JPH07255484A - プラスミドpNC903 - Google Patents

プラスミドpNC903

Info

Publication number
JPH07255484A
JPH07255484A JP6073795A JP7379594A JPH07255484A JP H07255484 A JPH07255484 A JP H07255484A JP 6073795 A JP6073795 A JP 6073795A JP 7379594 A JP7379594 A JP 7379594A JP H07255484 A JPH07255484 A JP H07255484A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
plasmid
pnc903
restriction enzymes
host
sphi
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6073795A
Other languages
English (en)
Inventor
Hisafumi Saeki
尚史 佐伯
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Eneos Corp
Original Assignee
Japan Energy Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Energy Corp filed Critical Japan Energy Corp
Priority to JP6073795A priority Critical patent/JPH07255484A/ja
Publication of JPH07255484A publication Critical patent/JPH07255484A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【構成】 分子量が約2.4kbの環状プラスミドであり、
制限酵素 EcoRI、 XbaI、 KpnI、 HindIII、 BglII、又
は SpeI によって切断されず、制限酵素 ClaI、PstI、
SphI、 BamHI、 AccI、及び SacI によって切断される
部位数がそれぞれ1であり、且つ前記の制限酵素 Cla
I、 PstI、 SphI、 BamHI、 AccI、及び SacI によって
切断される部位が図1の制限酵素開裂地図で示されるプ
ラスミドpNC903。 【効果】 環状プラスミドpNC903は、それに含まれる種
々の制限酵素による開裂部位を利用して、外来のDNA
断片を導入修飾し、多くの有用なプラスミドベクタ−の
開発に利用でき、特に、ノカルディオフォルム細菌を宿
主とする宿主−ベクタ−系におけるプラスミドベクタ−
として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なプラスミドに関
し、具体的には、エポキシド生産菌であるRhodococcus
属に属する微生物に由来する新規な環状プラスミドに関
する。本発明の環状プラスミドは、それに含まれる制限
酵素によって切断される部位を利用して、両端に当該制
限酵素によって切断されるDNA配列を有するDNA断
片を連結してなる人工の環状プラスミドの調製に用いる
ことができる。
【0002】
【従来の技術】短鎖長オレフィンを炭素源として、土壌
中より分離したノカルディア属、ロドコッカス属といっ
たノカルディオフォルム細菌はオレフィンを酸化して、
対応するエポキシド類を生産することが知られている。
例えば、プロピレンを炭素源として土壌中より分離した
ノカルディア・コラリ−ナは、光学活性なエポキシド
や、合成樹脂、医薬、農薬などの有機化学製品の製造原
料中間体として広範囲に利用できるトリフルオロプロペ
ンオキシド(TFPO)の生産などに利用されている。これ
らの土壌中より分離したノカルディオフォルム細菌を用
い、更なる菌株改良のため、エポキシド生産能を有する
ノカルディオフォルム細菌の宿主−ベクタ−系の開発が
以前から期待されていた。これらの微生物を宿主とする
に適したベクタ−開発は遅れているが、本発明者は、既
