JPH0564589A - 複合プラスミドベクターおよび形質転換微生物 - Google Patents
複合プラスミドベクターおよび形質転換微生物Info
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Abstract
製増殖可能なDNA領域、大腸菌細胞内で複製増殖可能
なプラスミドDNA領域および薬剤耐性遺伝子を含むD
NA領域を有してなる複合プラスミドベクターならびに
それらによる形質転換体。 【効果】 このプラスミドベクターはRhodococcus属ま
たはEscherichia属に属する細菌において工業的に利用
しうる微生物を育種、改良するために有用である。
Description
ベクターに関し、更に詳しくは、プラスミドpRC001, pR
C002, pRC003およびpRC004から選ばれるプラスミド由来
の、Rhodococcus属細菌内で複製可能なDNA領域と、
大腸菌内で複製可能なプラスミドDNA領域と、薬剤耐
性遺伝子を含むDNA領域とを含有する新規な複合プラ
スミドベクターおよびそれにより形質転換された微生物
に関する。
リル類を水和または加水分解して対応するアミドまたは
酸を生産するための微生物触媒として知られており(欧
州特許出願公開第188316号明細書、同第204555号明細
書、同第348901号明細書)、またRhodococcus rhodochr
ous に属する微生物が極めて高性能なニトリル水和活性
を有することが知られている(欧州特許出願公開第3079
26号明細書)。このような状況下、Rhodococcus属の宿
主ベクター系の開発が以前から期待されていた。しかし
ながら、Rhodococcus属に属する菌株についてはこれら
の微生物を宿主とするに適したベクターの開発は遅れて
おり、Rhodococcus属においてプラスミドの見い出され
た株はRhodococcus sp. H13-A 株 (J.Bacteriol., 170,
638-645(1988))、Rhodococcus erythropolis (rhodoch
rous) ATCC 12674株 (Mol. Gen. Genet., 211, 148-154
(1988))および本発明者らがさきに特許出願したRhodoco
ccusrhodochrous ATCC 4276 等(特願平2-270377号)を
はじめわずか数株にすぎない。そのため、更にRhodococ
cus属に属する菌株から工業的に利用し得る微生物を育
種、改良するための新しいベクターの開発が強く要望さ
れる。
occus属細菌から得られる環状プラスミドは本菌属を遺
伝的に改良するにたる可能性は秘めているもののほとん
どがプラスミドのマーカーとなり得るような薬剤耐性遺
伝子を持っていない潜在性プラスミドである。そこで、
このような潜在性プラスミドにマーカーとなりうる遺伝
子を導入することによりベクタープラスミドの構築が可
能となるが、そのような例はまだ一例あるに過ぎない
(J. Bacteriol., 170, 638-645(1988)) 。本発明者ら
は、環状プラスミドpRC001, pRC002, pRC003およびpRC0
04にマーカーとなり得る薬剤耐性遺伝子、クローニング
サイトおよび大腸菌内で複製するのに必要な遺伝子領域
を導入することにより、工業的に有用なプラスミドベク
ターを創成することができることを見いだし、本発明を
完成した。
ミドpRC001, pRC002, pRC003およびpRC004から選ばれる
プラスミド由来の、Rhodococcus属細菌に属する菌株細
胞内で複製増殖可能なDNA領域と、(B)大腸菌細胞
内で複製増殖可能なプラスミドDNA領域と、(C)薬
剤耐性遺伝子を含むDNA領域とを含むことを特徴とす
る複合プラスミドベクターである。
pRC004の複製増殖可能なDNA領域としてはRhodococcu
s属細菌内で複製が可能であれば、該プラスミドの全体
であってもよく、或いは一断片であってもよい。なお、
上記プラスミドpRC001, pRC002, pRC003およびpRC004は
それぞれ Rhodococcus rhodochrous ATCC 4276、ATCC14
349、ATCC 14348およびIFO 3338株由来であり、その制
限酵素切断地図を図1に示す。
スミドとしては、例えば、pHSG299,pHSG298, pUC19, pU
C18 等を用いることが可能であり、これらのプラスミド
のDNA領域も、大腸菌細胞内で複製増殖可能であれ
