JPH0552809A - 蛍光パターン読み取り方法および装置 - Google Patents
蛍光パターン読み取り方法および装置Info
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- JPH0552809A JPH0552809A JP3240247A JP24024791A JPH0552809A JP H0552809 A JPH0552809 A JP H0552809A JP 3240247 A JP3240247 A JP 3240247A JP 24024791 A JP24024791 A JP 24024791A JP H0552809 A JPH0552809 A JP H0552809A
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- fluorescence
- light
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- pattern
- fluorescent
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- Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
- Investigating, Analyzing Materials By Fluorescence Or Luminescence (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 DNAを蛍光色素で標識した後、電気泳動を
行った試料および蛍光色素で標識したプローブを用いた
ブロッティング試料の蛍光パターンをバックグラウンド
ノイズの影響なしに高感度で読み取る。 【構成】 試料に電気泳動を行い、展開した泳動パター
ンに対して、試料を標識している蛍光物質を励起して蛍
光を発光させ、発光した蛍光パターンを2種類の波長特
性で読み取り、各波長特性での蛍光パターンデータを得
た後、線形演算法で2種類の蛍光パターンデータ間の差
分演算を行い、読み取りノイズをキャンセルした蛍光パ
ターンデータを得る。
行った試料および蛍光色素で標識したプローブを用いた
ブロッティング試料の蛍光パターンをバックグラウンド
ノイズの影響なしに高感度で読み取る。 【構成】 試料に電気泳動を行い、展開した泳動パター
ンに対して、試料を標識している蛍光物質を励起して蛍
光を発光させ、発光した蛍光パターンを2種類の波長特
性で読み取り、各波長特性での蛍光パターンデータを得
た後、線形演算法で2種類の蛍光パターンデータ間の差
分演算を行い、読み取りノイズをキャンセルした蛍光パ
ターンデータを得る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、泳動パターン読み取り
方法および装置に関し、特に、電気泳動を行った多様な
読み取り試料における蛍光パターンを蛍光強度の特性、
背景光の特性などに対して適切に読み取り感度を変化さ
せ、蛍光パターンを読み取ることができる蛍光パターン
読み取り方法および装置に関するものである。
方法および装置に関し、特に、電気泳動を行った多様な
読み取り試料における蛍光パターンを蛍光強度の特性、
背景光の特性などに対して適切に読み取り感度を変化さ
せ、蛍光パターンを読み取ることができる蛍光パターン
読み取り方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、遺伝病診断などを含む種々の遺
伝子構造解析、アミノ酸などの蛋白質の構造分析を行う
ために、放射性アイソトープ標識による電気泳動分析法
が用いられる。このような電気泳動分析法は、放射性同
位体で標識または置換された試料の断片に対してゲルを
用いて電気泳動を行い、電気泳動で展開された試料の断
片の分布パターンの解析を行うことにより、試料の分析
を行う方法である。
伝子構造解析、アミノ酸などの蛋白質の構造分析を行う
ために、放射性アイソトープ標識による電気泳動分析法
が用いられる。このような電気泳動分析法は、放射性同
位体で標識または置換された試料の断片に対してゲルを
用いて電気泳動を行い、電気泳動で展開された試料の断
片の分布パターンの解析を行うことにより、試料の分析
を行う方法である。
【0003】電気泳動パターンを読み取り分析を行う場
合の一例として、遺伝病診断を例として説明する。ヒト
ゲノムDNAは、約3×109の塩基対から成り立って
いる。その塩基配列はヒト集団を通しておおよそ一定で
あるが、細かくみると、個体間にばらつきが存在する。
このようなDNA配列上のばらつきは、DNAの多型と
呼ばれている。DNAの多型は遺伝子領域にも非遺伝子
領域にも見られるが、遺伝子領域の多型はその表現形式
である蛋白質の多型として現われる場合が多い。血液
型,組識適合性抗原などや人種間における皮膚の色,毛
の色の相違など、ヒト集団にみられる色々な多様性は、
この多型に由来している。DNA多型は、ヒトが進化上
で生物種として独立した時点から現在までに、ヒト集団
の生殖細胞DNAに生じた変異が集団の中に蓄積したも
のである。このような変異がヒトの存在に取って重要な
機能を持つ部位に生じ、その結果として生ずる表現型
が、何らかの病的状態を示すものを「遺伝病」と呼んで
いる。ヒト集団には、3,000種を超える遺伝病が存在す
るといわれている。
合の一例として、遺伝病診断を例として説明する。ヒト
ゲノムDNAは、約3×109の塩基対から成り立って
いる。その塩基配列はヒト集団を通しておおよそ一定で
あるが、細かくみると、個体間にばらつきが存在する。
このようなDNA配列上のばらつきは、DNAの多型と
呼ばれている。DNAの多型は遺伝子領域にも非遺伝子
領域にも見られるが、遺伝子領域の多型はその表現形式
である蛋白質の多型として現われる場合が多い。血液
型,組識適合性抗原などや人種間における皮膚の色,毛
の色の相違など、ヒト集団にみられる色々な多様性は、
この多型に由来している。DNA多型は、ヒトが進化上
で生物種として独立した時点から現在までに、ヒト集団
の生殖細胞DNAに生じた変異が集団の中に蓄積したも
のである。このような変異がヒトの存在に取って重要な
機能を持つ部位に生じ、その結果として生ずる表現型
が、何らかの病的状態を示すものを「遺伝病」と呼んで
いる。ヒト集団には、3,000種を超える遺伝病が存在す
るといわれている。
【0004】遺伝病の病因はDNA上に生じた異変であ
るが、それが病気として認識されるまでには、DNA→
mRNA→蛋白質→表現型(病気)の諸段階がある。病
気としての診断は、普通最後のレベルで行なわれるが、
上記の各段階の流れが単純な線形関係にあれば、診断を
蛋白質やDNAのレベルで行うことが可能となる。
るが、それが病気として認識されるまでには、DNA→
mRNA→蛋白質→表現型(病気)の諸段階がある。病
気としての診断は、普通最後のレベルで行なわれるが、
上記の各段階の流れが単純な線形関係にあれば、診断を
蛋白質やDNAのレベルで行うことが可能となる。
【0005】DNA診断の基礎となる手法は、Southern
ブロッティングと呼ばれるものであり、この手法は、基
本的には以下のステップに分けられる。 (ステップ1)試料DNAの抽出、 (ステップ2)DNAの制限酵素による分解、 (ステップ3)ゲル電気泳動を用いたDNAの分子量に
よる分画、 (ステップ4)分画されたDNAの薄膜フィルタへの移
行、 (ステップ5)予じめ用意したプローブDNA(検出し
たい遺伝子と相同配列を持つDNAをアイソトープなど
で標識したもの)との混成体の形成(ハイブリダイゼー
ション)、 (ステップ6)オートラジオグラフィーによる混成体の
検出、 以上の6ステップからなる手法である。ステップ4の薄
膜フィルタには、ナイロンメンブレンまたはニトロセル
ロースメンブレンなどが用いられる。
ブロッティングと呼ばれるものであり、この手法は、基
本的には以下のステップに分けられる。 (ステップ1)試料DNAの抽出、 (ステップ2)DNAの制限酵素による分解、 (ステップ3)ゲル電気泳動を用いたDNAの分子量に
よる分画、 (ステップ4)分画されたDNAの薄膜フィルタへの移
行、 (ステップ5)予じめ用意したプローブDNA(検出し
たい遺伝子と相同配列を持つDNAをアイソトープなど
で標識したもの)との混成体の形成(ハイブリダイゼー
ション)、 (ステップ6)オートラジオグラフィーによる混成体の
検出、 以上の6ステップからなる手法である。ステップ4の薄
膜フィルタには、ナイロンメンブレンまたはニトロセル
ロースメンブレンなどが用いられる。
【0006】遺伝病を対象とする場合、試料DNA抽出
のための臓器は問わない。通常は、数ミリリットルの末
梢血から白血球を分離し、そこからDNAを抽出する。
ステップ1からステップ6までの各段階の処理に通常5
日程度の日数を必要とする。
のための臓器は問わない。通常は、数ミリリットルの末
梢血から白血球を分離し、そこからDNAを抽出する。
ステップ1からステップ6までの各段階の処理に通常5
日程度の日数を必要とする。
【0007】遺伝病診断では、上記のステップの処理に
基づき正常体の分画パターンと被検者の分画パターンを
得て、それらの分画パターンを比較する。同一パターン
である場合は正常と判定される。
基づき正常体の分画パターンと被検者の分画パターンを
得て、それらの分画パターンを比較する。同一パターン
である場合は正常と判定される。
【0008】最近、安全性などの問題から放射性アイソ
トープに替えて蛍光色素で標識したプローブを用いて、
その蛍光色素を励起し、電気泳動パターンの読み取りを
行う方法が試行されている。遺伝病診断やDNAの塩基
配列決定などを行う場合、試料の量が10-15molオーダ
前後であるため、放射性アイソトープなみの信号対雑音
比を等価的に得るには、微弱な光を検出する高度な光学
技術と信号処理技術を必要とする。
トープに替えて蛍光色素で標識したプローブを用いて、
その蛍光色素を励起し、電気泳動パターンの読み取りを
行う方法が試行されている。遺伝病診断やDNAの塩基
配列決定などを行う場合、試料の量が10-15molオーダ
前後であるため、放射性アイソトープなみの信号対雑音
比を等価的に得るには、微弱な光を検出する高度な光学
技術と信号処理技術を必要とする。
【0009】微少な試料を蛍光標識して検出する装置と
して特開昭61−62843号公報に記載された蛍光検
出法による電気泳動装置がある。次に、このような蛍光
検出法による電気泳動装置について具体的に説明する。
して特開昭61−62843号公報に記載された蛍光検
出法による電気泳動装置がある。次に、このような蛍光
検出法による電気泳動装置について具体的に説明する。
【0010】図15は、従来の蛍光式電気泳動装置の外
観を示す斜視図である。図15を参照すると、電気泳動
装置は、試料の電気泳動を行い、蛍光の分布を計測する
泳動計測装置51と、計測データを基にデータ処理を行
うデータ処理装置52と、それらを相互接続するケーブ
ル53とから構成されている。泳動計測装置51には扉
51aがあり、扉51aを開いて、電気泳動を行うベー
スとなるゲルの注入を行い、更に電気泳動を行う試料
(DNA断片)を所定量だけ注入する。扉51aを閉じ
て、操作表示パネル51bの泳動開始スイッチを押すと
電気泳動が開始される。電気泳動が開始されると、泳動
計測装置51では、操作表示パネル51bにあるモニタ
に動作状態が表示される。泳動計測装置51により計測
されたデータは、データ処理装置52に転送され、予め
プログラムされている所定のデータ処理が行われる。な
お、データ処理装置52は、計算機本体54と、利用者
からの指令などを入力するためのキーボード55と、処
理状態や結果を表示するディスプレイ装置56と、デー
タ処理の結果を記録するプリンタ57とから構成されて
いる。
観を示す斜視図である。図15を参照すると、電気泳動
装置は、試料の電気泳動を行い、蛍光の分布を計測する
泳動計測装置51と、計測データを基にデータ処理を行
うデータ処理装置52と、それらを相互接続するケーブ
ル53とから構成されている。泳動計測装置51には扉
51aがあり、扉51aを開いて、電気泳動を行うベー
スとなるゲルの注入を行い、更に電気泳動を行う試料
(DNA断片)を所定量だけ注入する。扉51aを閉じ
て、操作表示パネル51bの泳動開始スイッチを押すと
電気泳動が開始される。電気泳動が開始されると、泳動
計測装置51では、操作表示パネル51bにあるモニタ
に動作状態が表示される。泳動計測装置51により計測
されたデータは、データ処理装置52に転送され、予め
プログラムされている所定のデータ処理が行われる。な
お、データ処理装置52は、計算機本体54と、利用者
からの指令などを入力するためのキーボード55と、処
理状態や結果を表示するディスプレイ装置56と、デー
タ処理の結果を記録するプリンタ57とから構成されて
いる。
【0011】図16は、泳動計測装置の内部の構成を示
すブロック図である。泳動計測装置(51;図15)の
構成は、図16に示すように、電気泳動装置部63およ
び信号処理装置部64から構成されており、これらの2
つの部分がまとめられて、泳動計測装置の全体の装置構
成となっている。電気泳動装置部63は、電気泳動を行
う泳動部5と、泳動部5に電圧を印加するための第1の
電極2aおよび第2の電極2bと、泳動部5および各電
極2a,2bを支えるための支持板3と、泳動部5に電
圧を印加するための電気泳動用電源装置4と、蛍光物質
を励起するための光を発光する光源11と、光源11か
らの光を導くための光ファイバ12と、蛍光物質から発
生した蛍光13を集光して受光する光学系の集光器14
と、特定波長の光を選択的に通す光学フィルタ15と、
受光した光を電気信号に変換するための光センサ16と
から構成されている。また、信号処理装置部64は、光
センサ16からの電気信号を受けて増幅する増幅器17
と、電気信号のアナログ信号をディジタルデータに変換
するアナログ・ディジタル変換回路18と、ディジタル
変換したデータに対して加算平均処理等の前処理を行う
信号処理部19と、前処理したデータを外部のデータ処
理装置へ送出するインターフェース処理を行うインタフ
ェース20と、電気泳動装置部および信号処理系の全体
を制御するための制御回路10とから構成されている。
この信号処理装置64から出力されるディジタル信号O
UTは、データ処理装置(52;図15)に送られ、解
析処理などのデータ処理が行われる。
すブロック図である。泳動計測装置(51;図15)の
構成は、図16に示すように、電気泳動装置部63およ
び信号処理装置部64から構成されており、これらの2
つの部分がまとめられて、泳動計測装置の全体の装置構
成となっている。電気泳動装置部63は、電気泳動を行
う泳動部5と、泳動部5に電圧を印加するための第1の
電極2aおよび第2の電極2bと、泳動部5および各電
極2a,2bを支えるための支持板3と、泳動部5に電
圧を印加するための電気泳動用電源装置4と、蛍光物質
を励起するための光を発光する光源11と、光源11か
らの光を導くための光ファイバ12と、蛍光物質から発
生した蛍光13を集光して受光する光学系の集光器14
と、特定波長の光を選択的に通す光学フィルタ15と、
受光した光を電気信号に変換するための光センサ16と
から構成されている。また、信号処理装置部64は、光
センサ16からの電気信号を受けて増幅する増幅器17
と、電気信号のアナログ信号をディジタルデータに変換
するアナログ・ディジタル変換回路18と、ディジタル
変換したデータに対して加算平均処理等の前処理を行う
