JPH0547592Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は主として家庭における加熱調理食品の
冷蔵用保存容器及び常温使用で食品保存性を有す
る弁当箱などとして用いられ、しかもそのまゝの
状態で電子レンジで再加熱することが可能な真空
密閉保存容器に関するものである。

（従来の技術） 状態の家庭における食品保存容器はタツパーウ
エア（商品名）の軟質プラスチツク容器、或いは
蓋及び本体をパツキンを介して通常２ケ所の掛け
がねを係合させた角型のプラスチツク容器、また
は熱い食品を充填して冷えると容器内が負圧とな
り蓋がとれなくなるのを防ぐため、負圧解除弁を
つけた弁当箱などであり、またマイクロ波透過性
のプラスチツク製の単なる本体と蓋からなる電子
レンジ加熱容器などである。

（考案が解決しようとする課題） 前述の従来の家庭用食品容器はいづれも食品保
存機能を持たない単なる容器でしかない。

本考案は、公知のマイクロ波加熱殺菌を利用し
て家庭において電子レンジを使用して容器に充填
した加熱調理食品をマイクロ波殺菌すると同時に
容器内の空気、ガスを脱気したのち、真空密閉し
て中期間の冷蔵又は短期間の常温保存が可能であ
るように構成した容器を提供すること、およびそ
の容器を密閉したまゝの状態で電子レンジにより
再加熱しても安全である電子レンジ加熱容器とし
て兼用できる真空密閉保存容器を提供することを
目的とするものである。

本考案者らは、種々検討した結果、前記目的を
達成するためには次の三点を解決しなければなら
ないことを知見した。

(1) マイクロ波加熱殺菌と同時に内部の空気を出
来るだけ完全に排出することが可能な構造であ
ること (2) マイクロ波加熱終了時点で速かに外気の流入
（殺菌等の侵入）を防ぐ構造であること (3) 保存した食品を再加熱するときは、本体及び
蓋を係合したまゝの真空密閉状態のまゝ加熱し
ても安全な構造であること などである。

（課題を解決するための手段） 本考案はかかる知見に基づいて構成されたもの
で、その要旨とするところは、耐熱、耐冷性及び
マイクロ波透過性にして可撓性を有する合成樹脂
製容器本体３と、通気孔５を穿設した蓋１とから
なり、該蓋は通気孔５を閉塞する耐熱、耐冷性の
ゴム状弾性体で傘状に構成された逆止弁４と、該
蓋の周縁に連設されたパツキンケース２とを備
え、該パツキンケース２内には、耐熱、耐冷性の
ゴム状弾性を有するパツキン７を装着してなり、
しかして予め加熱調理した食品を容器本体３内に
熱間充填して、前記蓋１及び本体３をパツキン７
を介して、本体３に設けた掛けがね９および蓋１
に設けた受けレバー１０により気密に係合せしめ
て仮密封した後、電子レンジによるマイクロ波加
熱により、前記食品が内部より加熱殺菌されると
同時に該食品の水分および調理用水分より発生す
る蒸気により該容器内の空気が通気孔５及び蓋と
本体の間から排出、脱気せしめられ、かくして電
子レンジより取出し、冷却した際に自動的に真空
密閉されて保存容器として機能し、内容物を再加
熱するときは掛けがね９を受けレバー１０に係合
させた真空状態のまま電子レンジで加熱でき、内
容物を取出す時は逆止弁の持ち上げにより負圧を
解除して蓋を開放し得る如く構成した電子レン
ジ・マイクロ波殺菌を利用した加熱調理食品の真
空密閉保存容器において、 (a) 蓋１の周縁に連設されたパツキンケース２の
基部に形成された二条の凹溝２ｂ，２b′に、チ
ヤンネル型のパツキン７の両脚部７ａ，７a′を
嵌入させて、前記パツキンケースの基部２ａと
パツキン７とにより擬似中空部８が構成される
如くし、かつ、パツキンケース２内の一方の凹
溝２b′には該中空部から容器内部に通ずる通気
小孔１２を周縁に亘り１箇所以上設けたこと、 (b) 傘状に形成された逆止弁４の軸４ｇの下部に
突起４ａを形成し、蓋１に設けた開口１４に前
記蓋の表より前記軸４ｇを挿入して下側から引
張ることにより、逆止弁４を無理嵌めして固定
し、一方逆止弁４の傘状本体の内側をリング状
壁４ｄにより同心環状区画室４ｂ，４ｃに区画
室し、区画室４ｃを形成する軸４ｇの基部台座
４ｅと前記リング状壁４ｄとによつて通気孔５
にかぶさると共に、傘状本体の周縁先端４ｆが
弁座に対応する蓋１の面に気密に接触する如く
構成し、さらに蓋１の面に区画室４ｂ，４ｃを
連通せしめる圧力伝達溝６を設けたこと、 (c) 蓋及び本体をパツキンを介して気密に係合す
るための掛けがね９及び受けレバー１０におい
て、該受けレバーの、掛けがねがかゝる部分に
ゴム弾性を有するクツシヨン１１を嵌入したこ
と、 を特徴とする真空密閉保存容器にある。

