JPH056044B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は例えば自動車のグローブボツクスな
ど、物品収納用のボツクスが開閉作動するような
場合、当該開成動、閉成動に対して常に適切な制
動力を付与して、望ましい緩除な開成と適切なス
ピードでの閉成ができるようにした緩衝装置に関
する。

〔従来の技術〕

既知のように前記グローブボツクスなどについ
ても、その開成作動時に、全く制動力が付与され
ないとすれば、特にボツクス内に多くの物品が入
れられていると、開成限度にあつてストツパー部
材と、その受け部材とが強く衝当し、騒音が大き
くなつてくる。

そこで、上記のような急速な開成による騒音抑
止するため、既に当該ボツクスの開成に対して制
動力を付与し、これにより緩徐な開動を行わせる
ようにし、さらに閉動操作時には、上記のような
大きな制動力でなしに、小さな抵抗を与えるよう
にして、適度に速やかな当該操作が可能となるよ
うにした緩衝装置が、既に提案されている。

上記装置（実公昭59−27558号）は第３図に示
す通り、シリンダーａの通気孔ｂが貫設された一
端側と、同シリンダーａに進退自在なるよう内嵌
した作動ピストンｃとを、夫々所望部材に連結
し、同図ａのように当該部材が開成されて作動ピ
ストンｃが矢印Ａの伸長方向へ移動するときに
は、同ピストンｃの先頭部に嵌合係止されている
ひれ状の弾性弁体ｄにおけるシール周縁部d′が、
シリンダーａの内周面へ強く圧接するようにな
り、これにより作動ピストンｃの当該移動に対す
る制動力が強められ、これに対し同図ｂの如く所
要部材の閉成操作により矢印A′の収縮方向へ移
動したときは、弾性弁体ｄが縮径状態となつてシ
ール周縁部ｄとシリンダーａの間に通隙が生じ、
これによつて作動ピストンｃの当該移動に対する
抵抗が弱められ、同ピストンｃは速やかに移動す
るよう構成されたものである。

また同図のｅ，ｅ……は突条であつて、当該突
条ｅ，ｅ……上に弾性弁体ｄを嵌合当接させてお
くことにより、長期間不使用状態が続いても、ゴ
ム等による弾性弁体ｄとシリンダーａの内周面と
の膠着が生じて始動不能となる如き支障を解消し
ようとしている。

しかし、上記既応装置によるときは、通気孔ｂ
は所定通気量であるから、弾性弁体ｄのシール周
縁部d′がシリンダーａの内周面に圧接する力だけ
に制動力を依存していることとなり、所要部材が
軽量負荷（カセツト式テープレコーダのカセツト
装填蓋など）の場合には有効に利用できるもの
の、大荷重のときは充分な空気抵抗が得られず、
開成スピードも大となつて騒音抑止の効果が減殺
されてしまい、さらに特殊形状の弾性弁体ｄを、
作動ピストンｃに組込まねばならないので取付工
数も多くなり、また当該弁体ｄの耐久性にも問題
が残される。

また第３図のように突条ｅ，ｅ……を突設して
始動を保証しようとすると、弾性弁体ｄが突条
ｅ，ｅ……に嵌り込んでいるとき、シール周縁部
d′とシリンダーａの内周面との間に可成りの通隙
が出来ることとなり、この結果同弁体ｄが突条
ｅ，ｅ……に嵌入していくとき、逆に脱出すると
き何れも急激な抵抗差が生じ、満足すべき開閉動
が期待し難いこととなる。

〔発明が解決しようとする問題点〕

本発明は、上記従来の難点に鑑み作動ピストン
とシリンダーとの圧接状態を可変とするのではな
く、シリンダー内と連通する通気孔の大きさを可
変としてやることによつて、開成外力が大きくな
つて、所要部材の開成スピードが大きくなつた場
合には、通気孔からの通気量を制御して、小さな
荷重から充分に大きな荷重に至るまで、常に緩徐
な作動を保証し、これにより不快な騒音の発生を
完全に抑止すると共に、閉動操作すなわち上記外
力の方向が反対になつたときにも、当該操作スピ
ードを充分に早くしても、その場合の負荷が大と
ならないように制動力が自動調整され、これによ
り通常の操作スピードの場合と同等の力で閉成す
ることを可能となし、かつ、かかる緩衝装置を空
気圧の利用に際し、作動ピストンに特殊構成の弁
体を用いることなしに簡潔な構成により安価に提
供し、しかも始動を保証するようにする場合に
も、従来例のように開閉作動時における極端な前
記抵抗差を生じなくてもすむようにするのが、そ
の目的である。