にエポキシド生産株のノカルディア・コラリ−ナより、
ノカルディオフォルム細菌の宿主−ベクタ−系に適用可
能なプラスミドpNC500を見いだし、特許出願した(特開
平 5-244953 号公報を参照)。また、ロドコッカス属の
一部を宿主とする、宿主−ベクタ−系の開発例として、
ジャ−ナル オブ バクテリオロジ−(J.Bacteriol.)17
0,638(1988)、アプライドアンド エンバイロメンタル
マイクロバイオロジ−(Appl.Environ.Microbiol.)56,28
18(1990)、プラスミド(Plasmid)23,242(1990) 等の数
例が報告されている。
【0003】しかしながら、前記するプラスミドpNC500
を除き、従来より報告されているノカルディオフォルム
細菌由来のプラスミドの多くは、ロドコッカス属の一部
のみを宿主にするにすぎないものであった。そのため、
より広い範囲のノカルディオフォルム細菌を宿主として
適用でき、宿主のエポキシド生産菌から、微生物を育
種、改良するための新しいベクタ−の開発が強く要望さ
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の課題を
解決するもので、本発明の目的は、ノカルディオフォル
ム細菌を宿主として、ノカルディオフォルム細菌中にお
いて複写が可能である新規な環状プラスミドを提供する
ことにある。特には、ノカルディオフォルム細菌に類別
されるロドコッカス属に属する微生物に由来する新規な
環状プラスミドDNAを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ノカルデ
ィオフォルム細菌を宿主とでき、DNA組換えに使用可
能な新規なプラスミドDNAを開発すべく鋭意研究を行
ったところ、当該細菌に類別され、エポキシド生産菌で
あるロドコッカス属に属する微生物から、宿主−ベクタ
−系におけるベクタ−として利用可能な新規な環状プラ
スミドを見出し、本発明を完成した。
【0006】本発明のプラスミドは、分子量が約 2.4 k
b の環状プラスミドであり、制限酵素 EcoRI、 XbaI、
KpnI、 HindIII、 BglII、又は SpeI によって切断され
ず、制限酵素 ClaI、 PstI、 SphI、 BamHI、 AccI、及
び SacI によって切断される部位数がそれぞれ1であ
り、且つ前記の制限酵素 ClaI、 PstI、 SphI、 BamH
I、 AccI、及び SacI によって切断される部位が下記の
制限酵素開裂地図化1で示されるプラスミドであり、該
プラスミドにプラスミドpNC903の呼称を本発明者は付与
する。
【化1】
【0007】本発明のプラスミドpNC903を保有する微生
物として、具体的にロドコッカス属に属する微生物であ
り、プロピレン資化性菌として土壌から分離した、エポ
キシド生産能を有する菌株 Rhodococcus rhodochrous P
-II-123-1(工業技術院生命工学工業技術研究所 寄託番
号 FERM P-14193 )が挙げられる。なお、この微生物 Rh
odococcus rhodochrous P-II-123-1 は、上記の寄託番
号 FERM P-14193 で通産省工業技術院生命工学工業技術
研究所に寄託されており、また、該菌株の菌学的性質は
表1に示すとおりである。
【0008】
【表1】
【0009】細胞の化学分析 ミコ−ル酸を含む。細胞壁のジアミノ酸はメソ-DAPであ
る。脂肪酸成分は、16:0,16:1,18:1,10-Me・18:0及び微
量の14:0,15:0,17:0から成っている。
【0010】生化学テスト 分解 アデニン + チロシン + 尿素 − 単一炭素源での生育 イノシト−ル1 − マルト−ス1 (+) マンニト−ル1 + ラムノ−ス1 − ソルビト−ル1 + m−ヒドロキシ安息香酸2 + アジピン酸塩2 + 安息香酸塩2 + クエン酸塩2 + 乳酸塩2 + グルタミン酸塩2 − L-チロシン2 + グリセロ−ル1 (+) トレハロ−ス1 (+) p-ヒドロキシ安息香酸2 + D-マンノ−ス1 − アセトアミド2 + D-ガラクト−ス1 − 酵素活性 α−グルコシダ−ゼ + システインアリルアミダ−ゼ − バリンアリルアミダ−ゼ − 生育テスト(存在下) 5% NaCl + アジドナトリウム(0.02% w/v) −
