JPH0565521A - 極低炭素鋼の溶製方法 - Google Patents

極低炭素鋼の溶製方法

Info

Publication number
JPH0565521A
JPH0565521A JP22751491A JP22751491A JPH0565521A JP H0565521 A JPH0565521 A JP H0565521A JP 22751491 A JP22751491 A JP 22751491A JP 22751491 A JP22751491 A JP 22751491A JP H0565521 A JPH0565521 A JP H0565521A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
molten steel
immersion
gas
ladle
steel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP22751491A
Other languages
English (en)
Inventor
Naoto Tsutsumi
直人 堤
Yoshimasa Mizukami
義正 水上
Masaru Oka
賢 岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP22751491A priority Critical patent/JPH0565521A/ja
Publication of JPH0565521A publication Critical patent/JPH0565521A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、溶鋼の脱炭処理に際し、従来の真
空脱ガス装置に比較して溶鋼飛散による地金付きを抑制
し、精錬が容易に行える脱炭方法を提供する。 【構成】 取鍋の底部もしくは補助浸漬ランスから不活
性ガスを吹込み、溶鋼を攪拌しつつ、該取鍋内に単数も
しくは複数の浸漬管を挿入して、浸漬管内の溶鋼表面
に、初期は大気圧下にてランス等を介して不活性ガスを
吹付け、途中から浸漬管内上部を排気し、減圧状態とす
ることで脱炭する。浸漬管内溶鋼が減圧状態に曝される
時間を短くでき、溶鋼飛散による浸漬管内に付着する地
金を減少させて、安定に極低炭領域まで脱炭することが
できる。 【効果】 メンテナンスが容易で、確実かつ安価に極低
炭素鋼を溶製できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は溶鋼のスプラッシュを抑
制した極低炭素鋼の溶製方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車用鋼板等、プレス加工が施される
薄板用鋼板において、加工性を高めるために鋼板中の炭
素濃度を極力低下させた極低炭素鋼が知られている。一
般に溶鋼を脱炭する場合には、次式で示されるように、
溶鋼中の炭素を酸素と反応させることで一酸化炭素ガス
を生成させ、このガスを気体側に除去する方法が用いら
れる。
【0003】 〔C〕 + 〔O〕 → CO(g) (1) この脱炭反応を進めさせるためには溶鋼中に酸素が必要
であり、このため溶銑から炭素濃度が0.04%程度の
範囲にある炭素濃度が高い溶鋼に対しては、酸素を上方
や下方から、あるいは上下方向から同時に供給する純酸
素転炉方式が採用されている。しかし、この方法では溶
鋼中の炭素濃度が0.04%程度以下となると、脱炭の
進行が停滞し、むしろ鉄の酸化が生じ、溶鋼の歩留り低
下や溶鋼中の有効な成分であるマンガン濃度の低下を招
く等の問題がある。
【0004】そこで、従来炭素濃度がより低い極低炭素
鋼を溶製するためには、転炉等で酸素吹錬を施して炭素
濃度を0.04%程度まで脱炭させた溶鋼を未脱酸の状
態で取鍋等の容器に受鋼した後に、この炭素濃度以下で
も鉄が酸化せず、溶鋼中の炭素が優先的に酸化するよう
に、RH法やDH法といった排気装置を有する真空脱ガ
ス装置等を用いて、気体ないしは固体状の酸化源を供給
して溶鋼中の酸素濃度を増加させると同時に、溶鋼の一
部分を減圧(真空)雰囲気中に曝し、気体側の圧力を低
