JPH0557200A - 発電設備における熱水処理用架橋アニオン交換体 - Google Patents

発電設備における熱水処理用架橋アニオン交換体

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JPH0557200A
JPH0557200A JP3244731A JP24473191A JPH0557200A JP H0557200 A JPH0557200 A JP H0557200A JP 3244731 A JP3244731 A JP 3244731A JP 24473191 A JP24473191 A JP 24473191A JP H0557200 A JPH0557200 A JP H0557200A
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輝夫 小野塚
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伊藤  剛
Atsuro Kiyokawa
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Abstract

(57)【要約】 【目的】熱損失を大幅に軽減でき且つ熱ショックによる
性能劣化を著しく抑制し得る、発電設備における熱水処
理用架橋アニオン交換体を提供する。 【構成】下記の化学式[化1]で示される4級アンモニ
ウム基を有する構造単位および不飽和炭化水素基含有架
橋性モノマーから誘導される構造単位を含有し、且つ、
全アニオン交換基の90%以上が上記の4級アンモニウ
ム基である架橋アニオン交換体より成る。 【化1】 (式中、Rは炭素数3〜18のアルキレン基を表し、当
該アルキレン基は、その連鎖中に環状炭化水素を含有し
ていてもよく、また、アルキル基で置換されていてもよ
い。そして、R1 〜R3 は、それぞれ独立に炭素数1〜
8の炭化水素基またはアルカノール基、X- はアニオン
を表し、また、ベンゼン環は、アルキル基またはハロゲ
ン原子で置換されていてもよく、更に、他の芳香環と縮
合していてもよい)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、発電設備における熱水
処理用架橋アニオン交換体に関するものであり、詳しく
は、耐熱性の優れた新規な構造の架橋アニオン交換体を
利用することにより、従来のアニオン交換樹脂を使用し
た場合に比し、熱損失を大幅に軽減でき且つ熱ショック
による性能劣化を著しく抑制し得る、発電設備における
熱水処理用架橋アニオン交換体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】周知の通り、発電設備においては、各種
の熱水および常温水について、脱塩処理、水質浄化処理
等が必要とされる。例えば、原子力発電に利用される原
子炉には、沸騰水型(BWP)と加圧水型(PWR)と
がある。そして、前者は、原子炉で冷却水を加熱して蒸
気に変換して直接タービンへ供給する形式であり、後者
は、原子炉で一次冷却水を加熱して蒸気発生器へ供給
し、蒸気発生器で二次冷却水を加熱して蒸気に変換しタ
ービンへ供給する形式である。上記の何れの原子炉にお
いても、冷却水の循環系には、イオン交換樹脂を充填し
た原子炉水復水脱塩装置を設置し、炉水の放射性物質の
除去および水質純度向上が図られている。また、上記の
他、ほう酸除去脱塩塔、ほう酸回収装置、使用済み燃料
プール水浄化装置、復水脱塩装置等においても、熱水時
および水温上昇時におけるイオン交換樹脂処理が行なわ
れている。更にまた、火力発電における大型貫流タイプ
のボイラー等においても、復水脱塩設備が設置されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来のイオ
ン交換樹脂の耐熱性は、一般的に、H型カチオン交換樹
脂が120℃、OH型アニオン交換樹脂が60℃であ
り、従って、これらのイオン交換樹脂を組み合わせた脱
塩装置等では、60℃以上の熱水を短期および長期間に
亙って通水した場合、イオン交換樹脂が性能劣化を生
じ、脱塩性能が低下する。これがために、発電設備にお
ける各種の熱水等の処理においては、60℃以上の熱水
は60℃より低い温度(通常は50℃以下)に冷却する
必要がある。本発明は、上記実情に鑑みなされたもので
あり、その目的は、従来のアニオン交換樹脂に比し、熱
損失を大幅に軽減でき且つ熱ショックによる性能劣化を
著しく抑制し得る、発電設備における熱水処理用架橋ア
