JPH0568546U - 血液処理用の簾状中空糸シート - Google Patents

血液処理用の簾状中空糸シート

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JPH0568546U
JPH0568546U JP1836192U JP1836192U JPH0568546U JP H0568546 U JPH0568546 U JP H0568546U JP 1836192 U JP1836192 U JP 1836192U JP 1836192 U JP1836192 U JP 1836192U JP H0568546 U JPH0568546 U JP H0568546U
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 中空糸をシート状に織成した縦糸の表面に血
球、リンパ球等の血液成分が付着することのない血液処
理用の簾状中空糸シートを提供する。 【構成】 少なくとも1本の中空糸を横糸に用いて、縦
糸で簾状に織成した中空糸シートであって、該縦糸とし
て表面が親水性樹脂で被覆された中実糸を用いる。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は血液処理用の簾状中空糸シート、特に膜を用いた血液処理装置、例え ば人工腎臓、人工肺等に用いられる血液処理用の簾状中空糸シートに関するもの である。
【0002】
【従来の技術】
従来より再生セルロース等からなる中空糸は、血液中の血球と血漿の分離、人 工肺、血液透析用等のメディカル分野に多く使用されている。この中空糸はその 使用目的に適合した種々の形状にまとめられてハウジング内に収容されモジュー ルとして使用される。 近年ハウジング内に収容される中空糸として、簾状に織編してシート状に形成 された中空糸を用い、該簾状の中空糸シートを積層、あるいは巻回してハウジン グ内に収容した血液処理用のモジュールが提案されている(例えば特開平2−9 9067号など)。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
ハウジング内に収容される中空糸として簾状に織編されたシート状中空糸を使 用することによって、ハウジング内の中空糸の分布が均一となり、中空糸の外部 を流れる血液の偏流が防止できて、単位膜面積当りの血液処理能力を向上させる ことができるが、長時間の血液処理中に血液が接触する縦糸の表面に血液中の血 球、リンパ球等の血液成分が付着して血栓の発生を誘発する恐れがあり、また縦 糸への血小板等の付着により血液中に存在する血小板量が減少し、正常な血液凝 固性能を低下させるという問題があった。
【0004】 したがって、本考案の目的は中空糸をシート状に織編した縦糸の表面に血球、 リンパ球等の血液成分が付着することのない血液処理用の簾状中空糸シートを提 供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本考案者らは、縦糸への血液成分の付着防止について検討したところ、親水性 高分子を被覆した縦糸には血液成分の付着が少ないことに着目し、更に検討した 結果本考案に到達したものである。すなわち本考案は少なくとも一本の中空糸を 横糸に用いて、縦糸で簾状に織編した中空糸シートであって、該縦糸として、表 面が親水性樹脂で被覆された中実糸を用いたことを特徴とする血液処理用の簾状 中空糸シートである。
【0006】
【作用】
本考案の血液処理用の簾状中空糸シートは縦糸の表面への血液成分の付着が防 止されて、有効膜面積の減少がないため、モジュールを長時間使用することが可 能となり、また血小板の血球、リンパ球等の縦糸への付着が抑制されて、血栓の 形成が防止でき、微小血栓の飛散等の問題が回避できる。
【0007】
【実施例】
次に本考案の簾状の中空糸シートの一実施例について図面にて説明する。 図1は簾状に織編された中空糸シートの斜視図であり、中空糸1は1本または 複数本の束を単位の横糸として縦糸2で簾状に織成される。複数本の中空糸の束 を簾状に編む場合には37本以下、好ましくは19本以下の中空糸の束が用いら れる。37本以上の中空糸の束では1つの束のなかの1本1本の中空糸が流体と 充分に接触出来なくなり、物質交換効率が低下する恐れがあって好ましくない。 通常は1本の中空糸を横糸として図1に示すような簾状の中空糸シートが織編さ れる。この場合には各中空糸の表面積のほぼ100%が流体との物質交換に活用 されるだけでなく、横糸によって形成されるほぼ四角の小さい均一なスリットに よって微小な単位で流体の分割、混合が極めて効率よく行われるためか、小さい 膜面積で予想外に高い物質交換性能が達成でき、圧力損失も小さい。
【0008】 中空糸を簾状に織編する縦糸として用いられる中実糸は、ポリエステル、ポリ アミド、ポリイミド、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、 ポリアリレート、ポリビニルアルコール等のように細手でも強度の強い糸が用い られる。なかでもポリエステルやポリアミドのヤーンは適度な柔らかさと機械的 強度を兼ね備えているため、簾状に加工する際に中空糸を傷つけることがなく好 ましく用いられる。
【0009】 本考案に使用する縦糸の表面には親水性樹脂が被覆されている。上記縦糸表面 に被覆される親水性樹脂には、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロ キシエチルメタクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、ジエチレ ングリコールモノメタアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2 −ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、 3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジプロピレングリコールモノメタクリ レート、メトキシエチルアクリレート、メトキシエチルメタクリレート、エトキ シエチルアクリレート、エトキシエチルメタクリレートなどのヒドロキシ低級ア ルキルアクリレートまたはメタクリレート若しくは低級アルコキシ低級アルキル アクリレートまたはメタクリレートの少なくとも1種を主成分とする重合体もし くは共重合体、N−ビニルピロリドン、N−ビニルビペリドン等のN−ビニル化 合物、N−アクリロイルモルホリン、N−アクリロイルビペリジン、N−アクリ ロイルピロリジン複素環式化合物の重合体及び共重合体、アクリル酸、メタアク リル酸、マレイン酸等を主成分とするポリカルボン酸及びそれらのポリカルボン 酸とポリエチレンオキシドとの高分子会合体、ポリビニルアルコール、エチレン −酢酸ビニル共重合体のけん化物、ポリビニルアルコールのアセタール化物及び 部分エステル化物、ポリビニルアルコールのグラフト化物、ポリアミノ酸及びそ の誘導体、コラーゲン、カゼイン等の蛋白質、メチルセルロース、ハイドロキシ メチルセルロース、ハイドロキシエチルセルロース等のポリサッカライドなどが 含まれる。