JPH0565451A - 水滴除去性を有する車輌用物品 - Google Patents

水滴除去性を有する車輌用物品

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JPH0565451A
JPH0565451A JP25455591A JP25455591A JPH0565451A JP H0565451 A JPH0565451 A JP H0565451A JP 25455591 A JP25455591 A JP 25455591A JP 25455591 A JP25455591 A JP 25455591A JP H0565451 A JPH0565451 A JP H0565451A
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formula
vehicle article
silyl group
film
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Withdrawn
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JP25455591A
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English (en)
Inventor
Toru Ishida
徹 石田
Takashige Yoneda
貴重 米田
Tsuneo Wakabayashi
常生 若林
Shunichi Kodama
俊一 児玉
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AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】水滴除去性を有し、耐摩耗性、耐薬品性、耐候
性に優れることで、その効果が半永久的に持続する車輌
用物品を提供する。 【構成】ビニロキシシラン、アリロキシシランまたはイ
ソプロペノキシシランなどのシラン系単量体を必須共重
合成分とするシリル基を有するフルオロオレフィン系共
重合体を必須成分として含有する組成物の皮膜が表面に
形成されてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水滴除去性を有する車
輌用物品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車輌用物品の表面の外観が、ほこり、汚
れの付着、また、雨滴、大気中の温度、湿度の影響によ
る水分の凝縮等によって損なわれることは、それらが人
の目に直接触れることから不快感を与えるとともに衛生
的問題も生じ、さらには車輌用物品表面が有する本来の
機能を著しく低下させることになる。特に、車輌用物品
が透明性、透視野性を要求される部位である場合には、
この種の現象は本来の目的すら達成できないことに通
じ、電車、自動車、船舶、航空機等において重大事故を
誘発する原因ともなり兼ねない。
【0003】車輌用物品においてその表面に付着したほ
こり、汚れ、水滴などを除去しようとする強い払拭は、
逆に、表面に微細な傷を付けることにもなる。また、水
分に伴われる異物粒子によってかかる損傷を一層著しい
ものとすることもある。例えば、車輌用物品として各種
透視野部に好適に用いられるガラス表面に水分が凝集し
たり水によって濡れた場合には、これら水分中にガラス
成分が溶出しアルカリ性となるため表面が容易に浸食さ
れていわゆる焼けを生じるということはよく知られてい
ることである。焼けが激しく生じたガラス、あるいは焼
けを除去しようとして表面に微細な凸凹を生じたガラス
を透視野部に装着したままの車輌では、本来の機能が低
下し、また、その表面で光の散乱が激しく視野確保の点
で不都合が生じるため安全性に問題がある。
【0004】その他にも、水分は車輌用物品の表面に付
着することによって有害な影響を与え、損傷、汚染、着
色、腐食等を促進させ、また、電気的特性、機械的特
性、光学的特性等の変化を誘発することにもなる。
【0005】このような現状において車輌用物品表面で
の水滴除去性は強く求められているところである。従来
から表面を水滴除去性にすることによって、例えばシリ
コン系ワックス、ポリシロキサンからなるシリコン油や
界面活性剤などを直接塗布する表面処理剤が提案されて
いる。然るに、これらは塗布に伴う前処理を必要とする
ものが多く、且つ塗布時に発生する塗布ムラ、あるいは
処理剤自身の基材への付着性が低いことによる長期耐久
性、並びに水滴除去性を満足し得るには至らず、しかも
使用範囲が限定されていた。
【0006】また、水分の悪影響を考慮した際には、今
後製作される車輌用物品はもちろんのこと、既に使用さ
れている車輌用物品に対しても対策をこうじる必要があ
るが、この場合には各部位に常温で直接処理するだけで
水滴除去性を付与する必要がある。例えば、既に市販さ
れている自動車用フロントガラスにこうした処理を行う
ことを考えた場合、経済的に各自動車のフロントガラス
を入れ替えるわけにもいかず、また、塗布後自動車全体
を焼成することも現実的には不可能である。この観点か
らも従来提案されている処理剤では対応が困難であると
いうのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の如き
問題点に鑑みなされたものであり、従来の提案が有して
いた欠点を解消し得る処理剤の研究、検討の過程におい
て、多種類の基材に応用が可能であり、優れた水滴除去
性を発現する処理剤を見いだし、しかも、該処理剤で処
理した各種基材は水滴除去性を有する基材として、特に
車輌用物品として極めて好適であることが確認され、本
発明を完成するに至ったものである。
【0008】従って、本発明は水滴除去性を有し、耐摩
耗性、耐薬品性、耐候性に優れることで、その効果が半
永久的に持続する車輌用物品の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は上記目標
