JPH0557400U - ポンプのライナリング - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 羽根車４１と相対し、隙間を構成する摺動部
本体１を、該摺動部本体１の外周に取付けられたＯリン
グ３を介して、ポンプケーシング４２に嵌着されたプレ
ス成形されたハウジング２に挿入した、ポンプに使用す
るライナリング１０である。 【効果】 ハウジング２と摺動部本体１間の必要な隙間
を確保すれば、高温使用時でも、ライナリング１０の共
廻りや脱落を防ぐことができ、またハウジング２はポン
プケーシング４２と同一材又は近似の熱膨脹係数の金属
を使用できるため、取付けは圧入で可能となり、また取
扱いが容易になる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ポンプの羽根車のシールに使用するライナリングの構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、遠心ポンプにおいては、羽根車からポンプケーシング室内に吐出された 揚液が入口側へ漏れるのを防ぐために、羽根車側にウエアリングリング（インペ ラリング）を設けると共に、これと相対してケーシング側にライナリング（ケー シングリング）を設け、両者の相対する隙間を小さく保持している。

【０００３】 上記ライナリングやウエアリングリングはその摩耗状況を簡単に外から見るこ とができないので、耐摩性の材料を使用しなければならない。常温の腐食性のな い液の場合には、青銅、鋳鉄、表面硬化鋼などが用いられ、また腐食性のある液 の場合には、１８：８ステンレス鋼がしばしば用いられるが、該ステンレス鋼は 摩耗に対して余り有効でないので、回転部と固定部の間の隙間を普通より大きく とっていた。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

上記した従来のライナリングに使用される金属材料の外、耐食性に優れたカー ボン材やテフロン（登録商標、以下同じ）材の使用が望まれる。

【０００５】 ところが、カーボン材やテフロン材は、高温時その他で取扱いが難しい。即ち 、これらのカーボン、テフロンなどの摺動材は、ポンプのケーシング材として使 用される金属材料と膨脹係数が異なるため、金属系ライナリングで一般に用いら れる圧入による取付けができず、ゴムのハウジングを使用するなどの方法（手段 ）や、或る一定の温度範囲に限定するなどの方法（手段）がとられていた。

【０００６】 本考案は、高温時、その他で取扱いが難しい、カーボン材やテフロン材が、金 属系ライナリングと同様の取扱いで比較的簡単に使用できるようにしたポンプの ライナリングを提供することを目的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するために、本考案は、ライナリングにおいて、羽根車と相 対し隙間を構成する摺動部本体を、該摺動部本体の外周に取付けられたＯリング を介して、ポンプのケーシング本体に嵌着されたハウジングに挿入したことを特 徴としている。

【０００８】 また、第２番目の特徴は、摺動部本体の羽根車側又は反羽根車側の端面に、又 はその外側に該摺動部本体の回転を防止するための、ハウジングとの回り止め機 構を設けたことである。

【０００９】 また、第３番目の特徴は、ハウジング内径部と摺動部本体との間に、使用され る揚液の温度に見合った、各部材を構成する材料の膨脹係数差に相当する隙間を 設け、該隙間をシールする弾性部材を、最低使用温度においてシールが可能な径 方向の予圧を受ける寸法としたことである。

【００１０】 また、第４番目の特徴は、ハウジング内径部に摺動部本体を隙間なく嵌合し、 ハウジングと摺動部本体間の弾性部材を、最高使用温度においてもシールが可能 な径方向の予圧を受ける寸法としたことである。

【００１１】 また、第５番目の特徴は、ハウジングを鋼板のプレス成形で作り、羽根車側に 開口部及びフランジを、反対側に底部をそれぞれ設け、該ハウジング外周円筒部 と底部との角部に弾性部材を配置したことである。

【００１２】 また、第６番目の特徴は、ハウジング開口部側のフランジの一部に切欠きを設 け、爪状の部分を内径側に折り返し、摺動部本体の軸方向の止め又は回転方向の 回り止め又はその双方の機能を持たせたことである。

【００１３】 また、第７番目の特徴は、ハウジング底部に１ないし数個所の切欠き又は突起 を設け、相対する摺動部本体の端面に突起又は切欠きを設け、回転方向の回り止 めを行うようにしたことである。

【００１４】

【作用】

本考案は、上記のように構成されているので、羽根車の入口部の外周面と隙間 を保って相対する摺動部本体は、鋼板のプレス成形で作られ、且つポンプケーシ ング本体に嵌着されたハウジング内に、揚液の温度に見合った熱膨脹差に相当す る隙間を保って挿入されるが、該隙間は、該ハウジングの外周円筒部と底部との 角部の弾性部材によってシールされる。

