JPH0557407U - 取付部材の止着構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】基部材に対し取付部材を容易に止着することが
でき、作業性を向上させることができることを目的とす
る。 【構成】バンパ１に対しリブ２を形成し、前記リブ２を
挿通させるリブ挿通孔４を装飾板３に形成し、前記リブ
２をリブ挿通孔４に挿通した後、前記リブ挿通孔４から
突出するリブ２を狭持するとともに前記装飾板３に当接
するクリップ６を設け、前記バンパ１に対し、装飾板３
を固定する装飾板３の止着構造において、前記リブ２が
突出する側の装飾板３に前記クリップ６を保持するクリ
ップガイド５を設けた。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は例えばバンパ、ガーニッシュ等の樹脂部品に他の部品を固定するため の取付部材の止着構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

近年、例えば自動車の意匠性を高めるためバンパ等に開口部が設けられている 。しかし、この開口部が開放状態のままでは開口部の裏側が見えてしまい美観を 損ない意匠性の低下に繋がる。そこで、開口部の裏側を装飾板等で塞ぐことによ り意匠性の向上が図られている。

【０００３】 開口部の裏側を塞ぐ構造としては樹脂製バンパを樹脂成形するときに、バンパ と装飾板とを一体成形することが考えられる。しかし、例えば意匠性を高めるた めにバンパと装飾板とを色分けしたいときには装飾板をマスキングして塗装しな ければならず、マスキング工程が増えるうえ、塗装作業が面倒となる。

【０００４】 従って、バンパと装飾板とを一体成形することよりも、バンパに対して装飾板 を後から固定することが提案されている。 別体であるバンパに対し装飾板を取付ける構造としては種々考えられる。例え ば、図６に示すような埋め込みボルト３０による固定構造がある。即ち、バンパ ３１の開口部３１ａの裏側に埋め込みボルト３０の頭部の径より若干小さい径の 凹部３２を設け、その凹部３２にローレット３０ａが刻設された埋め込みボルト ３０の頭部を嵌入固定する。こうしてバンパ３１に固定された埋め込みボルト３ ０とナット３３とによりバンパ３１と装飾板３４を固定する。しかし、この構造 ではボルト埋め込み工程が必要になるばかりか、埋め込みボルト３０にローレッ ト３０ａを形成する分だけコスト的問題がある。

【０００５】 また、図７に示すようなＴボルト３５による固定構造がある。即ち、バンパ３ １の開口部３１ａの裏側端部に形成された側断面Ｔ字形状のスライド溝３６にＴ ボルト３５の頭部を横方からスライド挿入させる。こうしてバンパ３１に係合さ れたＴボルト３５とナット３７とによりバンパ３１と装飾板３４を固定する。し かし、この構造では樹脂成形型に前記スライド溝３６に対応するスライド型を付 属させる必要があり、バンパ３１の樹脂成形が複雑になるうえ、コスト的問題も ある。

【０００６】 さらに、図８に示すようなタッピングスクリュー３８により締付固定する方法 がある。即ち、バンパ３１の開口部３１ａの裏側にタッピングスクリュー３８の 軸径より小さい径の細孔３９を形成し、装飾板３４を介してタッピングスクリュ ー３８を前記細孔３９に螺入してバンパ３１と装飾板３４を固定する。この構造 では樹脂成形型に前記細孔３９を形成するためのピンを備えるが、バンパ３１の ような大型成形物においては成形の冷間時に起こる樹脂の収縮が大きいため、冷 間時に樹脂成形型のピン折れが発生するという問題がある。

【０００７】 また、以上説明した埋め込みボルト３０、Ｔボルト３５又はタッピングスクリ ュー３８等によりバンパ３１と装飾板３４を固定する構造の他に図９に示したよ うに高周波接着にてバンパ３１と装飾板３４を接着する構造がある。この場合、 高周波接着装置等の設備が必要であり、設備の大型化や装置が高価であるという 問題がある。