を達成するために、車輌用物品に、式a)で表されるフ
ルオロオレフィン系重合単位を40〜60モル%、式
b)で表されるシリル基を含有する重合単位を0.5〜
60モル%、式c)で表されるビニル系重合単位を0〜
55モル%、式d)で表される硬化反応性部位を有する
重合単位を0〜55モル%含有する、シリル基を有する
含フッ素共重合体を必須成分として含有する組成物の被
膜が表面に形成されてなることを特徴とする車輌用物品
を提供するものである。(ただし、式a)、式b)、式
c)および式d)において、Xはフッ素、塩素、炭素数
1〜8のパーフルオロアルキル基または炭素数1〜8の
パーフルオロアルコキシ基を表す。R1 は水素またはメ
チル基を表す。R2 は1価の炭化水素基を表す。Yはオ
ルガノシロキシ基またはフルオロアルキル基を表す。k
は0または1を表す。mは0〜3の整数を表す。R3
水素またはメチル基を表す。R4 は炭素数1〜12のア
ルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基または炭
素数2〜10のフルオロアルキル基を表す。pは0また
は1を表す。qは0または1を表す。R5 は水素または
メチル基を表す。R6 は2価の有機基を表す。rは0ま
たは1を表す。Zは硬化反応性部位を表す。)
【0010】
【化7】
【0011】
【化8】
【0012】
【化9】
【0013】
【化10】
【0014】以下、本発明の構成要素について詳細に記
述する。本発明において、高い撥水性を実現するための
鍵となる技術は、以下に示される式b)で表されるシリ
ル基を含有する重合単位と式a)で表されるフルオロオ
レフィン系重合単位とを含有するという点にある。
【0015】後述の式b´)のシリル基を含有するビニ
ル系単量体は、単独で重合して得られる重合体、及びフ
ルオロオレフィン以外のビニル系単量体と共重合して得
られる共重合体が、容易に加水分解してしまうことが知
られており(S.Murahashi,S.Nozakura et al.,J.Polyme
r Sci.(B),3,245(1965) )、塗料用の樹脂としては使用
できなかったが、この単量体とフルオロオレフィンとの
共重合体が、意外なことに非常に加水分解しにくく、特
開昭57-34107号、特開昭58-136662 号公報に示されるよ
うな、フルオロオレフィン、シクロヘキシルビニルエー
テル、アルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビ
ニルエーテル共重合体に代表される含フッ素共重合体と
同等の耐酸性、耐アルカリ性、その他の耐薬品性を有す
ることが、実施例に示される実験により発見された。
【0016】また、このシリル基を有する含フッ素共重
合体を配合してなる組成物から得られる被膜は、耐候
性、高い撥水性、耐溶剤性、耐摩耗性、耐薬品性を有す
ることを知った。
【0017】本発明のシリル基を有する含フッ素共重合
体は、次の式a´)、式b´)、式c´)および式d
´)で表わされる単量体を共重合することにより得るこ
とができる。また、必要により、各単量体の一部を保護
した後重合し、重合後その保護を解除してもよい。
【0018】式a´) CF2 =CFX (ただし、X
はフッ素、塩素、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル
基または炭素数1〜8のパーフルオロアルコキシ基を表
す。)
【0019】式b´) CH2 =CR1 (CH2k
Si (R2m(3-m) (ただし、R1 は水素または
メチル基を表す。R2 は1価の炭化水素基を表す。Yは
オルガノシロキシ基またはフルオロアルキル基を表す。
kは0または1を表す。mは0〜3の整数を表す。)
【0020】式c´) CH2 =CR3 (CH2p
(C=O)q4 (ただし、R3は水素またはメチル
基を表す。R4 は炭素数1〜12のアルキル基、炭素数
3〜12のシクロアルキル基または炭素数2〜10のフ
ルオロアルキル基を表す。pは0または1を表す。qは
0または1を表す。)
【0021】式d´) CH2 =CR5 (CH2r
6 Z (ただし、R5 は水素またはメチル基を表す。
6 は2価の有機基を表す。炭素数1〜12のアルキル
基、シクロアルキル基またはアリール基、(ポリ)アル
キレン基、(ポリ)オキシエチレン基、(ポリ)オキシ
プロピレン基、(ポリ)エステル基、(ポリ)オルガノ
シロキシ基を表す。rは0または1を表す。Zは硬化反
応性部位を表す。)
【0022】ここで、式a)で表されるフルオロオレフ
ィン系重合単位が上記範囲よりも少ない場合には、車輌
用物品の被膜が十分な耐候性が得られず、好ましくな
い。また、多すぎると、各種溶剤に対する溶解性が低下
し、車輌用物品に被膜を形成するための作業が難しくな
る。
【0023】ここで、式a´)で表されるフルオロオレ
フィン系単量体としては、テトラフルオロエチレン、ク
ロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、フ
ッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、ペンタフ
ルオロプロピレンなどの炭素数2〜4程度のフルオロオ
レフィンや、パーフルオロプロピルビニルエーテル、パ
ーフルオロ−2−メチル−3−オキサヘキシルビニルエ
ーテルのごとき、Xが炭素数1〜8程度で、直鎖状、分
岐状または環状のパーフルオロビニルエーテルが挙げら
れる。
【0024】また、式b)で表されるシリル基を含有す
る重合単位が上記範囲より少ない場合には、被膜の撥水
性が十分なものが得られず、また多すぎると十分な耐候
性が得られず、好ましくない。式b)で表されるシリル
基を含有する重合単位の特に好ましい範囲は、5〜40
モル%である。
【0025】ここで、式b´)で表されるシリル基を含
有するビニル系単量体としては、R2 が1種または2種
