JPH0546440B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、シールド掘進機によるトンネル掘
進中に、障害物に遭遇したとき、その障害物を研
磨材混入高圧水の噴射により迅速にかつ安全に切
断する方法に関するものである。

〔従来技術〕

密閉式シールド掘進機によりノンエルを掘進し
ているとき、鋼杭やPIP杭等の障害物に遭遇する
ことがあるが、シールド掘進機のカツタにより前
記障害物を切断することは困難である。

従来、シールド掘進機が前記障害物に遭遇した
場合は、切羽地盤に薬液注入等の補助工法を実施
して切羽地盤を安定させたのち、作業員がシール
ド掘進機内の前方でピツクやガス切断器等により
前記障害物を切断している。

また別の方法として、地上から立坑を掘削する
と共にその立坑の周囲に覆工を施して行き、立坑
の底部で前記障害物を切断して撤去する方法も知
られている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかるに、作業員がシールド掘進機内の前方で
ピツクやガス切断器等により障害物を切断する場
合は、作業場所が狭いので作業性が悪く、作業能
率が低下し、かつ切羽地山が崩壊する恐れがある
ので作業上危険であり、さらにガス切断器により
切断する場合は、ガスが発生するので作業環境が
悪くなるという問題がある。

また地上から立坑を掘削してその立坑の底部で
障害物を撤去する場合は、工事日数が著しく長く
かかると共に、工事費が著しく多くかかるという
問題がある。

〔発明の目的、構成〕

この発明は前述の問題を有利に解決できるシー
ルド掘進機の前部の障害物を切断する方法を提供
することを目的とするものであつて、この発明の
要旨とするところは、シールド掘進機１における
カツタヘツド２の外周に近接する位置に切断用流
体噴射ノズル３を設け、その流体噴射ノズル３を
取付けた流体圧送管３１を、カツタ本体１０の後
部に設けた軸受により回動自在に支承し、次にそ
の流体噴射ノズル３から研磨材混入高圧水をシー
ルド掘進機１の前部の障害物４に向かつて噴射し
ながら、前記流体噴射ノズル３を取付けた流体圧
送管３１を回動して、前記障害物４を研磨材混入
高圧水の噴射により切断することを特徴とするシ
ールド掘進機の前部の障害物を切断する方法にあ
る。

〔実施例〕

次にこの発明を図示の例によつて詳細に説明す
る。

第１図ないし第８図はこの発明の第１実施例を
示すものであつて、円筒状のシールド機本体５内
に前部環状フレーム６が同心的に配置され、その
前部環状フレーム６とシールド機本体５とは環状
の連結部材７を介して結合され、かつ前部環状フ
レーム６には環状従動歯車８が回転自在に嵌合さ
れ、周囲に複数の掘削土侵入用開口部９を備えて
いるカツタ本体１０の外周に短円筒体１１が溶接
により固着されると共に、前記カツタ本体１０の
前面に多数のビツト１２が放射状に並ぶように取
付けられてカツタヘツド２が構成され、そのカツ
タヘツド２はシールド機本体５の前端部に近接し
て配置され、前記環状従動歯車８に固定された円
環体１３とカツタ本体１０の後部の中央側部分と
は隔壁１４を介して連結され、さらに減速機付き
電動機またはオイルモータからなるカツタ駆動装
置１５は前記前部環状フレーム６に固定され、そ
のカツタ駆動装置１５の出力軸に固定されたピニ
オン１６は前記環状従動歯車８に噛み合わされ、
前記カツタ駆動装置１５によりピニオン１６、環
状従動歯車８および隔壁１４を介してカツタヘツ
ド２が回転される。

前記連結部材７の後部においてシールド機本体
５内に後部環状フレーム１７が固定され、かつ前
記連結部材７の後部においてシールド機本体５の
周囲方向に間隔をおいて配置された複数のシール
ドジヤツキ１８は、後部環状フレーム１７に挿通
されて固定され、各シールドジヤツキ１８はセグ
メント１９による一次覆工２０の前端面に対向す
るように配置され、さらに架台２１の前部は後部
環状フレーム１７に固定されている。

開閉弁２３を備えている送水管２４の吐出端部
は、前部環状フレーム６および連結部材７とカツ
タヘツド２との間の圧力室２５内に開口され、前
記連結部材７の下部に固定された排泥用ポンプ２
６の吸引口は圧力室２５内の下部に配置され、そ
の排泥用ポンプ２６の吐出口に、開閉弁２７を備
えている排泥管２８の一端部が接続され、前記カ
ツタ駆動装置１５により回転されるカツタヘツド
２とシールド機本体５内に設けられた各部分とに
よりシールド掘進機１が構成されている。

