JPH0564573U - メカニカルシール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 エラストマーベローズ５とシールリング６及
びカートリッジケース３の接着剥れによるシール性低下
を防止する。 【構成】 カートリッジケース３内に、シャフト２側の
メイティングリング９に衝合するシールリング６と、シ
ールリング６をメイティングリング９に押し付けるスプ
リング４と、先端フィット部５ａ及び後端フィット部５
ｂをシールリング６及びカートリッジケース３に接着し
たエラストマーベローズ５が組み込まれたメカニカルシ
ールにおいて、エラストマーベローズ５の先端フィット
部５ａ及び後端フィット部５ｂの接着面に形成した接着
剤１０逃がし用の環状溝５１内に、相手接着面側へ突出
した所要数の突起５２を一体突設する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、機器の回転軸周を密封するメカニカルシールであって、とくに非回 転のシールリングがカートリッジケース内に保持され、このシールリングとカー トリッジケースの間をエラストマーベローズで密封した構造を有するカートリッ ジ型のメカニカルシールに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来から、例えば自動車エンジンの冷却水ポンプの軸周を密封するメカニカル シールとして、図４に示すような、回転側及び静止側の部品群が一体化されたカ ートリッジ型のメカニカルシールが知られている。図において、１は冷却水ポン プの軸封部のハウジング、２はこのハウジング１内に挿通されて図示しないプー リで駆動され、インペラーを回転させるシャフトである。

【０００３】 上記メカニカルシールは、ハウジング１の軸孔開口部に密嵌された環状のカー トリッジケース３と、このカートリッジケース３内に軸方向移動自在かつ回り止 めされた状態に支持され、スプリング４によって軸方向に付勢されるとともにエ エラストマーベローズ５によってカートリッジケース３との間の気密が保持され た非回転のシールリング６と、前記カートリッジケース３の内周に挿通された状 態でシャフト２に外装されたスリーブ７と、このスリーブ７のシールリング６側 の端部に形成された鍔状の収容部７ａ内にカップガスケット８を介して抱持され たメイティングリング９とを備え、シャフト２と一体回転するこのメイティング リング９と軸方向に対向する非回転のシールリング６が前記スプリング４の付勢 力によって気密摺接し、その密封摺動面Ｓにおいて、その外周側のポンプ室内の 密封対象液Ｗが大気Ａ側（軸受側）へ漏洩するのを阻止するものである。

【０００４】 エラストマーベローズ５の先端フィット部５ａとシールリング６の背面、及び エラストマーベローズ５の後端フィット部５ｂとカートリッジケース３の後端壁 ３ａは、共に接着剤１０を介して接着されている。前記両フィット部５ａ，５ｂ には、それぞれ環状溝５１が形成されており、この環状溝５１は、接着に際して 前記先端フィット部５ａとシールリング６の間、及び前記後端フィット部５ｂと 後端壁３ａの間で挟圧された接着剤１０の余剰分を逃がすためのものである。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、上記従来のメカニカルシールは、長期間の使用のうちに、エラストマ ーベローズ５の先端フィット部５ａとシールリング６の背面の接着部、及び後端 フィット部５ｂとカートリッジケース３の後端壁３ａの接着部に接着剥れが生じ て、エラストマーベローズ５の両端から漏れが発生する恐れがあった。

【０００６】 本考案は、このような点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、 エラストマーベローズとシールリング及びカートリッジケースの接着剥れによる シール性低下を防止することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決するため、本考案は、ハウジングに固定されるカートリッジケ ース内に、シャフト側のメイティングリングに衝合するシールリングと、シール リングを前記メイティングリングに押し付けるスプリングと、先端フィット部及 び後端フィット部を前記シールリング及びカートリッジケースに接着したエラス トマーベローズが組み込まれたメカニカルシールにおいて、エラストマーベロー ズの先端フィット部及び後端フィット部の接着面に形成した接着剤逃がし用の環 状溝内に、相手接着面側へ突出した所要数の突起を一体突設してなる構成とした ものである。

【０００８】

【作用】

エラストマーベローズの先端フィット部とシールリングの接着強度は、前記先 端フィット部と接着剤の接着強度及び接着剤とシールリングの接着強度から成り 立っており、同様に、エラストマーベローズの後端フィット部とカートリッジケ ースの接着強度は、前記後端フィット部と接着剤の接着強度及び接着剤とカート リッジケースの接着強度から成り立っているが、一般に、接着剤とシールリング 及びカートリッジケースとの接着強度に比較して、弾性体であるエラストマーと 接着剤との接着強度の方が小さいため、実際は、エラストマーベローズの先端フ ィット部及び後端フィット部と接着剤との接着強度によって、シールリング及び カートリッジケースに対するエラストマーベローズの接着強度が決定される。