【0011】注: 表中の肩表記する記号は、培地に対す
る添加濃度を示し、また、符号(+)は下記の水準を意味
する。
【0012】1. 1 %(w/v) 2. 0.1 %(w/v) (+) weak posotive
【0013】本発明のプラスミドpNC903は、具体的には
上記微生物 Rhodococcus rhodochrous P-II-123-1 か
ら、次に示す方法により分離することができる。
【0014】ノカルディオフォルム細菌は、通常の培地
中で培養するとき、リゾチ−ムなどの溶菌酵素で溶菌さ
れにくいので、予めグリシン入り培地で当該微生物を培
養し、ペニシリンGで処理することにより、溶菌酵素で
溶菌され易い菌を得る。例えば、下記の組成のNBG培
地にグリシンを1%(w/v)程度添加した培地が用いられ
る。 (NBG培地) Nutrient Broth No.2 (Oxoid) 2.5 %(w/v) グルコ−ス 1.0 %(w/v) 当該微生物を30℃で対数増殖後期まで培養し、更にペ
ニシリンG所定量を培地に添加し数時間培養を継続した
後、溶菌酵素(リゾチ−ム、アクロモバクタ−ペプチタ
−ゼ 等)で溶菌する。得られる溶菌液より、環状プラ
スミドDNAは、公知の方法で分離することができる
(Biochimca. et Biophysica. Acta., 383, 457-463 (1
975) を参照)。更に、分離された環状プラスミドDN
Aの集合から、アガロ−スゲル上で電気泳動することに
より、分子量の異なる環状プラスミドDNAを分離し、
目的の分子量を有する環状プラスミドDNAを単離する
ことができる。なお、当該微生物 Rhodococcus rhodoch
rous P-II-123-1 は、環状プラスミドDNAとして、分
子量が約 2.4 kb の該プラスミドpNC903 一種のみを有
しており、容易に単離することができる。
【0015】分子量が約 2.4 kb の環状プラスミドとし
て単離される当該プラスミドpNC903の有する種々の制限
酵素に対する感受性を調べると、その感受性は表2に示
すものである。
【0016】
【表2】 プラスミドpNC903の制限酵素に対する感受性 制限酵素 切断個所の数 EcoRI 0 XbaI 0 KpnI 0 HindIII 0 BglII 0 SpeI 0 ClaI 1 PstI 1 SphI 1 BamHI 1 AccI 1 SacI 1
【0017】なお、上記制限酵素は、それぞれ次の菌種
から得られる制限酵素である。 制限酵素 菌種の名称 EcoRI Escherichia coli RY13 XbaI Xanthomonas badrii (ATCC 11672) KpnI Klebsiella pneumoniae OK8 HindIII Haemophilus influenzae Rd BglII Bacillus globigii SpeI Sphaerotilus natans (ATCC 13923) ClaI Caryophanon latum L PstI Providencia stuartii 1641 pPst101 SphI Streptomyces phaeochromogenes BamHI Bacillus subtilis MT-2 (pBamHI RM22) AccI Acinetobacter calcoaceticus SacI Streptomyces achromogenes (ATCC 12767)
【0018】各制限酵素による切断個所の数は、過剰量
の制限酵素存在下にプラスミドpNC903を完全消化し、得
られる消化物(切断されたDNA)を0.7%アガロ−
スゲル電気泳動にかけ、分離可能なDNA断片の種類数
から決定される。大腸菌のラムダファ−ジのDNA(λ
DNA)を制限酵素 HindIII で消化し得られる、既知分
子量のDNA断片(J. Mol. Biol., 98, 551-564 (1975)
を参照)を同一のアガロ−スゲル上での電気泳動にか
け、その泳動距離で描かれる標準曲線に基づき、切断さ
れたDNA断片の分子量は算出した。上記の制限酵素 C
laI、 PstI、 SphI、 BamHI、 AccI、又は SacI で完全
