JPH056442U - 焼付機用しごきローラー及び焼付機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 気密シートと露光用透光板の間の空気の排出
を行う焼付機用しごきローラーであって、特に大型原板
の焼付けに適したしごきローラーの提供及び当該しごき
ローラーを装備した焼付機を提供することを目的とす
る。 【構成】 本考案のしごきローラーは、軸体と軸体の軸
線回りに回動する複数のローラーからなり、各ローラー
は軸線に対して直角方向に変位可能に形成されているこ
とからなる。本考案のしごきローラーによれば、気密シ
ートの各所を強く押圧することができるので、気密シー
トと露光用透光板の間の空気の排出を効果的且つ確実に
行うことができる。本考案の焼付機は上記のしごきロー
ラーを装備した焼付機であり、大型原板であっても空気
溜りに起因する焼きボケを防止でき、作業時間の短縮が
図れる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は焼付機用しごきローラー及び焼付機に関する。より詳細には、写真製 版などを行う際のフィルム転写作業に用いられる焼付機（焼枠、フィルム密着反 転プリンターなどと称されることもある）のしごきローラー及びそれを備えた焼 付機に関する。

【０００２】

【従来の技術】

写真製版を行う際のフィルム転写作業に用いられる焼付機においては、露光用 透光板上に原板と未露光感光材料を順に重合させて配設し、その上をゴム等の柔 軟性を有する気密シートで覆うと共に真空吸引作用により原板と未露光感光材料 とを密着させ、原板と未露光感光材料が密着した状態で原板側からに光を照射し て未露光感光材料に原板の内容を焼き付けることが行われている。

【０００３】 この種の焼付機において、重要なことの一つは、原板と未露光感光材料との間 や原板と露光用透光板との間に空気溜りを形成させないことである。このような 空気溜りが形成されると、この空気溜りによって焼ボケが発生する。空気溜りに よる焼ボケを回避するためには、気密シート、未露光感光材料、原板及び露光用 透光板とを全面にわたって確実に密着させなければならない。そのため、真空吸 引により気密シートと露光用透光板との間の空気を強制排出する手段が採られて いるが、この場合は、重合部全面にわたって均等な吸引作用を及ぼすことが困難 であるため、原板と未露光感光材料との間などに空気溜りが残り、焼ボケを生ず る原因となっていた。

【０００４】 このような問題から、露光用透光板に展張された気密シート上を転動し、原板 と未露光感光材料間などの空気を排出させるしごきローラーを設けた焼付機が提 案されている。例えば、内装したバネにより、軸線まわりに自転するように付勢 されたスプリングローラーに気密シートを巻装し、該気密シートの遊端を露光用 透光板の前端縁近くに止着し、前記バネに抗して、スプリングローラーを露光用 透光板の後端方向に向けて移動させることにより、気密シートを展張して、露光 用透光板上に載置してある原板と未露光感光材料とを覆うとともに、スプリング ローラに付随して気密シート上を転動するしごきローラーにより、気密シートと 露光用透光板との間の空気を押し出した後、吸気するようにした装置が知られて いる（特開昭５８−４８０３５号公報など参照）。上述のしごきローラーにより 、原板と未露光感光材料間などに形成される空気溜りの形成を抑制することがで きる。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、ガラス等からなる露光用透光板は四周を支持されているだけなので、 周辺部においては歪は少ないが、原板及び未露光感光材料を載置する中央部にお いては下方への歪が大きくなる。特に、最近のように原板が大型化するに伴い、 露光用透光板も広い面積のものが用いられており、露光用透光板中央部の歪も大 きくなる。従来のしごきローラーは一本ローラーからなり、露光用透光板上に展 張された気密シート上を転動し、自重により気密シートを押圧する構造となって いる。そのため、しごきローラーは、露光用透光板の両側部の歪の少ない部分で 支えられることとなり、歪の大きい露光用透光板中央部においてはしごきローラ ーの押圧が十分にかからず、空気の排出が不十分となる。その結果、空気溜りが 生じやすく、しごきローラーを用いても焼ボケを完全に防止することはできない という問題がある。 また、この種の焼付機においては、焼付け時間の改善に伴い、真空吸引時間の 作業時間に占める割合が高まり、吸引時間の短縮が作業性、生産性の向上に直結 する。そのため、気密シートと露光用透光板の間の空気の効率的な排除が望まれ ている。特に、大型原板の焼付けにおいては、密着が不十分のまま真空吸引する と、生じた空気溜りの空気の通路が遮断されるため、空気溜りを除去するために 長時間の真空吸引が必要となり、作業性、生産性を著しく損なうという問題があ る。 本考案は上記の問題点を解消するためになされたもので、大型原板であっても 空気溜りを生ずることなく、焼ボケが防止できるしごきローラーの提供及びそれ を用いた焼付機を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は上記事情に鑑みてなされたもので、本考案のしごきローラーは、軸体 と軸体の軸線回りに回動する複数のローラーからなり、各ローラーは軸線に対し て直角方向に変位可能に形成されていることからなる。 また、本考案の焼付機は、一端が焼付機本体に固定された気密シートを巻装し たスプリングローラー及び露光用透光板上に展張された気密シート上を転動する しごきローラーを有し、当該スプリングローラーが露光用透光板に沿って転動す ることにより気密シートを露光用透光板上に展張するとともに、気密シート上を 転動するしごきローラーにより気密シートと露光用透光板の間の空気を排出させ るようにした焼付機において、しごきローラーが、軸体と軸体の軸線回りに回動 する複数のローラーからなり、各ローラーは軸線に対して直角方向に変位可能に 形成されていることからなる。