【００１５】 また、これらの摺動部本体とハウジングとは、ハウジング開口部側のフランジ の一部を切欠き、内径側に折り返した爪状の部分で、上記摺動部本体の軸方向の 動きが止められ、また該爪状部分と摺動部本体の羽根車側の端面とに互いに係合 部を形成することによって回転方向の回り止めの作用を行うこともできる。 一方、該ハウジングの底部側に設けられた凹部又は凸部と、これに相対する摺 動部本体の羽根車側の端面に設けられた凸部又は凹部との係合によって、該摺動 部本体の回り止め作用が行われる。

【００１６】

【実施例】

次に、本考案の実施例を図面と共に説明する。 図１は、本考案のライナリングをポンプケーシングに組込んだ状態を示す要部 断面図であり、図２はライナリング組立断面図である。

【００１７】 図２において、ライナリング１０は、カーボン材やテフロン材からなる摺動部 本体１と、金属材料からなるハウジング２と、Ｏリング３とからなり、摺動部本 体１は、図３（ａ），（ｂ）に示すように、内径側に、羽根車４１（図１）の入 口部の外周面と隙間を保って相対する内径側円筒面１１が形成され、また外径側 に、Ｏリング３が収納できるように、大径の外側円筒部１２と中間の円筒部１３ 及び両円筒部を接続する軸直角方向の端面１４とが形成され、また反羽根車側、 つまり、ハウジング３の底部側１５の端面（側面）には、複数個（図で６個）の 突起１６が等間隔に形成されている。

【００１８】 一方、上記摺動部本体１を内部に挿入するハウジング２は、図４（ａ），（ｂ ）に示すように、円筒部２１と底部２２を角（かど）部２３でつなぐように、鋼 板をプレス成形して作られ、羽根車側の開口側は、半径方向外方にフランジ２４ が張り出し、ポンプケーシング本体４２（図１）との軸方向止めになっている。 また、該フランジ２４の一部には、爪状に切欠き２５が設けられ、Ｏリング３、 摺動部本体１等を内部に挿入後、内方に折り曲げて固定するようになっている。 他方、底部２２には、前記した摺動部本体１の突起１６（図３）と係合する切 欠き２６が複数個、等間隔に設けられている。

【００１９】 上記した摺動部本体１は、ハウジング２内に挿入されるが、摺動部本体１の外 径側、特に外側円筒部１２とハウジング２の円筒部２１の内面との間には、図２ に示すように、揚液の温度に見合った熱膨脹差を考慮した隙間δが形成されてお り、また、摺動部本体１の中間円筒部１３と端面１４とで形成される勾（カギ） 形凹部と、ハウジング２の角部２３とによって形成される環状空所には、Ｏリン グ３が配設され、該Ｏリング３によって上記した隙間δはシールされている。

【００２０】 上記のように構成されているので、羽根車４１の入口部の外周面と隙間を保っ て相対する摺動部本体１は、ポンプケーシング本体４１に嵌着されたハウジング ２内に、揚液の温度に見合った各部材の熱膨脹係数差に相当する隙間δを保って 挿入されるが、該隙間δは、Ｏリング３によってシールされる。

【００２１】 また、これらの摺動部本体１とハウジング２とは、ハウジング２開口部側のフ ランジ２４の一部を図４（ｂ）の２５のように爪状に切欠き、それを図２のよう に内径側に折り返した爪状部分２５で、上記摺動部本体１の軸方向の動きが止め られ、また、該爪状部分２５の内面と摺動部本体１の羽根車側の端面とに互いに 係合部を形成することによって、回転方向の回り止めの作用を行うことも可能で ある。

【００２２】 一方、該ハウジング２の底部２２側に設けられた切欠き２６と、これに相対す る摺動部本体１の反羽根車側の端面に設けられた突起１６との係合によって、該 摺動部本体１の回り止め作用が行われる。

【００２３】 上記した実施例において、摺動部本体１の底部側１５に突起１６を設け、一方 、ハウジング２の底部２２に切欠き２６を設けた構造について説明したが、摺動 部本体１１側を切欠き、ハウジング２側を突起とすることもできる。

【００２４】 上述した実施例においては、ハウジングより熱膨張係数の大なる材料を摺動部 本体として用いる場合を説明したが、ハウジングより、膨張係数の小なる材料（ 例えばセラミックス）を摺動部本体として用いる場合には、ハウジング２の円周 部２１の内面と摺動部本体１の外側円筒部間には、隙間δを設ける必要はなく、 又、ハウジング２と摺動部本体との間のＯリング３を、ハウジング２及び摺動部 本体の熱膨張係数差に相当する予圧を径方向に与える寸法とし、最高使用温度に おいても、Ｏリング３に径方向の予圧が残るようにすればよい。