下させることで気体と溶鋼の界面の一酸化炭素ガス分圧
を低下させる条件下において、(1)式の反応を右の方
向へ進行させる方法にて脱炭を行い、その後に目標の溶
鋼成分となるように合金を添加し、調整を行う溶製方法
が広く行われている。
【0005】つまり、次に示す(2)式において、気体
側の一酸化炭素の分圧PCOを小さくすれば、同じ溶鋼中
酸素濃度であっても、炭素濃度をより小さくすることが
できるわけである。
【0006】
【数1】
【0007】PCO :気体側の一酸化炭素の分圧 〔C〕 :溶鋼中の炭素濃度 〔O〕 :溶鋼中の酸素濃度 K :反応の平衡定数 この方法によれば、減圧度を高める(真空度を上げる)
ほど(1)式で示す右方向への脱炭反応が進行するた
め、現在工業的にRH法やDH法等において溶鋼表面を
極力高い真空下に維持することで、炭素濃度0.005
%以下という極低炭素鋼の溶製が可能となっている。
【0008】ここで、脱炭速度をより短縮するために、
真空脱ガス装置において、酸素あるいは二酸化炭素等の
酸化性ガス、ないしは、酸化鉄等の固体状酸化源を添加
する方法、例えば特開昭49−34414号公報、特開
昭51−151211号公報、特開昭51−15121
2号公報記載の方法、反応の界面積を大きくするため大
量のガスを溶鋼中に吹込む方法、例えば特開昭52−5
641号公報記載の方法等が開発されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記真空脱ガス装置を
用いた極低炭素鋼溶製方法は、炭素濃度を低下せしめる
ため、平衡論的にも非常に有効な方法であり現在広く普
及しているが、先にも述べたように、溶鋼の一部分を高
い減圧状態に接触させるために非常に大がかりで高価な
真空装置が必要であり、また減圧下で溶鋼を処理するこ
とから耐火物等が溶損し、さらに高温下において減圧状
態を維持するために、各嵌合部の密着性を高めるための
きめ細かなメンテナンスを要する。
【0010】また、溶鋼を減圧状態にするための装置
は、勿論予熱を充分行った状態で使用されるが、装置全
体が大きいために全体を均一に一定温度まで予熱するこ
とが難しく、脱炭処理開始時点では溶鋼の温度降下が大
きい。このため、脱炭処理を行った溶鋼を連続鋳造等の
プロセスで安定に鋳造するためには、脱炭処理時の温度
降下分を補償するための処理費用が高くなる。
【0011】さらに、安定な操業を阻害する大きな要因
として、溶鋼を減圧状態に接触した状態でガスを溶鋼中
に吹込むと、ガスが溶鋼表面から離脱する際に溶鋼が周
辺の密閉容器内に飛び散るため、容器内に地金と称する
凝固した鋼が付着することが挙げられ、この地金付着は
溶鋼の歩留りを低下させるのみでなく、付着した地金の
除去に多大な労力を要し、また脱炭処理を連続的に行う
際に、その処理を中断せざるを得ず、生産性の低下につ
ながる等の問題点がある。
【0012】本発明は上記のような問題点に鑑み、中で
も連続した脱ガス処理の操業に直接影響する地金付着量
を軽減し、安価な設備で、これまでの真空脱ガス精錬で
溶製されると同等の極低炭素鋼の溶製方法を提供するこ
とを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは下記のとおりである。 (1)取鍋の底部もしくは補助浸漬ランスから不活性ガ
スを吹込み、溶鋼を攪拌して浮上スラグを排除し、この
スラグ排除域の溶鋼中に単数もしくは複数の浸漬管を挿
入し、該浸漬管内の溶鋼表面に、初期は大気圧下にてラ
ンス等を介して不活性ガスを吹付けて脱炭させ、途中か
ら浸漬管内上部を排気して減圧状態で脱炭させることを
特徴とする極低炭素鋼の溶製方法。
【0014】(2)取鍋の底部もしくは補助浸漬ランス
から不活性ガスを吹込み、溶鋼を攪拌して浮上スラグを
排除し、このスラグ排除域の溶鋼中に単数もしくは複数
の浸漬管を挿入し、該浸漬管内の溶鋼表面に、初期は大
気圧下にてランス等を介して不活性ガスを吹付けて脱炭
させ、途中から不活性ガスの吹付けを止めると共に浸漬
管内上部を排気して減圧状態で脱炭させることを特徴と
する極低炭素鋼の溶製方法。
【0015】
【作用】本発明者等は、安定に溶鋼中の炭素濃度を0.
