JPH0567216B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 (A) 産業上の利用分野 本発明は写真用樹脂被覆紙、特にポレオレフイ
ン樹脂を溶融押出し被覆した樹脂被覆紙の製法に
関するものであり、この製法により製造された写
真用樹脂被覆紙は写真用印画紙の支持体として利
用される。 (B) 従来の技術 近年、写真用印画紙の支持体としてはポリオレ
フイン樹脂被覆紙が主に用いられている。 通常滑面タイプの印画紙の支持体としては滑面
のポリオレフイン樹脂被覆紙が一般に用いられ、
それは、溶融押出し被覆工程において表面が平滑
なクーリングロールを用いて製造されている。し
かしながら、このような滑面のポリオレフイン樹
脂被覆紙の製造においては、押出し被覆速度が増
加すると溶融押出し樹脂がクーリングロールによ
り充分に冷却される事なくクーリングロールより
剥離されるために被覆樹脂面とクーリングロール
との剥離性が悪く、いわゆる「ブロツキング」や
「横段ムラ」などと呼ばれるムラが発生し、その
為に最終製品である滑面印画紙の品質を低下させ
るという問題があつた。このような「ブロツキン
グ」や「横段ムラ」の発生防止にはポリオレフイ
ン樹脂中にあらかじめ、滑剤を添加する方法が一
般に知られているが、この方法をとるとポリオレ
フイン樹脂を溶融押出しする際に溶融ポリオレフ
イン樹脂から発煙量が増大し、クーリングロール
面の汚れの原因となる結果的に樹脂被覆面の品質
の低下をもたらしたり、いわゆる「梨地面」の発
生の原因となるなど二次的な品質低下をひき起こ
し最適な方法とはいえない。 これを解決するために微粗面のクーリングロー
ルを用いることが提案されている。 (C) 発明が解決しようとする問題点 本発明は樹脂被覆氏の製造工程において、押出
し被覆速度を上昇させても剥離性が良く所謂「ブ
ロツキング」や「横段ムラ」などと呼ばれる樹脂
被覆表面のムラの発生を防止し、高品質の樹脂被
覆紙、特に滑面樹脂被覆紙を製造するものであ
る。 (D) 問題点を解決するための手段 紙基材表面に樹脂を溶融して押出し、被覆する
工程において、表面に微小な液滴を付着させた表
面の平滑なクーリングロールを用い、樹脂被覆紙
を冷却させると同時に、被覆樹脂面に微細な凹凸
を型付けする事を特徴とする写真用樹脂被覆紙の
製法。 本発明は潤滑タイプの印画紙用基材を製造する
に際し、ポリオレフイン樹脂を紙基材上に溶融押
出し被覆する工程において、表面に上記を直接吹
きつけるか、またはクーリングロールを冷却する
事により室温との温度差で露結させる事により、
極微小な液滴を付着させた表面の平滑なクーリン
グロールを用いることにより１溶融押出し被覆と
同時に樹脂面に製品としての印画紙の表面光沢を
低下させない程度の微細な凹凸を形成させる。こ
の微細な凹凸によりポリオレフイン樹脂溶融押出
し被覆工程でのクーリングロールと樹脂被覆面と
の剥離性を改良し、いわゆる「ブロツキング」や
「横段ムラ」、「梨地面」の発生を防ぐものである。
クーリングロール表面に微小な液滴が存在する事
により樹脂被覆面に微小な凹凸が発生し、剥離性
が改良される理由として、 「(1) クーリングロール上の液滴の溶融樹脂への
接触と同時にやわらかい樹脂面がくぼみその形
を保持しながら固化する。 (2) 樹脂面とクーリングロール表面にはさまれた
形の液滴は瞬時に気化し、圧力の弱いクーリン
グロールの進行方向とは逆の方向へ排出され、
ガスが排出された跡が樹脂面に残り、やはり微
小なくぼみとなる。 (3) ポリオレフイン樹脂面とクーリングロール面
との間に液滴が気化したことにより形成された
くぼみ及び、クーリングロールと樹脂面の間に
残存する液滴によりポリオレフイン樹脂面との
クーリングロール面が直接接触する面積が小さ
くなる為ポリオレフイン樹脂面とクーリングロ
ール面との剥離性が容易になる。」 等のことによるものと考えられる。 本発明に用いられる被覆樹脂層の厚さとして
は、特に制限はないが、一般に５ミクロンないし
50ミクロン程度が有利である。 本発明の方法で用いられる被覆用樹脂としては
ポリオレフイン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル
等溶融押出塗工可能であれば何でも良く、特に制
限はないが、ポリオレフイン樹脂が押出塗工性お
よび基紙との接着のよさ、原価等の点から特に有
利である。本発明に於けるポリオレフイン樹脂と
は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテ
ン、ポリペンテン等のオレフインのホモポリマー
またはエチレン−プロピレン共重合体等の二種以
上のオレフインからなる共重合体およびその混合
物であり、各種の密度および溶融粘度指数（メル
トインデツクス：以下単にMIと略す）のものを
単独にあるいはそれらを混合して使用できる。 本発明に於いても溶融押出塗工される樹脂中に
は、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシ
ウム等の白色顔料、ステアリン酸アミド、アラキ
ジン酸アミド等の脂肪族アミド、ステアリン酸亜
鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグ
ネシウム、パルミチン酸カルシウム等の脂肪族金
属塩、群青、コバルトバイオレツト等の顔料およ
び染料、酸化防止剤、傾向増白剤、紫外線吸収剤
などの各種の添加剤を適宜組み合わせて加えるの
が好ましい。 樹脂被覆紙の乳剤面側の樹脂層に加えられる酸
化チタンの使用量としては５ないし40重量パーセ
ントが好ましいがこの添加量が５重量パーセント
以下であれば写真用支持体として隠蔽力が不十分
であり、一方40重量パーセント以上であると加工
性等が低下して好ましくない、特に好ましくは７
重量パーセントないし20重量パーセントの範囲で
ある。 本発明の方法に於いて用いられる基紙は通常の
天然パルプ紙、合成繊維紙、あるいは合成樹脂フ
イルムを擬紙化したいわゆる合成紙のいずれでも
よいが、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、針葉樹広
葉樹混合パルプの木材パルプを主成分とする天然
パルプ紙が有利に用いられる。また、基紙の厚味
に関しては特に制限はないが、表面の平滑性のよ
い紙が好ましく、その坪量は50ｇ／m²〜250ｇ／
m²が好ましい。 本発明の方法に於いて有利に用いられる天然パ
ルプを主成分とする基紙には各種の高分子化合
物、添加剤を含有せしめることができる。 例えば、でんぷん誘導体、ポリアクリルアミ
ド、ポリビニルアルコール誘導体、ゼラチン等の
乾燥紙力増強剤、脂肪酸塩、ロジン誘導体、ジア
ルキルケテンダイマー乳化物等のサイズ剤、メラ
ミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ化ポリアミド樹脂
等の湿潤紙増強剤、安定剤、顔料、染料、蛍光増
白剤、ラテツクス、無機電解質、PH調整剤等適宜
組み合わせて含有せしめることができる。 本発明によつて製造された写真用支持体には各
種のハロゲン化銀写真乳剤層を設けることがで
き、各種の写真印画紙にすることができる。 本発明により製造された樹脂被覆面は第１図に
示すごとく微細な凹凸を有しており、第２図に示
すようなクーリングロール上に液滴を付着させず
に樹脂被覆を行つた場合の樹脂被覆面とは明らか
に異つている。更に具体的には、微細な凹凸の形
状はクーリグロールに付着した微小液滴の形状に
より、またプレス圧や被覆速度により不規則に変
化はするが、乳剤塗布工程を経た後の製品の品質
を考慮すると、凹凸の平均深さは約0.05μｍない
し2μｍ程度であり、特に約0.1μｍないし1.5μｍ程
度のものが好ましい。これは、樹脂被覆面上の凹
凸が0.1μｍより小さい場合には樹脂被覆工程にお
いていわゆる「ブロツキング」や「横段ムラ」な
どの剥離ムラを防止するには不充分であり、また
凹凸が2μｍより大きい場合では、いわゆる「梨
地面」と同じとなり写真乳剤が塗布され後の印画
紙の品質が低下する。 凹凸の平均ピツチは約0.1μｍないしは100μｍ程
度であり、特に約1μｍないし40μｍ程度のものが
好ましい。 樹脂被覆表面の微細な凹凸の深さは、小坂研究
所(株)製SE−11表面粗さ計で直接測定した。 第３図に示すAB間を深さとして測定し、任意
の連続した40個所の深さの和の平均を平均深さと
