JPH05311228A - 極低炭素鋼の溶製方法 - Google Patents

極低炭素鋼の溶製方法

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JPH05311228A
JPH05311228A JP11503492A JP11503492A JPH05311228A JP H05311228 A JPH05311228 A JP H05311228A JP 11503492 A JP11503492 A JP 11503492A JP 11503492 A JP11503492 A JP 11503492A JP H05311228 A JPH05311228 A JP H05311228A
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直人 堤
Yoshimasa Mizukami
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、溶鋼の脱炭処理に際し、従来の真
空脱ガス装置による脱炭処理時間と大差なく、鋼の精錬
が容易に行える脱炭方法を提供する。 【構成】 取鍋の底部もしくは補助浸漬ランスから不活
性ガスを吹き込み、溶鋼表面のスラグを取鍋の壁側に押
しやった状態で、取鍋内に耐火物製の浸漬体を浸漬し、
該浸漬体内のスラグを除去した未脱酸状態の溶鋼の表面
に、浸漬体内部の上方から水素を含有した不活性ガスを
吹き付け、脱炭する。従来のように、大がかりな真空脱
ガス装置を用いることなく、浸漬体内に付着する地金も
少なく、かつ溶鋼量が少ない場合でも温度降下が少な
く、安定に極低炭素領域まで脱炭することができる。 【効果】 処理装置のメンテナンスが容易で、確実かつ
安価に極低炭素鋼が溶製できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、極低炭素鋼の溶製方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車用鋼板等、プレス加工が施
される薄板用鋼板において、その加工性を高めるため
に、鋼板中の炭素濃度を極力低下させた極低炭素鋼が用
いられるようになった。従来、この極低炭素鋼を溶製す
るためには、転炉等で炭素濃度を0.04%程度まで脱
炭させた溶鋼を未脱酸の状態で取鍋等の容器に受鋼した
後に、RH法やDH法といった排気装置を有する真空脱
ガス装置を用い、溶鋼の一部分を真空雰囲気中に配置し
て気体側の圧力を低下させることで、気体と溶鋼の界面
のCOガス分圧を低下させる条件下において、次式に示
す溶鋼中の炭素と酸素を反応させる方法にて脱炭した
後、目標の溶鋼成分となるように、合金を添加して調整
を行う溶製方法が広く行われている。
【0003】 〔C〕+〔O〕→CO(gas)…………(1) 一般に溶鋼を脱炭する場合、(1)式で示したように溶
鋼中の炭素を酸素と反応させてCOガスを生成させ、こ
のCOガスを気体側に除去する方法が用いられる。この
脱炭反応を進めさせるためには、溶鋼中に酸素が必要で
あり、このため、炭素濃度が高い溶鋼に対しては、一般
には酸素を上方や下方から、あるいは上下方向から同時
に供給する純酸素転炉方式が採用されている。
【0004】しかし、この方法では溶鋼中の炭素濃度が
0.04%程度以下となると、脱炭の進行が停滞し、む
しろ鉄の酸化が生じて溶鋼の歩留りが低下したり、溶鋼
中の有効な成分であるマンガン濃度の低下を招く等の問
題がある。そこで、この炭素濃度以下でも、鉄が酸化せ
ず溶鋼中の炭素が優先的に酸化するように、気体ないし
は固体状の酸化源を供給して溶鋼中の酸素濃度を増加さ
せると同時に、気体側の一酸化炭素の分圧を低下させる
ことにより、(1)式の反応を右の方向へ進行させる方
法として、上述の真空脱ガス装置が広く普及しているわ
けである。
【0005】つまり、次に示す(2)式において、気体
