JPH0570122A - 透明酸化アルミニウム前駆体ゲル状物からの薄膜製造方法 - Google Patents

透明酸化アルミニウム前駆体ゲル状物からの薄膜製造方法

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JPH0570122A
JPH0570122A JP13110391A JP13110391A JPH0570122A JP H0570122 A JPH0570122 A JP H0570122A JP 13110391 A JP13110391 A JP 13110391A JP 13110391 A JP13110391 A JP 13110391A JP H0570122 A JPH0570122 A JP H0570122A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 緻密な透明酸化アルミニウム薄膜の作製と薄
膜作製用溶液の長期安定化を目的とする 【構成】 【化1】 (式中、RはC1 からC4 のアルキル基である)で表わ
されるようなAl−O−Al結合を主鎖とし、OCOR
基を側鎖にもつ重合体からなる、透明酸化アルミニウム
前駆体ゲル状物を加熱して、有機溶媒に溶解することに
より、酸化アルミニウム薄膜作製用透明溶液を調製す
る。この溶液を成形物に塗布、乾燥の後、加熱処理する
ことにより、酸化アルミニウム薄膜を構成する。 【効果】 前駆体中の未反応アルコキシ基を著しく減少
させたゲル状物を使用することにより、薄膜作製用溶液
の水分に対する安定性が非常に高くなり、塗布行程での
厳密な雰囲気制御が不必要となった。さらに、前駆体中
の残留有機物の影響による、ピンホールやクラックなど
の発生をなくし、緻密な透明薄膜を作製することが可能
となった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、長期保存可能な透明酸
化アルミニウム前駆体ゲル状物から薄膜を作製する製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】酸化アルミニウム薄膜は、耐熱性、耐薬
品性、耐摩耗性保護膜として種々の用途に利用されてい
る。また、透明な薄膜は無反射膜、赤外線透過膜として
利用されている。酸化物セラミックス薄膜を製造する方
法としては、CVD法、プラズマ溶射法、高周波スパッ
タ法などがあるが、生産性が高い、低温プロセスであ
る、装置のコストが安い等の利点から、ディッピングや
スピンコーティングにより、金属アルコキシドを含む溶
液を成形物に塗布し、加熱を施して酸化物薄膜を形成さ
せる方法が最近よく利用されている。
【0003】しかし、この方法で透明酸化アルミニウム
薄膜を作製する場合に、原料として用いるアルミニウム
アルコキシドは加水分解が非常に速いため、水や湿分に
対する溶液の安定性が悪く、容易に加水分解されて、水
酸化アルミニウムを形成し、沈澱する。従って、溶液を
塗布する場合に、均一で透明な塗布層を得ることが困難
であった。そのために、塗布の際の湿気をきびしく制御
したり、アルコキシドのアルコキシ基の一部または全部
をキレート化剤、例えば、アセチルアセトン等で置換す
ることにより、加水分解を著しく抑制して、溶液を安定
化する方法が提案された。
【0004】しかし、この溶液を用いて形成した薄膜
は、加水分解−重縮合が十分に進んでいないため、未反
応アルコキシ基及びアルコキシ基と置換した基を多量に
含んでおり、成形物に塗布、加熱して酸化物薄膜を得る
場合、それらの基の分解のために発生するピンホールや
クラックにより、緻密な膜を形成できないという問題点
がある。
【0005】
【発明が解決しようとする問題点】解決しようとする問
題点は、アルミニウムアルコキシドから調製した薄膜作
製用酸化アルミニウム前駆体溶液の湿分に関する安定性
が悪く、しかも、成形物への溶液の塗布、焼成による酸
化物薄膜形成の際に、ピンホールやクラックの原因とな
る残留有機物が前駆体中に多量に存在しており、緻密な
透明酸化アルミニウム系薄膜が得られないという点であ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の問題点を解決する
ための手段として、本発明者が、先に発明した、A1−
O−A1結合を有する、透明な酸化アルミニウム系前駆
体ポリマーゲル状物を有機溶媒に溶解して、透明薄膜作
製用溶液とすることを主要な特徴とする。
【0007】透明酸化アルミニウム前駆体ポリマーゲル
状物は、未反応アルコキシ基がほとんどないために、大
気中の湿分に対して、長期にわたり、きわめて安定であ
る。この前駆体ポリマーを溶液状にすることができれ
ば、湿分に対して安定な溶液が得られ、かつ、その溶液
を塗布して得られる薄膜は、ピンホールやクラックの原
因となる残留有機物のほとんどないものとなると考えら
れる。しかし、この前駆体ゲル状物は、有機溶媒に対し
て、室温では溶解性が低い。そこで、本発明者は研究の
結果、このゲル状物が加熱することにより、溶液状にな
ることを見出し、有機溶媒中に前駆体ゲル状物を入れ、
加熱すると前駆体ゲル状物が完全に溶解し、透明な溶液
となることを発明した。また、この様にして調製した透
明溶液は室温まで冷却しても溶液状を保っており、ポリ
マーゲルが析出することはなかった。この発明により、
従来のアルミニウムアルコキシドの加水分解を抑制して
調製された溶液に比べて、湿分に対して非常に安定な透
明薄膜作製用溶液を調製するという目的を実現できた。
また、この溶液を成形物に塗布し、加熱することによ
り、今まで得られなかった残留有機物のほとんどない、
緻密な透明酸化アルミニウム薄膜を得るという目的も実
現できた。
【0008】
【実施例】以下に本発明の具体例を実施例として例示す
る。
【0009】
【実施例1】アルミニウムi−プロポキシドと酢酸及び
