JPH0571808U - 光ファイバケーブル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 スペーサの構造を簡単にし、標準化してスペ
ーサの特性を損なうことなく自由な色に着色できるよう
にする。 【構成】 中心に抗張力体を配し、この抗張力体の外側
にスペーサを配設し、さらにスペーサの外周面に長手方
向に複数条形成される断面矩形状の収納溝に光ファイバ
心線を収納してなる光ファイバケーブルの複数条の収納
溝の１又は複数条に、着色された吸水性の識別用線材を
嵌装する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、接続工事用に収納溝識別マークを備えたを光ファイバケーブルに係 り、特に水が侵入した際に直ちに伝送トラブルが発生するのを防止するため、吸 水性線材又は吸水性テープによって防水対策を施した光ファイバケーブルに関す る。

【０００２】

【従来の技術】

一般に、光ファイバは、従来の銅導体と比べ物理的な或いは機械的な特性に著 しい違いがあるため、１次被覆、２次被覆等を施し、光ファイバ心線として機械 的な特性、取扱い易さの向上を図っている。しかし、ケーブル化する場合には、 光ファイバ心線に側圧等の大きな外力が加わると、光ファイバに微小な曲り（マ イクロベンディング）を生じ、伝送損失が増加するので、ケーブル構造及び製造 に配慮する必要がある。この点を考慮して光ファイバケーブルの構造としては、 スペーサ形がある。このスペーサ形ファイバケーブルは、ケーブルの機械特性の 向上、特に側圧に対する高信頼性をねらった構造となっている。

【０００３】 また、光ファイバ素線は、光ファイバ線引装置において、電気炉から引き出さ れ紡糸されるが、このままの状態では表面に傷が付きやすく、機械的強度も弱い ので紡糸と同時に、ＵＶ硬化型の樹脂等で被服が施され、光ファイバ素線が形成 される。また、この光ファイバ素線を複数本（例えば、８本）並べ、アクリル酸 塩、アクリル酸エステル、アクリル酸樹脂などのアクリレート樹脂で被覆して複 数心備えたテープ心線（例えば、８心テープ心線）を形成している。

【０００４】 光ファイバケーブルは、従来、図３に示す如くテープ心線１４０を必要枚数寄 せ集めて構成されている。すなわち、光ファイバケーブル１００は、その中心に 抗張力体（テンションメンバ）１１０が配設されている。この抗張力体１１０の 外側に断面円形状のスペーサ１２０が配設されている。このスペーサ１２０の外 周面に長手方向に断面矩形状の収納溝１３０が複数条（図３においては、４条） 形成されている。この収納溝１３０Ａ、１３０Ｂ内には、テープ心線１４０（図 ３においては、８心テープ心線）が挿入されている。また、光ファイバは、水の 侵入により長期的に強度に悪影響を及ぼし、信頼性が低下する。そのため、光フ ァイバケーブルには種々の防水対策が講じられている。現在ではケーブルの防水 対策として、従来、管理、取扱いに問題があったガス保守タイプ、ジェリー充填 タイプから吸水材料内在型に変わりつつある。すなわち、収納溝１３０Ｃ、１３ ０Ｄには、侵入してきた水を吸収する吸水性ヤーン１７０が挿入されている。

【０００５】 また、光ファイバケーブルは、データ通信として用いられるものであり、多数 の回線が収納されているため、接続を誤ると誤った情報が伝達されてしまうので 、正確に接続する必要がある。ところが、光ファイバケーブルには、多数の回線 が収納されており、どれも同じ構成となっているため、接続工事のために、収納 溝１３０Ａと１３０Ｃの間のスペーサ１２０の外周面に黒の単線をスペーサ１２ ０の製造時に押し出しによって施して溝の識別マーク１８０を設けている。この ように収納溝１３０内にテープ心線１４０が挿入されたスペーサ１２０の外側は 、押え巻きテープ１５０で巻き押えられ、さらに、この上にアルミラミネートテ ープが巻き付けられ、この上に、外被（シース）１６０が被覆される。