005%以下まで脱炭する方法について研究開発を進め
た結果、溶鋼と気体の界面の一酸化炭素ガスの分圧を低
下させるために、高価かつ大がかりな真空脱ガス装置等
を用いて溶鋼の一部分の表面を減圧状態下に保たずと
も、アルゴンや窒素等の不活性ガスを界面に吹付け、界
面の一酸化炭素ガスを除去し、その分圧を低下させれ
ば、大気圧下においても炭素濃度0.04%以下の溶鋼
の脱炭反応は充分に進行し、極低炭素鋼の溶製が可能で
あることを見出した。
【0016】ここで、純酸素を供給する転炉方法での脱
炭反応の場合も多量の純酸素ガスを供給しており、溶鋼
と気体の界面の一酸化炭素ガスの分圧は低いと考えられ
る。しかし、先にも述べたように、炭素濃度が0.04
%程度以下になると炭素よりも鉄やマンガンの酸化が優
先的に生じて脱炭は停滞し、溶鋼歩留りの低下あるいは
溶鋼中有効な成分であるマンガン濃度の低下を招く。そ
こで本発明者等は、転炉方法でのこの現象を検討し、脱
炭のために純酸素ガスを供給していることそのものが脱
炭停滞の原因であることを明らかにした。
【0017】すなわち、炭素濃度が0.04%以下の低
い領域で脱炭反応を進行させようとする場合には、炭素
濃度に見合った酸素供給速度を制御することが必要であ
り、純酸素ガスを供給するような状態では酸素供給速度
が大きすぎるため、鉄あるいはマンガンの優先的な酸化
を引き起こし、これら酸化鉄ないし酸化マンガンが既に
存在するスラグと合わさり、炭素と酸素の反応を生じさ
せる反応界面を減少させているわけである。
【0018】このような研究結果から、先に本発明者等
は、取鍋内溶鋼表面上の酸化性スラグの占める面積を2
0%以下に減少せしめた炭素濃度0.04〜0.02%
の溶鋼表面上に、酸素分圧0.5〜0.01気圧に調整
した酸化性ガスと不活性ガスの混合ガスを吹付け、溶鋼
の酸化を抑制しつつ溶鋼を脱炭すれば、炭素濃度0.0
2%以下の極低炭素鋼の溶製が可能であることを提案
(特願昭63−153454号)した。
【0019】さらに本発明者等は、従来のRH法やDH
法等の真空脱ガス装置を用いた脱炭処理時の問題点の一
つである、真空槽内への地金付着量を低減するために検
討を行い、その結果、従来の真空脱ガス装置による脱炭
処理時に地金の付着が激しく生じるのは、特に真空処理
を開始した脱炭初期であることに着目し、ここに上記の
原理を適用して大気圧下での脱炭処理を行い、従来法で
の真空槽内を排気して溶鋼を減圧下に曝す時期を遅らせ
て、またその減圧下に曝す時間を短くすることにより、
減圧下で気泡が界面を離脱する際に膨張を伴い破裂する
ことによって生じる激しい溶鋼飛散を抑制しながら、安
定に脱炭を行うための開発を進め、取鍋の底部もしくは
補助浸漬ランスから不活性ガスを吹込み、溶鋼を攪拌し
て浮上スラグを排除し、このスラグ排除域の溶鋼中に単
数もしくは複数の浸漬管を挿入し、該浸漬管内の溶鋼表
面に、初期は大気圧下にてランス等を介して不活性ガス
を吹付けて脱炭させ、途中から浸漬管内上部を排気して
減圧状態で仕上脱炭を行うこと、あるいは途中から不活
性ガスの吹付けを止めると共に浸漬管内上部を排気して
減圧状態で脱炭させることで、高真空条件下に溶鋼を曝
す時間を短くしても、全体の処理時間は大差なく、かつ
激しい溶鋼飛散を抑制して、炭素濃度0.005%以下
の極低炭素鋼が溶製できることを確認した。
【0020】ここで、本発明の要件である、取鍋の底部
もしくは補助浸漬ランスから不活性ガスを吹込み溶鋼を
攪拌しつつ、該取鍋内に単数もしくは複数の浸漬管を挿
