JPH0570479A - N−ベンジルオキシカルボニル−α−L−アスパルチル−L−フエニルアラニンメチルエステルの製造法 - Google Patents

N−ベンジルオキシカルボニル−α−L−アスパルチル−L−フエニルアラニンメチルエステルの製造法

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JPH0570479A
JPH0570479A JP23587391A JP23587391A JPH0570479A JP H0570479 A JPH0570479 A JP H0570479A JP 23587391 A JP23587391 A JP 23587391A JP 23587391 A JP23587391 A JP 23587391A JP H0570479 A JPH0570479 A JP H0570479A
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昭憲 長友
Masanobu Ajioka
正伸 味岡
Teruhiro Yamaguchi
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 工業的に効率良くアスパルテームを製造する
方法を提供する。 【構成】 有機溶媒中で、L−PM(L−フェニルアラ
ニンメチルエステル)とZ−Asp無水物(N−ベンジ
ルオキシカルボニル−L−アスパラギン酸無水物)とを
反応させZ−α−APM(N−ベンジルオキシカルボニ
ル−α−L−アスパルチル−L−フェニルアラニンメチ
ルエステル)を製造する方法において、反応液中のL−
PM濃度が1%以下になるような条件下で、反応系内の
Z−Asp無水物がL−PMに対して過剰になるよう
に、添加速度をコントロールしながら少量ずつ添加し、
反応させることによりZ−α−APMを高収率で製造す
る。 【効果】 通常の一括挿入法に比べ、α選択率で、Z−
α−APMを製造することができ、以後のα−APM単
離工程の大きな収率改善ができる点で工業的にきわめて
有利なものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、L−フェニルアラニン
メチルエステルとN−ベンジルオキシカルボニル−L−
アスパラギン酸無水物から高選択率でN−ベンジルオキ
シカルボニル−α−Lアスパルチル−L−フェニルアラ
ニンメチルエステルの製造法に関する。
【0002】α−L−アスパルチル−L−フェニルアラ
ニンメチルエステル(以下、α−APMと略記する。)
は、ジペプチド系甘味料として広く知られ良質な甘味特
性ならびに蔗糖の200倍近い高甘味度を有し、ダイエ
ット甘味剤としてその需要が大きく伸長しているもので
ある。
【0003】
【従来の技術】α−APMは、N−保護−L−アスパギ
ン酸無水物とL−フェニルアラニンメチルエステル(以
下、L−PMと略記する。)とを有機溶媒中で縮合反応
させ、N−保護−α−L−アスパルチル−L−フェニル
アラニンメチルエステル(以下、N−保護−α−APM
と略記する。)とし、ついで、この反応生成物からN−
保護基を脱離して目的のα−APMを得る方法が最も一
般的である(USP−3,786,039)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来知られている製造
例においては、目的とするN−保護−α−APM以外
に、その異性体であるN−保護−β−L−アスパルチル
−L−フェニルアラニンメチルエステル(以下、N−保
護−β−APMと略記する。)の副生は避けられない。
【0005】N−保護−β−APMから得られるβ−A
PMは甘味を持たないためにZ−β−APMの副生は、
最終目的物であるα−APMの収率を低下させる。
【0006】さらに、目的のα−APMと副生したβ−
L−アスパルチル−L−フェニルアラニンメチルエステ
ル(以下、β−APMと略記する。)の混合物からα−
APMを分離する方法としては、α−APMとβ−AP