〔問題を解決するための手段〕

本発明は上記の目的を達成するため、緩衝装置
にあつてシリンダーには、その一端側に作動ピス
トンを、また、通気孔を設けた他端側に第１の調
整空間を介して対向し、かつ当該他端側と復帰用
スプリングにより連結された調整ピストンを、
夫々進退自在なるように密接内嵌し、上記シリン
ダーの周壁には、作動ピストンの夫々急速伸長急
速縮小による第２の調整空間の拡大負圧化、縮小
昇圧により、調整ピストンが復帰用スプリングを
夫々伸長変位、圧縮変移することで開口度合が削
減、増大される位置に調整通孔を貫設する構成と
したことを特徴としている。

〔作用〕

本発明は上記の通り構成することによつて、大
きな一方向の外力を受け、これにより急速に摺動
する作動ピストンの変位により、前記第２の調整
空間の内圧を負圧化させ、これによつて調整ピス
トンを、このような急速変位のときだけ移動させ
るようにし、当該移動によつて調整通孔の開口度
合を絞つてしまい、これにより第２の調整空間と
外気との通気量を減殺することで、前記作動ピス
トンの変位に対する第２の調整空間への外気流入
量を抑制し、かくして作動ピストンの当該動きに
対する制動力を増大させるようになし、一方逆方
向への外力付加時にあつては、同じく調整ピスト
ンを移動させるが、今度は逆に当該移動によつて
調整通孔の開口度合を大とし、これにより第２の
調整空間と外気との通気量を増大させることで、
前記作動ピストンの変位による第２の調整空間か
らの流出通気量を大とし、かくして同作動ピスト
ンの変位に対する制動力を減殺させ得るようにす
るのである。

〔実施例〕

本発明を先ず第１図の実施例によつて詳記すれ
ば、シリンダー連結部１を具備したシリンダー３
には、その一端側に通気孔４を貫設した開通端５
が形成され、その中心部から直交状に上記のシリ
ンダー連結部１が外側へ突設されており、同連結
部１の先端には図示されていない所望取付箇所に
連結ピンにより枢着するための連結環１′が形成
され、同シリンダー３の他端側は全開状態の開通
端５′となつている。

さらに当該シリンダー３の周壁３′には調整通
孔６が、長手方向略中央部に穿設されており、図
示例では長手方向へ所定間隔だけ離間させた左端
側から順次大径の第１小孔６ａ，小径の第２、第
３小孔６ｂ、６ｃによつて構成されているがシリ
ンダー長手方向に長い細長孔として１つの孔とし
てもよい。

次に上記シリンダー３内には、その右端側にあ
つて作動ピストン７が摺動自在に嵌合され、同ピ
ストン７の作動杆７ａは前記開通端５′から外側
へ延出されており、同杆７ａの延出端には連結孔
を穿設することで、所定取付箇所にこれまた連結
ピンなどで連結するためのピストン連結部２が形
成れ、図中７ｂ，７ｂは作動ピストン７の外周に
嵌合係止したＯリングを示している。

さらに同シリンダー３内の左端側には調整ピス
トン８が第１の調整空間１０ｂを介し前記開通端
５に対向してこれまた摺動自在となるよう嵌合さ
れていると共に同ピストン８と前記開通端５と
が、シリンダー３内に配設された復帰用スプリン
グ９にて連結されている。

図中８ａは当該調整ピストン８に嵌合係止の摺
動Ｏリングであり、前記ピストン８は平常時にあ
つて第１図のｂに示された位置に存し、従つて上
記両摺動Ｏリング８ａ，８ａが調整通孔６の第１
小孔６ａにおける左右両側にあつて、シリンダー
３の内周面と気密に圧接し、これにより、上記第
１小孔６ａから外気がシリンダー３内に流入しな
い状態にある。

そして、さらに上記平常時にあつては、作動ピ
ストン７が同上図の位置にあり、従つて同ピスト
ン７と調整ピストン８との間にあつて、調整通孔
６の第２、第３小孔６ｂ，６ｃにて外気と連通状
態にある第２の調整空間１０ａが形成されること
になる。

