JPH0573201U - 内燃機関のタペット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 オイル潤滑が不要で、強度の高い内燃機関の
タペットを提供することを目的とするものである。 【構成】 少なくとも外周部位がアルミニウムによって
成形されたタペット筒部９ａ外周面に多孔質層の陽極酸
化被膜を形成し、かつ該多孔質層に二硫化モリブデンを
充填したことにより、タペット９のオイルによる潤滑を
不要とし、タペット９の耐摩耗性の向上、強度向上を図
るようにした。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、内燃機関のタペットに関し、特に、その潤滑性を向上する技術に関 するものである。

【０００２】

【従来の技術】

内燃機関のヘッドバルブ部の構成として、従来、図５に示すものがある。 即ち、ロッカカバー１内にはロッカアーム２が配設され、該ロッカアーム２の 一端部はバルブ３に当接される。又、ロッカアーム２の他端部には、プッシュロ ッド４が連結されており、このプッシュロッド４はシリンダヘッド５の孔５ａを 挿通してシリンダブロック６に摺動自由に支持されたタペット７の内面に当接さ れる。タペット７の外面にはカム８が当接される。

【０００３】 そして、前記タペット７は、カム８によって上下方向の摺動運動を行い、プッ シュロッド４，ロッカアーム２を介してバルブ３の開閉動作を行う。 この場合、ロッカカバー１内のオイルが自由落下により孔５ａを介してタペッ ト７に至り、該タペット７の外周の潤滑を行うようになっている。 ところで、従来、上記タペット７として、その筒部７ａの上下摺動部分がアル ミニウム合金で形成されたものが知られている（実開昭６３−３１２０７号公報 参照）。

【０００４】 又、タペット７の筒部７ａの上下摺動部分の外周にニッケル・アルミニウムの 金属間化合物を設けたものが知られている（実開平３−３５２０６号公報参照） 。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、このような従来のタペットの構造にあっては、次のような問題 点があった。 即ち、タペット７の筒部７ａの上下摺動部分をアルミニウム合金で形成しても のでは、摩耗が多く、強度も低いため、筒部７ａの上端部から亀裂を発生する。

【０００６】 又、筒部７ａの上下摺動部分の外周にニッケル・アルミニウムの金属間化合物 を設けたものでは、摩耗並びに強度に対しては強いが、オイルによる潤滑が必ず 必要である。 そこで、本考案は以上のような従来の問題点に鑑み、オイル潤滑が不要で、強 度の高い内燃機関のタペットを提供することを目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

このため、本考案は、タペットの少なくとも外周部位がアルミニウムによって 成形された筒部外周面に多孔質層の陽極酸化被膜を形成し、かつ該多孔質層に二 硫化モリブデンを充填した。

【０００８】

【作用】

通常、ロッカカバー内のオイルが自由落下してタペット外周面の潤滑を行うが 、潤滑性の高い二硫化モリブデンを多孔質層に充填したため、オイルによる潤滑 が不要となると共に、陽極酸化被膜は硬質なため、摩耗に強く、強度的に優れ、 亀裂等の破損が生じ難くなり、ひいては、タペット形状の設計自由度向上、潤滑 系の設計自由度向上を図れる。

【０００９】

【実施例】

以下、添付された図面を参照して本考案を詳述する。 図１に示したタペット９の筒部９ａは、アルミニウムから形成される。このタ ペット９の筒部９ａの外周面には、多孔質層の陽極酸化被膜を形成し、かつ該多 孔質層に二硫化モリブデンを充填する。

【００１０】 この場合、タペット９の筒部９ａを形成するアルミ母材に陽極酸化処理を施し 、その硬質酸化被膜特有の多孔質層に二硫化モリブデンを底部から充分に析出さ せる。 図２は、タペット９の筒部９ａ外周面を微視的に表した断面図であり、酸化被 膜の孔部Ａに二硫化モリブデンＢが充填される。

【００１１】 かかる構成のタペット９によると、次のような利点がある。 即ち、通常、ロッカカバー内のオイルが自由落下してタペット外周面の潤滑を 行うが、潤滑性の高い二硫化モリブデンを多孔質層に充填したため、オイルによ る潤滑が不要となると共に、陽極酸化被膜は硬質なため、摩耗に強く、強度的に 優れ、亀裂等の破損が生じ難くなり、ひいては、タペット９の形状の設計自由度 向上、潤滑系の設計自由度向上を図れる。

【００１２】 上記実施例においては、タペット９の筒部９ａ全体をアルミニウムで形成した ものにおいて、本考案を適用したが、図３及び図４に示すように、タペット１０ のカムとの当接部を形成するべく、筒部１０ａ先端部にセラミックチップ１１を 接着或いは筒部１０ａを形成するアルミニウムで鋳ぐるんで設けたものにおいて も、本考案を適用することができる。又、チップをセラミックに限らずその他の 鉄系材料で形成したものであっても良い。更に、タペットの筒部の外周部分のみ をアルミニウムで形成したものであっても良い。

【００１３】 尚、本考案は実施例のものに限定されることなく、実用新案登録請求の範囲に 基づいて種々の変更が可能である。

【００１４】

【考案の効果】

以上説明したように本考案は、少なくとも外周部位がアルミニウムによって成 形されたタペット筒部の外周面に多孔質層の陽極酸化被膜を形成し、かつ該多孔 質層に二硫化モリブデンを充填した構成としたから、オイルによる潤滑が不要と なると共に、タペットの耐摩耗性の向上、強度の向上を図ることができると共に 、タペット形状の設計自由度向上、潤滑系の設計自由度向上を図れるものである 。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案に係るタペットの一実施例を示す断面
図

【図２】 同上実施例のタペットの外周面を微視的に表
した断面図

【図３】 他の実施例の断面図

【図４】 更に他の実施例の断面図

【図５】 内燃機関のヘッドバルブ部の構成を示す断面
図

【符号の説明】

９ タペット ９ａ 筒部 １０ タペット 10ａ 筒部 Ａ 酸化被膜の孔部 Ｂ 二硫化モリブデン

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】タペットの少なくとも外周部位がアルミニ
   ウムによって成形された筒部外周面に多孔質層の陽極酸
   化被膜を形成し、かつ該多孔質層に二硫化モリブデンを
   充填したことを特徴とする内燃機関のタペット。