Mを水性媒体中、β−レゾルシル酸と接触させ、α−A
PMを難溶性の付加物として、不純物のβ−APMと分
離する方法が知られている(特開昭49−6305)。
【0007】また、α−APMを水性媒体中でハロゲン
化水素酸と接触させることによって、難溶性のα−AP
Mのハロゲン化水素酸塩を生成させ、不純物として共存
するβ−APMを分離する方法も知られている(特開昭
49−41425)。
【0008】このように酸の付加物として一旦単離した
α−APMの塩からα−APMを得るために中和工程が
必要である。通常、中和操作はα−APMの塩を水に溶
解して、これに塩基を加えて中和することにより、結晶
として生成したα−APMを分離する方法がとられる。
【0009】しかし、これらの方法では、水溶液中にか
なりの量のα−APMを失うために、収率が低くなる。
また、この方法で単離したα−APMは、塩類を多く含
んでおり、最終製品にするために、再結晶や脱塩等の操
作が必要であり、さらに収率が低下する。
【0010】我々は、先に、30重量%以下のベンジル
オキシカルボニル−β−L−アスパルチル−L−フェニ
ルアラニンメチルエステルを含むベンジルオキシカルボ
ニル−β−L−アスパルチル−L−フェニルアラニンメ
チルエステルの水懸濁液を白金族触媒の存在下水素でか
んげんした後、生成したα−L−アスパルチル−L−フ
ェニルアラニンメチルエステルを完全に溶解する温度で
触媒を分離し、その瀘洗液をβ−L−アスパルチル−L
−フェニルアラニンメチルエステルが析出しない温度ま
で冷却し、析出したα−L−アスパルチル−L−フェニ
ルアラニンメチルエステルを分離して、続いて水溶媒で
再結晶精製を行うとともに、この再結晶瀘洗液を上記懸
濁液に循環使用するα−L−アスパルチル−L−フェニ
ルアラニンメチルエステルの製造方法を見出し出願し
た。
【0011】しかしこの方法においても、水からα−A
PMを分離する工程でβ−APMと同量のα−APMを
ロスする欠点が有り、縮合工程におけるβ体の生成を減
らすことは、α体の生成率の増加に加えて、精製ロスの
低下をもたらすため二重の効果が期待できる。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる欠
点を克服すべく鋭意検討した結果、驚くべきことに、有
機溶媒中で、L−PMとN−ベンジルオキシカルボニル
−L−アスパラギン酸無水物(以下、Z−Asp無水物
と略記する。)とを反応させN−ベンジルオキシカルボ
ニル−α−Lアスパルチル−L−フェニルアラニンメチ
ルエステル(以下、Z−α−APM略記する。)を製造
する方法において、反応液中のL−PM濃度が1%以下
になるような条件下で反応させ、系内のZ−Asp無水
物がL−PMに対して過剰になるように添加速度をコン
トロールしながら少量ずつ添加し、反応させることによ
り、目的とするα選択率が飛躍的に向上することを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0013】本発明の方法において用いられるL−PM
はL−フェニルアラニンを酸触媒の存在下にメチルエス
テル化することにより得られるので、通常、酸との付加
塩の形で得られ、酸を中和した後、下記有機溶媒で抽出
すれば、それを直接反応に供することができる。L−P
Mの濃度としては特に制限はない。
【0014】本発明の方法において用いられるZ−As
p無水物は、例えば、N−ベンジルオキシカボニル−L
−アスパラギン酸を、有機溶媒に溶解、もしくは懸濁
し、脱水剤を作用せしめることにより得られることは公
知である。
【0015】本発明の方法において用いられる反応溶媒
としては、反応物及び生成物に特に活性なものでなけれ
ば、いかなる溶媒も用いることができる。ベンゼン・ト
ルエン・キシレン等の芳香族炭化水素類,ジクロルメタ
ン・1.2−ジクロルエタンクロロホルム・四塩化炭素
等の塩素化炭化水素類,テトラヒドロフラン・ジオキサ
ン等のエーテル類,アセトニトリル・プロピオニトリル
等のニトリル類,酢酸エチル・酢酸n−ブチル・プロピ