消化し、得られる消化物(切断されたDNA)は、それ
ぞれ約 2.4 kb の分子量を有する単一のDNA断片であ
った。更に、該プラスミドpNC903を、上記の制限酵素 C
laI、 PstI、 SphI、 BamHI、 AccI、 SacI の2種以上
を組み合わせて用いた処理によって得られる、複数のD
NA断片の分子量をそれぞれアガロ−スゲル電気泳動で
測定することにより、図1に示す制限酵素開裂地図を作
成した。なお、互いに近接して存在する PstIと SphIの
開裂位置は、アガロ−スゲル上での電気泳動による分子
量の測定では容易に区別できないが、 PstIと BamHIに
より切断される約 0.2 kb DNA断片中に SphIの切断
部位が存在することを確認することで PstIと SphIの開
裂位置の関係を特定した。また、本発明のプラスミドpN
C903は、その由来するノカルディオフォルム細菌( Rho
dococcus rhodochrous P-II-123-1 )中において複製が
行え、ノカルディオフォルム細菌のDNA複製開始点
(レプリコン)を内在している。
【0019】本発明のプラスミドpNC903は、図1に示す
制限酵素による開裂部位を有しており、該開裂部位を利
用して、該プラスミドを修飾して種々の有用なプラスミ
ドベクタ−を開発することができる。更には、該プラス
ミド或はその修飾により得られる誘導体に、目的とする
遺伝子のDNA断片、例えば、モノオキシゲナ−ゼ等の
酵素或は蛋白質をコ−ドする遺伝子のDNA断片を上記
の制限酵素による開裂部位を利用して組み込み、得られ
る環状プラスミドを宿主微生物に導入して、宿主を形質
転換させることが可能である。当該プラスミドpNC903を
宿主−ベクタ−系として適用できる宿主微生物として
は、該プラスミドpNC903が由来する Rhodococcus rhodo
chrous P-II-123-1 と類似するDNA鎖合成酵素(DN
Aポリメラ−ゼ)などプラスミドDNAの複製を司る酵
素群を有するノカルディオフォルム細菌が好適に用いら
れる。なお、該プラスミドpNC903を宿主−ベクタ−系と
して適用するに際しては、該プラスミドを汎用される選
択マ−カ−の遺伝子、例えば、放線菌由来のチオストレ
プトン耐性遺伝子、大腸菌由来のクロラムフェニコ−ル
耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、カナマイシン耐
性遺伝子などの薬剤耐性をもたらす遺伝子DNAにより
修飾して、耐性遺伝子を内在したプラスミドベクタ−と
して用いると好ましい。即ち、該プラスミドpNC903を修
飾して得られる耐性遺伝子を内在したプラスミドベクタ
−に目的の遺伝子のDNA断片を組み込み得られる環状
プラスミドを作製し、この環状プラスミドを目的とする
宿主微生物に導入して、前記の薬剤耐性を指標とし選別
することで、容易に該環状プラスミドにより形質転換さ
れた微生物を選別することができる。
【0020】なお、上記の該プラスミドpNC903の耐性遺
伝子による修飾、或はポリペプチドや蛋白質をコ−ドす
る遺伝子などのDNA断片の組み込みは、公知の遺伝子
DNA組み換え技術、例えば、参照文献 Scientific Am
erican 233(1) 24-33 (1975)、 Molecular Cloning : a
Laboratory Manual. Cold Spring Harbor, NY : Cold
Spring Harbor (1982) などに記載されている手法を用
いて行うことができ、目的とする環状プラスミドはその
分子量を量り分取することができる。また、本発明のプ
ラスミドpNC903、或は該プラスミドpNC903から上記のD
NA組み換え技術により調製される環状プラスミドを宿
主微生物に導入するには、例えば、宿主微生物であるノ
カルディオフォルム細菌の細胞をプロトプラスト或はス
フェロプラストにして、環状プラスミドをポリエチレン
グリコ−ル(PEG)と共存させることで環状プラスミ
ドを移入する方法(J. Bacteriol. 170, 638-645 (198
8)などを参照)、または細胞を対数増殖期中期まで培養
し、高電圧の電気パルスを与えて環状プラスミドを移入