【０００６】 収納溝に吸水性ヤーンを挿入する光ファイバケーブル以外の光ファイバケーブ ルとして図４に示す如きものもある。すなわち、この光ファイバケーブル２００ は、スペーサ１２０の外周面に長手方向に断面矩形状に形成される収納溝１３０ Ａ、１３０Ｂ、１３０Ｃ、１３０Ｄのそれぞれにテープ心線１４０を必要枚数重 ねて収納し、このテープ心線１４０の上に吸水テープ２１０が縦添えして構成さ れている。このように収納溝１３０のそれぞれの溝内に必要枚数のテープ心線１ ４０が挿入され、収納溝１３０内テープ心線１４０の上に吸水テープ２１０を縦 添えしたスペーサ１２０の外側は、押え巻きテープ１５０で巻き押えられ、さら に、この上にアルミラミネートテープが巻き付けられ、この上に、外被（シース ）１６０が被覆される。このように収納溝１３０内に収納されたテープ心線１４ ０の上に吸水テープ２１０を縦添えしてなる光ファイバケーブル２００は、接続 工事のために、収納溝１３０Ａを挟んで１３０Ａの両側スペーサ１２０の外周面 に黒の単線−複線のストライプを、スペーサ１２０の製造時に押し出しによって 施して溝の識別マーク２２０を設けている。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、従来の光ファイバケーブルにあっては、溝の識別のための識別 マークをスペーサ１２０の外周面に、スペーサ１２０の製造時に押し出しによっ て施しているため、使用者のニーズによってその都度識別マークを設定し、スペ ーサ１２０の製造時に同時押し出しによって施さなければならず汎用性がないと いう問題点を有している。

【０００８】 また、従来の光ファイバケーブルにあっては、溝の識別のための識別マークを スペーサ１２０の外周面に、スペーサ１２０の製造時に押し出しによって施して いるため、スペーサ１２０の耐久性等の特性を損なうことがあるという問題点を 有している。

【０００９】 本考案は、従来の技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり 、その目的とするところは、スペーサの構造を簡単にでき、標準化してスペーサ の特性を損なうことなく自由な色に着色することのできる光ファイバケーブルを 提供しようとするものである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案の光ファイバケーブルは、中心に抗張力体 を配し、前記抗張力体の外側にスペーサを配設し、前記スペーサの外周面に長手 方向に断面矩形状の収納溝を複数条形成し、該複数条の収納溝に光ファイバ心線 を収納してなる光ファイバケーブルにおいて、上記複数条の収納溝の１又は複数 条に、着色された吸水性の識別用線材を嵌装して構成したものである。

【００１１】 また、上記目的を達成するために、本考案の光ファイバケーブルは、中心に抗 張力体を配し、前記抗張力体の外側にスペーサを配設し、前記スペーサの外周面 に長手方向に断面矩形状の収納溝を複数条形成し、該複数条の収納溝に光ファイ バ心線を収納してなる光ファイバケーブルにおいて、上記収納溝に収納される光 ファイバ心線の上に着色された吸水性の識別用テープを縦添えして構成したもの である。

【００１２】

【作用】

中心に抗張力体を配し、この抗張力体の外側にスペーサを配設し、さらにスペ ーサの外周面に長手方向に複数条形成される断面矩形状の収納溝に光ファイバ心 線を収納してなる光ファイバケーブルの複数条の収納溝の１又は複数条に、着色 された吸水性の識別用線材を嵌装してあるため、収納溝を特定するための識別マ ークを設ける必要がなくスペーサの構造を簡単にでき、標準化してスペーサの特 性を損なうことなく自由な色に着色することができる。

【００１３】 また、中心に抗張力体を配し、この抗張力体の外側にスペーサを配設し、さら にスペーサの外周面に長手方向に複数条形成される断面矩形状の収納溝に光ファ イバ心線を収納してなる光ファイバケーブルの収納溝に収納される光ファイバ心 線の上に着色された吸水性の識別用テープを縦添えしてあるため、収納溝を特定 するための識別マークを設ける必要がなくスペーサの構造を簡単にでき、標準化 してスペーサの特性を損なうことなく自由な色に着色することができる。