以上のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基また
はアラルキル基のものが好ましい。特に、R2が炭素数
1〜6程度のアルキル基、シクロアルキル基またはアリ
ール基のものが好ましい。
【0026】式b´)で表されるシリル基を含有するビ
ニル系単量体として好適な化合物として、ビニロキシト
リメチルシラン、ビニロキシエチルジメチルシラン、ビ
ニロキシヘキシルジメチルシラン、ビニロキシシクロヘ
キシルジメチルシラン、ビニロキシフェニルジメチルシ
ラン、イソプロペノキシトリメチルシラン、イソプロペ
ノキシエチルジメチルシラン、イソプロペノキシヘキシ
ルジメチルシラン、イソプロペノキシシクロヘキシルジ
メチルシラン、イソプロペノキシフェニルジメチルシラ
ンなどの、ケイ素原子上にビニロキシ基またはイソプロ
ペノキシ基とアルキル基、またはフェニル基を有するも
のや、ビニロキシペンタメチルジシロキサン、ビニロキ
シヘプタメチルトリシロキサン、イソプロペノキシペン
タメチルジシロキサン、イソプロペノキシヘプタメチル
トリシロキサンなどの、ケイ素原子上にビニロキシ基ま
たはイソプロペノキシ基と(ポリ)オルガノシロキシ基
を有するもの、1H,1H,2H,2H−パーフルオロ
デシルジメチルシリルビニルエーテル、1H,1H,2
H,2H−パーフルオロデシルジメチルシリルイソプロ
ペニルエーテルなどの、ビニロキシ基またはイソプロペ
ノキシ基とポリフルオロアルキル基を含有するシラン化
合物、また、トリメチルシリルアリルエーテルなどの、
アリルシリルエーテル類などが挙げられる。
【0027】また、式c)で表されるビニル系重合単位
が上記範囲よりも少ないと被膜の性質が十分なものとな
らず、多すぎると、被膜の耐候性などが低下することが
あり、好ましくない。式c)で表されるビニル系重合単
位の特に好適な範囲は、5〜35モル%である。
【0028】式c´)で表されるビニル系単量体として
は、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プ
ロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロ
ヘキシルビニルエーテル、などのビニルエーテル類;メ
チルイソプロペニルエーテル、エチルイソプロペニルエ
ーテル、プロピルイソプロペニルエーテル、ブチルイソ
プロペニルエーテル、シクロヘキシルイソプロペニルエ
ーテル、などのイソプロペニルエーテル類;酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニ
ル、カプリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、酢酸イソ
プロペニル、プロピオン酸イソプロペニル、酪酸イソプ
ロペニルなどの直鎖状のカルボン酸ビニルまたはカルボ
ン酸イソペニル類;エチルアリルエーテル、プロピルア
リルエーテル、ブチルアリルエーテル、イソブチルアリ
ルエーテルなどのアリルエーテル類;エチルアリルエス
テル、プロピルアリルエステル、ブチルアリルエステ
ル、イソブチルアリルエステル、シクロヘキシルアリル
エステルなどのアルキルアリルエステル類などが挙げら
れる。
【0029】中でも、特にビニルエーテル類、イソプロ
ぺニルエーテル類がフルオロオレフィンとの交互共重合
性が良く、好ましい。
【0030】また、式d)で表される硬化反応性部位を
有する重合単位が上記範囲よりも少ない場合には、車輌
用物品の被膜を形成した場合に耐溶剤性が低下すること
があり、好ましくない。また、多すぎる場合には、被膜
が固く、脆いものになったり、硬化塗膜中に残存する水
酸基が撥水性を低下させる原因になったりすることがあ
り、好ましくない。式d)で表される硬化反応性部位を
有する重合単位の特に好適な範囲としては、5〜20モ
ル%である。
【0031】中でも、特にビニロキシトリメチルシラ
ン、イソプロペノキシトリメチルシランは、原料が安価
で、合成法も容易(例えば、P.Cazeau et al, Tetrahed
oron Vol.43, No.9, pp.2075 (1987) に記載の方法)で
ある上、撥水性も高いので好適である。
【0032】式d´)で表される硬化反応性部位を有す
るビニル系単量体の硬化反応性部位としては、ヒドロキ
シル基、カルボキシル基、酸アミド基、アミノ基、メル
カプト基、β−ケトエステル基、シラノール基などの活
性水素基や、エポキシ基、炭素−炭素不飽和基、臭素、
ヨウ素などの活性ハロゲン基、アルコキシシリル基など
の加水分解性シリル基などが挙げられる。
【0033】これらのうち、活性水素含有基は通常硬化
剤として使用されるイソシアネート系硬化剤、アミノプ
ラスト系硬化剤などとの反応性に優れるという点におい
て好ましく、特にヒドロキシル基が好適である。ただ
し、活性水素基は、式b´)で表されるシリル基を含有
するビニル系単量体と反応してしまうので、式d´)で
表される単量体をシリル基などで保護してから共重合
し、重合後、脱保護する必要がある。
【0034】また、式d´)で表される硬化反応性部位
を有するビニル系単量体の、R6 としては、アルキレン
基、シクロアルキレン基、アリーレン基、(ポリ)オキ
シアルキレン基、(ポリ)エステル鎖、(ポリ)シロキ
シ基が好適である。また、R6 の鎖長を長くすると、柔
軟な被膜を得ることができるが、長くなり過ぎると耐候
性や被膜硬度が低下することがあり好ましくない。ま
た、短か過ぎると硬化反応性部位の反応性が低くなり硬
化被膜を得難くなることがあるので注意を要する。好適
には、R6 の鎖を1〜20、特には、2〜12の原子の
結合にすることが好ましい。
【0035】かかる硬化反応性部位を有するビニル系単
量体としては、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、
3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキ
シブチルビニルエーテル、9−ヒドロキシノニルビニル