前記カツタ本体１０の後面に支持板２９がボル
ト３０により着脱自在に固定され、かつカツタ本
体１０の後部においてそのカツタ本体１０の半径
方向に延長する流体圧送管３１は、支持板２９に
固定された複数の軸受３２により回転自在に支承
され、さらに短円筒体１１に設けられた開口部３
３に前記流体圧送管３１が挿通され、カツタ本体
１０の外周面に近接するように配置された切断用
流体噴射ノズル３の後端部は、前記流体圧送管３
１の先端部に固定されたノズルホルダ３４に連結
され、また流体圧送管３１の基端部に固定された
アーム３５の先端部にノズル回動用液圧シリンダ
３６の一端部がピン結合され、前記カツタ本体１
０に対しボルト３７により着脱自在に固定されて
いる支持金具３８と、前記ノズル回動用液圧シリ
ンダ３６の他端部とはピン結合されている。

前記一次覆工２０内に架設された支承台３９
に、2000〜3000Kgｆ／cm²の高圧水を供給するジエ
ツトポンプ４０が設置され、そのジエツトポンプ
４０の吐出口に高圧水供給用ホース４１の一端部
が接続され、かつそのホース４１の他端部は前記
流体圧送管３１の基端側に高圧水用スイベルジヨ
イント４２を介して接続され、さらに前記架台２
１に研磨材タンク４３が載置されて固定され、そ
の研磨材タンク４３の出口に研磨材供給用ホース
４４の一端部が接続され、またそのホース４４の
他端部は前記流体圧送管３１の中間部に研磨材用
スイベルジヨイント４５を介して接続されてい
る。

支持板２９に固定された前記研磨用スイベルジ
ヨイント４５内に流体圧送管３１を囲む環状室５
９が設けられ、かつ前記流体圧送管３１の周壁
に、その内部を前記環状室５９に連通させる複数
の吸引孔６０が設けられ、前記支持板２９により
支持されている各部分により切断用流体噴射装置
４６が構成されている。

前記研磨材タンク４３内にはガーネツト、けい
砂、砂等の粒状の研磨材が収容され、かつ研磨材
タンク４３の上部には圧送用圧縮空気管５７が接
続され、さらに前記カツタ本体１０には、ビツト
１２の点検や障害物の除去等を行なうための蓋を
有するマンホール５８が設けられている。

シールド掘進機１によりトンネルを掘進する場
合は、前記切断用流体噴射装置４６、ノズル回動
用液圧シリンダ３６および支持金具３８を取外し
ておく。掘進中にシールド掘進機１が鋼杭やPIP
杭等の障害物４に遭遇した場合は、まずシールド
掘進機１による掘進を停止したのち、切羽地盤を
薬液注入等の補助工法により安定させ、かつ圧力
室２５内の掘削土、泥水等を除去し、次に作業員
が、隔壁１４のマンホール（図示を省略した）か
ら隔壁１４とシールド機本体５との間に入つて、
前記切断用流体噴射装置４６および支持金具３８
をカツタ本体１０に対してボルトにより固定し、
かつ切断用流体噴射ノズル３を障害物４の後部に
対向させる。この場合、障害物４に対する切断用
流体噴射ノズル３の位置合わせは、カツタヘツド
２を回転させることにより行なわれる。

次にジエツトポンプ４０を運転して、高圧水を
高圧水供給用ホース４１および高圧水用スイベル
ジヨイント４２を経て流体圧送管３１内に供給
し、かつ研磨材タンク４３から研磨材を研磨材供
給用ホース４４および研磨材用スイベルジヨイン
ト４５を経て流体圧送管３１内に供給し、その流
体圧送管３１における研磨材用スイベルジヨイン
ト４５の部分で高圧水に研磨材を混入させ、その
研磨材混入高圧水を切断用流体噴射ノズル３から
障害物４に向かつて噴射し、さらにノズル回動用
液圧シリンダ３６によりアーム３５および流体圧
送管３１を介して切断用流体噴射ノズル３を回動
させるか、またはカツタヘツド２の低速回転によ
り切断用流体噴射ノズル３を旋回させるか、ある
いは前述の手段による切断用流体噴射ノズル３の
回動および旋回を行なわせることにより、切断用
流体噴射ノズル３を障害物横断方向に移動させ、
その切断用流体噴射ノズル３から噴射される研磨
材混入高圧水により障害物４を切断する。

