JPH0569841A - 車両用パワーステアリング装置 - Google Patents

車両用パワーステアリング装置

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JPH0569841A
JPH0569841A JP23320091A JP23320091A JPH0569841A JP H0569841 A JPH0569841 A JP H0569841A JP 23320091 A JP23320091 A JP 23320091A JP 23320091 A JP23320091 A JP 23320091A JP H0569841 A JPH0569841 A JP H0569841A
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Mitsuhiko Harayoshi
光彦 原良
Yoichi Yamamoto
洋一 山本
Masayoshi Nishimori
政義 西森
Takeshi Takeo
剛 竹尾
Tadao Tanaka
忠夫 田中
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 この発明は、ハンドルの切り込み時毎に最適
なハンドル力を得ることを最も主要な特徴とする。 【構成】 ハンドルで操舵輪を操舵するステアリング機
構を設け、ステアリング機構に操舵を油圧によりアシス
トする油圧アシスト機構を設け、油圧アシスト機構にア
シスト力を可変するコントロール機構を設け、ハンドル
の切り込み毎、ハンドル角速度を検知するセンサを設
け、このセンサで検知されるハンドル角速度にしたがい
操舵状態に応じアシスト力を発生させる値を設定する設
定回路部を設け、ハンドルの切り込み毎にコントロール
機構を設定回路部の設定値にしたがい作動させる回路を
設けた。これにより、油圧アシスト機構をハンドル角速
度に対応したアシスト力に設定し、ハンドルをゆっくり
操作するときは大きなアシスト力、ハンドルをすばやく
操作するときは小さなアシスト力になるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば自動車の前輪
を操舵するのに用いられる車両用パワーステアリング装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車(車両)では、軽い操作で操舵を
するために油圧式のパワーステアリング装置を装備する
ことが行われている。
【0003】こうしたパワーステアリング装置では、ハ
ンドルからの操舵操作にしたがって前輪(操舵輪)を左
右に操舵するステアリング機構に、オイルポンプ,ロー
タリバルブ,パワーシリンダ装置,各部品をつなぐ流路
から構成される油圧のアシスト系(油圧アシスト機構)
を設けて、ハンドルの回転で変位するロータリバルブに
よって得られる油圧をパワーシリンダ装置へ供給して、
アシスト力を発生させることが行なわれている。しか
し、ロータリバルブの変位だけでは、適切にハンドル力
をコントロールできない。
【0004】そこで、従来のパワーステアリング装置で
は、アシスト系に反力を可変する反力機構とこの反力機
構を制御するコントロールバルブ(いづれもコントロー
ル手段)を設けてアシスト力を可変可能とし、これを、
自動車の車速を検知するセンサ,ハンドル角を検知する
センサを使い制御して、適切な操舵特性を得るようにし
ている。例えば据切り及び低速走行域の操舵時はアシス
ト力を適切に大きくしてハンドル力を軽く、中高速走行
域の操舵時は逆に適切に小さくしてハンドル力を重たく
するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、自動車の操
舵に際し、車速,ハンドル角の条件が同じでも、ハンド
ルをゆっくり操作するときや逆に素早く操作したりする
ことがある。
【0006】ハンドルをゆっくり操作するときは、ハン
ドルを操作する力が小さいときで、反対にハンドルを素
早く操作するときは、ハンドルを操作する力が大きいと
きである。ここで、操安性上、運転者にとっては、ハン
ドルをゆっくり操作するときは軽い方、ハンドルをすば
やく操作するときは重い方がよい。
【0007】ところが、上記のような自動車のパワース
テアリング装置によると、アシスト力は、ハンドルをゆ
っくり操作するときも、素早く操作するときも、車速,
ハンドル角で定められた値で決まる一定の力である。こ
のため、最適なハンドル力が得られないという不具合が
ある。
【0008】近時では、自動車の横Gを検知するセンサ
を設けて、アシスト力を可変することも行なわれている