エーテル、1−ヒドロキシメチル−4−ビニロキシメチ
ルシクロヘキサン、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピ
ルビニルエーテルなどのヒドロキシアルキルビニルエー
テル類;2−ヒドロキシエチルイソプロペニルエーテ
ル、3−ヒドロキシプロピルイソプロペニルエーテル、
4−ヒドロキシブチルイソプロペニルエーテル、9−ヒ
ドロキシノニルイソプロペニルエーテル、1−ヒドロキ
シメチル−4−イソプロペノキシメチルシクロヘキサ
ン、3−ヒドロキシ−2−クロロプロピルイソプロペニ
ルエーテルなどのヒドロキシアルキルイソプロペニルエ
ーテル類;2−ヒドロキシエチルアリルエーテルなどの
ヒドロキシアルキルアリルエーテル類;化11、化1
2、化13、化14などの片末端にビニロキシ基または
イソプロペノキシ基またはアリルオキシ基と、他端にヒ
ドロキシル基とを有するポリエーテルマクロモノマー
類;化15などの片末端にビニロキシ基またはイソプロ
ペノキシ基と、他端にヒドロキシル基とを有するポリエ
ステルマクロモノマー類;化16などの片末端にビニロ
キシ基またはイソプロペノキシ基と、他端にヒドロキシ
ル基とを有するポリシロキサンマクロモノマー類;化1
7などの片末端にビニロキシ基またはイソプロペノキシ
基と、他端にカルボキシル基とを有する単量体;化18
などの片末端にビニロキシ基またはイソプロペノキシ基
と、他端にβ−ケトエステル基とを有する単量体;など
の活性水素を有するビニル系単量体が挙げられる。
【0036】
【化11】
【0037】
【化12】
【0038】
【化13】
【0039】
【化14】
【0040】
【化15】
【0041】
【化16】
【0042】
【化17】
【0043】
【化18】
【0044】(化11におけるR1 は水素またはメチル
基、kは1〜10、mは1〜4、nは2〜20の整数で
あり、化12におけるkは1〜10、mは1〜4、nは
2〜20の整数であり、化13におけるR1 は水素また
はメチル基、kは1〜10、mは1〜4、nは0〜20
の整数であり、オキシエチレン単位及びオキシプロピレ
ン単位はブロック、ランダムのいずれの型で配列されて
いてもよい、化14におけるkは1〜10、mは1〜
4、nは0〜20の整数であり、オキシエチレン単位及
びオキシプロピレン単位はブロック、ランダムのいずれ
の型で配列されていてもよい、化15におけるR1は水
素またはメチル基、kは1〜10、mは3〜5、nは1
〜5の整数であり、化16におけるR1 は水素またはメ
チル基、kは1〜10、mは1〜20であり、化17に
おけるR1 は水素またはメチル基、R2 は炭素数1〜1
0のアルキル基または炭素数3〜10のシクロアルキル
基、kは1〜10の整数であり、化18におけるR1
水素またはメチル基、R2 は炭素数1〜10のアルキル
基または炭素数3〜10のシクロアルキル基、kは1〜
10の整数である。)
【0045】これらの活性水素はトリアルキルシリル基
などの保護基で置換され、重合時に、上記式b)で表さ
れるシリル基を含有するビニル系単量体との反応から保
護される必要があり、重合後、1級アルコールなどの添
加により脱保護して再び活性水素とすることができる。
【0046】また、活性水素以外の硬化反応性部位を有
するビニル系単量体としては、化19、化20、化21
などの、鎖状または脂環式のエポキシまたはグリシジル
基と、ビニロキシ基またはイソプロペノキシ基とを有す
る単量体または2−ビニロキシエチルトリメトキシシラ
ンなどの加水分解性シリル基を有するビニル系単量体な
どが挙げられる。
【0047】
【化19】
【0048】
【化20】
【0049】
【化21】
【0050】(化19におけるR1 は水素またはメチル
基、R2 は炭素数1〜10のアルキル基、kは1〜10
の整数であり、化20におけるR1 は水素またはメチル
基、kは1〜10の整数であり、化21におけるR1
水素またはメチル基、kは1〜10の整数である。)
【0051】これらの、式a´)〜d´)で表される単
量体は、それぞれ、単独で使用されていてもよく、複数
種が併用されていても良い。
【0052】また、本発明の含フッ素共重合体からなる
組成物を車輌用物品の被膜を形成させるために使用する
場合には、未架橋状態でテトラヒドロフラン中30℃に
おける固有粘度(以下、[η]という)が、0.05〜
2.0 dl /g のものが好ましい。[η]が上記範囲よ
り小さいものは、被膜の強度が得られ難く、また大きい
ものは、被膜形成時の作業性等が悪く、好ましくない。
特に、[η]が0.1〜1.5 dl /g のものが好まし
い。
【0053】上記のごとき共重合体は、所定割合の単量
体混合物に重合触媒の共存下、あるいは非共存下に、重
合開始剤あるいは電離性放射線などの重合開始源を作用
せしめて共重合反応を行わしめることによって製造可能
である。
【0054】ここで、重合開始剤としては、重合形式あ
るいは重合媒体に応じて、水溶性のものあるいは油溶性
のものが適宜使用可能である。具体的には、水溶性開始
剤としては、過硫酸カリウムのごとき過硫酸塩、過酸化
水素あるいはこれらと亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸
ナトリウムのごとき還元剤からなるレドックス開始剤、
さらにはこれらに少量の鉄、第一鉄塩、硝酸銀等を共存
させた系等の無機系開始剤、またはジコハク酸パーオキ
シド、ジグルタル酸パーオキシド、モノコハク酸パーオ
キシドのごとき二塩基酸酸化物、アゾビスイソブチルア
ミジン二塩基酸塩等の有機系開始剤が、また、油溶性開
始剤としては、t−ブチルパーオキシアセテートのごと
きパーオキシエステル型過酸化物、ジイソプロピルパー
オキシジカーボネートのごときジアルキルパーオキシジ
カーボネート、ベンゾイルパーオキシド、アゾビスイソ
ブチロニトリル等が例示される。
【0055】重合開始剤の使用量は、種類、共重合反応
条件に応じて適宜変更可能であるが、通常は共重合され
