JPH0560444B2

JPH0560444B2 -

Info

Publication number: JPH0560444B2
Application number: JP20833485A
Authority: JP
Inventors: Yoji Yamazaki; Maiyoshi Kawagoe
Original assignee: Lion Corp
Current assignee: Lion Corp
Priority date: 1985-09-20
Filing date: 1985-09-20
Publication date: 1993-09-02
Also published as: JPS6270312A

Description

【発明の詳細な説明】

産業上の利用分野本発明は、Ｓ−カルボキシメチル−Ｌ−システ
インを配合することにより、歯周病原性細菌であ
るバクテロイデス・ジンジバリスの歯肉溝への定
着を抑制し、歯周病予防、治療効果を与える口腔
用組成物に関する。従来の技術従来より、歯槽膿漏等の歯周疾患の原因菌とし
てバクテロイデス・ジンジバリスが注目されてい
る。即ち、歯周疾患の主な原因は歯周ポケツトに
蓄積する歯垢中の細菌であるが、歯周疾患が進行
するにつれてグラム陰性菌、なかでもバクテロイ
デス・ジンジバリスが増加する。実際、重度の成
人歯周炎患者の病巣部からはグラム陰性菌が多く
検出され、特にバクテロイデス・ジンジバリスが
高頻度に分離される。このため、歯槽膿漏等の歯
周疾患を予防するためには、バクテロイデス・ジ
ンジバリスの増殖を抑制し、或いは口腔内への定
着を抑制することが有効である。従来、歯周疾患を予防或いは治療する方法とし
ては、抗生物質により歯周疾患原因菌を殺菌する
方法、過酸化水素等の過酸化物により歯周疾患原
因菌を排除する方法、抗菌性物質により抗菌作用
を利用する方法、殺菌剤を使用する方法などが提
案されている。発明が解決しようとする問題点しかし、抗生物質を用いる方法は、口腔内及び
腸内菌相の変化による為害作用のため歯周疾患の
予防には有効に作用し得ず、また過酸化物を用い
る方法は、歯周疾患原因菌は嫌気性菌が多いので
過酸化物により歯周疾患原因菌を殺菌することが
できるものの、過酸化水素には発癌性の問題があ
り、安全性の点で歯周疾患の予防に用いるのは好
ましくない。更に、抗菌性物質を用いる方法は、
グラム陰性菌に対して有効な物質が少なく、歯周
疾患原因菌を効果的に抗菌し得ず、殺菌剤を用い
る方法は、口腔内に多量に使用することができな
い等の問題がある。本発明は上記事情に鑑みなされたもので、バク
テロイデス・ジンジバリスの口腔内への定着を抑
制でき、歯周病予防、治療効果を発揮する口腔用
組成物を提供することを目的とする。問題点を解決するための手段及び作用本発明者らは上記目的を達成するべく歯槽膿漏
等の歯周疾患を効果的に予防することにつき検討
し、特に歯周疾患の重要な原因菌であるバクテロ
イデス・ジンジバリスの口腔内への定着を抑制す
る口腔用組成物用の有効成分につき鋭意研究を行
なつた結果、Ｓ−カルボキシメチル−Ｌ−システ
イン及びその塩がバクテロイデス・ジンジバリス
の歯肉溝上皮細胞への付着を効果的に抑制する作
用を有することを知見した。即ち、Ｓ−カルボキシメチル−Ｌ−システイン
は、従来、去痰剤として知られており、また抗脂
漏剤、粘液溶解剤、腫瘤防止化粧品等の成分とし
て用いることが提案されているが、Ｓ−カルボキ
シメチル−Ｌ−システインを口腔用組成物に配合
した例はない。ところが、本発明者らの検討によると、Ｓ−カ