信号処理部19と、前処理したデータを外部のデータ処
理装置へ送出するインターフェース処理を行うインタフ
ェース20と、電気泳動装置部および信号処理系の全体
を制御するための制御回路10とから構成されている。
この信号処理装置64から出力されるディジタル信号O
UTは、データ処理装置(52;図15)に送られ、解
析処理などのデータ処理が行われる。
【0012】次に、このように構成された電気泳動装置
の動作を説明する。図15および図16を参照する。泳
動計測装置51にある扉51aを開き、内部にある泳動
部5にゲルを注入し、更に蛍光物質で標識したDNA断
片の試料を注入する。操作パネル51bのスイッチを操
作して、電気泳動開始を指示すると、電気泳動用電源装
置4からの電圧が電極2a,2bにより泳動部5に供給
されて電気泳動が開始される。電気泳動によって、蛍光
物質で標識された試料は、例えば、図19に示すよう
に、各々の試料のレーン71,72,73,74におい
て電気泳動され、試料に含まれる分子の分子量毎に集ま
り、それぞれにバンド66を作る。分子量の軽い分子ほ
ど泳動速度が速いため、同一時間内に泳動される距離は
大きい。これらのバンド66の検出は、図17(A)に
示すように、光源からの光を光ファイバ12に通して光
路61上でゲルを照射することにより、ゲル中でバンド
66に集まっている標識の蛍光物質に蛍光13を発生さ
せ、蛍光13を検出する。ここで発光する蛍光13は、
蛍光物質の吸光係数,量子効率,励起光の強度などによ
るが、バンド当り、10-16mol程度と非常に微量な量し
か蛍光物質が含まれていないため、非常に微弱な光とな
る。例えば、蛍光物質として、フルオレセインイソチオ
シアネート(Fluorescein Isothiocyanate)を使用した
場合について説明すると、フルオレセインイソチオシア
ネートによる励起光の励起波長のピーク値が490nmで
あり、蛍光波長のピーク値が520nmである。モル吸光
係数は、7×104mol-1・cm-1であり、量子効率は0.6
5程度である。
の動作を説明する。図15および図16を参照する。泳
動計測装置51にある扉51aを開き、内部にある泳動
部5にゲルを注入し、更に蛍光物質で標識したDNA断
片の試料を注入する。操作パネル51bのスイッチを操
作して、電気泳動開始を指示すると、電気泳動用電源装
置4からの電圧が電極2a,2bにより泳動部5に供給
されて電気泳動が開始される。電気泳動によって、蛍光
物質で標識された試料は、例えば、図19に示すよう
に、各々の試料のレーン71,72,73,74におい
て電気泳動され、試料に含まれる分子の分子量毎に集ま
り、それぞれにバンド66を作る。分子量の軽い分子ほ
ど泳動速度が速いため、同一時間内に泳動される距離は
大きい。これらのバンド66の検出は、図17(A)に
示すように、光源からの光を光ファイバ12に通して光
路61上でゲルを照射することにより、ゲル中でバンド
66に集まっている標識の蛍光物質に蛍光13を発生さ
せ、蛍光13を検出する。ここで発光する蛍光13は、
蛍光物質の吸光係数,量子効率,励起光の強度などによ
るが、バンド当り、10-16mol程度と非常に微量な量し
か蛍光物質が含まれていないため、非常に微弱な光とな
る。例えば、蛍光物質として、フルオレセインイソチオ
シアネート(Fluorescein Isothiocyanate)を使用した
場合について説明すると、フルオレセインイソチオシア
ネートによる励起光の励起波長のピーク値が490nmで
あり、蛍光波長のピーク値が520nmである。モル吸光
係数は、7×104mol-1・cm-1であり、量子効率は0.6
5程度である。
【0013】1バンド内に10-16molの蛍光物質が存在
する場合、励起光に波長488nmの出力1mWのアルゴン
イオンレーザを使用した場合を想定して計算すると、ゲ
ルの厚みなどで異なるが、発生する蛍光の光量は、10
10個/Sオーダの蛍光の光子しか発生しない。したがっ
て、非常に微弱な蛍光を感度よく検出しなければならな
い。
する場合、励起光に波長488nmの出力1mWのアルゴン
イオンレーザを使用した場合を想定して計算すると、ゲ
ルの厚みなどで異なるが、発生する蛍光の光量は、10
10個/Sオーダの蛍光の光子しか発生しない。したがっ
て、非常に微弱な蛍光を感度よく検出しなければならな
い。
【0014】泳動部5は、その正面図が図17(A)
に、その縦断面図が図17(B)に示されるように、ポ
リアクリルアミドなどのゲル5aと、該ゲル5aを両側
から狭んで支えるためのガラスの支持板5b,5cとか
ら構成されている。泳動部5のゲル5aに上部から例え
ばDNA断片の試料を注入し、第1の電極2aおよび第
2の電極2b(図16)に泳動電圧を印加して、電気泳
動を行いながら、光源から照射された光、例えばレーザ
光を、光ファイバ12からゲル5a中の光路61を通し
て、光路61上の蛍光物質を照射する。これにより、光
路61上に存在する蛍光物質が励起されて蛍光13を発
する。蛍光13はレンズの組合せで構成される光学系の
集光器14に到達し、集光された後に光学フィルタ15
で所望の蛍光波長が選択されて、一次元の光センサ16
において電気信号に変換される。光センサ16では、微
弱な光を効率よく電気信号に変換するため、イメージイ
ンテンシファイアなどを用いて、104〜105倍に光増
幅し、その画像をCCDの一次元光センサなどで電気信
号に変換する。光センサ16により得られた電気信号
は、増幅器17により所望レベルの信号に増幅され、ア
ナログ・ディジタル変換回路18によりアナログ信号か
らディジタル信号に変換されて、信号処理部19へ送ら
れる。信号処理部19では、信号対雑音比(S/N比)
を向上させるために加算平均処理等の信号処理が行われ
る。このようにして信号処理されたディジタル信号のデ
ータは、インタフェース20により、データ処理装置5
2に送出される。
に、その縦断面図が図17(B)に示されるように、ポ
リアクリルアミドなどのゲル5aと、該ゲル5aを両側
から狭んで支えるためのガラスの支持板5b,5cとか
ら構成されている。泳動部5のゲル5aに上部から例え
ばDNA断片の試料を注入し、第1の電極2aおよび第
2の電極2b(図16)に泳動電圧を印加して、電気泳
動を行いながら、光源から照射された光、例えばレーザ
光を、光ファイバ12からゲル5a中の光路61を通し
て、光路61上の蛍光物質を照射する。これにより、光
路61上に存在する蛍光物質が励起されて蛍光13を発
する。蛍光13はレンズの組合せで構成される光学系の
集光器14に到達し、集光された後に光学フィルタ15
で所望の蛍光波長が選択されて、一次元の光センサ16
において電気信号に変換される。光センサ16では、微
弱な光を効率よく電気信号に変換するため、イメージイ
ンテンシファイアなどを用いて、104〜105倍に光増
幅し、その画像をCCDの一次元光センサなどで電気信
号に変換する。光センサ16により得られた電気信号
は、増幅器17により所望レベルの信号に増幅され、ア
ナログ・ディジタル変換回路18によりアナログ信号か
らディジタル信号に変換されて、信号処理部19へ送ら
れる。信号処理部19では、信号対雑音比(S/N比)
を向上させるために加算平均処理等の信号処理が行われ
る。このようにして信号処理されたディジタル信号のデ
ータは、インタフェース20により、データ処理装置5
2に送出される。
【0015】図18(A)および図18(B)は、泳動
計測装置51から送出されるDNA断片の蛍光強度パタ
ーン信号の例を説明する図である。例えば、図18
(A)に示されるように、電気泳動が行われた泳動部5
に対して光路61上でレーザ光が照射されると、光路6
1上に存在するゲルの蛍光物質が励起されて、蛍光を発
するので、この蛍光を、レーン毎に所定の検出位置で電
気泳動方向62の方向に時間の経過と共に検出する。こ
れにより、各レーンのバンド66が光路61上の位置を
通過する時に、蛍光が検出されることになり、1つのレ
ーンにおける蛍光強度のパターン信号が、図18(B)
に示すように、検出される。このため、バンド66が光
路61上の位置を通過するときに、蛍光強度のピークが
得られる。したがって、図18(B)に示す蛍光強度パ
ターン信号は、電気泳動方向62の方向におけるバンド
66の蛍光強度パターン信号となっている。すなわち、
この蛍光強度パターン信号は、蛍光濃度に比例したプロ
ファイル波形となっており、このピーク値を判定して、
例えば、DNAの各塩基配列を判定する処理を行う。
計測装置51から送出されるDNA断片の蛍光強度パタ
ーン信号の例を説明する図である。例えば、図18
(A)に示されるように、電気泳動が行われた泳動部5
に対して光路61上でレーザ光が照射されると、光路6
1上に存在するゲルの蛍光物質が励起されて、蛍光を発
するので、この蛍光を、レーン毎に所定の検出位置で電
気泳動方向62の方向に時間の経過と共に検出する。こ
れにより、各レーンのバンド66が光路61上の位置を
通過する時に、蛍光が検出されることになり、1つのレ
ーンにおける蛍光強度のパターン信号が、図18(B)
に示すように、検出される。このため、バンド66が光
路61上の位置を通過するときに、蛍光強度のピークが
得られる。したがって、図18(B)に示す蛍光強度パ
ターン信号は、電気泳動方向62の方向におけるバンド
66の蛍光強度パターン信号となっている。すなわち、
この蛍光強度パターン信号は、蛍光濃度に比例したプロ
ファイル波形となっており、このピーク値を判定して、
例えば、DNAの各塩基配列を判定する処理を行う。
【0016】データ処理装置52では、計算機本体54
により泳動計測装置51から送出されるDNA断片の蛍
光強度パターン信号のデータを受けて、蛍光強度パター
ンのデータから分子量の比較やDNAの塩基配列を決定
するデータ処理を行う。データ処理を行い決定された塩
基等の並びは、記号化して出力され、ディスプレイ装置
56により画面表示され、またはプリンタ57により印
刷出力される。
により泳動計測装置51から送出されるDNA断片の蛍
光強度パターン信号のデータを受けて、蛍光強度パター
ンのデータから分子量の比較やDNAの塩基配列を決定
するデータ処理を行う。データ処理を行い決定された塩
基等の並びは、記号化して出力され、ディスプレイ装置
56により画面表示され、またはプリンタ57により印
刷出力される。
【0017】以上の例では試料の標識法として蛍光色素
を用いる装置例を示したが、他の例として、同様に蛍光
色素で標識し、電気泳動を行った後に、電気泳動パター
ンによる蛍光パターンを読み取る装置が特開平1−11
67649号公報に開示されている。この他の例の装置
は、前述したような電気泳動を行いながら同時に読み取
り部を通過する蛍光パターンの分布を読み取るタイプと
は異なり、電気泳動を終了してから泳動部全体の蛍光パ
ターンを読み取るタイプとなっている。このタイプで
は、蛍光色素で標識したプローブを用いてSouthernブロ
ッティング法を行った薄膜フィルタの読み取りもでき
る。薄膜フィルタは光学的屈折率が空気の屈折率よりも
薄膜フィルタの素材に近い液体に含侵された後、透明な
ガラス板に挾んで読み取りを行う。
を用いる装置例を示したが、他の例として、同様に蛍光
色素で標識し、電気泳動を行った後に、電気泳動パター
ンによる蛍光パターンを読み取る装置が特開平1−11
67649号公報に開示されている。この他の例の装置
は、前述したような電気泳動を行いながら同時に読み取
り部を通過する蛍光パターンの分布を読み取るタイプと
は異なり、電気泳動を終了してから泳動部全体の蛍光パ
ターンを読み取るタイプとなっている。このタイプで
は、蛍光色素で標識したプローブを用いてSouthernブロ
ッティング法を行った薄膜フィルタの読み取りもでき
る。薄膜フィルタは光学的屈折率が空気の屈折率よりも
薄膜フィルタの素材に近い液体に含侵された後、透明な
ガラス板に挾んで読み取りを行う。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したよ
うに、蛍光検出法による電気泳動パターン読み取り方法
では、ポリアクリルアミドなどのゲルを両側から挾んで
支えるガラ支持板の間に空気の泡が入り混んだ場合、ノ
イズの原因となり、S/Nが低下する。
うに、蛍光検出法による電気泳動パターン読み取り方法
では、ポリアクリルアミドなどのゲルを両側から挾んで
支えるガラ支持板の間に空気の泡が入り混んだ場合、ノ
イズの原因となり、S/Nが低下する。
【0019】薄膜フィルタの読み取りでは、薄膜フィル
タを光学的屈折率が空気の屈折率よりも薄膜フィルタの
素材に近い液体に含侵された時の液体の侵み込み度合の
ムラや、Southernブロッティングの過程で薄膜フィルタ
の表面に付着した物質や、ガラス支持板の間に入り込ん
だ空気の泡がノイズの原因となり、S/N比が低下す
る。また、含侵させる液体の光学的屈折率が薄膜フィル
タの光学的屈折率に一致していない場合には、薄膜フィ
ルタからの散乱光のため、蛍光の読み取りを行う場合
に、バックグラウンドのレベルが高くなり、良好なS/
N比を得ることができないという問題点を有している。
タを光学的屈折率が空気の屈折率よりも薄膜フィルタの
素材に近い液体に含侵された時の液体の侵み込み度合の
ムラや、Southernブロッティングの過程で薄膜フィルタ
の表面に付着した物質や、ガラス支持板の間に入り込ん
だ空気の泡がノイズの原因となり、S/N比が低下す
る。また、含侵させる液体の光学的屈折率が薄膜フィル
タの光学的屈折率に一致していない場合には、薄膜フィ
ルタからの散乱光のため、蛍光の読み取りを行う場合
に、バックグラウンドのレベルが高くなり、良好なS/
N比を得ることができないという問題点を有している。
【0020】本発明の目的は、DNAを蛍光色素で標識
した後、電気泳動を行った試料および蛍光色素で標識し
たプローブを用いたブロッティング試料の蛍光パターン
をバックグラウンドノイズの影響なしに高感度で読み取
ることできる泳動パターン読み取り方法および装置を提
供することにある。
した後、電気泳動を行った試料および蛍光色素で標識し
たプローブを用いたブロッティング試料の蛍光パターン
をバックグラウンドノイズの影響なしに高感度で読み取
ることできる泳動パターン読み取り方法および装置を提
供することにある。
【0021】本発明の別の目的は、電気泳動を行った多
様な読み取り試料における蛍光パターンを蛍光強度の特
性、背景光の特性などに対して適切に読み取り感度を変
化させ、蛍光パターンを読み取ることができる蛍光パタ
ーン読み取り方法および装置を提供することにある。
様な読み取り試料における蛍光パターンを蛍光強度の特
性、背景光の特性などに対して適切に読み取り感度を変
化させ、蛍光パターンを読み取ることができる蛍光パタ
ーン読み取り方法および装置を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の泳動パターン読み取り方法は、試料に電気
泳動を行い、展開した泳動パターンに対して、試料を標
識している蛍光物質を励起して蛍光を発光させ、発光し
た蛍光パターンを2種類の波長特性で読み取り、各波長
特性での蛍光パターンデータを得た後、線形演算法で2
種類の蛍光パターンデータ間の差分演算を行い、読み取
りノイズをキャンセルした蛍光パターンデータを得るこ
とを特徴とする。
め、本発明の泳動パターン読み取り方法は、試料に電気
泳動を行い、展開した泳動パターンに対して、試料を標
識している蛍光物質を励起して蛍光を発光させ、発光し
た蛍光パターンを2種類の波長特性で読み取り、各波長
特性での蛍光パターンデータを得た後、線形演算法で2