側の一酸化炭素の分圧PCOを小さくすれば、同じ溶鋼中
酸素濃度であっても、炭素濃度をより小さくすることが
できるわけである。 〔C〕=PCO/K・〔O〕………… (2) PCO:気体側の一酸化炭素の分圧 〔C〕:溶鋼中の炭素濃度 〔O〕:溶鋼中の酸素濃度 K:反応の平衡定数 本法によれば、真空度が高いほど(1)式で示す右方向
への脱炭反応が進行するため、現在工業的に、真空脱ガ
ス装置において溶鋼表面を極力高い真空下に維持するこ
とで、炭素濃度0.005%以下という極低炭素鋼の溶
製が可能となっている。
【0006】ここで、脱炭速度をより短縮するために、
この真空脱ガス装置において、酸素あるいは二酸化炭素
等の酸化性ガスないしは酸化鉄等の固体状酸化源を添加
する方法(例えば特開昭49−34414号公報、特開
昭51−151211号公報、特開昭51−15121
2号公報)、反応の界面積を大きくするため大量のガス
を溶鋼中に吹き込む方法(特開昭52−5641号公
報)等が開発されてきた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記真空脱ガス装置を
用いた極低炭素鋼溶製方法は、炭素濃度を低下せしめる
ために平衡論的に非常に有効な方法であり、現在広く普
及しているが、先に述べたように溶鋼の一部分を高い減
圧状態に接触させるために、非常に大がかりで高価な真
空装置が必要であり、また減圧下で溶鋼を処理すること
から、耐火物等が溶損し、さらに高温下において減圧状
態を維持するために、各嵌合部の密着性を高めるための
きめ細かなメンテナンスを要する。
【0008】また、溶鋼が減圧状態にさらされた状態で
ガスを溶鋼中に吹き込むと、ガスが溶鋼表面から離脱す
る際に急激に膨張し、溶鋼が周辺の密閉容器内に飛び散
るため、容器内に地金と称する凝固した鋼が付着し、溶
鋼の歩留りを低下させるばかりか、この付着地金の除去
に多大な労力を要する。さらに、溶鋼を減圧状態にする
ための装置は、勿論予熱を充分行った状態で使用される
が、装置全体が大きなために、全体を均一に一定温度ま
で予熱することが難しく、脱炭処理開始時点では、溶鋼
の温度降下が大きい。このため、脱炭処理を行った溶鋼
を、次の工程である連続鋳造等のプロセスで安定に鋳造
するためには、脱炭処理時の温度降下分を補償する必要
がある等、処理費用が高くなるという問題点がある。
【0009】上記のような問題点に鑑み、本発明はこれ
ら問題点を解決し、安価な設備で、従来行われている真
空脱ガス装置で溶製される場合と同等の極低炭素鋼の溶
製方法を提供するために開発されたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは下記のとおりである。 (1)取鍋の底部もしくは補助浸漬ランスからガスを吹
き込み、溶鋼表面のスラグを取鍋の側壁側に押しやった
状態で取鍋内に耐火物製の浸漬体を浸漬し、該浸漬体内
のスラグを除去した未脱酸状態の溶鋼の表面に、浸漬体
内部の上方から水素を含有した不活性ガスを吹き付け、
脱炭することを特徴とする極低炭素鋼の溶製方法。
【0011】(2)上記脱炭中の溶鋼の酸素濃度を40
0ppm以上、1000ppm以下の範囲内に制御する
ことを特徴とする前項1記載の極低炭素鋼の溶製方法。 (3)溶鋼中の炭素濃度が0.01%以下の領域で、浸
漬管内部の上方から水素を含有した不活性ガスを吹き付
け、脱炭することを特徴とする前項1記載の極低炭素鋼
の溶製方法。
【0012】
【作用】本発明者等は、従来の大がかりな真空脱ガス装
置を用いることなく溶鋼中の炭素濃度を極低炭素領域ま
で脱炭する方法について研究開発を進め、溶鋼と気体の
界面の一酸化炭素ガスの分圧を低下させるために、高価
かつ大がかりな真空装置を用いなくとも、アルゴンや窒
素等の不活性ガスを界面に吹き付け、界面から一酸化炭
素ガスを除去し、その分圧を低下させれば、大気圧下に
おいても炭素濃度0.005%以下まで脱炭反応は充分