ルボキシメチル−Ｌ−システイン及びその塩は意
外にもバクテロイデス・ジンジバリスの口腔内へ
の定着を阻害し、このためこれを配合した口腔用
組成物が歯周疾患の予防、治療に有効であること
を見い出し、本発明をなすに至つたものである。なお、従来、システインの如きチオール基又は
ジスルフイド基を有する化合物を配合した口腔用
組成物は知られている（特開昭59−206304号公
報）が、この組成物は抗コラーゲン分解活性をも
ち、う蝕の予防、治療に用いられるものであり、
本発明の歯周病予防用口腔用組成物とは相違す
る。実際、後述する実験例で示したように、特開
昭59−206304号公報記載の組成物で典型的に用い
られているシステインはバクテロイデス・ジンジ
バリスの口腔内定着抑制効果を殆んど示さないも
のである。以下、本発明につき更に詳しく説明する。本発明に係る口腔用組成物は、練歯磨、粉歯磨
等の歯磨類、マウスウオツシユ等の液状清涼剤、
トローチ等の固形状清涼剤、液状或いはペースト
状の局所塗布剤、チユーインガムなどにして調
製、適用されるものであるが、本発明において
は、このような口腔用組成物中にバクテロイデ
ス・ジンジバリスの口腔内定着を抑制し、歯周疾
患を防止するための有効成分として、Ｓ−カルボ
キシメチル−Ｌ−システイン又はその塩を配合す
るものである。ここで、Ｓ−カルボキシメチル−Ｌ−システイ
ンの塩としては、Na，Li，Ｋ，Ca，Mg等を挙
げることができる。本発明においては、Ｓ−カルボキシメチル−Ｌ
−システイン及びその塩は、これらの１種を単独
で使用してもよく、２種以上を組合せて配合する
ようにしてもよい。Ｓ−カルボキシメチル−Ｌ−システイン、その
塩の配合量は有効量であり、組成物の種類、適用
方法などによつて適宜選択されるが、組成物全体
の0.01〜５％（重量％、以下同じ）、特に0.02〜
１％とすることが好ましい。本発明の口腔用組成物のその他の成分として
は、その種類等に応じて通常配合される成分が用
いられ、例えば練歯磨の場合であれば、研磨剤、
粘結剤、粘稠剤、界面活性剤、甘味剤、香料、防
腐剤などが適宜選択使用される。この場合、本発
明の口腔用組成物中にはＳ−カルボキシメチル−
Ｌ−システインに加えて他の有効成分を配合する
ことができる。発明の効果本発明の口腔用組成物は、Ｓ−カルボキシメチ
ル−Ｌ−システインを配合していることにより、
バクテロイデス・ジンジバリスの口腔内定着が有
効に防止され、歯周病に対する良好な予防、治療
効果を発揮する。次に、実験例を示して本考案の効果を具体的に
示す。〔実験例〕所定量のＳ−カルボキシメチル−Ｌ−システイ
ン又はシステインを添加した20mMリン酸塩緩衝
生理食塩水（以下、PBSと略す）0.25mlにバクテ
ロイデス・ジンジバリス381株の懸濁液（OD₅₅₀
＝1.0）0.25mlを添加し、更にヒトの歯周ポケツ
トをスケーラーでかき取ることにより集めた上皮
細胞懸濁液（２×10⁵個／ml）0.5mlを加え、37℃
で30分間マグネチツクスターラーを用いて攪拌す
ることにより反応させた。反応終了後、上皮細胞
は穴径12μmのメンブレンフイルターの上面に集
め、上皮細胞に付着していない細菌は200mlの
PBSで洗浄して除去した。次に、メンブレンフ
イルター上面の上皮細胞をPBSに懸濁し、ガラ
ススライドに塗沫し、乾燥、固定後、ゲンチアナ
バイオレツトで染色した。上皮細胞に付着した細
菌数は光学顕微鏡下（倍率1000倍）でランダムに
40個の上皮細胞を選び、上皮細胞１個あたりの付
着菌数で算定した。その結果を第１表に示す。