種類の蛍光パターンデータ間の差分演算を行い、読み取
りノイズをキャンセルした蛍光パターンデータを得るこ
とを特徴とする。
【0023】また、本発明の蛍光パターン読み取り装置
は、泳動パターンの蛍光物質を励起させる照射光を発光
する光源と、光源からの照射光を走査してゲルの厚み方
向に照射する光照射機構と、照射光の光軸とは異なる方
向に受光面を設定して受光経路の空間的位置関係により
泳動パターンからの蛍光を読み取り面の散乱光から分離
して受光する受光部と、受光部で受光した蛍光を2つの
波長特性で分離する光学フィルタ部と、光学フィルタ部
で分離した2つの波長成分の蛍光のそれぞれの光電変換
を行って電気信号を出力する光電変換部と、光電変換部
からの電気信号に対して照射光の走査と対応して積分動
作を行って増幅し順次に泳動パターンから蛍光の電気信
号を出力する増幅器と、蛍光の2つの波長成分の電気信
号の差分を取る演算部とを備えることを特徴とする。
は、泳動パターンの蛍光物質を励起させる照射光を発光
する光源と、光源からの照射光を走査してゲルの厚み方
向に照射する光照射機構と、照射光の光軸とは異なる方
向に受光面を設定して受光経路の空間的位置関係により
泳動パターンからの蛍光を読み取り面の散乱光から分離
して受光する受光部と、受光部で受光した蛍光を2つの
波長特性で分離する光学フィルタ部と、光学フィルタ部
で分離した2つの波長成分の蛍光のそれぞれの光電変換
を行って電気信号を出力する光電変換部と、光電変換部
からの電気信号に対して照射光の走査と対応して積分動
作を行って増幅し順次に泳動パターンから蛍光の電気信
号を出力する増幅器と、蛍光の2つの波長成分の電気信
号の差分を取る演算部とを備えることを特徴とする。
【0024】
【作用】本発明の蛍光パターン読み取り方法において
は、試料に電気泳動を行い、展開した泳動パターンに対
して、試料を標識している蛍光物質を励起して蛍光を発
光させて、発光した蛍光パターンを2種類の波長特性で
読み取る。この2種類の波長特性の1つの波長特性で発
光する蛍光パターンを読み取り、同時に、他の波長特性
でノイズ成分の読み取りを行う。このノイズ成分を読み
取る波長特性は、好ましくは、蛍光波長の波長特性より
も励起波長側に近い波長特性で読み取るが良い。このよ
うにして、2つの波長特性で読み取った蛍光パターンデ
ータを得た後に、線形演算法により2種類の蛍光パター
ンデータ間の差分演算を行う。これにより、読み取りの
際のノイズをキャンセルした蛍光パターンデータを得る
ことができる。
は、試料に電気泳動を行い、展開した泳動パターンに対
して、試料を標識している蛍光物質を励起して蛍光を発
光させて、発光した蛍光パターンを2種類の波長特性で
読み取る。この2種類の波長特性の1つの波長特性で発
光する蛍光パターンを読み取り、同時に、他の波長特性
でノイズ成分の読み取りを行う。このノイズ成分を読み
取る波長特性は、好ましくは、蛍光波長の波長特性より
も励起波長側に近い波長特性で読み取るが良い。このよ
うにして、2つの波長特性で読み取った蛍光パターンデ
ータを得た後に、線形演算法により2種類の蛍光パター
ンデータ間の差分演算を行う。これにより、読み取りの
際のノイズをキャンセルした蛍光パターンデータを得る
ことができる。
【0025】また、本発明の蛍光パターン読み取り装置
においては、光源が泳動パターンの蛍光物質を励起させ
る照射光を発光し、光照射機構が光源からの照射光を走
査してゲルの厚み方向に照射する。受光部は照射光の光
軸とは異なる方向に受光面が設定されており、受光経路
の空間的位置関係により泳動パターンからの蛍光を読み
取り面の散乱光から分離して受光する。光学フィルタ部
は、受光部で受光した蛍光を、蛍光波長成分とノイズ成
分とに分ける2つの波長特性で各々の波長に分離して光
電変換部に加える。光電変換部では、光学フィルタ部で
分離した2つの波長成分の蛍光のそれぞれの光電変換を
行って、電気信号を出力する。電気信号は増幅器に加え
られ、増幅器は光電変換部からの電気信号に対して照射
光の走査と対応して積分動作を行って増幅し順次に泳動
パターンから蛍光の電気信号を出力する。そして、演算
部が蛍光の2つの波長成分の電気信号の差分を取り、蛍
光パターンの読み取り出力として信号を出力する。
においては、光源が泳動パターンの蛍光物質を励起させ
る照射光を発光し、光照射機構が光源からの照射光を走
査してゲルの厚み方向に照射する。受光部は照射光の光
軸とは異なる方向に受光面が設定されており、受光経路
の空間的位置関係により泳動パターンからの蛍光を読み
取り面の散乱光から分離して受光する。光学フィルタ部
は、受光部で受光した蛍光を、蛍光波長成分とノイズ成
分とに分ける2つの波長特性で各々の波長に分離して光
電変換部に加える。光電変換部では、光学フィルタ部で
分離した2つの波長成分の蛍光のそれぞれの光電変換を
行って、電気信号を出力する。電気信号は増幅器に加え
られ、増幅器は光電変換部からの電気信号に対して照射
光の走査と対応して積分動作を行って増幅し順次に泳動
パターンから蛍光の電気信号を出力する。そして、演算
部が蛍光の2つの波長成分の電気信号の差分を取り、蛍
光パターンの読み取り出力として信号を出力する。
【0026】このような構成をとることにより、泳動パ
ターンの蛍光物質が発光する蛍光成分と、ノイズ成分と
の差分がとられて、蛍光パターンの読み取り出力が得ら
れるので、ノイズ成分をキャンセルすることができる。
すなわち、電気泳動を行ったポリアクリルアミドなどの
ゲルを両側から挾んで支えるガラス支持板の間に入り込
んだ空気の泡や、蛍光標識したプローブでのブロッティ
ングを行った薄膜フィルタに含侵させる液体の侵み込み
ムラや、薄膜フィルタ表面に付着した物質や、ガラス支
持板の間に入り込んだ空気の泡によるノイズをキャンセ
ルすることができる。また、バックグラウンド成分の信
号を低減できるので、蛍光パターンの読み取りにおいて
もS/N比を向上させることができる。
ターンの蛍光物質が発光する蛍光成分と、ノイズ成分と
の差分がとられて、蛍光パターンの読み取り出力が得ら
れるので、ノイズ成分をキャンセルすることができる。
すなわち、電気泳動を行ったポリアクリルアミドなどの
ゲルを両側から挾んで支えるガラス支持板の間に入り込
んだ空気の泡や、蛍光標識したプローブでのブロッティ
ングを行った薄膜フィルタに含侵させる液体の侵み込み
ムラや、薄膜フィルタ表面に付着した物質や、ガラス支
持板の間に入り込んだ空気の泡によるノイズをキャンセ
ルすることができる。また、バックグラウンド成分の信
号を低減できるので、蛍光パターンの読み取りにおいて
もS/N比を向上させることができる。
【0027】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を用いて具体
的に説明する。図1は本発明の一実施例にかかる蛍光パ
ターン読み取り装置の全体構成を説明する概略図であ
る。図1に示すように、蛍光パターン読み取り装置は、
電気泳動ユニット1と読み取りユニット6とが分離され
て、全体の装置を構成している。電気泳動ユニット1
は、電気泳動を行うベースとなるゲルと該ゲルをガラス
板などで挟み込んで支持するゲル支持体とからなる泳動
部ユニット5と、泳動部ユニット5が装着されて当該泳
動部ユニット(以下では泳動部と略称する)5に電気泳
動電圧を加える第1電極2aおよび第2電極2bと、第
1電極2aおよび第2電極2bを支えると共に泳動部5
を支える支持板3と、電気泳動電圧を供給する電気泳動
用電源装置4とから構成される。泳動部5は、前述した
ように、電気泳動を行う試料を展開するベースとなるポ
リアクリルアミドなどのゲルと、当該ゲルを両側から挟
んで支持するガラス板のゲル支持体とから構成される
(前述した図17(A)および図17(B)を参照)。
的に説明する。図1は本発明の一実施例にかかる蛍光パ
ターン読み取り装置の全体構成を説明する概略図であ
る。図1に示すように、蛍光パターン読み取り装置は、
電気泳動ユニット1と読み取りユニット6とが分離され
て、全体の装置を構成している。電気泳動ユニット1
は、電気泳動を行うベースとなるゲルと該ゲルをガラス
板などで挟み込んで支持するゲル支持体とからなる泳動
部ユニット5と、泳動部ユニット5が装着されて当該泳
動部ユニット(以下では泳動部と略称する)5に電気泳
動電圧を加える第1電極2aおよび第2電極2bと、第
1電極2aおよび第2電極2bを支えると共に泳動部5
を支える支持板3と、電気泳動電圧を供給する電気泳動
用電源装置4とから構成される。泳動部5は、前述した
ように、電気泳動を行う試料を展開するベースとなるポ
リアクリルアミドなどのゲルと、当該ゲルを両側から挟
んで支持するガラス板のゲル支持体とから構成される
(前述した図17(A)および図17(B)を参照)。
【0028】電気泳動ユニット1には、泳動部5が装着
され、泳動部5のゲルの上部から電気泳動するDNAフ
ラグメントなど断片化した試料が供給され、電気泳動用
電源装置4から第1電極2aおよび第2電極2bに泳動
電圧が印加されて、電気泳動が行われる。電気泳動ユニ
ット1で電気泳動を行った後の泳動部5は、電気泳動ユ
ニット1から取り外して、次に、読み取りユニット6に
装着し、電気泳動パターンの読み取りを行う。
され、泳動部5のゲルの上部から電気泳動するDNAフ
ラグメントなど断片化した試料が供給され、電気泳動用
電源装置4から第1電極2aおよび第2電極2bに泳動
電圧が印加されて、電気泳動が行われる。電気泳動ユニ
ット1で電気泳動を行った後の泳動部5は、電気泳動ユ
ニット1から取り外して、次に、読み取りユニット6に
装着し、電気泳動パターンの読み取りを行う。
【0029】読み取りユニット6には、電気泳動ユニッ
ト1で電気泳動を行った泳動部5をそのままの状態で
(または泳動部5からゲルのみを取り出したゲルの状態
で)、計測部本体7に装着して、電気泳動パターンを読
み取って、データ処理を行う。読み取りユニット6は、
図1に示すように、計測部本体7を主要部として、構成
され、データ処理装置8およびイメージプリンタ9等が
付加されて構成される。データ処理装置8およびイメー
ジプリンタ9は、計測部本体7で読み取った電気泳動パ
ターンのイメージデータに対して、データ処理,イメー
ジ処理,判定処理などを行い、読み取った電気泳動パタ
ーンデータを加工して出力する。計測部本体7には、電
気泳動ユニット1において既に電気泳動を行った泳動部
(ゲルおよびゲル支持体からなる泳動部ユニット)5を
装着して読み取る読取り台が、本体上部の蓋7aの直下
に設けられている。
ト1で電気泳動を行った泳動部5をそのままの状態で
(または泳動部5からゲルのみを取り出したゲルの状態
で)、計測部本体7に装着して、電気泳動パターンを読
み取って、データ処理を行う。読み取りユニット6は、
図1に示すように、計測部本体7を主要部として、構成
され、データ処理装置8およびイメージプリンタ9等が
付加されて構成される。データ処理装置8およびイメー
ジプリンタ9は、計測部本体7で読み取った電気泳動パ
ターンのイメージデータに対して、データ処理,イメー
ジ処理,判定処理などを行い、読み取った電気泳動パタ
ーンデータを加工して出力する。計測部本体7には、電
気泳動ユニット1において既に電気泳動を行った泳動部
(ゲルおよびゲル支持体からなる泳動部ユニット)5を
装着して読み取る読取り台が、本体上部の蓋7aの直下
に設けられている。
【0030】電気泳動ユニット1から取り外した泳動部
5は、計測部本体7において、計測部本体上部の蓋7a
を開けて読み取り台に装着される。読取り台に泳動部5
の読み取り対象のゲルを装着した後、蓋7aを閉じて、
計測部本体7の操作表示パネル7bの読み取り開始スイ
ッチを押下すると、計測部本体7が泳動部5のゲルの電
気泳動パターンの読み取りを開始する。電気泳動パター
ンの読み取りが開始されると、計測部本体7に内蔵する
点光源からの照射光の走査が開始され、装着した泳動部
5のゲルに励起光を照射し、蛍光物質を励起させ、これ
により発光した蛍光を受光して、蛍光物質の分布のパタ
ーンを計測する。データ処理装置8は計測部本体7で計
測した読み取りデータを基にデータ処理を行い、また、
計測部本体7の制御を行う。データ処理されたデータ
は、イメージプリンタ9により出力されて可視化され
る。このイメージプリンタでは、各試料に対して泳動パ
ターンを区別して泳動パターンを印刷する。
5は、計測部本体7において、計測部本体上部の蓋7a
を開けて読み取り台に装着される。読取り台に泳動部5
の読み取り対象のゲルを装着した後、蓋7aを閉じて、
計測部本体7の操作表示パネル7bの読み取り開始スイ
ッチを押下すると、計測部本体7が泳動部5のゲルの電
気泳動パターンの読み取りを開始する。電気泳動パター
ンの読み取りが開始されると、計測部本体7に内蔵する
点光源からの照射光の走査が開始され、装着した泳動部
5のゲルに励起光を照射し、蛍光物質を励起させ、これ
により発光した蛍光を受光して、蛍光物質の分布のパタ
ーンを計測する。データ処理装置8は計測部本体7で計
測した読み取りデータを基にデータ処理を行い、また、
計測部本体7の制御を行う。データ処理されたデータ
は、イメージプリンタ9により出力されて可視化され
る。このイメージプリンタでは、各試料に対して泳動パ
ターンを区別して泳動パターンを印刷する。
【0031】図2は、計測部本体の主要部の構成を示す
ブロック図であり、また、図3は、計測部本体に装着す
る泳動部の装着位置を説明する図である。図2および図
3を参照して説明する。
ブロック図であり、また、図3は、計測部本体に装着す
る泳動部の装着位置を説明する図である。図2および図
3を参照して説明する。
【0032】蛍光パターン読み取り装置を用いて、試料
の電気泳動分析を行う場合、前述したように、まず、電
気泳動ユニット1を用いて、蛍光色素(蛍光物質)によ
り標識した試料(DNAフラグメント)の電気泳動を行
う。約5時間位の所定時間の電気泳動の終了後、泳動部
5を電気泳動ユニット1から取り外す。取り外した泳動
部5のゲルは、そのままの泳動部5の状態で、あるいは
ゲル支持体のガラスを外した状態で、図3に示すよう
に、読み取りユニット6の計測部本体7の上部の蓋7a
を開き、内部の読み取り台7cの上部に載置する。そし
て、蓋7aを閉じて、読み取りユニットへのセットが完
了する。このとき、電気泳動を行ったゲルが蛍光色素で
標識されていない試料の場合には、この段階において、
試料に対して、エチジウムブロマイド・モノマー,また
はエチジウムブロマイド・ダイマーなどの蛍光色素をつ
ける染色処理を施す。また、このとき、ゲルの乾燥等の
処理も行うことも可能である。
の電気泳動分析を行う場合、前述したように、まず、電
気泳動ユニット1を用いて、蛍光色素(蛍光物質)によ
り標識した試料(DNAフラグメント)の電気泳動を行
う。約5時間位の所定時間の電気泳動の終了後、泳動部
5を電気泳動ユニット1から取り外す。取り外した泳動
部5のゲルは、そのままの泳動部5の状態で、あるいは
ゲル支持体のガラスを外した状態で、図3に示すよう
に、読み取りユニット6の計測部本体7の上部の蓋7a
を開き、内部の読み取り台7cの上部に載置する。そし
て、蓋7aを閉じて、読み取りユニットへのセットが完
了する。このとき、電気泳動を行ったゲルが蛍光色素で
標識されていない試料の場合には、この段階において、
試料に対して、エチジウムブロマイド・モノマー,また
はエチジウムブロマイド・ダイマーなどの蛍光色素をつ
ける染色処理を施す。また、このとき、ゲルの乾燥等の
処理も行うことも可能である。
【0033】次に、電気泳動パターンの読み取り開始を
指示する操作を行う。読み取り開始の操作は、操作表示
パネル7bの読み取り開始スイッチの押圧操作の開始指