が、例えば車速、横Gが小さいときで、ハンドル角が大
きいような場合などは、アシスト力を対応させることが
できないことがあり、常に最適なハンドル力が得られる
パワ−ステアリング装置が要望されている。
【0009】この発明は、このような事情に着目してな
されたもので、その目的とするところは、ハンドルの切
り込み時毎に最適なハンドル力が得られる車両用パワー
ステアリング装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
にこの発明の車両用パワーステアリング装置は、ハンド
ルの切り込み時毎におけるハンドル角速度を検知するセ
ンサを設け、このセンサで検知されるハンドル角速度に
したがって、操舵状態に応じたアシスト力を発生させる
値を設定する設定手段を設け、前記ハンドルの切り込み
時毎に前記コントロール手段を前記設定手段の設定値に
したがって作動させる手段を設けたことにある。
【0011】
【作用】この発明の車両用パワーステアリング装置によ
ると、操舵したハンドルの切り込み時毎に、そのハンド
ルのハンドル角速度がセンサにて検知される。この検知
結果にしたがって設定手段から操舵状態に応じたアシス
ト力を発生させる設定値が設定される。
【0012】そして、この設定値にしたがいコントロ−
ル手段が作動して、油圧アシスト機構をハンドル角速度
に対応したアシスト力に設定していく。具体的には、ハ
ンドルをゆっくり操作するときは大きなアシスト力(ハ
ンドル:軽)、ハンドルをすばやく操作するときは小さ
なアシスト力(ハンドル:重)となる。こうした制御が
ハンドルの切り込み時毎に行なわれる。したがって、ハ
ンドルの切り込み時毎に最適なハンドル力が得られ、操
舵フィーリングを向上させることができる。
【0013】
【実施例】以下、この発明を図1ないし図6に示す一実
施例にもとづいて説明する。
【0014】図2は自動車の左右前輪(操舵輪)を操舵
するパワ−ステアリング装置の構成を示し、2はステア
リング機構1を構成する例えばラック&ピニオン式のス
テアリングギヤである。
【0015】このステアリングギヤ2は、例えばケーシ
ング3にラック4,ピニオン5を内蔵した構造となって
いる。このラック4の一方の端部がステアリングロッド
6、タイロッド、ナックルを介して、自動車の一方の前
輪(いずれも図示しない)に連結されている。また他方
の端部は、ステアリングロッド6、パワーシリンダ装置
7、タイロッド、ナックル(いづれも図示せず)を介し
て、自動車の他方の前輪8(操舵輪)に連結されてい
る。
【0016】ステアリングギヤ2のピニオン5には、ト
ーションバー9の下端部が連結されている。このトーシ
ョンバー9の上端部は、ステアリングギヤ2の上部に設
けたバルブユニット10を貫通して、インプットシャフ
ト11およびステアリングシャフト12に連結されてい
る。またステアリングシャフト12の端部はハンドル1
3に連結されていて、ハンドル13から回転変位を入力
すると、ステアリングシャフト12、トーションバー
9、ピニオン5、ラック4、ステアリングロッド6を介
して、前輪8,8(一方しか図示せず)が舵角するよう
になっている。
【0017】バルブユニット10には、ケーシング3の
上部にトーションバー9を囲むようにハウジング14を
据付け、このハウジング14の内部に下側から反力機構
15(コントロール手段)、ロータリバルブ16を設け
た構造が用いられている。
【0018】ロータリバルブ16は、周知のようにハウ
ジング14の内面に筒状のアウターバルブ17を設け、
インプットシャフト11にアウターバルブ17と組み合
う筒状のインナーバルブ18を設けてなる。つまり、ロ
ータリバルブ16は、ハンドル13からのハンドル力に
よって、トーションッバー9が捩じれると、アウターバ
ルブ17とインナーバルブ18との間で相対的な変位が
発生する構成となる。
【0019】このアウターバルブ17に形成されている
流入ポート17aがハウジング3に設けた流入口体19
に連通し、インナーバルブ18に形成されている流出ポ
ート18aがハウジング3に設けた流出口体20に連通
している。またアウターバルブ17に形成されている出
力ポートは、ハウジング3に設けた一対の出力ポート部
21,22に連通している。この出力ポート部21,2
2が上記パワーシリンダ装置7に接続されている。
【0020】すなわち、パワーシリンダ装置7は、シリ
ンダ23を貫通するようにピストンロッド24を摺動自
在に設け、このピストンロッド24の一部にシリンダ2
3を長手方向両側(左右)に仕切るようにピストン25
を設けて構成される。このピストン25で仕切られた左