水(アルミニウムi−プロポキシド:酢酸:水=1:
1.5:0.5〔mol比〕)の反応により、調製した
透明酸化アルミニウム前駆体ゲル状物と酢酸及びi−ブ
チルアルコールを混合(前駆体ゲル状物:i−ブチルア
ルコール=1:2〔重量比〕)し、70℃に加熱するこ
とにより、前駆体ゲル状物は完全に溶解して、透明な溶
液を形成した。この溶液にガラス板を浸漬し、120mm
/minの速度で引き上げることにより、透明前駆体薄膜が
形成した。室温で1時間乾燥後、500℃で30分間焼
成したところ、透明なγ−酸化アルミニウム薄膜ガ得ら
れた。この引き上げ、乾燥、焼成という操作を3回繰り
返して作製した薄膜もまた透明でγ相単相であった。こ
の酸化アルミニウム薄膜は、電子顕微鏡観察の結果、ク
ラックやピンホールのない、緻密な膜であることが確認
された。膜厚は約200nmであった。図1にこの薄膜の
可視スペクトルを示す。なお、調製した、透明な薄膜作
製用溶液は、大気中においても、非常に安定で、6カ月
放置後も、粘度変化や沈澱生成といった変化は、まった
く見られなかった。
【0010】
【実施例2】実施例1において、有機溶媒として、i−
ブチルアルコールの代わりにトルエンを使用し、その他
は実施例1と同様の条件で、透明薄膜作製用溶液の調製
を行った。透明前駆体ポリマーゲル状物は完全に溶解し
て、透明な溶液を形成した。この溶液にガラス板を浸漬
し、60mm/minの速度で引き上げることにより、透明前
駆体薄膜が形成した。室温で1時間乾燥後、500℃で
30分間焼成したところ、透明なγ−酸化アルミニウム
薄膜が得られた。この、引き上げ、乾燥、焼成という操
作を5回繰り返して作製した薄膜もまた、透明であっ
た。この薄膜は、電子顕微鏡観察の結果、クラックやピ
ンホールのない、緻密な膜であることが確認された。な
お、調製した、透明な薄膜作製用溶液は、大気中におい
ても、非常に安定で、3 カ月放置後も、粘度変化や沈澱
生成といった変化は、まったく見られなかった。
【0011】
【実施例3】実施例1及び実施例2において、調製され
た透明溶液に、それぞれSiO2 ガラス基板を浸漬し、
120mm/min速度で引き上げることにより、透明前駆体
薄膜を形成させた。室温で1時間乾燥後、800℃で3
0分間焼成したところ、透明なα−酸化アルミニウム薄
膜が得られた。この、引き上げ、乾燥、焼成という操作
を3回繰り返して作製した薄膜もまた、透明であった。
この薄膜は、電子顕微鏡観察の結果、クラックやピンホ
ールのない、緻密な膜であることが確認された。
【0012】
【実施例4】実施例1において、調製された透明溶液を
用いて、ステンレス基板に750rpmで1分間、スピ
ンコートを施し、前駆体薄膜を得た。室温で1時間乾燥
後、500℃で30分間焼成したところ、γ−酸化アル
ミニウム薄膜が得られた。この薄膜は、電子顕微鏡観察
の結果、クラックやピンホールのない、緻密な膜である
ことが確認された。
【0013】
【発明の効果】透明酸化アルミニウム系前駆体ゲル状物
は、室温で有機溶媒での溶解性が低く、この前駆体ゲル
状物から薄膜作製用溶液を調製することは困難であった
が、実施例に述べたように、本発明により、加熱によっ
てゲル状物は容易に有機溶媒に溶解し、透明な薄膜作製
用前駆体溶液を調製することが可能になった。また、こ
の発明により、未反応アルコキシ基をほとんど含まな
い、前駆体ゲル状物を溶解して、薄膜作製用溶液として
使用できるようになったため、この溶液をディッピング
やスピンコートにより、成形物に塗布、焼成すること
で、従来のアルコキシド溶液からでは不可能だった、残
留有機物の少ない、緻密な透明酸化アルミニウム薄膜を
得ることが可能となった。さらに、本発明の前駆体ゲル
状物を溶解した透明溶液は、加水分解可能な未反応アル
コキシ基を有するアルコキシド分子を含んでいないた
め、従来の薄膜作製用のアルコキシド溶液とは異なり、
大気中の湿分の影響を受けることなく、安定に長期間の
保存ができるという利点もある。本発明の薄膜製造方法
は、透明で緻密な酸化アルミニウム薄膜が得られるた
め、酸化アルミニウム薄膜の光学材料としての用途を大
いにひろげるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】作製した酸化アルミニウム薄膜の可視スペクト
ルを示した図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 A1−O−A1結合を主鎖とし、側鎖に
    OCOR基(ここで、Rは炭素数1〜4の直鎖または分
    岐のあるアルキル基を示す)を有する重合体から成る透
    明酸化アルミニウム前駆体ゲル状物を、加熱して有機溶
    媒に溶解することによって、得られる透明溶液を、成形
    物に塗布、加熱することを特徴とする透明酸化アルミニ
    ウム薄膜製造方法。
  2. 【請求項2】 有機溶媒が炭素数1〜5のアルコール類
    及び炭素数6〜8までの直鎖または分岐または環式炭化
    水素である特許請求の範囲第1項記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07171813A (ja) * 1993-07-28 1995-07-11 Nec Corp セラミックグリーンシートの製造方法
JP2001316112A (ja) * 2000-03-16 2001-11-13 Symmetrics Corp 酸化アルミニウムのための液体前駆体およびその製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH07171813A (ja) * 1993-07-28 1995-07-11 Nec Corp セラミックグリーンシートの製造方法
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