【表】第１表の結果より、Ｓ−カルボキシメチル−Ｌ
−システインはバクテロイデス・ジンジバリスの
歯周ポケツト上皮細胞への付着を良好に抑制する
が、システインは殆んどバクテロイデス・ジンジ
バリスの定着を抑制する効果は認められなかつ
た。以下、Ｓ−カルボキシメチル−Ｌ−システイン
を配合した口腔用組成物の実施例を示す。〔実施例１〕練歯磨水酸化アルミニウム 45.0％ゲル化性シリカ 2.0 ソルビツト 25.0 カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.0 シヨ糖モノパルミチン酸エステル 1.0 ラウリル硫酸ナトリウム 1.5 サツカリンナトリウム 0.2 エタノール 0.1 安息香酸ナトリウム 0.1 Ｓ−カルボキシメチル−Ｌ−システイン 0.5 香料 1.0 水残 100.0％〔実施例２〕練歯磨沈降性シリカ 25.0％ソルビツト 25.0 グリセリン 25.0 ポリビニルピロリドン 1.0 ラウロイルポリグリセリンエステル 1.0 ポリオキシエチレン（60モル）ソルビタンラウ
リン酸エステル 0.5 サツカリンナトリウム 0.2 パラオキシ安息香酸エチル 0.1 クロルヘキシジン塩酸塩 0.1 Ｓ−カルボキシメチル−Ｌ−システイン 0.05 香料 1.0 水残 100.0％〔実施例３〕練歯磨第２リン酸カルシウム・２水和物 20.0％第２リン酸カルシウム・無水和物 20.0 ゲル化性シリカ 2.0 ソルビツト 20.0 カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.0 ラウリルジエタノールアマイド 1.0 ラウリル硫酸ナトリウム 1.5 Ｎ−ラウロイルザルコシネート 0.3 サツカリンナトリウム 0.1 パラオキシ安息香酸エチル 0.1 Ｓ−カルボキシメチル−Ｌ−システイン 0.1 リン酸マグネシウム 1.0 モノフルオロリン酸ナトリウム 0.76 香料 0.8 水残 100.0％〔実施例４〕口腔用パスタセタノール 10.0％スクワラン 20.0 沈降性シリカ（研磨性） 5.0 ポリオキシエチレン（40）硬化ヒマシ油 0.1 ソルビタンモノオレイン酸エステル 1.0 グリチルレチン酸 0.1 サツカリンナトリウム 0.6 香料 0.6 Ｓ−カルボキシメチル−Ｌ−システイン 0.2 水残 100.0％〔実施例５〕口腔用パスタ流動パラフイン 15.0％セタノール 10.0 グリセリン 20.0 ソルビタンモノパルミテート 0.6 ポリオキシエチレン（40）ソルビタンモノステ
アレート 5.0 クロルヘキシジングルコン酸塩 0.1 香料 0.5 Ｓ−カルボキシメチル−Ｌ−システイン 0.5 水残 100.0％〔実施例６〕マウスウオツシユソルビツト 10.0％エタノール 5.0 ポリオキシエチレン（60）硬化ヒマシ油 0.1 シヨ糖モノパルミテート 0.2 サツカリンナトリウム 0.05 香料 0.6 Ｓ−カルボキシメチル−Ｌ−システイン 0.2 水残 100.0％〔実施例７〕口腔用トローチ乳糖 99.0％クロロヘキシジングルコン酸塩 0.05 ポリオキシエチレン（60）モノステアレート
0.2 Ｓ−カルボキシメチル−Ｌ−システイン 0.2 ステビア抽出物 0.2 香料 0.01 ヒドロキシエチルセルロース残 100.0％

Claims

【特許請求の範囲】１Ｓ−カルボキシメチル−Ｌ−システイン又は
その塩を配合してなることを特徴とする口腔用組
成物。２Ｓ−カルボキシメチル−Ｌ−システイン又は
その塩の配合量が組成物全体の0.01〜５重量％で
ある特許請求の範囲第１項記載の口腔用組成物。