【００２５】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案によれば、羽根車と相対し隙間を構成する摺動部 本体を、弾性部材を介してポンプケーシング本体に嵌着されたハウジングに挿入 したことにより、次のような効果が奏される。 （１）ハウジングはポンプ本体と同一材又は近似の熱膨脹係数の金属を使用で きるため、ポンプ本体への取付けは圧入が可能となる。また、ゴム等のハウジン グを使用しないため、取り替え等の取扱いが容易になる。 （２）弾性部材がハウジングと摺動部本体間に挟まれているため、羽根車との 多少の偏心があっても運転可能である。 （３）必要なハウジングと摺動部本体間に隙間を確保することにより、これら 摺動部本体の端面とハウジングとの回り止め機構と相俟って、高温使用時でも、 ライナリングの共廻りや脱落を防ぐことができる。

【００２６】 また、ハウジングを鋼板のプレス成形によって作り、その開口部側のフランジ の一部を切欠いて内径側に折り返し、底部側にも凹部又は凸部を設けることによ り、容易に、摺動部本体の軸方向の止めや回転方向の回り止め作用を行わせるこ とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示すライナリングをポンプ
ケーシングに組込んだ状態を示す要部断面図である。

【図２】本考案の一実施例を示すライナリングの組立断
面図である。

【図３】（ａ）は摺動部本体を示す（ｂ）のIII−III線
断面図であり、（ｂ）は側断面図である。

【図４】（ａ）はハウジングの正面図であり、（ｂ）は
（ａ）のIV−IV線断面図である。

【符号の説明】

１ 摺動部本体 ２ ハウジング ３ Ｏリング １０ ライナリング １１ 内径側円筒面 １２ 外側円筒部 １３ 中間円筒部 １４ 端面 １５ 底部側 １６ 突起 ２１ ハウジングの内径 ２２ ハウジング底部 ２３ ハウジング底部の角部 ２４ フランジ ２５ 爪状切欠き ２６ 切欠き ４１ 羽根車 ４２ ポンプケーシング ４３ 軸

Claims (7)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ポンプに使用するライナリングにおい
   て、羽根車と相対し隙間を構成する摺動部本体を、該摺
   動部本体の外周に取付けられた弾性部材を介して、ポン
   プのケーシング本体に嵌着されたハウジングに挿入した
   ことを特徴とするポンプのライナリング。
2. 【請求項２】 前記摺動部本体の羽根車側または反羽根
   車側の端面、またはその外側に該摺動部本体の回転を防
   止するための、ハウジングとの回り止め機構を設けたこ
   とを特徴とする請求項１記載のポンプのライナリング。
3. 【請求項３】 ハウジングより膨張係数の大なる材料を
   摺動材として用いる場合には、ハウジング内径部と摺動
   部本体との間に、使用される揚液の温度に見合った、各
   部材を構成する材料の膨脹係数差に相当する隙間を設
   け、該隙間の一部に設けられる弾性部材を、最低使用温
   度においてシールが可能な径方向の予圧を受ける寸法と
   したことを特徴とする請求項１記載のポンプのライナリ
   ング。
4. 【請求項４】 ハウジングより膨張係数の小なる材料を
   摺動材として用いる場合には、ハウジング内径部に摺動
   部本体を隙間なく嵌合し、ハウジングと摺動部本体間の
   弾性部材を、最高使用温度においてもシールが可能な径
   方向の予圧を受ける寸法としたことを特徴とする請求項
   １記載のポンプのライナリング。
5. 【請求項５】 ハウジングを鋼板のプレス成形で作り、
   羽根車側に開口部及びフランジを、反対側に底部をそれ
   ぞれ設け、該ハウジング外周円筒部と底部との角部に弾
   性部材を配置したことを特徴とする請求項１又は２記載
   のポンプのライナリング。
6. 【請求項６】 ハウジング開口部側のフランジの一部に
   切欠きを設け、爪状の部分を内径側に折り返し、摺動部
   本体の軸方向の止め又は回転方向の回り止め又はその双
   方の機能を持たせたことを特徴とする請求項３記載のポ
   ンプのライナリング。
7. 【請求項７】 ハウジング底部に１ないし数個所の凹部
   又は凸部を設け、相対する摺動部本体の端面に凸部又は
   凹部を設け、回転方向の回り止めを行うようにしたこと
   を特徴とする請求項５又は６記載のポンプのライナリン
   グ。