オン酸メチル等のエステル類,アセトン・メチルエチル
ケトン等のケトン類などが代表的なものであり、これら
のうちの任意の2種類以上からなる混合溶媒を使用する
こともできる。特にトルエン等の芳香族炭化水素類,酢
酸nブチル等のエステル類が好ましい。また、溶媒は、
Z−APMを含んでいても良い。
【0016】反応形式は、バッチ法でも良いし、連続法
でもかまわない。バッチ法の場合、Z−Asp無水物を
含んだ溶液にL−PMを滴下しても良いし、両者を同時
に滴下する方法でも良いが、後の方法が好ましい。L−
PMの添加速度は、縮合反応の速度を考慮してコントロ
ールする必要があり、系内のL−PM濃度が1%以下と
なるような速度にしなければならない。溶液中のL−P
M濃度は、反応液をHLC等の分析装置で分析しても良
い。また、市販のガラス複合電極を備えたpHメーター
により、その指示値を指標として、添加速度をコントロ
ールすることもできる。pHメーターの指示値が3.0
以下であるようにL−PM溶液を添加することが好まし
い。
【0017】添加時間は、系内のL−PM消費速度に合
わせて調整するが、通常、1〜3時間で行う。30分以
下で添加を行うと反応液中の未反応L−PMが増加し、
α選択率の低下きたし好ましくない。
【0018】添加温度および反応温度は、生成物のラセ
ミ化を極力抑制する観点より100℃以下、好ましくは
80℃以下であり、温度は低いほどα選択率が高くな
る。
【0019】Z−Asp無水物とL−PMの添加が終了
した後の反応時間には特に制限はないが、反応を完結さ
せるために、数時間保持するのが普通である。反応温度
にもよるが通常は6時間以内で充分である。
【0020】Z−Asp無水物とL−PMのモル比は、
0.8〜1.2の範囲が好ましい。反応は、ほぼ定量的
に進行し、一方を過剰に用いた場合は、その分が無駄に
なり経済的ではない。
【0021】
【実施例】以下、実施例により本発明の方法を詳しく説
明する。
【0022】実施例1 1000mlの攪拌装置付の反応容器にN−ベンジルカ
ルボキシ−L−アスパラギン酸133.61g(0.5
0モル),無水酢酸56.15g(0.55モル)及び
トルエン400gを混合し、攪拌下に55℃で3時間反
応させた。得られた反応液を30℃まで冷却した後、濾
過し、トルエン洗浄後、乾燥し、Z−Asp無水物の結
晶109.7g(0.44モル)を得た。
【0023】300mlの攪拌装置付の反応容器に酢酸
n−ブチル38.3gを入れ3℃に冷却した後に、Z−
Asp無水物の結晶12.84g(0.0515モル)
を65gの酢酸n−ブチルに加えて溶解させた溶液の滴
下を先行させながら、並行してL−フェニルアラニンメ
チルエステル8.96g(0.05モル)含む酢酸n−
ブチル66.0gとを同時に滴下し、経時的にサンプリ
ングしてL−PMの濃度が1%以下であることを確認
し、さらに、池田製作所製のガラス電極pHメ−タ(型
式PT−3S)の指示値を3.0以下にコントロールし
ながら2時間で滴下を終了後、同温度にて2時間反応さ
せた。この反応液中のZ−α−APMとZ−β−APM
を定量し、Z−α−APMの収率を求めたところ、8
8.0%であった。
【0024】さらに、この縮合液の酢酸n−ブチルを減
圧下に留去し、水310gを加えて懸濁状態とし60℃
に加温後、5%パラジウム−炭素0.5gを加えて、常
圧で3時間接触還元を行った後、同温度で触媒を濾別
し、トルエン層を分液して水層を冷却して5℃で1時間
攪拌後、同温度にて析出している結晶を濾過して5℃の
冷水30mlで洗浄後、乾燥してα−APM10.36
g(0.0352モル)得られた。(収率70.4%)
【0025】比較例1 300mlの攪拌装置付の反応容器にL−フェニルアラ
ニンメチルエステル8.96g(0.05モル)含む酢
酸n−ブチル104.3gを入れ3℃に冷却した後に、
実施例1で得られたZ−Asp無水物の結晶12.84
g(0.0515モル)を65gの酢酸n−ブチルに加
えて溶解させた溶液を滴下を2時間で行い同温度にて2
時間反応させた。その時のpHメーターの指示値は5.
