JP3716663B2 - エアバッグセンサの配設構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の側突時に乗員の保護を行なう側突用エアバッグの衝突センサの配設構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、衝突安全性の高まりにより、前突用だけではなく側突用エアバッグも装着し、側突時における乗員保護を高める車両が普及している。
【0003】
この側突用エアバッグは、前突用エアバッグとは異なり、衝突荷重を受けた際、瞬時にエアバッグを展開させる必要があるため、従来、衝突センサをサイドドアの内部のインパクトバーや、サイドピラー内部に配設していた。
【0004】
しかし、こうした位置に衝突センサを配設すると、ドア開閉時の影響を受けて、衝突センサがその荷重を誤検出してしまい、側突用エアバッグを誤作動させてしまうといった問題があったため、従来のエアバッグシステムでは、一般に、停車時に、衝突センサから信号を取り込まないように制御システムに工夫を加える対策などを施していた。
【0005】
しかしながら、停車時に衝突センサからの信号を取り込まないと、信号待ちの停車時などに、他車から側突された場合に、側突用エアバッグが充分に機能せず、乗員保護を満足に行なえないといった可能性があった。
【0006】
よって、現在では、制御システムに工夫を加えることなくエアバッグを適切に作動させるため、ドア開閉の影響を受けにくい場所に衝突センサを配設することが考えられている。
【0007】
例えば、サイドピラーの根元(サイドシルとの連結部)に衝突センサを配設したものや、また、特開平5−188077号公報や特開平10−44922号公報のように、フロアパネルに配設されたクロスメンバに衝突センサを配設したものが考えられている。
【0008】
【発明の解決しようとする課題】
しかし、前記の先行技術では、瞬時に衝突荷重を検出するという点で依然として問題があり、側突用エアバッグの衝突センサの配設構造としては、充分ではなかった。
【0009】
すなわち、これらの先行技術では、衝突荷重の伝達経路を詳細に考慮すると、衝突センサに衝突荷重が伝達されるタイミングに遅れが生じているである。
【0010】
この点、衝突荷重の伝達経路を説明すると、まずサイドドアに対して側方からの衝撃が加わると、その衝突荷重はサイドドアを支持するサイドピラーに伝達される。その後、そのサイドピラーに倒れ変形が生じると、衝突荷重はサイドピラーに連結されたサイドシルに伝達され、そのサイドシルが車体内方に移行することで、衝突荷重は、最終的にクロスメンバに伝達される。
【0011】
この伝達経路のうち、最もタイムロスが生じるのはサイドピラーの変形時間であるため、衝突センサをサイドピラーの根元に配置するものや、クロスメンバに配設するものでは、瞬時に衝突荷重を検出することができず、側突用エアバッグの衝突センサに要求される機能を充分に得ることはできなかった。
【0012】
またサイドピラーの倒れ変形により衝突荷重が減衰されるため、衝突センサは衝突荷重についても、正確な値を検出することができなかった。
【0013】
以上のことから、前記の先行技術では、側突用エアバッグの衝突センサの配設構造として、充分ではないといわざろうえなかった。
【0014】
特にこうした問題は、オープンカーのようなサイドピラーの上端が開放され、サイドピラー自体が倒れ変形し易くなっている車両の場合には、サイドピラーの変形時に反力が生じにくく、衝突荷重が瞬時にサイドシルに伝わりにくいため、顕著に生じてしまう。
【0015】
本発明は以上のような問題点に鑑み発明されたもので、ドア開閉時の影響を受けることなく、瞬時に側突センサが衝突荷重を検出できるようにした側突用エアバッグの衝突センサの配設構造を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明は以下のように構成される。
請求項1記載の発明は、車両側方からの衝突荷重に対して、サイドドアと乗員の間にエアバッグを展開させるエアバッグシステムのエアバッグセンサの配設構造において、衝突荷重を受けるサイドドアの車体内方に、上下方向に延びて該サイドドアを支持するサイドピラー部材を設け、該サイドピラー部材の車体内方に、車幅方向に渡り、且つ上下方向に延びて、左右のサイドピラー部材を繋ぐパネル部材を設け、該パネル部材に、エアバッグの衝突センサを配設したものである。