入する理由は、取鍋内溶鋼表面上に酸化性スラグが存在
すると脱炭に有効な反応界面が確保できないためであ
り、取鍋の底部もしくは補助浸漬ランスから不活性ガス
を吹込み溶鋼を攪拌しながら、上記スラグがない溶鋼表
面を確保した上で浸漬管を挿入することで、浸漬管内に
は酸化性スラグのない溶鋼表面が確保されるからであ
る。
【0021】また、取鍋の底部もしく補助浸漬ランスか
ら不活性ガスを吹込み溶鋼を攪拌することは、この浸漬
管内と取鍋内の溶鋼を絶えず循環させ、脱炭反応が起こ
る部分に常に新鮮な溶鋼を供給する点からも重要な意味
を有する。このため、ガスを吹込む位置としては、浸漬
管内中心よりもむしろ僅かにずらして浸漬管内に円滑な
循環流れを形成させることが好ましい。
【0022】次に、ランス等を介して溶鋼の表面に吹付
けるガスとして不活性ガスを用いる理由は、酸化性ガス
を供給すると溶鋼の表面で炭素の酸化よりも鉄の酸化が
優先的に起こり、界面に溶融状態の酸化鉄が生成し、こ
の酸化鉄が徐々に浸漬管内の溶鋼表面に蓄積して脱炭に
有効な界面積が減少し、その結果、脱炭速度が減少し、
炭素濃度0.005%以下まで脱炭させるのにより長時
間を要してしまうためである。ここで用いる不活性ガス
の種類としては、アルゴンガスが一般的であるが、ヘリ
ウムガス等も挙げることができ、鋼の材質上問題がなけ
れば窒素ガスおよびこれらのガスの混合ガスを用いても
構わない。
【0023】浸漬管内の排気を始める時期としては、脱
炭処理を開始してから遅いほど溶鋼が減圧下に保持され
る時間が短くなるため好ましいが、実際には全体の脱炭
処理時間を短縮することを併せて考えると、全脱炭処理
時間の1/3から1/2が経過した時点から排気を始め
ることが有効である。ここで、排気を行うことによって
浸漬管上部は減圧状態となるが、この際の圧力について
は先の(2)式に示したように低いほうが平衡炭素濃度
低減の観点から好ましい。ただし、この際に排気能力が
充分に高く、全体の圧力を低位に維持できる状態であれ
ば、それまで上部からランス等を介して吹付けていた不
活性ガスをそのまま吹付け続けることが界面の一酸化炭
素ガスの除去という点からも有効である。また、上記排
気能力が充分でない場合、即ち小型の排気設備を選択す
る場合には上記排気を開始すると共に不活性ガスの吹付
けを停止し、減圧下で脱炭処理を遂行できる。
【0024】取鍋の底部もしくは補助浸漬ランスから浸
漬管内に吹込んでいる不活性ガス量については、単数の
浸漬管を浸漬した場合あるいは複数でも各浸漬管が個々
に独立している場合には、溶鋼の循環はその中で形成さ
れているため、浸漬管内に吹込むガス量は排気を開始し
ても変化させることなく処理が可能であり、あるいは排
気が進行し、雰囲気圧力が低下するに伴い、そのガス量
を減らすことで溶鋼の飛散量は一層抑制される。
【0025】一方、複数の浸漬管を浸漬し、かつ各浸漬
管の上部が一体となっているRH法のような場合には、
排気の進行に伴い、一体となった浸漬管内上部まで溶鋼
湯面が上昇してきた時点で、複数の浸漬管の内の半数に
ついては吹込んでいるガスを停止して、これらの浸漬管
を介して溶鋼を装置内で循環させる方法が有効である。
ここで、単数の浸漬管の場合と同様に、雰囲気圧力の低
下に伴って溶鋼循環が停滞しない範囲で吹込みガス量を
減らすことは、溶鋼飛散量の抑制に有効である。
【0026】これら脱炭反応を進めるには、(1)式で
示したように炭素を酸化させる酸素が必要である。そこ