した。凹凸の平均ピチは走査型電子顕微鏡により
1000倍の倍率で写真撮影し、凸部と凸部の距離を
連続した40個所で測定し、和の平均を平均ピツチ
とした。 クーリングロール表面に付着せしめる液滴とし
ては、水滴、有機物または無機物を含む水溶液
滴、有機液滴、あるいは有機物または無機物を含
む有機溶液滴が考えられるが、樹脂被覆面に凹凸
を生成せしめ、剥離性を向上させるには単なる水
蒸気が露結した水滴で充分である。 (E) 作用 上記の如くクーリングロールに液滴を付着せし
めた状態で紙上にポリオレフイン樹脂を溶融押出
し被覆した場合、樹脂被覆面に微小な凹凸が発生
し樹脂面とクーリングロール面との剥離性が良く
なるため、それ以上の被覆速度においては「ブロ
ツキング」や「横段ムラ」が最終製品に影響を及
ぼすこほど激しく発生する速度、すなわち、被覆
上限速度を著しく高める事ができる。 (F) 実施例 坪量160ｇ／m²、巾1345mmの紙を一定速度で走
行させ、第１ゾーンで裏面にコロナ放電処理後、
直径150mmの溶融押出機を用いて低密度ポリエチ
レン（密度0.918、MI5）50部、高密度ポリエチ
レン（密度0.965、M17）50部からなる樹脂組成
物を巾1355mm樹脂厚30μで溶融押出被覆し、裏面
の樹脂層を形成する。第２ゾーンで表紙面にコロ
ナ放電処理後、直径115mmの溶融押出機を用い、
低密度ポリエチレン（密度0.918、MI8.5）に30重
量パーセントの酸化チタン練り込んだマスターバ
ツチ30部、低密度ポリエチレン（密度0.918、
MI5.0）45部、高密度ポリエチレン（密度0.965、
MI7.0）25部からなる樹脂組成物を巾1355mm樹脂
厚30μｍで溶融押出被覆して表面の樹脂層を形成
する。 この第２ゾーンのクーリングロール全面に水蒸
気を吹きつけて微小な水滴を付着させた後にポリ
エチレン樹脂被覆した樹脂被覆紙と、第２ゾーン
のクーリングロールに何等の液滴を付着させる事
なくポリエチレン樹脂被覆した樹脂被覆紙をそれ
ぞれ別に、数段階の被覆速度において樹脂被覆を
行なつた。 それぞれの被覆条件において作成した樹脂被覆
紙の表面をコロナ放電処理した後、カラーハロゲ
ン化銀写真乳剤を塗布し、現像処理した印画紙の
表面を肉眼観察した。 結果は第１表に示すように、本発明におけるク
ーリングロール表面に液滴を付着させて樹脂被覆
を行なつた場合では、印画紙表面の光沢を低下さ
せる事なく、被覆上限速度を高める事ができる。 (G) 発明の効果 本発明において作成したポリオレフイン樹脂被
覆紙は最終製品の写真用印画紙に加工した際に滑
面印画紙としての品質を損なうことなく、樹脂被
覆工程においてクーリングロールと被覆樹脂面と
の剥離性を向上させた。これにより被覆上限速度
が上り、生産性を向上させた。 【表】

【図面の簡単な説明】

第１図は液滴を付着させたクーリングロールを
用いた樹脂被覆面の、第２図は液滴を付着させな
いクーリングロールを用いた樹脂被覆面の倍率
1000倍の走査型電子顕微鏡写真である。第３図は
樹脂被覆面の凹凸を示す模式図である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 紙基材表面に樹脂を溶融して押出し、表面の
   平滑なクーリングロールに樹脂面を紙基材ととも
   にプレスして被覆する滑面タイプの印画紙に用い
   られる写真用樹脂被覆紙の製造工程において、該
   クーリングロールの表面に微小な液滴を付着させ
   たクーリングロールを用い、樹脂被覆紙を冷却す
   ると同時に、被覆樹脂面に微細な凹凸を型付けす
   ることを特徴とする写真用樹脂被覆紙の製法。 ２ 表面の平滑はクーリングロールに液滴を付着
   させる工程において、液滴となる蒸気を別途発生
   させ、該蒸気をクーリングロール上に均一に吹き
   付ける特許請求の範囲第１項記載の写真用樹脂被
   覆紙の製法。 ３ 表面の平滑なクーリングロールに液滴を付着
   させる工程において、クーリングロール近辺に液
   滴となる蒸気を存在させ、クーリングロールを冷
   却することにより、温度差によりクーリングロー
   ル上に均一に露結させる特許請求の範囲第１項記
   載の写真用樹脂被覆紙の製法。