成る。
【0014】 これら2本の縦ロッド1,2は、その途中の枢支部3,4において、水平ビー ム5,6の先端部に揺動可能に枢支される。枢支部3,4は、本実施例では、縦 ロッドと直交する方向の貫通穴15,25を有するに枢支枠14,24と、この 貫通穴15,25内に差し込まれた水平ビーム5,6の先端部を、縦ロッド1, 2及び貫通穴15,25のいずれにも直交する方向に枢支枠14,24側部から 支持するピン16,26とで構成されている。従って、縦ロッド1,2は、枢支 部3,4を中心として、縦ロッド1,2及び水平ビーム5,6を含む平面内で揺 動可能となっている。しかし、水平ビーム5,6の先端部両側からピンを突出さ せ枢支枠14,24内側の受けに支持させることもできる。
【0015】 上記水平ビーム5,6は、その他端がそれぞれ独立に固定支点7,8に取り付 けられ、上下回転1自由度の水平ビームとなるように支持されている。また、両 水平ビーム5,6の途中は差動支持手段30により互いに平行に且つ差動的に上 下変移可能に支持されている。この差動支持手段30は、本実施例では、両水平 ビームの途次の上方で両水平ビームに対し直交するように設けられた連結ビーム 31と、該連結ビーム31を両水平ビーム間の中央で回動可能に支持する固定支 点32を有する支持部材33と、この連結ビーム31の一側先端と水平ビーム3 とを結ぶ第1の連結部材たるワイヤ34と、連結ビーム31の他側先端と水平ビ ーム4とを結ぶ第2の連結部材たるワイヤ35とから構成されている。即ち、水 平ビーム5,6は固定支点32を中心として両水平ビーム側に差動的に揺動可能 な連結ビーム31により吊下げられ、互いに差動的に上下変移可能となっている 。しかし、必要によっては、ワイヤ等で吊下支持する代わりに、両水平ビームの 下方において両水平ビームに対し直交するように設けられた差動的に揺動する連 結ビームにより、下側から支持する構成とすることもできる。
【0016】 上記試料用縦ロッド1及びリファレンス用縦ロッド2の上下の相対的な位置ズ レを検出する位置検出手段40を構成するため、両縦ロッド1,2には、枢支部 3,4より下方の領域において、縦ロッド1,2の変移と共に相対移動する遮光 板17,27が設けてある。本実施例の場合、図2に示すように、リファレンス 用縦ロッド2には開口28を有する遮光板27が取り付けられ、試料用縦ロッド 1には、この遮光板27の開口28を横方向に交叉するが上下幅が開口28より も狭い開口面積調節用の帯体18を有する遮光板17が設けられている。両遮光 板17,27の取付け位置は、試料ホルダ10の試料及びリファレンス20の上 下位置が一致したバランス状態を保っている時には、丁度遮光板27の開口28 の上下幅中央に遮光板17の帯体18が位置し、これによって開口28の上下に 帯体18で覆われない透過領域が同一面積で形成されるようにしてある。
【0017】 更に、位置検出手段40の構成要素として、上記遮光板17,27に光を照射 する投光器41と、遮光板17,27における帯体18及び開口28間の隙間部 分を透過して出射する光を検出する光検出器42とが設けられている。光検出器 42は、上下に位置を異ならせて設けた受光器43と44とから成り、上側の受 光器43は、帯体18で覆われなかった遮光板開口28の上側隙間部分を透過し て出射する光を受光し、また、下側の受光器44は、帯体18で覆われなかった 遮光板開口28の下側隙間部分を透過して出射する光を受光するようになってい る。即ち、上記したバランス状態、つまり開口28の上下中央に帯体18が位置 して、上下の隙間部分の透過面積が同一のときには、投光器41より出た光が同 一光量づつ上下隙間部分を通過して、それぞれの受光器42で受光される構成に なっている。そして、僅かでもバランス状態がくずれたとき、つまり縦ロッド1 ,2が相対移動したときには、上記開口28の上下隙間部分の透過面積のうち、 一方が減少し、他方が増加するように変化する。しかも、縦ロッド1,2は差動 支持手段30の働きにより水平ビーム5,6を介して必ず上下逆方向に差動的に 変移するため、上記開口28の上下隙間部分における透過面積の減少及び増加の 程度が、縦ロッド1,2の一方だけが変移する場合に比べ大きく拡大される。こ の結果、バランス状態がくずれたことが、縦ロッド1,2の位置ズレに基づく受 光器43,44の出力信号の差から顕著に検出される。
【0018】 上記縦ロッド1,2の位置ズレが検出された場合、この位置ズレをなくしバラ ンスを回復すように試料用縦ロッド1を上下に変移させる電磁的ロッド駆動手段 50として、試料用縦ロッド1には、上記位置検出手段40より下方において永 久磁石19が固定され、更にこの永久磁石19を囲繞して電磁駆動コイル45が 設けてある。尚、縦ロッド1,2のバランスをとるため、縦ロッド2にも同一箇 所に同じようにダミー用永久磁石29が設けてある。