に進行し、極低炭素鋼の溶製が可能であることを見出
し、取鍋内溶鋼表面上の酸化性スラグの占める面積を2
0%以下に減少せしめた炭素濃度0.04〜0.02%
の溶鋼表面上に、酸素分圧0.5〜0.01気圧に調整
した酸化性ガスと不活性ガスの混合ガスを吹き付け、溶
鋼の酸化を抑制しつつ脱炭すれば、炭素濃度0.02%
以下の極低炭素鋼の溶製が可能であることを提案(特願
昭63−153454号)した。
【0013】このような研究結果に基づき、本発明者等
はさらにこの脱炭に要する時間を短縮するため、ないし
は到達する炭素濃度をより一層低下させるために研究開
発を進めた結果、取鍋の底部もしくは補助浸漬ランスか
らガスを吹き込み、溶鋼表面のスラグを取鍋の側壁側に
押しやった状態で、取鍋内に耐火物製の浸漬体を浸漬
し、該浸漬体内のスラグを除去した、未脱酸状態の溶鋼
の表面に、浸漬体内部の上方から水素を含有した不活性
ガスを吹き付けることで、脱炭速度を高位に維持し、脱
炭時間が短縮できることを見出し、本発明を創案するに
至った。
【0014】本発明の作用のうち、水素を含有した不活
性ガスを吹き付ける理由について以下に説明する。先に
(2)式に示した溶鋼中の炭素濃度と酸素濃度の関係に
基づけば、溶鋼中の酸素濃度を高くすればするほど、平
衡する炭素濃度が低くできるため、脱炭による到達炭素
濃度を低く、あるいは脱炭速度を大きくすることが可能
と考えられる。しかしながら、この脱炭の酸化源でもあ
る溶鋼中の酸素は、表面活性な性質を有する元素として
知られており、炭素が酸素と反応してCOガスとなる、
脱炭の反応場所である溶鋼と気体の界面に、溶鋼中の平
均濃度よりも過剰に存在してしまう結果、脱炭に必要な
元素にもかかわらず、逆に脱炭反応を遅くしてしまう阻
害作用を有することが明らかにされつつある(例えば材
料とプロセス、vol.3(1990),p−14
4)。
【0015】そこで本発明者らは、平衡論的な見地から
は、溶鋼中の酸素濃度を高位に保ち、到達しうる炭素濃
度を低くしておき、一方で脱炭反応の速度論的な見地か
らは、溶鋼と気体の界面に過剰に存在して脱炭反応その
ものを阻害する酸素の悪影響を抑制するため、最適な酸
素濃度に維持できないかと考え、脱炭反応が起こる溶鋼
と気体の界面に存在する過剰な酸素のみを還元、除去す
る目的から、上部から吹き付けるガスとして水素を含む
アルゴンガスを吹き付けた結果、溶鋼中の酸素濃度が高
くても、図1に示すようにアルゴンガス単独に比べて、
脱炭反応の速度を大きくできることを確認した。
【0016】この際、脱炭中の溶鋼中水素濃度はほとん
ど変化していないことから、この水素を含有するアルゴ
ンガス吹き付けによる脱炭の促進効果は、例えば脱炭反
応と同時に脱水素反応が起こったため生じる水素ガスに
よって脱炭反応の界面積が増加したことによるものでは
ないことを示している。ここで、吹き付けるガス中の水
素の濃度としては、吹き付けガス量にもよるが、2%程
度の濃度でもその効果は十分にあり、逆に高すぎると界
面の酸素濃度を低下させてしまうことから、20%以上
の組成の場合には、効果はそれ以下の場合とほぼ同等で
ある。
【0017】溶鋼の表面にガスを吹き付ける方法として
は、上部からのランスによる吹き付けが一般的である
が、例えば浸漬体の側壁に設けたガス吹き出し用の羽口
から、溶鋼の表面上に向かって吹き付けても構わない。
この場合、上部からの吹き付けガスが、スラグを除去し
た溶鋼表面の極力広い範囲に作用することが望ましい。
また、水素を含有する不活性ガスとしては、アルゴンガ
スが一般的であるが、ヘリウムガス等も使用が可能であ
るし、鋼の材質上問題がなければ窒素ガスの使用も可能
であり、これらのガスを混合しても構わない。
【0018】以上の方法で、脱炭反応を進行させるため
には、先に(1)式にも示したように、炭素を酸化させ
る酸素が必要である。このため、脱炭を開始する前の溶
鋼の酸素濃度としては、通常の転炉吹錬で炭素濃度0.