【０００７】

【作用】

本考案は上記の構成からなり、本考案のしごきローラーにおいては、複数のロ ーラーが用いられており、個々のローラーにより気密シートを押圧することがで きるので、露光用透光板中央部の歪の大きい部分でも気密シートは強く押圧され 、気密シートと露光用透光板の間の空気を十分に排出させることができる。 また、本考案の焼付機においては、上記のしごきローラーが用いられているの で、大型原板であっても空気溜りの発生を抑制することができ、焼きボケを防止 できる。

【０００８】

【実施例】

以下、実施例を示す添付図面に基づいて、本考案を詳細に説明する。 図１は、本考案のしごきローラーの一実施例を示す一部切欠正面図であり、ま た図２は図１のII−II線断面拡大図である。図１及び図２に示されるように、本 しごきローラー１は、軸体２の軸線回りに回動する複数のローラー３（図におい ては５個）及びローラー３の両端に取り付けられた２つのストッパー４と、これ らの各ローラー２及びストッパー４を貫通する軸体２とからなる。 ローラー３はゴム、プラスチック（例えば、ジュラコン等）などからなり、ロ ーラー３の中心部には一端から他端へ通じる円孔５が設けられており、当該円孔 ５の孔径は軸体２の直径よりもやや大きく形成されている。ローラー３の側面は 円孔５のやや外側から周辺部まで切削されており、各ローラー３間の摩擦抵抗の 緩和が図られている。

【０００９】 軸体２は鋼材、ステンレスなどからなる丸棒で、各ローラー３の円孔５を貫通 している。上記のように、ローラー３の円孔５の孔径は軸体２の直径よりもやや 大きいので、ローラー３は軸体２の軸線に対して直角方向に変位可能となる。 ストッパー４は、ローラー３の横方向の変動を防止するもので、ローラー３と 同様な構成からなるが、ストッパー４の外径はローラー３の外径よりも小さくな っている。また、軸体２の両端にはスナップリング溝が設けられており、スナッ プリング６によりストッパー４の軸線方向の変動が防止されている。 本考案のしごきローラー１は上記の構成からなり、各ローラー３は軸体２の軸 線に対して直角方向に変位可能であり且つ各ローラー３は個別に作動するので、 焼付機の露光用透光板の歪にかかわらず、気密シートを強く押圧することができ 、気密シートと露光用透光板の間の空気を効果的に排除することができる。 なお、本考案は上記の例に限定されるものではなく、適宜変更して実施するこ とができ、例えば、ローラー３の数、大きさは、露光用透光板の大きさに応じて 適宜調整すればよい。

【００１０】 図３から５は、上記本考案のしごきローラー１を用いた焼付機の一実施例を示 す概略図であり、図３は焼付け作業開始前（及び作業終了後）の状態を示す一部 切欠平面図、図４は図３のIV−IV線における縦断面図、図５は図４において気密 シート展張中の状態を示す要部縦断面図である。なお、以下の説明において、便 宜上、前とは気密シートを巻き込む方向（図面の左側）を、また後とは気密シー トを展開する方向（図面の右側）を意味するものとする。また、添付図面には示 されていないが、焼付機の左側にも図４の断面図に示される装置と同じものが、 図４と左右対称に設けられている。

【００１１】 図３から５に示されるように、本焼付機はボックス状の本体１０からなり、本 体１０の前方には一段低くなった段部１１が設けられている。本体１０の内部に は露光用光源、真空吸引装置及び駆動装置（いずれも図示せず）が収容されてお り、本体１０の上板１２には露光用光源に対向して露光用透光板１３が設けられ ている。露光用透光板１３はガラスなどの透明材料からなり、支持具１２ａによ り上板１２に取り付けられており、露光用透光板１３はその上面が支持具１２ａ の上面よりやや低くなるように支持されている。また、露光用透光板１３には真 空吸引用の吸引孔１４が穿設されており、チューブ（図示せず）を介して真空吸 引装置に接続している。