ニオン交換体を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の目
的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、ある特定の構造
を有する架橋アニオン交換体が優れたイオン交換能力を
有した上で優れた耐熱性を発揮し得るとの知見を得、本
発明の完成に到った。すなわち、本発明の要旨は、特許
請求の範囲に記載の化学式[化1]で示される4級アン
モニウム基を有する構造単位および不飽和炭化水素基含
有架橋性モノマーから誘導される構造単位を含有し、且
つ、全アニオン交換基の90%以上が上記の4級アンモ
ニウム基である架橋アニオン交換体より成ることを特徴
とする発電設備における熱水処理用架橋アニオン交換体
に存する。
【0005】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
使用する架橋アニオン交換体は新規物質であり、その特
徴は、前記の化学式[化1]で示される4級アンモニウ
ム基を有する構造単位を含有し、且つ、全アニオン交換
基の90%以上が当該4級アンモニウム基である点に存
する。
【0006】先ず、上記の架橋アニオン交換体の構造に
ついて説明する。化学式[化1]において、Rは炭素数
3〜18のアルキレン基を表し、具体的には、トリメチ
レン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン
等が挙げられる。そして、アルキレン基は、その連鎖中
に環状炭化水素を含有していてもよく、また、アルキル
基で置換されていてもよい。好ましいRは、炭素数3〜
10のアルキレン基である。また、下記の化学式[化
2]で表されるようなシクロヘキシレン基等の環状飽和
炭化水素基を介在しているアルキレン基も好ましい。
【0007】
【化2】
【0008】化学式[化1]において、R1 〜R3 は、
それぞれ独立に炭素数1〜8の炭化水素基またはアルカ
ノール基を表す。炭化水素基としては、直鎖状または分
岐鎖状のアルキル基、アルケニル基等が挙げられ、具体
的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピ
ル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル
基、オクチル基等のアルキル基、これらのアルキル基に
対応するアルケニル基等が挙げられる。そして、これら
は、例えば、シクロヘキシルメチル基のように、環状炭
化水素基を有していてもよい。また、アルカノール基と
しては、上記のアルキル基、アルケニル基等にヒドロキ
シル基を結合したもの各種のアルカノール基が挙げられ
る。
【0009】化学式[化1]において、X- としては、
アニオンであれば特に限定されない。具体的には、例え
ば、Cl- ,Br- ,I- 等のハロゲンイオン、硫酸イ
オン、NO3 - 、OH- 、p−トルエンスルホン酸イオ
ン等のアニオンが挙げられる。そして、アニオンが硫酸
イオンのように2価である場合は、化学式[化1]で表
される構造単位2分子に対してアニオン1分子が結合す
ることになる。
【0010】化学式[化1]において、ベンゼン環の置
換基のアルキル基としては、メチル基、エチル基等が挙
げられ、ハロゲン原子としては、塩素、臭素、沃素等が
挙げられる。また、ベンゼン環が他の芳香環と縮合した
例としてはナフタレン環が挙げられる。そして、ベンゼ
ン環が置換基を有する場合には、当該置換基としては、
メチル基またはエチル基が好ましい。
【0011】ところで、特公平2−42542号公報に
は、本発明で使用する架橋アニオン交換体に類似した構
造の強アニオン交換樹脂が記載されている。そして、こ
の強アニオン交換樹脂は、−Cn 2n−Xで示されるハ
ロアルキル基(式中、Xは塩素または臭素原子、nは1
〜4の整数)を有する架橋共重合体に3級アミンを反応
させて得られるが、具体的に開示されているのは、上記
の整数nが1である強アニオン交換樹脂のみである。そ
して、整数nが3又は4の強アニオン交換樹脂について
は、開示された方法に準じて製造した場合、−(C
2 3 −Xまたは−(CH2 4 −Xで示されるハロ
アルキル基から誘導されるアニオン交換基を極く僅かに
しか有しないものである。上記の公報において、耐熱性
は問題にされてはいないが、上記のような強アニオン交
換樹脂では、充分な耐熱性は期待できない。
【0012】本発明で使用する架橋アニオン交換体にお
いては、全アニオン交換基の90%以上が前記の化学式
[化1]で示される4級アンモニウム基であることが必
要である。この点において、本発明で使用する架橋アニ