右の室25a,25bと連通する一対の入力ポート2
6,27が、流路28,29を介して上記出力ポート部
21,22に接続してある。
【0021】そして、流入口体19と流出口体20との
間に、自動車のエンジン(図示しない)で駆動されるリ
リーフバルブ付のオイルポンプ40、オイルリザーバ4
2が流路43を介して接続されている。この油圧回路に
より、ロータリバルブ16のアウターバルブ17とイン
ナバルブ18とにおける相対的な変位にしたがい、ロー
タリバルブ16からハンドル力および操舵方向に応じた
油圧をパワーシリンダ装置7の室25a,25bに供給
できるようにしている。つまり、ハンドル力を油圧でア
シストしながら、前輪8、8を操舵できるようにしてあ
る。なお、オイルポンプ40にはポンプ回転数に応じて
ロータリバルブ16への吐出流量が変化する特性のポン
プを用いている。
【0022】また反力機構15は、インナーバルブ17
の下端部、すなわちインプットシャフト11の下端部を
下方へ延長してなる被押付部分30を有している。この
被押付部分30の外周面には、図3に示されるように4
つの凹部31が等間隔で形成されている。また被押付部
分30の周囲のハウジング14内の部分には、各凹部3
1の位置と対向する部位にそれぞれ反力プランジャ32
を移動自在に内装したホルダ33が設けられている。各
反力プランジャ32の先端部には凹部31と係合する凸
部34が設けられている。また各反力プランジャ32の
後方にはチャンバ35が形成されている。各チャンバ3
5は、ハウジング14に設けた流入口39に環状の流路
36を介して連通していて、同流入口39からの油圧の
供給により、各反力プランジャ32で被押付部分30を
挟み付けるごとく押し付けるようにしている。つまり、
各チャンバ35の油圧が高くなるにしたがい、インプッ
トシャフト11を強く押付ける構成となっている。これ
にて、ハンドル13に手応え感(反力)を発生させるよ
うにしてある。なお、37はホルダ33に設けた、上記
流路36と流出口体20とをインナーバルブ18の内部
の空間を介して連通するためのリターン路、38は同リ
ターン路37に設けたオリフィスである。
【0023】一方、図2に示されるように上記オイルポ
ンプ40とオイルリザーバ42との間には、反力機構1
5の供給圧を制御するプレッシャコントールバルブ41
(コントロール手段:以下、PCV41と称す)が設け
られている。PCV41は、バルブハウジング45の内
部に形成した筒状のシリンダ空間46にスプール弁体4
7を摺動自在に設けて構成される。このスプール弁体4
7の下端部は、バルブハウジング45の下部に据付けた
ソレノイド48のプランジャ49に連結されていて、ソ
レノイド48の励磁制御にしたがい、スプール弁体47
の全体を上方向に変位できる構造してある。なお、スプ
ール弁体47はシリンダ空間46の上端部に設けたスプ
リング50により戻る。
【0024】スプール弁体47の上段側の外周面と下段
側の外周面とには、帯状の環状溝51,52が形成され
ている。またスプール弁体47の内部には、環状溝51
と環状溝52とを連通するための斜めに貫通する貫通路
53が形成されている。そして、環状溝51とその周辺
の外周面部分にて、バルブハウジング45に設けた流入
ポート54との連通状態を可変できるようにしてある。
この流入ポート54が、オイルポンプ40につながる流
路43に連通している。また環状溝52は、バルブハウ
ジング45に設けた出力ポート55と常に連通するよう
にしてある。この出力ポート55が、上記反力機構15
の流入口39に流路56を介して接続されている。
【0025】環状溝51と流入口39との設定は、プラ
ンジャ49の軸力が最も大きいとき(プランジャ49が
最も上方へ突き出た状態;例えばMaxの電流値1.0
A)、流入口39を遮断(閉)する状態に定め、プラン
ジャ49の軸力が小さく(電流値が小)になるにしたが
って(プランジャ49が下がる)、連通するとともに、
そのときの連通面積を増大するようにしてある。これに
より、ソレノイド48の励磁にしたがって、ハンドル1
3に手応え感(反力)を発生させるようにしてある(ア
シスト力:小)。なお、スプール弁体47の内部にはド
レーンのための同軸心部分を貫通するドレーン路57が
形成されていて、このドレーン路57がバルブハウジン
グ45に設けた流出ポート58を介して、オイルリザー
バ42につながる流路43に連通している。このように
して構成される油圧回路によって、前輪8,8の操舵を
アシストするアシスト系44(アシスト機構)をコント
ロール系と共に構成している。
【0026】またソレノイド48には、マイクロコンピ
ュータおよびその周辺回路から構成されるコントロール