以下、本考案を図面に示す実施例に基づいて説
明する。

一般に公知の密閉容器は第５図に示す如く構成
される。即ちこの公知の密閉容器は、容器本体１
６と、通気孔１８を閉塞する逆止弁１７を備えた
蓋１５とからなり、該蓋の周縁に連設されたパツ
キンケース１５ａ内に中実の弾性体からなるパツ
キン１９を嵌入し、蓋と本体を係合するため掛け
がね２０及び固定の受けレバー２１を用いてパツ
キンを介して仮密閉出来るようになつている。

この容器に、加熱調理食品を充填し、掛けがね
を係合させた後、電子レンジによりマイクロ波殺
菌し、同時に発生する蒸気により内部の空気を脱
気し、次に加熱終了後、自然に放冷して真空密閉
する場合に、初期冷却時には内部の減圧度が低い
ので、容器本体の先端２２（第６図参照）がパツ
キンをおさえる力は弱く、そのため第６図に示す
如く、間隙１９ａから１９ｂへと外気が逆流入す
る。この外気の流入（雑菌などの侵入）は内部食
品の保存にマイナスである。また逆止弁の周縁１
７ａからの外気の流入もあり得る。

また第５図に示す如く受けレバー２１は固定
（クツシヨンがない）であるから、脱気の時に蓋
と本体の間からは殆ど排出されず逆止弁の通気孔
１８からしか排出されないため脱気は不充分であ
る。

以上の欠点を解決するため本考案においては次
の如く構成する。

第１図は本考案の真空密閉保存容器の断面を示
す説明図、第２図はパツキンをパツキンケース基
部の二条の凹溝に装着した状態及び受けレバーに
嵌入したクツシヨンを示す断面図である。第３図
は逆止弁を装着した蓋の断面図、第４図は弁座に
対応する蓋の部分の平面図である。第３図の蓋の
断面図は第４図のＡ−Ｂ−Ｃの断面を示してい
る。

第１図において１は容器の蓋であり３は容器本
体である。４はゴムまたは軟質樹脂によつて形成
された逆止弁であり、５は逆止弁の下に設けられ
た通気孔である。

次に９は角型容器において本体の長辺側の両側
に設けられた掛けがねであり、１０は掛けがねが
係合する受けレバーである。第２図に示す１１は
掛けがねが係合する位置に嵌入された受けレバー
のゴム弾性を有するクツシヨンである。

以上の如く各部が構成されているから、加熱調
理ずみの食品を容器本体３内に熱間充填し、掛け
がね９と受けレバー１０を用いて、蓋１と本体３
を係合して仮密封し、電子レンジでマイクロ波加
熱を行ない殺菌すると、その際発生する蒸気と内
部の空気の膨張により容器内の圧力が上昇して蓋
１の受けレバー１０のクツシヨン１１が圧縮され
て蓋１が持ち上り、容器本体２と蓋１との隙間か
ら容器内の気体が噴出する。そして気体の噴出に
よつて容器内圧力が低下するとクツシヨン１１が
復元し蓋と容器本体の間が、パツキン７を介して
閉塞される。再び容器内の圧力が上がればこれを
繰り返すことになり、この間内部の空気は充分に
容器外に排出され、この間に食品が殺菌されると
同時に内部の気体も殺菌されるし空気密度を希薄
状態に保持させ得るものである。また加熱を終了
すれば、前記の如く瞬時に蓋１と容器本体３との
間がパツキン７を介して閉塞される。この電子レ
ンジによるマイクロ波加熱殺菌の過程において、
脱気は逆止弁４を通じても行われ得ることは勿論
である。

内容物の再加熱時には、クツシヨン１１は安全
弁としての働き、勿論逆止弁４も安全弁として働
くことは当然である。

次にパツキン７について第２図に基づいて詳述
する。パツキン７はゴム、軟質樹脂などの弾性体
からなり、両脚部はパツキンケース２の基部２ａ
に設けられた二条の凹溝２ｂ，２b′内に気密に嵌
入されて擬似中空部８が形成されるようになつて
いる。さらにパツキンケース２の基部２ａに設け
られた二条の凹溝２ｂ，２b′のうち凹溝２b′側に
は擬似中空部８から負圧側、即ち容器内部に通ず
る幅１mm、深さ0.5mm位の細い空気小孔１２が設
けてある。またパツキン７は容器本体の上端面１
３に均一に当接する様にかつエンドレスに構成さ
れている。