【0017】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のエアバッグセンサの配設構造において、前記サイドピラー部材の下端をサイドシルに連結すると共に上端を開放し、前記パネル部材を、乗員の後方に配設した車室と車外とを仕切るバルグヘッドパネルとしたものである。
【0018】
請求項3記載の発明は請求項1、2記載のエアバッグセンサの配設構造において、前記サイドドア内部に、前後方向に延びる補強部材を設け、前記サイドピラー部材の内部に、車体側面視で該補強部材とパネル部材を架け渡すように配置された伝達補強部材を設けたものである。
【0019】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3記載のエアバッグセンサの配設構造において、前記サイドドア内部に、前後方向に延びる補強部材を上下複数設け、車体側面視で、該補強部材の各々の延長線によって包括される領域内に、前記エアバッグの衝突センサを配設したものである。
【0020】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4記載のエアバッグセンサの配設構造において、前記パネル部材に、車幅方向に延びるクロスメンバを設け、該クロスメンバに前記衝突センサを設置したものである。
【0021】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5記載のエアバッグセンサの配設構造において、前記パネル部材を、上下に延びる垂直面と、該垂直面の上端から後方に延びる水平面とで構成し、該2つの面によって構成される角部に段差部を形成し、該段差部に、前記衝突センサを設置したものである。
【0022】
請求項7記載の発明は、請求項6記載のエアバッグセンサの配設構造において、前記段差部に、車幅方向に延びて、前記衝突センサを覆うカバー部材を設けたものである。
【0023】
請求項8記載の発明は、請求項1〜7記載のエアバッグセンサの配設構造において、前記衝突センサを車幅方向の略中央に設置したものである。
【0024】
請求項9記載の発明は、請求項8記載のエアバッグセンサの配設構造において、前記衝突センサを左右両側からの衝突荷重を検出できる衝突センサで構成したものである。
【0025】
【作用及び効果】
請求項1記載のエアバッグセンサの配設構造によれば、サイドピラー部材の車体内方に、左右のサイドピラー部材を繋ぐパネル部材を設け、そのパネル部材に、エアバッグの衝突センサを配設したことにより、衝突荷重は、サイドドアから、サイドピラー部材、パネル部材と伝達され、サイドピラーの倒れ変形時間といったタイムロスを必要とすることなく、衝突センサに伝達される。
【0026】
よって、衝突センサは、瞬時に衝突荷重を検出できる。
したがって、衝突センサは、ドア開閉の影響を受けない場所に配設されながら、瞬時に衝突荷重を検出できるため、側突用エアバッグの衝突センサとして充分な性能を確保することができる。
【0027】
請求項2記載のエアバッグセンサの配設構造によれば、サイドピラー部材の上端を開放し、パネル部材を、乗員の後方に配設した車室と車外とを仕切るバルグヘッドパネルとする、いわゆるオープンカーの車体構造であっても、衝突センサは、サイドピラーの倒れ変形を必要とせずに、瞬時に衝突荷重を検出できる。
【0028】
よってオープンカーのように、サイドピラーが変形し易い車両においても、瞬時に衝突荷重を検出できる。
【0029】
請求項3記載のエアバッグセンサの配設構造によれば、サイドドア内部に、前後方向に延びる補強部材を設け、サイドピラー部材の内部に、車体側面視でその補強部材とパネル部材を架け渡すように伝達補強部材を配置したことにより、衝突荷重は、サイドドア内部の補強部材から、伝達補強部材を介して確実にパネル部材に伝達される。
【0030】
よって、衝突センサには、衝突荷重がサイドドア、サイドピラー部材等の潰れ変形によって減衰されることなく、そのまま伝達されるため、検出精度を高めた検出を行なうことができる。