ユニット60が設けられている。さらにこのコントロー
ルユニット60には、自動車の車速を検知する車速セン
サ61、ハンドル13の操舵角を検知するハンドル角セ
ンサ62、ハンドル13の操舵角速度を検知するハンド
ル角速度センサ63、手応えをノーマルモードとスポー
ツモードとに切換えるモード切換スイッチ64が設けら
れ、反力プランジャ49に作用する油圧を制御する制御
系を構成している。
【0027】そして、この制御系の回路を用いて、切り
込み時と戻し時のハンドル力の差を小さくさせるととも
に、ハンドル力を切り込み毎にハンドル角速度に応じて
変えている。このコントロールユニット60には、つぎ
のような機能を有している。
【0028】すなわち、コントロールユニット60に
は、図4に示されるような車速に応じた基準電流Aをモ
ード別(ノーマル,スポーツ)に分けた車速マップ、図
5に示されるようなハンドル角速度に応じた操舵状態の
係数(ソレノイド48の制御電流値を求めるために必要
な値)を求めるための実線で示す操舵速度マップが設定
されている。
【0029】このコントロールユニット60は、ハンド
ル角センサ62,ハンドル角速度センサ63の出力から
操舵か中立状態かを判断する機能、「ハンドル角とハン
ドル角速度とを掛けた値」の正負から切り込み時か戻し
時かを判断する機能、モード切換スイッチ64のオンオ
フからノーマルモードかスポーツモードかを判断する機
能を有する。
【0030】またコントロールユニット60は、図4の
マップから車速に応じた基準電流Aを読取り、図5に示
すマップから切り込み時、戻し時のハンドル角速度と対
応する係数Kθを読み取り、これら基準電流A、係数K
θを用い、所定の数式「A×KθM(メモリした係数K
θ)×KM」にしたがい、車速および操舵状態に応じた
適切なアシスト力を得る制御電流を算出する機能を有し
ている。
【0031】ここで、上記数式には、予め切り込み時と
戻し時とで異なる係数KMが与えられている。具体的に
は、コントロールユニット60を構成するマイクロコン
ピュータには、切り込み時の制御電流の算出に用いる切
り込み係数として「1.0」が設定され、戻し時の制御
電流の算出に用いる戻し係数として例えば20%小さく
した「0.8」が設定されていて、これら設定値の差異
から戻し時は、切り込み時よりも小さいアシスト力を小
さくしている。
【0032】またコントロールユニット60には、切り
込み時のハンドル角速度のピークの値をハンドル角速度
センサ63から検出し、この検出値から読み取られる係
数Kθにしたがって、制御(駆動)電流を算出する機能
を有している。これにて、切り込み毎、ハンドル力をハ
ンドル角速度に応じて変化させるようにしている。図1
のフローチャートは、こうしたコントロールユニット6
0内での制御動作を示している。つぎに、このコントロ
ールユニット60内の制御動作をフローチャートにした
がって説明する。
【0033】コントロールユニット60は、自動車のイ
グニッションキースイッチのオン信号により起動する。
すると、まずステップS1においてイニシャルセットが
なされ、ハンドル13が切り込まれたことを示す切り込
みフラグFLFが「0」、ハンドル13が戻ったことを
示す戻しフラグFLRが「0」、メモリKθ値KθMが
「1.0」、切り込み/戻しの係数KMが「1.0」、
カウンタCNTが「0」、切り込みから戻しに変ったこ
とを示すチェンジフラグCHFが「1」に設定される。
【0034】その後、ステップS2ないしS4におい
て、車速センサ61から検出される車速V、ハンドル角
センサ63から検出されるハンドル13のハンドル角θ
H、ハンドル角速度センサ63から検出されるハンドル
13のハンドル角速度θhが読み込まれる。
【0035】ステップS5に進むと、ハンドル角θHが
「5deg」より大きいか否か判別される。さらにステ
ップS6において、ハンドル角速度θhが「30deg
/s」より大きいか否かが判別される。これらによっ
て、現在の自動車の直進走行状態(操舵中立付近)なの
か操舵した状態なのかが判別される。
【0036】すなわち、図6の左側部分の領域αで示す
ように自動車が直進走行状態にあるときは、操舵状態が
中立付近(絶対値θH>5deg,絶対値θh>30d
eg/s)と判別される。
【0037】直進走行状態であるとすると、ステップS
7およびステップS8を経てステップS9に進み、モー
ド切換スイッチ64のオンオフから現在の自動車の操舵
モードが、通常走行に適した「ノーマルモード」なのか
スポーツ走行に適した「スポーツモード」なのかが判別
される。
【0038】このときに「ノーマルモード」と判別され