ば、プラスミド全体であってもよく、或いは一断片であ
ってもよい。更に薬剤耐性遺伝子としては、カナマイシ
ン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子などが好適に用
いられるが、宿主とするRhodococcus属細菌および大腸
菌内で発現し、宿主に薬剤耐性を与えることができ、両
菌属間で、薬剤耐性能によりプラスミドの存在が示唆さ
れる限り薬剤の種類は限られるものではなく、また一種
類でも複数存在してもよい。
スミドベクターは、Rhodococcus属細菌としては、Rhodo
coccus rhodochrous ATCC 12674由来菌株を宿主とする
事が可能であり、また、大腸菌としてはK-12系統株を宿
主とすることが可能である。従って、上記複合プラスミ
ドベクターによるそれら微生物の形質転換体を得ること
ができる。
明するが、下記の実施例は本発明の技術的範囲を限定す
るものではない。
04とプラスミドpHSG299とからなる複合プラスミドベク
ターpK1, pK2, pK3およびpK4の作成 図2に示したようにして複合プラスミドベクターpK1,
pK2,pK3およびpK4を作成した。プラスミドpRC001, p
RC002, pRC003およびpRC004(1μg)にそれぞれ制限酵
素ClaI(5units)を加え37℃,1時間反応させプラスミ
ドDNAを切断した。
耐性を発現する2.7kbのプラスミドであり、市販品とし
て宝酒造より購入が可能)0.5μgを制限酵素AccI (5uni
ts) を加え37℃,1時間反応させプラスミドDNAを切
断した。反応液に1M-Tris-HCl(pH9.0) を1/10量加え、
アルカリホスファターゼ(1unit)と65℃、1時間反応さ
せた。
アガロースゲル電気泳動に供し、プラスミドpRC001, pR
C002, pRC003およびpRC004からは2.6kb、プラスミドpHS
G299からは2.7kbのDNAの画分を切り出した。この
際、サイズマーカーとしてラムダファージDNAのHind
III消化物を用い、DNAのサイズを算出した。Gene cl
ean kit(フナコシ(株))を用いてアガロースゲルより
DNAを回収しTE緩衝液(10mMTris-HCl, 1mMEDTA,
(pH8.0))に溶解した。それぞれのDNA断片を含む液を
等量ずつ混合し、T4DNAリガーゼ1unit, 1mM ATP,
10mM ジチオスレイトール, 10mM MgCl2となるように各
成分を加えて4℃、1夜反応させた。
造製)に上記反応液を加え、0℃、1時間静置後、42
℃、2分間の熱処理を行い、2xYT培地(0.5%NaCl,1
%イーストエキス、1.6%トリプトン)を加えて37℃、
1時間振とうした。 25μg/mlカナマイシン、1mM IP
TG(イソプロピル−β−ガラクトピラノシド)、および
0.02% X-gal(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリ
ル−β−D−ガラクトピラノシド)を含む2xYT寒天培
地に塗布し、37℃、1夜静置培養した。出現したコロニ
ーより白色のコロニーを選択し、50μg/mlカナマイシ
ン入りの2xYT培地(3ml)で37℃にて8時間振とう培
養した。
を回収し、0.35ml STET溶液(8%シュークロース、0.
5% TritonX-100, 50mM EDTA, 10mM Tris-HCl(pH8.0))
に懸濁した。リゾチーム液(10mg/ml)25μlを加え、
Vortexで3秒間攪拌後、沸騰している湯に50秒間浸し
た。15,000rpm、15分間の遠心分離により沈澱を取り除
き上清を得た。これにTE飽和フェノール:クロロホル
ム(1:1)液を0.5ml加え攪拌後、15,000rpm、5分
遠心分離を行い、上層を得た。ジエチルエーテル0.5ml
を加えて混合後、遠心分離を行い上層を除去した。イソ
プロパノール0.5ml、2.5M酢酸ソーダ液 (pH4.5) 50μ
lを加え、−80℃、30分静置後15,000rpm、10分遠心分
離を行い沈澱を得た。70%エタノールで洗浄し、減圧乾
燥させ、0.1mlのTE緩衝液に溶解させた。
液を用いて、制限酵素HindIII, BamHI, SphI, EcoRI, X
hoIを用いた制限酵素切断パターンを調べた。プラスミ
ドpRC001, pRC002, pRC003またはpRC004から得られた複
合プラスミドはいずれも同じ制限酵素切断部位を持ちそ
