JPH0569164U - 硬質カーボン膜被覆織機部品 - Google Patents
硬質カーボン膜被覆織機部品Info
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- JPH0569164U JPH0569164U JP1734392U JP1734392U JPH0569164U JP H0569164 U JPH0569164 U JP H0569164U JP 1734392 U JP1734392 U JP 1734392U JP 1734392 U JP1734392 U JP 1734392U JP H0569164 U JPH0569164 U JP H0569164U
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- carbon film
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Abstract
(57)【要約】
【目的】多種類の繊維に対して、耐久性が飛躍的に改良
された織機部品を提供すること。 【構成】織機部品の少なくとも一部に、膜中に10〜5
0at.%の水素を含む硬質カ−ボン膜を被覆。 【効果】繊維との摺動による毛羽立ち、糸切れが抑えら
れ、耐久性が飛躍的に向上する。
された織機部品を提供すること。 【構成】織機部品の少なくとも一部に、膜中に10〜5
0at.%の水素を含む硬質カ−ボン膜を被覆。 【効果】繊維との摺動による毛羽立ち、糸切れが抑えら
れ、耐久性が飛躍的に向上する。
Description
【0001】
本考案は、繊維との摺動により摩耗劣化を生じる織機部品に関し、さらに詳し くは耐摩耗性を向上させるために硬質カ−ボン膜を被覆した織機部品に関する。
【0002】
織機部品の代表例として「おさ」の場合について説明する。おさとは、織物の 縦糸を揃え、横糸を押しつけて織り目を整えるものであり、金属薄板で作られた おさ羽の多数枚を微小な間隔で平行に重ね、左右両側端の親羽と上下の縁金とか らなる枠体で固定したものである。高速織機においてはステンレス鋼製のおさ羽 が一般に用いられているが、織機の運転の高速化、新素材繊維の出現などのため に消耗が激しく、おさ羽の耐摩耗性が大きな問題となっている。
【0003】 すなわち、おさ羽の摩耗は織布の毛羽立ち、糸切れの原因となり、おさの交換 には多大な労力と費用を要することから、おさ羽の耐久性が織機の作業効率とコ ストを決定する最大の要因となっている。織布においては、縦糸の配列幅よりも 織布の幅が縮小する「織り縮み」という現象があるので、おさの両側端部の近傍 に配置されているおさ羽には特に強い摩擦力が作用し、この部分の耐久性がおさ 全体の寿命を決定する。
【0004】 この対策として、特におさの両側端部近傍のおさ羽の表面に、硬質クロムメッ キ膜、炭化タングステン、炭化チタン、窒化チタンなどのセラミック膜(特開昭 60−52658号)、酸化クロム膜(特開昭61−245346号、US48 22662号)などの耐摩耗性に優れた硬質膜を被覆することが提案されている 。
【0005】 硬質クロム膜は電気メッキにより被覆されるが、耐摩耗性が十分でなく、密着 性、耐食性にも難点がある。セラミック膜はPVD(物理蒸着)、CVD(化学 蒸着)、溶射法などにより被覆されるが、密着性、高温処理に伴う基材の軟化な どに問題がある。酸化クロム膜は熱化学的方法により被覆されており、ポリエス テル繊維に対しては効果が認められているが、天然繊維、新素材繊維に対しては それほど効果が認められない。
【0006】 このような状況はおさ以外の織機部品についても同様であり、有効な対応が望 まれている。
【0007】
しかしながら、おさ羽の摩耗は繊維の種類、摩擦圧力、おさの振動特性などが 複雑に関係する現象であり、表面硬度の高い硬質膜が必ずしも好結果を与えると は限らないことが知られている。実際に、窒化チタンなどの硬質膜を繊維と摺動 する部分に被覆しても、毛羽立ち、糸切れに対してはほとんど効果のないことが 実証されている。このため、次善の策として、表面硬度を若干犠牲にしても繊維 の種類、織機の運転速度その他の条件に適合した硬質膜が採用されているが、未 処理のステンレス鋼基材と比較して2倍程度の耐久性の向上が認められているに 過ぎず、まだまだ不十分である。
【0008】 本考案の目的は、天然繊維から合成繊維、新素材繊維に至る多種類の繊維に適 合し、耐久性が飛躍的に改良された織機部品を提供することにある。
【0009】