ると、ステップS10に進む。このステップS10にお
いて、図4の「車速ー制御電流」のマップで示されるノ
ーマルモードの線図から、現在の自動車の車速に対応し
た制御電流値Aを読み取る。これにより、基準となる駆
動電流が求められる。ステップS11において、演算式
「A×KθM×KM」にしたがって、補正した制御電流
値Aが求められる。
【0039】ついで、ステップS12において、求めた
制御電流値Aの電流をソレノイド48に供給する。具体
的には、小さい車速の場合、ソレノイド48にはプラン
ジャ49の軸力が最も大きい、1.0A(Max)の駆
動電流が供給される。これにより、ソレノイド48のプ
ランジャ49は最も上方へ突き出て、流入口54を遮断
する位置にPCV41のスプール弁体47を保持させ
る。つまり、反力機構15の各チャンバー35には、オ
イルポンプ40の吐出圧は作用しない。この結果、反力
プランジャ32をインプットシャフト11の被押付部分
30に押付ける力はなく、操舵の中立時はこの状態が継
続する。
【0040】大きな車速の場合では、1.0A以下の駆
動電流が供給され、電流差分、プラジャン49は下降し
た位置で保持され、流入口54を開き、現在のオイルポ
ンプ40の吐出圧が反力機構15の各チャンバー35に
供給される。
【0041】つまり、車速が大きい場合、オイルポンプ
40の吐出圧により、インプットシャフト11の被押付
部分30を反力プランジャ32で押付けて、ハンドル1
3を適度な重さにする。
【0042】またステップS9において、「スポーツモ
ード」と判別されると、ステップ13に進み、図4の
「車速−制御電流」のマップで示されるスポーツモード
の線図から、現在の自動車の車速に対応した制御電流値
Aを読み取る。
【0043】この制御電流値Aを基準として、ステップ
S11およびステップS12のときと同様、補正した制
御電流値Aを求めて、反力機構15の反力プランジャ3
2を制御する。このようなステップの繰り返しにより、
あらゆる条件下における直進走行状態のハンドル力を適
切に制御していく。つぎに、こうした直進走行状態か
ら、ハンドル13を例えば左側へ切り込み自動車が旋回
状態になるとする。
【0044】すると、ステップS5のハンドル角が5e
gより大きいか否かの判別、ステップS6のハンドル角
速度が30deg/sより大きいか否かの判別の少なく
とも一方の判別によって、ハンドル13を切ったと判別
され、各ステップS5,S6からステップS14に進
み、「θH×θh」が「0」より大きいか否か、すなわ
ち現在の操舵状態が切り込みなのか戻しなのかが判別さ
れる。ここで、ハンドル13が図6の領域βのように切
り込んでいるとすると、ステップS14は上記演算によ
って「0」より大きな値(正)となる。
【0045】つまり、ステップS20に進み、このステ
ップS20において、この切り込みの前に戻しがあった
か否かの判別がなされる。すなわち、これは戻しフラグ
FLRが「1」にセットされているか否かで判別され
る。
【0046】最初の切り込みは、それの前に戻しはな
い、すなわち戻しフラグFLRは「0」にリセットされ
ているので、ステップS21〜S23に進み、チェンジ
フラグCHFを「0」にリセット、切り込みフラグFL
Fを「1」にセット、切り込み係数KMを「1.0」に
設定する。すると、図5の「操舵速度マップ」の実線で
示す線図がそのまま切り込み側の線図として設定され
る。これにより、切り込み前に戻しが行なわれていない
ときの、切り込みの設定がなされる。
【0047】続いて、ステップS24において、図5の
「操舵速度のマップ」で示される実線で示す切り込み側
のマップから、読み込んだハンドル角速度θhの絶対値
に対応した係数Kθを読み取る。これにより、ハンドル
角速度θhの操舵状態に応じた係数Kθが求まる。つぎ
に、ステップS25においてチェンジフラグCHFが
「1」か否かが判別される。ここで、この切り込みは、
戻した後の切り込みでない。すなわちステップS21に
おいてチェンジフラグCHFは「0」にセットされてい
る。
【0048】よって、ステップS26に進む。このステ
ップS26において、操舵速度のマップから読み取った
係数Kθが、メモリされている係数値KθM(係数KM
の最大値)より小さいか同じかを判別する。
【0049】ここで、ハンドル角速度は、図6にも示さ
れるように切り込みの最初は小さく、次第に大きくなっ
てピークに達する挙動を示す。この挙動において、「3
0deg/s以上」は「Kθ≦KθM」が成立する。す
ると、ステップS27に進み、KθMをステップ24で
読み取ったKθに更新(ピークホールド)した後、ステ
ップS9へ進む。ステップS9〜ステップS13におい