【０００９】 本考案の構成によると、エラストマーベローズの先端フィット部及び後端フィ ット部の接着面に形成した接着剤逃がし用の環状溝内に、相手接着面側へ突出し た所要数の突起を一体突設してあるので、この環状溝内に逃げ込んだ接着剤の接 着面積が増大するとともに、突起の存在によって前記先端フィット部あるいは後 端フィット部の接着部の剪断力の作用面積が増大し、したがって、先端フィット 部及び後端フィット部と接着剤との接着強度、ひいてはシールリング及びカート リッジケースに対するエラストマーベローズの接着強度が向上する。

【００１０】

【実施例】

図１は本考案の一実施例を示すものである。なお、先の図４に示す従来例と同 一または対応する部分には同一の符号を用い、その説明を省略する。

【００１１】 すなわちこのメカニカルシールは、エラストマーベローズ５の先端フィット部 ５ａの接着面、及びエラストマーベローズ５の後端フィット部５ｂの接着面にそ れぞれ形成されて接着剤１０の余剰分を逃がすための環状溝５１の底壁に、シー ルリング６の背面側及びカートリッジケース３の後端壁３ａ側へ向けて突出した 突起５２を一体に設けたものである。この突起５２は、例えば図２に示すように 円柱状をなし、環状溝５１の周方向等配状に形成されている。

【００１２】 このため、エラストマーベローズ５の先端フィット部５ａとシールリング６の 背面、及びエラストマーベローズ５の後端フィット部５ｂとカートリッジケース ３の後端壁３ａをそれぞれ接着剤１０を介して接着する際に、前記環状溝５１内 に逃げ込んだ接着剤１０の余剰分が突起５２と接着状態になり、接着剤１０と前 記先端フィット部５ａ及び後端フィット部５ｂとの接着面積が増大し、両フィッ ト部５ａ，５ｂにおける剪断力の作用面積も増大するので、図３に示すように、 エラストマーベローズ５の先端フィット部５ａとシールリング６の接着強度、及 びエラストマーベローズ５の後端フィット部５ｂとカートリッジケース３の接着 強度が向上し、接着剥れが起こりにくくなる。

【００１３】 なお、図示の実施例では突起５２を円柱状としたが、その数や大きさは任意で あり、また、これを例えば、環状溝５１の周方向に延びる断続的な円弧状とした り、環状に連続した形状にするといった種々の変更が可能であり、とくに限定す るものではない。

【００１４】

【考案の効果】

以上、本考案のメカニカルシールは、エラストマーベローズの先端フィット部 及び後端フィット部の接着面に形成した接着剤逃がし用の環状溝内に、相手接着 面側へ突出した所要数の突起を一体突設したことによって、前記先端フィット部 及び後端フィット部と、シールリング及びカートリッジケースとの接着強度が向 上し、エラストマーベローズの両端の接着剥れによるシール性低下を防止するこ とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るメカニカルシールの一実施例を、
装着される機器との関係において示す半断面図である。

【図２】同じく要部正面図である。

【図３】エラストマーベローズ５の接着強度を従来構造
のメカニカルシールとの比較において示す図である。

【図４】従来のメカニカルシールの一例を、装着される
機器との関係において示す半断面図である。

【符号の説明】

１ ハウジング ２ シャフト ３ カートリッジケース ４ スプリング ５ エラストマーベローズ ５ａ 先端フィット部 ５ｂ 後端フィット部 ６ シールリング ７ スリーブ ９ メイティングリング １０ 接着剤 ５１ 環状溝 ５２ 突起

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ハウジングに固定されるカートリッジケ
   ース内に、シャフト側のメイティングリングに衝合する
   シールリングと、シールリングを前記メイティングリン
   グに押し付けるスプリングと、先端フィット部及び後端
   フィット部を前記シールリング及びカートリッジケース
   に接着したエラストマーベローズが組み込まれたメカニ
   カルシールにおいて、エラストマーベローズの先端フィ
   ット部及び後端フィット部の接着面に形成した接着剤逃
   がし用の環状溝内に、相手接着面側へ突出した所要数の
   突起を一体突設してなることを特徴とするメカニカルシ
   ール。