するエレクトロポレ−ション法(Appl. Enviro. Microb
io. 56, 2818-2825 (1990) などを参照)等の公知の技
術を適用できる。
【0021】更には、本発明のプラスミドpNC903をプラ
スミドベクタ−として用い、目的とする酵素或は蛋白質
をコ−ドする遺伝子を組み込み得られる環状プラスミド
を導入した宿主微生物の形質転換株は、それ自体を公知
の方法で培養して、目的とする酵素或は蛋白質を産出さ
せることができ、又目的とする酵素とその基質との反応
による有用な代謝物の製造を行うことができる。即ち、
目的とする酵素或は蛋白質を細胞外に分泌生産させた
り、或は細胞内に生産蓄積させたりでき、更には生産さ
せた酵素により、例えば、基質のオレフィンを酵素によ
り酸化して、対応する光学活性なエポキシド類を生産す
るなどの酵素反応を行ったり、難分解物質を酵素反応に
より分解して代謝物に変換したりすることができる。
【0022】
【実施例1】Rhodococcus rhodochrous P-II-123-1 からのプラスミ
ドpNC903の単離Rhodococcus rhodochrous P-II-123-1 のスラントより
3白金耳量を採取し、それを液体培地〔Nutrient Broth
No.2(Oxoid) 2.5 %(w/v),グルコ−ス 1 %(w/v),グリ
シン 1 %(w/v)〕 500ml に接種し、30℃で21時間振盪
培養した。この時点で、前記培養液中における濃度が
0.5 units/ml となる量のペニシリンGを添加し、さらに
30℃で3時間培養を継続した。次いで、培養した当該菌
の菌体を該培養液から集菌し、TE緩衝液〔0.025M トリ
ス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)、0.02
5M EDTA : pH8.0〕で洗浄した。該菌体を、溶菌液〔0.3
Mショ糖、0.025M トリス、0.025M EDTA、2 mg/ml リゾ
チ−ム、2 mg/ml アクロモペプチダ−ゼ、50 μg/ml RN
ase : pH8.0〕 20ml 中に懸濁し、30℃で2時間反応させ
た。得られる反応液に、2%(w/v)ラウリル硫酸ナトリウ
ムと0.3M水酸化ナトリウムからなる溶液10mlを添加し、
良く混合してから55℃の湯浴中に1時間置いた。この液
に、フェノ−ル・クロロホルム(1容:1容)混合液 4
ml を加え、1分間良く混ぜ、液全体を白濁させた。
【0023】この白濁した液を、4℃で30分間17000×g
の遠心分離にかけ、得られる上層の溶液を分取した。再
度、それと等量のフェノ−ル・クロロホルム(1容:1
容)混合液を加え良く混ぜた後、4℃で30分間17000×g
の遠心分離にかけ、分離した上層の溶液を分取した。
【0024】この分取した上層の溶液に、それと等量の
ジエチルエ−テルを加え、穏やかに撹拌した後しばらく
放置した。分離する上層のジエチルエ−テルを捨て、再
度下層の溶液に、それと等量のジエチルエ−テルを加え
抽出した。前記のエ−テル抽出後、得られる下層の液
に、0.1倍容の3M 酢酸ナトリウム水溶液及び2倍容のエ
タノ−ルを加え、析出した沈殿物を遠心分離で回収し
た。回収した沈殿物を5mlのTE緩衝液に溶解し、更に Cs
Cl 7.5g と、1.5mg/ml 臭化エチジウム-TE緩衝液2ml と
を加え混合し、溶液を得た。この溶液を42時間 120,000
×gの密度勾配遠心分離にかけた。
【0025】遠心分離したプラスミド画分を、紫外線照
射により検出し、分取した。分取したプラスミド画分
を、n-ブタノ−ルで処理し臭化エチジウムを除いた。そ
の後、TE緩衝液に対して透析し、エタノ−ル沈殿により
精製プラスミド画分を得た。該精製プラスミド画分を
0.5 mlのTE緩衝液に溶解し、0.7%アガロ−スゲル電気泳
動( 100 V、 1時間 )に供し、分子量 約 2.4 kb のプ
ラスミドバンドの存在を確認した。該分子量 約 2.4kb
のプラスミドバンドを含むゲル部分を分取した。このゲ
ル部分を少量のTE緩衝液とともに透析膜に入れ、電気泳
動させ、更に逆方向に短時間泳動させた後、透析膜内に
残る溶液を回収し、この回収した溶液に、0.1倍容の3M