て、先に述べた処理が行なわれる。
【0050】すなわち、「ノーマル」あるいは「スポー
ツ」のモードのマップから、現在の車速に応じた制御電
流値Aを読取り、演算式「A×KθM×KM」にしたが
い補正した制御電流値Aを算出して、ソレノイド48を
駆動する。
【0051】ここで、図5に示すように実線(切り込み
側)の線図で設定されるKθは、ハンドル角速度θhが
小さい領域において値が大きく、ハンドル角速度θhが
大きい領域において小さく、中間の領域においては変動
する中間値であり、この領域からKθMより小さな値が
読み取られており、算出される制御電流Aは上記直進走
行状態のときよりも、少ない制御電流Aとなる。
【0052】このことは、電流差分、プランジャ49は
下降した位置で保持され、このプランジャ49の下降に
したがって開く流入口54を通じて、現在のオイルポン
プ40の吐出圧が各チャンバー35に供給される。
【0053】つまり、インプットシャフト11の被押付
部分30は反力プランジャ32で押付けられ、操舵中に
おけるハンドル力をハンドル角速度で判断した運転状況
に応じて適度な重さ(=適切なアシスト力)にする。こ
のようなステップの繰り返しにより、図6のβ領域のハ
ンドル13を切っている時間の間、その時間の経過と共
に刻々とハンドル力を適切に制御する。
【0054】また、図6の領域γのように切り込みを終
え、直ちにその切り込んだハンドル13を戻すと、ステ
ップS5,S6からステップS14に進むが、このステ
ップS14で算出される値は「0」より小さい値(負)
となる。
【0055】つまり、戻し側と判別され、ステップS3
0に進む。このステップS30において、この戻しの前
に切り込みがあったか否かの判別がなされる。すなわ
ち、これは切り込みフラグFLFが「1」にセットされ
ているか否かで判別される。ここで、先の切り込みの
際、上記ステップS22において、切り込みフラグFL
Fが「1」にセットされているから、この戻しは切り込
み後の戻しである。
【0056】よって、ステップS61、ステップS62
に進み、切り込みフラグFLFを「0」にリセットし、
チェンジフラグCHFを「1」にセットする。これによ
り、切り込み後の戻しをリセットする。
【0057】ついで、ステップS34に進み、戻しフラ
グFLRを「1」にした後、ステップS35に進み、戻
し係数KMを「0.8」に設定する。これにより、「操
舵速度のマップ」は、図5の破線で示す、先に述べた実
線の切り込み側より20%低い線図として設定される。
【0058】そして、ステップS24において、この破
線で示す「操舵速度のマップ」の戻し側の線図から、ハ
ンドル角速度θhの絶対値に対応した係数Kθを読み取
り、ステップS25においてチェンジフラグCHFが
「1」か否かが判別される。
【0059】このとき、ステップS62においてチェン
ジフラグCHFは「1」にセットされているから、ステ
ップS50に進み、チェンジフラグCHFが1回として
カウントされる。ついで、ステップS51において、カ
ウントが「2」か否かが判別される。ここのカウント
は、切り込み、戻し、切り込みを繰り返す操舵周期を判
別する。カウンタのカウントは「1回」であるから、ス
テップS26へと進む。
【0060】ステップS26において、先の切り込みの
ときと同じく、操舵速度のマップから読み取った係数K
θが、メモリされている係数値KθM(係数KMの最大
値)より小さいか同じかを判別する。
【0061】ここで、ハンドル角速度は、図6にも示さ
れるように戻しの最初は小さく、次第に大きくなってピ
ークに達する挙動を示す。この挙動において、「30d
eg/s以上」は「Kθ≦KθM」が成立する。つま
り、ステップS27に進み、KθMをステップ24で読
み取ったKθに更新(ピークホールド)した後、ステッ
プS9へ進む。ついで、ステップS9〜ステップS13
に進み、先に述べた処理が行なわれる。
【0062】すなわち、「ノーマル」あるいは「スポー
ツ」のモードのマップから、現在の車速に応じた制御電
流値Aを読取り、演算式「A×KθM×KM」にしたが
い補正した制御電流値Aを算出して、ソレノイド48を
駆動する。
【0063】ここで、図5に示すように戻り側の破線の
線図で設定されるKθは、ハンドル角速度θhが小さい
領域において値が大きく、ハンドル角速度θhが大きい
領域において小さく、中間の領域においては変動する中
間値で、かつ切り込みのときより20%小さな値なの
で、ステップS11で算出される制御電流Aは、こうし
た値によって、先の切り込み時のときに算出した制御電
流Aよりも、「20%」少ない制御電流Aが算出され
る。