【００１２】 図３及び４に示されるように、段部１１には、本考案のしごきローラー１及び 気密シート１５を巻装したスプリングローラー１６が、焼付け作業開始前及び終 了後に収容される。しごきローラー１は、昇降杆１７の上部に固着されている軸 受金具１８に設けられた溝１９に、しごきローラー１の軸体の両端が枢支される ことにより保持されている。溝１９は縦長の溝に形成されているので、しごきロ ーラー１は上下方向に変動することができる。 気密シート１５を巻装したスプリングローラー１６は内装したバネにより前方 に自転するように付勢されており、スプリングローラー１６は昇降杆１７の軸受 金具１８に軸支されている。気密シート１５の遊端は、露光用透光板１３の前端 縁の前方に設けられた固定軸２０に回動自在に止着されている。 しごきローラー１及びスプリングローラー１６は、昇降杆１７に固定されたカ バー２１により後方を除き覆われている。

【００１３】 昇降杆１７の下端にはコロ２２が軸着されており、コロ２２の受け具として段 部１１の下方には、コイルバネ等の緩衝部材２３が設けられている。緩衝部材２ ３は、本体１０の側板と平行し且つ側板の内側に近接する仕切り板２４の外側に 取り付けられている。 また、上板１２には、前方から後方へわたって、昇降杆１７が前後方向へ移動 するための長孔２５が左右両側部に切設されている。 長孔２５の下方の本体１０内には、レール２６が前方から後方にわたって設け られ、レール２６は仕切り板２４に固着されている。レール２６には、走行体２ ７が、走行体２７に設けられた４つのローラー２８で前後方向に摺動可能に挟持 されており、また走行体２７にはローラー２８で昇降杆１７も上下方向に摺動可 能に挟持されている。

【００１４】 レール２６の下方には、前方に大きなスプロケット２９が、また後方には駆動 用スプロケット３０が仕切り板２４に枢着されており、スプロケット２９と駆動 用スプロケット３０の間には無端チェーン３１が掛け回されており、掛け回され た無端チェーン３１の上辺は露光用透光板１３と略平行となっている。また、無 端チェーン３１と昇降杆１７とは、昇降杆１７の下端より少し上方の位置におい てピン３２により枢着されている。無端チェーン３１は、駆動用スプロケット３ ０の回転により、ピン３２がスプロケット２９の前端部から駆動用スプロケット ３０の直前までを往復走行するように制御されており、その結果、無端チェーン ３１の走行に伴い、昇降杆１７は段部１１で円弧状に上昇したのち後方に移動し 、また逆に後方から前方に移動した後、段部１１の位置で円弧状に下降する。 さらに、昇降杆１７が前後方向に移動する際、昇降杆１７の下端に設けられた コロ２２が転動する位置には、ガイドレール３３が前後方向に設けられている。 ガイドレール３３は、前方のスプロケット２９から後方の駆動用スプロケット３ ０にわたっており、これらのスプロケットの外側の位置で仕切り板２４に固定さ れている。

【００１５】 本考案の焼付機を用いて原板を焼き付ける手順を説明する。 まず、図３及び４に示される状態において、露光用透光板１３上に、原板と未 露光感光材料を重合したもの（図示せず）を載置する。次いで、駆動用スプロケ ット３０を回転させ、無端チェーン３１を後方へ向かって走行させる。無端チェ ーン３１の走行に伴い、昇降杆１７は、しごきローラー１、スプリングローラー １６及びカバー２１と共にスプロケット２９の前方円弧にそって上昇し、図４の 想像線で示す位置に達すると共に昇降杆１７の下端のコロ２２はガイドレール３ ３の上に乗る。この際、昇降杆１７と無端チェーン３１を係着するピン３２は、 スプロケット２９上を移動するので、小さな駆動力で昇降杆１７を滑らかに上昇 させることができる。

【００１６】 図５に示されるように、無端チェーン３１の後方へ走行に従い、昇降杆１７は 下端に取り付けられたコロ２２を介してガイドレール３３に支持されながら後方 へ移動する。また、昇降杆１７の移動につれ、走行体２７もレール２６の上を後 方へ走行する。昇降杆１７の後進に際し、昇降杆１７と無端チェーン３１とは、 走行体２７のやや下方の位置で係着されているので、昇降杆１７が斜め方向に引 っ張られることがなく、さらに、昇降杆１７の重量はコロ２２を介してガイドレ ール３３で支えられているので、昇降杆１７を滑らかに且つ小さな駆動力で移動 させることができる。