酢酸ナトリウム水溶液及び2倍容のエタノ−ルを加え、
析出した沈殿物を遠心分離で回収して、真空乾燥を行
い、目的のプラスミドpNC903を得ることができる。な
お、上記の精製プラスミド画分をアガロ−スゲル電気泳
動に供し、分子量の異なるプラスミドを分離する際、前
記分子量 約 2.4kb のプラスミドバンド以外のプラスミ
ドバンドは見出されず、当該菌の有する環状プラスミド
は、プラスミドpNC903のみであることが判る。
【0026】また、プラスミドpNC903を、各種制限酵素
によって単一消化、二重消化、或いは三重消化し、得ら
れるDNA断片をアガロ−スゲル電気泳動にかけ、各D
NA断片の移動度から分子量を求めたところ、プラスミ
ドpNC903の分子量は約 2.4 kb であった。この場合、制
限酵素の反応条件は、供給者によって定められた条件に
従った。なお、分子量は、λDNAを制限酵素 HindIII で
分解して得られる断片の標準移動度のパタ−ンを基にし
て決定した。更に、これらの結果から、該プラスミドpN
C903は図1の制限酵素地図を示すことが分かった。ま
た、アガロ−スゲル上での電気泳動による分子量の測定
では容易に区別できない、互いに近接して存在する Pst
Iと SphIの開裂位置は、 PstIと BamHIにより切断され
る約 0.2 kbDNA断片中に SphIの切断部位が存在する
ことを確認することで PstIと SphIの開裂位置の関係を
特定した。
【0027】
【発明の効果】本発明の環状プラスミドpNC903は、種々
の制限酵素による開裂部位各一つを有しており、この特
定される開裂部位を利用して、外来のDNA断片を導入
修飾し、多くの有用なプラスミドベクタ−を開発するこ
とができる。更に、当該プラスミドは、ノカルディオフ
ォルム細菌を宿主として、ノカルディオフォルム細菌中
において複写が可能である、宿主−ベクタ−系における
プラスミドベクタ−として有用である。また、該プラス
ミドを用いて、外来のDNA断片を導入修飾して得られ
る環状プラスミドベクタ−とし、更に得られる環状プラ
スミドベクタ−に種々の酵素或は蛋白質をコ−ドする遺
伝子を組み込み得られる環状プラスミドを導入した宿主
微生物の形質転換株を利用し、該形質転換株を培養して
目的の酵素或は蛋白質を産出させることができ、又目的
とする酵素とその基質との反応による有用な代謝物や酵
素反応産物の製造を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 制限酵素 ClaI、PstI、SphI、BamHI、AccI、
及びSacIによる切断部位の相対位置を示すプラスミドpN
C903の制限酵素開裂地図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:01)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子量が約2.4kbの環状プラスミドであ
    り、制限酵素 EcoRI、 XbaI、 KpnI、 HindIII、 BglI
    I、又は SpeI によって切断されず、制限酵素 ClaI、 P
    stI、 SphI、 BamHI、 AccI、及び SacI によって切断
    される部位数がそれぞれ1であり、且つ前記の制限酵素
    ClaI、 PstI、 SphI、 BamHI、 AccI、及び SacI によ
    って切断される部位が下記の制限酵素開裂地図化1で示
    されるプラスミドpNC903。 【化1】
  2. 【請求項2】 該環状プラスミドが、Rhodococcus rhod
    ochrous P-II-123-1(工業技術院生命工学工業技術研究
    所 寄託番号 FERM P-14193 )由来のプラスミドである
    ことを特徴とする請求項1に記載のプラスミドpNC903。
JP6073795A 1994-03-22 1994-03-22 プラスミドpNC903 Pending JPH07255484A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6073795A JPH07255484A (ja) 1994-03-22 1994-03-22 プラスミドpNC903