【0031】
請求項4記載のエアバッグセンサの配設構造によれば、サイドドア内部に補強部材を上下複数設け、その補強部材の延長線によって包括される領域内に衝突センサを配設したことにより、衝突センサは、補強部材が上下広い範囲の衝突荷重を、延長線で包括されるパネル部材の領域内に伝達することにより、その範囲内の衝突荷重を確実に検出することができるため、多様な側突形態の衝突荷重を検出し、エアバッグを作動させることができる。
【0032】
請求項5記載のエアバッグセンサの配設構造によれば、クロスメンバに衝突センサを設置したことにより、衝突センサは、パネル部材の潰れ変形による減衰の影響を受けることなく、クロスメンバから確実に衝突荷重を検出できる。
【0033】
請求項6記載のエアバッグセンサの配設構造によれば、パネル部材の角部に形成された段差部に衝突センサを設置したことにより、衝突センサは、パネル部材の車幅方向の剛性が高まった位置に設置されることになるため、パネル部材の潰れ変形による減衰の影響をほとんど受けることなく、確実に衝突荷重を検出できる。
【0034】
請求項7記載のエアバッグセンサの配設構造によれば、カバー部材により、段差部の車幅方向の剛性がさらに補強されるため、衝突センサはより確実に衝突荷重を検出できる。また、カバー部材は、車室側に衝突センサが露出するのを防ぎ、外乱により側突エアバッグが誤作動するのを防止できる。
【0035】
請求項8記載のエアバッグセンサの配設構造によれば、衝突センサを車幅方向の略中央に設置したことにより、衝突センサは、走行時の車体のロール挙動によって発生する挙動荷重(ロールG)の影響を受けにくいため、衝突荷重の検出精度を高めて、より正確な衝突荷重を検出することができる。
【0036】
請求項9記載のエアバッグセンサの配設構造によれば、衝突センサを左右両側からの衝突荷重を検出できる衝突センサで構成したことにより、2つの衝突センサを統合して、左右両側からの衝突荷重を1つのセンサで検出できるため、衝突センサのレイアウトスペースを減少し、且つコスト低減を図ることができる。
【0037】
【実施例】
本発明の実施例を以下、図面に基づいて詳述する。
図1、図2は、本発明が採用された車両の側面図と平面図である。なお、本例では、ルーフが幌などで構成されるオープンカーの車体構造で説明する。
【0038】
図1、図2に示すように、本車両の車体Vは、ルーフを備えない所謂オープンツーシーターの車体構造で構成されている。車体側部には、サイドドア1が左右一対設けられている。
【0039】
サイドドア1後方には、車体後部側面を構成する側壁2が配設されており、この側壁2は、リアタイヤ3の前方で上下方向に延びるサイドピラー部2aと、リアタイヤの上方及び後方で前後方向に延びるリアフェンダー部2bとから構成されている。
【0040】
サイドドア1下方には、前後方向に延びるサイドシル4が配設されている。
【0041】
車体後部には、左右の側壁2を車幅方向に延びて連結するリアデッキメンバ5が配設され、その後方にはトランクリッド6が配設されている。
【0042】
サイドドア1内方の車室内には、運転席及び助手席から構成されるシート7がフロアパネル8上に配置されている。
【0043】
シート7の後方には、フロアパネル8から連続して上方に起ち上がり、車室と車外を仕切るバルグヘッドパネル9が配置され、そのバルグヘッドパネル9は、上下方向に延びる垂直面部9aと、前後方向に延びる水平面部9bとから構成されている。
【0044】
さらに、その水平面部9bには、燃料タンク(図示せず)の配置に対応して凸状に隆起した隆起部10が形成され、この隆起部が形成されていることにより、隆起部の前方には側面視で段状となった段差部11が構成されている。
【0045】
バルグヘッドパネルの段差部11には、車幅方向ほぼ全域に渡って、その段差部を覆うカバー部材12が設置され、このカバー部材12によって覆われる段差部11の車幅方向の中央には、側突用エアバッグの衝突センサSが設置されている。
【0046】
この衝突センサSは、車両側方からの衝突荷重Fを検出すると、シート7に設けられた側突用エアバッグBをサイドドア1と乗員との間に展開させる衝突検出信号をエアバッグ制御装置(図示せず)に発信する。
【0047】