示により、またはデータ処理装置8からの読み取り開始
指示により行う。データ処理装置8によって読み取り動
作を開始する場合には、計測部本体7における泳動部ユ
ニットの装着状態が制御信号線を通してデータ処理装置
8の側に送られ、その状態を確認してデータ処理装置8
が計測部本体7の読み取りユニット部の動作を制御して
行う。この場合には、動作時の読み取り速度などのパラ
メータ設定を予めデータ処理装置8の側に登録しておく
ことにより、読み取り開始の操作が自動的に行われるの
で、操作者のスイッチ操作負担が軽減される。
指示する操作を行う。読み取り開始の操作は、操作表示
パネル7bの読み取り開始スイッチの押圧操作の開始指
示により、またはデータ処理装置8からの読み取り開始
指示により行う。データ処理装置8によって読み取り動
作を開始する場合には、計測部本体7における泳動部ユ
ニットの装着状態が制御信号線を通してデータ処理装置
8の側に送られ、その状態を確認してデータ処理装置8
が計測部本体7の読み取りユニット部の動作を制御して
行う。この場合には、動作時の読み取り速度などのパラ
メータ設定を予めデータ処理装置8の側に登録しておく
ことにより、読み取り開始の操作が自動的に行われるの
で、操作者のスイッチ操作負担が軽減される。
【0034】読み取られた蛍光色素の分布データは、デ
ータ処理装置8に送られる。データ処理装置8では、蛍
光強度のピーク検出処理,泳動距離を求める処理など予
めプログラムされている所定の処理を行う。データ処理
した結果のデータは、必要に応じてイメージプリンタ9
により、蛍光強度を濃淡画像で印刷出力し、または蛍光
強度を等高線形式または色や濃度で区分けした画像とし
て印刷出力する。蛍光強度に応じた濃淡画像で印刷出力
した画像は、従来から用いられている放射性物質で標識
して電気泳動を行った放射性Xフィルム像と同様な画像
となる。また、必要に応じて、データ処理を行った結果
データは、磁気的または光学的記録装置にディジタルデ
ータとして記憶される。
ータ処理装置8に送られる。データ処理装置8では、蛍
光強度のピーク検出処理,泳動距離を求める処理など予
めプログラムされている所定の処理を行う。データ処理
した結果のデータは、必要に応じてイメージプリンタ9
により、蛍光強度を濃淡画像で印刷出力し、または蛍光
強度を等高線形式または色や濃度で区分けした画像とし
て印刷出力する。蛍光強度に応じた濃淡画像で印刷出力
した画像は、従来から用いられている放射性物質で標識
して電気泳動を行った放射性Xフィルム像と同様な画像
となる。また、必要に応じて、データ処理を行った結果
データは、磁気的または光学的記録装置にディジタルデ
ータとして記憶される。
【0035】図2の計測部本体では、図2に示すよう
に、光源21から発光されたレーザビーム31が、ミラ
ードライバ30で駆動される振動ミラー22により、図
の表裏方向にスキャンされ、読み取り対象の泳動部5の
ゲルに加えられる。振動ミラー22によりスキャンされ
るレーザビーム31のスポット光は、移動しながら、泳
動部5のゲルを厚み方向に照射される。これにより、ス
キャンされたレーザビーム31のスポット光が照射され
た泳動部5のゲルからは、蛍光13が発する。ゲルから
発した蛍光は、集光器23を通して受光される。集光器
23は、詳細は後述するが、蛍光13を受光するため受
光経路の光軸が泳動部5を照射するスポット光の光軸と
は異なるように構成され、また、光学レンズ系により受
光の光学経路の空間的位置関係の構成から、散乱光を分
離して、泳動部5の照射面から発する散乱光からの検出
感度を高めて、蛍光13を受光する。集光器23により
受光した光は、光電変換部24により電気信号に変換さ
れる。
に、光源21から発光されたレーザビーム31が、ミラ
ードライバ30で駆動される振動ミラー22により、図
の表裏方向にスキャンされ、読み取り対象の泳動部5の
ゲルに加えられる。振動ミラー22によりスキャンされ
るレーザビーム31のスポット光は、移動しながら、泳
動部5のゲルを厚み方向に照射される。これにより、ス
キャンされたレーザビーム31のスポット光が照射され
た泳動部5のゲルからは、蛍光13が発する。ゲルから
発した蛍光は、集光器23を通して受光される。集光器
23は、詳細は後述するが、蛍光13を受光するため受
光経路の光軸が泳動部5を照射するスポット光の光軸と
は異なるように構成され、また、光学レンズ系により受
光の光学経路の空間的位置関係の構成から、散乱光を分
離して、泳動部5の照射面から発する散乱光からの検出
感度を高めて、蛍光13を受光する。集光器23により
受光した光は、光電変換部24により電気信号に変換さ
れる。
【0036】光電変換部24は、第1光電変器24Aと
第2光電変換器24Bとの2系統の2つの光電変換器で
構成されている。第1光電変器24Aと第2光電変換器
24Bとは、それぞれに検出波長特性が異なる光学フィ
ルタを備えており、第1光電変器24Aは、蛍光波長成
分を検出する波長特性の光学フィルタにより蛍長波長成
分の光を検出する。また、第2光電変器24Bは、蛍光
波長よりも励起波長側に近い波長特性をもつ波長特性の
光学フィルタによりノイズ波長成分の光を検出する。第
1光電変器24Aおよび第2光電変換器24Bからの各
々の電気信号は、演算部33に供給され、演算部33で
2つの電気信号が差分演算され、更に増幅器25により
増幅される。ゲルを透過したレーザビーム31が迷光と
して悪影響を与えないように、泳動部5のレーザビーム
31の照射面と反対側には、光トラップ32が設けられ
ている。
第2光電変換器24Bとの2系統の2つの光電変換器で
構成されている。第1光電変器24Aと第2光電変換器
24Bとは、それぞれに検出波長特性が異なる光学フィ
ルタを備えており、第1光電変器24Aは、蛍光波長成
分を検出する波長特性の光学フィルタにより蛍長波長成
分の光を検出する。また、第2光電変器24Bは、蛍光
波長よりも励起波長側に近い波長特性をもつ波長特性の
光学フィルタによりノイズ波長成分の光を検出する。第
1光電変器24Aおよび第2光電変換器24Bからの各
々の電気信号は、演算部33に供給され、演算部33で
2つの電気信号が差分演算され、更に増幅器25により
増幅される。ゲルを透過したレーザビーム31が迷光と
して悪影響を与えないように、泳動部5のレーザビーム
31の照射面と反対側には、光トラップ32が設けられ
ている。
【0037】このように、集光器23,光電変換部2
4,演算部33を通して、検出する蛍光13の受光感度
を高くして受光し、更に受光した蛍光13を蛍光波長成
分とノイズ波長成分に分けて光電変換して2つの電気信
号に変換した後、変換した2つの電気信号の差分をとっ
て、差分をとった後の電気信号を増幅器25に入力す
る。増幅器25において増幅された電気信号は、アナロ
グ・ディジタル変換回路26に入力されて、ディジタル
データに変換される。ディジタルデータに変換された蛍
光パターンの検出信号はメモリ28に記憶され、メモリ
28に記憶されたデータが、インタフェース制御回路2
9を通してデータ処理装置8に送られる。なお、このよ
うな一連の信号処理の制御は制御回路27が行う。
4,演算部33を通して、検出する蛍光13の受光感度
を高くして受光し、更に受光した蛍光13を蛍光波長成
分とノイズ波長成分に分けて光電変換して2つの電気信
号に変換した後、変換した2つの電気信号の差分をとっ
て、差分をとった後の電気信号を増幅器25に入力す
る。増幅器25において増幅された電気信号は、アナロ
グ・ディジタル変換回路26に入力されて、ディジタル
データに変換される。ディジタルデータに変換された蛍
光パターンの検出信号はメモリ28に記憶され、メモリ
28に記憶されたデータが、インタフェース制御回路2
9を通してデータ処理装置8に送られる。なお、このよ
うな一連の信号処理の制御は制御回路27が行う。
【0038】次に、このような構成の電気泳動パターン
読み取り装置の計測部本体におけるの各部の構成および
動作を詳細に説明する。図4は、振動ミラーを用いてゲ
ル面をレーザビームでスキャンする光走査機構を説明す
る図であり、また、図5は振動ミラーの回転角とレーザ
ビームのスポット光の移動距離の関係を説明する図であ
る。
読み取り装置の計測部本体におけるの各部の構成および
動作を詳細に説明する。図4は、振動ミラーを用いてゲ
ル面をレーザビームでスキャンする光走査機構を説明す
る図であり、また、図5は振動ミラーの回転角とレーザ
ビームのスポット光の移動距離の関係を説明する図であ
る。
【0039】計測部本体の光走査機構をおいては、光源
21,振動ミラー22,および泳動部5の配置位置が、
図4に示すような位置関係にあるため、例えば、振動ミ
ラー22がミラードライバ30により等角速度で振動す
るように駆動された場合、泳動部5においては、両端部
での光スポットの移動速度が中央部(X=0)の付近よ
りも速くなる。そのため、泳動部5の試料から検出され
る蛍光の検出感度は、中央部と端部とでは差が生ずるこ
とになる。このため、この実施例では、泳動部5のゲル
上でレーザのスポット光の移動速度が等速となるよう
に、振動ミラーを駆動する速度を補正制御する。すなわ
ち、スポット光の位置Xに対するミラーの角度θの関係
は、図5に示すような関係となり、振動ミラーの回転中
心と泳動部5の中央部との距離Zを用いると、ミラー角
度θは次式で表される。 θ=arctan(X/Z) ここで、Zは振動ミラー22の回転中心から泳動部5の
ゲルまでの距離であり、Xは振動ミラー22の回転中心
から泳動部5のゲルの面に垂線を下ろした点を原点とす
るゲルの面方向の距離である。
21,振動ミラー22,および泳動部5の配置位置が、
図4に示すような位置関係にあるため、例えば、振動ミ
ラー22がミラードライバ30により等角速度で振動す
るように駆動された場合、泳動部5においては、両端部
での光スポットの移動速度が中央部(X=0)の付近よ
りも速くなる。そのため、泳動部5の試料から検出され
る蛍光の検出感度は、中央部と端部とでは差が生ずるこ
とになる。このため、この実施例では、泳動部5のゲル
上でレーザのスポット光の移動速度が等速となるよう
に、振動ミラーを駆動する速度を補正制御する。すなわ
ち、スポット光の位置Xに対するミラーの角度θの関係
は、図5に示すような関係となり、振動ミラーの回転中
心と泳動部5の中央部との距離Zを用いると、ミラー角
度θは次式で表される。 θ=arctan(X/Z) ここで、Zは振動ミラー22の回転中心から泳動部5の
ゲルまでの距離であり、Xは振動ミラー22の回転中心
から泳動部5のゲルの面に垂線を下ろした点を原点とす
るゲルの面方向の距離である。
【0040】また、この種の光走査機構における回転角
と移動距離との間の関係を補正する方法としては、fθ
レンズを用いる方法があるが、fθレンズは高価であ
り、fθレンズを装着するため装置が重くなるので、こ
こでは、光走査機構の振動ミラー回転角と移動距離との
間の補正を、ミラードライバ30に振動ミラー22の回
転角速度を可変制御する制御回路を備え、振動ミラー2
2の回転駆動速度を補正制御することにより行う。
と移動距離との間の関係を補正する方法としては、fθ
レンズを用いる方法があるが、fθレンズは高価であ
り、fθレンズを装着するため装置が重くなるので、こ
こでは、光走査機構の振動ミラー回転角と移動距離との
間の補正を、ミラードライバ30に振動ミラー22の回
転角速度を可変制御する制御回路を備え、振動ミラー2
2の回転駆動速度を補正制御することにより行う。
【0041】図6は、振動ミラーを回転駆動制御するミ
ラードライバの制御回路の要部構成を示すブロック図で
ある。振動ミラーのアクチュエータとしては直線モータ
を用いており、振動ミラーの回転角制御は、回転角対応
に比例した電圧を印加することによって制御する。ゲル
の照射面においてレーザビームのスポット光が等速で移
動するためには、照射面の距離Xと時間tが比例関係と
なるように制御すればよい。振動ミラーの回転角θとス
ポット光の移動距離Xとの関係は、図5に示すような関
係となっているので、図5のグラフの横軸を時間軸、縦
軸を電圧軸に対応させた電圧波形の信号を発生させ、こ
れを振動ミラーを駆動する駆動制御信号とする。このよ
うな駆動制御信号の発生は、ミラードライバ30におけ
る制御回路の起動により行い、発生した駆動制御信号を
振動ミラー22のアクチュエータに供給して、振動ミラ
ー22の駆動制御を行う。
ラードライバの制御回路の要部構成を示すブロック図で
ある。振動ミラーのアクチュエータとしては直線モータ
を用いており、振動ミラーの回転角制御は、回転角対応
に比例した電圧を印加することによって制御する。ゲル
の照射面においてレーザビームのスポット光が等速で移
動するためには、照射面の距離Xと時間tが比例関係と
なるように制御すればよい。振動ミラーの回転角θとス
ポット光の移動距離Xとの関係は、図5に示すような関
係となっているので、図5のグラフの横軸を時間軸、縦
軸を電圧軸に対応させた電圧波形の信号を発生させ、こ
れを振動ミラーを駆動する駆動制御信号とする。このよ
うな駆動制御信号の発生は、ミラードライバ30におけ
る制御回路の起動により行い、発生した駆動制御信号を
振動ミラー22のアクチュエータに供給して、振動ミラ
ー22の駆動制御を行う。
【0042】ミラードライバ30は、図6に示すよう
に、関数波形を記憶した読み出し専用メモリ30aと、
読み出した関数データを電圧信号に変換するデジタル・
アナログ変換回路30bと、変換された電圧信号を増幅
して駆動制御信号として出力するドライバ30cと、メ
モリに対し時系列的に読み出しアドレスを与えるカウン
タ30dと、カウンタにクロック信号を与える発振回路
30eとから構成されている。
に、関数波形を記憶した読み出し専用メモリ30aと、
読み出した関数データを電圧信号に変換するデジタル・
アナログ変換回路30bと、変換された電圧信号を増幅
して駆動制御信号として出力するドライバ30cと、メ
モリに対し時系列的に読み出しアドレスを与えるカウン
タ30dと、カウンタにクロック信号を与える発振回路
30eとから構成されている。
【0043】計測部本体の制御回路27からの指示によ
り、発振回路30eが動作し、発振回路30eからのク
ロック信号がカウンタ30dに入力され、カウンタ30
dはクロック信号をカウントし、読み出し専用メモリ3
0aに供給する読み出しアドレスを時系列的に発生す
る。カウンタ30dから順次に発生される読み出しアド
レスが時系列的に読み出し専用メモリ30aに供給され
ると、読み出し専用メモリ30aからは予め記憶されて
いる関数データが順次に読み出される。読み出し専用メ
モリ30aには、予め振動ミラーの回転角に関する関数
データ(図5)が書き込んであり、このような関数デー
タが時系列的に読み出される。この例では関数データの
ビット数は、12ビットとしている。読み出された関数
データは、ディジタル・アナログ変換回路30bにおい
て振動ミラーの回転角を制御するアナログ信号の電圧信
号に変換される。この電圧信号は、ドライバ30cにお
いてステップ状のノイズをフィルタリングで除去し、更
に電力増幅して、駆動制御信号として、振動ミラー22
に供給される。これにより、泳動部におけるレーザビー
ムのスポット光の移動速度(スキャン速度)が一定とな
るような所望の回転角速度で振動ミラーを振動させるこ
とができる。
り、発振回路30eが動作し、発振回路30eからのク
ロック信号がカウンタ30dに入力され、カウンタ30
dはクロック信号をカウントし、読み出し専用メモリ3
0aに供給する読み出しアドレスを時系列的に発生す
る。カウンタ30dから順次に発生される読み出しアド
