JPH0546931Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、特に印刷時に生ずる騒音を低下させ
るプリンタの防音用カバーの構造に関する。

［従来の技術］ 従来においては、プリンタの内部より生ずる騒
音を外部に拡散させないための構造として、特開
昭59−146880号公報に示されるものがある。即
ち、プリンタケースの用紙の通路となる開口部を
覆うようにカバーを設け、用紙の通路となる開口
部をできるだけ小とするためプリンタケースとカ
バーとの相対した面に互い違いに突起を設けて用
紙通路を狭めるとともにうねらせ、騒音をプリン
タケース内に閉じこめ、外部への漏れを防止しよ
うとするものである。

［考案が解決しようとする課題］ しかし、かかる構造のものは、用紙をセツトす
る際にはカバーを開く必要があり、また、この構
造を排紙経路に用いた場合には、用紙が移動する
際には摩擦抵抗が作用するので、用紙先端をこの
経路に通す場合は用紙が突起を通過するまでカバ
ーを閉じることができず、更に通過後も用紙を外
側より引き出す必要がある。

本考案はかかる問題点を解決しようとするもの
であり、その目的は、構造が簡素で、移動する用
紙の摩擦負荷を極力小とし、かつ操作性に優れた
防音用カバーを実現することにある。

［課題を解決するための手段］ 本考案によるプリンタの防音用カバーの構造
は、プリンタの用紙排出用の開口部から用紙の排
出経路を覆う防音用カバーの構造に於て、用紙の
排出経路に対し直角方向には複数の板状の消音用
部材が、また用紙の排出経路の方向には、略逆台
形形状の複数の板状の紙案内部材とが防音用カバ
ーの下面に設けられ、プリンタカバーの下面には
消音用部材と紙案内部材により下方に解放された
複数の箱状の空間が形成され、消音用部材と紙案
内部材の端面の下方には用紙が通過するに充分な
隙間が形成されていることを特徴とするものであ
る。

［実施例］ 以下図面に基づき、本考案の一実施例を説明す
る。

第１図は、プリンタに設置されたプリンタカバ
ーを斜め上方より見た外観図であり、一部には透
視した状態が示されている。また、第２図は、第
１図におけるプリンタカバーを手前方向より見た
正面断面図である。

プリンタの上面に設けられた、排出される用紙
の下面をガイドするシートガイド３を囲むように
シートガイド３の上にプリンタカバーが配置さ
れ、紙排出用開口部６Ａを覆つている。プリンタ
本体で印刷された用紙は、図中矢印６Ａ方向より
同矢印６Ｂ方向に排出される。

このプリンタカバーは、紙排出用開口部６Ａ側
におかれたプリンタカバー（固定部）２と、シー
トガイド３側におかれたプリンタカバー（可動
部）１とよりなる。紙排出経路となるプリンタカ
バー１の下面には、紙経路に対し直角方向に２列
の消音用部材４が突出して設けられ、さらに、用
紙が排出される際に用紙がスムーズにガイドされ
る様に逆台形形状の紙案内用部材５が消音用部材
４の両端と中央部とに設けられている。つまり、
プリンタカバー１の下方には、消音用部材４と紙
案内用部材５とで囲まれ下方に開かれた箱状の２
つの空間が形成される。

プリンタから発生する騒音は、その多くが前述
の紙排出経路を経由して矢印６Ｂより外部に放射
される。その際、紙排出経路の断面積は、第２図
に示されるように S1→S2→（約S1／２＋約S1／２）→S2→S1 と変化する。このような経路を設けることによ
り、前記した騒音を効果的に低下させることがで
きた。

その原理は、下記の通りと考えられる。

音の伝わる経路の一部にその断面積が異なる部
分を設けると、振動する流体の粒子速度はこの部
分を境として不連続となり、見かけ上は媒質が異
なる複数の媒体を通過する流体の運動と等しくな
ると考えられる。媒質の異なる複数の媒体を通る
音波は、各境界で繰り返される反射と透過とによ
り透過した振動エネルギーは減衰され、騒音は低
下される。

また、プリンタカバー１、紙案内用部材５及び
消音用部材４とにより形成される２つの箱状の空
間では、この空間の形状（深さ，縦横比、容積
等）で決まる特定の周波数の音が共鳴し、紙排出
経路とこの空間との境界面に於て振動する流体の
粒子速度が最大になる周波数をピークとする共鳴
によるエネルギー損失によつて、紙排出経路を通
過する騒音の特定の周波数を効果的に減衰させ
る。

一般に、プリンタの場合、１から8kHzの音域
に複数の騒音のピークがあり耳障りなものとなる
が、このピーク周波数に前記の空間の周波数を合
わせればよい。

第３図は、本願考案の請求の範囲には含まれな
いが、消音部材４を１列だけ設けた例である。こ
の場合にも、印字用紙排出をスムーズとするため
逆台形の紙案内部材５をプリンタカバー１の底面
に設けている。

［考案の効果］ 本願によるプリンタの防音用カバーの構造は以
下の顕著な効果を達成するものである。

即ち、用紙の排出経路に対し直角方向には複数
の板状の消音用部材が、また用紙の排出経路の方
向には略逆台形形状の複数の板状の紙案内部材が
それぞれ防音用カバーの下面に設けられており、
プリンタカバーの下面にはこれら消音用部材と紙
案内部材により下方に解放された箱状の空間が形
成され、音の放出方向と直角方向に配置された板
状の消音用部材および下方に解放された複数の箱
状の空間とによりプリンタから発生する騒音を効
果的に減少させることができ、また、排出経路の
方向には略逆台形形状の複数の板状の紙案内部材
が防音用カバーの下面に設けられ、排出される用
紙の案内をし、しかも消音用部材と紙案内部材の
端面の下方には用紙が通過するに充分な隙間が形
成されているので、用紙をプリンターにセツトす
る際等における作業性が損なわれること及び排出
される用紙の経路の障害となることはない。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の一実施例を示すプリンタカ
バーの要部の外観斜視図。第２図は、第１図の断
面図。第３図は、他の実施例を示す側断面図。 １……プリンタカバー（可動部）、２……プリ
ンタカバー（固定部）、３……シートガイド、４
……消音用部材、５……紙案内用部材、６……紙
経路。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 プリンタの用紙排出用の開口部から用紙の排出
   経路を覆う防音用カバーの構造に於て、 前記用紙の排出経路に対し直角方向には複数の
   板状の消音用部材が、また前記用紙の排出経路の
   方向には、略逆台形形状の複数の板状の紙案内部
   材とが前記防音用カバーの下面に設けられ、 前記プリンタカバーの下面には前記消音用部材
   と前記紙案内部材により下方に解放された複数の
   箱状の空間が形成され、前記消音用部材と前記紙
   案内部材の端面の下方には前記用紙が通過するに
   充分な隙間が形成されていることを特徴とするプ
   リンタの防音用カバーの構造。