で、脱炭を開始する前の溶鋼の酸素の濃度としては、通
常の転炉吹錬で炭素濃度0.05〜0.03%で吹止め
た際に得られる400〜700ppmの範囲とし、この
溶鋼中の酸素を用いて炭素を酸化しつつ、脱炭の進行に
伴い減少する酸素については、最初に酸化性スラグを除
去した溶鋼表面に新たに酸化物が蓄積して脱炭の反応界
面積を減少することがないように、従来から用いられて
いる酸素吹込み羽口から酸素を溶鋼中に吹込めばよい。
こうした方法によって、脱炭の反応界面積を確保する目
的で最初に酸化性スラグを除去した溶鋼表面に酸化物が
さらに生成し、かつ蓄積していくことをなくし、常に脱
炭速度を高位に維持することができるわけである。
【0027】以上のような理由から、炭素濃度を0.0
05%以下の極力低くまで、かつ短い時間内で進行させ
たい場合には、ガスの吹付けにより脱炭が進行する反応
界面積をより大きくするために浸漬管の径を大きくする
か、ないしはその本数を多くすることが、また反応の界
面に溶鋼中の炭素が常に供給されるように、溶鋼を強く
攪拌することが効果的であることは言うまでもない。こ
こで溶鋼を攪拌するためには、取鍋の底あるいは補助的
に浸漬した耐火物製ランスから供給するガスの量を多く
するほうが好ましく、またこのためのガスは上面から吹
付けるガスと同様の不活性ガスが好ましいが、前記した
酸素濃度を制御するための純酸素ガス、空気、二酸化炭
素ガス、水蒸気等の単独ガスや、これらの酸化性ガスと
一酸化炭素ガスとの混合ガス、あるいはこれら酸化性ガ
スと不活性ガスの混合ガスを用いても構わない。
【0028】
【実施例】以下、本発明を図1から図4に示す実施例に
基づいて詳細に説明する。 実施例1 転炉において、溶銑から炭素0.04%、マンガン0.
30%に溶製した250tonの溶鋼1を取鍋2に未脱
酸状態で出鋼した。出鋼後の取鍋内溶鋼の成分は炭素
0.038%、酸素400ppmであり、溶鋼の温度は
1630℃であった。
【0029】その後、取鍋の底部に配置した耐火物製の
ポーラスプラグ3から、Arガスを50Nm3 /hrの
流量で吹込み、取鍋2内の転炉から流出した酸化性スラ
グ4を取鍋の内壁部へ押しやった状態で、図1に示すよ
うな取鍋2の内径が3.6m(10m2 )に対して内径
1.6m(2.0m2 )の耐火物製の浸漬管5を1本浸
漬し、浸漬管内にはスラグ4がない状態を確保した。
【0030】次に、溶鋼表面から1.2mの高さに、図
2に示すように上吹きランス6を配置し、Arガスを流
量3000Nm3 /hrで溶鋼表面に吹付けると共に、
浸漬管5内が揚圧しない程度に浸漬管上部の排気をしな
がら脱炭処理を開始した。この間、取鍋底部からはAr
ガスを50Nm3 /hrの流量で吹込み続け、攪拌を行
った。途中5分で浸漬管上部の減圧用排気を開始し、真
空度が高まるにつれて上吹きランス6からのArガスな
らびに取鍋底部からのArガス量を減少させて、8分に
は真空度10torr、吹付けArガス量1000Nm
3 /hr、取鍋底部からのArガス吹込み量30Nm3
/hrの一定条件として脱炭処理を続けた。
【0031】脱炭開始から12分で処理を終了したが、
この脱炭処理後の溶鋼温度は1605℃で、炭素濃度は
0.003%、マンガン濃度は0.25%となり、わず
かにマンガンが酸化したが、安定に炭素濃度0.005
%以下に到達した。この処理後に、浸漬管上部の付着溶
鋼量を測定したところ、0.2tonであった。 実施例2 転炉において、溶銑から炭素0.05%、マンガン0.