レスが時系列的に読み出し専用メモリ30aに供給され
ると、読み出し専用メモリ30aからは予め記憶されて
いる関数データが順次に読み出される。読み出し専用メ
モリ30aには、予め振動ミラーの回転角に関する関数
データ(図5)が書き込んであり、このような関数デー
タが時系列的に読み出される。この例では関数データの
ビット数は、12ビットとしている。読み出された関数
データは、ディジタル・アナログ変換回路30bにおい
て振動ミラーの回転角を制御するアナログ信号の電圧信
号に変換される。この電圧信号は、ドライバ30cにお
いてステップ状のノイズをフィルタリングで除去し、更
に電力増幅して、駆動制御信号として、振動ミラー22
に供給される。これにより、泳動部におけるレーザビー
ムのスポット光の移動速度(スキャン速度)が一定とな
るような所望の回転角速度で振動ミラーを振動させるこ
とができる。
【0044】また、ここでのスキャン速度は、対数的に
ほぼ等分となるように0.5Hz,1Hz,2Hz,5Hz,10Hz,20
Hz,50Hz,100Hz,および200Hzの各速度で可変できるよ
うにな構成となっている。これは、電気泳動する試料に
標識した蛍光物質の量や蛍光物質の量子効率の差に応じ
て、読み取り速度を変えられるようにし、効率的に読み
取りを行うためである。スキャン速度の指定は、操作表
示パネル7bまたはデータ処理装置8から指定する。制
御回路27からミラードライバ30に対し、スキャン速
度の指示データが送られると、カウンタ30dおよび発
振回路30eを制御して、所望のスキャン速度で振動ミ
ラー22を駆動させる。
ほぼ等分となるように0.5Hz,1Hz,2Hz,5Hz,10Hz,20
Hz,50Hz,100Hz,および200Hzの各速度で可変できるよ
うにな構成となっている。これは、電気泳動する試料に
標識した蛍光物質の量や蛍光物質の量子効率の差に応じ
て、読み取り速度を変えられるようにし、効率的に読み
取りを行うためである。スキャン速度の指定は、操作表
示パネル7bまたはデータ処理装置8から指定する。制
御回路27からミラードライバ30に対し、スキャン速
度の指示データが送られると、カウンタ30dおよび発
振回路30eを制御して、所望のスキャン速度で振動ミ
ラー22を駆動させる。
【0045】このようにして、振動ミラー22の駆動制
御により、光源21からのレーザビームがスキャンさ
れ、泳動部5においては一定速度で移動するスポット光
として照射される。これにより、レーザ光の照射光によ
り照射された部分にある泳動部5のゲルの蛍光物質が励
起され、蛍光13を発する。
御により、光源21からのレーザビームがスキャンさ
れ、泳動部5においては一定速度で移動するスポット光
として照射される。これにより、レーザ光の照射光によ
り照射された部分にある泳動部5のゲルの蛍光物質が励
起され、蛍光13を発する。
【0046】図7および図8は、ゲルから発生する蛍光
を受光するための集光器および光電変換部の要部の構成
を光路を中心に示す図である。前述したように、泳動部
のゲル5aは、ガラスのゲル支持体5b,5cに挾まれ
て支持されている。ゲル支持体5b,5cとしては、こ
の実施例の泳動部5では、ゲル支持体5b,5cに蛍光
の比較的少ない硼硅酸塩ガラスを使用している。この他
に、ゲル支持体5b,5cとしては、石英ガラスや各種
光学ガラスなどが利用できる。
を受光するための集光器および光電変換部の要部の構成
を光路を中心に示す図である。前述したように、泳動部
のゲル5aは、ガラスのゲル支持体5b,5cに挾まれ
て支持されている。ゲル支持体5b,5cとしては、こ
の実施例の泳動部5では、ゲル支持体5b,5cに蛍光
の比較的少ない硼硅酸塩ガラスを使用している。この他
に、ゲル支持体5b,5cとしては、石英ガラスや各種
光学ガラスなどが利用できる。
【0047】動作を説明すると、泳動部5において、図
7に示すように、スキャンされ移動するレーザビーム3
1が、ゲル中の蛍光物質を励起するための励起光として
照射される。レーザビーム31の光はゲル支持体5c,
ゲル5aおよびゲル支持体5bを厚み方向に透過し、ゲ
ル5aに到達する。ゲル5aにおいてはその厚み方向に
レーザビーム31の光が進行する。ゲル支持板5b,5
cおよびゲル5aの厚みは、それぞれ約5mmおよび約
0.35mmとなっており、ゲル支持板5b,5cおよび
ゲル5aの厚み方向に照射されるレーザビーム31の光
は、泳動部5のどの位置においてもゲルに到達する光の
強度は概ね等しい。また、ゲル5aおよびゲル支持体5
b,5cの光入射面で発生する光散乱によるレーザビー
ム31の広がり,強度減少も、厚み方向に面に対し垂直
に励起光を入射しているため、大幅に少なくなる。な
お、ゲル5aを透過したレーザビーム31は、迷光とし
て悪影響を与えないように光トラップ32に入り減衰さ
せられる。
7に示すように、スキャンされ移動するレーザビーム3
1が、ゲル中の蛍光物質を励起するための励起光として
照射される。レーザビーム31の光はゲル支持体5c,
ゲル5aおよびゲル支持体5bを厚み方向に透過し、ゲ
ル5aに到達する。ゲル5aにおいてはその厚み方向に
レーザビーム31の光が進行する。ゲル支持板5b,5
cおよびゲル5aの厚みは、それぞれ約5mmおよび約
0.35mmとなっており、ゲル支持板5b,5cおよび
ゲル5aの厚み方向に照射されるレーザビーム31の光
は、泳動部5のどの位置においてもゲルに到達する光の
強度は概ね等しい。また、ゲル5aおよびゲル支持体5
b,5cの光入射面で発生する光散乱によるレーザビー
ム31の広がり,強度減少も、厚み方向に面に対し垂直
に励起光を入射しているため、大幅に少なくなる。な
お、ゲル5aを透過したレーザビーム31は、迷光とし
て悪影響を与えないように光トラップ32に入り減衰さ
せられる。
【0048】このように、レーザビーム31がスキャン
されることによって、励起光がゲル5aに照射され、こ
の励起光の光照射によりゲル5a内から発生する蛍光
は、励起光自体による散乱光などと共に集光器23で集
光して、次段の光電変換部に導入される。ゲル支持体5
b,5cにおいて発生する散乱光は、図7に示すように
光学経路を構成することにより、受光経路の空間的位置
関係により幾何光学的に分離され、ゲルからの蛍光のみ
が取り出されて光電変換部24に送られる。光電変換部
24においては、ゲル内において発生する散乱光と蛍光
とが更に特定波長のみを通過させる光学フィルタを用い
て分離され、光電子増倍管により微弱な蛍光が電気信号
に変換される。ここでの集光器23の光学経路の構成
は、図7に示すように、光入射口を1つにまとめた2つ
の光ファイバアレイ23b,23cにより、受光した蛍
光を2つに分離して、後段の2つの光電変換器24A,
24Bに供給される。
されることによって、励起光がゲル5aに照射され、こ
の励起光の光照射によりゲル5a内から発生する蛍光
は、励起光自体による散乱光などと共に集光器23で集
光して、次段の光電変換部に導入される。ゲル支持体5
b,5cにおいて発生する散乱光は、図7に示すように
光学経路を構成することにより、受光経路の空間的位置
関係により幾何光学的に分離され、ゲルからの蛍光のみ
が取り出されて光電変換部24に送られる。光電変換部
24においては、ゲル内において発生する散乱光と蛍光
とが更に特定波長のみを通過させる光学フィルタを用い
て分離され、光電子増倍管により微弱な蛍光が電気信号
に変換される。ここでの集光器23の光学経路の構成
は、図7に示すように、光入射口を1つにまとめた2つ
の光ファイバアレイ23b,23cにより、受光した蛍
光を2つに分離して、後段の2つの光電変換器24A,
24Bに供給される。
【0049】集光器23および光電変換部24における
光学系の構成を図7および図8により説明すると、集光
器23は、図7に示すように、泳動部5のゲル5aから
の蛍光およびゲル支持体5b,5cから発生する励起光
の散乱光を、シリンドリカルレンズ23aで受けて集光
するように光学経路が構成されている。泳動部5からの
蛍光13およびゲル支持体5b,5cから発生する励起
光の散乱光は、シリンドリカルレンズ23aに到達し
て、散乱光および蛍光が、図示するように、シリンドリ
カルレンズ23aによりその反対側において結像する。
図中のA点は、ゲル5aからの蛍光およびゲル5aから
発生する励起光の散乱光に対する焦点である。また、ゲ
ル支持体5b,5cの光入射面の表面において発生する
励起光の散乱光の場合、例えば、ゲル支持体5cの表面
からの散乱光の場合、図中のA′点に結像する。ここで
光ファイバアレイ23bは、光の入射口をゲル5aから
の蛍光のみを受光するように、その結像点Aの位置に配
設することで、受光経路の空間的位置関係により幾何光
学的に、蛍光をゲル支持体からの散乱光と分離する。励
起光を厚み方向に照射する方法は、ゲルとゲル支持体で
あるガラスとの屈折率が1.4〜1.5前後と比較的近い
こと、およびゲルとゲル支持体のガラスの境界面が非常
に密着していることにより、この境界面において発生す
る散乱光は非常に少ない。したがって、A点で受光する
光は、ゲル5aの表面において発生する励起光の散乱光
も少なくなっており、ゲル5aの内部からの蛍光のみが
大きく受光される。
光学系の構成を図7および図8により説明すると、集光
器23は、図7に示すように、泳動部5のゲル5aから
の蛍光およびゲル支持体5b,5cから発生する励起光
の散乱光を、シリンドリカルレンズ23aで受けて集光
するように光学経路が構成されている。泳動部5からの
蛍光13およびゲル支持体5b,5cから発生する励起
光の散乱光は、シリンドリカルレンズ23aに到達し
て、散乱光および蛍光が、図示するように、シリンドリ
カルレンズ23aによりその反対側において結像する。
図中のA点は、ゲル5aからの蛍光およびゲル5aから
発生する励起光の散乱光に対する焦点である。また、ゲ
ル支持体5b,5cの光入射面の表面において発生する
励起光の散乱光の場合、例えば、ゲル支持体5cの表面
からの散乱光の場合、図中のA′点に結像する。ここで
光ファイバアレイ23bは、光の入射口をゲル5aから
の蛍光のみを受光するように、その結像点Aの位置に配
設することで、受光経路の空間的位置関係により幾何光
学的に、蛍光をゲル支持体からの散乱光と分離する。励
起光を厚み方向に照射する方法は、ゲルとゲル支持体で
あるガラスとの屈折率が1.4〜1.5前後と比較的近い
こと、およびゲルとゲル支持体のガラスの境界面が非常
に密着していることにより、この境界面において発生す
る散乱光は非常に少ない。したがって、A点で受光する
光は、ゲル5aの表面において発生する励起光の散乱光
も少なくなっており、ゲル5aの内部からの蛍光のみが
大きく受光される。
【0050】ところで、ゲル支持体5b,5cのいずれ
か、またはゲル支持体の双方を取り外して、ゲル5aに
対して直接に励起光としての照射光をスキャンさせる場
合には、上述のようなゲル支持体であるガラス表面から
発生する量とほぼ同じの量の散乱光がゲル表面から発生
する可能性があるが、この場合には、計測部本体7の読
み取り台(7c;図3)の載置ガラスの厚み分により、
上述したようなゲル支持体のガラスの厚み分と同様な効
果があるので、検出感度が低下することなく、ゲル面か
らの蛍光を確実に検出できる。なお、ゲル支持体5b,
5cのいずれかまたは双方を取り外した場合には、この
時点において、ゲル5aに対して色素を着色する処理な
どを行う。特に、ゲル支持体5b,5cの取り除きが必
要のない場合には、ゲル支持体5b,5cをつけたまま
の状態で、ゲル5aの読み取りを行う方が信号対雑音比
を向上させられる。
か、またはゲル支持体の双方を取り外して、ゲル5aに
対して直接に励起光としての照射光をスキャンさせる場
合には、上述のようなゲル支持体であるガラス表面から
発生する量とほぼ同じの量の散乱光がゲル表面から発生
する可能性があるが、この場合には、計測部本体7の読
み取り台(7c;図3)の載置ガラスの厚み分により、
上述したようなゲル支持体のガラスの厚み分と同様な効
果があるので、検出感度が低下することなく、ゲル面か
らの蛍光を確実に検出できる。なお、ゲル支持体5b,
5cのいずれかまたは双方を取り外した場合には、この
時点において、ゲル5aに対して色素を着色する処理な
どを行う。特に、ゲル支持体5b,5cの取り除きが必
要のない場合には、ゲル支持体5b,5cをつけたまま
の状態で、ゲル5aの読み取りを行う方が信号対雑音比
を向上させられる。
【0051】なお、ここでの集光器23の構成において
は、シリンドカルレンズ23aは、1つしか用いていな
いが、レーザビームの走査面に対称な位置や、更には試
料の反対側などにシリンドルカルレンズを載置するよう
にしてもよい。特に、検出するべき蛍光の発光量が不足
している場合には、例えば、蛍光を発生するゲルの走査
線を取り囲む4方向にシリンドルカルレンズと光ファィ
バアレイを載置し、微弱に発光する蛍光を集光すること
で検出光量を増加させるようにする。その場合には、対
向するシリンドリカルレンズの表面反射が互いに影響を
受けないように光軸をずらすなどの対処が有効である。
は、シリンドカルレンズ23aは、1つしか用いていな
いが、レーザビームの走査面に対称な位置や、更には試
料の反対側などにシリンドルカルレンズを載置するよう
にしてもよい。特に、検出するべき蛍光の発光量が不足
している場合には、例えば、蛍光を発生するゲルの走査
線を取り囲む4方向にシリンドルカルレンズと光ファィ
バアレイを載置し、微弱に発光する蛍光を集光すること
で検出光量を増加させるようにする。その場合には、対
向するシリンドリカルレンズの表面反射が互いに影響を
受けないように光軸をずらすなどの対処が有効である。
【0052】光ファイバアレイの入射口(A点)により
集光された蛍光は、第1光ファィバアレイ23bおよび
第2光ファイバアレイ23bの各々の光ファイバに導か
れて2つに分離され、各々に光ファイバが束ねられた光
出射口から、光電変換部24の第1光電変換器24Aお
よび第2光電変換器24Bの2つの光電変換器にそれぞ
れ供給される。第1光ファイバアレイ23bおよび第2
光ファイバアレイ23cは、図8に例示するように、受
光面の入射口が泳動部5における励起光のスキャンライ
ンに沿ったライン状として共通に形成され、ライン状の
光入射口から光ファイバ内部に導かれた光を均等に2つ
に分けて導出されるように、その光導出口が光ファイバ
アレイの束の各々光ファイバを交互に2つに分けて円形
に束ねられて形成されたものである。1つのライン状の
光入射口を有し、2つの円形の光出射口を有する光ファ
イバアレイ(23b,23c)の内部を導かれた蛍光
は、光電変換部24における第1光電変換器24Aおよ
び第2光電変換器24Bに入射される。すなわち、第1
光ファイバアレイ23bおよび第2光ファイバアレイ2
3cの各々の光の導出口は、光電変換部24における第
1光電変換器24Aおよび第2光電変換器24Bの光入
射口に対向して位置決めされており、光ファイバアレイ
23b,23cの各々の光導出口から導出された蛍光
は、第1光電変換器24Aおよび第2光電変換器24B
の光入射口から入射される。
集光された蛍光は、第1光ファィバアレイ23bおよび
第2光ファイバアレイ23bの各々の光ファイバに導か
れて2つに分離され、各々に光ファイバが束ねられた光
出射口から、光電変換部24の第1光電変換器24Aお
よび第2光電変換器24Bの2つの光電変換器にそれぞ
れ供給される。第1光ファイバアレイ23bおよび第2
光ファイバアレイ23cは、図8に例示するように、受
光面の入射口が泳動部5における励起光のスキャンライ
ンに沿ったライン状として共通に形成され、ライン状の