るべき単量体全量に対して、0.05〜0.5重量%程
度が採用される。
【0056】上記共重合反応に際して、反応形式として
は特に限定されることはなく、塊状重合、懸濁重合、乳
化重合、溶液重合等が採用しうるが、重合操作の安定
性、生成共重合体の分離の容易性等から、水性媒体中で
の乳化重合あるいはt−ブタノール等のアルコール類、
エステル類、1個以上のフッ素原子を含む飽和ハロゲン
化炭化水素類、キシレン等の芳香族炭化水素等を溶媒と
する溶液重合等が好ましく採用される。なお、水性媒体
中で共重合反応を行わせる場合には、塩基性緩衝剤を添
加して、重合中の液のpH値が4、好ましくは6を下回ら
ないようにすることが好ましい。溶液重合による場合に
も塩基性物質の添加は有効である。
【0057】また、これらの方法は回分式、半連続式、
連続式等の操作によって行い得ることはもちろんであ
る。かかる共重合反応に際して、共重合反応温度は−3
0℃〜+150℃の範囲内で重合開始剤、重合媒体等の
種類等に応じて、適宜最適値が選定されるが、水性媒体
中で共重合反応を行わせる場合には、0℃〜+100
℃、好ましくは10℃〜90℃程度が採用され得る。ま
た、反応圧力は、適宜選定可能であるが、通常は、1〜
100 kg /cm2、特に、2〜50 kg /cm2程度を採用す
るのが望ましい。
【0058】また、生成共重合体の[η]を前記範囲に
抑えるために、連鎖移動定数の比較的大きい反応媒体を
使用したり、適宜連鎖移動剤の共存下に共重合反応を行
わしめることが好ましい。
【0059】本発明の含フッ素共重合体からなる組成物
は、耐候性、撥水性、耐摩耗性、防汚性、耐薬品性、非
粘着性を有する車輌用物品の被膜を与える。
【0060】本発明の含フッ素共重合体からなる組成物
を車輌用物品の被膜を形成させるために使用する場合に
は、硬化剤などを配合して塗料用組成物とすることが好
ましい。ここで、硬化剤としては、本発明の含フッ素共
重合体の硬化反応部位と反応し得る基を有し、良好な硬
化体を与えるものが採用される。かかる硬化剤として
は、ポリイソシアネート系、アミノプラスト、多塩基酸
無水物、金属アルコキシドなどを挙げることができる。
【0061】ポリイソシアネート系としては、ヘキサメ
チレンジイソシアネートやイソホロンジイソシアネート
などのポリイソシアネート化合物、メチルシリルトリイ
ソシアネートなどのシリルイソシアネート化合物や、こ
れらの部分縮合物、多量体や、イソシアネート基をフェ
ノールなどのブロック化剤でブロックしたブロックポリ
イソシアネート化合物などが例示される。特に無黄変タ
イプのものが好ましく採用される。
【0062】アミノプラストとしては、メラミン樹脂、
グアナミン樹脂、尿素樹脂などが採用される。中でもメ
タノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなど
の低級アルコールの1種または2種以上により少なくと
も部分的にエーテル化されたメチロールメラミンが採用
される。
【0063】多塩基酸無水物としては、無水フタル酸、
無水ピロメリット酸などの芳香族多価カルボン酸無水物
や無水マレイン酸、無水コハク酸などの脂肪族多価カル
ボン酸などが例示される。
【0064】本発明において、各成分の配合量は適宜選
定することが可能であるが、耐候性など本発明の含フッ
素共重合体のもつ優れた塗膜性能を損なわないために
は、上記含フッ素共重合体100部当り、硬化剤が0.
5〜300重量部程度の量が採用される。特に、含フッ
素共重合体100部当り、硬化剤を5.0〜100重量
部程度とすることが好ましい。
【0065】さらに、被膜の水滴除去性を高めるには、
あるいは被膜の耐摩耗性を向上せしめるには組成物中に
式e)、式f)で表される成分を添加することが望まし
い。このような成分としては、例えば、次に示すような
シリコーンオイルまたは変性シリコーンオイル等が例示
される。また、これらのうち、25℃における粘度が
0.5〜500センチストークスのものが特に好まし
い。
【0066】
【化22】
【0067】
【化23】
【0068】これらの成分はそのまま使用してもよい
し、また、硫酸、塩酸、酢酸等で分解してから使用する
ことも可能である。また、これらの成分を添加する場合
には、被膜中の当該成分の存在量が1〜40重量%とす
るのが好ましい。かかる成分が少なすぎると耐摩耗性、
作業性が低下し、また、多すぎるとやはり耐摩耗性が低
下するばかりでなく、表面に触れた際にべた付き感が残
り問題である。
【0069】また、これらの成分は、上記シリル基を有
する含フッ素共重合体との相互作用で被膜の水滴除去性
の向上および膜の耐久性を向上するのに寄与する。この
詳細な機構は不明であるが、シリコーンオイルの化合物
鎖がシリル基を有する含フッ素共重合体と複雑に絡み合
い表面に存在する各種有機基、特に極性基及びイオン性
結合のミクロな分布を結果的に制御し、水滴の除去に最
適な表面構造が達成されるためであると考えられる。ま
た、この選ばれた各化合物間での分子の絡み合いは耐久
性を一段と高めるのに大きく寄与している。また、これ
らの成分と、上記シリル基を有する含フッ素共重合体は
いずれも低表面自由エネルギーな物質であり、被膜中に
一部存在する遊離状態の化合物が極表面層を移動するこ
とによって表面での摩擦抵抗を低減することも耐摩耗性
が良好である原因の一部と考えられる。
【0070】また、この成分の粘度は、上記シリル基を
有する含フッ素共重合体との組み合せを考慮して決定す
る必要があり、25℃における粘度が0.5〜500セ
ンチストークスのものが好適である。
【0071】本処理剤には目的に応じて他の化合物、添
加剤をなどが添加される。添加剤は各成分との反応性、
相溶性を考慮して選択すればよく各種金属酸化物の超微
粒子、各種樹脂などの添加も可能である。また、着色が
必要であれば染料、顔料等の添加も差し支えない。
【0072】かかる添加剤としては、溶剤、合成樹脂、
硬化触媒、熱安定剤、レベリング剤、滑剤、顔料、染
料、粘度調節剤、分散安定剤、紫外線吸収剤、ゲル化防