さてそこで、マイクロ波加熱が終り冷却が始ま
ると、擬似中空部８は数カ所の細い通気小孔１２
を経て容器内部に通じているのみであるから、容
器内部より若干早く冷却されて擬似中空部８が減
圧され始めると前記掛けがね９、受けレバー１０
間のクツシヨン１１が働いて容器本体３の先端面
１３がパツキン７を押し込むと共に、パツキン脚
部７ａはパツキンケース２の凹溝２ｂの側部２ｃ
に押しつけられて外気の流入を遮断する。

さらに冷却が進行するとパツキン７は容器本体
３の先端面１３によつてパツキンケースの基部２
ａに強く押しつけられて以後長期間のリークを完
全に遮断する。

次に第３図に基づいて逆止弁４を説明する。

逆止弁４は傘状に形成されており、その軸４ｇ
の下部中央部には突起４ａが設けられている。

しかして、逆止弁４は、その軸４ｇが蓋１に穿
設された開口１４に表から挿入されて無理嵌め
し、しかもやゝ引張られた状態で蓋１に固定され
ており、傘の周縁先端面４ｆは蓋１の面に押圧状
態で気密に接触するように構成されている。

さらに逆止弁４の傘状本体の内側はリング状壁
４ｄによつて同心環状区画室４ｂ，４ｃに区画さ
れ、区画室４ｃを形成する軸４ｇの基部台座４ｅ
とリング状壁４ｄとによつて通気孔５にかぶさる
ように構成され、蓋１の面に区画室４ｂ，４ｃを
連通せしめる圧力伝達溝６設けてある。

さて、マイクロ波加熱殺菌と同時に脱気が行わ
れている間は、この逆止弁４は浮き上り、容器内
の気体（膨張した空気と水蒸気）が噴出してい
る。加熱終了と同時に冷却が始まると通気孔５は
区画室４ｃにより蓋をされた状態となるため、区
画室４ｂの空間にあつた気体は容器内より早く冷
却されて体積が収縮し、減圧して周縁先端面４ｆ
は蓋の表面に密着して外気の流入を速やかに遮断
するに至る。更に冷却が進み容器内部の減圧が強
くなつてリング状壁４ｄが強く蓋１に密着すると
区画室４ｂの減圧度の方が容器内の減圧度より弱
くなる。しかし、区画室４ｂの減圧度は、圧力伝
達溝６によつて内部の負圧と同一となるので、肉
厚の薄い周縁先端面４ｆの蓋の面に対する密着度
が強くなり長期間のリークを完全に遮断するよう
になる。

本考案は以上の如く構成されているから、加熱
調理食品を充填し、掛けがねと受けレバーとを係
合させて仮密封し、マイクロ波殺菌と同時に脱気
させた後、冷却すれば外気の流入することがなく
真空密閉することができる。

（考案の効果） マイクロ波殺菌については次のようなことが公
知である。即ち、殺菌に要する時間が短いこと、
マイクロ波透過性の容器を使用すれば容器に入れ
たまま選択的に食品を殺菌することができるなど
の利点があるが欠点もある。即ち、マイクロ波を
強くあて過ぎると硬化現象が起きることがある。
100℃以下の低温殺菌には有効であり、低温菌、
中温菌は死滅するが、前記硬化現象などの品質の
低下を防ぎ、加熱しすぎないようにするためには
高温殺菌（110℃〜130℃）を適用できない場合も
ある。

具体的には、マイクロ波殺菌処理で低温、中温
菌は殺菌され、耐熱性菌（Bacillus属などの好気
性有胞子細菌など）は低温保存下でその増殖を停
止させることができる。またBacillus属は好気性
菌であるから真空下では静菌化することができ
る。

本考案は家庭内において使用する保存容器であ
つて、本考案の容器により冷蔵すれば長期間変敗
することなく保存できるし、又弁当箱として使用
する場合、短期間の常温での保存に十分であるか
ら、朝早く弁当を作らなくても前の日の夕方に作
ることができるし、前記負圧解除弁付きの従来の
弁当箱の場合より!?かに食味がよい。

