JPH0554539B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 開示技術は、地震の振動を吸収して家屋等の建
造物を防護して支持する防震杭の構造の技術分野
に属する。

〈要旨の概要〉 而して、この発明は地盤内に埋設した基礎杭の
有底穴に支杭を昇降自在に挿入し、該支杭の下端
を弾性材を介して該基礎杭の有底穴の底面に支持
させ、基礎杭より突出する支杭の上端を以つて建
造物の下面要所を支持させることにより地震の上
下振動を吸収すると共に支杭の上端側面と建造物
の間に側方を向く弾性材を有する適数の水平振動
吸収器を介設することにより地震の水平振動をも
吸収して地震の振動が建造物へ波及することを防
止するようにした建造物用防震杭に係る発明であ
る。

〈従来の技術〉 周知の如く、建造物の耐震構造については旧来
より各方面で研究されて各種の手段が開発され、
そのうちのいくつかは実用化されている。

しかしながら、地震の振動そのものを建造物へ
波及することを防止して災害より防護する効果的
な手段は、現在までなされていなかつた。

〈発明が解決しようとする課題〉 そのため、我が国のような地震多発国に於いて
は建造物を耐震構造とするには建設に多額の費用
がかかつてコスト高になる不利点があるのが現状
である。

〈発明の目的〉 この発明の目的は上述従来技術に基づく地震の
際の家屋等の建造物に対する振動吸収の問題点を
解決すべき技術的課題とし、基礎杭に地震の上下
振動と水平振動を吸収する機能を具備させて地震
の振動が当該建造物へ波及することを防止し、建
造物の災害を防止すと共に建設費用を安価にし得
るようにして建設産業における防震技術利用分野
に益する優れた建造物用防震杭を提供せんとする
ものである。

〈課題を解決するための手段・作用〉 上述目的に沿い先述特許請求の範囲を要旨とす
るこの発明の構成は前述課題を解決するために、
基礎杭に設けた有底穴に昇降自在に挿入した支杭
の下端を弾性材を介して該基礎杭内の有底穴の底
面に支持させ、基礎杭より突出する支杭の上端を
以つて建造物の下面要所を支持させると共に該支
杭の露出する上端側面と建造物の間に側方を向く
水平振動吸収器を介設させ、支杭下方の弾性材に
より地震の上下振動を吸収すると共に該支杭の上
端側方に設けた水平振動吸収器により、地震の水
平振動を吸収して、地震の振動が建造物へ波及す
ることを防止するようにした技術的手段を講じた
ものである。

〈実施例〉 次に、この発明の１実施例を図面に基づいて説
明すれば以下の通りである。

１はコンクリート製の異径螺旋形状の基礎杭
（以下、単に杭と略称）であり、地盤２の建造物
９を構築する所定部位に、頭部１ａを地上に残し
て埋設され、上部が大径の螺旋で下部が小径の螺
旋であつて、その内部には、上面より下端近くま
で軸線に沿う横断面が円形の有底の穴３が形成さ
れ、中間部に設けた段部４より上部３ａが太く、
下部３ｂが細く形成されている。

而して、該杭１は図示はしないが、適宜重機に
より地盤２内に異径掘削錐をもつて、杭１とほぼ
同形状の縦穴をバイブロロータ等により掘削し、
その後、セメントモルタル等と共にねじ込むよう
にされるものである。

尚、該地盤２の強弱により杭１の躯体に穿設し
た図示しないノズル孔により穴３を介して地盤中
にセメントモルタルを注入して所定数のアンカー
ブロツクを形成させても良い。

而して、第２図に示す様に、地盤２の要所に埋
設された各杭１，１…の各頭部１ａ相互は、基礎
梁５，５…とタイロツド６により横方向連結され
て略平面的には一体化されるようにされる。

そして、杭１の穴３の上部３ａの穴には、軸方
向丸孔を穿設された円筒状の筒杭７が昇降自在に
挿入されて該筒杭７の下端が圧縮ばね８を介して
杭１の内側の段部４に支持され、第４図に示す様
に、杭１より突出する頭部７ａはその側面にねじ
１０が刻設され、その上面が建造物９の下面要所
に圧接して該建造物９に対する支持機能に与える
ようにされている。

又、筒杭７と穴３の下部３ｂには該筒杭７の丸
孔にも上部が挿通される断面円形の支杭１１が昇
降自在に挿入されて、その下端が圧縮ばね１２を
介して、穴３の底面に支持され、筒杭７の上面よ
り若干突出する支杭１１の上面と建造物９の下面
との間には、第４図に示す様に、上部に空気を、
下部に液体を封入された圧力調整室１３が形成さ
れて地震の際の上下方向の振動を吸収するように
なされている。

そして、筒杭７の頭部７ａの側部のねじ１０の
下部には、杭１の頭部１ａに接して摺回動する水
平調整ナツト１４が螺合し、該ねじ１０の中間部
には該水平調整ナツト１４の上面に当接して摺回
動自在に重合する水平安定板１５が外嵌され、且
つ、その上面にはスライド板１６が介装され、ね
じ１０の上部には摺動筒１７が外装されてその下
端にはフランジ１７ａが、又、中間部には第３図
に示す様に取付ブラケツト１７ｂが連設されてい
る。