オン交換体は、公知のアニオン交換樹脂と異なってお
り、優れた耐熱性を有する。そして、全アニオン交換基
の実質的全量が上記の4級アンモニウム基であることが
好ましい。
【0013】本発明で使用する架橋アニオン交換体は、
前記の化学式[化1]で示される4級アンモニウム基と
共に不飽和炭化水素基含有架橋性モノマーから誘導され
る構造単位を含有している。そして、不飽和炭化水素基
含有架橋性モノマーは、アニオン交換体を架橋重合とし
て得るための必須成分であり、従って、不飽和炭化水素
基含有架橋性モノマーについては、以下の製造方法にお
いて説明する。
【0014】次に、上記の架橋アニオン交換体の製造方
法について説明する。先ず、原料モノマーについて説明
する。前記の化学式[化1]で示される構造単位は、通
常、下記の化学式[化3]で示される前駆体モノマーと
して与えられる。
【0015】
【化3】
【0016】上記の化学式[化3]中、Rは化学式[化
1]における定義と同じであり、Zは、臭素、塩素、沃
素等のハロゲン原子またはトシル基等の置換活性のある
有機基を表す。そして、ベンゼン環は、アルキル基また
はハロゲン原子で置換されていてもよく、更に、他の芳
香環と縮合していてもよい。
【0017】上記の化学式[化3]で示される前駆体モ
ノマーの母体モノマーとしては、スチレン、エチルビニ
ルベンゼン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン等の芳
香族ビニル化合物が挙げられるが、特にスチレンが好ま
しい
【0018】上記の前駆体モノマーは、通常、例えば、
「ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス・ポリマー
・ケミストリー・エディション,20巻,1982年,
3015ページ」に記載されている公知の技術で製造し
得る。
【0019】例えば、クロルメチル化した母体モノマー
(例えばクロルメチルスチレン)にグリニヤール法を適
用してポリアルキレンジハライドを反応させることによ
り得ることができる。ここで言うポリアルキレンジハラ
イドとは、通常、炭素数2〜17のアルキレン基を有す
るものが挙げられ、特に、炭素数が2〜9のアルキレン
基を有するものが好適に使用される。炭素数が上記範囲
よりも少ないポリアルキレンジハライドを使用した場合
は、得られる架橋アニオン交換体の耐熱性が充分ではな
く、また、炭素数が上記範囲よりも多いポリアルキレン
ジハライドを使用した場合は、得られる架橋アニオン交
換体の単位重量当りの交換容量が小さくて工業的観点か
らは実用的でない。
【0020】また、前駆体モノマーは、上記の他、クロ
ル化した母体モノマー(クロルスチレン)にグリニヤー
ル法を適用してポリアルキレンジハライドを反応させる
方法によっても得ることができる。この場合は、ポリア
ルキレンジハライドとしてはアルキレン基の炭素数が3
〜18、好ましくは3〜10のものが使用される。
【0021】不飽和炭化水素基含有架橋性モノマーとし
ては、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニ
ルトルエン、ジビニルナフタレン、ジビニルキシレン、
エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリ
コールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリ
メタクリレート等が挙げられる。これらの中ではジビニ
ルベンゼンが好ましい。
【0022】上記のような前駆体モノマー及び架橋性モ
ノマー以外に、必要に応じ、付加重合性モノマーを共重
合成分として使用することもできる。付加重合性モノマ
ーの具体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル
酸エチル、メタクリル酸プロピル等のメタクリル酸エス
テル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル
酸プロピル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸、ア
クリル酸、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニ
トリル、エチルビニルベンゼン、ビニルトルエン、ビニ
ルナフタレン、ブタジエン、イソプレン等が挙げられ
る。
【0023】本発明における架橋アニオン交換体は、上
記の原料モノマーを使用して架橋共重合体を得、次い