れぞれpK1, pK2, pK3およびpK4と命名した(表1)。
K2, pK3およびpK4の分離精製 上記の大腸菌形質転換体(カナマイシン耐性株)を2xY
T培地200mlを用いて培養し、遠心により菌体を回収し
た。菌体を40mlの TES (10mM Tris-HCl (pH8.0),10mM N
aCl, 1mM EDTA)緩衝液で洗浄後、8mlのSTET溶液(50mM
Tris-HCl(pH8.0), 5mM EDTA, 35mM シュークロース)
を加え、リゾチームを10mg添加した。0℃、5分間振と
う後4ml 0.25M EDTA (pH8.0)を加え、時々緩やかに混
合しながら0℃に5分間保った。室温に戻して、2mlの
10% SDS(ラウリル硫酸ナトリウム)溶液、5mlの5M N
aCl溶液を加えて4℃、3−12時間静置した。4℃にて6
5,000xgで1時間遠心し上清を得、これに50%ポリエチ
レングリコール6000を4.6ml加えた。氷上で3時間静置
し、1000xgで5分遠心した。沈澱物を7.5ml TES緩衝液
に溶解し、CsClを8.2g, 15mg/ml臭化エチジウム溶液を
0.2ml加え混合した。この溶液を42時間130,000xgの密
度勾配遠心分離にかけた。紫外線照射により検出された
プラスミド画分を分取した後、n−ブタノールで処理し
臭化エチジウムを除いた。TE緩衝液に対して透析後、
エタノール沈澱により精製プラスミド画分を得た。これ
を0.7%アガロースゲル電気泳動に供し、ゲルを臭化エ
チジウムで染色することによりプラスミドの存在を確認
した。 (3)複合プラスミドのRhodococcus属細菌への導入 Rhodococcus rhodochrous ATCC 12674株の対数増殖期の
細胞を遠心分離により集菌し、氷冷した滅菌水にて3回
洗浄し、15% PEG6000(ポリエチレングリコール6000)
溶液に懸濁した(菌体濃度109cell/ml以上)。上記の
シャトルプラスミドベクターpK1, pK2, pK3またはpK4D
NA10-2μgと菌体懸濁液10μlを混合し、氷冷した。
島津細胞融合装置SSH-1用のチャンバー11にDNAと菌
体の混合液を入れ、氷冷した後、パルス幅500μs,電
場強度14kv/cmで電気パルス処理を行った。
37℃、5分間熱処理後、MY培地 1mlを加え、25℃、3
時間振とうした。50μg/mlカナマイシン入りMY寒天
培地に塗布し25℃、3−6日間培養した。出現したコロ
ニーが明らかにカナマイシン耐性であることを別に作成
したカナマイシン入りMY寒天培地に塗布することによ
り確認した。
K2, pK3またはpK4を含む組換えベクターで形質転換され
た形質転換微生物はそれぞれ次の通り工業技術院微生物
工業技術研究所に寄託されている。 R.rhodochrous ATCC 12674/pK1 微工研条寄第3728
号 R.rhodochrous ATCC 12674/pK2 微工研条寄第3729
号 R.rhodochrous ATCC 12674/pK3 微工研条寄第3730
号 R.rhodochrous ATCC 12674/pK4 微工研条寄第3731
号 以下、pK4について更に検討した。 (4)Rhodococcusからの複合プラスミドベクターの回
収、精製 Rhodococcus rhodochrous ATCC 12674/pK4株を、400m
lのMY培地(50μg/mlカナマイシンを含む)にて培
養を行った。OD660=0.15〜0.2の頃にペニシリンG
0.5U/mlを加え、OD660=1.0まで培養後、遠心によ
り菌体を回収した。菌体を40mlのTES緩衝液で洗浄
後、11mlの50mM Tris-HCl (pH8)-12.5% sucrose-100mM
NaCl-1mg/mlリゾチームに懸濁し、37℃にて3時間振
盪した。これに0.6mlの0.5M EDTA溶液、2.4mlの5M N
aCl 溶液、4.4mlの4% SDS-0.7M NaClを順次加え、緩
やかに混合し氷上で18時間静置した。4℃にて65,000xg
1時間遠心し上清を得、これに50%ポリエチレングリコ
ール6000を4.6ml加えた。氷上で3時間静置し、1,000x
g5分遠心した。沈澱物を5mlのTES緩衝液に溶解
し、CsClを7.5g、1.5mg/ml臭化エチジュウム−TE
S緩衝液を2ml加え混合した。この溶液を42時間130,00
0xgの密度勾配遠心分離にかけた。
分を分取した後、n−ブタノールで処理し臭化エチジュ