【０００８】 そこで、従来、図１０に示すようなクリップ４０によりバンパ３１と装飾板３ ４を固定することが行われている。即ち、バンパ３１の開口部３１ａの裏側に形 成された複数の凸形状のリブ４１を装飾板３４に透設されたリブ挿通孔４２に挿 入する。リブ挿通孔４２から突出したリブ４１にクリップ４０を装飾板３４に当 接するまで深く嵌め込んでバンパ３１と装飾板３４を固定している。尚、クリッ プ４０にはリブ４１を係止する係止爪４３が形成されているためバンパ３１と装 飾板３４は所定位置に規制されているとともに、クリップ４０により装飾板３４ がバンパ３１に対してしっかり固定される。

【０００９】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、装飾板３４の組付け作業時において、バンパ３１の組付面は必ずし も上面を向いているとは限らず、作業性などの理由によりバンパ３１の組付面が 横方から下方に向いているときには装飾板３４の脱落を防ぐため片手で装飾板３ ４を押さえながら、もう一方の手でクリップ４０の取付け作業を余儀なくされる 。このため、クリップ４０を取り出す時にクリップ４０同士がからみあうなど、 両手が使えないことに起因する作業効率の低下が問題となっていた。

【００１０】 本考案は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は基部 材に対し取付部材を容易に止着することができ、作業性を向上させることができ る取付部材の止着構造を提供することにある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】

本考案は上記問題点を解決するため、基部材に狭持部を形成し、前記狭持部を 挿通させる挿通孔を取付部材に形成し、前記狭持部を挿通孔に挿通した後、前記 挿通孔から突出する狭持部を狭持するとともに前記取付部材に当接するクリップ を設け、前記基部材に対し、取付部材を固定する取付部材の止着構造において、 前記狭持部が突出する側の取付部材には前記クリップを保持する保持部を設けた ことをその要旨とする。

【００１２】

【作用】

取付部材の挿通孔の狭持部が突出する側に形成されたクリップ保持部材にクリ ップは保持される。そして、基部材の狭持部が取付部材の挿通孔に挿入されると 、基部材の狭持部はクリップ保持部材に保持されたクリップに狭持固定される。

【００１３】

【実施例】

以下、本考案を具体化した実施例を図１〜図３に従って説明する。 図１に示すように樹脂製の基部材としてのバンパ１の開口部１ａの裏側には複 数箇所（本実施例では６個、ただし、図１では３個のみ表示）に凸形状の狭持部 としてのリブ２が一体に樹脂成形されている。尚、前記リブ２は先端部がその基 部よりも幅が狭いテーパ形状になっている。一方、取付部材としての装飾板３に はバンパ１側のリブ２が挿通可能に長孔状のリブ挿通孔４が透設されている。 図２に示すようにリブ挿通孔４の幅方向における装飾板３には保持部としてのＬ 字形のクリップガイド５が垂直状態で対向するように設けられている。前記一対 のクリップガイド５は装飾板３から垂直に延びる支持部５ａと前記支持部５ａの 上端から装飾板３に平行に延びる保持部５ｂとから構成されている。前記一対の 保持部５ｂの先端は互いに対向するようになっている。

【００１４】 前記リブ挿通孔４はリブ２の基部とほぼ同じ大きさの細長い挿通口部４ａと、 一対のクリップガイド５の支持部５ａの下端部から前記挿通口部４ａに繋がって 透設された緩衝口部４ｂとから構成されている。尚、前記挿通口部４ａによって 挿入されたリブ２の位置を規制し、前記緩衝口部４ｂによって一対のクリップガ イド５に可撓性を持たせている。

【００１５】 図２に示すようにステンレス製のクリップ６は傾きをもって対向する２つのク リップ側面７とそれぞれの面を繋ぐクリップ背面８とから構成されている。２つ のクリップ側面７の面間隔はクリップ背面８から遠ざかるとともに狭くなってお り、各クリップ側面７の先端部はそれぞれ外方にＲを成して折り曲がりクリップ 底面９を形成している。その結果として両クリップ底面９間にはクリップ口１０ が形成される。

【００１６】 尚、図３に示すように前記クリップ口１０の間隙はリブ２の厚みよりも若干狭 くなっている。そして、各クリップ底面９の外側中央には前記クリップガイド５ の支持部５ａと係合する切り欠き部１１が設けられている。また、クリップ側面 ７の面間隔は保持部５ｂの間隙Ｇ１に対してクリップ口１０側ではより小さく、 クリップ背面８側ではより大きくなっている。