で、前駆体モノマーの有する構造単位「−R−Z」の部
位にアンモニウム基を導入することにより製造される。
上記の架橋共重合体は、公知の方法に準じて製造され、
通常は、球状架橋共重合体として製造される。すなわ
ち、重合開始剤の存在下に、前記の化学式[化3]で示
される前駆体モノマーと不飽和炭化水素基含有架橋性モ
ノマー及び必要に応じて用いられる付加重合性モノマー
を懸濁重合し、球状架橋共重合体を製造する。
【0024】そして、不飽和炭化水素基含有架橋性モノ
マーの使用割合は、得られるアニオン交換体の不溶化に
重要な影響を与える。通常、不飽和炭化水素基含有架橋
性モノマーの使用割合が低い場合はアニオン交換体の不
溶化が出来ず、また、逆に、使用割合が高い場合はアニ
オン交換体のイオン交換成分の比率が低くなるために実
用上意味を持たない。従って、上記の懸濁重合におい
て、不飽和炭化水素基含有架橋性モノマーの使用割合
は、原料モノマー全量に対し、通常0.1〜55重量%
の範囲、好ましくは0.5〜25重量%の範囲とされ
る。そして、前駆体モノマーの使用割合は、原料モノマ
ー全量に対し、通常は20〜100重量%の範囲、付加
重合性モノマーの使用割合は、原料モノマー全量に対
し、通常0〜50重量%、好ましくは0〜20重量%の
範囲とされる。
【0025】重合開始剤としては、過酸化ジベンゾイ
ル、過酸化ラウロイル、t−ブチルハイドロパーオキサ
イド、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられ、原料
モノマー全量に対し、通常0.1〜5重量%の範囲で使
用される。そして、重合温度は、重合開始剤の種類や濃
度によっても異なるが、通常は40〜100℃の範囲か
ら適宜選択される。
【0026】架橋共重合体にアンモニウム基を導入する
方法としては、公知の方法が挙げられる。例えば、溶媒
中に架橋共重合体を懸濁し、NR1 2 3 (式中、R
1 〜R3 は前記化学式[化1]におけると定義と同じ)
で表わされる置換アミンを反応させる方法が挙げられ
る。この導入反応の際に用いられる溶媒としては、例え
ば、水、アルコール、トルエン、ジオキサン、ジメチル
ホルムアミド等が挙げられ、これらは、単独または混合
溶媒として用いられる。また、反応温度は、置換アミン
の種類や溶媒の種類により大きく異なるが、通常は20
〜100℃の範囲から適宜選択される。
【0027】本発明で使用する架橋アニオン交換体は、
架橋共重合体にアンモニウム基を導入した後、その塩型
を各種アニオン型変換したものであり、斯かる変換は、
公知の方法によって容易になし得る。そして、架橋アニ
オン交換体としては、特に、前記の化学式[化1]で示
される4級アンモニウム基を有する構造単位を20〜9
9.5重量%、不飽和炭化水素基含有架橋性モノマーか
ら誘導される構造単位を0.1〜55重量%及びその他
の付加重合性モノマーから誘導される構造単位を0〜2
5重量%含有するものが好ましい。
【0028】また、本発明で使用する架橋アニオン交換
体としては、前記の化学式[化1]において、Xを水酸
化物イオンとした状態において、0.1N水酸化ナトリ
ウム水溶液中、100℃、60時間加熱した際に、交換
容量残存率が90%以上で且つ体積保持率が90%以上
であるという条件を満たすものが特に好ましい。
【0029】また、架橋アニオン交換体の形状は、特に
限定されず、上記したビーズ状の他、公知の方法で多孔
性を付与し、また、繊維状、粉状、板状、膜状のような
各種形状に変更することもできる。
【0030】本発明の発電設備における熱水処理用架橋
アニオン交換体は、発電設備における各種の熱水処理に
適用し得る。脱塩方法としては、公知の何れの方法によ
ってもよく、通常は、カチオン交換樹脂と共に混床塔を
形成して使用される。そして、本発明で使用する架橋ア
ニオン交換体は、優れた耐熱水を有し、例えば、以下の
実施例にて明らかな通り、100℃程度の高温において
も長期間に亙って安定である。従って、本発明の発電設
備における熱水処理用架橋アニオン交換体を使用した原
子炉水脱塩装置等においては、被処理水の温度を100
〜120℃程度まで冷却すれば充分である。その結果、
従来のアニオン交換樹脂に比し、無用の熱損失を大幅に
軽減でき、また、冷却設備の小型化および負荷軽減がで
き、経済的に極めて有利である。
【0031】因に、原子力発電(BWR)の原子炉水脱
塩装置を例とし、従来のアニオン交換樹脂と本発明にお
ける架橋アニオン交換体との熱損失の比較を試算した結
果は、次の通りである。従来のアニオン交換樹脂を使用
した場合、約280℃の原子炉水は、樹脂の耐熱性から