そこで上記した緩衝装置を、所定の部材に、例
えば自動車用グローブボツクスのハウジング側に
シリンダー連結部１の連結環１′を、また前記ハ
ウジング内に開動自在に枢支されるグローブボツ
クス本体側にピストン連結部２を、それぞれ回動
自在に枢着して使用すれば第１図のｂに示す平常
時の状態から同図Ｃに示す如く作動杆７ａの右動
する如き外力が作用し、しかもこの際当該外力
が、それほど大きくないときには、同図Ｃの通り
前記第２の調整空間１０ａが上記の図ｂにおける
状態よりも、拡大されて負圧化されるものの、外
気が第２、第３通孔６ｂ，６ｃから同空間に流入
するので、同孔６ｂ，６ｃからの通気量に対応し
て緩徐なスピードにより作動ピストン７の当該右
動が許容され、前掲例のグローブボツクスなど
が、ゆつくりと開放されることとなる。

次に上記外力が可成り大きい場合、すなわちグ
ローブボツクスに大重量の荷重がかかつていたと
すれば、作動杆７ａの右動スピードが大となり、
これにより負圧化が急速に進むため第２、第３小
孔６ｂ，６ｃからの外気導入では間に合わずに、
当該負圧化が進行して調整ピストン８が復帰用ス
プリング９の弾発力に抗してこれを伸長する右方
向へ移動し、この結果同図のｄに示す如く調整ピ
ストン８が第２小孔６ｂをも閉塞してしまい、第
３小孔６ｃだけが第２の調整空間１０ａを外気と
連通することになる。

そして、この際復帰用スプリング９の弾力が、
第２の調整空間１０ａの負圧と一致するに至る位
置まで調整ピストン８が右動する。

この結果上記第２の調整空間１０ａに流入する
空気の量が削減されることとなり、従つて作動ピ
ストン７の右動スピードは減少、すなわち同ピス
トン７の移動に対して、より大なる制動力が付与
され、ボツクスが重いようなときでも、急速な開
放とはならず、緩徐な開放スピードが確保され
る。

上記のようにしてグローブボツクスが開放状態
となれば、作動ピストン７が右動限度で停止し、
爾後第３小孔６ｃからの外気流入により、第２の
調整空間１０ａの内圧が上昇するから、調整ピス
トン８が復帰用スプリング９により左動復帰す
る。

次に上記の如き状態から、今度は逆に延出した
作動杆７ａを押し込む方向へ外力が加えられた場
合には、第２図ｅに示す通り作動ピストン７が作
動することになり、この際作動ピストン７の押し
込みスピードが、ゆるやかであれば、第２の調整
空間１０ａは正圧になるものの第１、第２小孔６
ｂ，６ｃから外気へ適度に排出され、所望程度の
軽い制動力に抗した前掲ボツクス等の閉成が可能
となる。

ここで上記外力が、例えば閉成操作を急速に行
つた場合のものであれば、作動ピストン７の左動
スピードが大となり、この結果第２の調整空間１
０ａの正圧が大となるから、調整ピストン８が平
常時の位置から同図のｆに示す如く、復帰用スプ
リング９を圧縮して左動し、これにより大径とし
た第１小孔６ａの閉塞が解かれ、調整通孔６が全
開状態となるから、作動ピストン７の左動スピー
ドが大であつても、当該空間１０ａからの排気量
が増大することで、小さな力によりボツクス等の
閉成操作などが可能となる。

次に本発明の第２実施例を第２図によつて詳記
すると、その基本的構成は前実施例のものと同じ
で、同一部材には同一符号が付されているが、そ
の相違するところは、作動ピストン７と調整ピス
トン８とに、夫々第２の調整空間１０ａに向けて
先細りとした内向先端部７′、外向先端部８′が対
向して突設されている点にある。

そして当該実施例では、平常時にあつて第２図
ａの如く作動ピストン７により左方へ押動された
調整ピストン８が復帰用スプリング９を圧縮して
おり、このことにより同スプリング９が所望の復
原力を蓄勢させておくのである。

従つて上記平常時には調整ピストン８と作動ピ
ストン７との間にあつて、両ピストンの衝当によ
り鼓状の第２の調整空間１０ａが形成され、当該
空間１０ａは第１、第２、第３小孔６ａ，６ｂ，
６ｃのすべてを介して外気と連通状態にある。

そこで上記した緩衝装置を、所定の部材に、例
えば自動車用グローブボツクスのハウジング側に
シリンダー連結部１の連結環１′を、また前記ハ
ウジング内に回動自在に枢支されるグローブボツ
クス本体側にピストン連結部２を、それぞれ回動
自在に枢着して使用することになるが、第２図ａ
の如き平常状態から同図のｂに示す如く作動杆７
ａの右動する如き外力が作用した際、復原力を蓄
勢していた復帰用スプリング９が圧縮状態から伸
長することで、調整ピストン８が強制的に右動さ
れ、同図ｂに示す位置、すなわち摺動リング８
ａ，８ａの間に第１小孔６ａが存する状態とな
る。