ウムを除いた。TE緩衝液に対して透析後、エタノール
沈澱により精製プラスミド画分を得た。これを0.7%ア
ガロースゲル電気泳動に供し、ゲルを臭化エチジュウム
で染色することによりプラスミドの存在を確認した。 (5)大腸菌由来の複合プラスミドpK4とRhodococcus由
来の複合プラスミドpK4の比較 1)分子量測定 プラスミドの一部を0.7%アガロースゲル電気泳動に供
した。この際、サイズマーカーとして大腸菌プラスミド
pUC18, pUC118, pBR322(各々2.69kb, 3.16kb, 4.36k
b)を同時に泳動した。その結果、pK4プラスミドは、
大腸菌由来のものと、Rhodococcus由来のものは共に約
5.3kbであった。 2)各種制限酵素による切断特異性 プラスミドの一部を各種制限酵素と反応させ、反応終了
後、反応液を0.7%アガロースゲル電気泳動および5%
アクリルアミドゲル電気泳動により分析した。サイズマ
ーカーとしてはラムダファージDNAのHindIII消化物
およびPstI消化物を用い、プラスミドの各制限酵素断
片のサイズを算出した。その結果、pK4プラスミドは表
1と同様の制限酵素切断特性を示した。 (6)Rhodococcus由来の複合プラスミドpK4を用いた
大腸菌の形質転換 Rhodococcus rhodochrous ATCC 12674/pK4株より得た
プラスミドpK4を用いて大腸菌JM105株を形質転換し
た。カナマイシン50μg/mlを含む2xYT寒天プレート
で選択したところ高頻度でカナマイシン耐性能を示す株
が得られた。これらの形質転換株の内12株よりプラスミ
ドを分離し、制限酵素による切断パターンを調べたとこ
ろ、Rhodococcus の形質転換株から得られたプラスミド
pK4(表1)と同じであった。
作成した。プラスミドpRC003を制限酵素ClaIで切断し、
pUC19プラスミドのAccI部位に挿入した複合プラスミド
ベクターを作成しpA3と命名した。実施例1と同様に大
腸菌JM105株へ導入し、50μg/mlアンピシリン、1mM I
PTG,0.02% Xgalを含む2xYT培地にて白色コロニーを選
別し、増幅させ、分離精製後、制限酵素による確認を行
った。このプラスミドについてRhodococcus rhodochrou
s ATCC 12674株の形質転換を試みた結果、このプラスミ
ドが本菌株に10μg/ml濃度のアンピシリンに対して耐
性を賦与することが明らかとなった。なお、ここで得ら
れた形質転換体微生物、R.rhodochrous ATCC 12674/pA
3は工業技術院微生物工業技術研究所に微工研条寄第37
32号として寄託している。表2にプラスミドpA3の制限
酵素切断パターンを示す。
ococcus属またはEscherichia属に属する細菌において工
業的に利用しうる微生物を育種、改良するために有用で
ある。
04の制限酵素切断地図。
の作成方法を示す。
Claims (6)
- 【請求項1】(A)プラスミドpRC001, pRC002, pRC003
およびpRC004から選ばれるプラスミド由来の、Rhodococ
cus属細菌に属する菌株細胞内で複製増殖可能なDNA
領域と、 (B)大腸菌細胞内で複製増殖可能なプラスミドDNA
領域と、 (C)薬剤耐性遺伝子を含むDNA領域 とを含むことを特徴とする複合プラスミドベクター。 - 【請求項2】 プラスミドDNA複製領域(B)がpHSG
299, pHSG298, pUC19およびpUC18から選ばれる請求項1
記載の複合プラスミドベクター。 - 【請求項3】 pK1, pK2, pK3, pK4またはpA3である請
求項1記載の複合プラスミドベクター。 - 【請求項4】 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記
載の複合プラスミドベクターにより形質転換されたRhod
ococcus属またはEscherichia属に属する細菌の形質転換
微生物。 - 【請求項5】 Rhodococcus属細菌がRhodococcusrhodoc
hrous ATCC 12674株である請求項4記載の形質転換微生
物。 - 【請求項6】 Escherichia属細菌が大腸菌(Escherich
ia coli)K-12株である請求項4記載の形質転換微生
物。
Applications Claiming Priority (2)
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