又、該摺動筒１７には建造物９に固着された断
面方形の地震ボツクス１８が、該摺動筒１７と一
体的に基礎杭１と共動して水平方向に移動可能に
外装され、その下板１８ａは摺動筒１７のフラン
ジ１７ａと上記スライド板１６の間に挟持されて
いる。

１９は水平振動吸収器で地震ボツクス１８の対
角方向四隈に有底筒状の一対のケース２０，２０
を開口面相互を対向させて摺動自在に相互に嵌合
され、その内部に圧縮ばね２１を収納介装し、両
ケース２０，２０の底板がそれぞれ吸震ボツクス
１８の内角部と摺動筒１７の取付ブラケツト１７
ｂにピン２２をもつて枢着されている。

上述構成において、地震により杭１が振動する
と、その上下振動についてはばね８，１２がこれ
を吸収するので、建造物９を支持する筒杭７と支
杭１１の上下振動が極めて小さくなり、該建造物
９へ上下振動が与える影響が著しく緩和される。

この時、上部の圧力調整室１３は若干上下振動
する支杭１１の構造物９へ与える影響を更に緩和
すると共に、筒杭７と該支杭１１の上下振動の位
相をずらして建造物９への影響をより更に緩和す
る。

又、筒杭７は摺動筒１７内を相対的に上下摺動
し得るので、該筒杭７の上下振動が摺動筒１７と
水平振動吸収器１９と地震ボツクス１８を経て吸
収され、建造物９へ波及することはない。

而して、杭１の水平振動については、杭１が筒
杭７に外嵌する摺動筒１７と共に一体的に水平振
動するものの、建造物９に固定された地震ボツク
ス１８との間に設けた水平振動吸収器１９が水平
振動を吸収し、筒杭７と該吸震ボツクス１８とは
スライド板１６の作用により容易に相対変位し得
るので、建造物９への影響が著しく緩和される。

このようにして、防震杭は、地震による杭１の
上下、水平両方向の振動が共に吸収されて著しく
小さくなり、建造物９へ僅かに伝達されるのみで
あるので、該建造物９の受ける影響は著しく抑制
される。

又、激しい地震により、杭１が若干沈下した場
合は建造物９の下で水平調整ナツト１４の回動を
介しての高さ調整をすることにより、他の杭１と
共に建造物９を平均して水平状態に支持すること
が出来る。

尚、この発明の実施態様は上述実施例に限るも
のでないことは勿論であり、例えば、上述実施例
にあつては杭１に設けた横断面積の異なる上部３
ａと下部３ｂとより成る穴３に筒杭７と支杭１１
を挿入したものであるが、場合によつては上下同
径の杭１に設けた上下同径の穴に、１本の円杭を
挿入しても良く、又、水平振動吸収器１９と圧縮
ばね２１に代えて引張りばねを設けることが出来
る等種々の態様が採用可能である。

〈発明の効果〉 以上、この発明によれば、建造物を支持する支
杭が杭内に挿入されて下端が弾性材を介して杭に
支持されているので、杭が上下振動してもこれを
該弾性材が吸収し、又、支杭の上端が側方を向く
水平振動吸収器を介して建造物に固定された吸震
ボツクスに連係されているので、杭が水平振動し
ても、これを水平振動吸収器が吸収するので、い
づれも建造物の受ける影響が著しく緩和され、該
建造物を地震より防護する優れた効果がある。

したがつて、建造物の耐震設計が簡単になると
共に、建設費が安価となり、地震多発国の我が国
に於ては建造物の耐久性に甚だ効果的である利点
がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の１実施例の一部縦断正面
図、第２図は使用状態の建造物の基礎の平面図、
第３図は第１図の−線拡大断面図、第４図は
第３図のＢ−Ｂ線断面図である。 １ａ……頭部、３……有底穴、１……基礎杭、
９……建造物、８，１２……圧縮バネ、７……筒
杭、１１……支杭、１８……吸震ボツクス、１９
……水平振動吸収器。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 頭部が地表より突出し上面より軸線に沿う有
   底の穴を内部に設けた建造物に対する基礎杭と、
   該基礎杭の該有底穴に昇降自在に挿入されて該基
   礎杭の上方に突出する上端が建造物の下部に圧接
   し、下端が上下振動吸収用の弾性材を介して基礎
   杭の有底穴の底面に支持された支杭と、該支杭の
   頭部に相対昇降自在に外嵌する摺動筒と、該摺動
   筒に外装されると共に基礎杭の上面に該基礎杭と
   共動して水平移動可能に載置され、且つ建造物の
   下部に固着された吸震ボツクスと、該吸震ボツク
   スの内側面と摺動筒の外側面の間に設けた水平振
   動吸収器とより成る建造物用防震杭。