04〜0.02%で吹き止め、未脱酸で出鋼した状態の
400ppm程度以上を必要とする。ここで、脱炭の進
行に伴って溶鋼中の酸素濃度は減少するため、その濃度
を随時測定しながら、濃度が減少した時点で、ガスを吹
き付ける浸漬体内の溶鋼表面に新たに酸化物が蓄積して
脱炭の反応界面積が減少することがないように酸素を供
給して、その濃度を400〜1000ppmの範囲に制
御することが有効である。
【0019】ここで、脱炭処理中の酸素濃度については
その値を高くしたほうが平衡論的に有利ではあるが、脱
炭処理を終了した後、アルミニウム等の脱酸剤を添加し
た際に発生する酸化物が、後の工程で非金属介在物とし
て鋳片(鋼塊)中に残存すると、製品の品質上有害な欠
陥の原因につながるために、1000ppm以下である
ことが好ましい。
【0020】この、浸漬体内の溶鋼表面には新たに酸化
物が蓄積しないように溶鋼中の酸素濃度を調整する方法
としては、純酸素ガス、空気、二酸化炭素ガス、水蒸気
等の単独ガスやこれらの酸化性ガスと一酸化炭素ガスの
混合ガス、ないしはこれらの酸化性ガスと不活性ガスの
混合ガスを、耐火物製の補助浸漬ランス等を介して溶鋼
の内部に吹き込みながら供給する方法や、同じく耐火物
製の補助浸漬ランスを介して、酸化鉄や酸化マンガン等
の固体状酸化源の単体または混合物、あるいはこれらの
成分を含む鉱石等を、不活性ガス等を用いて供給する方
法等が考えられる。こうして、酸化源を溶鋼の内部に供
給する場合、酸素濃度をほぼ一定に制御できるように、
少しずつ連続的に供給してもよいし、また耐火物製の浸
漬ランスの寿命を長くするために、短時間にある程度の
酸素量を一括的に供給しても構わない。
【0021】次に、上記水素を含有した不活性ガスを吹
き付ける時期としては、脱炭処理を開始する時点から吹
き付けてもその効果を享受できるが、炭素濃度が0.0
1%以下の領域で行うことがより有効である。その理由
として、一般に脱炭反応は炭素濃度に対して一次反応の
形式で進行するため、その反応速度は溶鋼中の炭素濃度
に比例すると言われており、従って脱炭初期の炭素濃度
が高い場合には、そもそも大きな脱炭速度が確保でき
る。この場合、溶鋼とガスの反応界面で、酸素は随時、
炭素の酸化に消費されるため、脱炭速度への影響も少な
い。
【0022】一方で、炭素濃度が0.01%以下に低下
すると脱炭速度が低下することによって、溶鋼と気体の
界面での脱炭による酸素の消費も遅くなるために、界面
に過剰に集積する酸素の影響が顕著となる。この状態で
は、上部から吹き付けるガス中に含まれた水素が、脱炭
により有効にその効果を発揮するわけである。以上のよ
うな理由から、溶鋼中の酸素濃度はその濃度に平衡する
炭素濃度の値を低位とできるように最適濃度に維持しつ
つ、かつ脱炭が進行する溶鋼と気体の界面の酸素濃度を
最適に制御し、常に脱炭速度を高位に維持することがで
きるわけである。
【0023】以上の方法を用いて、炭素濃度を極力低く
まで、かつ短い時間内で進行させたい場合には、ガスの
吹き付けにより脱炭が進行する反応界面積をより大きく
するために、酸化性スラグが占める溶鋼表面積の大きさ
をより小さくする(浸漬体の径を大きくする)こと、ま
た反応の界面に溶鋼中の炭素が常に供給されるように溶
鋼を強く攪拌することが効果的であることは言うまでも
ない、ここで溶鋼を攪拌するためには、取鍋の底部ある
いは補助的に浸漬した耐火物製ランスから供給するガス
の量を大きくするほうが好ましく、またこのためのガス
は不活性ガスが一般的であるが、前記した酸素濃度を制
御するための純酸素ガス、空気、二酸化炭素ガス、水蒸
気等の単独ガスや、これらの酸化性ガスと一酸化炭素ガ
スとの混合ガス、あるいはこれら酸化性ガスと不活性ガ
スの混合ガスを用いても構わないし、酸化鉄等の固体状
酸化源を溶鋼の内部に供給するための不活性ガスを兼用
しても構わない。
【0024】また、溶鋼中の酸素濃度が上記の最適な範
囲内にあれば、この吹き込みガス中に、吹き付けガスと
同様の水素を含有したガスを吹き込むことも可能であ
る。以下、本発明例および比較例を図2ならびに表1を
用いて説明する。
【0025】
【実施例】転炉において、溶銑から炭素0.02〜4
%、マンガン0.20%以下に溶製した160tonの
溶鋼1を、取鍋2に未脱酸状態で出鋼した。出鋼後の取
鍋内溶鋼の酸素濃度は400〜600ppmで、その温
度は1620〜1650℃であった。
【0026】その後、取鍋の底部に配置した耐火物製の
ポーラスプラグ3から、Arガスを30Nm3 /hrの
流量で吹き込み、取鍋内の転炉から流出した酸化性スラ
グ4を取鍋の内壁部へ押しやった状態で、図2に示すよ
うにリング状の耐火物製の浸漬フード5を浸漬し、フー
ド内にスラグ4がない状態を確保した。次に、浸漬フー
ド内の、溶鋼表面から1.2mの高さに、上吹きランス