衝突センサS付近の構造を、前記側壁2の内部構造も含めて、図3、図4の側面詳細図、平面詳細図により説明する。
【0048】
図3に示すように、車体後部側面を構成する側壁2は、外壁を成すリアフェンダーパネル21と、内壁をなすインナパネル22と、リアタイヤを覆うホイールハウス23とが接合されて構成されている。そのホイールハウス23は、ホイールハウスアウタ23aとホイールハウスインナ23bとが接合されて構成されている。
【0049】
ホイールハウス23に沿って設けられる伝達補強部材24は、ホイールハウスのホイールハウスアウタ23aとインナパネル22とに接合されて、閉断面を形成している。
【0050】
この伝達補強部材の後部24aは、インナパネル22とともに、車体内方に湾曲した形状を成している。この伝達補強部材の後部24a、インナパネル22は、車幅方向に延びるリアデッキメンバ5に接合されている。こうして左右両側の側壁2は、リアデッキメンバ5を介して連結されている。
【0051】
一方、伝達補強部材の下端部24aは、屈曲した形状を成すコーナージャンクション25を介してサイドシル4に接続されている。
【0052】
このサイドシル4は、サイドシルアウタ41とサイドシルインナ42とが接合されてなり、閉断面を形成している。サイドシルインナ42の車体内方側には、さらに、サイドシル補強パネル43が接合されている。
【0053】
伝達補強部材の前端部24cは、サイドドア1を係止するストライカ51の位置まで延設され、インナパネル22に接合されている。
【0054】
コーナージャンクション25の屈曲部及び上端部付近における車体内方側には、それぞれ、車幅方向に延びる第3クロスメンバロア26、及び第3クロスメンバアッパ27の側端部が接合されている。
【0055】
第3クロスメンバロア26と第3クロスメンバアッパ27とは、前後方向に延びるリアサイドフレーム28によって互いに連結されている。
【0056】
サイドドア1は、ドア内部に側突補強のために、上部インパクトバー31、下部インパクトバー32、及びベルトラインレイン33を設け、またそれぞれの後端が側壁2の前端すなわちサイドピラー部2aに重合するように配置されている。
【0057】
また、上部インパクトバー31の後端の一部は、伝達補強部材の前端部24cに側面視で重合するように配設されている。
【0058】
バルグヘッドパネル9の段差部11の中央に設置される衝突センサSは、前述のように、カバー部材12に覆われた位置に設置され、第3クロスメンバアッパ27上に取り付けられている。
【0059】
この衝突センサSの設置位置は、車体側面視で上部インパクトバーの延長線L1と、下部インパクトバーL2の延長線によって包括される領域内Zのほぼ中央に設定されている。
【0060】
衝突センサSの取付構造は、図5、図6に示すように、衝突センサSの下部に設けられたプレート座61の左右両側を、取付ボルト/ナット62でバルグヘッドパネルの段差部11に締結することで構成されている。
【0061】
衝突センサSの後方には、ハーネス類Hが車幅方向に延びるように配置され、衝突センサに結線されるカプラCも、このハーネス類Hから引出されている。
【0062】
カバー部材12は、断面くの字状のパネル体で構成され、前端12aをバルグヘッドパネルの垂直面部9aに、後端12bを隆起部10の上面にそれぞれ取付ボルト/ナット63で取り付けられ、バルグヘッドパネル9に固定されている。
【0063】
このように構成されていることで、車体側方からの衝突時には、以下のように衝突伝達が生じて、衝突センサで衝突荷重が検出される。
【0064】
図7の模式図により、本実施例の車体構造での衝突荷重の伝達経路を説明する。
まず、側方から衝突荷重Fを受けると、▲1▼サイドドア及びそのドア内部に設けられた第1、第2インパクトバー31、32に衝突荷重が伝達される。その後ほぼ同時に、サイドドア1及びインパクトバー31、32から側壁2の前端、すなわちサイドピラー部2aに衝突荷重が伝達される。
【0065】
そして、▲2▼そのサイドピラー部2aが衝突荷重を受けると、瞬時にその内部に設けられている伝達補強部材24を介して、バルグヘッドパネル9及び、第3クロスメンバアッパ27に衝突荷重が伝達される。
【0066】