【００１７】 また、両クリップ底面９の外側辺の間隔はクリップガイド５の保持部５ｂの間 隙Ｇ１に対して大きくなっている。従って、クリップ底面９が保持部５ｂに係合 するようになっている。さらに、両クリップ底面９の外側辺の間隔は切り欠き部 １１と角部９ａでは両クリップガイド５の支持部５ａの間隙Ｇ２に対して若干小 さく、切り欠き部１１の両端外方では間隙Ｇ２に対して若干大きくなっている。 従って、切り欠き部１１が支持部５ａに対して係合するようになっている。

【００１８】 また、各クリップ側面７のそれぞれ中央部には切り込み部１２が形成されると ともに、その切り込み部１２は互いにクリップ６内方に折り曲げられている。ク リップ背面８方向へ延びた前記切り込み部１２の先端部には鋸歯状の係止爪１３ が形成されている。尚、対向する係止爪１３の間隙はクリップ６に挿入されるリ ブ２の厚みよりも狭くなっている。そして、各クリップ側面７の中央部には前記 切り込み部１２の跡として側口１４が形成されている。前記側口１４はクリップ ガイド５の保持部５ｂよりもやや大きく、クリップ底面９が装飾板３に当接する 状態において前記側口１４はクリップガイド５の保持部５ｂが前記側口１４内に 挿入されるようになっている。

【００１９】 次に、上記のように構成されたクリップガイド５の作用について説明する。 図２に示すようにクリップ６をクリップガイド５に装着するときには、クリッ プ６がクリップガイド５の両保持部５ｂと干渉しない状態で図中における一点鎖 線に沿ってスライド挿入させる（両クリップ側面７を外方から押圧することによ りクリップ側面７の間隔を狭めてクリップガイド５に挿入することもできる）。

【００２０】 そして、クリップ底面９の切り欠き部１１とクリップガイド５の支持部５ａと を係合させるとともに、クリップ６の両側口１４にクリップガイド５の両保持部 ５ｂを外側から挟み込むように挿入させる。

【００２１】 従って、クリップ６は切り欠き部１１とクリップガイド５の支持部５ａとの係 合及び側口１４とクリップガイド５保持部との係合によりクリップ挿入方向に対 して位置規制される。尚、この状態においてクリップ口１０はリブ挿通孔４の挿 通口部４ａと対向している。

【００２２】 次に、図１に示すように全てのクリップガイド５にクリップ６が装着された装 飾板３をバンパ１に装着する。即ち、図中における一点鎖線に沿ってバンパ１の 各リブ２が装飾板３の各リブ挿通孔４に挿通されるように装飾板３をバンパ１に 対し押圧する。

【００２３】 このとき、図３に示すように各リブ２は各リブ挿通孔４を挿通し、各リブ２の 先端部が装飾板３の各リブ挿通孔４から突出する。これと同時にリブ２の先端部 はクリップガイド５に装着されたクリップ６のクリップ口１０及び係止爪１３に よって狭持され、装飾板３はバンパ１に対して仮止めされた状態となる。

【００２４】 さらに、バンパ１に対し装飾板３を確実に止着するため各クリップ６を押圧し て深く嵌め込みバンパ１と装飾板３とを完全に固定させる。このとき、リブ２は 切り込み部１２の先端に形成された係止爪１３により堅固に係止されるため抜け 落ちることはない。また、テーパ形状のリブ２の基部とリブ挿通孔４の挿通口部 ４ａとは同形状であるので装飾板３の面方向に対して位置規制されている。

【００２５】 以上詳細に説明したように、本実施例は装飾板３に透設されたリブ挿通孔４に 形成されたクリップガイド５を介してクリップ６を装飾板３に対して保持した後 、バンパ１と装飾板３を接合させるという止着構造である。従って、バンパ１の 開口部１ａが横方又は下方などどの方向にあっても装飾板３の脱落を防げるため 、片手で装飾板３を押さえながらもう一方の手でクリップ６の取付け作業をする 必要がなくなる。このため、クリップ６を取り出す時にクリップ６同士がからみ あうなど、両手が使えないことに起因する作業効率の低下を防止することができ る。また、バンパ１を取付治具等にセットして装飾板３の取付け作業をする必要 もなくなり工程数の削減効果もある。