第７図はカツタヘツド２の低速回転により切断
用流体噴射ノズル３を旋回させて、複数の障害物
４を切断するときの状態を示し、また第８図は前
記流体圧送管３１を中心とする切断用流体噴射ノ
ズル３の回動とカツタヘツド２の低速回転による
切断用流体噴射ノズル３の旋回移動とを反復して
行なつて複数の障害物４を順次切断するときの状
態を示している。

前述のようにして障害物４を切断したのち、前
記切断用流体噴射装置４６、ノズル回動用液圧シ
リンダ３６および支持金具３８を撤去し、再びシ
ールド掘進機１により掘進を行なう。

第９図ないし第１１図はこの発明の第２実施例
を示すものであつて、カツタ本体１０の後部にお
いてカツタ本体１０の半径方向に延長する筒状の
ケーシング４７内に、ロータリアクチユエータ
（図示を省略した）により回動される流体圧送管
３１が嵌設され、かつケーシング４７の先端部の
左右両側に、一対のリンク４８の一端部がピンに
より枢着され、ケーシング４７の基端側の左右両
側には、一対のリンク４９の一端部がピンにより
枢着され、各リンク４８，４９は平行に配置さ
れ、さらに各リンク４８，４９の他端部は支持板
２９に固定されたブラケツトに対しピンにより枢
着され、また支持板２９に固定されたブラケツト
とケーシング４７の基端部とは、格納突出切替用
液圧シリンダ５０を介して連結されている。

流体圧送管３１の先端部に固定されたノズルホ
ルダ３４に、切断用流体噴射ノズル３の後端部が
連結され、かつ短円筒体１１には開口部３３を開
閉する遮蔽板５１が設けられ、この遮蔽板５１と
短円筒体１１とは開閉用液圧シリンダ（図示を省
略した）を介して連結され、その液圧シリンダに
より遮蔽板５１が開閉移動される。

一端部がジエツトポンプ４０に連結されている
高圧水供給用ホース４１の他端部と、一端部が研
磨材タンク４３に連結されている研磨材供給用ホ
ース４４の他端部とは、カツタヘツド２の後部中
央に取付けられたロータリバルブ５２に接続さ
れ、かつ前記ケーシング４７内において流体圧送
管３１に取付けられた高圧水用スイベルジヨイン
トと支持板２９に固定されたカツプリング５３と
は可撓管５４を介して接続され、さらにケーシン
グ４７内において流体圧送管３１に取付けられた
研磨材用スイベルジヨイントと支持板２９に固定
されたカツプリング５５とは可撓管５６を介して
接続され、また前記各カツプリング５３，５５は
ロータリバルブ５２に対しそれぞれ管路を介して
接続されているが、その他の構成は第１実施例の
場合と同様である。

第２実施例の場合は、シールド掘進機１により
トンネルを掘進するとき、第９図および第１０図
に示すように、格納突出切替用液圧シリンダ５０
を短縮して切断用流体噴射装置４６をカツタヘツ
ド２内に格納し、かつ遮蔽板５１により開口部３
３を閉じて、開口部３３からカツタヘツド２内に
土砂が侵入するのを防止する。

掘進中にシールド掘進機１が障害物４に遭遇し
た場合は、カツタヘツド２を低速回転させて、切
断用流体噴射装置４６付近においてカツタヘツド
２に取付けられている障害物センサー（図示を省
略した）により障害物４を検出したのち、カツタ
ヘツド２の回転を停止させ、次いで遮蔽板５１を
開放したのち格納突出切替用液圧シリンダ５０を
伸長させて、ケーシング４７およびこれにより支
持されている各部分をカツタヘツド２の中心から
離反する方向に移動させることにより、第１１図
に示すように、切断用流体噴射ノズル３をカツタ
本体１０の外周面に近接するように配置する。

次に第１実施例の場合と同様に、切断用流体噴
射ノズル３から障害物４に向かつて研磨材混入高
圧水を噴射し、かつケーシング４７内のロータリ
アクチユエータにより流体圧送管３１を介して切
断用流体噴射ノズル３を回動させるか、またはカ
ツタヘツド２の低速回転により切断用流体噴射ノ
ズル３を旋回させるか、あるいは前述の手段によ
る切断用流体噴射ノズル３の回動および旋回を行
なわせることにより、切断用流体噴射ノズル３を
障害物横断方向に移動させ、その切断用流体噴射
ノズル３から噴射される研磨材混入高圧水により
障害物４を切断する。