本考案の容器を使用してカレーを冷蔵保存（７
日）したものは、味がしみて美味であつた。

また真空密閉のままマイクロ波再加熱できる
し、また容器内は飽和蒸気で満たされているから
加熱が均一であり、而も速やかに加熱することが
できる。

本考案によれば、以上の如き実用的効果が奏さ
れるから、産業上極めて有用である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の真空密閉保存容器の断面を示
す説明図、第２図は本考案に従いパツキンをパツ
キンケース基部の二条の凹溝に装着した状態及び
受けレバーに嵌入したクツシヨンを示す断面図で
ある。第３図は逆止弁を装着した蓋の断面図、第
４図は弁座に対応する蓋の部分の平面図である。
第３図の蓋の断面図は第４図のＡ−Ｂ−Ｃの断面
を示している。第５図は従来の密閉容器に逆止弁
をつけた状態の断面を示す説明図である。第６図
は従来のパツキンをパツキンケースに装着した状
態を示す図である。第７図は従来の逆止弁を装着
した蓋の断面図である。 １……蓋、２……パツキンケース、２ａ……パ
ツキンケース基部、２ｂ，２b′……凹溝、２ｃ…
…凹溝の側部、３……容器本体、４……逆止弁、
４ａ……突起、４ｂ，４ｃ……区画室、４ｄ……
リング状壁、４ｆ……周縁先端面、４ｇ……軸、
４ｈ……つまみ、５……通気孔、６……圧力伝達
溝、７……パツキン、７ａ，７a′……パツキンの
脚部、８……中空部、９……掛けがね、１０……
受けレバー、１１……クツシヨン、１２……通気
小孔、１３……先端面、１４……開口、１５……
蓋、１６……本体、１７……逆止弁、１７ａ……
周縁先端面、１８……通気孔、１９ａ，１９ｂ…
…間隙、２２……先端面。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 耐熱、耐冷性及びマイクロ波透過性にして可撓
   性を有する合成樹脂製容器本体３と、通気孔５を
   穿設した蓋１とからなり、該蓋は通気孔５を閉塞
   する耐熱、耐冷性のゴム状弾性体で傘状に構成さ
   れた逆止弁４と、該蓋の周縁に連設されたパツキ
   ンケース２とを備え、該パツキンケース２内に
   は、耐熱、耐冷性のゴム状弾性を有するパツキン
   ７を装着してなり、しかして予め加熱調理した食
   品を容器本体３内に熱間充填して、前記蓋１及び
   本体３をパツキン７を介して、本体３に設けた掛
   けがね９および蓋１に設けた受けレバー１０によ
   り気密に係合せしめて仮密封した後、電子レンジ
   によるマイクロ波加熱により、前記食品が内部よ
   り加熱殺菌されると同時に該食品の水分および調
   理用水分より発生する蒸気により該容器内の空気
   が通気孔５及び蓋と本体の間から排出、脱気せし
   められ、かくして電子レンジより取出し、冷却し
   た際に自動的に真空密閉されて保存容器として機
   能し、内容物を再加熱するときは掛けがね９を受
   けレバー１０に係合させた真空状態のまま電子レ
   ンジで加熱でき、内容物を取出す時は逆止弁の持
   ち上げにより負圧を解除して蓋を開放し得る如く
   構成した電子レンジ・マイクロ波殺菌を利用した
   加熱調理食品の真空密閉保存容器において、 (a) 蓋１の周縁に連設されたパツキンケース２の
   基部に形成された二条の凹溝２ｂ，２b′に、チ
   ヤンネル型のパツキン７の両脚部７ａ，７a′を
   嵌入させて、前記パツキンケースの基部２ａと
   パツキン７とにより擬似中空部８が構成される
   如くし、かつ、パツキンケース２内の一方の凹
   溝２b′には該中空部から容器内部に通ずる通気
   小孔１２を周縁に亘り１箇所以上設けたこと
   と、 (b) 傘状に形成された逆止弁４の軸４ｇの下部に
   突起４ａを形成し、蓋１に設けた開口１４に前
   記蓋の表より前記軸４ｇを挿入して下側から引
   張ることにより、逆止弁４を無理嵌めして固定
   し、一方逆止弁４の傘状本体の内側をリング状
   壁４ｄにより同心環状区画室４ｂ，４ｃに区画
   し、区画室４ｃを形成する軸４ｇの基部台座４
   ｅと前記リング状壁４ｄとによつて通気孔５に
   かぶさると共に、傘状本体の周縁先端４ｆが弁
   座に対応する蓋１の面に気密に接触する如く構
   成し、さらに蓋１の面に区画室４ｂ，４ｃを連
   通せしめる圧力伝達機構６を設けたこと、 (c) 蓋及び本体をパツキンを介して気密に係合す
   るための掛けがね９及び受けレバー１０におい
   て、該受けレバーの、掛けがねがかゝる部分に
   ゴム弾性を有するクツシヨン１１を嵌入したこ
   と、 を特徴とする真空密閉保存容器。