【0064】すると、プランジャ49は、切り込み時の
ときの位置よりも下降した位置で保持され、このプラン
ジャ49の下降にしたがって開く流入口54を通じて、
現在のオイルポンプ40の吐出圧が各チャンバー35に
供給される。これにより、インプットシャフト11の被
押付部分30は、切り込み時のよりも強く反力プランジ
ャ32で押付けられる。ここで、この当初のハンドル1
3の戻しの処理に続いて、戻し動作が継続されると、上
記ステップS30における判別がかわる。
【0065】すなわち、上記ステップS61において切
り込みフラグFLFが「0」にリセットされているの
で、切り込み後に行なわれるハンドル13の戻し動作以
後の戻しについては、ステップS30により、現在の戻
しはその前に切り込みが行なわれていないものであると
判別される。そして、ステップS33に進んで、チェン
ジフラグCHFが「0」にリセットされる。これによっ
て、この戻しは切り込みから代わったものではないもの
であると設定される。
【0066】ついで、上記した当初の戻し(切り込みの
後の戻し)と同じく、ステップS34において戻しフラ
グが「1」にセット、ステップS35において戻し係数
KMを「0.8」に設定、ステップS24において「操
舵速度のマップ」の破線で示される戻し側の線図からハ
ンドル角速度θhの絶対値に対応した係数Kθを読み取
った後、ステップS25に進む。ステップS25におい
ては、チェンジフラグCHFが「1」か否かが判別され
る。
【0067】ここで、上記ステップS33においてチェ
ンジフラグCHFが「0」にリセットされているから、
ステップS26に進み、それ以降、上記当初の戻し(切
り込み後の戻し)のときと同じ処理が繰り返される。こ
のようなステップの繰り返しにより、図6のγ領域のハ
ンドル13を戻している時間の間、その時間の経過と共
に刻々とハンドル力を適切に制御する。一方、戻しを終
えたハンドル13を、続いて右側に切り込み、旋回状態
にすると、ステップS14からステップS20に進む。
【0068】この場合、戻しの後の切り込みを示すフラ
グがセット、すなわち上記ステップS34において戻し
フラグFLRが「1」にセットされているから、ステッ
プS20の判別により、ステップS40〜S41に進
み、戻しフラグFLRが「0」にリセット、チェンジフ
ラグCHFが「1」にセットされる。これにより、戻し
後の切り込みをリセットする。つぎに、ステップS2
2,ステップS23へと進み、切り込みフラグFLFが
「1」にセットされ、切り込み係数KMが「1.0」に
設定される。
【0069】続いて、ステップS24において、図5の
「操舵速度のマップ」の実線で示される切り込み側の線
図から、ハンドル角速度θhの絶対値に対応した係数K
θを読み取る。これにより、現在のハンドル角速度θh
の操舵状態に応じた係数Kθが求まる。つぎに、ステッ
プS25においてチェンジフラグCHFが「1」か否か
が判別される。
【0070】この場合、上記ステップS41においてチ
ェンジフラグCHFが「1」にセットされているから、
ステップS50に進み、チェンジフラグCHFがカウン
トされる。ステップS51において、カウントが「2」
か否かが判別される。
【0071】ここで、ステップS50は戻し時と切り込
み時との双方のチェンジフラグCHFをそれぞれカウン
トしたので、回数は「2」となる。ここでのカウント
「2」は、切り込み、戻し、切り込みを一つの操舵とし
た操舵一周期を示す。これにより、ステップS53に進
み、このステップS53においてカウンタが「0」にリ
セットされた後、ステップS27に進む。このステップ
S27において、KθMをステップ24で読み取ったK
θに更新した後、ステップS9〜S13へ進む。
【0072】ここでは、Kθが、どのような大きな値、
すなわちKθMより大きな値でも、更新するようにし
て、以後の基準となるKθM値を設定する(操舵一周期
毎にKθMのキャンセル)。ステップS9以降は、先の
切り込み時と同じく、走行状況に応じた制御電流Aが算
出されて、ソレノイド48が駆動される。このハンドル
13の当初の切り込みに続いて、切り込み動作が継続さ
れると、上記ステップS20における判別がかわる。
【0073】すなわち、上記ステップS40において戻
しフラグFLRが「0」にリセットされているので、当
初のハンドル13の切り込み動作以降の切り込みについ
ては、ステップS20において現在の切り込みはその前
に戻りが行なわれていないものであると判別する。すな
わち、ステップS21に進んで、チェンジフラグCHF
が「0」にリセットされる。これによって、この切り込
みは戻しから代わったものではないと設定される。