30%に溶製した250tonの溶鋼1を取鍋2に未脱
酸状態で出鋼した。出鋼後の取鍋内溶鋼の成分は炭素
0.045%、酸素400ppmであり、溶鋼の温度は
1620℃であった。
【0032】その後、図3に示すように補助の耐火物製
浸漬ランス7からArガスを50Nm3 /hrの流量で
吹込み、取鍋内の転炉から流出した酸化性スラグ4を取
鍋の内壁部へ押しやった状態で、取鍋2の内径が3.6
m(10m2 )に対して内径1.6m(2.0m2 )の
耐火物製の浸漬管5を1本浸漬し、浸漬管内にはスラグ
4がない状態を確保した。
【0033】次に溶鋼表面から1.2mの高さに、図4
に示すように上吹きランス6を配置して、Arガスを流
量3000Nm3 /hrで溶鋼表面に吹付けると共に、
浸漬管5内が揚圧しない程度に浸漬管上部の排気をしな
がら脱炭処理を開始した。この間、耐火物製浸漬ランス
7からはArガスを50Nm3 /hrの流量で吹込み続
け、攪拌を行った。脱炭開始後5分からは上吹きランス
6からのArガスの吹付けを停止し、耐火物製浸漬ラン
ス7からの吹込みArガスの量はそのままで、浸漬管上
部の減圧用排気を開始した。
【0034】脱炭開始から13分で処理を終了したが、
この脱炭処理後の溶鋼温度は1600℃で、炭素濃度は
0.003%、マンガン濃度は0.28%となり、わず
かにマンガンが酸化したが、安定に炭素濃度0.005
%以下に到達した。この処理後の浸漬管上部の付着溶鋼
量を測定したところ、0.3tonであった。 比較例1 同じく転炉において、溶銑から炭素0.04%、マンガ
ン0.33%に溶製した250tonの溶鋼1を取鍋2
に未脱酸状態で出鋼した。出鋼後の取鍋内溶鋼の成分は
炭素0.037%、酸素410ppmであり、溶鋼の温
度は1640℃であった。
【0035】取鍋の底部に配置した耐火物製のポーラス
プラグ3からArガスを50Nm3 /hrの流量で吹込
み、取鍋内の転炉から流出した酸化性スラグ4を取鍋の
内壁部へ押しやった状態で、図1に示すように取鍋2の
内径が3.6m(10m2 )に対して内径が1.6m
(2.0m2 )のリング状の耐火物製の浸漬管5を1本
浸漬し、浸漬管内にはスラグ4がない状態を確保した。
【0036】次に、図2のように取鍋底部からはArガ
スを50Nm3 /hrの流量で吹込み続け、攪拌を行い
つつ、浸漬管上部を減圧用排気して脱炭処理を開始し
た。脱炭開始から2分で浸漬管上部の真空度は10to
rrに到達し、以後その状態で脱炭処理を継続し、13
分で処理を終了した。この脱炭処理後の溶鋼温度は16
10℃で、炭素濃度は0.003%、マンガン濃度は
0.29%となり、炭素濃度0.005%以下に到達し
たが、処理後の浸漬管上部の付着溶鋼量を測定したとこ
ろ0.7tonであり、実施例1あるいは2に較べて、
その量は倍以上であった。
【0037】実施例3 転炉において、溶銑から炭素0.045%、マンガン
0.32%に溶製した250tonの溶鋼1を取鍋2に
未脱酸状態で出鋼した。出鋼後の取鍋内溶鋼の成分は炭
素0.042%、酸素380ppmであり、溶鋼の温度
は1630℃であった。
【0038】その後、図5に示すように補助の耐火物製
浸漬ランス7からArガスを50Nm3 /hrの流量で
吹込み、取鍋内の転炉から流出した酸化性スラグ4を取
鍋の内壁部へ押しやった状態で、取鍋2の内径が3.6
m(10m2 )に対して内径1.0m(0.8m2 )の
耐火物製の浸漬管5を2本浸漬し、浸漬管内にはスラグ
4がない状態を確保した。
【0039】次に、溶鋼表面から1.0mの高さに、図
6に示すように上吹きランス6を配置して、Arガスを
流量2000Nm3 /hrで溶鋼表面に吹付けると共に
浸漬管5内が揚圧しない程度に浸漬管上部の排気をしな
がら脱炭処理を開始した。この間、耐火物製浸漬ランス
7からはArガスを50Nm3 /hrの流量で吹込み続
け、攪拌を行った。脱炭開始後4分からは、上吹きラン
ス6からの吹付けArガスならびに耐火物製浸漬ランス
7からの吹込みArガスの量はそのままで、浸漬管上部
の減圧用排気を開始し、6分で真空度は10torrと
なり、以後そのまま脱炭を行った。
【0040】脱炭開始から12分で処理を終了したが、
この脱炭処理後の溶鋼温度は1600℃で、炭素濃度は