【0019】 60は上記位置検出手段40からの位置ズレ信号に応じて上記電磁駆動コイル 45を励磁する制御回路であり、上記電磁的ロッド駆動手段50の一部を構成し 、電磁駆動コイル45の励磁方向及び励磁強さによって、上記永久磁石19との 間に縦ロッド1の軸方向の電磁力を発生させ、縦ロッド1を、縦ロッド2との間 の上下の位置ズレがなくなる位置まで移動させる。
【0020】 以上の構成からなる本考案の実施例においては、先端部に試料用縦ロッド1又 はリファレンス用縦ロッド2を有する水平ビーム5,6の後端を、固定支点7, 8により上下回転1自由度の水平ビームとなるように支持しているため、その水 平ビーム5,6の途中をシーソ式に揺動する連結ビーム31は捩じり的な力を受 けることなく、初期の差動的な揺動動作を果たす。また、縦ロッド1,2は枢支 部3,4により水平ビーム5,6の先端部に支持されているため、水平ビーム5 ,6の回動変移に対しても、重り13,23により垂直状態に保たれる。従って 、試料用縦ロッド1及びリファレンス用縦ロッド2は上下にのみ変移し、試料ホ ルダ10に対する試料の載置位置が若干ずれても、その影響は水平バランス式ほ どには大きく現れない。
【0021】 図3に、上記制御回路60を含む電気的な構成を示す。この制御回路60にお いては、電磁駆動コイル45を駆動する励磁電流の大きさによってバランス状態 の崩れの程度、つまり縦ロッド1,2の位置ズレ量を検出し、所望の形の検出出 力信号TGとして取り出す検出回路61も内蔵されている。
【0022】 受光器43,44からの信号は制御回路60の差動増幅器51に入力されて両 信号の差が取り出される。PID回路52はこの差信号を受けて、比例,積分, 微分(PID)演算処理を行い、コイル45を駆動するための電流を出力する。
【0023】 検出回路61は電磁駆動コイル45に直列に挿入した抵抗62を有しており、 電流検出回路63はこの抵抗62の端子電圧からコイル45の電流値の変化すな わち試料の重量変化を検出し、検出信号を出力する。この検出信号はゲイン補正 回路64を通し、A/Dコンバータ65介してCPU66に入力する。
【0024】 CPU66では、フィルタ回路により信号中の高周波成分が除去され、ノイズ を低減させてからバッファにより出力インピーダンスを低インピーダンスに変換 し、出力信号TGとして出力する。また、オートパーセント回路によりコイル4 5の電流値を検出記憶し、試料の重量変化の初期重量に対する割合を算出し、算 出値に対応する信号(重量信号)を出力する。さらに微分回路はバッファの出力 信号TGを受け、時間微分処理をし、時間微分値(重量微分信号)を出力する。 そして、パネルメータはバッファの出力信号TGを受け、信号値のデジタル化処 理をし、デジタル値を出力する。
【0025】 次に動作について説明する。
【0026】 加熱炉9は、図示してないプログラム温度コントローラにより、入力された昇 温温度パターンに従い、温度の上昇及び下降が行われる。サンプル側試料ホルダ 10に乗せられた試料S(図示せず)は、昇降温に伴い試料中に含まれる特定物 質の離脱又は吸着等により、重量が変化する。ところがリファレンス20は、ア ルミナ又は白金等からなり重量変化は全くない。従って、試料用縦ロッド1とリ ファレンス用縦ロッド2とのバランスが崩れ、差動支持手段30の連結ビーム3 1が固定支点32を境にシーソ的にいずれか一方の側に傾き、これにワイヤ34 ,35によって連結された両水平ビーム5,6が固定支点7,8を中心として回 動し、試料用縦ロッド1とリファレンス用縦ロッド2が上下逆方向に変移する。 この僅かな動きは位置検出手段40により検出され、この検出信号を受けて電磁 的ロッド駆動手段50によりビーム1,2のバランスが瞬時に保たれるため、2 本の縦ロッド1,2は視覚的には、事実上止まって見える。 詳述するに、例えば、試料の重量が軽い方に変化した場合、試料用縦ロッド1 が上方向に変移するが、これに伴いリファレンス用縦ロッド2も反対の下方向に 変移する。これは、両縦ロッド1,2が水平ビーム5,6及びワイヤ34,35 を介して連結ビーム31に連結されており、この連結ビーム31の働きで常に差 動的に揺動するためである。
【0027】 位置検出手段40においては、試料用縦ロッド1の遮光板17が上方向に変移 し、リファレンス用縦ロッド2の遮光板27は下方向に変移することになり、そ れまで図4(a)のように開口28の中央にあった帯体18が、図4(b)のよ うに開口28の上方に変移し、また開口28自体も下方に変移する。従って、帯 体18と開口28で形成される上下の隙間部分のうち、上側隙間部分S1は透過 面積が減少し、逆に下側隙間部分S2は透過面積が増加する。この結果、上側受 光器43で受光される光量が減少しかつ下側受光器44で受光される光量が増大 する。仮に縦ロッド1,2の一方だけが変移する場合には、図4(c)に示すよ うに、上下の隙間部分S1,S2における透過面積の変化は余り顕著でないが、 本装置では上記図4(b)のように受光量の減少及び増加の程度が互いに差動的 に現れるので、上下の方向の微量な差動も、図4(c)の場合に比べ大きく拡大 され、差動増幅器51の出力として顕著に検出される。