止剤などが挙げられる。
【0073】特に、紫外線吸収剤が添加されていると、
透明な塗膜としたときにも基材の保護効果が十分に発揮
され好ましい。かかる紫外線吸収剤としては、通常塗料
に配合され得る紫外線吸収剤の全てが使用可能であり、
例えば、フェニルサリシレート系、ベンゾトリアゾール
系、ベンゾフェノン系などの紫外線吸収剤が使用可能で
ある。また、反応性を有する紫外線吸収剤を用いること
により、その効果を長期にわたって発揮させることも可
能である。紫外線吸収剤は、含フッ素共重合体100部
当り、0.01〜50重量部程度、特に、0.1〜30
重量部程度の範囲で使用することが好ましい。
【0074】また、本発明の含フッ素共重合体を有機溶
剤に溶解または分散する場合、かかる溶剤としては、キ
シレン、トルエンなどの芳香族炭化水素類、n−ブタノ
ールなどのアルコール類、酢酸ブチルなどのエステル
類、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、エチルセ
ルソルブグリコールエーテル類などに加えて市販の各種
シンナーも採用可能であり、これらを種々の割合で混合
して使用することも可能である。
【0075】本発明の塗料用組成物の調合に際しては、
ボールミル、サンドミル、ジェットミル、ニーダー、三
本ロール、ペイントシェーカーなどの通常樹脂組成物の
調合等に用いられる種々の調合機を用いることができ
る。
【0076】上記組成物は被覆対象物に直接手拭き等の
方法で塗布してもよいし、また、有機溶剤によって、溶
解あるいは希釈して溶液状の形態に調製し使用すること
も可能である。この有機溶剤による液状物において含ま
れる組成物量は被膜の形成性(作業性)、安定性、被膜
厚さ、経済性を考慮して決定されるが0.1〜30重量
%であるのが好ましい。
【0077】被膜の形成は調製された組成物を含む有機
溶剤よりなる液状物を通常の処理方法によって表面に塗
布、例えば、はけ塗り、流し塗り、回転塗り、浸漬塗
り、スプレー塗布等の各種方法によって行い、大気中あ
るいは窒素エアー中、常温で乾燥させれば良い。しか
し、乾燥速度を高めるなどの目的で加熱することは問題
ない。加熱する場合には基材の耐熱性を加味して温度、
時間を設定すれば良い。形成される被膜の厚さは組成物
を含む液状物の組成物濃度、塗布条件、加熱条件などに
よって適宜制御し得る。
【0078】本発明の被膜は比較的屈折率が低く、これ
故に低反射性も付与される。かかる効果を期待する場合
には被膜の膜厚を光学干渉が生じる膜厚に制御すれば良
い。特に、水滴除去性を発現するには理論的には被膜の
膜厚は単分子層以上あればよく、これに経済的効果も加
味して2μ以下であるのが望ましい。かかる被膜を有す
る物品は車輌用構造物としてあるいはその一部として容
易に装着可能である。
【0079】例えば、電車のボディー、窓ガラス、パン
タグラフ等、自動車(トラック)のボディー、フロント
ガラス、リアガラス、サイドガラス、ミラー、バンパー
等、船舶のボディー、窓ガラス等、航空機等のボディ
ー、窓ガラス等に容易に使用可能である。かかる構造物
においては水滴除去性により表面に付着する水滴がはじ
かれ、特に、運行に伴って受ける風圧との相互作用によ
って表面上を急速に移動し、水滴として溜ることなく、
水分が誘発する悪影響を排除することが可能となる。特
に、各種窓ガラス等の透視野部での用途では水滴の飛散
により視野確保が非常に容易となり車輌の安全性向上に
通じるものである。また、水滴が氷結するような環境下
においても氷結することなく、仮に、氷結したとしても
解凍は著しく速い。さらには、水滴の付着がほとんどな
いため定期的な清浄作業回数を低減し得て、しかも、清
浄は極めて容易で、美観保持の点からも非常に有利であ
る。
【0080】
【実施例】以下に、本発明を実施例により具体的に説明
するが本発明は実施例のみに限定されるものではない。
【0081】実施例において実施した各種評価方法は次
の通りである。 1.水滴除去性 1−a)直径2mmの大きさからなる水滴の転落角を測
定した。表面上の異なる5ヶ所にて測定を行い、その平
均値で示した。1−b)サンプル面から20cmの距離
に保持したノズルから水を全面に約1時間スプレーした
後に表面に残存する水滴を肉眼で観察し以下の評価基準
で評価した。 A:サンプル表面に全く水が残らない。 B:サンプル表面に少し水が残る。 C:サンプル表面にかなり水滴が残る。 D:サンプル表面で水が濡れ広がる。
【0082】2.耐摩耗性 試験機:テイバー式ロータリーアブレッサー(株式会社
東洋精機製作所) 試験条件:摩耗輪H−22、荷重1kg、摩耗回数30
0回 上記方法で耐摩耗試験を実施し、試験後の水滴除去性を
評価した。
【0083】3.耐候性試験 紫外線照射を8時間(70℃)、湿潤曝露を4時間(5
0℃)とする工程を1サイクルとして、100サイクル
実施。 上記方法で耐候性試験を実施し、試験後の水滴除去性を
評価した。
【0084】4.煮沸試験 沸騰水中に1時間浸漬した。試験後の水滴除去性を評価
した。
【0085】合成例1(SF−1の合成) 内容積200 cc のステンレス製撹拌機付きオートクレ
ーブにキシレン50.7g、t−ブチルアルコール5
0.7g、及び表1に示した割合のイソプロペノキシト
リメチルシラン(以下、IPSEという)、シクロヘキ
シルビニルエーテル(以下、CHVEという)、エチル
ビニルエーテル(以下、EVEという)、4−トリメチ
ルシロキシブチルビニルエーテル(以下、S−HBVE
という)及び、t−ブチルパーオキシピパレート0.1
g、炭酸カリウム0.8gを仕込み、液体窒素による固
化・脱気により、溶存酸素を除去した。
【0086】しかるのち、表1に示した割合のクロロト
リフルオロエチレン(以下、CTFEという)をオート
クレーブ中に導入し、徐々に昇温した。オートクレーブ
中の温度が65℃に達した後、24時間撹拌下に反応を
続け、更にエタノール10gを導入して、2時間撹拌を
続けた後、オートクレーブを氷冷し、反応を停止した。
室温に達した後、未反応の単量体をパージし、オートク
