JPH055096Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の目的］ 〈産業上の利用分野〉 本考案は、車輌の衝突に際して乗員の移動を拘
束する装置を作動させるために用いられる減速度
センサの取付け構造に関する。

〈従来の技術〉 衝突時に乗員を保護するためのエアバツク装
置、あるいはシートベルトプリローダ装置などの
乗員拘束装置に対して起動信号を与えるために、
衝突時に車輌に作用する減速度を、慣性マスの変
位により検知するセンサが一般的に用いられてい
る。この減速度センサを取付けるに際して最適な
位置としては、以下のような条件が挙げられる。

Ａ 車体に作用する減速度を高精度、かつ高感度
に検知し得ること。

Ｂ 乗員拘束装置の作動部の位置にできるだけ近
接していること。

Ｃ 周囲環境が良好なこと。

上記Ａ項を満足するセンサの取付位置として
は、フロントサイドメンバなど剛性部材のバンパ
に近接した部位が挙げられ、上記Ｂ・Ｃ項を満足
する位置としては、車室内が最も適しているもの
と考えられる。

〈考案が解決しようとする問題点〉 しかるに、車体は、車室内に達する以前に衝突
衝撃を幾分か吸収し得るように設計されることが
通例であり、減速度センサを車室内に設置するこ
とは、衝突衝撃を高感度にて検知するうえに必ず
しも最適とは言い難い。反面、フロントサイドメ
ンバなど車体フレームは、塵埃や水滴などが付着
し易く、また作動装置への配線の取回しが厄介と
なりがちである。

本考案は、このような事情に鑑みなされたもの
であり、その主な目的は、上記した条件を満足す
ることのできる減速度センサの取付け構造を提供
することにある。

［考案の構成］ 〈問題点を解決するための手段〉 このような目的は、本考案によれば、車輌の減
速を検知するための減速度センサの車体に対する
取付け構造であつて、中空をなし車体前後方向に
延在するフロントサイドメンバの後端面とダツシ
ユボードパネルとが接合する部分に於ける前記ダ
ツシユボードパネルに、前記フロントサイドメン
バの内側空間に連通するように開口を開設し、該
開口を介して前記フロントサイドメンバ内に突入
するように前記ダツシユボードパネルに当該減速
度センサを固着することを特徴とする減速度セン
サの取付け構造を提供することによつて達成され
る。特に、当該減速度センサの前記フロントサイ
ドメンバ内に突入する部分を、当該減速度センサ
に形成された取付けフランジと前記ダツシユボー
ドパネルとの間に挟持されるフランジ部を有する
保護カバーにて覆うものとすると良い。

〈作用〉 このようにすれば、車体前側の主要な剛性部材
であるフロントサイドメンバに加わる衝突衝撃を
早期に感知することができる。しかも、フロント
サイドメンバ内側の閉鎖空間内に車室内から減速
度センサを取付けることにより、減速度センサが
車室内に突出することを防止することができ、ま
た、保護カバーにより、雨水の侵入などから減速
度センサを保護し、かつ機械的強度を増大させる
ことができる。

〈実施例〉 以下に添付の図面を参照して本考案を特定の実
施例について詳細に説明する。

第１図は、本考案が適用された車体構造を概念
的に示している。この車体１は、プレス成形され
た部材を溶接接合してなるモノコツク構造を採つ
ており、ホイールハウス上を前後方向に沿うよう
にして、フロントサイドメンバ２がエンジンルー
ム３内に延在している。このフロントサイドメン
バ２は、箱状をなす閉断面構造とされている。

フロントサイドメンバ２の後端面は、エンジン
ルーム３と車室４とを隔絶するように設けられた
ダツシユボードパネル５に接合されている。

第２図に併せて示すように、ダツシユボードパ
ネル５のフロントサイドメンバ２に接合する部分
には、フロントサイドメンバ２内に連通する開口
６が開設されている。そしてこの開口６を閉塞す
るようにして、減速度センサ７を一方の面に固着
してなるプレート８が、減速度センサ７を外囲す
る保護カツプ９のフランジ部９ａを挟持した上で
車室４側からボルト止めされている。

減速度センサ７は、プレート８のフロントサイ
ドメンバ２との対向面に固着されている。これに
より、減速度センサ７はフロントサイドメンバ２
内に突入し、車室内への突出量が最低限に抑制さ
れる。

また、保護カツプ９は、減速度センサ７を完全
に密封し、水分・塵埃の侵入を防止する。

尚、この減速度センサ７は、その内部にばね手
段にて浮動的に支持された慣性マスと、この慣性
マスが前方に変位することをもつて閉成する接点
とを内蔵しており、衝突時に所定値以上の減速度
が車輌に作用すると電気的な信号を発し、別途エ
アバツク装置などの乗員拘束装置の作動装置を起
動するものである。

さて、車体は、できるだけ車室に衝突衝撃が伝
わらないように設計されることが通例であり、上
記した減速度センサ７を、ただ単に車室内に設け
ると、衝撃に対する感度が低下したりする不都合
がある。

他方、バンパなどの直後に減速度センサ７を設
けると、衝突時に信号を発する以前に破損した
り、また外気や雨水に晒されて腐食するなど、作
動信頼性が著しく阻害されることが考えられる。

そこで本考案に於ては、上記実施例に示したよ
うに、車体前後方向に延在する剛性部材であるフ
ロントサイドメンバ２の後端部に減速度センサ７
を設けることにより、衝突衝撃を確実かつ高感度
に感知し得るものとしている。

［考案の効果］ このように本考案によれば、極めて簡単な構造
にて、比較的剛性の高い部材に作用する衝突衝撃
を減衰のない状態で感知することができる。しか
も上記実施例に示すように、車室側からフロント
サイドメンバ内に突入するように減速度センサを
取付けることにより、車室内に突出させることな
く閉鎖された空間内に減速度センサを収容するこ
とができ、外気や水分にて減速度センサが汚損す
ることを好適に回避し得る。また、車室に至近な
位置に減速度センサを配設し得ることから、配線
の取回し性なども向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案が適用された車体の前部を示す
概念的な側面図であり、第２図は要部拡大断面図
である。 １……車体、２……フロントサイドメンバ、３
……エンジンルーム、４……車室、５……ダツシ
ユボードパネル、６……開口、７……減速度セン
サ、８……プレート、９……保護カツプ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 車輌の減速を検知するための減速度センサの
   車体に対する取付け構造であつて、 中空をなし車体前後方向に延在するフロント
   サイドメンバの後端面とダツシユボードパネル
   とが接合する部分に於ける前記ダツシユボード
   パネルに、前記フロントサイドメンバの内側空
   間に連通するように開口を開設し、 該開口を介して前記フロントサイドメンバ内
   に突入するように前記ダツシユボードパネルに
   当該減速度センサを固着することを特徴とする
   減速度センサの取付け構造。 (2) 当該減速度センサの前記フロントサイドメン
   バ内に突入する部分を、当該減速度センサに形
   成された取付けフランジと前記ダツシユボード
   パネルとの間に挟持されるフランジ部を有する
   保護カバーにて覆うことを特徴とする第１請求
   項に記載の減速度センサの取付け構造。