該親水性樹脂はエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコ ールジメタクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メチレン ビス(メタ)アクリルアミドシランカップリング剤、ジアミン、ジアルデヒド、 ホウ酸などの適当な公知の架橋剤により架橋されていてもよい。
【0010】 親水性樹脂は縦糸として用いられる中実糸表面に浸漬法により被覆される。ま た芯成分が例えばポリエステル、鞘成分が親水性樹脂からなる芯鞘複合形状の中 実糸を用いることもできる。後者の中実糸は親水性樹脂が確実に被覆されている ために好ましく用いられる。かかる芯鞘複合形状の中実糸としては、例えば芯成 分がポリエステル、鞘成分がエチレン・ビニルアルコール系共重合体からなる複 合糸が知られている(例えば特開平4−18111号参照)。上記芯鞘複合形状 の中実糸は親水性樹脂の被覆工程が不要なため、そのまま縦糸に使用できる利点 がある。
【0011】 中空糸を縦糸2で簾状に織編するにはどの様な組み方を用いても構わないが、 通常図2に示すように縦糸2が中空糸1の周りに編目を形成して各中空糸を1本 すづ縦糸で固定する方法(例えば鎖編みなど)が好ましく採用される。かかる織 編方法は使用中に中空糸のずれがなく常に隣接する中空糸との隙間を一定に保持 することができ処理効率を向上させることができる。
【0012】 本考案の簾状の中空糸シートの縦糸に用いる中実糸への油剤の使用はできるだ け避けるべきであるが、簾状に形成する際などにやむを得ず使用する場合には、 安全性が確認されているもの、もしくは洗浄除去が可能な油剤を用いる必要があ る。
【0013】 実験例1 中空糸として、内径210μ、外径260μ、ポリ−4メチルペンテン−1中 空糸を1本ずつ長さ方向の密度が22本/cmとなるように配列し、中実糸とし てそれぞれより数35ターン/m、30デニール、12フィラメントのポリエス テル糸と、ポリエステルを芯成分とし、鞘成分としてエチレン含量32モル%の エチレン−ビニルアルコール系共重合体からなる複合糸を用いて中空糸を簾状に 織編し、図1に示す中空糸シートを作製した。この中空糸シートを単位厚さ当た りの積層枚数が36枚/cm、幅が4cmとなるように折り畳んで厚さ3cmの 中空糸シートの積層体を形成した。この積層体を図3に示す角筒状のハウジング 5内に収容して、積層体の両側とハウジングの側壁に樹脂6を充填し、かつ中空 糸1の両端をポリウレタン樹脂の隔壁7でハウジングに液密に接着して人工肺を 作製した。中空糸の有効長は4cmであり、有効膜面積は0.27m↑2であっ た。
【0014】 次いで上記人工肺の血液入口10、出口11に血液回路を接続して閉鎖回路を 形成した。またガス入口12にはガス供給回路を接続した。13はガス出口であ る。上記血液回路に37℃に加温された牛血液を2000ml/minにて6時 間循環後、ヘパリン加生理食塩水で洗浄、乾燥し電子顕微鏡で血球等の付着を観 察した。上記実験を3回行った結果を表1に示す。 表−1より、親水性樹脂が被覆された縦糸で中空糸を織編した簾状の中空糸シ ートを用いた人工肺では有形成分の付着が少ないことが明らかである。
【0015】
【表1】
【0016】 実験例2 実験例1で用いた2種類の縦糸用の中実糸60cmをそれぞれミニチュアセル 内に均一に配列し、生理食塩水でプライミング後、ヒト血液で置換(7mm/m in、5分間)する。セル内を通過した血液をサンプルとし、血小板数とFPA 量を測定した。 表−2の結果より、親水性樹脂を被覆した中実糸の方が血球の付着が抑制され 、かつ血液抗凝固性が高いことが明らかである。
【0017】
【表2】
【0018】
【考案の効果】
本考案の血液処理用の簾状中空糸シートは、縦糸の表面への血液成分の付着が 防止されて有効膜面積の減少がないため、モジュールを長時間使用できる。また 縦糸への血液成分の付着が抑制されるため血栓の形成が防止され、微小血栓の飛 散等の問題が回避できるという効果を奏している。
【図面の簡単な説明】
【図1】簾状中空糸シートの斜視図である。
【図2】簾状中空糸シートの断面図である。
【図3】簾状中空糸シートを用いた人工肺の斜視図であ
る。
【符号の説明】
1 中空糸 2 縦糸

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一本の中空糸を横糸に用い
    て、縦糸で簾状に織成した中空糸シートであって、該縦
    糸として表面が親水性樹脂で被覆された中実糸を用いた
    ことを特徴とする血液処理用の簾状中空糸シート。
JP1992018361U 1992-02-26 1992-02-26 血液処理用の簾状中空糸シート Expired - Lifetime JP2578343Y2 (ja)

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Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0275330A (ja) * 1988-09-12 1990-03-15 Terumo Corp 中空糸膜型物質移動装置
JPH02109572A (ja) * 1988-10-18 1990-04-23 Kuraray Co Ltd 中空糸型流体処理用装置

Patent Citations (2)

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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JPH02109572A (ja) * 1988-10-18 1990-04-23 Kuraray Co Ltd 中空糸型流体処理用装置

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