レーブを開放した。
【0087】得られた重合体を水/メタノール(1:
1)中に投入し、上澄み液を除去した後60℃に加熱
し、1mmHgの減圧下で24時間かけて乾燥した後、
衝撃式ハンマーで粉砕し、シリル基を有する含フッ素共
重合体(SF−1)を得た。得られた共重合体の[η]
の値は0.10 dl/g であった。また、IRスペクトル
によりS−HBVEに基づく重合単位が全てヒドロキシ
ブチルビニルエーテル(以下、HBVEという)に基づ
く重合単位に変換されていることが確認された。IRス
ペクトルの図を図1に示し、13C−NMRスペクトルに
よる共重合体組成の測定結果を表2に示す。
【0088】合成例2〜4(SF−2〜4の合成) 単量体の割合が表1に示す割合である他はすべて合成例
1と同様に行った。13C−NMRスペクトルによる共重
合体組成および[η]の測定結果を表2に示す。
【0089】比較合成例1〜2(従来のフッ素樹脂共重
合体(F−1〜2)の合成) 単量体の割合が表1に示す割合である他はすべて合成例
1と同様に行った。13C−NMRスペクトルによる共重
合体組成および[η]の測定結果を表2に示す。
【0090】
【表1】
【0091】
【表2】
【0092】表1および表2の略号において、先に説明
のなかったものは次の通りである。 TFE:テトラフルオロエチレン PPVE: パーフルオロ(プロピルビニルエーテル) VEOVA:バーサチック酸ビニル
【0093】比較合成例3 三口フラスコ中にアゾビスイソブチロニトリル0.1g
と酢酸エチル50gをとり、80℃に加熱しながら1
H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルメタクリ
レートを10.3g、メタクリル酸n−ブチルを12.
0g、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルを2.7g、
メタクリル酸を0.6g、ドデシルメルカプタンを0.
5g、アゾビスイソブチロニトリルを0.1g、酢酸エ
チル20gからなる溶液を3時間で滴下した。その後同
温度で2時間撹拌し、樹脂固形分49%、数平均分子量
7000のアクリル樹脂(以下、PFMAという)の溶
液を調製した。比較例1で得られた共重合体(F−1)
100重量部に対し、上記PFMA5重量部を添加して
塗料用樹脂(F−3)が得られた。
【0094】実施例1〜4、比較例1〜3 上記合成例1で得られたシリル基を有する含フッ素共重
合体(SF−1)のキシレン溶液(65%)を用いて、
下記に示す組成で処理剤を製造した。配合量は重量部で
示した。また、SF−2〜4、比較合成例1〜3で得ら
れたF−1〜3についても同様の方法で製造した。次い
で、ソルベッソ150(商標名:エクソン社製)で粘度
25秒(フォードカップ4/20℃)となるように希釈
し、スプレーガンでの塗装に供した。試験および評価結
果を表3に示す。 SF−1(65%キシレン溶液) 154部 ユーバン20SE 注1) 50部 n−ブチルアルコール 10部 チヌビン 900 (10%キシレン) 注2)24部 チヌビン 144 (10%キシレン) 注3) 8部 BYK300 注4) 0.5部 シリコーンオイル 注5) 40部 注1)ブチル化メラミン系硬化剤:三井東圧(株)社
製。注2)紫外線吸収剤:チバガイギー社製。注3)光
安定剤:チバガイギー社製。注4)表面調節剤:BYK
ケミー社製。注5)式e)で示されるシリコーンオイル
であり、25℃における粘度が50センチストークスの
もの。
【0095】
【表3】
【0096】実施例5 実施例4で得られた、被膜の形成された試験片を表4に
示す薬品に24時間浸漬し、取り出して直ちに洗浄した
後、この試験片の外観変化および水滴除去性を確認しそ
の結果を表4に示す。
【0097】
【表4】
【0098】実施例6 実施例4の方法で自動車用フロント合わせガラスの表面
に塗布し、被膜を形成した。かくして得られたフロント
合わせガラスを自動車のフロントに装着した。この自動
車を日中4時間の走行テストを1ヶ月間行い、日毎にフ
ロント表面への汚れ、ほこりの付着状態、また、雨天時
においては水滴の付着状態を肉眼で観察した。その結
果、汚れ、ほこりの付着、水滴の付着による水アカの発
生は全く認められず、希にそれらの発生が認められても
ティシュペーパーで軽く拭うことで容易に除去された。
【0099】また、雨天時には表面の水滴ははじかれ走
行による風圧との相互作用によって速やかに移動してし
まい、ワイパーを使用することなく視野が確保された。
さらに未処理のフロント合わせガラスに付着している水
滴が氷結する、或は空気中の水分が凝縮してフロントガ
ラスに氷結するような環境下(0℃〜−5℃)での走行
テストにおいてフロントガラスでの氷結は全く認められ
なかった。次いで更に厳しい低温環境下(−10℃〜−
15℃)においてはフロントガラスでの氷結も認められ
るが、その解凍も早く、未処理のフロントガラスに比し
著しい差があった。
【0100】実施例7 実施例6のフロント合わせガラスをサイドガラス、リア
ガラスに変更して走行試験を実施したが、実施例6と同
様の効果が確認できた。
【0101】実施例8 実施例6のフロント合わせガラスをサイドミラーに変更
して走行試験を実施したが、実施例6と同様の効果が確
認できた。
【0102】実施例9 既に常用して1年経過した自動車用フロント合わせガラ
スの表面を酸化セリウム研磨し、充分な水で洗い流し、
ドライヤーにて完全に水分を除去し、既に表面に堆積し
ていた水アカ、汚れ、ほこり等を完全に除去した。この
洗浄されたフロント合わせガラスの全表面を実施例4で
調整した処理剤を染み込ませた綿布でワックス掛けを行
う要領で手拭き、乾燥した。充分乾燥した後、水を掛け
全表面に被膜が形成されたことを確認した。その後、実
施例6と同様な試験を実施したところ、実施例6に示し
た良好な水滴除去性を確認できた。
【0103】実施例10 既に常用して1年経過した自動車の塗装ボディー部表面
を酸化セリウム研磨し、充分な水で洗い流し、ドライヤ