【００１４】

【実施例】

以下、本考案の実施例について説明する。 図１には、本考案に係る光ファイバケーブルの一実施例が示されている。

【００１５】 図において、１は光ファイバケーブルで、ケーブルの機械特性の向上、特に側 圧に対する高信頼性を得ることのできるスペーサ形ファイバケーブルとなってい る。 ２は抗張力体（テンションメンバ）で、鋼線または鋼撚線によって構成されて いる。この抗張力体２は、自重によってケーブルが伸びが生じるのを防止するた めである。光ファイバケーブル１は、光ファイバケーブルを構成する複数の光フ ァイバ心線が脆性材料で構成されており、このまま布設すると自重によってケー ブルに伸びが生じ、光ファイバ心線に応力が加わり残留応力となる。この残留応 力の発生は、光ファイバケーブルの寿命を低下させる。このような残留応力が光 ファイバケーブルに発生しないように鋼線または鋼撚線によって構成される抗張 力体２が用いられている。

【００１６】 ３はスペーサで、複数の光ファイバ心線を収納するものである。このスペーサ ３は、抗張力体２が中心の位置にくるように抗張力体２の上に押し出し被覆され ている。そして、このスペーサ３は、一般にはポリエチレンが用いられるが、ポ リエチレンに限らず、ウレタン、ゴム系高分子材料エラストマーなどを使用する ことによって弾性を付与することも可能で、ＰＶＣ、ＡＢＳ等の水を通しにくい 材料の樹脂によって構成することもでき、光ファイバケーブル１への側圧の防御 効果も得られる。また、このスペーサ３は、外周が略断面円形上に形成されてい る。

【００１７】 ４は収納溝で、スペーサ３の外周面側に、ケーブル長手方向に複数条（図１に おいては８条、４Ａ〜４Ｈ）設けられている。この収納溝４は、断面矩形状に形 成されている。

【００１８】 ５は光ファイバ心線で、光ファイバ素線を複数本（図１においては、８本）並 列に揃えて帯状に束ね、一括して樹脂をコーティングしてテープ状に形成されて いる。この光ファイバ心線５は、伝送する信号数に応じた回線数分の枚数を重ね 合わせ、収納溝４Ａ、収納溝４Ｃ、収納溝４Ｅ、収納溝４Ｇと収納溝４の１つ置 きに収納されている。

【００１９】 ６は識別用線材で、吸水性を有する材質によって構成されている。この識別用 線材６は、アクリル酸の化合物で水溶性を有するポリアクリル酸系塩などを線状 のプラスチック繊維上に塗布し成形したものである。そして、この識別用線材６ は、光ファイバ心線５の収納されていない収納溝４Ｂ、収納溝４Ｄ、収納溝４Ｆ 、収納溝４Ｈに収納されている。また、収納溝４に収納される識別用線材６は、 それぞれ着色されており、この識別用線材６の着色は、各収納溝４毎に、赤、黄 、青等着色する色を変えてもよい。このように着色する色を識別用線材６毎に変 えることによって防水効果を具備した識別マークとすることができる。

【００２０】 このようにスペーサ３の収納溝４に光ファイバ心線５と識別用線材６を収納す ると、収納溝４に収納した光ファイバ心線５と識別用線材６とが飛び出さないよ うに押巻きテープ７を巻き付ける。しかる後、アルミラミネートテープが巻き付 けられ、さらにこの上に、外被（シース）を被覆したラミネートシース（ＬＡＰ ）８が被覆され光ファイバケーブル１が形成される。

【００２１】 したがって、本実施例によれば収納溝を特定するための識別マークとしてのス トライプを設ける必要がなく、溝の数、溝の形状にとらわれることなく、着色吸 水材料を適宜施すことができ、光ファイバケーブルの構造も単純化され、標準化 を容易に図ることができる。

【００２２】 図２には、本考案に係る光ファイバケーブルの他の実施例が示されている。 本実施例が図１に図示の実施例と異なる点は、図１に図示の実施例が線状に成 形した吸水性材質の識別用線材を光ファイバ心線の収納されていない収納溝に収 納しているのに対し、本実施例はテープ状に成形した吸水性材質の識別用線材を 収納溝に沿って光ファイバ心線の上に縦添えして収納している点にある。