こうして、▲3▼この衝突荷重が衝突センサSに伝達されることで、衝突センサは衝突荷重を検出し、衝突検出信号をエアバッグ制御装置に発信する。
【0067】
これに対して、衝突センサSをフロアパネルのクロスメンバに設置したものの場合には、図8の模式図に示すように、側方から衝突荷重Fを受けると、▲1▼同様、(1)サイドドア1及びその内部に設けられた第1、第2インパクトバー31、32からサイドピラー部2aに衝突荷重が伝達される。
【0068】
しかし、(2)サイドピラー部2aは荷重を受けると、▲2▼とは異なり、サイドシル4の連結部を支点とした倒れ変形が生じる。
【0069】
そして、(3)そのサイドピラー部2aが、ある程度変形した後、サイドシル4に衝突荷重が伝達される。
【0070】
その後、(4)サイドシル4からクロスメンバXに衝突荷重が伝達されることで、衝突荷重は衝突センサSに伝達される。こうして衝突センサSは、ようやく衝突荷重を検出し、衝突検出信号をエアバッグ制御装置に発信する。
【0071】
このように、衝突センサSをフロアパネル8のクロスメンバXに設置した場合には、サイドピラー部2aの変形時間がある程度必要となるが、衝突センサをバルグヘッドパネルに設置した場合には、サイドピラー部2aの変形時間は必要ではない。
【0072】
よって、衝突センサSは、瞬時に衝突荷重を検出することができるため、側突用エアバッグの性能を高める衝突検出信号を発信することができる。
【0073】
以上のように、本実施例は構成されているため、以下のような効果を奏する。
【0074】
まず、バルグヘッドパネルに衝突センサを配設したことにより、車両側突時の車両側方からの衝突荷重は、サイドドアから、サイドピラー部材、パネル部材と伝達され、瞬時に衝突センサに伝達される。
【0075】
よって、衝突センサは、サイドピラーの倒れ変形時間といったタイムロスを必要とすることなく、衝突荷重を瞬時に検出できる。
【0076】
したがって、衝突センサは、ドア開閉の影響を受けない場所に配設されながら、瞬時に衝突荷重を検出できるため、側突用エアバッグの衝突センサとして充分な性能を確保することができる。
【0077】
また、車体構造が、本実施例のようにオープンカーの車体構造で、サイドピラー部材が変形し易いものあっても、衝突センサの衝突荷重検出時に、サイドピラーの倒れ変形を必要としないため、瞬時に衝突荷重を検出できる。
【0078】
また、上部インパクトバーとバルグヘッドパネルとを、側面視で伝達補強部材を介して架け渡すように配設しているため、衝突荷重は、サイドドア内部のインパクトバーから、伝達補強部材を介して、確実にバルグヘッドパネルに伝達される。
【0079】
よって、衝突センサには、衝突荷重がサイドドア、サイドピラー部材等の潰れ変形によって減衰されることなく、そのまま伝達されるため、衝突センサは検出精度を高めた検出を行なうことができる。
【0080】
さらに、上部インパクトバーと下部インパクトバーの延長線によって包括される領域内に対応するバルグヘッドパネルの位置に衝突センサを配設したことにより、衝突センサは、補強部材が上下広い範囲の衝突荷重を、延長線で包括されるバルグヘッドパネルの領域内に伝達することにより、その範囲内の衝突荷重を確実に検出することができるため、多様な側突形態の衝突荷重を検出し、エアバッグを作動させることができる。
【0081】
また、第3クロスメンバアッパに対応して衝突センサを設置したことにより、衝突センサは、バルグヘッドパネルの潰れ変形による減衰の影響を受けることなく、第3クロスメンバアッパから確実に衝突荷重を検出できる。
【0082】
さらに、バルグヘッドパネルに形成された段差部に衝突センサを設置することにより、衝突センサは、バルグヘッドパネルの車幅方向の剛性が高まった位置に設置されることになるため、潰れ変形による減衰の影響をほとんど受けることなく、より確実に衝突荷重を検出できる。
【0083】
またさらに、カバー部材により、段差部の車幅方向の剛性がさらに補強されるため、衝突センサは、よりさらに確実に衝突荷重を検出できる。
【0084】
また、カバー部材は、車室側に衝突センサが露出するのを防ぎ、外乱により側突エアバッグが誤作動するのを防止できる。
【0085】