の制約から、再生熱交換器、非再生熱交換器により、約
50℃に冷却され、そして、原子炉脱塩装置で浄化した
のち再生熱交換器で約220℃に昇温されて原子炉に戻
される。この場合の熱損失は、約6.2×104 キロカ
ロリー/炉水m3 であり、主に、非再生熱交換器で発生
し、1000MW級ユニットでは約10.6×106
ロカロリー(毎時4.1MW相当)である。これに対
し、本発明における架橋アニオン交換体を使用し、炉水
脱塩装置の通水温度を100℃とした場合、熱損失が半
減され、核燃料消耗が約0.2%軽減でき、これは、1
000MW級ユニットでは毎時約1.7MWの発電能力
に相当する。
【0032】また、熱ショックに関しては、原子炉が事
故等で緊急停止(スクラム)した場合、停止後に発生す
る蒸気は復水器に導かれて冷却される。この場合、復水
が復水脱塩装置の許容温度(60℃)を一時的または長
時間に亙って通水されるため、復水脱塩装置の充填イオ
ン交換樹脂の熱劣化による性能低下が生じ、イオン交換
樹脂の全量交換が必要となる場合がある。これに対し、
本発明における架橋アニオン交換体を使用した場合は、
上記のような事態にも十分対処し得る。
【0033】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
する。なお、以下の実施例においては、本発明で使用す
る架橋アニオン交換体を発電設備における熱水処理に適
用した際に発揮される耐熱性および交換容量を明らかに
した。
【0034】製造例1 <ω−ハロアルキルスチレンの合成>窒素置換したジエ
チルエーテル中、クロルメチルスチレン100gと金属
マグネシウムとを0℃で3時間撹拌し、マグネシウム複
合体とした。次いで、窒素置換テトラハイドロフランで
溶媒置換した後、0℃で1,3−ジブロモプロパン及び
Li2 CuCl4 を含むテトラヒドロフラン中にマグネ
シウム複合体を滴下し、0℃で5時間、反応を続けた。
蒸留により得られた生成物を分取したところ、0.3T
orr、120℃の条件で4−ブロモブチルスチレンが
得られ、原料クロルメチルスチレンを基準とする収率は
35%であった。4−ブロモブチルスチレンの同定は、
「ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス・ポリマー
・ケミストリー・エディション,20巻,1982年,
3015ページ」に記載のNMR法により行った。
【0035】<架橋化ω−ハロアルキルスチレンの合成
>上記の4−ブロモブチルスチレン96.4重量部およ
び工業グレードのジビニルベンゼン(純度55%、残り
の主成分はエチルビニルベンゼン)3.6重量部に1.
0重量部のアゾビスイソブチロニトリルを加え、窒素雰
囲気下、70℃で18時間、懸濁重合を行ない、ポリマ
ービーズ(架橋化4−ブロモブチルスチレン)を90%
の収率で得た。
【0036】<架橋アニオン交換体の合成>上記の架橋
化4−ブロモブチルスチレン100重量部をジオキサン
300重量部中に懸濁させて撹拌を行い、2時間膨潤さ
せた。次いで、ブロモ基に対して3モル等量のトリメチ
ルアミンを滴下し、50℃で10時間反応を続け、架橋
アニオン交換体を得た。得られた架橋アニオン交換体を
脱塩水を用いて充分に洗浄した後、塩型をクロル型に変
換した。上記のようにして得られた架橋アニオン交換体
(以下、「サンプルA」と称する)の一般性能は、次の
通りであった。 交換容量 0.79meq/ml 3.77meq/g 水 分 67.4% なお、上記一般性能の測定は、「本田ら編著、イオン交
換樹脂、廣川書店、17〜56ページ」に記載の方法に
よった。
【0037】製造例2 製造例1の架橋化ω−ハロアルキルスチレンの合成にお
いて、4−ブロモブチルスチレンの使用量を92.7重
量部に変更し、工業グレードのジビニルベンゼンの使用
量を7.3重量部に変更した以外は、製造例1と同様な
方法により架橋アニオン交換体を得た。上記のようにし
て得られた架橋アニオン交換体(以下、「サンプルB」
と称する)の一般性能は、次の通りであった。 交換容量 1.10meq/ml 3.65meq/g 水 分 54.1%
【0038】製造例3 製造例1のω−ハロアルキルスチレンの合成において、
1,3−ジブロモプロパンの代りに、1,6−ジブロモ
ヘキサンを用いた以外は、製造例2と同様な方法により
架橋アニオン交換体を得た。上記のようにして得られた
架橋アニオン交換体(以下、「サンプルC」と称する)
の一般性能は、次の通りであった。 交換容量 1.16meq/ml 3.07meq/g 水 分 44.1% なお、中間体である7−ブロモヘプチルスチレンは0.