【0074】ついで、上記当初の切り込み(戻しの後の
切り込み)と同じく、ステップS22において切り込み
フラグが「1」にセット、ステップS23において切り
込み係数KMが「1.0」に設定され、ステップS24
において「操舵速度のマップ」の実線で示される切り込
み側の線図からハンドル角速度θHの絶対値に対応した
係数Kθを読み取った後、ステップS25に進む。
【0075】ここで、ステップS21においてチェンジ
フラグCHFが「0」にリセットされているから、ステ
ップS26に進み、それ以降は上記当初の切り込み(戻
しの後の切り込み)と同じ処理が繰り返される。このよ
うなステップの繰り返しにより、ハンドル13を切って
いる時間の間、その時間の経過と共に刻々とハンドル力
を適切に制御する。
【0076】また、この切り込んだハンドル13を戻す
と、先に述べた戻しの処理が行なわれ、ハンドル13を
戻している時間の間、その時間の経過と共に刻々とハン
ドル力を適切に制御する。
【0077】以上述べたような切り込み時毎にハンドル
力をハンドル角速度に応じて変える制御によると、例え
ば車速、さらには横G(自動車)が大きいときに、ゆっ
くりハンドルを操作するときでも、車速、さらには横G
(自動車)が小さくて、素早くハンドルを操作するとき
でも、その操舵状態に対応したハンドル力を得ることが
できる。具体的には、前者のようなときはハンドル力は
軽く(アシスト力:大)なり、後者のようなときはハン
ドル力は重く(アシスト力:小)なる。それ故、ハンド
ル13の切り込み時毎に最適なハンドル力を得ることが
でき、操舵フィーリングを向上させることができること
となる。
【0078】
【発明の効果】以上説明したようにこの発明によれば、
ハンドルをゆっくり操作するときは大きなアシスト力
(ハンドル:軽)、ハンドルをすばやく操作するときは
小さなアシスト力(ハンドル:重)にすることができ
る。したがって、ハンドルの切り込み時毎に最適なハン
ドル力が得られ、操舵フィーリングを向上させることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例のパワーステアリング装置
の操舵制御を示すフローチャート。
【図2】この発明の一実施例のパワーステアリング装置
の構成を示す図。
【図3】図2中、A−A線に沿う反力機構の断面図。
【図4】車速とソレノイドの基準制御電流との線図。
【図5】ハンドル角速度と操舵状況に応じた係数との線
図。
【図6】直進走行状態からスラローム走行状態のときの
ハンドル角の変化と、そのハンドル角にしたがって変化
するハンドル角速度,Kθ値,ソレノイドの駆動電流を
示す線図。
【符号の説明】
1…ステアリング機構、2…ステアリングギヤ、7…パ
ワーシリンダ装置、8…前輪(操舵輪)、9…トーショ
ンバー、10…バルブユニット、11…インプットシャ
フト、13…ハンドル、15…反力機構(コントロール
手段)、16…ロータリバルブ、30…被押付部分、3
2…反力プランジャ、40…オイルポンプ、41…プレ
ッシャコントロールバルブ(コントロール手段)、42
…オイルリザーバ、44…アシスト系(油圧アシスト機
構)、47…スプール弁体、48…ソレノイド、49…
プランジャ、60…コントロールユニット、61…車速
センサ、62…ハンドル角速度センサ、63…ハンドル
角センサ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹尾 剛 東京都港区芝五丁目33番8号 三菱自動車 工業株式会社内 (72)発明者 田中 忠夫 東京都港区芝五丁目33番8号 三菱自動車 工業株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハンドルからの操舵操作にしたがって操
    舵輪を操舵するステアリング機構と、 このステアリング機構に設けられ前記操舵輪の操舵を油
    圧によりアシストするための油圧アシスト機構と、 この油圧アシスト機構に設けられこの油圧アシスト機構
    で発生するアシスト力を可変するためのコントロール手
    段と、 前記ハンドルの切り込み時毎におけるハンドル角速度を
    検知するセンサと、 このセンサで検知されるハンドル角速度にしたがって、
    操舵状態に応じたアシスト力を発生させる値を設定する
    設定手段と、 前記ハンドルの切り込み時毎に前記コントロ−ル手段を
    前記設定手段の設定値にしたがって作動させる手段とを
    具備したことを特徴とする車両用パワーステアリング装
    置。
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