0以上であり、経時的にサンプリングしてL−PMの濃
度を分析した結果1%以上であった。この反応液中のZ
−α−APMとZ−β−APMを定量し、そのZ−α−
APMの収率を求めたところ、75.5%であった。
【0026】実施例2 滴下および反応温度が40℃であること以外は実施例1
の方法に従って反応を行った。この反応液中のZ−α−
APMとZ−β−APMを定量し、そのZ−α−APM
の収率を求めたところ、80.8%であった。
【0027】実施例3 滴下および反応温度が−20℃であること以外は実施例
1の方法に従って反応を行った。この反応液中のZ−α
−APMとZ−β−APMを定量し、そのZ−α−AP
Mの収率を求めたところ、87.0%であった。
【0028】実施例4 300mlの攪拌装置付の反応容器に1.4−ジオキサ
ン38.3gを入れ3℃に冷却した後に、実施例1で得
られたZ−Asp無水物の結晶12.84g(0.05
15モル)を65gの1.4−ジオキサンに加えて溶解
させた溶液の滴下を先行させながら、L−フェニルアラ
ニンメチルエステル8.96g(0.05モル)含む
1.4−ジオキサン66.0gとを同時に滴下し、経時
的にサンプリングしてL−PMの濃度が1%以下である
ことを確認し、さらに、pHメ−タ−の指示値を3.0
以下にコントロールしながら2時間で滴下を終了後、同
温度にて2時間反応させた。この反応液中のZ−α−A
PMとZ−β−APMを定量し、Z−α−APMの収率
を求めたところ、84.0%であった。
【0029】実施例5〜9 実施例1において溶媒の種類をかえて行った結果を表−
1に示す。溶媒の種類をかえたこと以外は実施例1の方
法に従って反応を行った。 実施例10 1000mlの攪拌装置付の反応容器に実施例1で得ら
れたZ−Asp無水物の結晶12.84g(0.051
5モル)に300gのトルエンに加え懸濁させた溶液を
3℃まで冷却した後に、フェニルアラニンメチルエステ
ル8.96g(0.05モル)含むトルエン溶液90.
0gを2時間で滴下を行いpHメーターの指示値を3.
0以下にコントロールし、同温度にて2時間反応させ
た。この反応液中のZ−α−APMとZ−β−APMを
定量し、そのZ−α−APMの収率を求めたところ、8
6.5%であった。
【0030】
【発明の効果】通常の一括挿入法に比べ、特にエステル
系溶媒において、これまで知られている報告に記載され
た値のいずれより高いα選択率で、Z−α−APMを製
造することができ、以後のα−APM単離工程の大きな
収率改善ができる点で、工業的にきわめて有利なもので
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 味岡 正伸 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内 (72)発明者 山口 彰宏 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機溶媒中で、L−フェニルアラニンメ
    チルエステルとN−ベンジルオキシカルボニル−L−ア
    スパラギン酸無水物とを反応させN−ベンジルオキシカ
    ルボニル−α−L−アスパルチル−L−フェニルアラニ
    ンメチルエステルを製造する方法において、反応液中の
    L−フェニルアラニンメチルエステルの濃度が1%以下
    になるような条件下で反応させることを特徴とするN−
    ベンジルオキシカルボニル−α−L−アスパルチル−L
    −フェニルアラニンメチルエステルの製造法。
  2. 【請求項2】 N−ベンジルオキシカルボニル−L−ア
    スパラギン酸無水物を先行させながら、L−フェニルア
    ラニンメチルエステルと並行して同時に添加する請求項
    1記載の方法。
JP23587391A 1991-09-17 1991-09-17 N−ベンジルオキシカルボニル−α−L−アスパルチル−L−フェニルアラニンメチルエステルの製造法 Expired - Fee Related JP3220484B2 (ja)

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