4Torr、120℃の条件で蒸留分取された。
【0039】製造例4 製造例1のω−ハロアルキルスチレンの合成において、
1,3−ジブロモプロパンの代りに、1,4−ビス(ブ
ロモメチル)シクロヘキサンを用いた以外は、製造例1
と同様な方法により架橋アニオン交換体を得た。上記の
ようにして得られた架橋アニオン交換体(以下、「サン
プルD」と称する)の一般性能は、次の通りであった。 交換容量 0.96meq/ml 2.77meq/g 水 分 49.6% なお、中間体である2−(4−ブロモメチルシクロヘキ
シレン)−エチルスチレンは0.25Torr、120
℃の条件で蒸留分取された。
【0040】製造例5 <3−ブロモプロピルスチレンの合成>窒素置換したテ
トラハイドロフラン中、p−クロロスチレン83gと金
属マグネシウムとを35℃で5時間撹拌し、マグネシウ
ム複合体とした。次いで、これをテトラハイドロフラ
ン、1,3−ジブロモプロパン、Li2 CuCl4 混合
溶液中に30℃で滴下し、30℃で2時間反応を続け
た。蒸留により得られた生成物を分取したところ、0.
2Torr、110℃の条件で3−ブロモプロピルスチ
レンが得られ、原料p−クロロスチレンを基準とする収
率は47%であった。3−ブロモプロピルスチレンの同
定はNMR法により行った。
【0041】<架橋化3−ブロモプロピルスチレンの合
成>上記の3−ブロモプロピルスチレン92.7重量部
および工業グレードのジビニルベンゼン(純度55%、
残りの主成分はエチルビニルベンゼン)7.3重量部に
1.0重量部のアゾビスイソブチロニトリルを加え、窒
素雰囲気下、70℃で8時間、懸濁重合を行い、ポリマ
ービーズ(架橋化3−ブロモプロピルスチレン)を79
%の収率で得た。
【0042】<架橋アニオン交換体の合成>上記の架橋
化3−ブロモプロピルスチレン10重量部をジオキサン
100重量部中に懸濁させて撹拌を行い、2時間膨潤さ
せた。次いで、ブロモ基に対して10モル等量のトリメ
チルアミンを滴下し、50℃で、10時間反応を続け、
架橋アニオン交換体を得た。得られた架橋アニオン交換
体を脱塩水を用いて充分に洗浄した後、塩型をクロル型
に変換した。上記のようにして得られた架橋アニオン交
換体(以下、「サンプルE」と称する)の一般性能は、
次の通りであった。
【0043】 交換容量 1.37meq/ml 3.80meq/g 水 分 49.6%
【0044】実施例1 <短期耐熱試験>上記製造例で得られたサンプルA、
B、C、D及びダイヤイオンSA102(商品名、三菱
化成株式会社製のトリメチルベンジルアンモニウム塩タ
イプのアニオン交換樹脂)の短期耐熱性比較試験を実施
した。クロル型基準で10mlの架橋アニオン交換体を
メスシリンダーで計り取り、カラム法によりクロル型を
遊離型に変換した。セントル濾過を行い余分な水分を除
去した後、0.1規定の水酸化ナトリウム水溶液40m
lを含む試験管中に入れた。試験管をオートクレーブ中
に配置した後に、オートクレーブを加温状態にして短期
耐熱性試験を実施した。100℃で60時間加温した場
合の交換容量の減少は、以下の[表1]に示す通りであ
った。ただし、試験後の交換容量は試験実施前の体積基
準で表示した。
【0045】
【表1】 サンプル SA102 A B C D ──────────────────────────────────── <試験前> 交換容量(meq/ml) 0.83 0.79 1.10 1.16 0.96 <試験後> 交換容量(meq/ml) 0.72 0.69 1.07 1.14 0.94 残存率(%) 86.7 87.3 97.3 98.3 97.9 体積保持率(%) 80.2 96.0 94.0 95.0 95.8 ────────────────────────────────────
【0046】実施例2 <長期耐熱試験>上記製造例5で得られたサンプルE及