光入射口から光ファイバ内部に導かれた光を均等に2つ
に分けて導出されるように、その光導出口が光ファイバ
アレイの束の各々光ファイバを交互に2つに分けて円形
に束ねられて形成されたものである。1つのライン状の
光入射口を有し、2つの円形の光出射口を有する光ファ
イバアレイ(23b,23c)の内部を導かれた蛍光
は、光電変換部24における第1光電変換器24Aおよ
び第2光電変換器24Bに入射される。すなわち、第1
光ファイバアレイ23bおよび第2光ファイバアレイ2
3cの各々の光の導出口は、光電変換部24における第
1光電変換器24Aおよび第2光電変換器24Bの光入
射口に対向して位置決めされており、光ファイバアレイ
23b,23cの各々の光導出口から導出された蛍光
は、第1光電変換器24Aおよび第2光電変換器24B
の光入射口から入射される。
【0053】光電変換部24における光学系の構成は、
図8に示すように、集光部23の2つの光ファイバアレ
イ(23b,23c)により、泳動部5から発光する蛍
光を均等に分布するように2つに分けて、それぞれ、光
電変換部24の第1光電変換器24Aおよび第2光電変
換器24Bの光入射口から入射される。第1光電変換器
24Aは、第1レンズ24a,絞り24b,第2レンズ
24c,第1光学フィルタ24d,第3レンズ24e,
および、光電子増倍管24fから構成されている。第1
光電変換器24Aにおいては、第1レンズ24a,絞り
24b,および第2レンズ24cを用いて、集光部23
の第1光ファイバアレイ23bから入射された光の平行
光成分のみを取り出し、取り出した平行成分の光を第1
光学フィルタ24dに入射させる。第1光学フィルタ2
4dは、蛍光波長成分を通過させるバンドパスフィルタ
特性を有しており、第1光学フィルタ24dにより光の
蛍光波長成分を取り出し、第3レンズ24eで更に集光
して、光電子増倍管24fに入力して、電気信号に変換
する。
図8に示すように、集光部23の2つの光ファイバアレ
イ(23b,23c)により、泳動部5から発光する蛍
光を均等に分布するように2つに分けて、それぞれ、光
電変換部24の第1光電変換器24Aおよび第2光電変
換器24Bの光入射口から入射される。第1光電変換器
24Aは、第1レンズ24a,絞り24b,第2レンズ
24c,第1光学フィルタ24d,第3レンズ24e,
および、光電子増倍管24fから構成されている。第1
光電変換器24Aにおいては、第1レンズ24a,絞り
24b,および第2レンズ24cを用いて、集光部23
の第1光ファイバアレイ23bから入射された光の平行
光成分のみを取り出し、取り出した平行成分の光を第1
光学フィルタ24dに入射させる。第1光学フィルタ2
4dは、蛍光波長成分を通過させるバンドパスフィルタ
特性を有しており、第1光学フィルタ24dにより光の
蛍光波長成分を取り出し、第3レンズ24eで更に集光
して、光電子増倍管24fに入力して、電気信号に変換
する。
【0054】光電変換部24の第2光電変換器24B
は、第1光電変換器24Aと同様な構成となっており、
第1レンズ,絞り,第2レンズ,第2光学フィルタ24
g,第3レンズ,および、光電子増倍管24hから構成
されている。ただし、この第2光電変換器24Bの第2
光学フィルタ24gは、第1光電変換器24Aにおける
第1光学フィルタ24dとは異なり、第2光ファイバア
レイ23cにより2分割して入射された蛍光のノイズ波
長成分を通過させるバンドパスフィルタ特性を有してい
る。このため、この第2光電変換部24Bでは、第1レ
ンズ,絞り,および第2レンズを用いて取り出した光の
平行光成分から、第2光学フィルタ24gにより、受光
した蛍光のノイズ波長成分のみを取り出し、第3レンズ
で集光して光電子増倍管24hに入力して、電気信号に
変換する。
は、第1光電変換器24Aと同様な構成となっており、
第1レンズ,絞り,第2レンズ,第2光学フィルタ24
g,第3レンズ,および、光電子増倍管24hから構成
されている。ただし、この第2光電変換器24Bの第2
光学フィルタ24gは、第1光電変換器24Aにおける
第1光学フィルタ24dとは異なり、第2光ファイバア
レイ23cにより2分割して入射された蛍光のノイズ波
長成分を通過させるバンドパスフィルタ特性を有してい
る。このため、この第2光電変換部24Bでは、第1レ
ンズ,絞り,および第2レンズを用いて取り出した光の
平行光成分から、第2光学フィルタ24gにより、受光
した蛍光のノイズ波長成分のみを取り出し、第3レンズ
で集光して光電子増倍管24hに入力して、電気信号に
変換する。
【0055】このようにして、各々の第1光学フィルタ
24dおよび第2光学フィルタ24gから各々のバンド
パスフィルタ特性に従って選択的に得た蛍光波長成分お
よびノイズ波長成分の各波長成分の光は、それぞれ第3
レンズにより集光されて、それぞれに光電子増倍管24
fおよび光電子増倍管24hに導きかれ、蛍光強度成分
に対する電気信号およびノイズ成分に対する電気信号を
得る。ここで得た蛍光強度成分に対する電気信号および
ノイズ成分に対する電気信号は、次段の差分演算を行う
演算部33に入力され差分演算が行なわれ、蛍光波長成
分からノイズ波長成分が除去された検出すべき蛍光波長
のみの光強度の電気信号となる。
24dおよび第2光学フィルタ24gから各々のバンド
パスフィルタ特性に従って選択的に得た蛍光波長成分お
よびノイズ波長成分の各波長成分の光は、それぞれ第3
レンズにより集光されて、それぞれに光電子増倍管24
fおよび光電子増倍管24hに導きかれ、蛍光強度成分
に対する電気信号およびノイズ成分に対する電気信号を
得る。ここで得た蛍光強度成分に対する電気信号および
ノイズ成分に対する電気信号は、次段の差分演算を行う
演算部33に入力され差分演算が行なわれ、蛍光波長成
分からノイズ波長成分が除去された検出すべき蛍光波長
のみの光強度の電気信号となる。
【0056】図9は、差分演算を行う演算部の構成を示
す回路図である。この演算部33は信号入力段に演算増
幅器33a,33bで構成される電流−電圧変換回路が
設けられ、次段に演算増幅器33cで構成される差分回
路が備えられている。第1光電変換器24Aの光電子増
倍管24fおよび第2光電変換器24Bの光電子増倍管
24hからの電気信号は、演算増幅器33aおよび演算
増幅器33bで構成される電流−電圧変換回路でそれぞ
れに電流値から電圧値に変換された後、差分回路を構成
する演算増幅器33cに入力される。演算増幅器33c
では、入力された電圧値信号の差分演算を行い、増幅し
て出力する。なお、この差分演算を行う演算増幅器33
cの増幅度(差分演算の重み付け度)は外付け抵抗によ
り設定できる。
す回路図である。この演算部33は信号入力段に演算増
幅器33a,33bで構成される電流−電圧変換回路が
設けられ、次段に演算増幅器33cで構成される差分回
路が備えられている。第1光電変換器24Aの光電子増
倍管24fおよび第2光電変換器24Bの光電子増倍管
24hからの電気信号は、演算増幅器33aおよび演算
増幅器33bで構成される電流−電圧変換回路でそれぞ
れに電流値から電圧値に変換された後、差分回路を構成
する演算増幅器33cに入力される。演算増幅器33c
では、入力された電圧値信号の差分演算を行い、増幅し
て出力する。なお、この差分演算を行う演算増幅器33
cの増幅度(差分演算の重み付け度)は外付け抵抗によ
り設定できる。
【0057】このように、演算部33により差分演算を
行い、蛍光波長成分からノイズ波長成分を取り除いた電
気信号を得て、次の積分増幅を行う増幅器25に電気信
号を供給する。増幅器25においては、ノイズ成分を除
去した蛍光信号の微弱な信号を積分回路を含む増幅段で
十分に増幅される。
行い、蛍光波長成分からノイズ波長成分を取り除いた電
気信号を得て、次の積分増幅を行う増幅器25に電気信
号を供給する。増幅器25においては、ノイズ成分を除
去した蛍光信号の微弱な信号を積分回路を含む増幅段で
十分に増幅される。
【0058】ここで、差分演算を行うことによりノイズ
成分を除去し、検出すべき蛍光信号の微弱な信号を得る
ための光電変換部24における2つの光学フィルタ(第
1光学フィルタ24dおよび第2光学フィルタ24g)
の各々の通過波長成分のバンドパスフィルタ特性につい
て説明する。図10は蛍光物質の蛍光強度特性を示す蛍
光曲線に対して検出すべき蛍光波長を得るための各々の
光学フィルタの透過波長特性を説明するための図であ
る。図10(A)に蛍光曲線の特性図を示し、図10
(B)に第1光学フィルタの透過波長特性を示し、ま
た、図10(C)に第2光学フィルタの透過波長特性を
示している。
成分を除去し、検出すべき蛍光信号の微弱な信号を得る
ための光電変換部24における2つの光学フィルタ(第
1光学フィルタ24dおよび第2光学フィルタ24g)
の各々の通過波長成分のバンドパスフィルタ特性につい
て説明する。図10は蛍光物質の蛍光強度特性を示す蛍
光曲線に対して検出すべき蛍光波長を得るための各々の
光学フィルタの透過波長特性を説明するための図であ
る。図10(A)に蛍光曲線の特性図を示し、図10
(B)に第1光学フィルタの透過波長特性を示し、ま
た、図10(C)に第2光学フィルタの透過波長特性を
示している。
【0059】ここで、検出すベき蛍光物質の蛍光波長特
性は、励起波長532nmのレーザ光で励起した場合
に、図10(A)に示すように、600nmを中心とし
た波長特性を有している。このような特性で発光する蛍
光の存在を検出するため、蛍光波長成分を透過させて検
出する光学フィルタは、蛍光波長成分を透過させるバン
ドパスフィルタ特性を有するものであり、図10(B)
に示すように、第1光学フィルタ24dは、蛍光曲線の
ピーク値である605nmを中心としたバンドパスフィ
ルタ特性を有しているものを用いて、効率よく蛍光波長
成分を透過させて、当該検出対象の蛍光波長成分を検出
する。この場合、集光部23,光電変換部24により受
光光学経路の光軸の空間的位置関係により、励起波長成
分および散乱光などのノイズ波長成分は大部分が除去さ
れているが、微弱な蛍光を検出するためには十分なS/
N比で除去されていない。そこで、更に図10(C)に
示すように、通過波長585nmを中心としたバンドパ
スフィルタ特性を有している第2光学フィルタ24gを
用いて、同じく第1光学フィルタ24dを通過させる検
出蛍光からノイズ波長成分を検出する。
性は、励起波長532nmのレーザ光で励起した場合
に、図10(A)に示すように、600nmを中心とし
た波長特性を有している。このような特性で発光する蛍
光の存在を検出するため、蛍光波長成分を透過させて検
出する光学フィルタは、蛍光波長成分を透過させるバン
ドパスフィルタ特性を有するものであり、図10(B)
に示すように、第1光学フィルタ24dは、蛍光曲線の
ピーク値である605nmを中心としたバンドパスフィ
ルタ特性を有しているものを用いて、効率よく蛍光波長
成分を透過させて、当該検出対象の蛍光波長成分を検出
する。この場合、集光部23,光電変換部24により受
光光学経路の光軸の空間的位置関係により、励起波長成
分および散乱光などのノイズ波長成分は大部分が除去さ
れているが、微弱な蛍光を検出するためには十分なS/
N比で除去されていない。そこで、更に図10(C)に
示すように、通過波長585nmを中心としたバンドパ
スフィルタ特性を有している第2光学フィルタ24gを
用いて、同じく第1光学フィルタ24dを通過させる検
出蛍光からノイズ波長成分を検出する。
【0060】すなわち、第2光学フィルタ24gは、図
10(C)に示すように、透過波長585nmを中心と
したバンドパス特性を有している。検出すべき蛍光の蛍
光曲線の特性は、図10(A)に示すように、585n
m付近では、蛍光のピーク波長からはずれているため、
第2光学フィルタ24gの透過光に対する蛍光波長成分
とバックグラウンドノイズ成分との比率は、バックグラ
ウンドノイズ成分が大半を占めることになる。つまり、
第2光学フィルタ24gの透過光からは、ノイズの波長
成分を得ることができる。このように、ノイズ成分用の
光学フィルタは、励起波長より長波長側から蛍光曲線の
ピーク波長より短波長側の間の適当な透過波長特性を有
する光学フィルタが存在するので、このような透過波長
特性を有する光学フィルタを選択して用いる。
10(C)に示すように、透過波長585nmを中心と
したバンドパス特性を有している。検出すべき蛍光の蛍
光曲線の特性は、図10(A)に示すように、585n
m付近では、蛍光のピーク波長からはずれているため、
第2光学フィルタ24gの透過光に対する蛍光波長成分
とバックグラウンドノイズ成分との比率は、バックグラ
ウンドノイズ成分が大半を占めることになる。つまり、
第2光学フィルタ24gの透過光からは、ノイズの波長
成分を得ることができる。このように、ノイズ成分用の
光学フィルタは、励起波長より長波長側から蛍光曲線の
ピーク波長より短波長側の間の適当な透過波長特性を有
する光学フィルタが存在するので、このような透過波長
特性を有する光学フィルタを選択して用いる。
【0061】また、蛍光波長成分を透過させる第1光学
フィルタ24dは、図10(B)に示すように、蛍光曲
線のピーク値である605nmを中心としたバンドパス
フィルタ特性を有しているため、効率よく蛍光波長成分
を透過する。第1光学フィルタ24dの透過光の対する
蛍光波長成分とノイズ波長成分の比率は、蛍光波長成分
が大半を占める。つまり、第1光学フィルタ24dの透
過光からは蛍光波長成分を得ることができる。
フィルタ24dは、図10(B)に示すように、蛍光曲
線のピーク値である605nmを中心としたバンドパス
フィルタ特性を有しているため、効率よく蛍光波長成分
を透過する。第1光学フィルタ24dの透過光の対する
蛍光波長成分とノイズ波長成分の比率は、蛍光波長成分
が大半を占める。つまり、第1光学フィルタ24dの透
過光からは蛍光波長成分を得ることができる。
【0062】このようにして、第1光学フィルタ24d
および第2光学フィルタ24gから各々のバンドパスフ
ィルタ特性に従って選択的に得た蛍光の各波長成分の光
は、それぞれ第3レンズにより集光されて、光電子増倍
管24fおよび光電子増倍管24hに導き、蛍光強度成
分に対する電気信号およびノイズ成分に対する電気信号
を得る。このようにして得られた各々の電気信号は、前
述したように、差分演算を行う演算部33に加えられ
て、差分演算が行なわれ、蛍光波長成分からノイズ成分
を取り除いた電気信号を得て、次の積分増幅を行う増幅
器25に電気信号を供給する。増幅器25においては、
ノイズ成分を除去した蛍光信号の微弱な信号を積分回路
を含む増幅段で十分に増幅される。
および第2光学フィルタ24gから各々のバンドパスフ
ィルタ特性に従って選択的に得た蛍光の各波長成分の光
は、それぞれ第3レンズにより集光されて、光電子増倍
管24fおよび光電子増倍管24hに導き、蛍光強度成
分に対する電気信号およびノイズ成分に対する電気信号
を得る。このようにして得られた各々の電気信号は、前
述したように、差分演算を行う演算部33に加えられ
て、差分演算が行なわれ、蛍光波長成分からノイズ成分
を取り除いた電気信号を得て、次の積分増幅を行う増幅
器25に電気信号を供給する。増幅器25においては、
ノイズ成分を除去した蛍光信号の微弱な信号を積分回路
を含む増幅段で十分に増幅される。
【0063】図11は、積分回路を含む増幅器25の構
成を示す回路図である。ここでの増幅器25には、図1
1に示すように、前段に演算増幅器25aで構成される
積分回路が設けられ、次段に演算増幅器25bで構成さ
れる出力増幅回路が備えられて、積分増幅段を構成して