上記目的を達成するために、本考案においては織機部品の中で最も耐摩耗性を 要求される部分に、膜中に10〜50at.%の水素を含む硬質カ−ボン膜を被 覆するようにした。ここで言う硬質カ−ボン膜とは、1970年代後半から英国 で研究され始めたi−カ−ボンと俗称される超硬質炭素膜であり、炭素原子の結 合状態に長周期の結晶性が見られず、アモルファスシリコンと類似の結合状態を 有するものと考えられている。通常、膜中に水素を含有し、この程度によりダイ ヤモンド的性質とグラファイト的性質が混在している。
【0010】
硬質カ−ボン膜を形成する方法の1例としては、炭化水素ガス雰囲気中でのプ ラズマCVD処理が挙げられる。処理真空度、ガス圧、バイアス電圧などを制御 することにより、膜中に水素を含んだ硬質カ−ボン膜の得られることが、例えば 下記の文献に紹介されている。(A Revew of Recent Wor k On Hard i−C Films;L.P.Anderson;Thi n Solid Films、86(1981)193−200) これ以外に もスパッタリング法、イオンビ−ム法、イオンプレ−ティング法など種々の方法 で形成可能である。
【0011】 硬質カ−ボン膜の物性は、形成方法、形成条件により大きく変化し、膜中の水 素含有量および結合状態が異なることにより、ダイヤモンド的性質を示すSP3 成分とグラファイト的性質を示すSP2 成分の比が変化し、ポリマ−的性質から 超硬質膜的性質まで幅広く変化する。また、これに伴って熱伝導特性、摩擦特性 、振動特性などの諸特性およびモルフォロジ−も変化する。おさ羽に代表される 織機部品と繊維との摺動における摩耗機構についてはいまだ不明な点が多いが、 上記のような多岐にわたる特性が複雑に絡んでいるものと思われる。事実、硬質 カ−ボン膜なら何でも効果が現れる訳ではなく、膜中に10〜50at.%の水 素を含む硬質カ−ボン膜を被覆することにより、顕著な耐摩耗性を示すようにな る。
【0012】
以下に本考案の実施例を‘おさ羽’を例に取って図面を用いて説明する。おさ 羽には図2および図3に示すように、平おさ羽10Aと異形おさ羽10Bがあり 、ウォ−タ−ジェット織機、エア−ジェット織機に用いられている。いずれのお さ羽においても、図2および図3において斜線を施した部分、すなわちおさ羽の 中央部が最も過激な摩擦を受ける最大摩耗部12Aおよび12Bであり、本考案 のおさ羽においては少なくともこの部分を含むおさ羽の一部が硬質カ−ボン膜に よって被覆されている。
【0013】 おさ羽の基材としては一般にステンレス鋼が用いられるが、ステンレス鋼の表 面に直接硬質カ−ボン膜を被覆した場合には密着性が不十分であるため、中間層 を介在させた。今回は中間層として、クロム(Cr)を下層としチタニウム(T i)を上層とする積層膜を採用した。図1は図3に示したおさ羽10Bの最大摩 耗部12Bの要部断面図である。ステンレス鋼から成る基材14の表面に中間層 16としてクロム/チタニウムの積層膜が被覆されており、さらにその表面に硬 質カ−ボン膜18が被覆されている。中間層はイオンプレ−ティング法もしくは スパッタリング法により形成した。また、硬質カ−ボン膜はプラズマCVD法お よびイオンビ−ム法を用いて作成した。
【0014】 先に述べたように、形成方法、形成条件により硬質カ−ボン膜の物性は大きく 変化する。ここではプラズマCVD法を用いて水素含有量の多い硬質カ−ボン膜 を、イオンビ−ム法を用いて水素含有量の少ない硬質カ−ボン膜を作成した。以 下に代表的な処理条件を示す。
【0015】 プラズマCVD法 原料ガス:メタン 励起法:高周波(13.56MHz) ガス流量:50cm3 /min. ガス圧:0.1Torr バイアス電圧:−10〜−500V イオンビ−ム法 導入ガス:アルゴン+水素 イオン種:C+ イオン ガス圧:1×10- 4 Torr 加速エネルギ−:40eV
【0016】 プラズマCVD法においてはバイアス電圧を、イオンビ−ム法においては導入 ガス中の水素ガスの割合を変化させることにより、膜中の水素含有量を変化させ 、膜特性の異なった硬質カ−ボン膜を作成した。
【0017】 本考案の実施例の効果を確認するために、ステンレス鋼基材の上に窒化チタン 膜を被覆したおさ羽、および酸化クロム膜を被覆したおさ羽を比較試料として、 本考案によって得られた種々の試料と共に繊維に対する耐久試験を行った。試験 方法としては繊維と試料を一定荷重、一定速度で摺動させ、糸切れ、毛羽立ちが 発生した時点を寿命として耐久性を判断した。その結果を図4に示す。
