JPH0545820Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の目的］ 〈産業上の利用分野〉 本考案は、内燃機関に使用される燃料噴射ポン
プの取付構造に関し、特に単気筒小型デイーゼル
エンジン等に適した燃料噴射ポンプの取付構造に
関する。

〈従来の技術〉 一般にデイーゼルエンジン等の内燃機関に使用
される燃料噴射ポンプは、機関の運転状況に応じ
てガバナ装置によりコントロールラツクを移動さ
せ、燃料噴射量を増減して機関の回転数を略一定
に調整する。これらの燃料噴射ポンプは、エンジ
ン側壁に穿設されたポンプ取付孔からコントロー
ルラツク、タペツト等を備えるポンプハウジング
をクランクケース内に挿入して装着される。

ところが、特に単気筒デイーゼルエンジン等に
使用される単独型燃料噴射ポンプは、コントロー
ルラツクの移動量が大きくポンプハウジングから
大きく突出するので、エンジンに脱着する際には
常にコントロールラツクを中心位置に合わせてポ
ンプ取付孔を通過させる必要がある。このため、
予めコントロールラツクの停止位置をポンプ取付
孔近傍のオイル注入口やエンジン側壁に開設した
別の窓から確認して調整しなければならず、噴射
ポンプの取り外しは著しく非能率かつ面倒な作業
となつていた。

この問題を解消するために、例えば実開昭57−
89861号公報にはを予めポンプ取付部材に装着し、
この取付部材を介してエンジン側壁に固定する方
法が記載されている。しかし、エンジン側壁に大
きな取付孔を穿設するため剛性上の問題が発生
し、また部品点数が増加しかつ構造及び組付が複
雑になるという不都合がある。

〈考案が解決しようとする課題〉 そこで本考案の目的は、燃料噴射ポンプをエン
ジンから取り外す際に、コントロールラツクをそ
の停止位置に拘らず常に中心位置に整合させて作
業を容易にし得る比較的簡単な燃料噴射ポンプの
取付構造を提供することにある。

［考案の構成］ 〈課題を解決するための手段〉 上述の目的は、本考案によれば、燃料噴射ポン
プをエンジンの一部に着脱可能に取り付けるため
の取付構造であつて、前記エンジン部分に開設さ
れたポンプ取付孔が、その内側周縁に少なくとも
部分的に前記燃料噴射ポンプの挿入方向に沿つて
半径方向外向きに傾斜するテーパ部を有し、かつ
前記テーパ部が少なくともコントロールラツクの
最大突出位置より外側まで延長していることを特
徴とする燃料噴射ポンプの取付構造を提供するこ
とにより達成される。

〈作用〉 このようにすれば、燃料噴射ポンプをエンジン
から取り外す場合に、コントロールラツクが中心
位置から最大限移動してポンプハウジングから大
きく突出した状態で停止していても、その突出端
部がポンプ取付孔を通過する際にテーパ部の傾斜
面に案内されて移動するので、常にコントロール
ラツクを中心位置へ整合させることができる。

〈実施例〉 以下に添付の図面を参照して本考案を特定の実
施例について詳細に説明する。

第１図に於て、一般にPF型と称される燃料噴
射ポンプ１が、クランクケースと一体をなすオイ
ルパン２に接合されたシリンダブロツク３のスカ
ート部４に傾斜させて固定されている。この燃料
噴射ポンプ１はポンプハウジング５の下端にロー
ラ６を有するタペツト７を備える。図示されない
クランク軸によつてその1/2の速度で回転するカ
ム軸８のカム９によつてタペツト７が上下に往復
駆動されることにより、燃料が高圧燃料パイプ１
０を介して燃料ノズルへ圧送される。燃料噴射量
は、ポンプハウジング５の軸線方向に関して横方
向に移動するコントロールラツク１１によつて調
整される。コントロールラツク１１の中央に植設
されたピン１２が、ポンプハウジング５の外面に
開設された長孔１３を介して外方へ突出してい
る。