このため前掲グローブボツクスに用いたときな
どには、当該ボツクスの開成始動時に復帰用スプ
リング９が調整ピストン８と作動ピストン７との
双方を強制的に右動させることとなり、従つて当
該実施例によるときは、緩衝装置が不使用状態に
より前記の如く摺動Ｏリング７ｂ，７ｂ，８ａ，
８ａがシリンダー３の内周面に摺着するようなこ
とがあつても、上記スプリング９の圧縮による復
原力の大きさを適度に設定しておけばこれが剥離
されて可動状態となり、不本意な作動不能状態と
なることを防止することができる。

そして本実施例のその後の作動状態すなわち伸
長方向への外力がそれほど大きくないとき、大き
いとき、そして収縮方向への外力が緩徐であると
き、急速であるときの動作は同図ｂ，ｃ，ｄ，ｅ
に示す通りで、前実施例と全く同じである。

ここで摺動Ｏリング７ｂ，７ｂ，８ａ，８ａを
用いることは本発明に必ずしも必要ではないが同
上Ｏリングを用いるようにすることで、より空気
抵抗を正確に規制でき、所望緩徐な作動を保証す
ることが可能となる。

また調整通孔６を１個だけ長手方向に大きく穿
設するよりは、図示例の如く複数個だけ散在させ
小孔すなわちオリフイス状のものを形成してやる
方が、極めて緩徐な作動を実現でき、これにて大
荷重に耐え得る緩衝装置の提供が容易となる。

〔発明の効果〕

本発明は前記のように構成され、上記実施例の
如く具現できるものであるから、前記ボツクスな
どの開閉装置等に使用することで、単に所望物体
の動きに対し、制動力を付与して騒音発生を抑止
できるというだけでなく、当該動きが大なる外力
によるときは、当該制動力を自動的に増大させ、
従つて外力が小さいときも大きいときにも、空気
圧の利用により常に緩徐な開放作動を確保するこ
とができ、しかも上記外力の逆行時にあつても、
その逆行が速やかに行われたときには、自動的に
当該逆動に対する制動力が低減され、これによ
り、ゆつくりと逆行がなされた場合と変らない軽
い外力による逆動が可能となり、使い勝手のよい
緩衝装置を提供できる。

さらに本発明によるときは、作動ピストンに特
殊な弁体を形成したり組込み工程を必要とせず、
従つて安価に提供でき、制動力の調整を、シリン
ダー内へ流入またはシリンダー外に流出する通気
量の制御によつて行うようにしたので、大荷重と
対しても充分に対処できる緩衝装置を容易に製作
でき、しかも始動を保証しようとするときも、従
来例の如く開閉作動における極端な抵抗差なし
に、その目的を達成することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図のａは本発明に係る緩衝装置の一実施例
を示す斜視図、同図のｂ以下に同装置の作動状態
を説示するものでｂがその平常状態、ｃが緩徐な
伸長状態、ｄが急速な伸長状態、ｅが緩徐な収縮
状態、ｆが急速な収縮状態における夫々の縦断正
面図、第２図は同発明装置の他実施例を示し、そ
のａが平常状態、ｂが緩徐な伸長状態、ｃが急速
な伸長状態、ｄが緩徐な収縮状態、ｅが急速な収
縮状態における夫々の縦断正面図、第３図は従来
の緩衝装置を示し、そのａは伸長状態、ｂは収縮
状態における夫々要部縦断正面図である。 ３……シリンダー、３′……シリンダーの周壁、
４……通気孔、６……調整通孔、７……作動ピス
トン、８……調整ピストン、９……復帰用スプリ
ング、１０ａ……第２の調整空間、１０ｂ……第
１の調整空間。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ シリンダーには、その一端側に作動ピストン
   を、また、通気孔を設けた他端側に第１の調整空
   間を介して対向し、かつ当該他端側と復帰用スプ
   リングにより連結された調整ピストンを、夫々進
   退自在なるよう密接内嵌し、上記シリンダーの周
   壁には、作動ピストンの夫々急速伸長、急速縮小
   による第２の調整空間の拡大負圧化、縮小昇圧に
   より、調整ピストンが復帰用スプリングを夫々伸
   長変移、圧縮変移することで開口度合が削減、増
   大される位置に、調整通孔を貫設するようにした
   ことを特徴とする緩衝装置。