前述のようにして障害物４を切断したのち、格
納突出切替用液圧シリンダ５０を短縮して切断用
流体噴射装置４６をカツタヘツド２内に格納し、
次いで遮蔽板５１を閉じたのち、再びシールド掘
進機１により掘進を行なう。

この発明を実施する場合、カツタヘツド２の後
部の周囲の複数の切断用流体噴射装置４６を設け
てもよい。またシールド掘進機１が障害物４に遭
遇したとき、薬液注入等の補助工法による切羽地
盤安定手段を施さなくてもよい。

〔発明の効果〕

この発明によれば、シールド掘進機１における
カツタヘツド２の外周に近接する位置に切断用流
体噴射ノズル３を設け、その流体噴射ノズル３を
取付けた流体圧送管３１を、カツタ本体１０の後
部に設けた軸受により回動自在に支承し、次にそ
の流体噴射ノズル３から研磨材混入高圧水をシー
ルド掘進機１の前部の障害物４に向かつて噴射し
ながら、前記流体噴射ノズル３を取付けた流体圧
送管３１を回動するので、コンクリートや鋼材あ
るいはそれらの複合体等からなる硬質の障害物４
であつても、研磨材混入高圧水の噴射により、そ
の障害物４を容易にかつ速い速度で切断すること
ができ、しかも、切断用流体噴射ノズル３を回動
するので、広範囲の障害物４を切断することがで
き、さらに障害物４はシールド掘進機１の外周か
ら外側に離れた位置で切断されるので、障害物４
を切断したのち、シールド掘進機１が障害物４の
部分を自由に通過することができ、しかも無人で
切断できるので安全であり、かつ切断作業中にガ
ス等が発生することもないので、坑内作業環境が
良好である等の効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第８図はこの発明の第１実施例を
示すものであつて、第１図は障害物に遭遇したシ
ールド掘進機に障害物切断装置を設置した状態を
示す縦断側面図、第２図は切断用流体噴射装置付
近を拡大して示す縦断側面図、第３図は研磨材ス
イベルジヨイントと流体圧送管との関係を示す縦
断側面図、第４図は切断用流体噴射装置付近を拡
大して示す一部縦断正面図、第５図は第２図のＡ
−Ａ線断面図、第６図はシールド掘進機と障害物
との関係を示す正面図、第７図および第８図は切
断用流体噴射ノズルの移動状況を示す平面図であ
る。第９図ないし第１１図はこの発明の第２実施
例を示すものであつて、第９図は障害物に遭遇し
たシールド掘進機に障害物切断装置を設置した状
態を示す縦断側面図、第１０図は切断用流体噴射
装置付近を拡大して示す縦断側面図、第１１図は
切断用流体噴射ノズルをシールド掘進機の外側に
突出させた状態を示す縦断側面図である。 図において、１はシールド掘進機、２はカツタ
ヘツド、３は切断用流体噴射ノズル、４は障害
物、５はシールド機本体、６は前部環状フレー
ム、８は環状従動歯車、１０はカツタ本体、１１
は短円筒体、１４は隔壁、１５はカツタ駆動装
置、１６はピニオン、２９は支持板、３１は流体
圧送管、３３は開口部、３４はノズルホルダ、３
５はアーム、３６はノズル回動用液圧シリンダ、
４０はジエツトポンプ、４１は高圧水供給用ホー
ス、４２は高圧水用スイベルジヨイント、４３は
研磨材タンク、４４は研磨材供給用ホース、４５
は研磨材スイベルジヨイント、４６は切断用流体
噴射装置、４８および４９はリンク、５０は格納
突出切替用液圧シリンダ、５１は遮蔽板である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ シールド掘進機１におけるカツタヘツド２の
   外周に近接する位置に切断用流体噴射ノズル３を
   設け、その流体噴射ノズル３を取付けた流体圧送
   管３１を、カツタ本体１０の後部に設けた軸受に
   より回動自在に支承し、次にその流体噴射ノズル
   ３から研磨材混入高圧水をシールド掘進機１の前
   部の障害物４に向かつて噴射しながら、前記流体
   噴射ノズル３を取付けた流体圧送管３１を回動し
   て、前記障害物４を研磨材混入高圧水の噴射によ
   り切断することを特徴とするシールド掘進機の前
   部の障害物を切断する方法。