また、衝突センサを車幅方向の中央に設置したことにより、衝突センサは、走行時の車体のロール挙動によって発生する挙動荷重(ロールG)の影響を受けにくいため、衝突荷重の検出精度を高めて、より正確な衝突荷重を検出することができる。
【0086】
そして、衝突センサを左右両側からの衝突荷重を検出できる衝突センサで構成したことにより、2つの衝突センサを統合して、左右両側からの衝突荷重を1つのセンサで検出できるため、衝突センサのレイアウトスペースを減少し、コスト低減を図ることができる。
【0087】
以上、1つの実施例を説明したが、本発明は、この実施例に限定されるものではなく、オープンカー以外の車体構造であっても、バルグヘッドパネルのようなサイドピラー間を連結するパネル部材を備える車体構造で、そのパネル部材に側突用エアバッグの衝突センサを設置するものであるば、全て包括するものである。
【0088】
この他、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、適宜詳細構造を変更してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が採用された車両の側面図
【図2】本発明が採用された車両の平面図
【図3】衝突センサ付近の車体構造の詳細側面図
【図4】衝突センサ付近の車体構造の詳細平面図
【図5】衝突センサの取付構造を示す側面図
【図6】衝突センサの取付構造を示す正面図
【図7】本実施例の車体構造での衝突伝達を示す模式図
【図8】従来の車体構造での衝突伝達を示す模式図
【符号の説明】
S…衝突センサ
1…サイドドア
2a…サイドピラー部
4…サイドシル
9…バルグヘッドパネル
11…段差部
12…カバー部材
24…伝達補強部材
27…第3クロスメンバアッパ
31…上部インパクトバー
32…下部インパクトバー

Claims (9)

  1. 車両側方からの衝突荷重に対して、サイドドアと乗員の間にエアバッグを展開させるエアバッグシステムのエアバッグセンサの配設構造において、
    衝突荷重を受けるサイドドアの車体内方に、上下方向に延びて該サイドドアを支持するサイドピラー部材を設け、
    該サイドピラー部材の車体内方に、車幅方向に渡り、且つ上下方向に延びて、左右のサイドピラー部材を繋ぐパネル部材を設け、
    該パネル部材に、エアバッグの衝突センサを配設した、
    エアバッグセンサの配設構造。
  2. 前記サイドピラー部材の下端をサイドシルに連結すると共に上端を開放し、
    前記パネル部材を、乗員の後方に配設した車室と車外とを仕切るバルグヘッドパネルとした、
    請求項1記載のエアバッグセンサの配設構造。
  3. 前記サイドドア内部に、前後方向に延びる補強部材を設け、
    前記サイドピラー部材の内部に、車体側面視で該補強部材とパネル部材を架け渡すように配置された伝達補強部材を設けた、
    請求項1、2記載のエアバッグセンサの配設構造。
  4. 前記サイドドア内部に、前後方向に延びる補強部材を上下複数設け、
    車体側面視で、該補強部材の各々の延長線によって包括される領域内に、前記エアバッグの衝突センサを配設した、
    請求項1〜3記載のエアバッグセンサの配設構造。
  5. 前記パネル部材に、車幅方向に延びるクロスメンバを設け、
    該クロスメンバに前記衝突センサを設置した、
    請求項1〜4記載のエアバッグセンサの配設構造。
  6. 前記パネル部材を、上下に延びる垂直面と、該垂直面の上端から後方に延びる水平面とで構成し、
    該2つの面によって構成される角部に段差部を形成し、
    該段差部に、前記衝突センサを設置した、
    請求項1〜5記載のエアバッグセンサの配設構造。
  7. 前記段差部に、車幅方向に延びて、前記衝突センサを覆うカバー部材を設けた、
    請求項6記載のエアバッグセンサの配設構造。
  8. 前記衝突センサを車幅方向の略中央に設置した、
    請求項1〜7記載のエアバッグセンサの配設構造。
  9. 前記衝突センサを左右両側からの衝突荷重を検出できる衝突センサで構成した、
    請求項8記載のエアバッグセンサの配設構造。
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