【0018】 硬質カ−ボン膜は膜中の水素含有量を制御することにより、繊維に対して非常 に優れた耐久性を有することが判った。詳細については未だに不明な点が多いが 、先に記した熱伝導特性、振動特性に加えて膜表面の平滑性、硬度、摩擦係数の 小さいことなどが複雑に絡み合った結果だと思われ、硬質カ−ボン膜のある条件 範囲で初めて達成されるものとして注目される。従来技術に比べれば、水素含有 量10〜50at.%の範囲で十分効果があるが、20〜40at.%が望まし い。10at.%以下では主に摩擦係数の増大により、50at.%以上では膜 硬度の低下により耐久性が劣化するものと思われる。
【0019】 本実施例ではおさ羽についてのみ説明したが、この他にもノズル、サイザ−、 ヘルド、ドロッパ−、コム、バックリ−ド、シンガ−、ガイドポイントなど繊維 と摺動する織機部品に対してはすべて有効であり、従来技術では成し得ないほど の改善が可能となる。
【0020】
実施例から明らかなように本考案によれば、繊維との摺動による摩耗が緩和さ れ、その結果生じる毛羽立ち、糸切れに対して非常に有効な硬質カ−ボン膜が提 供でき、多くの織機部品に適応可能である。
【図1】本考案の実施例におけるおさ羽の要部断面図で
ある。
ある。
【図2】本考案の一実施例を示す平おさ羽の平面図であ
る。
る。
【図3】本考案の他の実施例を示す異形おさ羽の平面図
である。
である。
【図4】本考案および従来技術における処理法と耐摩耗
特性との関係を示す図である。
特性との関係を示す図である。
10A,B おさ羽 12A,B 最大摩耗部(おさ羽中央部) 14 ステンレス基材 16 中間層 18 硬質カ−ボン膜
Claims (1)
- 【請求項1】 繊維と摺動する織機部品において、少な
くともその一部が、膜中に10〜50at.%の水素を
含有する硬質カ−ボン膜で被覆されていることを特徴と
する硬質カ−ボン膜被覆織機部品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1734392U JPH0569164U (ja) | 1992-02-25 | 1992-02-25 | 硬質カーボン膜被覆織機部品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1734392U JPH0569164U (ja) | 1992-02-25 | 1992-02-25 | 硬質カーボン膜被覆織機部品 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0569164U true JPH0569164U (ja) | 1993-09-17 |
Family
ID=11941413
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1734392U Pending JPH0569164U (ja) | 1992-02-25 | 1992-02-25 | 硬質カーボン膜被覆織機部品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0569164U (ja) |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5473964A (en) * | 1977-11-15 | 1979-06-13 | Teijin Ltd | Weaving reed and production thereof |
JPS60190557A (ja) * | 1984-03-13 | 1985-09-28 | Meidensha Electric Mfg Co Ltd | コ−テイング材およびその製法 |
-
1992
- 1992-02-25 JP JP1734392U patent/JPH0569164U/ja active Pending
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5473964A (en) * | 1977-11-15 | 1979-06-13 | Teijin Ltd | Weaving reed and production thereof |
JPS60190557A (ja) * | 1984-03-13 | 1985-09-28 | Meidensha Electric Mfg Co Ltd | コ−テイング材およびその製法 |
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