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6073795A JPH07255484A (ja) 1994-03-22 1994-03-22 プラスミドpNC903

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07255484A true JPH07255484A (ja) 1995-10-09

Family

ID=13528482

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6073795A Pending JPH07255484A (ja) 1994-03-22 1994-03-22 プラスミドpNC903

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07255484A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004018651A1 (ja) * 2002-08-20 2004-03-04 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology リゾチーム感受性新規微生物
US6949362B2 (en) 2000-12-12 2005-09-27 E. I. Du Pont De Nemours And Company Rhodococcus cloning and expression vectors

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6949362B2 (en) 2000-12-12 2005-09-27 E. I. Du Pont De Nemours And Company Rhodococcus cloning and expression vectors
US7416859B2 (en) 2000-12-12 2008-08-26 E.I. Du Pont De Nemours And Company Rhodococcus cloning and expression vectors
WO2004018651A1 (ja) * 2002-08-20 2004-03-04 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology リゾチーム感受性新規微生物
US7354754B2 (en) 2002-08-20 2008-04-08 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology Microorganism sensitive to lysozyme

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR890003083B1 (ko) 테트라시클린 내성 유전자를 함유한 플라스미드, 이로 부터 유도된 dna단편, 및 이 dna단편을 함유한 미생물 및 이들의 제조방법
Nakano et al. Isolation and characterization of sfp: a gene that functions in the production of the lipopeptide biosurfactant, surfactin, in Bacillus subtilis
Steiert et al. A Gene Coding for a Membrane–Bound Hydrolase is Expressed as a Secreted, Soluble Enzyme in Streptomyces Lividans
Ostroff et al. Identification of a new phospholipase C activity by analysis of an insertional mutation in the hemolytic phospholipase C structural gene of Pseudomonas aeruginosa
Yikmis et al. Importance of the latex‐clearing protein (Lcp) for poly (cis‐1, 4‐isoprene) rubber cleavage in Streptomyces sp. K30
Shaw et al. Mechanism of chloramphenicol resistance in Staphylococcus epidermidis
CN115161303B (zh) 一种磷脂酶突变体及其合成甘油磷脂的方法
US5418156A (en) Agarase enzyme system from alteromonas strain 2-40
Moore et al. Construction of TnphoA gene fusions in Rhodobacter sphaeroides: isolation and characterization of a respiratory mutant unable to utilize dimethyl sulfoxide as a terminal electron acceptor during anaerobic growth in the dark on glucose
Klapatch et al. Restriction endonuclease activity in Clostridium thermocellum and Clostridium thermosaccharolyticum
US4343906A (en) Hybrid plasmid of pBR322 and Streptomyces plasmid and E. coli containing same
US6492510B2 (en) Insertion sequence element derived from Ralstonia solanacearum
Nováková et al. A method for the identification of promoters recognized by RNA polymerase containing a particular sigma factor: cloning of a developmentally regulated promoter and corresponding gene directed by the Streptomyces aureofaciens sigma factor RpoZ
JPH07255484A (ja) プラスミドpNC903
EP0089233A2 (en) Plasmid pSAN 81 and a process for its extraction from a cell culture
EP0506262B1 (en) Production of L-fucose dehydrogenase
CN117051003B (zh) 一种产气荚膜梭菌融合抗体及其制备方法与应用
Rodriguez-Bonano et al. Molecular analysis of oriT and MobA protein in the 7.4 kb mobilizable β-lactamase plasmid pSJ7. 4 from Neisseria gonorrhoeae
CN114891821B (zh) 一种Bacillomycin D高活性菌株及其构建方法和应用
Fortina et al. Mapping of two plasmids from Lactobacillus helveticus ILC 54, plasmid curing and preliminary studies on their involvement in lactose metabolism and peptidase activity
Fidai et al. Identification of the PufQ protein in membranes of Rhodobacter capsulatus
JP4258874B2 (ja) 放線菌由来の環状プラスミドdna
JP3876310B2 (ja) リゾチーム感受性新規微生物
Alsheikhly et al. Identification of a DNA fragment in the genome of Bordetella pertussis carrying repeated DNA sequences also present in other Bordetella species
JPH0856669A (ja) 新規シャトルベクタープラスミド

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Effective date: 20041028

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20041130

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20050517