【0028】 上記差動増幅器51の出力信号はPID回路52に入力され、そのPID出力 に従ってコイル45が駆動され、その電磁力で試料用縦ロッド1が下方に変移し 初期状態にバランスする。このとき、遮光板17,27の帯体18及び開口28 は図4(b)から図4(a)の位置に戻り、各水平ビーム5,6も連結ビーム3 1の働きで、ワイヤ34,35を介し差動的に揺動して初期状態に戻る。
【0029】 上記作用は、水平ビームの熱膨張によりビーム長さが増えたときや、温度の上 昇に伴う空気の浮力の減少がみかけの重量増加となるような場合でも同様であり 、位置検出手段40及び電磁的ロッド駆動手段50の働きにより、それらの誤差 が吸収され、試料の重量変化測定に誤差を生じない。
【0030】 電磁駆動コイル45に流れる電流は、試料ホルダ10上の試料に重量変化と比 例関係にあるため、電流検出回路63を介して試料の重量変化を知ることができ 、出力信号70,71を用いて記録することも可能である。
【0031】
【考案の効果】
以上述べた通り本考案によれば、縦形バランス式熱天秤装置を差動形熱天秤と したので、次のような種々の効果を有する。 (1)試料用縦ロッド及びリファレンス用縦ロッドの2本を用いて差動検出する ので、試料用縦ロッド1本の場合における水平ビームの熱膨張及び対流や浮力の 影響を相殺できる。 (2)縦形バランス式熱天秤装置であり、試料用縦ロッド及びリファレンス用縦 ロッドは上下にのみ変移するから、試料ホルダに対する試料載置位置の違いがバ ランスに影響しないので、精密な測定ができる。 (4)従って、測定精度の高い、機械的にも耐久性の優れた熱天秤装置を提供す ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施例の構成を示す透視図である。
【図2】図1における位置検出手段を構成する遮光板の
斜視図である。
【図3】図1の電気的構成を示す図である。
【図4】図1における位置検出手段の動作説明に供する
図である。
【図5】従来の水平バランス式熱天秤装置の構成図であ
る。
【符号の説明】
1 試料用縦ロッド 2 リファレンス用縦ロッド 3 枢支部 4 枢支部 5,6 水平ビーム 7,8 固定支点 9 加熱炉 10 試料ホルダ 11,21 上側ロッド 12,22 下側ロッド 13,23 重り 14,24 枢支枠 15,25 貫通穴 16,26 ピン 17,27 遮光板 18 開口面積調節用の帯体 19 永久磁石 20 リファレンス 28 開口 29 ダミー用永久磁石 30 差動支持手段 31 連結ビーム 32 固定支点 33 支持部材 34 ワイヤ(第1の連結部材) 35 ワイヤ(第2の連結部材) 40 位置検出手段 41 投光器 42 光検出器 43,44 受光器 45 電磁駆動コイル 50 電磁的ロッド駆動手段 51 差動増幅器 52 PID回路 60 制御回路 61 検出回路 62 抵抗 63 電流検出回路 64 ゲイン調整回路 65 A/Dコンバータ 66 CPU

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上端に試料ホルダを有し下端に重りを設
    けた試料用縦ロッドの途中を試料用水平ビームの先端部
    にて枢支すると共に、上端にリファレンスを有し下端に
    重りを設けたリファレンス用縦ロッドの途中をリファレ
    ンス用水平ビームの先端部にて枢支し、両水平ビームは
    その他端をそれぞれ独立に固定支点に取り付けると共に
    両水平ビームの途中を差動的に揺動する連結ビームで支
    持し、上記試料用縦ロッド及びリファレンス用縦ロッド
    の途中に両縦ロッドの上下の相対的な位置ズレを検出す
    る位置検出手段を設け、上記試料用縦ロッドに該ロッド
    を上下に変移させる電磁駆動コイルを設けると共に、上
    記位置検出手段からの位置ズレ信号に応じ位置ずれをな
    くすように上記電磁駆動コイルを作動させる制御回路を
    設けたことを特徴とする縦形バランス式熱天秤装置。
JP1187892U 1992-03-10 1992-03-10 縦形バランス式熱天秤装置 Pending JPH0573539U (ja)

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