びダイヤイオンSA10A(商品名、三菱化成株式会社
製のトリメチルベンジルアンモニウム塩タイプのアニオ
ン交換樹脂)の長期耐熱性比較試験を実施した。遊離型
基準で100mlの架橋アニオン交換体をメスシリンダ
ーで計り取り、脱塩水を用いてガラス製オートクレーブ
中に投入し、全体で160mlとなるようにした。これ
に窒素を吹き込みながら50℃で1時間加熱し、水中の
酸素を除去した。密栓をして100℃で720時間加熱
状態を保持して長期耐熱性試験を実施した。長期耐熱試
験後の交換容量および体積の減少は、以下の[表2]に
示す通りであった。ただし、試験後の交換容量は試験実
施前の体積基準で表示した。
【0047】
【表2】 サンプル SA10A E ───────────────────── <試験前> 交換容量(meq/ml) 1.36 1.37 <試験後> 交換容量(meq/ml) 0.82 1.09 残存率(%) 60.3 79.2 体積保持率(%) 82.0 92.0 ─────────────────────
【0048】
【発明の効果】以上説明した本発明の発電設備における
熱水処理用架橋アニオン交換体によれば、優れたイオン
交換能力を有した上で優れた耐熱性を発揮し、従来のア
ニオン交換樹脂を使用した場合に比し、熱損失を大幅に
軽減でき且つ熱ショックによる性能劣化を著しく抑制し
得る。従って、本発明の工業的価値は顕著である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 剛 神奈川県横浜市緑区鴨志田町1000番地 三 菱化成株式会社総合研究所内 (72)発明者 清川 敦郎 神奈川県横浜市緑区鴨志田町1000番地 三 菱化成株式会社総合研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の化学式[化1]で示される4級ア
    ンモニウム基を有する構造単位および不飽和炭化水素基
    含有架橋性モノマーから誘導される構造単位を含有し、
    且つ、全アニオン交換基の90%以上が上記の4級アン
    モニウム基である架橋アニオン交換体より成ることを特
    徴とする発電設備における熱水処理用架橋アニオン交換
    体。 【化1】 (式中、Rは炭素数3〜18のアルキレン基を表し、当
    該アルキレン基は、その連鎖中に環状炭化水素を含有し
    ていてもよく、また、アルキル基で置換されていてもよ
    い。そして、R1 〜R3 は、それぞれ独立に炭素数1〜
    8の炭化水素基またはアルカノール基、X- はアニオン
    を表し、また、ベンゼン環は、アルキル基またはハロゲ
    ン原子で置換されていてもよく、更に、他の芳香環と縮
    合していてもよい)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP0670184A2 (en) * 1994-03-01 1995-09-06 Mitsubishi Chemical Corporation Method of demineralizing water or an aqueous solution
JPH09208625A (ja) * 1996-02-07 1997-08-12 Tohoku Electric Power Co Inc アニオン交換体
JPH09255730A (ja) * 1996-03-26 1997-09-30 Mitsubishi Chem Corp 架橋共重合体の製造方法
JP2002088132A (ja) * 2000-09-12 2002-03-27 Japan Atom Energy Res Inst 放射線グラフト重合法

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