0.004%、マンガン濃度は0.30%となり、わず
かにマンガンが酸化したが、安定に炭素濃度0.005
%以下に到達した。この処理後の浸漬管上部の付着溶鋼
量を測定したところ、2本の浸漬管を併せて0.3to
nであった。
【0041】実施例4 転炉において、溶銑から炭素0.043%、マンガン
0.30%に溶製した250tonの溶鋼1を取鍋2に
未脱酸状態で出鋼した。出鋼後の取鍋内溶鋼の成分は炭
素0.040%、酸素420ppmであり、溶鋼の温度
は1630℃であった。
【0042】その後、図7に示すように取鍋底部のポー
ラスプラグ3からArガスを50Nm3 /hrの流量で
吹込み、取鍋内の転炉から流出した酸化性スラグ4を取
鍋の内壁部へ押しやった状態で、取鍋2の内径が3.6
m(10m2 )に対して個々の内径0.8m(0.5m
2 )で、上部が一体となった耐火物製の浸漬管8を2本
浸漬し、浸漬管内にはスラグ4がない状態を確保した。
【0043】次に、溶鋼表面から1.0mの高さに、図
8に示すように上吹きランス6を配置して、Arガスを
流量2000Nm3 /hrで溶鋼表面に吹付けると共
に、浸漬管5内が揚圧しない程度に浸漬管上部の排気を
しながら脱炭処理を開始した。この間、ポーラスプラグ
3からはArガスを50Nm3 /hrの流量で吹込み続
け、攪拌を行った。脱炭開始後5分から浸漬管上部の排
気を開始し、7分で10torrとなったため、上吹き
ランス6からの吹付けArガスはそのままで、片側の浸
漬管へのガス吹込みを停止し、溶鋼を循環させて脱炭処
理を行った。
【0044】脱炭開始から12分で処理を終了したが、
この脱炭処理後の溶鋼温度は1600℃で、炭素濃度は
0.003%、マンガン濃度は0.30%となり、マン
ガンは酸化せず、安定に炭素濃度0.005%以下に到
達した。この処理後の浸漬管上部の付着溶鋼量を測定し
たところ、0.25tonであった。
【0045】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、従来の真
空脱ガス設備等に大がかりな改造なく、初期に溶鋼上部
から不活性ガスを吹付け、途中から排気を行うことによ
って、通常の真空脱ガス処理のように初期から排気処理
を実施しなくとも、30分程度の脱炭時間で、炭素濃度
0.005%以下の極低炭素鋼の溶製が可能となった。
本発明によれば、従来方法に比較して溶鋼が減圧下に曝
される時間が少なくてすむために地金付着等も少なく、
極低炭素鋼の連続処理が可能である。さらに、排気を必
要とする蒸気やガスの量も減少することができ、また操
業のメンテナンスが非常に容易となり、処理コストの低
下が享受できる。
【0046】このように、本発明によれば、工業的規模
において、容易かつ確実、安価に極低炭素鋼が溶製でき
る等の優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施方法ならびに比較例の一例を示す
説明図である。
【図2】本発明の実施方法ならびに比較例の一例を示す
説明図である。
【図3】本発明の実施方法の一例を示す説明図である。
【図4】本発明の実施方法の一例を示す説明図である。
【図5】本発明の実施方法の一例を示す説明図である。
【図6】本発明の実施方法の一例を示す説明図である。
【図7】本発明の実施方法の一例を示す説明図である。
【図8】本発明の実施方法の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 溶鋼 2 取鍋 3 ポーラスプラグ 4 転炉スラグ 5 浸漬管 6 上吹きランス 7 耐火物製浸漬ランス 8 上部一体浸漬管 9 付着溶鋼

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 取鍋の底部もしくは補助浸漬ランスから
    不活性ガスを吹込み、溶鋼を攪拌して浮上スラグを排除
    し、このスラグ排除域の溶鋼中に単数もしくは複数の浸
    漬管を挿入し、該浸漬管内の溶鋼表面に、初期は大気圧
    下にてランス等を介して不活性ガスを吹付けて脱炭さ
    せ、途中から浸漬管内上部を排気して減圧状態で脱炭さ
    せることを特徴とする極低炭素鋼の溶製方法。
  2. 【請求項2】 取鍋の底部もしくは補助浸漬ランスから