いる。差分演算を行った演算部33の演算増幅器33c
からの電気信号は、入力段の演算増幅器25aに入力さ
れる。この入力段の演算増幅器25aは、負帰還回路に
コンデンサ25cおよび積分動作を制御するスイッチ2
5dを備えて積分回路を構成している。この積分回路か
らの出力は、後続する演算増幅器25bに入力され、外
付抵抗で決まるゲインでの増幅を行い、次に続くアナロ
グ・デジタル変換回路26に送られる。
成を示す回路図である。ここでの増幅器25には、図1
1に示すように、前段に演算増幅器25aで構成される
積分回路が設けられ、次段に演算増幅器25bで構成さ
れる出力増幅回路が備えられて、積分増幅段を構成して
いる。差分演算を行った演算部33の演算増幅器33c
からの電気信号は、入力段の演算増幅器25aに入力さ
れる。この入力段の演算増幅器25aは、負帰還回路に
コンデンサ25cおよび積分動作を制御するスイッチ2
5dを備えて積分回路を構成している。この積分回路か
らの出力は、後続する演算増幅器25bに入力され、外
付抵抗で決まるゲインでの増幅を行い、次に続くアナロ
グ・デジタル変換回路26に送られる。
【0064】このように構成される積分回路を含む増幅
器25における動作を、図12のタイミングチャートを
参照して説明する。演算増幅器25aには、FET(電
界効果トランジスタ)入力型の高入力インピーダンスの
ものが用いられており、スイッチ25dがオフ状態にな
っていると、差分回路の演算増幅器33cからの出力電
流は、そのまま全部がコンデンサ25cを流れる電流と
なる。この電流による電荷がコンデンサに蓄積されて積
分が行なわれる。これにより演算増幅器25aの出力電
圧は、図12に示すように、ランプ関数状の出力とな
る。ここでの積分動作では、1画素に相当する時間だけ
積分し、アナログ・デジタル変換回路26内にある標本
化回路がS/Hクロックのタイミングに合せてサンプリ
ングして、そのままホールドし、次に続くアナログ・デ
ジタル変換回路26においてデジタル信号に変換する。
ホールドされた後は、スイッチ25dに加えるC/D制
御信号であるC/Dクロックをアクティブにすることに
より、コンデンサ25cに蓄積した電荷を放電する。以
下、同様にして、このような1画素に相当する時間だけ
の積分動作を繰り返す。
器25における動作を、図12のタイミングチャートを
参照して説明する。演算増幅器25aには、FET(電
界効果トランジスタ)入力型の高入力インピーダンスの
ものが用いられており、スイッチ25dがオフ状態にな
っていると、差分回路の演算増幅器33cからの出力電
流は、そのまま全部がコンデンサ25cを流れる電流と
なる。この電流による電荷がコンデンサに蓄積されて積
分が行なわれる。これにより演算増幅器25aの出力電
圧は、図12に示すように、ランプ関数状の出力とな
る。ここでの積分動作では、1画素に相当する時間だけ
積分し、アナログ・デジタル変換回路26内にある標本
化回路がS/Hクロックのタイミングに合せてサンプリ
ングして、そのままホールドし、次に続くアナログ・デ
ジタル変換回路26においてデジタル信号に変換する。
ホールドされた後は、スイッチ25dに加えるC/D制
御信号であるC/Dクロックをアクティブにすることに
より、コンデンサ25cに蓄積した電荷を放電する。以
下、同様にして、このような1画素に相当する時間だけ
の積分動作を繰り返す。
【0065】このような演算増幅器による積分回路を用
いる増幅段は、抵抗とコンデンサのみからなる疑似的な
積分回路でも利用可能である。ただし、上述のような演
算増幅器による積分回路では、演算部33の差分回路を
構成している演算増幅器33cからの電気信号をほぼ完
全に積分することができ、高い信号対雑音比を得ること
ができる。また、積分時間についても、スイッチ25d
に対するC/D制御信号のC/Dクロックを変えること
で任意に変えることができる。このため、総合的に微弱
な信号を増幅する増幅度の調整が容易に行える。ここで
の実施例の場合には、図4に示したミラードライバ30
による励起光のスキャン動作と同期させることにより、
試料の蛍光パターン検出のための蛍光検出を行う面積の
大きさに合せて制御することが可能であり、読み取りの
無駄時間をなくすことができる。また、試料からの蛍光
の強度に合せて、励起光のスキャン速度と受光側の増幅
器の積分時間を自由に設定できるため、非常にフレキシ
ブルに検出感度を調整できる装置を構成することができ
る。また、この他にコンデンサおよび抵抗のみで積分動
作を行う場合は、照射光の走査速度に対応した時定数と
なるように、コンデンサの容量値または抵抗の値を切換
えられるように構成することで、疑似的に実現すること
で可能である。
いる増幅段は、抵抗とコンデンサのみからなる疑似的な
積分回路でも利用可能である。ただし、上述のような演
算増幅器による積分回路では、演算部33の差分回路を
構成している演算増幅器33cからの電気信号をほぼ完
全に積分することができ、高い信号対雑音比を得ること
ができる。また、積分時間についても、スイッチ25d
に対するC/D制御信号のC/Dクロックを変えること
で任意に変えることができる。このため、総合的に微弱
な信号を増幅する増幅度の調整が容易に行える。ここで
の実施例の場合には、図4に示したミラードライバ30
による励起光のスキャン動作と同期させることにより、
試料の蛍光パターン検出のための蛍光検出を行う面積の
大きさに合せて制御することが可能であり、読み取りの
無駄時間をなくすことができる。また、試料からの蛍光
の強度に合せて、励起光のスキャン速度と受光側の増幅
器の積分時間を自由に設定できるため、非常にフレキシ
ブルに検出感度を調整できる装置を構成することができ
る。また、この他にコンデンサおよび抵抗のみで積分動
作を行う場合は、照射光の走査速度に対応した時定数と
なるように、コンデンサの容量値または抵抗の値を切換
えられるように構成することで、疑似的に実現すること
で可能である。
【0066】なお、増幅器25(図2)で増幅された電
気信号は、次のアナログ・デジタル変換回路26に入力
されて、デジタルデータに変換される。デジタルデータ
に変換された蛍光検出信号は、メモリ28に記憶され、
メモリ28に記憶されたデータがインタフェース回路2
9を通してデータ処理装置8に送られる。このような一
連の信号処理の全体の制御は、制御回路27が行う。
気信号は、次のアナログ・デジタル変換回路26に入力
されて、デジタルデータに変換される。デジタルデータ
に変換された蛍光検出信号は、メモリ28に記憶され、
メモリ28に記憶されたデータがインタフェース回路2
9を通してデータ処理装置8に送られる。このような一
連の信号処理の全体の制御は、制御回路27が行う。
【0067】次に、本実施例の蛍光パターン読み取り装
置における装置構成要素の変形例について説明する。演
算部33を構成する差分演算回路の変形例の1つとし
て、差分演算をディジタル信号で行う場合の装置構成例
を説明する。図13は本実施例の蛍光パターン読み取り
装置の計測部本体の第2の実施例の構成を示すブロック
図である。図13に示す第2の実施例の計測部本体の構
成は、基本的な装置構成要素は、図2に示した計測部本
体の構成と同様なものであるが、ここでの構成では、光
電変換部(24A,24B),増幅器(25A,25
B),およびアナログ・デジタル変換回路(26A,2
6B)の信号処理系統をそれぞれ2系統備えており、1
つの信号系統で蛍光波長成分の蛍光パターン信号の検出
を行い、他の信号系統でノイズ波長成分の蛍光パターン
信号の検出を行う。これらの2つの信号系統はそれぞれ
独立して調整できるので、光学フィルタおよび光学経路
などの特性に合せて各々の波長成分の検出のための信号
系を調整できる。
置における装置構成要素の変形例について説明する。演
算部33を構成する差分演算回路の変形例の1つとし
て、差分演算をディジタル信号で行う場合の装置構成例
を説明する。図13は本実施例の蛍光パターン読み取り
装置の計測部本体の第2の実施例の構成を示すブロック
図である。図13に示す第2の実施例の計測部本体の構
成は、基本的な装置構成要素は、図2に示した計測部本
体の構成と同様なものであるが、ここでの構成では、光
電変換部(24A,24B),増幅器(25A,25
B),およびアナログ・デジタル変換回路(26A,2
6B)の信号処理系統をそれぞれ2系統備えており、1
つの信号系統で蛍光波長成分の蛍光パターン信号の検出
を行い、他の信号系統でノイズ波長成分の蛍光パターン
信号の検出を行う。これらの2つの信号系統はそれぞれ
独立して調整できるので、光学フィルタおよび光学経路
などの特性に合せて各々の波長成分の検出のための信号
系を調整できる。
【0068】すなわち、集光部23において2つに分け
て集光された蛍光信号は、光電変換部24の第1光電変
換器24Aおよび第2光電変換器24Bで蛍光波長成分
とノイズ波長成分に分けて電気信号に変換され、これら
2つの電気信号は第1増幅器25Aおよび第2増幅器2
5Bでそれぞれ積分増幅された後、第1アナログ・デジ
タル変換回路26Aおよび第2アナログ・デジタル変換
回路26Bによりそれぞれにデジタル信号に変換され
る。デジタル信号に変換された蛍光波長成分のデータお
よびノイズ波長成分のデータは、デジタル差分演算部3
4に入力される。デジタル差分演算部34は、例えばデ
ジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)などのデジタ
ル演算素子を用いて蛍光波長成分のデジタル信号データ
とノイズ波長成分のデジタル信号データの差分演算を行
う演算回路であり、デジタル信号で演算を行うために、
回路等のノイズを排除した処理を行うことができる。
て集光された蛍光信号は、光電変換部24の第1光電変
換器24Aおよび第2光電変換器24Bで蛍光波長成分
とノイズ波長成分に分けて電気信号に変換され、これら
2つの電気信号は第1増幅器25Aおよび第2増幅器2
5Bでそれぞれ積分増幅された後、第1アナログ・デジ
タル変換回路26Aおよび第2アナログ・デジタル変換
回路26Bによりそれぞれにデジタル信号に変換され
る。デジタル信号に変換された蛍光波長成分のデータお
よびノイズ波長成分のデータは、デジタル差分演算部3
4に入力される。デジタル差分演算部34は、例えばデ
ジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)などのデジタ
ル演算素子を用いて蛍光波長成分のデジタル信号データ
とノイズ波長成分のデジタル信号データの差分演算を行
う演算回路であり、デジタル信号で演算を行うために、
回路等のノイズを排除した処理を行うことができる。
【0069】先に説明した実施例では、集光器および光
電変換器を2系統設けて、それぞれの集光器および光電
変換器により、蛍光波長成分とノイズ成分とに分離する
構成としているが、同様の機能を2枚の光学フィルタと
2つの光電変換器により実現することができる。この場
合の光電変換部の変形例を次に説明すると、前述した光
電変換部24では、図8に示すように、それぞれ異なる
透過波長特性を有する光学フィルタを備えた第1光電変
換器24Aおよび第2光電変換器24Bの2系統の光電
変換器を有するものであったが、ここでの変形例の光電
変換部36は、光学フィルタの入射角度依存特性を用い
て、蛍光波長成分とノイズ波長成分とを分離して、各々
の波長成分の電気信号を得るようにしている。
電変換器を2系統設けて、それぞれの集光器および光電
変換器により、蛍光波長成分とノイズ成分とに分離する
構成としているが、同様の機能を2枚の光学フィルタと
2つの光電変換器により実現することができる。この場
合の光電変換部の変形例を次に説明すると、前述した光
電変換部24では、図8に示すように、それぞれ異なる
透過波長特性を有する光学フィルタを備えた第1光電変
換器24Aおよび第2光電変換器24Bの2系統の光電
変換器を有するものであったが、ここでの変形例の光電
変換部36は、光学フィルタの入射角度依存特性を用い
て、蛍光波長成分とノイズ波長成分とを分離して、各々
の波長成分の電気信号を得るようにしている。
【0070】光電変換部36は、図14に示すように、
第1レンズ36a,絞り36b,第2レンズ36c,第
1光学フィルタ36d,第3レンズ36e,第1光電子
増倍管36f,第2光学フィルタ36g,第4レンズ3
6h,および第2光電子増倍管36iから構成されてお
り、集光部23の1つの光ファイバアレイ23bにより
集光された蛍光を入射口より入射させて、蛍光波長成分
およびノイズ波長成分に対する各々の蛍光の電気信号へ
の変換を行う。ここでの第1光学フィルタ36dは、入
力側で入射する光に対して透過光以下の波長を反射する
特性を有するように設計されている光学フィルタを用
い、光の進行方向に対して直角でなく、約20度傾けて
配置されている。これにより、第1光学フィルタ36d
は、入力側から入射する光に対して透過光以下の波長を
反射するので、蛍光波長成分の光は第1光学フィルタ3
6dを透過して、第3レンズ36eを介して第1光電子
増倍管36fに入射され、第1光電子増倍管36fで電
気信号に変換される。
第1レンズ36a,絞り36b,第2レンズ36c,第
1光学フィルタ36d,第3レンズ36e,第1光電子
増倍管36f,第2光学フィルタ36g,第4レンズ3
6h,および第2光電子増倍管36iから構成されてお
り、集光部23の1つの光ファイバアレイ23bにより
集光された蛍光を入射口より入射させて、蛍光波長成分
およびノイズ波長成分に対する各々の蛍光の電気信号へ
の変換を行う。ここでの第1光学フィルタ36dは、入
力側で入射する光に対して透過光以下の波長を反射する
特性を有するように設計されている光学フィルタを用
い、光の進行方向に対して直角でなく、約20度傾けて
配置されている。これにより、第1光学フィルタ36d
は、入力側から入射する光に対して透過光以下の波長を
反射するので、蛍光波長成分の光は第1光学フィルタ3
6dを透過して、第3レンズ36eを介して第1光電子
増倍管36fに入射され、第1光電子増倍管36fで電
気信号に変換される。
【0071】また、第1光学フィルタ36dの透過波長
の蛍光波長成分より短波長側の波長成分であるノイズ波
長成分は、第1光学フィルタ36dの入射面で反射され
て第2光学フィルタ36gに入射されるので、この第2
光学フィルタ36gにより、ノイズ波長成分の蛍光を選
択的に透過させて、第4レンズ36hを介して第2光電
子増倍管36iに入射させ、第2光電子増倍管36iで
検出する蛍光に対するバックグラウンドノイズ波長成分
の電気信号に変換される。
の蛍光波長成分より短波長側の波長成分であるノイズ波
長成分は、第1光学フィルタ36dの入射面で反射され
て第2光学フィルタ36gに入射されるので、この第2
光学フィルタ36gにより、ノイズ波長成分の蛍光を選
択的に透過させて、第4レンズ36hを介して第2光電
子増倍管36iに入射させ、第2光電子増倍管36iで
検出する蛍光に対するバックグラウンドノイズ波長成分
の電気信号に変換される。
【0072】また、第1光学フィルタ36dの配置位置
に代わりにビームスプリッタを配設して入力光を均等に
2分割した後、分割した光をそれぞれ別の位置に配設し
た第1光学フィルタ36dおよび第2光学フィルタ36
gの各々のフィルタ面に対して垂直に入射するような構
成としてもよい。この場合、第1光学フィルタ36dは
蛍光波長を透過する特性を有し、第2光学フィルタ36
gはノイズ波長を透過する特性を有するものを用いる。
このようにして、光学フィルタを透過した光をそれぞれ
レンズを介して光電子増倍管に入射して、蛍光波長成分
の電気信号とノイス成分の電気信号を得るようにしても