【００１７】 また、段部１１の上方に持ち上げられた昇降杆１７が後方へ移動するに伴い、 固定軸２０に回動自在に止着されている気密シート１５の遊端が反転し、次いで スプリングローラー１６の後進により、気密シート１５は露光用透光板１３の上 に展張され、露光用透光板１３上に載置された原板と未露光感光材料の重合体を 覆う。 上記スプリングローラー１６の後進に連動して、しごきローラー１５は気密シ ート１５上を転動しながら後進し、自重により気密シート１５を押圧して気密シ ート１５と露光用透光板１３の間の空気を排出する。この際、本考案においては 、しごきローラー１５が複数のローラー３からなり、且つ各ローラー３は上下方 向に変位することができるので、露光用透光板１３の中央部においても気密シー ト１５は強く押圧され、空気を確実に排除することができる。また、気密シート １５は、遊端が回動自在に止着されているので、遊端を露光用透光板１３の前端 縁近傍や段部１１に固着した場合に比べて、気密シート１５の損傷を少なくする ことができる。

【００１８】 昇降杆１７は、図５の想像線で示される位置まで後進し、気密シート１５は露 光用透光板１３の後端縁まで展張される。次いで、気密シート１５と露光用透光 板１３の間の空気を吸引孔１４を介して抜き取って真空状態とし、気密シート１ ５、未露光感光材料及び原板を露光用透光板１３に密着させる。そして、本体１ ０内に設けられている光源が発する光を原板に照射し、原板の上に重ね合わされ た未露光感光材料に感光させて原板の焼付けを行う。

【００１９】 焼付け終了後、駆動用スプロケット３０を回転させ、無端チェーン３１を前方 へ走行させることにより昇降杆１７を前進させる。昇降杆１７の前進につれ、前 方に自転するように付勢されているスプリングローラー１６は露光用透光板１３ 上に展張されている気密シート１５を自動的に巻き取りながら前進する。そして 、段部１１の下方において、昇降杆１７は円弧状に下降する。昇降杆１７の下端 のコロ２２は緩衝部材２３の上に落下するので、衝撃及び騒音が緩和される。 かくして焼付け作業は終了し、図３及び４に示される状態に戻る。

【００２０】 なお、本考案の焼付機は上記の例に限定されるものではなく、気密シートを巻 装したスプリングローラー及び露光用透光板上に展張された気密シート上を転動 するしごきローラーを有し、当該スプリングローラーが露光用透光板に沿って転 動することにより気密シートを露光用透光板上に展張するとともに、気密シート 上を転動するしごきローラーにより気密シートと露光用透光板の間の空気を排出 させるようにした焼付機であれば何れの焼付機でも実施することができ、例えば 、吸引孔１４の代りに、露光用透光板１３とその支持具１２ａとの間に隙間を設 け、その隙間を介して真空吸引するようにした焼付機や光源と露光用透光板１３ との間にフレンネルレンズを設置した焼付機などでもよい。

【００２１】

【考案の効果】 以上のように、本考案のしごきローラーによれば、気密シートを強く押圧する ことができ、気密シートと露光用透光板の間の空気を効率よく且つ確実に排出さ せることができ、空気溜りの発生を抑制できる。 また、本考案の焼付機においては、上記のしごきローラーが用いられているの で、大型原板であっても空気溜りによる焼きボケを防止でき、また真空吸引工程 の時間が短縮されるので、作業性及び生産性の著しい改善が図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のしごきローラーの一実施例を示す一部
切欠正面図である。

【図２】図１のII−II線断面拡大図である。

【図３】本考案の焼付機の一実施例を示し、焼付け作業
開始前（及び作業終了後）の状態を示す一部切欠平面概
略図である。

【図４】図３のIV−IV線縦断面概略図である。

【図５】図４において、気密シート展張中の状態を示す
縦断面要部概略図である。

【符号の説明】

１ しごきローラー ２ 軸体 ３ ローラー ４ 円孔 １０ 本体 １１ 段部 １２ 上板 １３ 露光用透光板 １４ 吸引孔 １５ 気密シート １６ スプリングローラー １７ 昇降杆 １８ 軸受金具 ２２ コロ ２４ 仕切り板 ２６ レール ２７ 走行体 ２９ スプロケット ３０ 駆動用スプロケット ３１ 無端チェーン ３２ ピン ３３ ガイドレール

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 軸体と軸体の軸線回りに回動する複数
   のローラーからなり、各ローラーは軸線に対して直角方
   向に変位可能に形成されていることを特徴とする焼付機
   用しごきローラー。
2. 【請求項２】 一端が焼付機本体に固定された気密シ
   ートを巻装したスプリングローラー及び露光用透光板上
   に展張された気密シート上を転動するしごきローラーを
   有し、当該スプリングローラーが露光用透光板に沿って
   転動することにより気密シートを露光用透光板上に展張
   するとともに、気密シート上を転動するしごきローラー
   により気密シートと露光用透光板の間の空気を排出させ
   るようにした焼付機において、しごきローラーが、軸体
   と軸体の軸線回りに回動する複数のローラーからなり、
   各ローラーは軸線に対して直角方向に変位可能に形成さ
   れていることを特徴とする焼付機。