【００２６】 さらに、装飾板３のリブ挿通孔４に緩衝口部４ｂを設けたことによりクリップ ガイド５に可撓性をもたせるとともに、リブ２挿入時に装飾板３に余分な負荷を 与えないという優れた効果を有する。

【００２７】 尚、本考案は上記実施例に限定されるものではなく、考案の趣旨を逸脱しない 範囲において例えば次の様に構成することもできる。 （１） 上記実施例では装飾板３のリブ挿通孔４に緩衝口部４ｂを設けた。し かし、図４に示すように緩衝口部４ｂをなくしてもよい。この構成によれば、シ ール部材等の取付部材の取付場所が外部から見えるような場合には、リブ挿通孔 ４の緩衝口部４ｂがないので美観を損なうことがない。

【００２８】 （２） 上記実施例ではクリップ６の切り欠き部１１とクリップガイド５の支 持部５ａとの係合及びクリップ６の側口１４とクリップガイド５の保持部５ｂと の係合によりクリップ６がクリップ挿入方向にずれないように位置規制した。し かし、図５に示すようにリブ挿通孔４を囲むコ字形ガイド部１５ａを備えたクリ ップガイド１５を設けるとともに、前記コ字形ガイド部１５ａの開口外側にクリ ップ挿入方向へスロープをもつ抜け止めガイド１６を設けてクリップ６がクリッ プ挿入方向にずれないように位置規制してもよい。

【００２９】 このとき、クリップ６はクリップ底面９の両端部とクリップガイド１５のコ字 形ガイド部１５ａ内面とが当接することにより左右方向に位置規制されている。 従って、クリップ６の切り欠き部１１を不要にすることができる。また、クリッ プ６をより確実に保持することができる。

【００３０】 また、前記クリップガイド１５の保持部１５ｂの幅をクリップ６の側口１４の 幅よりも小さくしてもよい。このとき、前記保持部１５ｂはクリップ挿入方向の 位置規制はせず、クリップ６がクリップガイド１５から抜け落ちないような規制 のみを担っている。

【００３１】 （３） 上記実施例では基部材をバンパ１、取付部材を装飾板３としたがバン パ１や装飾板３に限定されるものではなく、部材間の固定を必要とする部材であ れば適用可能である。

【００３２】 （４） 上記実施例では基部材及び取付部材を樹脂製のバンパ１及び装飾板３ としたが樹脂製部材に限定されることなくクリップ６が固定可能ならば部材の材 質は特に限定されない。

【００３３】

【考案の効果】

以上詳述したように本考案によれば、基部材に対し取付部材を容易に止着する ことができ、作業性を向上させることができるという優れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案を具体化した実施例のバンパの裏側とク
リップとを示す部分分解斜視図である。

【図２】クリップガイドとクリップの部分分解斜視図で
ある。

【図３】バンパに装飾板をのクリップにて止着した状態
を示す部分側断面図である。

【図４】別実施例のクリップガイドとクリップの部分分
解斜視図である。

【図５】図４とは別の別実施例のクリップガイドとクリ
ップの部分分解斜視図である。

【図６】従来技術としての埋め込みボルトによる固定例
を示す部分側断面図である。

【図７】Ｔボルトによる固定例を示す部分側断面図であ
る。

【図８】タッピングスクリューによる固定例を示す部分
側断面図である。

【図９】接着による固定例を示す部分側断面図である。

【図１０】従来のクリップによるバンパと装飾板との固
定を示す部分分解斜視図である。

【符号の説明】

１…基部材としてのバンパ、２…狭持部としてのリブ、
３…取付部材としての装飾板、４…挿通孔としてのリブ
挿通孔、５…保持部としてのクリップガイド、６…クリ
ップ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 基部材に狭持部を形成し、前記狭持部を
   挿通させる挿通孔を取付部材に形成し、前記狭持部を挿
   通孔に挿通した後、前記挿通孔から突出する狭持部を狭
   持するとともに前記取付部材に当接するクリップを設
   け、前記基部材に対し、取付部材を固定する取付部材の
   止着構造において、 前記狭持部が突出する側の取付部材には前記クリップを
   保持する保持部を設けた取付部材の止着構造。