    不活性ガスを吹込み、溶鋼を攪拌して浮上スラグを排除
    し、このスラグ排除域の溶鋼中に単数もしくは複数の浸
    漬管を挿入し、該浸漬管内の溶鋼表面に、初期は大気圧
    下にてランス等を介して不活性ガスを吹付けて脱炭さ
    せ、途中から不活性ガスの吹付けを止めると共に浸漬管
    内上部を排気して減圧状態で脱炭させることを特徴とす
    る極低炭素鋼の溶製方法。
JP22751491A 1991-09-07 1991-09-07 極低炭素鋼の溶製方法 Withdrawn JPH0565521A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22751491A JPH0565521A (ja) 1991-09-07 1991-09-07 極低炭素鋼の溶製方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22751491A JPH0565521A (ja) 1991-09-07 1991-09-07 極低炭素鋼の溶製方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0565521A true JPH0565521A (ja) 1993-03-19

Family

ID=16862097

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP22751491A Withdrawn JPH0565521A (ja) 1991-09-07 1991-09-07 極低炭素鋼の溶製方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0565521A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001303124A (ja) * 2000-04-28 2001-10-31 Nkk Corp 溶鋼の精錬装置および精錬方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001303124A (ja) * 2000-04-28 2001-10-31 Nkk Corp 溶鋼の精錬装置および精錬方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5200380B2 (ja) 溶鋼の脱硫方法
JP2005272958A (ja) 真空脱ガス装置の利用方法
JP4687103B2 (ja) 低炭素アルミキルド鋼の溶製方法
JPH05239534A (ja) 無方向性電磁鋼板材の溶製方法
JPH0565521A (ja) 極低炭素鋼の溶製方法
JP3777630B2 (ja) 溶鋼の昇熱精錬方法
JP2002030330A (ja) 真空精錬炉における溶鋼の加熱方法
JP2724035B2 (ja) 溶鋼の減圧脱炭法
JPH05311228A (ja) 極低炭素鋼の溶製方法
JP2000212641A (ja) 溶鋼の高速真空精錬方法
JPS61235506A (ja) 取鍋内溶鋼の昇熱法
JPH02209414A (ja) 大気圧下における極低炭素鋼の溶製方法
JP2897639B2 (ja) 極低硫鋼の精錬方法
JPH0565526A (ja) 極低炭素鋼の溶製方法
JP3785257B2 (ja) ステンレス鋼の脱ガス精錬方法
JPH0565525A (ja) 極低炭素鋼の溶製方法
JPH0243315A (ja) 環流式溶鋼脱ガス処理方法および装置
JPS63266017A (ja) 取鍋内溶鋼の昇熱精錬方法
JP2000144232A (ja) 高清浄鋼の製造方法
JPH04293711A (ja) 転炉における極低炭素鋼の溶製方法
JPH0633133A (ja) 極低炭素鋼の製造方法
JPH05279723A (ja) 低水素鋼の溶製方法
JPH04318119A (ja) 高清浄度鋼の溶製方法
JPH04246117A (ja) 極低炭素鋼の溶製方法
JPH04254513A (ja) 極低炭素鋼の溶製方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 19981203