カム軸８の下方にはガバナ機構１４が回転自在
に設けられ、そのギヤ１５がカム軸８のギヤ１６
と噛合してカム軸８と共に回転するようになつて
いる。ガバナ機構１４は、燃料噴射ポンプ１とリ
ンク機構１７を介して連動するように連結されて
いる。このガバナ機構１４は周知のメカニカルガ
バナであつて、１対のフライウエイト１８に生ず
る遠心力でその軸線方向に移動するスライダ１９
の先端にカバナシヤフト２０の一端が当接してい
る。カバナシヤフト２０にはカバナアーム２１の
一端が固定され、スライダ１９によつてカバナシ
ヤフト２０が回動するとガバナアーム２１がカバ
ナシヤフト２０を中心に傾動するようになつてい
る。第２図に併せて示されるようにカバナアーム
２１の他端にはＵ字溝２２が設けられ、その中に
ポンプハウジング５から突出するコントロールラ
ツク１１のピン１２が係合している。

第２図によく示されるように、燃料噴射ポンプ
１は、スカート部４に穿設された取付孔２３から
ポンプハウジング５を挿入し、かつフランジ２４
をスカート部４上面にシール２５を介装してボル
ト２６で締結することにより固定されている。

取付孔２３の内側開口周縁には、ポンプハウジ
ング５を挿脱する際にコントロールラツク１１の
左右両端が通過する位置に適合させて、ポンプハ
ウジング５の挿入方向に沿つて半径方向外向きに
拡がるように傾斜させたテーパ部２７が一体的に
形成されている。一方、コントロールラツク１１
は、カバナアーム２１に駆動されてポンプハウジ
ング５の軸線方向に関して左右両横方向に図中破
線で示される位置２８と位置２９との間を移動す
る。これに対して、テーパ部２７はその傾斜面が
コントロールラツク１１の最大突出位置２８また
は２９より外側まで延長するように形成されてい
る。従つて、コントロールラツク１１は如何なる
停止位置にあつてもポンプハウジング５を取付孔
２３から抜き出す際に、コントロールラツク１１
の突出端部が常にテーパ部２７の傾斜面に当接し
かつ案内され、中央位置に強制的に移動する。ま
た、取付孔２３には中央位置にあるコントールラ
ツク１１のピン１２に合せて切欠３０が切設され
ている。

また、燃料噴射ポンプ１をスカート部４に取り
付ける場合には、コントロールラツク１１及びピ
ン１２を手で中央位置に整合させ、取付孔２３か
らガバナアーム２１のＵ字溝２２が略中央に位置
することを確認した上でポンプハウジング５を挿
入し、ピン１２をＵ字溝２２に係合させる。

［考案の効果］ 上述したように本考案によれば、エンジン側壁
に設けられたポンプ取付孔の内側周縁にテーパ部
を設けるという簡単な構造によつて、コントロー
ルラツクが如何なる停止位置にあつても、常にそ
の突出端部が該テーパ部の傾斜面に当接して強制
的に中央位置に移動するように案内されるので、
燃料噴射ポンプをエンジンから容易に取り外すこ
とができ、作業性が非常に改善されると共に、コ
ントロールラツクやピンをポンプ取付孔周縁に衝
突させて破損する虞れが無く、耐久性が向上する
等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、燃料噴射ポンプの取付状態を示す概
略図である。第２図は、第１図の線−に於て
本考案の要部を示す断面図である。 １……燃料噴射ポンプ、２……オイルパン、３
……シリンダブロツク、４……スカート部、５…
…ポンプハウジング、６……ローラ、７……タペ
ツト、８……カム軸、９……カム、１０……高圧
燃料パイプ、１１……コントロールラツク、１２
……ピン、１３……長孔、１４……カバナ機構、
１５，１６……ギヤ、１７……リンク機構、１８
……フライウエイト、１９……スライダ、２０…
…ガバナシヤフト、２１……ガバナアーム、２２
……Ｕ字溝、２３……ポンプ取付孔、２４……フ
ランジ、２５……シール、２６……ボルト、２７
……テーパ部、２８，２９……位置、３０……切
欠。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 燃料噴射ポンプをエンジンの一部に着脱可能に
   取り付けるための取付構造であつて、 前記エンジン部分に開設されたポンプ取付孔
   が、その内側周縁に少なくとも部分的に前記燃料
   噴射ポンプの挿入方向に沿つて半径方向外向きに
   傾斜するテーパ部を有し、かつ前記テーパ部が少
   なくともコントロールラツクの最大突出位置より
   外側まで延長していることを特徴とする燃料噴射
   ポンプの取付構造。