【００２３】 図において、１０は光ファイバケーブルで、図１に図示の光ファイバケーブル １と同様の機能を有するものである。また、１１は抗張力体（テンションメンバ ）で、図１に図示の抗張力体２と同様である。１２はスペーサ、１３は収納溝で 、図１に図示のスペーサ３、収納溝４と同様のものであるが、本実施例のスペー サ１２の収納溝１３は４条となっている。１４は光ファイバ心線で、図１に図示 の光ファイバ心線５と同一である。

【００２４】 １５は識別用テープで、吸水性を有する材質によって構成されている。この識 別用テープ１５は、プラスチック上に例えばアクリル酸塩等の吸水材を塗布して 成形したものである。そして、この識別用テープ１５は、光ファイバ心線１４の 収納されている収納溝１３の光ファイバ心線１４の上に縦添えされている。ある いは、この識別用テープ１５は、アクリル酸の化合物で水溶性を有するポリアク リル酸塩（例えば、ナトリウム）などの吸水性物質の粉末又は溶液などをテープ に接着、塗布などの方法で固定することにより製造することもできる。この光フ ァイバ心線１４の上に縦添えされる識別用テープ１５は、それぞれ着色されてお り、この識別用テープ１５の着色は、各収納溝４毎に、赤、黄、青等着色する色 を変えてもよい。このように着色する色を識別用テープ１５毎に変えることによ って防水効果を具備した識別マークとすることができる。

【００２５】 このようにスペーサ１２の収納溝１３に光ファイバ心線１４と識別用テープ１ ５を収納すると、収納溝１３に収納した光ファイバ心線１４と識別用テープ１５ とが飛び出さないように押巻きテープ１６を巻き付ける。しかる後、アルミラミ ネートテープが巻き付けられ、さらにこの上に、外被（シース）を被覆したラミ ネートシース（ＬＡＰ）１７が被覆され光ファイバケーブル１０が形成される。 したがって、本実施例によれば収納溝を特定するための識別マークとしてのス トライプを設ける必要がなく、溝の数、溝の形状にとらわれることなく、着色吸 水材料を適宜施すことができ、光ファイバケーブルの構造も単純化され、標準化 を容易に図ることができる。

【００２６】

【考案の効果】

以上説明したように構成されているため、本考案によれば、収納溝を特定する ための識別マークを設ける必要がなくスペーサの構造を簡単にでき、標準化して スペーサの特性を損なうことなく自由な色に着色することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る光ファイバケーブルの実施例を示
す断面図である。

【図２】本考案に係る光ファイバケーブルの他の実施例
を示す断面図である。

【図３】従来の線状吸水材を用いた光ファイバケーブル
の断面図である。

【図４】従来のテープ状吸水材を用いた光ファイバケー
ブルの断面図である。

【符号の説明】

１，１０……………………………………………光ファイ
バケーブル ２，１１……………………………………………抗張力体 ３，１２……………………………………………スペーサ ４，１３……………………………………………収納溝 ５，１４……………………………………………光ファイ
バ心線 ６……………………………………………………識別用線
材 １５…………………………………………………識別用テ
ープ

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 中心に抗張力体を配し、前記抗張力体の
   外側にスペーサを配設し、前記スペーサの外周面に長手
   方向に断面矩形状の収納溝を複数条形成し、該複数条の
   収納溝に光ファイバ心線を収納してなる光ファイバケー
   ブルにおいて、上記複数条の収納溝の１又は複数条に、
   着色された吸水性の識別用線材を嵌装して構成したこと
   を特徴とする光ファイバケーブル。
2. 【請求項２】 中心に抗張力体を配し、前記抗張力体の
   外側にスペーサを配設し、前記スペーサの外周面に長手
   方向に断面矩形状の収納溝を複数条形成し、該複数条の
   収納溝に光ファイバ心線を収納してなる光ファイバケー
   ブルにおいて、上記収納溝に収納される光ファイバ心線
   の上に着色された吸水性の識別用テープを縦添えして構
   成したことを特徴とする光ファイバケーブル。