6を配置し、水素ガス10%を含むArガス7を、流量
2000Nm3 /hrで溶鋼表面に吹き付けて、脱炭処
理を30分間行った。
【0027】この間、取鍋底部からはArガスを30N
3 /hrの流量で吹き込み続け、攪拌を行った。脱炭
処理に伴い、酸素濃度を測定し、酸素濃度が400pp
mよりも低くなった場合には、浸漬管フード5の外側か
ら浸漬した補助ランス8から、純酸素ガスとArガスの
混合ガス9を適宜吹き込み、酸素濃度を400〜800
ppmの範囲に制御した。
【0028】
【比較例】前記実施例とほぼ同様の条件にて、浸漬フー
ド5の内部の溶鋼の表面に吹き付けるガス7として、水
素を含有しないアルゴンガスを用いて脱炭処理を行っ
た。以上の実施例および比較例によって処理された溶鋼
の各10チャージにおける到達炭素の平均濃度ならびに
その標準偏差を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】表1から、いずれの方法でも安定に脱炭は
進行しているが、本発明の実施例では、処理終了後の炭
素濃度が比較例よりも低く、かつ炭素濃度のばらつきも
少なく、水素を含む不活性ガス吹き付けが有効であるこ
とが判る。
【0031】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、従来の
高価かつ大がかりで、きめ細かなメンテナンスが必要な
真空脱ガス装置を用いた極低炭素鋼の溶製方法に比較し
て、このような脱ガス設備等の改造や新設等が必要でな
く、単に溶鋼表面のスラグを減少せしめ、かつ吹き付け
る不活性ガスにわずかの水素を含有させることで、不活
性ガス吹き付けに比較してより低い炭素濃度の溶鋼を、
通常の真空脱ガス装置を用いた場合と遜色ない脱炭時間
で溶製することが可能となった。
【0032】本発明によれば、従来の真空脱ガス装置を
用いた方法に比較して、溶鋼の温度降下も少なく、また
地金付着等も少なく、かつ地金除去等も、浸漬管内に付
着したもののみを除去すればよく、メンテナンスが非常
に容易となり、処理コストの低下が享受できる。また、
初期の炭素濃度が0.04%以上の溶鋼に対して、必要
な炭素濃度まで脱炭を行うことも、従来のように真空脱
ガス装置を用いることなく溶製できることは言うまでも
ない。
【0033】このように本発明によれば、工業的規模に
おいて、容易かつ確実、安価に極低炭素鋼が溶製できる
等の優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の脱炭速度を示す説明図である。
【図2】本発明の実施例ならびに比較例の方法を示す説
明図である。
【符号の説明】
1 溶鋼 2 取鍋 3 ポーラスプラグ 4 スラグ 5 耐火物製浸漬フード 6 上吹きランス 7 吹き付けガス 8 補助浸漬ランス 9 酸化性ガス

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 取鍋の底部もしくは補助浸漬ランスから
    ガスを吹き込み、溶鋼表面のスラグを取鍋の側壁側に押
    しやった状態で取鍋内に耐火物製の浸漬体を浸漬し、該
    浸漬体内のスラグを除去した未脱酸状態の溶鋼の表面
    に、浸漬体内部の上方から水素を含有した不活性ガスを
    吹き付け、脱炭することを特徴とする極低炭素鋼の溶製
    方法。
  2. 【請求項2】 上記脱炭中の溶鋼の酸素濃度を400p
    pm以上、1000ppm以下の範囲内に制御すること
    を特徴とする請求項1記載の極低炭素鋼の溶製方法。
  3. 【請求項3】 上記溶鋼中の炭素濃度が0.01%以下
    の領域で、浸漬体内部の上方から水素を含有した不活性
    ガスを吹き付け、脱炭することを特徴とする請求項1記
    載の極低炭素鋼の溶製方法。
JP11503492A 1992-05-07 1992-05-07 極低炭素鋼の溶製方法 Withdrawn JPH05311228A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08291319A (ja) * 1995-04-20 1996-11-05 Nippon Steel Corp 極低炭素鋼の溶製方法
KR100391908B1 (ko) * 1999-11-30 2003-07-16 주식회사 포스코 냉간상태에서 가공성이 우수한 심가공용 극저탄소강의제조방법

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KR100391908B1 (ko) * 1999-11-30 2003-07-16 주식회사 포스코 냉간상태에서 가공성이 우수한 심가공용 극저탄소강의제조방법

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