よい。
に代わりにビームスプリッタを配設して入力光を均等に
2分割した後、分割した光をそれぞれ別の位置に配設し
た第1光学フィルタ36dおよび第2光学フィルタ36
gの各々のフィルタ面に対して垂直に入射するような構
成としてもよい。この場合、第1光学フィルタ36dは
蛍光波長を透過する特性を有し、第2光学フィルタ36
gはノイズ波長を透過する特性を有するものを用いる。
このようにして、光学フィルタを透過した光をそれぞれ
レンズを介して光電子増倍管に入射して、蛍光波長成分
の電気信号とノイス成分の電気信号を得るようにしても
よい。
【0073】以上、本発明を実施例にもとづき具体的に
説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるもので
はなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可
能であることは言うまでもない。
説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるもので
はなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可
能であることは言うまでもない。
【0074】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明の蛍光パ
ターン読み取り方法によれば、泳動パターンの蛍光物質
が発光する蛍光波長成分とノイズ波長成分との差分がと
られて、蛍光パターンの読み取り出力が得られるので、
読み取りのノイズ成分をキャンセルすることができる。
また、蛍光波長成分からノイズ波長成分をキャンセルす
るため、泳動部のゲルに入り込んだ空気の泡や薄膜フイ
ルタの表面のノイズの影響を受けずに蛍光パターンの読
み取りができる。更には、バックグラウンド成分の信号
を低減できるので、S/N比を向上させることができ、
感度よく電気泳動したゲルや、薄膜フィルタの蛍光パタ
ーンを読み取ることができる。
ターン読み取り方法によれば、泳動パターンの蛍光物質
が発光する蛍光波長成分とノイズ波長成分との差分がと
られて、蛍光パターンの読み取り出力が得られるので、
読み取りのノイズ成分をキャンセルすることができる。
また、蛍光波長成分からノイズ波長成分をキャンセルす
るため、泳動部のゲルに入り込んだ空気の泡や薄膜フイ
ルタの表面のノイズの影響を受けずに蛍光パターンの読
み取りができる。更には、バックグラウンド成分の信号
を低減できるので、S/N比を向上させることができ、
感度よく電気泳動したゲルや、薄膜フィルタの蛍光パタ
ーンを読み取ることができる。
【図1】図1は本発明の一実施例にかかる蛍光パターン
読み取り装置の全体の構成を説明する概略構成図、
読み取り装置の全体の構成を説明する概略構成図、
【図2】図2は計測部本体の要部の構成を示すブロック
図、
図、
【図3】図3は計測部本体に装着する泳動部ユニットの
装着位置を説明する図、
装着位置を説明する図、
【図4】図4は振動ミラーを用いてゲル面をレーザビー
ムでスキャンする光走査機構を説明する図、
ムでスキャンする光走査機構を説明する図、
【図5】図5は振動ミラーの回転角とレーザビームのス
ポット光の移動距離の関係を説明する図、
ポット光の移動距離の関係を説明する図、
【図6】図6は振動ミラーを回転駆動制御するミラード
ライバの制御回路の要部構成を示すブロック図、
ライバの制御回路の要部構成を示すブロック図、
【図7】図7は集光器の光学系の詳細な構成を示す図、
【図8】図8は光電変換部の光学系の詳細な構成を示す
図、
図、
【図9】図9は差分演算を行う演算部の詳細な構成を示
す図、
す図、
【図10】図10は蛍光物質の蛍光強度特性を示す蛍光
曲線に対して検出すべき蛍光波長を得るための各々の光
学フィルタの透過波長特性を説明するための図、
曲線に対して検出すべき蛍光波長を得るための各々の光
学フィルタの透過波長特性を説明するための図、
【図11】図11は積分回路を含む増幅器の回路構成を
示す回路図、
示す回路図、
【図12】図12は増幅器の読み取り動作のタイミング
を示すタイムチャート、
を示すタイムチャート、
【図13】図13は第2の実施例にかかる計測部本体の
要部の構成を示すブロック図、
要部の構成を示すブロック図、
【図14】図131は第2の実施例にかかる光電変換部
の光学系の詳細な構成を示す図、
の光学系の詳細な構成を示す図、
【図15】図15は従来の蛍光式電気泳動装置の外観を
示す斜視図、
示す斜視図、
【図16】図16は泳動計測装置の内部の構成を示すブ
ロック図、
ロック図、
【図17】図17(A)および図17(B)はそれぞれ
蛍光法による電気泳動パターン検出の動作原理を示す泳
動部の正面図および縦断面図、
蛍光法による電気泳動パターン検出の動作原理を示す泳
動部の正面図および縦断面図、
【図18】図18(A)および図18(B)は泳動計測
装置から送出されるDNA断片の蛍光強度パターン信号
の例を説明する図、
装置から送出されるDNA断片の蛍光強度パターン信号
の例を説明する図、
【図19】図19は電気泳動を行ったDNA断片の分布
例を示す図である。
例を示す図である。
1 電気泳動ユニット 2a 第1電極 2b 第2電極 3 支持板 4 電気泳動用電源装置 5 泳動部ユニット(泳動部) 6 読み取りユニット 7 計測部本体 8 データ処理装置 9 イメージプリンタ 10 制御回路 11 光源 12 光ファイバ 13 蛍光 14 集光器 15 光学フィルタ 16 光センサ 17 増幅器 18 アナログ・ディジタル変換回路 19 信号処理部 20 インタフェース 21 光源 22 振動ミラー 23 集光器 24 光電変換部 25 増幅器 26 アナログ・ディジタル変換回路 27 制御回路 28 記憶回路 29 インタフェース 30 ミラードライバ 31 レーザビーム 32 光トラップ 33 演算部 34 ディジタル差分演算部 36 光電変換部 51 泳動計測装置 51a 扉 51b 操作パネル 52 データ処理装置 53 ケーブル 54 計算機本体 55 キーボード 56 ディスプレイ 57 プリンタ 63 電気泳動部装置 64 信号処理装置 61 光路 62 走査線 66 バンド 71,72,73,74 レーン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 湯田 耕治 神奈川県横浜市中区尾上町6丁目81番地 日立ソフトウエアエンジニアリング株式会 社内 (72)発明者 藤宮 仁 神奈川県横浜市中区尾上町6丁目81番地 日立ソフトウエアエンジニアリング株式会 社内 (72)発明者 奈須 永典 神奈川県横浜市中区尾上町6丁目81番地 日立ソフトウエアエンジニアリング株式会 社内
Claims (6)
- 【請求項1】 試料に電気泳動を行い、展開した泳動パ
ターンに対して、試料を標識している蛍光物質を励起し
て蛍光を発光させ、発光した蛍光パターンを2種類の波
長特性で読み取り、各波長特性での蛍光パターンデータ
を得た後、線形演算法で2種類の蛍光パターンデータ間
の差分演算を行い、読み取りノイズをキャンセルした蛍
光パターンデータを得ることを特徴とする蛍光パターン
読み取り方法。 - 【請求項2】 請求項1に記載の蛍光パターン読み取り
方法において、2種類の波長特性の1つは、読み取り蛍
光パターンの蛍光波長の波長特性であり、他の1つは、
前記蛍光波長の波長特性よりも励起波長側に近い波長特
性であることを特徴とする蛍光パターン読み取り方法。 - 【請求項3】 請求項1に記載の蛍光パターン読み取り
方法を用いる蛍光パターン読み取り装置であって、泳動
パターンの蛍光物質を励起させる照射光を発光する光源
と、光源からの照射光を走査してゲルの厚み方向に照射
する光照射機構と、照射光の光軸とは異なる方向に受光
面を設定して受光経路の空間的位置関係により泳動パタ
ーンからの蛍光を読み取り面の散乱光から分離して受光
する受光部と、受光部で受光した蛍光を2つの波長特性
で分離する光学フィルタ部と、光学フィルタ部で分離し
た2つの波長成分の蛍光のそれぞれの光電変換を行って
電気信号を出力する光電変換部と、光電変換部からの電
気信号に対して照射光の走査と対応して積分動作を行っ
て増幅し順次に泳動パターンから蛍光の電気信号を出力
する増幅器と、蛍光の2つの波長成分の電気信号の差分
を取る演算部とを備えることを特徴とする電気泳動パタ
ーン読み取り装置。 - 【請求項4】 光学フィルタ部は、受光部で受光した蛍
光の光信号を2つに分割し、分割した光信号を蛍光波長
の波長特性と該蛍光波長よりも励起波長側に近い波長特
性と有する光学フィルタにそれぞれ通して蛍光波長成分
と、ノイズ成分とに分離することを特徴とする請求項3
に記載の蛍光パターン読み取り装置。 - 【請求項5】 蛍光の2つの波長成分は蛍光波長成分と
ノイズ成分であり、演算部は、光電変換部で変換した蛍
光成分の電気信号とノイズ成分の電気信号とをアナログ
信号のまま差分をとることを特徴とする請求項3に記載
の蛍光パターン読み取り装置。 - 【請求項6】 蛍光の2つの波長成分は蛍光波長成分と
ノイズ成分であり、演算部は、光電変換部で変換した蛍
光成分の電気信号とノイズ成分の電気信号とを各々にア
ナログ・ディジタル変換して、各成分の信号データを得
た後、蛍光成分データと、ノイズ成分データとを線形演
算法を用いて差分をとることを特徴とする請求項3に記
載の蛍光パターン読み取り装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3240247A JP2516115B2 (ja) | 1991-08-28 | 1991-08-28 | 蛍光パタ―ン読み取り装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3240247A JP2516115B2 (ja) | 1991-08-28 | 1991-08-28 | 蛍光パタ―ン読み取り装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0552809A true JPH0552809A (ja) | 1993-03-02 |
JP2516115B2 JP2516115B2 (ja) | 1996-07-10 |
Family
ID=17056651
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3240247A Expired - Fee Related JP2516115B2 (ja) | 1991-08-28 | 1991-08-28 | 蛍光パタ―ン読み取り装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2516115B2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2001077679A1 (fr) * | 2000-04-12 | 2001-10-18 | Hamamatsu Photonics K.K. | Methode de mesure pour bandelette de test immuno-chromatographique |
EP1602916A1 (en) * | 2003-02-26 | 2005-12-07 | Hamamatsu Photonics K. K. | Device for measuring immunochromatography test piece |
CN112513618A (zh) * | 2018-08-02 | 2021-03-16 | 株式会社日立高新技术 | 生物聚合物分析方法及生物聚合物分析装置 |
WO2024199360A1 (zh) * | 2023-03-28 | 2024-10-03 | 赛默飞世尔(上海)仪器有限公司 | 用于信号采集的方法和设备 |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4407423B2 (ja) | 2004-08-13 | 2010-02-03 | 株式会社ニコン | レーザー顕微鏡 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS63263458A (ja) * | 1987-04-21 | 1988-10-31 | Shimadzu Corp | 塩基配列決定装置 |
-
1991
- 1991-08-28 JP JP3240247A patent/JP2516115B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS63263458A (ja) * | 1987-04-21 | 1988-10-31 | Shimadzu Corp | 塩基配列決定装置 |
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2001077679A1 (fr) * | 2000-04-12 | 2001-10-18 | Hamamatsu Photonics K.K. | Methode de mesure pour bandelette de test immuno-chromatographique |
EP1275964A1 (en) * | 2000-04-12 | 2003-01-15 | Hamamatsu Photonics K.K. | Measuring method for immunochromatographic test strip |
EP1275964A4 (en) * | 2000-04-12 | 2003-06-04 | Hamamatsu Photonics Kk | Measurement procedure for an immunochromatographic test strip |
US6819422B2 (en) | 2000-04-12 | 2004-11-16 | Hamamatsu Photonics K.K. | Measuring method for immunochromatographic test strip |
EP1602916A1 (en) * | 2003-02-26 | 2005-12-07 | Hamamatsu Photonics K. K. | Device for measuring immunochromatography test piece |
EP1602916A4 (en) * | 2003-02-26 | 2011-04-27 | Hamamatsu Photonics Kk | IMMUNOCHROMATOGRAPHIC TEST MEASURING DEVICE |
CN112513618A (zh) * | 2018-08-02 | 2021-03-16 | 株式会社日立高新技术 | 生物聚合物分析方法及生物聚合物分析装置 |
CN112513618B (zh) * | 2018-08-02 | 2024-03-12 | 株式会社日立高新技术 | 生物聚合物分析方法及生物聚合物分析装置 |
WO2024199360A1 (zh) * | 2023-03-28 | 2024-10-03 | 赛默飞世尔(上海)仪器有限公司 | 用于信号采集的方法和设备 |
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---|---|
JP2516115B2 (ja) | 1996-07-10 |
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