ーにて完全に水分を除去し、既に表面に堆積していた水
アカ、汚れ、ほこり等を完全に除去した。この洗浄され
た塗装ボディー部の全表面を実施例4で調整した処理剤
を染み込ませた綿布でワックス掛けを行う要領で手拭
き、乾燥した。充分乾燥した後、水を掛け全表面に被膜
が形成されたことを確認した。その後、実施例6と同様
な試験を実施したところ、実施例6に示した良好な水滴
除去性を確認できた。
【0104】
【発明の効果】本発明の車輌用物品およびそれらを装着
した車輌用構造物には実施例に明かなように優れた効果
が認められる。すなわち、 1.水滴除去性に優れており、ほこり、汚れ、水滴の付
着、あるいはそれによる水垢の発生などがなく、希にそ
れらの発生があっても、容易に除去可能で水が誘発する
悪影響を遮断することができるし、洗浄の簡略化が図れ
る。 2.水滴除去性の持続性に優れ、半永久的にその状態を
維持する。 3.耐薬品性に優れ、海岸線沿いでの使用、あるいは海
水が直接触れる船舶においても効果を発揮する。 4.特別な前処理を必要とせず、経済的効果も高い。 5.既に常用されている車輌用物品にも適用が可能であ
る。 以上のような効果は従来の材料では期待できないもので
あり、これまで使用不可能であった分野にまでその適用
範囲をが拡大することが期待できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 児玉 俊一 神奈川県川崎市幸区塚越3丁目474番2号 旭硝子株式会社玉川分室内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式a)で表されるフルオロオレフィン系重
    合単位を40〜60モル%、式b)で表されるシリル基
    を含有する重合単位を0.5〜60モル%、式c)で表
    されるビニル系重合単位を0〜55モル%、式d)で表
    される硬化反応性部位を有する重合単位を0〜55モル
    %含有する、シリル基を有する含フッ素共重合体を必須
    成分として含有する組成物の皮膜が、表面に形成されて
    なることを特徴とする車輌用物品。(ただし、式a)、
    式b)、式c)および式d)において、Xはフッ素、塩
    素、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基または炭素
    数1〜8のパーフルオロアルコキシ基を表す。R1 は水
    素またはメチル基を表す。R2 は1価の炭化水素基を表
    す。Yはオルガノシロキシ基またはフルオロアルキル基
    を表す。kは0または1を表す。mは0〜3の整数を表
    す。R3 は水素またはメチル基を表す。R4 は炭素数1
    〜12のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル
    基または炭素数2〜10のフルオロアルキル基を表す。
    pは0または1を表す。qは0または1を表す。R5
    水素またはメチル基を表す。R6 は2価の有機基を表
    す。rは0または1を表す。Zは硬化反応性部位を表
    す。) 【化1】 【化2】 【化3】 【化4】
  2. 【請求項2】請求項1のシリル基を有する含フッ素共重
    合体及び、式e)または式f)で表され、25℃におけ
    る粘度が0.5〜500センチストークスである化合物
    が含まれる組成物の皮膜が、表面に形成されてなること
    を特徴とする車輌用物品。 【化5】 【化6】
  3. 【請求項3】式b)で表されるシリル基を含有する重合
    単位が、イソプロペノキシトリアルキルシランに基づく
    重合単位である、請求項1または2の車輌用物品。
  4. 【請求項4】式b)で表されるシリル基を含有する重合
    単位が、ビニロキシトリアルキルシランに基づく重合単
    位である、請求項1または2の車輌用物品。
  5. 【請求項5】シリル基を含有する含フッ素共重合体が、
    未架橋状態で有機溶剤に可溶であり、テトラヒドロフラ
    ン中30℃における固有粘度が0.05〜2.0dl /g である請
    求項1または2の車輌用物品。
  6. 【請求項6】シリル基を有する含フッ素共重合体および
    硬化剤が含まれる塗料用組成物の皮膜が、表面に形成さ
    れてなることを特徴とする請求項1の車輌用物品。
  7. 【請求項7】シリル基を有する含フッ素共重合体100 重
    量部当り、硬化剤が0.5〜300重量部の割合で含ま
    れる塗料用組成物の皮膜が、表面に形成されてなること
    を特徴とする請求項1の車輌用物品。
  8. 【請求項8】シリル基を有する含フッ素共重合体、硬化
    剤および紫外線吸収剤が含まれる塗料用組成物の皮膜
    が、表面に形成されてなることを特徴とする請求項1の
    車輌用物品。
  9. 【請求項9】シリル基を有する含フッ素共重合体100
    重量部当り、紫外線吸収剤が0.01〜50重量部、硬
    化剤が0.5〜300重量部の割合で含まれる塗料用組
    成物の皮膜が、表面に形成されてなることを特徴とする
    請求項1の車輌用物品。
  10. 【請求項10】塗膜形成性樹脂成分100重量部当り、
    含フッ素共重合体が1〜80重量部配合された塗料用組
    成物の皮膜が、表面に形成されてなることを特徴とする
    請求項1の車輌用物品。
  11. 【請求項11】車輌用物品の用途が透視野部であること
    特徴とする請求項1〜10いずれかの車輌用物品。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004093947A (ja) * 2002-08-30 2004-03-25 Fuji Photo Film Co Ltd 反射防止膜、反射防止フィルムおよび画像表示装置

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